以下、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の実施の一形態について、図面を参照しながら説明する。
最初に、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の構成の主な適用対象であるインクジェットプリンタの概略構成について説明する。
図1は、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の構成の主な適用対象であるインクジェットプリンタにおける主要部の概略構成を示す斜視図である。
インクジェットプリンタの一例としてのプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないモータにより駆動され、印刷媒体としての印刷用紙Pを搬送する搬送ローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ28と、キャリッジモータ30と、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28を案内するためのガイドレール34とを備えている。
キャリッジ28には、印刷用紙Pの搬送方向(以下、副走査方向ともいう。)に沿って配設されたインク吐出部としての複数個のノズルをそれぞれ含む複数列のノズル列を有する印刷ヘッド36,各ノズルからのインク吐出の有無を判定する判定装置としての光センサ41,及び、符号板33を読み取るためのリニアエンコーダ29が搭載されている。
搬送ローラ24の軸にはロータリーエンコーダ25が設けられており、このロータリーエンコーダ25の出力に基づいて印刷用紙Pの搬送量を制御している。従って、印刷用紙の搬送方向と直交する方向(以下、主走査方向ともいう。)におけるキャリッジ28の位置はリニアエンコーダ29により検知し、印刷用紙Pの位置はロータリーエンコーダ25により検知することが可能である。即ち、プリンタ20は、エンコーダ25,29の出力信号に基づいて、キャリッジ28と印刷用紙Pとの相対位置を正確に認識可能な構成とされている。
印刷用紙Pは、図示しない給紙ローラにより用紙スタッカ22から給紙されて搬送ローラ24により搬送され、プラテン板26の表面上を副走査方向SSへ送られる。
キャリッジ28は、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向MSに移動する。主走査方向MSと副走査方向SSとは直交している。
図2は、印刷ヘッド36を上方から見た際のノズルと光センサ41との配置を示す透視図である。
印刷ヘッド36には、淡ブラックインクを吐出するための淡ブラックインクノズル列KLと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル列MLと、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル列CLと、主に自然画を印刷する際に用いるブラックインクを吐出するためのフォトブラックインクノズル列KPと、濃ブラックインクを吐出するための濃ブラックインクノズル列KDと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル列CDと、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル列MDと、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル列YDと、が設けられている。尚、この例では、印刷用紙Pの搬送方向下流側に1番ノズル#1が配置されている。
キャリッジ28に搭載された光センサ41は、印刷ヘッド36の最も反ホームポジション側に位置するイエローインクノズル列YDの1番ノズル#1より搬送方向下流側であって、さらに反ホームポジション側に配置されている。この例では、例えば、イエローインクノズル列YDの1番ノズルより搬送方向下流側に8.58mm、反ホームポジション側に51.75mmの位置に設けられている。
ガイドレール34に沿って移動するキャリッジ28の移動範囲内における印刷領域外部には、キャリッジ28に搭載された印刷ヘッド36の下方にクリーニング機構200が設けられている。尚、図1においては、クリーニング機構200はヘッドキャップ210のみ示し、他の構成は省略している。
ヘッドキャップ210は、機密性のあるキャップであり、印刷をしていないときに印刷ヘッド36に被せてノズル内のインクの乾燥を防止するものである。そのため、ヘッドキャップ210は、キャリッジ28の待機位置、いわゆるホームポジション側に設けられている。また、ノズルが詰まった場合にも印刷ヘッド36にヘッドキャップ210を被せてノズルからインクを吸引し、クリーニングを実行する。
各ノズルからのインク吐出の有無を判定する光センサ41については、後に詳述する。
図3は、プリンタ20の電気的構成を示すブロック図である。
プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56とを備えている。
システムコントローラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査ドライバ61と、搬送モータ31を駆動する副走査ドライバ62と、光センサ41を駆動する光センサドライバ63と、印刷ヘッド36を駆動するヘッドドライバ66とが接続されている。
光センサドライバ63は、光センサ41に備えられた発光部41aの発光量を調整可能な光量制御部と、同じく光センサ41に備えられた受光部41bの出力を調整可能な出力制御部とを備えている。
