JP4541126B2 - ピルビン酸アミド類 - Google Patents
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Description
しかしながら、ラウリルメタクリレートは、アミン類及びメルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が弱く、また、ベンズアルデヒド、シトラール等は、アミン類の臭気については比較的効率よく消臭できるが、メルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が十分でない。
しかしながら、ピルビン酸エステルやα−ジケトン化合物は、アミン類、メルカプタン類及びピリジン類に対する消臭効果はあるものの、ピルビン酸エステルは水溶液中での安定性が悪く、また、ピルビン酸エステル、α−ジケトン化合物はそれ自体が強い匂いを有しており、消臭剤として使用することには支障があった。
そこで、安定性が高く、消臭剤自体の匂いが無く、アミン類、メルカプタン類及びピリジン類等の臭気を効率よく除去することができる消臭剤が望まれていた。
また、このピルビン酸アミド類は、特定の工程により、効率的に製造し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
〔1〕一般式(1)
前記アルキル基としては、炭素数1〜20ものが好ましく、炭素数2〜18ものがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
また、R1とR2とが互いに結合して、Nをヘテロ原子とする環構造を有する基としては、例えば1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基等が挙げられる。
R1及びR2としては、ピルビン酸アミド類の水への溶解性の点から、それらのうちのいずれかが水素原子であるものが好ましい。
本発明の方法においては、まず酸性条件下で、ピルビン酸低級アルキルエステルにアルコール類を反応させ、該ピルビン酸低級アルキルエステルの2位のカルボニル基をアセタール化する。この反応式を次に示す。
前記アセタール化反応は、酸性条件下で行われ、酸としては、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素エーテル錯体等が用いられる。これらの酸は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では三フッ化ホウ素エーテル錯体が好ましい。その使用量は、ピルビン酸低級アルキルエステル(3)1モルに対して、1〜3モルが好ましく、1〜2モルが好ましい。
この反応は、エーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒中で行うこともできるが、無溶媒で行うことが好ましい。反応温度は、通常−10〜30℃であり、0〜25℃が好ましい。反応時間は、反応温度などの条件によっても異なるが、通常30分〜2時間程度が好ましい。反応の終点は、例えばガスクロマトグラフィーにより確認することができる。
このようにして、ピルビン酸低級アルキルエステルのアセタール化体(5)を得ることができる。
アミン類(2)の具体例とは、エチルアミン、エタノールアミン、プロピルアミン、プロパノールアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリルアミン、オレイルアミン、シクロペンテニルアミン、シクロヘキセニルアミン等が挙げられる。
この反応に用いるアミン類(2)の量は、ピルビン酸低級アルキルエステルのアセタール化体(5)1モルに対して、1〜3モルが好ましく、1.5〜2.5モルがより好ましい。
反応温度は、用いる溶媒によっても異なるが、通常10〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。反応時間は、反応温度などの条件によっても異なるが、通常6〜24時間程度が好ましい。反応の終点は、例えばガスクロマトグラフィーにより確認することができる。
このようにして、酸アミド体であるピルビン酸アミド類のアセタール化体(6)を得ることができる。
使用する触媒の量は、ピルビン酸アミド類のアセタール化体(6)100質量部に対して、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。
溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類を用いることができるが、エタノールがより好ましい。溶媒量としては、ピルビン酸アミド類のアセタール化体(6)100質量部に対して100〜2000質量部が好ましく、500〜1000質量部がより好ましい。
