JP4537333B2 - 放射線測定装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は放射線測定装置に関し、特にシンチレータ部材を備えた放射線測定装置における電磁シールド技術に関する。
シンチレータ部材は、表面汚染測定器、体表面モニタなどの様々な放射線測定装置に用いられている。シンチレータ部材に放射線が入射すると、そこで生じた光が光電子増倍管(PMT)の受光面に導かれる。シンチレータ部材で生じた光を高感度で検出するために、シンチレータ部材の背面側には外部光を遮断する遮光構造(暗室)が設けられ、シンチレータ部材の前面側にも遮光構造が設けられる。
シンチレータ部材の前面(放射線入射面)側における遮光に際しては、そこを放射線が通過するために、そこでの放射線の減弱が問題となる。特に、α線や低エネルギーβ線は空気中の飛程が小さく、シンチレータ部材の前面側に、ある程度の厚みをもった遮光膜を形成すると、そこにおける放射線の遮断、減弱が無視できなくなって、測定感度が大きく低下する。よって、シンチレータ部材の前面側には極めて薄い遮光膜しか設けることができない。しかし、そのような薄い遮光膜は物理的な強度が非常に低く、腐食にも弱い。遮光膜が傷ついたりピンポールが形成されたりすると、そこから光が内部へ入射してしまい、シンチレータ部材で生じた微弱発光を検出することができなくなる。
そこで、下記の特許文献1及び特許文献5に記載されているように、シンチレータ部材の前面側に互いに離間して複数の薄い遮光膜を設けることが考えられる。各遮光膜は樹脂フィルムとその両面に形成された遮光層とで構成される。仮に、最も外側の遮光膜の表面に形成された遮光層が傷ついても、その裏面に形成された遮光膜によって光が遮断される。仮に外的作用が大きく、外側に設けられた遮光膜の全体が傷ついても、それに対して離間して配置された次の遮光膜によって光の遮断を確保できる。最も外側の遮光膜の前面側には、必要に応じて、格子状の保護部材が設けられるが、いずれかの開口を介して異物が進入する可能性もある。保護部材における開口面積を小さくして物理的保護を強化すれば、放射線の検出感度が低下してしまう。
遮光膜を放射線測定装置に取り付ける場合には、皺が生じないように全体を均等に引っ張りつつ、その配置を行う必要がある。その作業には熟練を要し、また非常に手間がかかる。更に、配置作業中に必要以上に力を加えると、遮光膜が簡単に破れてしまうという問題もある。従来においては、一般に、放射線測定装置に対して複数の遮光膜が取り付けられるため、上記問題は非常に顕著なものとなっている。
下記の特許文献2にはシンチレータ部材を用いた放射線測定器の一例が示されている。下記の特許文献3には、大面積の薄型シンチレータ板に対して遮光膜を貼り付けることが記載されている(第0041段落など)。しかし、遮光膜の詳細については記載されておらず、また、遮光膜の取付方法についても記載されていない。特に、β線検出においては極めて薄い遮光膜を配置する必要があるが、そのような薄膜特有の取り扱いについては記載されていない。
下記の特許文献4には、プラスチックシンチレータの表面上に遮光膜を設けることが記載されている。遮光膜は、薄膜状のプラスチックフィルムと、その裏面又は表面に形成された薄膜状の蒸着層と、を有する。しかし、プラスチックシンチレータに薄膜状の遮光膜をどのように設けるのかについては記載されていない。下記の特許文献6には、シンチレータ層と遮光層とを密着させることが記載されている。但し、遮光層は着脱可能であり、シンチレータ層に接着されているものではない。
特開2001−141831号公報 特開平7−35869号公報 特開平8−248139号公報 実願昭60−108278号(実開昭62−16486号)のマイクロフィルム 特開平3−231187号公報 特開平5−297145号公報
放射線測定装置においては、ノイズを低減して高精度の測定を行うために電磁シールドを施すことが望まれる。当該装置に設けられるシンチレータ部材が存在する領域についてもそのような電磁シールドを施すことが望まれる。
本発明の目的は、放射線測定装置において十分な電磁シールドを施すことにある。
本発明の他の目的は、シンチレータ部材における導電性の遮光層を電磁シールドに活用できるようにすることにある。
(1)シンチレータ部材の説明
好適な実施形態に係るシンチレータ部材は、放射線の入射により発光を生じるシンチレータと、前記シンチレータにおける放射線入射面としての表面に形成された少なくとも1つの皮膜と、を含み、前記皮膜は、放射線を透過させる保護層と、前記保護層の裏面側に設けられ、放射線を透過させ且つ光の透過を阻止する遮光層と、前記遮光層の裏面側に設けられ、当該皮膜を前記シンチレータに貼り付けるための接着層と、を有し、前記皮膜は、転写シートから前記シンチレータの表面上へ転写された剥離膜である。