従って、例えば、所定の印刷用紙により反射した光を受けた受光部41bの出力が所定の値となるように、発光部41aの発光量又は受光部41bの出力を調整することが可能である。調整は、システムコントローラ54が光センサドライバ63を制御することにより行う。
ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード、高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷を行うための印刷データを生成し、プリンタ20に転送する。
転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50に蓄えられた印刷データの中から必要な情報を読み取り、それに基づいて各ドライバに対して制御信号を送る。
イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50において受信された印刷データを色成分ごとに分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。
ヘッドドライバ66は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読み出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズル列を駆動する。尚、プリンタ20各部を制御するのは、システムコントローラ54である。
また、ホストコンピュータ100から転送される印刷データは、ホストコンピュータ100からの転送前に色成分ごとに分解されている印刷データであってもよい。
図4は、印刷動作状態判定用光学式センサの二種類の構成を模式的に示す説明図である。尚、ここでは印刷動作状態判定用光学式センサをインク吐出判定用光学式センサとして説明するが、光学式センサは、インク吐出判定用光学式センサとしての用途に限らず、Bi−D調整のための印刷パターン検出等、反射光の強度に反映される印刷媒体表面の印刷状態又は印刷媒体の有無の検出による印刷装置の種々の動作状態の判定を行う印刷動作状態判定装置として広く使用することができる。また、光学式センサは、キャリッジに搭載するのではなく、後述するように、プリンタ内部に印刷媒体を供給する給紙ローラよりも印刷媒体搬送方向における上流側に配置することにより、印刷に使用しようとする印刷媒体の種類を予め判別する印刷媒体種類判別装置として使用することができる。
インク吐出判定用光学式センサとしては、図4(a)に示すように、照射光Laが印刷媒体としての印刷用紙表面に対し垂直に照射されるように発光部41aの向きが設定されている構成のものと、図4(b)に示すように、照射光41aが印刷媒体としての印刷用紙表面に対し斜めに照射されるように発光部41aの向きが設定されている構成のものとがある。
ノズルからのインク吐出の有無を判定するための光センサ41は、図4(a)及び図4(b)に示すように、発光部41aと受光部41bとを備えている。本実施の形態においては、受光部41bとして、主に反射光の拡散反射成分を受光するための受光部が一つ設けられた例を示しているが、このほかに、主に反射光の正反射成分を受光するための別の受光部を設けた構成としてもよい。
発光部41aは、印刷用紙に向けて光を照射するための発光装置である。インク吐出判定の際には、ノズルから吐出したインクにより各ノズルに対応してそれぞれ印刷形成される印刷ブロックを含む印刷パターンが印刷されているべき印刷用紙の領域に向けて光が照射される。
光センサ41の通常の構成においては、発光部からの照射光の焦点が印刷媒体表面上に合わせられたときに、当該照射光により印刷用紙が照射される領域(以下、「スポット」という。)内に上記印刷パターンの印刷ブロックBLが1個含まれるようにスポットが設定されている。
尚、印刷パターンの詳細は、後述する。
発光部41aには、発光ダイオード、レーザダイオード、白熱電球等の任意の発光装置を用いることができる。発光部41aからの照射光の色は、印刷パターン等の判定対象印刷画像の色に対して補色の関係にある色であることが好ましい。例えば、シアンの印刷画像を検出するには赤色の照射光を用い、マゼンタの印刷画像を検出するためには緑色の照射光を用い、イエローの印刷画像を検出するには青色の照射光を用いるとよい。
照射光の色と印刷画像の色とを補色の関係にすると、そうでない場合に比べて高いレベルの出力信号を得ることができる。
従って、いずれの色の印刷画像に対しても安定した出力を得るためには、照射光が白色である発光装置を用いるとよい。
受光部41bは、印刷パターンにより反射された反射光を検出して電気的信号に変換する光電変換装置である。受光素子としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ等を用いるとよい。好ましくは、可視光に対し良好な感度特性を有する受光素子を用いるとよい。
主に拡散反射成分を受光するための受光部41bの位置は、発光部41aに対し正反射の位置にないことが望ましい。
例えば、図4(a)に示すように、発光部41aからの照射光が印刷媒体としての印刷用紙表面に対し垂直に照射されるように発光部41aの向きを設定すると共に、印刷用紙表面から斜めに反射された反射光を検出するように受光部41bの向きを設定するとよい。又は、図4(b)に示すように、発光部41aからの照射光が印刷媒体としての印刷用紙表面に対し斜めに照射されるように発光部41aの向きを設定すると共に、印刷用紙表面に対し垂直な反射光を検出するように受光部41bの向きを設定してもよい。
