JP4535963B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、ドラム式洗濯機に関するものである。
ドラム式洗濯機は、特にヨーロッパにおいて広く使用されている。ドラム式洗濯機としては一般に、回転ドラムを低速で回転させる洗い工程、すすぎ工程と、高速で回転させる脱水工程とから成る洗濯工程を行い、さらには乾燥工程までを行うものが商品化されている。
図14及び図15に従来のドラム式洗濯機を示す。図14は、従来のドラム式洗濯機を側方から見た縦断面図、図15は、従来のドラム式洗濯機を側方から見た別の位置における縦断面図である。外箱201は、その前面に開口する外箱開口部201aを有し、開閉扉202により開閉可能とされている。この外箱201内には、外箱開口部201aに対向して開口する水槽開口部203aを備えた円筒状の水槽203が、その円筒軸が水平軸に対して後方側が下降傾斜するように配されている。外箱開口部201aと水槽開口部203aとは、水槽203の振動を外箱201へと伝えにくくする蛇腹部204aを備えた筒状を成すドアパッキン204により水密に連通するように接続されている。
水槽203の内部には、水槽開口部203aに対向して開口するドラム開口部205aを備えた円筒状のドラム205が、その円筒軸が水平軸に対して後方側が下降傾斜するように配されている。ドラム205は、その円筒周面の全体にわたって多数の小孔205bが配されており、その小孔205bを通して水槽203内とドラム205内との空気や液体とが出入りできるようになっている。ドラム205の内壁面には、ドラム205の円筒中心軸側に向かって突出するバッフル205cが設けられる。
ドラム205の背面中央部にはドラム軸205dが後方に突出し、水槽203の背面を貫通するように取り付けられており、水槽203の背面に取り付けられたモータカバー206aに軸受206bを介して回転可能に支承されている。また、ドラム205は、ドラム軸205dを介して水槽203の背面に取り付けられたモータ206にダイレクトに連結されており、モータ206の駆動によりドラム205を回転駆動させる。
また、ドラム205の前部には移動体封入形の液体バランサ207が設けられている。液体バランサ207は、ドラム205を回転駆動させた際にドラム205が大きく振れ回ることを抑制でき、振動発生の防止に寄与するものである。また、液体バランサ207自身も重量物であるため、ドラム205の回転バランスの向上にも寄与できる。
水槽203の底部には、図15に示すように、排水ダクト208と、排水弁209とが設けられており、この排水弁209の開放によって水槽203内の水が排水ダクト208を介して外箱201の外部へと排水されるようになっている。
水槽203の背面後方から外周上方にかけては、乾燥ユニット210が設けられている。乾燥ユニット210は、吸入口210a、除湿器210b、送風ファン部210c、ヒータ部210d、吐出口210eより構成される。この乾燥ユニット210は、乾燥運転時において水槽203内の空気を吸入口210aより吸引して、除湿器210b、送風ファン部210c、ヒータ部210dを通って、吐出口210eより水槽203へと戻す循環を繰り返すことにより、水槽203内の空気の温風化及び熱交換(除湿)が行われる。
また、図14に示すように、水槽203の前部上側にはカウンターウエイト211が取り付けられるとともに、水槽203の前部下側にもカウンターウエイト212が取り付けられている。このカウンターウエイト211、212は、後述する荷重負荷213の重心を調整するために取り付けられるものであり、カウンターウエイト211、212の水槽203への取り付け位置や重さを変更することにより、荷重負荷213の重心の位置や重さを容易に変更することができ、設計の自由度を向上させることが可能となる。
水槽203は、下方より支持する左右一対のダンパー214と、この水槽203の前部上側と外箱201の前部上側との間に前後方向への引張り力を与える引張りコイル形の規制ばね215と、この水槽203の前部上側と外箱201の中部上側に固着される連結部材216との間に前後方向への引張り力を与える引張りコイル形の規制ばね217を介して外箱201内に支持されている。
ここで、ダンパー214及び規制ばね215、217には、水槽203、ドラム205、モータ206、液体バランサ207、ダクト210a、除湿器210b、、送風ファン部210c、ヒータ部210d、ダクト210e、カウンターウエイト211、212より構成される荷重負荷213の荷重負荷がかかり、これを支持している。左右一対のダンパー214はそれぞれその前後方向には1箇所となり、且つ荷重負荷213の重心の位置gとほぼ一致する位置に設けられている。上記構成のドラム式洗濯機は、例えば、特許文献1に示されている。