上記構成によれば、転写技術を用いて、シンチレータの放射線入射面に直接的に(つまり、空気層を介在させずに)少なくとも1つの皮膜が形成される。皮膜は、保護層、遮光膜及び接着層を有する。遮光層は望ましくはアルミニウムを含有する薄い層として形成され、それは外部から進入する放射線を透過させ且つ外部からの光の進入を遮断する。遮光層は、放射線をできるだけ減弱させずに且つ遮光性を発揮できる程度の厚さに形成される。保護層は、放射線を透過させ、同時に遮光膜を外部作用から保護する材料で構成される。保護層は、一般に、塗布(印刷)により均一の厚みで形成されて硬化した塗膜として構成される。保護層は、放射線をできるだけ減弱させず且つ保護機能を発揮できる程度の厚さに形成される。但し、遮光層の厚み及び保護層の厚みは、シンチレータ上に形成する皮膜数を考慮して決定するのが望ましい。あるいは、皮膜における遮光層の厚み及び保護層の厚みを考慮して、シンチレータ上に形成する皮膜数を決定するのが望ましい。接着層は皮膜をシンチレータに貼り付ける部材として機能する。保護層、遮光層、接着層のいずれについても、その厚みが全体的に均一であるのが望ましい。皮膜が、保護層と遮光層との間に設けられた中間層、遮光層と接着層との間に設けられた別の中間層、その他の層を有するように構成してもよい。シンチレータの表面にそのまま皮膜を形成してもよいし、シンチレータの表面にコーティング層等を形成した上で、その表面に皮膜を形成するようにしてもよい。
遮光層から見てシンチレータが背面支持基板として機能するため、また、遮光層が保護層とシンチレータとでサンドイッチ状態で挟まれるため、遮光層は物理的作用から効果的に保護される。例えば、皮膜へ局所的な外力が加わっても、その外力は保護層で分散され、またシンチレータで分散されるので、遮光層へ及ぼうとする局所応力を回避、緩和できる。また、保護層それ自体についても、シンチレータが背面支持基板として機能するので、保護層の強度を向上できる。また、接着を利用するため、大掛かりで特殊な装置を必要とせずに、皮膜形成を簡便に行える。皮膜形成に当たって転写技術を利用すれば、例えば、既に形成されているアルミニウム蒸着層を転写するだけでよいので、シンチレータ全体を高温下で長い時間処理する必要はない。また、既に均一に形成されている遮光膜をそのまま利用できるので厚みの不均一性の問題も回避できる。なお、熱転写方式を利用する場合には、シンチレータへの熱伝導が生じるが、その場合でも比較的低温で処理を行うことができ、また、熱転写部位のみを短時間だけ加熱すればよいので、加熱による影響はほとんど問題とならない。感圧方式を利用する場合には加熱による問題を回避できる。
望ましくは、前記転写シートは熱転写シートであり、前記皮膜は熱転写法によって形成される。望ましくは、前記転写シートは感圧転写シートであり、前記皮膜は感圧転写法によって形成される。
転写方式を利用すれば、ある程度の厚みをもったベースフィルム上に薄膜状の皮膜を形成しておいて、そのベースフィルムから皮膜を剥離してそれをシンチレータに接着することができる。つまり、転写前の状態において、皮膜はベースフィルムと一体化されているので物理的に強化された状態にあり、転写後の状態において、皮膜はシンチレータと一体化されるので物理的に強化された状態にある。また、転写という簡便な方法によって、シンチレータの表面に皮膜を形成できるので、従来の手張り法による場合に比べて、作業性を飛躍的に向上できる。また、ベースフィルム上への所定材料の塗布によって均一な厚みをもった保護層を容易に形成でき、その厚みのコントロールも容易である。保護層が塗布されて、それが硬化した後に、保護層の上に蒸着処理によって遮光層を均一な厚みで形成することも容易である。
望ましくは、前記遮光層はアルミニウムを含有する蒸着層である。望ましくは、前記保護層は遮光性をもった着色層である。着色層であれば保護層それ自体が遮光性を有することになるので、皮膜全体としての遮光性能をより向上できる。望ましくは、前記シンチレータの表面に複数の皮膜が積層され、前記各皮膜が前記保護層、前記遮光層及び前記接着層を有する。望ましくは、前記放射線はα線や低エネルギーのβ線である。上記の皮膜はX線、γ線の検出においてもその機能を発揮するが、特に、空気中でさえ減弱し易いα線や低エネルギーのβ線を検出する場合において有効なものである。望ましくは、前記接着層には、前記皮膜の裏面から入射する光を反射する反射材が混入される。反射材は望ましくは白色を呈し、典型的には、乱反射作用も有する。
以下に説明する本発明に係る放射線測定装置の製造方法は導通手段(導通構造)の利用を特徴事項として含むものである。
(2)本発明に係る放射線測定装置の製造方法の説明
本発明は、シンチレータ部材と、前記シンチレータ部材を備えた導電性の容器と、前記シンチレータ部材の裏面側から出た光を検出する光検出器と、を備えた放射線測定装置の製造方法において、前記シンチレータ部材は、放射線の入射により発光を生じるシンチレータと、前記シンチレータにおける放射線入射面としての表面に形成された少なくとも1つの皮膜と、を含み、前記皮膜は、放射線を透過させる保護層と、前記保護層における放射線入射側とは反対の裏面側に設けられ、放射線を透過させ且つ光の透過を阻止する導電性の遮光層と、を有し、当該製造方法は、転写シートから前記シンチレータの表面上へ剥離膜としての前記皮膜を転写する転写工程を含み、前記シンチレータ部材を製造する第1工程と、前記導電性の容器と前記導電性の遮光層とを導通手段を用いて電気的に接続する接続工程を含み、前記第1工程で製造された前記シンチレータ部材を用いて前記放射線測定装置を製造する第2工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、第1工程においてシンチレータ部材の表面上に導電性の層(遮光層)を有する皮膜が形成され、第2工程において導通手段によって遮光層と容器との間で電気的な接続が図られる。よって、シンチレータ部材にシールド層を形成できるので、電磁ノイズの進入を阻止あるいは軽減できる。光電子増倍管の受光面が臨む容器内部の全体に対して電磁シールドを施せるように構成するのが望ましい。ここで、容器は、支持部材、筐体あるいは暗室構造に相当するものである。必ずしも中空容器である必要はない。なお、遮光層への電気的接続を図る方法としては、導電性部材を保護層に貫通させる方法や遮光層の一部を露出させて面接合を図る方法などを採用するのが望ましいが、これら以外には、遮光層の縁辺を利用して接続する方法、シンチレータ側から導電性部材を到達させる方法、シンチレータそれ自体あるいはその表面に導電性加工を施す方法、保護層を導電性部材で構成する方法、等があげられる。いずれにしても、シンチレータ部材に電磁シールド機能をもたせる方法が採用される。望ましくは、前記皮膜は、熱転写シートから前記シンチレータの表面上へ転写された剥離膜である。