特に光沢系印刷用紙のように、表面にコーティング層が形成されている印刷媒体においては、入射光の大半が表面のコーティング層により正反射されてしまうが、受光部41bを発光部41aに対して正反射の位置に取り付けない場合は、コーティング層の下にある印刷ブロックの色も確実に判別することができる。
発光部41aから出射された照射光は、印刷ブロックが印刷された印刷用紙により反射され、その反射光の拡散反射成分が受光部41bに到達する。受光部41bは、検出した反射光の強度に応じた電気的信号を発生し、出力信号として出力する。
この出力信号のレベルが予め設定された閾値より小さい場合には、発光部41aからの照射光により照射された印刷ブロックを形成すべきノズルからインクが正常に吐出されたと判定し、出力信号のレベルが閾値以上である場合には、当該ノズルからインクが正常に吐出されなかったと判定する。
このとき、光センサ41は、例えば、所定の未使用印刷用紙や、所定の印刷媒体上に印刷された各色の印刷パターン等により反射された反射光を検出した受光部41bからの出力信号のレベルが所定値となるように、システムコントローラ54によって制御される光センサドライバ63の光量制御部により発光部41aの発光量が調整されるか、又は、光センサドライバ63の出力制御部により受光部41bの出力が調整されている。
尚、複数の発光装置を比較すると、同じ白色の発光装置であっても個体差があり、特定の印刷パターンを照射した際の出力値に差が生ずる。
従って、実際に搭載された光センサと、実際の印刷媒体と、実際のインクにより印刷された印刷パターンとを使用して、発光部の発光量又は受光部の出力を調整することにより、発光装置の個体差、印刷媒体の種類、インク色の種類等により発生し得る誤判定を防止することが可能となる。
図5は、一色のインクにより印刷形成された検査用パターンの一例を模式的に示す説明図であり、図6は、検査用パターンを構成する検査用印刷ブロックBLを模式的に示す説明図である。
インク吐出検査に際しては、先ず、検査用パターンを作成する。この検査用パターンは、各色のインクを吐出するノズル列によりインク色ごとにそれぞれ印刷形成される検査用パターンである。即ち、総てのノズルのインク吐出状態を検査する場合には、印刷ヘッド36が有するノズル列から吐出されるインクの色数分の検査用パターンが形成される。
従って、本実施の形態においては、八つの検査用パターンが作成されることになる。また、一色のノズル列にN個のノズルが配列されていて、それらN個のノズルの検査を行う場合の検査用パターンには、N個の印刷ブロックBLが印刷されることになる。
検査用パターンは、各ノズルから吐出されるインクによりノズルごとにそれぞれ形成される複数の検査用印刷ブロックBLにより構成され、一つの印刷ブロックBLは、図6に示すように、複数のインクドットPXにより形成される。
一つの印刷用検査ブロックBLは一つのノズルから吐出されるインクのみによって印刷形成されるので、一つの印刷用検査ブロックBLはそれに対応する一つのノズルの検査に用いられる。図5は、54個のノズルを有するノズル列により形成される検査用パターンを示している。
この検査用パターンは、主走査方向(左右方向)に9個、副走査方向に6個の検査用印刷ブロックBLが配置されて構成されている。即ち、主走査方向に配列された9個の検査用印刷ブロックにより構成される検査用印刷ブロックアレイが、副走査方向に6段形成されている。
搬送方向の最も下流側に位置する1段目の検査用印刷ブロックアレイは、9番ノズル#9から1番ノズル#1までにより印刷され、2段目の検査用印刷ブロックアレイは、18番ノズル#18から10番ノズル#10までにより印刷され、以下同様に、6段目の検査用印刷ブロックアレイは54番ノズル#54から46番ノズル#46までにより印刷される。
検査用パターンを構成する各検査用印刷ブロックアレイの印刷に際しては、所定の位置に位置決めされた印刷用紙に対し、例えばキャリッジ28を図5における左側から右側へ走査しつつ、54番、45番、36番、27番、18番、9番ノズル#54、#45、#36、#27、#18、#9からインクを吐出して所定数のドットを形成し、検査用印刷ブロックBLの主走査方向の幅の分だけ印刷する。キャリッジ28は走査を継続しつつ、53番、44番、35番、26番、17番、8番ノズル#53、#44、#35、#26、#17、#8からインクを吐出して、第2列の検査用印刷ブロックを形成するための所定数のドットによりドット列又はラインを形成する。
このように、ノズル列を構成する各ノズルは、検査用パターンの主走査方向に配置される検査用印刷ブロック数に等しい数ごとのノズルを順にそれぞれグループ化してサブノズルグループとされ、各サブノズルグループの副走査方向において同一の順番に位置するノズルごとにインクを吐出して各検査用印刷ブロックを形成していく。
図5における左側から右側へのキャリッジ28による走査が終了すると、印刷用紙を副走査方向にノズルピッチ分だけ搬送する。その後、右側から左側へキャリッジ28による走査を行い、直前の走査と逆の順序で所定のノズルからインクを吐出してドット列又はラインを形成する。
このように、印刷用紙を副走査方向にノズルピッチ分だけ搬送する動作と、各サブノズルグループの副走査方向における同一の順番に位置するノズルごとにインクを吐出しながら主走査方向における走査を行う動作とを繰り返し、9本のドット列又はラインを形成すると検査用印刷ブロックが形成される。総てのノズルから正常にインクが吐出されると、最終的に54個の検査用印刷ブロックを有する検査用パターンが印刷される。
尚、図5からも分かるように、主走査方向(左右方向)において相互に隣接する検査用印刷ブロック、例えば、54番ノズル#54により形成された検査用印刷ブロックと、53番ノズル#53により形成された検査用印刷ブロックとは、副走査方向にノズルピッチ分だけずれた位置に印刷される。
