JP4536246B2 - 深水生物運搬育成容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、深海などの水圧の高い水域に生息する水生生物(以下、「深水生物」という)を、地上などに引き上げる際の圧力変化による損傷から保護する機構を備えた水生生物運搬・育成容器に関するものであり、深水の動物、植物及び微生物を深海などの深水域で捕獲し、地上などの常圧域に運搬したり、育成する際に利用される。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、水圧の高い海域に生息する生物については、引き上げの際の水圧変化により損傷を受けるため、生物種によっては生きたまま又は損傷無くこれを引き上げることは困難であった。また、生存していても遺伝子の発現系が変化してしまうので、当該生物を採取した状態での飼育又は培養を行うことは困難な場合があった。
【0003】
また、例えば、深海などでの圧力を保持したまま地上に引き上げるには、水圧のかかった海域で対象生物を容器に採取してから蓋をする必要があるが、深海中で複雑な作業や操作はできないので、容易に蓋ができる容器が要望されていた。
更に、その後、地上に引き上げるにともなって容器にかかる外圧が低下するので、容器に内外圧の差が生じ、蓋が容器外方へずれたり、容器自体が体積膨張して容器内容積が増加する。
このように蓋がずれると、リークを生じて高圧力を保持できなくなるのは言うまでもないが、容器内容積が増加した場合であっても、液体の圧力に対する体膨張率は小さく、容器内容積の僅かな変化によっても圧力が減少してしまうので、深海などの高圧力を保持したまま地上に引き上げることは難しい。
【0004】
一方、容器内に海水等の水とガスを封入して、ガスをダンパーとすることも考えられるが、ガスの液体への溶解度は圧力に比例して増加するので、高水圧のかかった海域へガスを持ち込んでもガスとして存在しなくなる可能性が高い。
【0005】
また、かかる容器はその耐圧範囲でしか使用できないので、その範囲を超える水圧域での使用はできない。ところが、深海生物などは圧力が多少変動しても生態系が変化しないことが多く、容器の耐圧範囲以上の圧力域で捕獲した生物であっても、容器の耐圧範囲で圧力を保持したまま引き上げれば、捕獲生物を生存又は生態系を維持して回収(引き上げ)できる可能性がある。
この一方、容器の耐圧範囲を高く設計すれば、同じ材質や肉厚の材料を使用する限り、容器自体を小さくせざるを得ず、常に対象生物の捕獲場所の水圧を保持して回収することは得策ではない。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、深海などの高水圧域に生息する深水生物を採取又は捕獲した後、容易に封止でき、水圧の減少を軽減して損傷を与えずに地上などの常圧域に引き上げ、即ち運搬することができ、しかも飼育や培養などの育成も行うことができる、深水生物運搬育成容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、耐圧容器内にガスを封入した所定の体積可変体を設置すれば、耐圧容器の容積変化が生じても封入ガスの膨張によって圧力低下が緩和され、容器内圧の減少が軽減できること等を知見し、これにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の深水生物運搬育成容器は、深水生物を高水圧域からほぼ常圧域まで損傷を与えることなく運搬するのに用いられる深水生物運搬育成容器であって、
ガスを内包し内外の圧力差によってその体積が変化する体積可変体を、封止可能な耐圧容器に内蔵して成ることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の深水生物運搬育成容器の好適形態は、上記耐圧容器が、開口部と、この耐圧容器内に設置され、この開口部から外部に抜き出せない蓋を備え、この開口部に上記耐圧容器の内側から上記蓋を着座させることにより、上記耐圧容器の封止が行われることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の深水生物運搬育成容器の他の好適形態は、上記蓋を上記開口部の外方に押圧付勢する付勢部材と、上記蓋に連結し上記開口部を介して上記耐圧容器外に延在した係止部材とを備え、この係止部材の係合解除又は係合によって、上記蓋を上記開口部に着脱させることを特徴とする。
【0011】