望ましくは、前記導通手段は、前記容器の一部から前記保護層を貫通して前記遮光層まで達する少なくとも1つの導電性要素を有する。この構成によれば、容器の一部(同体あるいは別体の一部)が保護層の表面から貫通して遮光層まで達し、これによって導通が図られる。導電性要素の高さは、保護層の厚み以上に設定するのが望ましく、導電性要素がシンチレータの表面あるいは内部まで達するようにしてもよい。これによれば遮光層を導電性要素が貫通することになるので確実な導通を図れる。
望ましくは、前記導電性要素は前記保護層を突き抜ける突起形状を有する。この構成によれば、シンチレータ部材の表面の全体に皮膜を形成した後に、その皮膜に対して導電性要素を突き刺すことによって、容易に導通を図れる。複数の導電性要素を設けるのが望ましい。
望ましくは、前記導通手段は、前記シンチレータ部材において前記遮光層が部分的に露出することによって形成された露出部と、前記容器の一部として前記露出部に接合する接合面と、で構成される。この構成によれば、面接合によって導通が図られる。つまり、容器と遮光層とが短絡して同電位となる。面接合を利用しているのでその部分の電気的抵抗を小さくできる利点がある。シンチレータの表面上に複数の被膜を形成する場合には、最上部の被膜において露出部を構成するのが望ましい。そのような場合には保護層あるいは被膜を突き抜ける導電性要素を併せて用いるようにしてもよい。望ましくは、前記露出部は前記シンチレータ部材における周縁部の表面側に形成され、前記接合面は前記容器に形成された開口を取り囲む周縁部の裏面側に形成される。
望ましくは、前記容器は開口を有し、当該開口に前記シンチレータ部材が取り付けられ、前記容器における前記開口の周縁部には、前記開口と前記導通手段との間で遮光を行う遮光構造が形成される。この構成によれば、導電手段の配置あるいは導電構造の採用によって遮光性が低下するような場合でも、遮光構造によって遮光性を増強できる。遮光構造は弾性部材によって気密状態を形成してなるものであってもよい。凹凸の組合せをもった構造であってもよい。
以上説明したように、本発明によれば、放射線測定装置において十分な電磁シールドを施せる。あるいは、シンチレータ部材における導電性の遮光層を電磁シールドに活用できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、実施形態に係るシンチレータ部材10の製造方法が示されている。このシンチレータ部材10は、放射線測定装置において放射線検出器として用いられるものである。シンチレータ部材10はシンチレータプレート16と皮膜14とで構成される。
なお、図1には、シンチレータプレート16の表面(放射線入射面)上に1つの皮膜が形成されているものが示されているが、シンチレータプレート16の表面上に複数の皮膜14を積層形成するようにしてもよい。
シンチレータプレート16はプラスチックシンチレータ材料によって構成される。周知のように、シンチレータプレート16に放射線が入射すると、それによって発光が生じ、生じた光はシンチレータプレート16の裏面側において検出される。放射線としては、X線(γ線)、β線、α線などをあげることができ、本実施形態に係るシンチレータ部材10は特にβ線の検出に好適なものである。図1において、シンチレータ部材10は板状の部材として示されており、このシンチレータ部材10はいわゆる大面積型のシンチレータ検出器を構成する。ただし、シンチレータ部材10の形状は必ずしも平板状である必要はなく、例えば曲面状であってもよいし、棒状であってもよい。転写技術を利用すれば、任意の形態のシンチレータに対して遮光層を容易に形成できる。
皮膜14は放射線を透過させる機能と外部からの光を遮断する機能とを有する。この皮膜14は、本実施形態において、熱転写方式によって、熱転写シート18から剥離された剥離膜である。これについては後に詳述する。皮膜14は、放射線の入射側から見て、保護層24、遮光層26及び接着層28を有している。各層はそれ全体として均一の厚みを有する。
保護層24は透明な材料あるいは着色された材料からなるものであり、遮光層26の表面の全体を覆って遮光層26を物理的な作用から保護する機能を発揮する。保護層は例えばアクリルエポキシ系の材料によって構成され、その厚みは例えば0.5〜3μmの範囲内に設定される。望ましくは保護層24は1.0μmの厚みを有する。保護層24は堅い材料によって薄く均一に形成されており、これによって上述したように遮光層26が物理的な作用から保護されている。保護層24を着色層として構成すれば、例えば黒色あるいは白色の層として構成すれば、それ自体に遮光性を持たせることができる。一般に、遮光層26を構成するアルミニウム材料などに比べて樹脂系の材料の方が放射線の減弱作用が弱いために、遮光層26よりも保護層24の方を厚くするのが望ましい。