各検査用印刷ブロックを形成するドットは、相互に隣接する検査用印刷ブロック間においても等間隔に形成され、各検査用印刷ブロック間には余白部分は生じない。
本実施の形態では、キャリッジ28の各走査の間に実行される印刷用紙の搬送における搬送量をノズルピッチ分としたが、当該搬送量は任意であり、例えば搬送量をノズルピッチの半分とすると、各検査用印刷ブロックを構成するドットの数が多くなり、各検査用印刷ブロックの濃度は高くなる。このとき、各検査用印刷ブロックを構成するドット列又はラインの数は18本となる。
図7は、光センサによる走査の際の検査用パターン上におけるスポットの軌跡を模式的に示す説明図である。尚、図5の説明において前述したように、主走査方向において相互に隣接する検査用印刷ブロックは、厳密には、副走査方向にノズルピッチ分だけずれた位置に印刷されるのであるが、図7においては簡略化のため、各検査用印刷ブロックがずれのないマトリクス状に配置形成された状態の検査用パターン71を示している。
インク吐出の有無の判定に際しては、キャリッジ28(図1)に取り付けられた光センサ41と印刷用紙Pとを相対的に移動させ、検査用印刷ブロックBL上を光センサ41により走査する。
このとき、光センサ41の発光部41aからの照射光La(図4)のスポットを、図7の軌跡XYのように各検査用印刷ブロックBLに順次当てていき、検査用印刷ブロックBLからの反射光Lbを受光部41bにより検出し、検出した反射光Lbの強度に応じて受光部41bから出力された電気信号のレベルを所定の閾値と比較することによりインク吐出の有無を判定する。出力信号レベルと所定の閾値との比較は、各検査用印刷ブロックBLごとに行う。
尚、図2に示すように、本実施の形態においては、光センサ41は、印刷ヘッド36が有する総てのノズルより下流側に配置されているので、下流側の一部の印刷ブロックBLについては、上流側の一部の印刷ブロックBLを印刷する際のキャリッジ28の移動動作において光センサ41による走査を行い、同時にインク吐出の有無を判定する。
また、光センサ41の発光部41aからの照射光により印刷用紙が照射される領域は、印刷用紙上において円形のスポットとなるが、本実施の形態においては、スポット内に検査用印刷ブロックBLが1個含まれるようにスポットが設定されている。
図8は、インク吐出の有無の判定における出力信号レベルと判定閾値との関係を示すグラフである。
目詰まりによりインクが吐出されないノズルが存在する場合、印刷用紙上に形成される検査用印刷ブロックBLのうち当該ノズルに対応する印刷ブロックは、インクが滴下されない空白印刷ブロックBLaとなる。
光センサ41の発光部41aから出射された照射光のスポットにより照射される印刷ブロックが空白印刷ブロックBLaである場合は、光センサ41の受光部41bが検出する反射光Lbの強度が増加するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは上昇する。
一方、スポットにより照射される印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックBLbである場合は、受光部41bが検出する反射光Lbの強度が減少するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは低下する。
即ち、発光部41aにより形成されたスポットが空白印刷ブロックBLaを走査した際の出力信号レベルVLは相対的に高い値となり、スポットが正常印刷ブロックBLbを走査した際の出力信号レベルV0は相対的に低い値となる。
従って、図8に示すように、空白印刷ブロックBLaに対応する出力信号レベルVLと正常印刷ブロックBLbに対応する出力信号レベルV0との間に、判定閾値Vthを設定しておくことにより、出力信号レベルと判定閾値Vthとを比較して、各ノズルにおけるインク吐出の有無を判定することができる。
以上のようなインク吐出の有無の判定を行う際におけるハードウェアの動作は、以下の通りである。
システムコントローラ54(図3)の判定部54aは、インク吐出の有無を判定するために、光センサ41からの出力信号レベルと、予め設定されメインメモリ56に記憶された判定閾値Vthとを比較する。
出力信号レベルが閾値Vthより小さい場合、スポットに含まれている印刷ブロックは正常に印刷された正常印刷ブロックであり、当該印刷ブロックの印刷に用いられたノズルからはインクが正常に吐出されていると判定する。逆に、出力信号レベルが閾値Vthより大きい場合、スポットに含まれている印刷ブロックはインクが滴下されなかった空白印刷ブロックであり、当該印刷ブロックの印刷に用いられたノズルからはインクが正常に吐出されていないと判定する。
プリンタ20は、発光部41aからの照射光により印刷用紙が照射される領域、即ち、スポット内に一つの印刷ブロックが含まれる構成とすると共に、リニアエンコーダ29の出力とロータリーエンコーダ25の出力とにより、キャリッジ28と印刷用紙との相対位置を認識可能とし、さらに、総てのノズルより搬送方向の下流側に設けた光センサ41と各ノズルとの相対位置が予め正確に調整され且つ認識されているものとする。
従って、インク吐出の有無を判定するために、キャリッジ28の走査動作によって、光センサ41による検査用印刷ブロックの走査を行った結果、インクが滴下されなかった空白印刷ブロックが検出された場合には、リニアエンコーダ29及びロータリーエンコーダ25の出力に基づいて、当該空白印刷ブロックに対応するノズルを、インク吐出が正常に行われない異常ノズルとして特定することが可能である。