更にまた、本発明の深水生物運搬育成容器の更に他の好適形態は、上記体積可変体がガス不透過性であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の深水生物運搬育成容器の他の好適形態は、上記耐圧容器に内部が視認できる観察窓を付加して成り、この観察窓の形状が、この耐圧容器内部から外部へ向かって食い込む楔形であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の深水生物運搬育成容器の他の好適形態は、更に、上記耐圧容器内に通水性隔壁を設置し、この通水性隔壁によって、上記体積可変体の存在域と上記深水生物の存在域とが区画されていることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の深水生物運搬育成容器の更に他の好適形態は、上記耐圧容器の内圧が設定内圧より高い場合、その内部圧力を該耐圧容器外に解放する内圧維持機構を付加して成ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の深水生物運搬育成容器の他の好適形態は、上記耐圧容器に連通した吸引手段を付加して成り、この吸引手段により、上記深水生物とともにその生息域の水を上記耐圧容器に収容できることを特徴とする。
【0016】
【作用】
本発明の深水生物運搬育成容器おいては、耐圧容器内に、代表的には常圧下でガスを封入した体積可変体を設置した。そして、本発明では、この生物運搬育成容器を深海などの深水域に沈め、対象とする深水生物を深海水とともに本運搬育成容器内に採取した後、本運搬育成容器を液密に封止して常圧下の海上に引き上げる。
この引き上げに際し、本運搬育成容器の周囲水圧が低減し、耐圧容器の容積が膨張してその内圧が低下するが、上記体積可変体は海中での体積が水圧に反比例して縮小しており、この体積可変体が耐圧容器内圧の低下に応じて膨張するので、耐圧容器内の圧力低下が緩和され、対象深水生物の水圧変動による損傷が回避される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の深水生物運搬育成容器について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の深水生物運搬育成容器は、封止可能な耐圧容器と、ガスを封入され内外の圧力差によってその体積が変化する体積可変体とを備え、この体積可変体を上記耐圧容器内に設置して構成される。
なお、本明細書において、「深水域」とは、淡水、汽水及び塩水の別を問わず、水深200m以上の領域を意味するものとする。
【0018】
ここで、耐圧容器としては、代表的には水深50m程度の水圧で破損することがなく、対象とする深水生物を収容でき、且つ液密(水密)に封止できる容器であれば、特に限定されるものではなく、ステンレス、チタン、アクリル及び塩化ビニル並びにこれらの複合材製の容器を挙げることができる。
なお、採取又は捕獲した生物が意図する生物であるかどうか確認したり、その生存状態を観察するためには、透明材料製であるか又は観察窓を設けることが好ましい。
また、この観察窓としては、耐圧容器内部から外部へ食い込む楔状のものが好ましく、これにより、耐圧容器に対し長期間安定的に固定することができる。観察窓のシールは、グリース、ゴムやプラスチックのOリング等、従来公知のもので行うことができる。
【0019】
また、上述の封止については、耐圧容器に穿設された開口部を、この耐圧容器内に配置されこの開口部から容器外部に抜き出せない蓋で閉塞することにより行うことが好ましく、これにより、深水域から常圧域への移動に伴う耐圧容器の周囲水圧の低減のよる蓋のズレや脱離を抑制することができる。
更に具体的には、蓋形状を開口部に合致した錐状、楔状、ボール状やテーパ状とし、この蓋の一端に、蓋を開口部外方に押圧付勢するバネ等の付勢部材を連結する一方で、他端に、上記開口部を介して耐圧容器外に延在する係止部材を連結し、この係止部材を耐圧容器外に設けた係合部などと係合又は係合解除させることにより、上記テーパ状などの蓋を上記開口部に脱座又は着座させて、封止解除又は封止を行う構成を採用することが望ましい。
【0020】
次に、体積可変体としては、その内外の圧力差によってその形状が変化して体積が変動し、且つガスを封入可能で、好ましくは封入ガスを透過しないなものであれば、特に限定されるものではなく、その材質及び形状は、封入ガスが耐圧容器中の海水などに溶解又は散逸しなけれよく、各種プラスチックやゴムで形成された可撓性の袋を用いることができる。
本発明において、かかる体積可変体は、周囲圧力に反比例してその体積を減少するが、ガスを海水等に溶解させることなく耐圧容器内に確実に確保するのに有効である。
なお、封入するガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス及びヘリウムなどを挙げることができる。
【0021】
また、本発明においては、耐圧容器内に通水性隔壁を付加し、この通水性隔壁によって、上記体積可変体の存在域と上記深水生物の存在域とを区画することが好ましい。
これにより、体積可変容体が耐圧容器内で自由に移動することによって、対象深水生物が魚やカニのような動物である場合に、その生体にストレスがかかったり、魚やカニによって体積可変体を傷つけられたりすることを回避できる。
なお、かかる通水性隔壁としては、海水などの水を十分に通過させれば十分であり、適当な剛性を有する網などを用いることができる。
【0022】