保護層24は、後述するベースフィルム上に所定材料を塗布し、それを硬化することによって形成された塗膜(塗布層)である。塗布処理によれば、均一で薄い層を比較的に容易に形成できるという利点がある。
本実施形態では、熱転写前の状態では、皮膜14が後述するベースフィルム20に一体化されてその強度が確保され、熱転写後の状態では皮膜がシンチレータプレート16に一体化されてその強度が確保される。皮膜を単体で存在させる必要がないので、その取扱いが極めて容易である。
遮光層26は、導電性を有する材料で構成され、本実施形態ではアルミニウム材料あるいはそれを含む混合材料によって構成され、その遮光層26は保護層24の裏面側に形成された蒸着層として形成されている。すなわち遮光層26は熱転写シート18の形成段階において蒸着によって形成されたものである。その厚みは、例えば0.01〜1.5μmの範囲内に設定され、望ましくは0.05μmである。熱転写シート18の形成段階において蒸着法以外を用いて遮光層26を形成するようにしてもよい。遮光層26は、測定対象となる放射線を通過させ、その一方において、外来光がシンチレータプレートへ到達することを防止する遮光機能、及び、シンチレータプレート側からの光を反射する反射機能、を有する。なお、蒸着層をアルミニウム材料以外の材料で構成することも可能であるが、導電性を有する材料で構成するのが望ましい。
接着層28は、本実施形態において、熱可塑性接着材によって構成され、例えばオレフィン系の材料(PP系接着材、アクリル系接着材、等)によって構成される。接着層28は、皮膜14をシンチレータプレート16上に接着するためのものである。その厚みは例えば2〜3μm程度である。接着層28を構成する材料としては加熱後に硬化する材料を用いるのが望ましい。もちろん、それ以外にも様々な接着材料を利用することが可能である。但し、あまり接着層28の厚さを厚くするとそこでの放射線の減弱が無視できなくなるため、そのような放射線の減弱を考慮しつつできる限り薄い接着層28を形成するのが望ましい。複数の接着層を形成するようにしてもよい。本実施形態において、接着層28には、白色を呈する酸化チタンの粉末が添加されている。その粉末は、シンチレータプレート16側から進入した光を反射(乱反射)する反射材として機能する。酸化チタンに代えて他の材料を用いることもできる。
なお、シンチレータプレートは例えば0.5〜2.0mmの厚みを有し、その厚みは、検出する放射線などに応じて適宜設定される。例えばシンチレータプレート16の厚みを薄くしてそれに対して皮膜14を形成した後に、シンチレータ部材10を湾曲させて放射線検出器として利用することも可能である。シンチレータプレート16を湾曲させた状態において皮膜14を熱転写によって形成するようにしてもよい。シンチレータプレートそれ自体は通常透明であるが、その表面には、必要に応じて、光の散乱を生じさせる非常に細かい凹凸加工が施される。これは、光検出器側から見て発光部分を広げるためである。
次に、熱転写シート18について詳述する。熱転写シート18は、ベースフィルム20と、そのベースフィルム20に対して離型層22を介して設けられた上記の皮膜14と、を有している。すなわち、熱転写時において、熱転写シート18に対して加熱が行われると、離型層22の作用により、ベースフィルム20から皮膜14が剥がれることになる。それと同時に、皮膜14は上記の接着層28の作用によってシンチレータプレート16上に接着される。ベースフィルム20は、例えばポリエステル樹脂によって構成され、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムによって構成される。その厚みは例えば10〜20μmの範囲内に設定され、望ましくは16μmの厚みを有する。離型層22は例えばワックス系あるいはアクリル系の材料によって構成され、その厚みは例えば0.3〜0.8μmの範囲内に設定され、望ましくは0.5μmである。上記の離型層を有しない熱転写シートを用いることもできる。
図1においては、シンチレータプレート16上に熱転写シート18が重合され、その重合体が搬送されている状態が示されている。重合体に対する局所的な加熱が図示されていない熱転写ローラによって行われた後、ガイドローラ44によってベースフィルム20が巻き取られる。すると、上述したようにベースフィルム20上から皮膜14が剥離して、皮膜14がシンチレータ部材10側に残存することになる。これによって熱転写処理が完成する。
後に説明するように、熱転写処理にあたっては、シンチレータプレート16への熱伝導は局所的になされるため、シンチレータプレート16が熱的な影響によって劣化する問題はほとんど生じない。但し、熱転写後において、シンチレータ部材10の反りを防止するために、熱転写時に、シンチレータプレート16の裏面側に(シンチレータプレート16と後述するベルトコンベアとの間に)薄い平坦な金属板を設けることもできる。その金属板は、例えばアルミニウムによって構成され、熱転写時に、シンチレータプレート16へ加えられた熱を、シンチレータプレート16の裏面側で奪い取る吸熱作用を発揮する。
なお、上記で掲げた各数値は一例であって、諸条件に応じて各種の数値を採用し得る。例えば、遮光層26の厚みを遮光性が十分担保される限りにおいてより薄くしつつ、その一方において保護層24の厚みをより厚くするようにしてもよい。また薄い遮光層26と薄い保護層24とで皮膜14を構成し、そのような皮膜を複数積層することによって、全体として厚い遮光層及び厚い保護層を構成するようにしてもよい。いずれの場合においても、放射線に応じてそれを十分な感度をもって検出できるように、しかも遮光層における物理的な保護が十分に図られるように、各材料の厚みを適宜設定するのが望ましい。