インク吐出が正常に行われない異常ノズルが特定されたときは、当該異常ノズルのみに対しフラッシング等を実行して良好な状態に回復させたり、あるいは、当該異常ノズルが本来形成すべきドットを他のノズルを用いて形成させて印刷することも可能である。
図9は、光学式センサの受光出力信号波形と判定閾値との関係を示すグラフである。
上述のように、光学式センサのスポットにより照射される印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックBLbである場合は、受光部41bが検出する反射光Lbの強度が減少するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは低下する。従って、スポットが正常印刷ブロックBLbを走査した際の出力信号レベルV0は相対的に低い値となり、この出力信号レベルV0を基準レベルとして受光出力信号波形は変動することとなる。
一方、光学式センサのスポットにより照射される印刷ブロックが空白印刷ブロックBLaである場合は、光センサ41の受光部41bが検出する反射光Lbの強度が増加するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは上昇する。従って、発光部41aにより形成されたスポットが空白印刷ブロックBLaを走査した際の出力信号レベルVLは相対的に高い値となり、図9に示すような受光出力信号波形においては、極大値VLのピークとして観測される。
それ故に、通常は、基準レベルとなる出力信号レベルV0とピークレベルとなる出力信号レベルVLとの間に、判定閾値Vthを設定しておくことにより、センサ受光出力信号レベルと判定閾値Vthとを比較して、各ノズルにおけるインク吐出の有無を判定することができる。
さて、前述のように、光学式センサは、インク吐出判定用光学式センサとしての用途に限らず、Bi−D調整のための印刷パターン検出等、反射光の強度に反映される印刷媒体表面の印刷状態又は印刷媒体の有無の検出による印刷装置の種々の動作状態の判定を行う印刷動作状態判定装置として広く使用することができる。
また、光学式センサは、キャリッジに搭載するのではなく、プリンタ内部に印刷媒体を供給する給紙ローラよりも印刷媒体搬送方向における上流側に配置することにより、印刷に使用しようとする印刷媒体の種類を予め判別する印刷媒体種類判別装置として使用することができる。
図10は、印刷媒体種類判別装置及び印刷媒体種類判別装置としての2個の光学式センサが備えられたプリンタの概略構成を模式的に示す説明図である。
本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の適用対象としてのプリンタには、少なくとも印刷媒体種類判別装置としての光学式センサが備えられていることが前提条件として必要とされる。
印刷媒体種類判別装置としての光学式センサ141は、プリンタ内部に印刷媒体Pを供給する給紙ローラ64よりも印刷媒体搬送方向における上流側に配置されており、給紙トレイ90に装填された印刷媒体としての印刷用紙Pに照射光を照射し、反射光の強度に反映される印刷媒体表面の状態、即ち、印刷媒体表面の材質を検出することにより、印刷媒体Pの種類を判別する。
尚、印刷媒体種類判別用光学式センサ141が配設される位置は、給紙トレイ90に装填された印刷媒体Pに照射光を照射することが可能な位置であればよく、必ずしも給紙ローラ64よりも印刷媒体搬送方向における上流側に配置されている必要はない。また、印刷媒体種類判別用光学式センサ141は、配設位置が異なる点を除くと、図4を参照して説明した光学式センサ41と同様の構成を有している。
光学式センサ141によって印刷媒体の種類の判別が行われた後、給紙トレイ90に装填されている印刷媒体Pは、給紙ローラ64により繰り出されて紙送りローラ(搬送ローラ)24及びその従動ローラ27により挟持された後、プラテン板26に支持されながら印刷ヘッド36の下を通過して、紙送りローラ24及びその従動ローラ27により搬送方向下流側へ順次搬送される。
尚、印刷媒体Pが紙検出センサ15上を通過する際には、印刷媒体Pの先端部及び終端部が紙検出センサ15により検出され、その検出タイミングと紙送りローラ24による紙送り量とから、印刷媒体Pの位置制御が行われる。
印刷媒体Pが紙送りローラ24及びその従動ローラ27により所定の紙送り量だけ搬送方向下流側へ搬送されると、印刷媒体Pの先端部は排紙ローラ76及びその従動ローラ75により挟持され、さらに印刷媒体Pが搬送方向下流側へ搬送されると、最後は、排紙ローラ76及びその従動ローラ75によって搬送され排紙される。
印刷ヘッド36は、印刷媒体搬送方向としての副走査方向に直交する主走査方向において往復駆動されるので、印刷ヘッド36直下の領域が印刷可能領域である。従って、印刷媒体Pが印刷ヘッド36の下を通過する際、一定の紙送り量ごとに印刷媒体Pが一時的に停止している間に、印刷ヘッド36直下の印刷可能領域に位置する印刷媒体Pの表面に印刷が行われる。
図11は、印刷媒体種類判別装置及び印刷媒体種類判別装置としての2個の光学式センサが備えられたプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図11に示すプリンタは、印刷媒体種類判別用光センサ(光学式センサ)141と、光センサ141用の光センサドライバ163とが備えられている点を除くと、図3に示すプリンタと同様の構成を有している。
従って、両者の相違点である印刷媒体種類判別用光学式センサ141及び光センサドライバ163について説明する。