洗い、すすぎ、脱水の洗濯工程、乾燥の各工程は、ドラム205内に投入された被処理物である洗濯物とこの洗濯物の処理に供される洗濯水とを含む洗濯負荷218を内包した状態でドラム205をモータ206により回転駆動することにより実行される。洗い工程においては、モータ206は比較的低い回転速度にて正逆方向に間欠駆動することにより、ドラム205が正逆方向に間欠回転されるようになっている。また、脱水工程においては、モータ206は高い回転速度にて一方向に連続駆動することにより、ドラム205が高速回転されるようになっている。
このような構成のドラム式洗濯機では、洗濯工程におけるドラム205の回転駆動時においてもダンパー214の位置は荷重負荷213の重心の位置gとほぼ一致するから、回転バランスが良好となる。また、荷重負荷213の前後方向への動きを弾性的に規制する規制手段である規制ばね215、217を設けたことにより、荷重負荷213の前後方向への揺れを少なくできるので、外箱201の振動の発生を有効に抑えることができるようになっている。
特開2000−262796号公報
しかしながらこのようなドラム式洗濯機においては、図14に示すように、荷重負荷213の重心の位置g、および洗濯工程や乾燥工程の際にドラム205の内部に収容される洗濯負荷218の重心の位置g´は、ダンパー214と水槽203との接続位置Pの上方に存在するので、荷重負荷213と洗濯負荷218とを合計した重量体である振動体負荷219の重心の位置Gが接続位置Pに対して前方側(図14における左側)/後方側(図14における右側)に存在すると、水槽203は、図14に示す図において、この接続位置Pを中心として左回り(反時計回り)/右回り(時計回り)に回動する。水槽203が左回り/右回りへと回動すると、重心位置Gはさらに前方側/後方側へと変位して、重心位置Gと接続位置Pとの前後方向の距離が大きくなるので、水槽203を回動変位させるモーメントもまた大きくなる。このため、重心位置Gの変動による振動は大きくなってしまい、この状態にて洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を行うと、水槽203の振動により大きな騒音が発生してしまう。
そこで、本発明は、前方に開口する外箱開口部を備えた外箱と、外箱開口部と対向して開口する水槽開口部を有して外箱内に配設される水槽と、水槽開口部と対向して開口するドラム開口部を有して水槽に内包されるドラムと、ドラムを回転駆動する電動機と、水槽を外箱内に下方より弾性支持する複数の緩衝手段とを備えたドラム式洗濯機において、水槽とドラムと電動機とを備えて複数の緩衝手段にて外箱内に弾性支持される荷重負荷の重心の位置が、複数の緩衝手段の内の2つの緩衝手段の水槽との接続位置の間を結ぶ軸および該軸と垂直に交差する水平線を含む平面の少なくとも1つの平面上にあるように、または前記少なくとも1つの平面よりも低い位置にあるように、複数の緩衝手段を配したことを特徴としている。このような構成とすることにより、振動体負荷の重心位置が変動して水槽が回動すると振動体負荷の回動モーメントは小さくなるように作用するので、水槽の振動を低減することができる。
また、本発明は、前方に開口する外箱開口部を備えた外箱と、外箱開口部と対向して開口する水槽開口部を有して外箱内に配設される水槽と、水槽開口部と対向して開口するドラム開口部を有して水槽に内包されるドラムと、ドラムを回転駆動する電動機と、水槽を外箱内に下方より弾性支持する2つの緩衝手段とを備えたドラム式洗濯機において、水槽とドラムと電動機とを備えて2つの緩衝手段にて外箱内に弾性支持される荷重負荷の重心の位置が、2つの緩衝手段の水槽との接続位置の間を結ぶ軸および該軸と垂直に交差する水平線を含む平面上にあるように、または前記平面よりも低い位置にあるように、2つの緩衝手段を配したことを特徴としている。このような構成とすることにより、この2つの緩衝手段に係る振動体負荷の重心位置の変動による水槽の振動を低減できる。
また、上記構成において、2つの緩衝手段の水槽との接続位置が2箇所ともに荷重負荷の重心の位置と同じ高さまたは荷重負荷の重心の位置よりも高い位置となるように、2つの緩衝手段を配置すると好ましい。このような構成とすることにより、振動体負荷の重心の水平方向への変動によって水槽の制振効果が損なわれないようにできる。また、水槽の内部に収容される定格重量の洗濯物と洗濯水よりなる洗濯負荷と、荷重負荷と洗濯負荷よりなる振動体負荷に対して、2つの緩衝手段の水槽との接続位置の間を結ぶ軸の水平面への投影軸が荷重負荷の重心位置および振動体負荷の重心位置の水平面への投影点の間を通るように2つの緩衝手段を配置すると好ましい。このような構成とすることにより、洗濯負荷の増減による水槽の回動変位の影響を低減できる。