図2には、熱転写装置30が例示されている。シンチレータプレート16はベルトコンベア32上におかれ、図2における矢印方向へのベルトコンベア32の移動に伴ってシンチレータプレート16が搬送される。ベルトコンベア32上には転写ユニットが設けられており、その転写ユニットは供給ローラ38、巻取りローラ40、ヒーター36、熱転写ローラ34、及び、ガイドローラ42,44などによって構成される。
供給ローラ38には熱転写シートが巻き付けられており、その供給ローラ38から供給される熱転写シート18は、ガイドローラ42によって案内され、熱転写ローラ34を経てガイドローラ44によって折り返され、巻取りローラ40によって巻き取られる。熱転写ローラ34はヒーター36によって所定温度に加熱されており、また熱転写ローラ34がその下方を通過するシンチレータプレート16に対して熱転写シート18を押しつける。これによって、熱転写ローラ34の当接部位において、加圧と加熱とが同時に行われる。ベルトコンベア32は一定速度で搬送されており、それと同じ速度で熱転写シート18も搬送される。加熱後においては、熱転写シート18がガイドローラ44によって折り返されるが、その段階においては図1に示したようにガイドローラ44の作用によって熱転写シート18におけるベースフィルム20と皮膜14との分離が達成される。すなわちベースフィルム20から皮膜14が剥がされることになる。
したがって、図2に示すような熱転写装置30を用いれば、様々な形状あるいはサイズをもったシンチレータプレート16に対して簡便かつ迅速に皮膜形成処理を行うことができ、その製造コストを非常に軽減することが可能となる。また様々な場所で皮膜形成を行えるという利点もある。ベルトコンベア32上に複数のシンチレータプレート16を整列させておけば、それらのシンチレータプレート16に対して連続的に熱転写処理を施すことも可能であり、図2に示す構成によれば大量処理を容易に行えるという利点がある。なお、熱転写時における加熱温度は例えば100〜250℃であるが、その温度は熱転写シートやシンチレータ材料などに応じて適宜設定すればよい。加熱部位はシンチレータプレートの搬送方向及び深さ方向の両方向にわたって限定されており、また瞬時的なものであるため、シンチレータ材料に与える熱的な影響をほとんど無視することができる。
図3には、複数の皮膜が積層されたシンチレータ部材100が示されている。シンチレータプレート16上には2つの皮膜14A,14Bが設けられている。各皮膜14A,14Bは、それぞれ放射線入射側から見て保護層24、遮光層26及び接着層28を有する。例えば、図2に示したようなプロセスを2回繰り返せば、図3に示すような2層の皮膜14A,14Bを容易に形成することができる。もちろん3層以上の積層構造を構築することも容易である。
図2に示した熱転写プロセスにおいては、熱転写処理に先立ってシンチレータプレート16の表面上における塵、ゴミ等の異物を十分に除去しておくのが望ましい。すなわち、シンチレータプレート16の表面を清浄状態にしておくのが望ましい。その場合においては、例えばエアブロー、洗浄などの手法を利用することができ、場合によっては、不純物の混入を避けるために、クリーンブースあるいはそれに相当するような部屋を用意し、その内部において熱転写処理を行うようにしてもよい。そのような密閉空間には、エアフィルタを通過したクリーンエアが導入される。エアーブロー装置は、熱転写前の段階で、シンチレータプレート16の表面上にクリーンエアを吹き付けて異物を吹き飛ばすものである。そのような処理によれば異物によるピンホールの発生を効果的に防止できるという利点がある。
上記の熱転写方式に代えて感圧転写方式を利用することもできる。その場合、感圧転写シートが利用される。感圧転写シートは、上記の熱転写シートと同様に、ベースフィルムの上に設けられた皮膜(保護層、蒸着層、接着層)を有する。感圧転写シートにおける接着層は、熱可塑性接着材ではなく、加圧によって接着作用を十分に発揮する接着材で構成される。感圧転写方式の場合には、加圧ローラーによって、感圧転写シートがシンチレータプレートへ押しつけられ、シンチレータプレート上に皮膜(剥離膜)が転写される。この感圧転写方式においても、熱転写方式の場合と同様の利点を得られる。すなわち、転写前の状態においては、皮膜がベースフィルム上に形成されるので、その皮膜を薄く形成することができ、しかも、皮膜が単体で存在している場合に比べて、皮膜を物理的あるいは構造的に保護、強化することができる。転写後の状態においては、皮膜がシンチレータプレートに転写されるため、その皮膜を物理的あるいは構造的に保護、強化することができる。感圧転写方式によれば、熱的歪みの発生を防止できる。熱転写方式によれば、より薄い皮膜の転写を行える。
図4には、上述したシンチレータ部材10を備えた放射線測定装置が分解斜視図として概念的に示されている(但し、後述する特別な導通構造は採用されていない)。シンチレータ部材10の裏面側には例えばアクリル板などによって構成される透明な補強プレート46が設けられ、それらの部材が容器48に対してセットされる。具体的には、枠体50によってそれらの部材が容器48に対して抑え込み固定される。容器48はいわゆる暗室を構成するものであり、容器48の内部空間には、図4に示す例において、2つの光電子増倍管(PMT)52,54の受光面が臨んでいる。