更に、本発明においては、耐圧容器の内圧を外部に解放できる内圧維持機構を付加することも可能であり、かかる内圧維持機構としては各種安全弁の機能を利用することができる。
このような安全弁機構としては、弁を容器外から内部へ向かってスプリングで押圧し、容器内圧がスプリングによる押圧力よりも高いと弁が開いて容器内圧を外部へ解放し、スプリング押圧力が高いと弁が閉じて容器が密閉される機構を挙げることができる。
かかる内圧維持機構を付加し、適宜容器内圧を解放することにより、耐圧容器の本来的な耐圧範囲よりも深度の深い領域での使用を可能にすることができる。
【0023】
更に、本発明においては、耐圧容器に連通した吸引手段を付加することも可能であり、この吸引手段により、対象深水生物とともにその生息域の水を耐圧容器に収容できるので、採取又は捕獲・運搬後の培養や育成に有利である。
このような吸引手段としては、各種ポンプを用いることができる。
【0024】
上述した本発明の深水生物運搬育成容器は、対象となる水域で深水生物を採取した後、蓋をして(封止して)運搬される。
本運搬育成容器は、主として、海上から吊り下げたり、探索船や潜水艇に搭載したりして使用され、その封止については、前者の場合、海面からのトリガーを利用する各種の方法が適用でき、後者の場合、探索船が備える船外手を利用して蓋を閉める方法が適用できる。但し、いずれの方法でも、対象とする深水生物の採取場所付近で容器を封止する。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を、図面を参照して実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
図1は、本発明の深水生物運搬育成容器の一実施例を示す断面図である。同図において、この生物運搬育成容器1は、透明で肉厚の円筒部分2と、その両端に連結された半球部分3及び4とを有する耐圧容器を備える。それぞれの半球部分にはフランジ3’及び4’が一体に形成されており、フランジ3’、4’及び円筒状部分2を、Oリング15で液密性を保持しつつ複数のネジ16とナット17を螺合させて一体に組み付けることにより、上記耐圧容器が形成されている。
なお、本実施例において、透明円筒部分2はプラスチックやガラス製なので、内圧により破裂する可能性があり、その外周面を窓13を備えた金属円筒14で覆うことにより、破裂した場合の飛散を防止している。
【0027】
また、上記耐圧容器において、一方の半球部分3には生物入口5が、他方の半球部分4には水吸引口6が一体に成形されている。この生物入口5には、その一部にフック8が一体成形された生物導入管7が螺着され、一方、水吸引口6には、フック12が一体成形された水導入管9が螺着され、更にはホース10及びポンプ11が連結されている。
なお、本実施例においては、生物入口5に生物導入管7を螺着したが、両者の連結が確保できれば螺着に限定されるものではない。また後に、生物導入管7、フック8、プッシュロッド21及び22などを外し、その代わりに循環流路を設けることも可能である。
【0028】
本実施例において、生物入口5及び水吸引口6は、それぞれテーパ付きの蓋18及び19が耐圧容器の内側から外側にスプリング20で押圧付勢されて着座することにより、閉塞される構造になっている。
なお、対象とする生物を収納する前においては、蓋18及び19はその先端側に連結したプッシュロッド21及び22で押圧されて固定されており、プッシュロッドと一体に成形されているロックバー21’及び22’がフック8及び12と係合状態を保持することにより、蓋の位置が固定され、生物入口5及び水吸引口6が開状態に保たれる構成となっている。
【0029】
また、この生物運搬育成容器1の耐圧容器内には網23が配置されており、この網23により、捕獲した対象生物の存在域と体積可変体24の存在域とが区分されており、捕獲生物、特に深水動物などに余分なストレスが生じないように配慮されている。
本実施例において、上述の体積可変体24はガス不透過性の材料で形成されており、その内部には空気等のガスが封入されている。
【0030】
また、図1において、この生物運搬育成容器1との併用に適する生物捕獲容器30は、円筒部分31の一方の端面に網32を装着し、他方の端面に中央部に生物入口を有する可撓性板33を装着して形成されており、可撓性板33の生物入口から対象生物が内部に進入(捕獲)できる一方で、網32は対象生物の出入りを規制しており、一旦進入(捕獲した)対象生物は脱出しにくい構成となっている。
【0031】
次に、本実施例の生物運搬育成容器を用いた深海動物、例えば魚、カニ及びエビなどの海上近傍への引き上げ方法の一例について説明する。
まず、生物捕獲容器30中に餌を入れて深海中に没し、対象動物をこの捕獲容器中に捕獲する。捕獲した後、生物導入管7を可撓性板33を介して捕獲容器30に挿入し、ポンプ11を作動させて周囲の水を吸い取りながら、捕獲した対象動物を生物運搬育成容器1中に導入する。この際、ポンプ11で周囲水を吸引することによって、生物運搬育成容器1中の水を対象動物を捕獲した付近の水に交換できる。
【0032】