また、本発明は、前方に開口する外箱開口部を備えた外箱と、外箱開口部と対向して開口する水槽開口部を有して外箱内に配設される水槽と、水槽開口部と対向して開口するドラム開口部を有して水槽に内包されるドラムと、ドラムを回転駆動する電動機と、水槽を外箱内に下方より弾性支持する3つ以上の緩衝手段とを備えたドラム式洗濯機において、水槽とドラムと電動機とを備えて3つ以上の緩衝手段にて外箱内に弾性支持される荷重負荷の重心の位置が、3つ以上の緩衝手段の水槽との接続位置の少なくとも3箇所を通る平面の少なくとも1つの平面上にあるように、または前記少なくとも1つの平面よりも低い位置にあるように、3つ以上の緩衝手段を配したことを特徴としている。このような構成とすることにより、各接続位置を結ぶ軸の内の一つの軸周りだけでなく複数の軸周りの振動を低減でき、より振動体負荷の重心位置の変動に強い製品を提供できる。
また、上記構成において、水槽とドラムと電動機とを備えて3つ以上の緩衝手段にて外箱内に弾性支持される荷重負荷と、水槽の内部に収容される定格重量の洗濯物と洗濯水よりなる洗濯負荷と、荷重負荷と洗濯負荷よりなる振動体負荷に対して、3つ以上の緩衝手段の内の少なくとも1つの緩衝手段は、前後方向に関して振動体負荷の重心の位置と同じまたは振動体負荷の重心の位置よりも前方を支持し、3つ以上の緩衝手段の内の少なくとも1つの緩衝手段は前後方向に関して荷重負荷の重心の位置と同じまたは荷重負荷の重心の位置よりも後方を支持すると好ましい。このようにすると、水槽の後方部の下方/上方への変位による水槽の左右方向水平軸周りの回動を起こりにくくできる。また、水槽は水槽開口部を有する前面側に対してドラムを回転駆動する電動機が配される背面側が下方となるように傾斜して配されるとともに、荷重負荷の重心の位置と同じまたは荷重負荷の重心の位置よりも後方を支持する少なくとも1つの緩衝手段と水槽との接続位置を水槽の背面に設けると好ましい。このようにすると、水槽の後方部の支持効果を高めるとともに、水槽傾斜によって外箱背面と水槽背面との間に発生するデッドスペースにダンパーを配することができるので製品の奥行き寸法が大きくなることを抑えることもできる。また、振動体負荷の重心の位置と同じまたは振動体負荷の重心の位置よりも前方を支持する少なくとも1つの緩衝手段と水槽との接続位置を水槽の前面に設けると好ましい。このようにすると、水槽の前方部の上方/下方への変位による水槽の左右方向水平軸周りの回動を起こりにくくできる。
本発明によれば、緩衝手段により外箱内に支持される振動体負荷の重心の位置の変動による振動を低減可能なドラム式洗濯機を提供することができる。
〔本発明の第一の実施の形態〕
以下、本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機を図1から図4に基づいて説明する。図1は本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機を外観斜め上方より見た概略図、図2は側方より見た概略縦断面図、図3は図2とは異なる位置における側方より見た概略縦断面図、図4は正面より見た水槽の支持構造を示す概略縦断面図を示す。
本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機は、図1に示すように、その外観の前後左右面を構成する外箱1を備えるとともに、その上方を天板2、下方を底台3にて覆われている。外箱1の前面側には、前方に向けて開口する外箱開口部1a(図2参照)を開閉する開閉扉4がヒンジ(図示せず)で外箱1に回動自在に取り付けられる。また、外箱1の開閉扉4上方左部には洗剤、漂白剤および柔軟剤を収容する洗剤ケース5が、上方右部には操作キーや表示部を有する操作パネル6とが設けられる。洗剤ケース5は、外箱1内部に設けられる図示しない容器を備え、前後方向にスライド自在に配される。外箱1の内部側である操作パネル6の背面側には、図2に示すように、ドラム式洗濯機の動作を制御する制御回路7が配される。制御回路7は、その図示しない記憶手段に記憶された“標準コース”や“毛布コース”、“ドライコース”といった運転プログラムを適宜、使用者が設定することにより洗い工程、すすぎ工程、脱水運転(および乾燥工程)までを連続して若しくは各々の工程を単独で行うようにドラム式洗濯機各部の動作を制御する。