放射線が外部から飛来すると、その放射線がシンチレータ部材10における皮膜を通ってシンチレータプレートに到達し、そこで生じた発光が透明な補強プレート46を通過して容器48の内部空間に到達する。その光が2つの光電子増倍管52,54によって検出されることになる。シンチレータ部材10には物理的な保護が図られた皮膜が形成されているため、その遮光機能によって外部からの光の進入は効果的に防止される。特に、枠体50における開口部を介して何らかの部材がシンチレータ部材10の表面上に接触したとしても、上記の皮膜によって遮光膜すなわち遮光層の保護を図ることができる。すなわち、遮光層は保護層とシンチレータプレートによってサンドイッチ状態で挟まれており、また保護層から見て(同時に遮光層から見て)シンチレータプレートそれ自体が背面支持基板として機能するため、保護層や遮光層に局所的な応力が加わったとしてもそれを背面支持基板によって分散することができ、その結果として皮膜の物理的な強度を向上することが可能である。
図5には、図4に示した放射線測定装置の部分的な断面図が示されている。シンチレータ部材10と補強プレート46からなる重合体は、容器48に取付けられているフレーム60によって支持されている。符号62はパッキンを示しており、そのパッキン62を介して枠体50によってフレーム60側へ上記の重合体を押しつけることにより、パッキン62の作用によって隙間が完全に塞がれ、これによって隙間からの外来光の進入を効果的に防止することができる。パッキン62は重合体の周囲全体を取り囲むような環状の形態を有している。符号64は放射線を表しており、外部から進入する放射線はシンチレータ部材10に到達し、それによって発光が生じる。それによって生じた光が符号66で示されている。符号68は物理的な外的作用を表しており、本実施形態においては、枠体50の開口部を介してそのような作用が働いたとしても、シンチレータ部材10の表面上に皮膜が形成されているため、それに含まれる遮光層としての遮光層は効果的に保護される。
図6には他の放射線測定装置の部分的な断面図が示されている(但し、この装置においても特別な導通構造は採用されていない)。その基本的な構造は図5に示した実施形態と同様である。すなわち、シンチレータ部材10と補強プレート46との重合体が、容器48に取付けられたフレーム60によって支持されている。ただし、図6に示す実施形態においては、従来においても用いられていた遮光膜70が別途設けられている。更に、枠体72における開口部76には外部からの部材進入を極力防止するための格子74が存在している。このような従来方法による保護と本実施形態に係る皮膜による保護とを同時に利用してより堅牢な放射線測定装置が構成されている。ちなみに、符号62及び符号78はパッキンを示しており、部材間における隙間を弾性体によって塞ぐことにより、外来光が容器48内に進入することを効果的に防止できる。
ところで、上述した放射線測定装置において、電磁シールド性能を高めて耐ノイズ性を向上するためにシンチレータ部材に対しても電磁シールド作用を発揮させるのが望ましい。以下においては導電性をもった遮光層と導電性をもった容器とが導通手段によって電気的に接続された実施形態について説明する。
図7に示す放射線測定装置200は、開口207が形成された容器202と、その容器202の内部に存在する空洞202Aの前方側に設けられたシンチレータ部材208と、有している。容器202はそれ全体として導電性をもった金属部材等によって構成されており、容器202は図示されるように、円筒形状をもった円筒部204と、その前面側に設けられた前面板206と、有する。前面板206は、それ全体としてリング状の形態を有しており、その内部が開口207となっている。ここで符号206Aは開口207の周囲を取り囲む周縁を示している。
シンチレータ部材208は、図7に示されるように、前面板206における放射線入射側とは反対側(裏側)に配置されている。シンチレータ部材208は、円板状の形状を有するシンチレータ209と、その上面すなわち放射線入射側に形成された皮膜210と、を有する。皮膜210は、図1に示した実施形態と同様に、保護層212及び遮光層214を有している。更に、皮膜210は接着層等を有しているが、それについては図示省略されている。このことは後に説明する図9及び図10に示す実施形態についても同様である。
保護層212は、本実施形態において樹脂等の非導電性部材によって構成され、一方、遮光層214はアルミニウムなどの導電性材料によって構成されている。皮膜210は、上述したように、熱転写シートから剥離してシンチレータ209の上面上に転写されたものである。遮光層214は、上述したように、外部から入射する放射線(特に低エネルギーβ線)を通過させる作用を有し、また、外来光を遮断し、内部から外部へ出ようとする光を反射する作用を発揮する。
前面板206における内面(内側面)206Bは開口207から見て周縁部に相当するものであり、本実施形態では、その内面206Bから下方に突出した複数の突起220を有する。後に図8を用いて説明するように、複数の突起220はそれぞれ導電性要素であって、それは円周方向に沿って配列されている。各突起220は、前面板206と一体化された部材として構成され、あるいは、前面板206とは別体の部材として構成されるが、いずれにおいても導電性をもった部材である。突起220は、前面板206の下面側にシンチレータ部材208を貼り付けた場合において、保護層212を突き破ってその先端が遮光層214まで達するものである。すなわち、突起220は先鋭な形状を有している。その長さtは少なくとも保護層212の厚みよりも大きく、望ましくは皮膜210の厚みよりも大きい。このような構成によれば、図7に示されるように、突起220は皮膜210を完全に貫通し、その先端がシンチレータ209の表層部に達する。この状態では、前面板206すなわち容器202と、遮光層214との間における電気的な導通を確実に図ることが可能である。すなわち突起220と遮光層214との間における接触面積を増大させることができる。