反応圧力は、通常大気圧〜1MPaで行われ、0.3〜0.6MPaで行うことが好ましい。反応温度は、用いる溶媒によっても異なるが、通常10〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。反応時間は、反応温度などの条件によっても異なるが、通常6〜24時間程度が好ましい。反応の終点は、例えばガスクロマトグラフィーにより確認することができる。
このようにして、目的の一般式(1)で表されるピルビン酸アミド類を製造することができる。
本発明の消臭剤は、一般式(1)で表されるピルビン酸アミド類を含むものである。前記ピルビン酸アミド類の含有量は、消臭するアミン類、メルカプタン類及びピリジン類等の濃度によって異なるが、消臭剤として使用する製品に対して0.001質量%以上含有されていればよく、好ましくは0.01〜100.0質量%の範囲で含有させる。
本発明の消臭剤には、前記ピルビン酸アミド類と共に、他の消臭剤を含むことができる。さらに、通常の消臭剤に添加される、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、香料、界面活性剤、色素、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させることもできる。また、消臭剤の形態は、使用目的に応じて液状、粉状、ゲル状、粒状等とすることができる。
本発明の消臭剤の使用法については、特に制限はない。例えば台所周りに発生する生ごみ臭、トイレの悪臭に対しては、種々の芳香剤中に香料と共に混合する方法、又はエアゾール製品中に配合する方法等により使用することができる。また、本発明の消臭剤は、冷蔵庫内の悪臭の他、下水処理場、塵芥処理場、家畜舎等の悪臭の消臭に利用することができる。
実施例1〔N−2−ヒドロキシエチルピルビン酸アミド(1−a)の製造〕
この製造における反応式を次に示す。
1Lの四つ口フラスコに、得られたベンジルアセタール体(5−a)87.66g(0.279mol)、エタノール(143mL)、モノエタノールアミン(2−a)34.08g(0.558mol)を加え、室温で5分間攪拌を行った。20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液18.97g(0.056mol)を5分間かけて滴下し、その後24時間室温で攪拌を行った。イオン交換水(500mL)とヘキサン(100mL)を加え、上層をpH6.86の緩衝液で水層が中性になるまで洗浄を行った。上層の有機溶媒を減圧除去し、褐色油状物のアミド体(6−a)78.49g(純度94.9%)を得た。
1Lの水素添加用フラスコに、アミド体(6−a)78.49g、4.5%Pd−0.5%Pt/C14.88g、エタノール(750mL)を加え水素雰囲気(0.45MPa)下、室温で8時間攪拌を行った。イオン交換水(50mL)を添加し、触媒をろ過した。溶媒を減圧除去し、得られた無色透明油状物に対して、イオン交換水(100mL)、酢酸エチル(100mL)を加え分層を行い、下層の水を減圧除去し、N−2−ヒドロキシエチルピルビン酸アミド(1−a)を、無色透明油状物として3.86g(純度94.5%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)
7.40(1H, brs, >NH) ,3.78(2H, t, J=6.0Hz, -NH-CH 2-CH2), 3.48(2H, t, J=6.0Hz, -CH2-CH 2-OH), 2.25(1H, brs, -OH)
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)
196.4(CH3-C=O), 160.6(-NH-C=O), 61.2(-CH2-OH), 42.1(-NH-CH2), 24.5(CH3-C=O)
IR(KBr)(cm-1)
3403, 2941, 2885, 2528, 2312, 1724, 1668, 1535, 1460, 1414, 1360, 1265, 1219, 1178, 1128, 1068, 1057, 1018, 966, 939, 903, 872, 804, 771, 700,606, 536, 513, 486, 407
また、1H−NMR測定チャートを図1に、13C−NMR測定チャートを図2に、IR測定チャートを図3に示す。
この製造における反応式を次に示す。