天板2の前方下面側および中央下面側には、図2に示すように、それぞれ金属折り曲げ板部材等より形成される連結部材8、9が固着される。連結部材8には後述するサスペンション27の一端が、連結部材9には後述するサスペンション28の一端が連結される。また、図2に示すように、底台3は水平面における断面が略矩形状を有し、その底面下側には設置の際に床面と接触してドラム式洗濯機を支持する脚3aが、底台3の略矩形状のそれぞれの頂点近傍に位置するように取り付けられる。また、底台3の底面上側には、図2および図3に示すように、後述するダンパー30、30´の一端が連結されるダンパー取付部11、11´が配される。図4に示すように、ダンパー取付部11は左側、ダンパー取付部11´は右側となるように配されており、また、図4の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部11とダンパー取付部11´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部11およびダンパー取付部11´が同じ位置となるように取り付けられる。
外箱1の内部には、図2に示すように、有底円筒形状を有する水槽10が、その後方側が水平面に対して5〜30°下降傾斜するように配される。水槽10は、その軸方向に対して前方側を成す前部10aと、水槽10の軸方向に対して後方側を成す前部10bとをネジ10cにて結合させて構成される。前部10aには、その上方外周面に後述するサスペンション27、28の一端が連結されるサスペンション取付部12が設けられる。また、前部10aには、図2に示すように、外箱開口部1aに対向して開口する水槽開口部10dが設けられる。水槽開口部10dには、外箱開口部1aとの間にそれぞれの開口を相互に水密に連結させるドアパッキン14が取り付けられる。ドアパッキン14は、蛇腹部14aを備え、水槽10の振動を外箱1に伝えにくいようになっている。開閉扉4を閉じた際には開閉扉4とドアパッキン14のシール部14bとが水密に密着して、水槽10内の液体が外箱開口部1aより漏れ出ることを防止できる。
また、前部10aには、図2および図3に示すように、側方外周面に後述するダンパー30、30´の一端が連結されるダンパー取付部13、13´が配される。図4に示すように、ダンパー取付部13は左側、ダンパー取付部13´は右側となるように配されており、また、図4の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部13とダンパー取付部13´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部13およびダンパー取付部13´が同じ位置となるように構成される。
一方、水槽10の下側後方部にある床面からの高さが最も低い箇所には、図3に示すように、図示しない給水経路から水槽10内へと給水された洗濯水を水槽10の外部へと排出するための排水ダクト15が接続される。排水ダクト15には、排水弁16が設けられており、この排水弁16は制御回路7の制御に基づき開閉動作させることにより水槽10内からの水の排出の制御がなされる。
水槽10の内部には、図2に示すように、有底円筒状を有するドラム20が、水槽10と同様にその円筒軸が水平軸に対して後方側を5〜30°下降傾斜するように配される。ドラム20には、外箱開口部1aおよび水槽開口部10dに対向して開口するドラム開口部20aが設けられており、これらの外箱開口部1a、水槽開口部10d、ドラム開口部20aを介してドラム20内への被洗濯物の出し入れが行われる。
ドラム20は、その円筒周面の全体にわたって多数の小孔20bが設けられる(図2では12個の小孔20bだけを図示し、それ以外の小孔20bは図示省略している)。この小孔20bは、水槽10内とドラム20内とを連通させるものであり、水槽10内とドラム20内との空気や液体とが出入りできるようになっている。また、ドラム20の内壁面には、ドラム20の円筒中心軸方向に向かって突出するバッフル20cが設けられる。このバッフル20cは、周方向にn(n=2以上の自然数)回軸を有する回転対称となるように、例えば120°間隔にて3箇所(3回軸)に配置される。バッフル20cは、洗い工程またはすすぎ工程においてドラム20の回転に伴い、内包された洗濯物を持上げて洗濯水またはすすぎ水に落下させることを繰り返して洗濯物の洗浄またはすすぎを行うものである。
ドラム20の背面中央部には、その軸方向がドラム20の円筒軸と同一であるドラム軸20dが後方に突出するように設けられる。ドラム軸20dは、水槽10の後方側を形成する前部10bの底面を貫通するとともに、その先端部が前部10bの背面側にネジ21にて取り付けられる電動機たるモータ22に入り込む。モータ22は、その外周を覆うモータカバー22aと、ドラム軸20dを回動可能に支持する軸受22bと、ドラム軸20dを回転駆動させるロータ22cと、このロータ22cに磁力にて回転駆動力を付与するステータ22dとを備えている。モータ22は、制御回路7による制御に基づいてステータ22dを介してロータ22cを駆動させて、ドラム20を回転駆動させる。