前面板206の下面側に複数の突起220が設けられており、それらが導通手段として機能するため、容器202と遮光層214は同電位となり、すなわち放射線測定装置200の筐体及びそれを含む全体が電磁シールド状態となる。これにより特に開口207を介して進入する電磁ノイズを遮断することが可能となり、放射線測定装置200の耐ノイズ性を極めて向上できるという利点がある。もちろん、遮光層214における周囲縁は円筒部204における内面に接しているが、その接触面積は極めて小さく、また不安定であるため、上記のような導電手段を積極的に設けることにより、確実な電磁シールドを達成することが可能となる。
また、前面板206の下面側には開口207と複数の突起220との間にリング状の溝216が形成されており、その溝216にはリング状のパッキンが配置されている。このパッキン218はゴム部材などによって構成されるOリングであり、前面板206と皮膜210との接合部分における遮光性を向上させている。すなわち、パッキン218が溝216内において皮膜210の当接により潰れることにより、それらの部材間における気密性が向上されている。遮光構造としては、このようなパッキン218を利用したものには限られず、例えば凹凸構造などを用いるようにしてもよい。
図8には、放射線測定装置200の上面図が示されている。上述したように、開口207は円形の形状を有し、その周囲には、リング状の配列をもって複数の突起220が設けられている。それらの突起220の個数については適宜定めることが可能である。いずれにしても、遮光層と容器との間における電気的な接続を確実に図ることができる限りにおいて、様々な構成を採用することが可能である。
図9には、導電手段を有する他の実施形態が示されている。図9に示す放射線測定装置224においては、容器226が円筒部227と前面板228とで構成され、前面板228の裏側に複数の突起240が設けられている。一方、シンチレータ部材230は、シンチレータ234と、その上面側に設けられた複数の皮膜236,238と、を有する。突起240は2つの皮膜236,238を貫通する長さを有し、その先端はシンチレータ234の表層部まで達している。各皮膜236,238はそれぞれ保護層及び遮光層を有しており、各遮光層は突起240と接触して、容器226と各遮光層との間における導通が図られている。なお、この実施形態においてはシンチレータ234の下面側にそれを支持する基板として透明な支持プレート232が配設されている。導通手段については図示された突起240には限られず、他の手法を利用することが可能である。
図10には、導通手段を有する更に他の実施形態が示されている。図10に示される実施形態において、放射線測定装置242は容器246とシンチレータ部材254とを有する。容器246は円筒部248と前面板250等を有し、前面板250の下面すなわち内面250Bにシンチレータ部材254が貼付けられている。ちなみに、符号250Aは開口252の周囲を取り囲む周縁を表している。
シンチレータ部材254は、シンチレータ部材256と皮膜258とを有しており、皮膜258は保護層260及び遮光層262を有する。上述したように、接着層なども設けられているが、それについては図示省略されている。符号246Aは容器246内部の空洞を表している。
皮膜258において、保護層260はその周縁部が部分的に除去されており、これによって遮光層262における周縁部が露出部262Aとして構成されている。その露出部262Aが前面板250の内面250Bに接合されており、そのような面接合によって容器246と遮光層262との間における電気的な接続がなされている。
露出部262Aは、リング状の形態を有しており、その露出部262Aは、シンチレータ256の上面の全体にわたって皮膜258を熱転写により形成した後に、エッチングその他の手法を利用して保護層260における周縁部を部分的に除去することにより容易に形成することができる。もちろん、他の手法を利用して露出部262Aを構成するようにしてもよい。
図10に示す実施形態によれば、前面板250と遮光層262の直接的な面接合により電気的な接続を図ることができるので、その接続部分における電気的な抵抗を引き下げて、良好な電磁シールド作用を発揮させることが可能となる。図10に示す実施形態においても、シンチレータ256の上面側に複数の皮膜を設けるようにしてもよく、その場合においては最上位の皮膜に対して上述した処理を施せばよい。すなわち、最も放射線入射側に位置する皮膜に上述した露出部を形成し、その露出部に対して前面板250を接合させるようにすればよい。また、図10に示される面接合方式と共に、更に図7に示したような複数の突起を用いて、導通手段を構成するようにしてもよい。このような構成によれば、内部に位置する遮光層に対しても確実に電気的な接続を図れるという利点がある。