500mLの四つ口フラスコに、得られたベンジルアセタール体(5−a)67.00g(0.192mol)、エタノール(96mL)、ラウリルアミン(2−b)39.24g(0.212mol)を加え、室温で5分間攪拌を行った。20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液39.30g(0.114mol)を5分間かけて滴下し、その後85時間室温で攪拌を行った。イオン交換水(500mL)とヘキサン(100mL)を加え、上層をpH6.86の緩衝液で水層が中性になるまで洗浄を行った。上層の有機溶媒を減圧除去し、褐色油状の粗生成物を74.10g得た。ヘキサン溶媒を用いた再結晶により白色結晶物のアミド体(6−b)を39.30g(純度100.0%)を得た。
500mLの水素添加用フラスコにアミド体(6−b)24.00g(0.053mol)、4.5%Pd−0.5%Pt/C 3.49g、エタノール(176mL)を加え水素雰囲気(0.19MPa)下、室温で36.5時間攪拌を行った。イオン交換水(50mL)を添加し、触媒をろ過した。溶媒を減圧除去し、得られた白色結晶物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=容量比4:1)で精製を行い、N−ラウリルピルビン酸アミド(1−b)を9.61g得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)
6.92(1H, brs, >NH) ,3.27(2H, q, J=6.6Hz, -NH-CH 2-CH2), 2.47(3H, s, CH 3-C=O), 1.53(2H, quint., -NH-CH2-CH 2-), 1.22-1.34(18H, m, -NH-CH2-CH2-(C9 H 18)-CH3), 0.88(3H, t, J=7.2Hz, CH 3-C=O)
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)
197.3(CH3-C=O), 160.2(-NH-C=O), 39.8(-NH-CH2-), 32.3, 30.0, 30.0, 29.9, 29.9, 29.9, 29.7, 29.6, 27.3, 24.9(CH3-C=O), 23.1, 14.6(-CH2-CH3)
IR(NaCl)(cm-1)
3336, 2954, 2920, 2850, 1724, 1660, 1523, 1468, 1406, 1360, 1296, 1273, 1255, 1230, 1200, 1173, 1055, 1012, 968, 889, 868, 760, 723, 650, 617, 505, 455, 420
また、1H−NMR測定チャートを図4に、13C−NMR測定チャートを図5に、IR測定チャートを図6に示す。
実施例1で製造したN−2−ヒドロキシエチルピルビン酸アミド(1−a)2gを水38gに溶解させて、消臭剤1を調製した。
実施例4
実施例2で製造したN−ラウリルピルビン酸アミド(1−b)2gを水38gに溶解させて、消臭剤2を調製した。
長さ7cm、幅0.5cmのろ紙に、実施例3及び4で得られた消臭剤1及び2を別々に250mg含浸させ、続いて同じろ紙に1%アンモニア水溶液50mgを添加した。3L容のビーカーにろ紙を立て、ラップを掛けて20分間放置した後、ビーカーに充満した臭いの官能評価を行った。
なお、ブランク1として、消臭剤を含浸させないろ紙を用い、ブランク2として、消臭剤の代わりに水250mgを含浸させたろ紙を用い、ブランク3として消臭剤の代わりにエタノール259mgを含浸させたろ紙を用いて、同様の試験を行った。
官能評価は、放置する前の初期のアンモニア臭気を3とし、アンモニア臭気を全く感じない場合を0として、0〜3の4段階で行った。官能評価はパネラー5人により行い、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
1%アンモニア水溶液50mgの代わりに、0.0002%のメチルメルカプタンのプロピレングリコール溶液150mgを用いた他は、試験例1と同様にして官能評価を行った。結果を表2に示す。
1%アンモニア水溶液50mgの代わりに、0.05%のピリジン水溶液20mgを用いた他は、試験例1と同様にして官能評価を行った。結果を表3に示す。
表1〜3で示された結果より、実施例3及び4の消臭剤1及び2は、アミン類、メルカプタン類及びピリジンの全てに対して消臭効果を有するものであることが分かる。
ピルビン酸エチル0.1g、エタノール0.1g、イオン交換水99.8gを混合した水溶液をサンプル1とし、N−2−ヒドロキシエチルピルビン酸アミド0.1g、イオン交換水99.9gを混合した水溶液をサンプル2とし、25℃でそれぞれ攪拌を行い、経時でガスクロマトグラフィーにより、ピルビン酸エチル及びN−2−ヒドロキシエチルピルビン酸アミドの残存率を求めた。結果を表4に示す。
Claims (3)
- 請求項1又は2に記載のピルビン酸アミド類を含有する消臭剤。
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