また、ドラム開口部20a周辺部には、ドラム20の周面を半径方向内側に向けて小径となるように形成した絞り部を設けるとともに、その外周に沿って液体バランサ23が固着される。液体バランサ23は、環状を有する中空の外殻と、その内部に封入される塩水等の液体により構成される。この液体バランサ23は、特に脱水工程の高速回転時において洗濯物の偏りによってアンバランスが発生した際に、内部の液体の移動によってアンバランスを打ち消すことができるものである。
水槽10の背面後方および外周上方にかけての空間には、図3に示すように、乾燥工程において被洗濯物を乾燥させる乾燥ユニット24が設けられる。乾燥ユニット24は、水槽10の空気を吸い込み口である吸入口24aと、吸入口24aより吸い込んだ空気を除湿する除湿器24bと、除湿器24bによって除湿された空気を吸い込む送風ファン部24cと、送風ファン部24cによって吐き出された空気を加熱するヒータ部24dと、ヒータ部24dによって加熱された空気を水槽10内へと吐き出し口である吐出口24eとを備える。
水槽10の外側上方には、図2に示すように、水槽10の前後方向の振動を抑制するサスペンション27、28が配される。サスペンション27およびサスペンション28は、その一端を水槽10の外周面に設けられたサスペンション取付部12に連結するとともに、他端を天面2の下方に固着した連結部材8および連結部材9に連結される。第一の実施の形態においては、サスペンション27、28は、それぞれ一般的なコイルバネを用いているが、例えばエアダンパー等の弾性的に吊り下げ支持可能なものも採用可能である。このように、サスペンション27、28は、弾性的に吊り下げ支持するので、水槽10からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
水槽10の外側下方には、水槽10を下方より弾性的に押し上げ支持する緩衝手段たる2本のダンパー30、30´が配される。第一の実施の形態においては、ダンパー30およびダンパー30´は、それぞれ上方にオイルを封入したシリンダ部と、下方にコイルバネを備えた弾性を備え且つ減衰機能を有する一般的なオイルダンパーを用いているが、例えばエアダンパー等の同様の性能を備える他のダンパーも採用可能である。ダンパー30およびダンパー30´は、その一端をそれぞれ底台3の底面部に設けられるダンパー取付部11およびダンパー取付部11´に弾性部材31および弾性部材31´を介して連結されるとともに、他端をそれぞれ水槽10の外周面に設けられるダンパー取付部13およびダンパー取付部13´に弾性部材32および弾性部材32´を介して連結される。このように、ダンパー30、30´は、水槽10を弾性的に押し上げ支持し、また、ダンパー30、30´と水槽10および外箱1との連結が弾性部材31、31´、32、32´を介して行われるので、水槽10からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
図4に示すように、ダンパー30は、前方より見て水槽10の左側部を支持し、ダンパー30´は、前方より見て水槽10の右側部を支持する。また、図4に示すように、前方より見て、ダンパー取付部11はダンパー取付部13に対して左側となるように配されており、ダンパー取付部11´はダンパー取付部13´に対して右側となるように配されている。また、上述したように、図4の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部11とダンパー取付部11´およびダンパー取付部13とダンパー取付部13´が線対称となるように配される。すなわち、ダンパー30、30´は、図4の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、その取付状態において、左右対称となるように取り付けられる。また、側方より見てダンパー取付部11とダンパー取付部11´およびダンパー取付部13とダンパー取付部13´はそれぞれの前後方向が同じ位置となるように配されるとともに、ダンパー取付部11およびダンパー取付部11´はそれぞれダンパー取付部13およびダンパー取付部13´に対して鉛直下方に配置される。すなわち、ダンパー取付部13とダンパー30との接続位置P1(図4参照)とダンパー取付部13´とダンパー30´との接続位置P2(図4参照)とを結ぶP1−P2軸(図4参照)がドラム式洗濯機の左右方向と一致する水平軸と平行を成すとともに、ダンパー30およびダンパー30´は、その弾性支持する軸方向が同一の鉛直平面上となるように配置される。