図11に示すプリンタにおいては、給紙トレイに装填された印刷媒体に照射光を照射することが可能な位置に配設されて、印刷媒体に照射光を照射し、反射光の強度に反映される印刷媒体表面の状態、即ち、印刷媒体表面の材質を検出することにより、印刷媒体の種類を判別する印刷媒体種類判別用光学式センサ141と、制御部としてのシステムコントローラ54及び印刷媒体種類判別用光学式センサ141に接続され、印刷媒体種類判別用光学式センサ141を駆動する光センサドライバ163とが備えられている。
上述のように、印刷媒体種類判別用光学式センサ141は、配設位置が異なる点を除くと、図4を参照して説明した光学式センサ41と同様の構成を有している。
従って、光センサドライバ163も光センサドライバ63と同様の構成を有しており、印刷媒体種類判別用光学式センサ141に備えられた発光部の発光量を調整可能な光量制御部と、同じく印刷媒体種類判別用光学式センサ141に備えられた受光部の出力を調整可能な出力制御部とを備えている。そして、例えば、所定の印刷媒体表面により反射した反射光を受けた受光部の出力が所定の値となるように、発光部の発光量又は受光部の出力を調整することが可能である。調整は、制御部としてのシステムコントローラ54が光センサドライバ163を制御することにより行う。
ところで、現在普及しているプリンタにおいて使用される印刷媒体の種類は、様々な用途に対応して多種多様なものが流通し使用されているが、現在の技術水準により実現可能な光学式センサでは、それらの多種多様な印刷媒体の具体的な小分類までは判別することができず、多種多様な印刷媒体を大別したいくつかの大分類、例えば4種類程度の大分類までしか判別することができない。
また、光学式センサが印刷媒体の大分類を誤判別することも時としてあり得ることであり、誤判別が発生した場合、ユーザーの混乱を招き、印刷媒体種類判別用光学式センサ141を設けたことによって、却ってプリンタの利便性を損なう可能性もある。
さらに、ユーザーが誤って印刷媒体の表裏を逆にしてプリンタにセットすることはしばしばあり、そのような場合、印刷媒体の裏面の材質に基づいて判別が行われることとなるので、光学式センサが正確な判別を行ったとしても、ユーザーの混乱を招いたり、表裏が逆の状態のままで印刷が実行されて印刷媒体を無駄に消費してしまう可能性が高く、これまでの通常のプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法では、判別結果を有効に活用することが困難であった。
即ち、光学式センサを用いて印刷媒体の大分類を判別することは可能であるものの、光学式センサを印刷媒体種類判別装置として使用することによってプリンタの利便性を向上させるような有効な活用方法を実現できているプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法は、これまでのところ、存在していないのが現状である。
従って、現状では、印刷媒体種類判別装置としての用途においては、光学式センサはあまり普及していない。
そこで、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法は、印刷に使用しようとする印刷媒体の種類を光学式センサを利用して判別し特定することにより、プリンタの利便性を向上させるべく、多種多様な印刷媒体の中から印刷媒体種類判別用光学式センサによる走査結果に基づき判別された印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示して、正確な印刷媒体の種類を選択させて特定することにより、印刷媒体の正確な種類に最適な印刷条件設定により印刷を実行して、当該印刷媒体において実現し得る最高の印刷画質を提供することを可能とする。
さらに、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法は、印刷媒体種類判別用光学式センサによる判別結果に基づき優先的に提示した印刷媒体の大分類に属する小分類のなかから印刷媒体の種類が選択されなかった場合には、印刷媒体の表裏が正確にセットされているか否かの確認を行うことにより、印刷媒体の無駄を未然に防止することをも可能とする。
本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法において前提とされるプリンタのハードウェア構成は、図10及び図11を参照して説明した通りの構成であり、少なくとも印刷媒体種類判別用光学式センサ141が備えられていることが必要とされる。尚、印刷媒体種類判別用光学式センサ141を駆動する光センサドライバ163は、制御部としてのシステムコントローラ54にその機能を兼備させることができれば、別個に備えられていなくてもよい。
また、本発明に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においては、種々の情報を表示する表示装置がプリンタに備えられていること、又は、斯かる表示装置を備えているホストコンピュータがプリンタに接続されていることが前提とされる。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタの動作、即ち、本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ制御方法の手順を示すフローチャートである。また、図13は、本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の動作及び手順において提示される印刷媒体の種類の選択肢の表示例を示す説明図である。
本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においては、プリンタの電源投入動作又は印刷実行指令動作に応じて、先ず、印刷媒体種類判別指令が行われる(ステップS1)。