そして、対象動物を生物運搬育成容器1に収納した後、リング25を直角に回転させると、フック8とロックバー21’との係合が解除され、蓋18がスプリング20に押圧されて生物入口5を閉塞する。また、そのシール性はオーリング27によって保たれる。なお、同様の操作により、水吸引口6をも液密に封止する。
【0033】
その後、生物運搬育成容器1を海上に引き上げると、周囲水圧の低減にともなって、蓋18及び19は容器外へ押し出される方向に力を受けて、蓋が容器外方へ変位したり生物運搬育成容器1の体積が膨張する方向へ力がかかる。
ところで、体積可変容器24は、海上での体積が水圧に反比例して水中では縮小している。上述のように、対象動物を収納した後、生物運搬育成容器1の体積が膨張すると容器の内部圧力は低下するが、この際、体積可変容器24が膨張してその圧力低下を緩和するので、捕獲した対象動物にかかる圧力に大きな変動を生じることが回避される。
【0034】
(実施例2)
図2は、本発明の深水生物運搬育成容器の他の実施例を示す断面図である。なお、以下、上記実施例の場合と実質的に同一の部材・要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施例の運搬育成容器では、円筒状部分2の断面形状が台形をなしており、そのフランジ3’及び4’も該台形形状と合致するように形成されており、運搬育成容器内部から外方へ食い込む楔形に形成されているため、固定安定性に優れ、容器の耐圧性が改善されている。
【0035】
また、本実施例の運搬育成容器は、ノズル35、パッキン36、スプリング37及びネジ38で構成される減圧機構を備えている。この減圧機構において、パッキン36はスプリング37で押圧付勢されており、スプリング37の押圧付勢力はネジ38の挿入長で調整される。なお、このような減圧機構は、通常の安全弁の構造と同様であり、詳しい説明は省略する。
本実施例の運搬育成容器は、かかる減圧機構を有するため、運搬育成容器の設定内圧(耐圧性)を超えた条件下でも使用することができる。即ち、運搬育成容器の設定内圧を超えた場合には、上記減圧機構が作動して容器内圧力を容器外に解放するため、例えば、設定内圧を超える深度の領域に移動させることが可能になる。
【0036】
(実施例3)
図3は、本発明の運搬育成容器の更に他の実施例を示すものであり、生物入口に蓋をする他の手法を示すものである。
同図において、円板状蓋41は、Oリング47が装着された円周状溝46を有し、その中心部に螺着された支持シャフト42によって運搬育成容器外で支持されている。
また、生物入口には生物導入パイプ45を備えた生物導入パイプユニット44が螺着されており、支持シャフト42はパイプ51中に配置され、その一部にはバー50が固定されている。
バー50はパイプ51に形成されている2本の縦溝(図示せず)に沿って移動するが、この縦溝の末端には横溝53が直角に、即ち全体としてL字の溝が形成されており、バー50をその横溝に入れると、スプリング49が収縮された状態で係止され、即ち蓋41を開放した状態になる。なお、符号52はスプリング49を受ける座金である。
【0037】
対象生物を生物導入パイプ45から運搬育成容器内に収納した後、バー50を横溝からはずすと、バー50はスプリング49により縦溝に沿って押圧され、蓋41の溝46がリング48と嵌合し、運搬育成容器が密閉される。
本実施例の容器によれば、スプリング機構を運搬育成容器外に配置したので、運搬育成容器の内容積を拡大でき、収納した対象生物の活動域を拡大できる。
【0038】
(実施例4)
図4は、本発明の他の実施例を示すものであり、運搬育成容器を海上近辺に引き上げた後、水循環機構を構成するために取り付ける水供給ユニットを示している。なお、この水供給ユニットは水排出ユニットとしても使用できる。
同図において、水供給ユニットの一例である海水供給ユニット60は、海水導入パイプ61を備え、生物入口に螺着されており、Oリング62を介して運搬育成容器が密閉されている。
また、海水供給ユニット60のパイプ部65は末端に雌ネジ66が形成されており、パイプ部65内には蓋支持シャフト64が設けられており、この支持シャフト64の反対側には、ピストン67が一体に形成され、ここに雄ネジが形成されており雌ネジ66と螺合する。
かかる構成によれば、ハンドル68を回転させてピストン67を前進・後退させることにより、運搬育成容器内を密閉又は開放することができる。
【0039】
かかる水供給ユニットを用いた水の循環方法につき説明すると、上述した運搬育成容器の生物入口及び水吸引口に、上記水供給ユニットをそれぞれ海水供給ユニット及び海水排出ユニットとして装着し、海水を供給しながら加圧ポンプで海水供給ユニット及び海水排出ユニット内を加圧する。それぞれのユニット内が運搬育成容器内と同圧近く又はそれ以上になったら、ハンドル68によってシャフト64を回転させて蓋を運搬育成容器内に押し込み、海水を供給する。
なお、同圧近くにならない状態で蓋を開くには大きな力を要するので好ましくない。
【0040】