ちなみに、各実施形態に係る放射線測定装置においては、シンチレータの裏面側から出た光が1又は複数の光電子増倍管(PMT)にて検出される。ただし、容器はシンチレータ部材を支持する部材であればよく、その内部が空洞である必要はない。例えば、光電子増倍管の受光面に対してシンチレータ及び皮膜を形成し、その皮膜に含まれる遮光層に対して上述したような導通手段を適用して、放射線測定器全体としての電磁シールド性を高めるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、シンチレータ部材における放射線入射側から導電性を確保するためのアプローチを行ったが、例えば、遮光層における周縁に対して特別な加工を施して、その周縁と容器との間における電気的な接続を確保するようにしてもよいし、また、シンチレータ側から導電性を進入させて、その部材によって遮光層と容器との間における電気的な接続を図るようにしてもよい。
なお、上述した各放射線測定装置は、例えば放射線取扱施設の床面や壁面に生じている放射性物質の汚染を検査するための表面汚染計、体表面上における放射性物質の汚染を検査するための体表面モニタなどに利用することができる。本実施形態に係るシンチレータ部材は多様な用途に利用することが可能であり、本願の明細書に記載されているものには限られない。
シンチレータ部材の製造方法を示す概念図である。 熱転写装置の構成を示す斜視図である。 複数の皮膜を有するシンチレータ部材を示す図である。 放射線測定装置の概念図である。 放射線測定装置の部分断面図である。 他の放射線測定装置の部分断面図である。 導電構造を有する放射線測定装置を示す断面図である。 図7に示す装置の上面図である。 複数の被膜が形成されたシンチレータ部材を有する放射線測定装置を示す部分断面図である。 他の導電構造を有する放射線測定装置を示す断面図である。
符号の説明
10 シンチレータ部材、14 皮膜、16 シンチレータプレート、18 熱転写シート、20 ベースフィルム、22 離型層、24 保護層、26 遮光層、28 接着層、202 容器、207 開口、208 シンチレータ部材、210 被膜、218 パッキン(補助的な遮光手段)、220 突起(導電手段)。

Claims (8)

  1. シンチレータ部材と、前記シンチレータ部材を備えた導電性の容器と、前記シンチレータ部材の裏面側から出た光を検出する光検出器と、を備えた放射線測定装置の製造方法において、
    前記シンチレータ部材は、
    放射線の入射により発光を生じるシンチレータと、
    前記シンチレータにおける放射線入射面としての表面に形成された少なくとも1つの皮膜と、
    を含み、
    前記皮膜は、
    放射線を透過させる保護層と、
    前記保護層における放射線入射側とは反対の裏面側に設けられ、放射線を透過させ且つ光の透過を阻止する導電性の遮光層と、
    を有し、
    当該製造方法は、
    転写シートから前記シンチレータの表面上へ剥離膜としての前記皮膜を転写する転写工程を含み、前記シンチレータ部材を製造する第1工程と、
    前記導電性の容器と前記導電性の遮光層とを導通手段を用いて電気的に接続する接続工程を含み、前記第1工程で製造された前記シンチレータ部材を用いて前記放射線測定装置を製造する第2工程と、
    を含むことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  2. 請求項1記載の製造方法において、
    前記転写工程では熱転写法により前記皮膜が転写される、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  3. 請求項1記載の製造方法において、
    前記導通手段は、前記容器の一部から前記保護層を貫通して前記遮光層まで達する少なくとも1つの導電性要素を有
    前記接続工程では前記導電性要素が利用される、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  4. 請求項3記載の製造方法において、
    前記導電性要素は前記保護層を突き抜ける突起形状を有する、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  5. 請求項1記載の製造方法において、
    前記導通手段は、前記シンチレータ部材において前記遮光層が部分的に露出することによって形成された露出部と、前記容器の一部として前記露出部に接合する接合面と、で構成され、
    前記接続工程では、前記露出部と前記接合部とが接続される、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  6. 請求項5記載の製造方法において、
    前記露出部は前記シンチレータ部材における周縁部の表面側に形成され、
    前記接合面は前記容器に形成された開口を取り囲む周縁部の裏面側に形成された、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  7. 請求項1記載の製造方法において、
    前記容器は開口を有し、当該開口に前記シンチレータ部材が取り付けられ、
    前記容器における前記開口の周縁部には、前記開口と前記導通手段との間で遮光を行う遮光構造が形成された、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法
  8. 請求項1記載の製造方法において、
    前記転写工程では前記皮膜を単体で存在させることなく前記皮膜が前記転写シートから前記シンチレータへ転写される、
    ことを特徴とする放射線測定装置の製造方法。
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