印刷媒体種類判別指令が行われると、それに応じて印刷媒体種類判別用光学式センサ141は、プリンタの給紙トレイに装填された印刷媒体に照射光を照射して、印刷媒体の有無、即ち、印刷媒体が給紙トレイに装填されているか否かを確認する(ステップS2)。ここで、印刷媒体の存在が検出されず、印刷媒体が給紙トレイに装填されていないことが判明した場合には、紙なしエラーを表示することを指令して(ステップS6)、動作を終了する。
一方、印刷媒体の存在が検出されて、印刷媒体が給紙トレイに装填されていることが確認された場合は、印刷媒体表面において反射された反射光の強度に反映される印刷媒体表面の状態、即ち、印刷媒体表面の材質を検出することにより、印刷媒体の大分類を判別する印刷媒体種類判別処理を行う(ステップS3)。ここで判別される印刷媒体の大分類は、例えば、複数の小分類を含む光沢紙と、複数の小分類を含むマット紙(非光沢紙)と、普通紙と、OHPシートとの4種類であるものとする。
印刷媒体の大分類を判別する印刷媒体種類判別処理を行った後、図13の表示例201に示すように、判別した種類の印刷媒体(メディア)の大分類に属する小分類を優先的に提示して選択を指示する表示を行うことを指令する(ステップS4)。
図13は、印刷媒体の大分類が光沢紙と判別された場合の表示例201を示している。尚、ここでは、光沢紙の小分類として、写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)、普通光沢紙の3種類があり、マット紙(非光沢紙)の小分類として、写真用マット紙、上質マット紙の2種類があり、普通紙及びOHPシートはそれぞれ1種類のみであるものとする。
選択肢の表示形態としては、例えば、表示例201において選択肢表示ボタン211をクリックすると、図13に示すように、総ての選択肢が表示されるようにしてもよいし、選択肢表示ボタン211を設けずに最初から総ての選択肢が表示されるようにしてもよい。
但し、本発明においては、必ず、判別した種類の印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示するようにする。
図13の表示例201では、印刷媒体の大分類が光沢紙と判別された場合を想定しているので、光沢紙の大分類に属する小分類としての写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)、普通光沢紙の3種類が優先的に、即ち、上位の選択肢として提示されている。このように、判別した種類の印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示することとしたのは、通常のユーザーは上位に提示されている選択肢を選択する傾向があるからである。
従って、判別した種類の印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示するだけではなく、当該大分類に属する複数の小分類を、価格の高価な順に提示するようにしてもよい。その理由は、ユーザーが印刷媒体の小分類を誤って選択することを想定して、より高価な印刷媒体の小分類が選択される確率を高くするためである。即ち、印刷は、選択された印刷媒体の小分類に応じた印刷条件設定によって実行されるため、印刷媒体の小分類が誤って選択されたとしても、より高価な印刷媒体の小分類が選択される確率を高くしておけば、誤った印刷条件設定によって高価な印刷媒体が無駄に消費される確率を低減することができるからである。
また、代替案として、同様の理由により、判別した種類の印刷媒体の大分類に属する複数の小分類を、当該プリンタにおいて使用頻度の高い順に提示するようにしてもよい。但し、この場合は、当該プリンタにおける印刷媒体の使用履歴を常に記録し更新しておく必要がある。そのために、プリンタには、印刷媒体の使用履歴を記録し更新する不揮発性メモリが備えられているものとするとよい。メインメモリ56が不揮発性メモリである場合は、これを使用することができる。
尚、図13の表示例201では、判別した種類の印刷媒体の大分類以外の大分類に属する小分類も総て表示する形態を示しているが、後述する第2の実施の形態のように、それらの小分類は「その他」として表示しておいて、「その他」が選択された場合にのみ、総ての小分類を表示するようにしてもよい。
上述のように提示した印刷媒体の小分類の中からいずれかの小分類が選択されたら、選択された印刷媒体の小分類に応じた印刷条件設定により印刷を実行する(ステップS5)。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においては、印刷媒体種類判別用光学式センサにより判別された印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示して、正確な印刷媒体の小分類を選択させて特定することにより、印刷媒体の正確な小分類に最適な印刷条件設定により印刷を実行して、当該印刷媒体において実現し得る最高の印刷画質を提供することができ、プリンタの利便性を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法について説明する。
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタの動作、即ち、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御方法の手順を示すフローチャートである。また、図15は、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の動作及び手順において提示される印刷媒体の種類の選択肢の表示例を示す説明図、図16は、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の動作及び手順において提示される印刷媒体の表裏確認の表示例を示す説明図、図17は、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法の動作及び手順において提示される印刷媒体の表裏再セット指示の表示例を示す説明図である。