以上、本発明を若干の実施例により詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、実施例1及び2では生物入口5にスプリング機構で蓋をしたが、耐圧容器の内部から蓋ができれば十分であり、例えば、生物入口及び水吸引口に挿通した紐で蓋同士を締結しておき、この紐を引っ張ることによっても蓋をすることができる。
また、観察窓として円周状の窓を例示したが、耐圧容器の一部にこの容器の軸と直角に円筒状のソケットを装着し、これに内側から透明な楔形窓を挿入してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、耐圧容器内にガスを封入した所定の体積可変体を設置することなどとしたため、深海などの高水圧域に生息する深水生物を採取又は捕獲した後、容易に封止でき、水圧の減少を軽減して損傷を与えずに地上などの常圧域に引き上げ、即ち運搬することができ、しかも飼育や培養などの育成も行うことができる、深水生物運搬育成容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の深水生物運搬育成容器の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の深水生物運搬育成容器の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の深水生物運搬育成容器の更に他の実施例を示す部分断面図である。
【図4】本発明の深水生物運搬育成容器と併用できる水循環機構の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 生物運搬育成容器
2 円筒部分
3、4 半球部分
3’、4’ フランジ
5 生物入口
6 水吸引口
7 生物導入管
8、12 フック
9 水導入管
10 ホース
11 ポンプ
13 窓
14 金属円筒
15、27、28 Oリング
16 ネジ
17 ナット
18、19 蓋
20 スプリング
21、22 プッシュロッド
21’、22’ ロックバー
23 網
24 体積可変体
25、26 リング
30 生物捕獲容器
31 円筒部分
32 網
33 可撓性板
35 ノズル
36 パッキン
37 スプリング
38 ネジ
41 蓋
42 支持シャフト
44 生物導入パイプユニット
45 生物導入パイプ
46 円周状溝
47 Oリング
49 スプリング
50 バー
51 パイプ
52 座金
53 横溝
54 螺合部
60 海水供給ユニット
61 海水導入パイプ
62 Oリング
64 支持シャフト
65 パイプ部
66 雌ネジ
67 ピストン
68 ハンドル

Claims (8)

  1. 深水生物を高水圧域からほぼ常圧域まで損傷を与えることなく運搬するのに用いられる深水生物運搬育成容器であって、
    ガスを内包し内外の圧力差によってその体積が変化する体積可変体を、封止可能な耐圧容器に内蔵して成ることを特徴とする深水生物運搬育成容器。
  2. 上記耐圧容器が、開口部と、この耐圧容器内に設置され、この開口部から外部に抜き出せない蓋を備え、この開口部に上記耐圧容器の内側から上記蓋を着座させることにより、上記耐圧容器の封止が行われることを特徴とする請求項1記載の深水生物運搬育成容器。
  3. 上記蓋を上記開口部の外方に押圧付勢する付勢部材と、上記蓋に連結し上記開口部を介して上記耐圧容器外に延在した係止部材とを備え、この係止部材の係合解除又は係合によって、上記蓋を上記開口部に着脱させることを特徴とする請求項1又は2記載の深水生物運搬育成容器。
  4. 上記体積可変体がガス不透過性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の深水生物運搬育成容器。
  5. 上記耐圧容器に内部が視認できる観察窓を付加して成り、この観察窓の形状が、この耐圧容器内部から外部へ向かって食い込む楔形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の深水生物運搬育成容器。
  6. 更に、上記耐圧容器内に通水性隔壁を設置し、この通水性隔壁によって、上記体積可変体の存在域と上記深水生物の存在域とが区画されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の深水生物運搬育成容器。
  7. 上記耐圧容器の内圧が設定内圧より高い場合、その内部圧力を該耐圧容器外に解放する内圧維持機構を付加して成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の深水生物運搬育成容器。
  8. 上記耐圧容器に連通した吸引手段を付加して成り、この吸引手段により、上記深水生物とともにその生息域の水を上記耐圧容器に収容できることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の深水生物運搬育成容器。
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