本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法は、印刷媒体種類判別用光学式センサによる判別結果に基づき優先的に提示した印刷媒体の大分類に属する小分類のなかから印刷媒体の種類が選択されなかった場合に、印刷媒体の表裏が正確にセットされているか否かの確認を行う動作及び手順を追加したものであり、第1の実施の形態における動作及び手順のステップS4をさらに具体化したものである。従って、その前後のステップS1乃至S3及びS5,S6は第1の実施の形態と同様であるので、それらの動作及び手順についての説明は省略する。
ステップS3において印刷媒体の大分類を判別する印刷媒体種類判別処理を行った後、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においては、図15の表示例202に示すように、判別した種類の印刷媒体(メディア)の大分類に属する小分類を優先的に提示して選択を指示する表示を行うことを指令する(ステップS41)。
第1の実施の形態における図13の表示例201では、判別した種類の印刷媒体の大分類以外の大分類に属する小分類も総て表示する形態としていたのに対し、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法における図15の表示例202では、判別した種類の印刷媒体の大分類以外の大分類に属する小分類は具体的に表示せず、「その他」として表示する形態を示している。
選択肢の表示形態としては、例えば、表示例202において選択肢表示ボタン212をクリックすると、図15に示すように、「その他」を含む各選択肢が表示されるようにしてもよいし、選択肢表示ボタン212を設けずに最初から「その他」を含む各選択肢が表示されるようにしてもよい。
尚、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においても、第1の実施の形態と同様に、図13の表示例201を表示することとしてもよい。
判別した種類の印刷媒体の大分類に属する小分類を優先的に提示して選択を指示する表示を、表示例202又は201の形態により行うことを指令した後、いずれかの印刷媒体の小分類が選択されたら、優先的に提示、即ち、表示した印刷媒体の小分類の中から印刷媒体の種類が選択されたか否かを識別する(ステップS42)。
この識別は、判別した種類の印刷媒体の大分類に属するものとして優先的に提示した小分類のいずれかが選択されたか否か、ここでは、判別されたと想定している印刷媒体の光沢紙の大分類に属する小分類としての写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)、普通光沢紙の3種類のいずれかが選択されたか否かを識別することにより行う。
識別の結果、判別した種類の印刷媒体の大分類に属するものとして優先的に提示した小分類以外のものが選択された場合には、印刷媒体の表裏が誤って逆にセットされている可能性を考慮して、印刷媒体の表裏確認を指示する(ステップS43、S44)。具体的には、図16に示す、印刷媒体(メディア)の表裏確認を指示する表示例203を提示することを指令する。
そして、図16の表示例の「はい(Y)」ボタンがクリックされて、印刷媒体の表裏が正しくセットされていることが確認された場合は、判別した種類の印刷媒体の大分類以外の大分類に属する小分類も総て表示する図13の表示例201を表示して印刷媒体の小分類を選択することを指示し(ステップS45)、いずれかの小分類が選択されたら、選択された印刷媒体の小分類に応じた印刷条件設定により印刷を実行すべく、図12のステップS5へ進む。
尚、前述のステップS41において図13の表示例201を表示した場合には、上記ステップS45は省略し、ステップS41において選択された印刷媒体の小分類に応じた印刷条件設定により印刷を実行すべく、図12のステップS5へ進む。
一方、図16の表示例の「いいえ(N)」ボタンがクリックされて、印刷媒体の表裏が誤ってセットされていることが確認された場合は、図17に示す、印刷媒体(メディア)の表裏の再セットを指示する表示例204を提示することを指令する(ステップS46)。
その後、図17の表示例204の「OK」ボタンがクリックされて、印刷媒体の表裏が正しく再セットされたことが確認されたら(ステップS47)、表裏が正しくセットされた状態で印刷媒体の大分類を判別する印刷媒体種類判別処理を再度行うべく、図12のステップS3へ進む。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法においては、印刷媒体種類判別用光学式センサによる判別結果に基づき優先的に提示した印刷媒体の大分類に属する小分類のなかから印刷媒体の種類が選択されなかった場合に、印刷媒体の表裏が正確にセットされているか否かの確認を行うこととしたので、印刷媒体の表裏が誤ってセットされたまま印刷を実行することによる印刷媒体の無駄を未然に防止することができる。
尚、本発明の各実施の形態に係るプリンタ制御装置及びプリンタ並びにプリンタ制御方法は、主としてインクジェットプリンタに適用されるものとして説明したが、インクジェットプリンタに限らず、複数種類の印刷媒体が使用される可能性のある総ての種類のプリンタに適用することができる。