このドラム式洗濯機において、外箱1内にダンパー30、30´(およびサスペンション27、28)によって水槽10(ダンパー取付部11、11´およびサスペンション取付部12含む)とともに弾性支持される部材として、ドラム20(バッフル20c、ドラム軸20d含む)、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット24が挙げられる。以降は、洗濯工程または乾燥工程において水槽10とともに振動するこれらの部材(水槽10、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット24等)より成る構成を荷重負荷33と呼称する。また、洗い工程またはすすぎ工程においては、ドラム内に投入される被洗濯物と、水槽10内に供給される洗濯水またはすすぎ水とがダンパー30、30´(およびサスペンション27、28)に対する負荷となって水槽10とともにダンパー30、30´(およびサスペンション27、28)によって弾性支持される。これらの洗い工程またはすすぎ工程においてダンパー30、30´(およびサスペンション27、28)に対する負荷となる洗濯物や洗濯水またはすすぎ水より成る重量体を洗濯負荷34と呼称する。また、荷重負荷33と洗濯負荷34とを合計した重量体を振動体負荷35と呼称する。
荷重負荷33の重心の位置をg1、定格重量の洗濯物投入時の洗濯負荷34の重心の位置をg0、このときの振動体負荷35の重心の位置をG1として図2および図4に示す。本発明の第一の実施の形態において、洗濯負荷34の重心の位置g0は荷重負荷33の重心の位置g1の前方且つ下方に存在する。振動体負荷35の重心は、洗濯負荷34の重心の位置g2と荷重負荷33の重心の位置g1とを結ぶ線分上の点G1となる。
ここで、好ましくは、ダンパー30、30´は、図2に示すように、前後方向に関して位置G1と位置g1との間を支持するとよい。前後方向に関して位置G1と位置g1との間を支持するとは、位置G1と位置g1の水平面への投影点の間をP1−P2軸の同じ水平面への投影軸が通ることを意味する。振動体負荷35の重心は位置G1と位置g1との間にあるため、洗濯負荷34の重量の変化による水槽の回動変位の影響を低減できる。また、高さ方向に関しては位置g1よりも高い位置であればそれだけ水槽の回動による振動体負荷35の重心の位置のP1−P2軸に対する水平方向の距離変化を大きく出来るため振動低減効果を向上させることも可能である。
本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機において、洗い工程やすすぎ工程、脱水工程といった洗濯工程や、乾燥工程においては、水槽10内には洗濯負荷34が内包されており、その重心位置はg1より前方且つ下方に存在し、振動体負荷35の重心の上下方向の位置に関してもP1−P2軸よりも下方に存在する。ここで、振動体負荷35の重心の位置がP1−P2軸よりも前後方向に関して前方側(図2における左側)/後方側(図2における右側)にある場合、水槽10は、図2または図3に示す断面図において、P1−P2軸を中心として左回り(反時計回り)/右回り(時計回り)に回動する。水槽10が左回り/右回りに回動すると、P1−P2軸に対して振動体負荷35の重心の位置は後方側/前方側へと変位して、P1−P2軸と振動体負荷35の重心の位置との前後方向の距離は小さくなるので、水槽10を回動変位させるモーメントもまた小さくなる。このため、振動体負荷35の重心の位置の変動があった場合においてもそれによる振動は大きくなることはなく、洗濯運転においても水槽10の振動の小さい、ひいては、水槽10のダンパー30、30´やサスペンション27、28を介しての外箱1への振動の伝播や、水槽10の外箱1への衝突等による騒音が発生することを防止できる。また、P1−P2軸は水平であるため、振動体負荷35の重心位置のP1−P2軸に沿った方向への変動によるダンパー30、30´の水槽10に対する制振効果の低減を防止できる。
また、本実施形態においてはP1−P2軸は水平軸であったが、2本のダンパーの水槽との接続位置との間を結ぶ軸が水平面に対して一定の傾斜を有する軸であってもよい。この場合、この傾斜軸およびこの傾斜軸と垂直に交差する水平軸を含む平面上またはこの平面よりも低い位置に荷重負荷の重心の位置を配することにより水槽の振動を低減することができる。
〔本発明の第二の実施の形態〕
次に、本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機を図5から図7に基づいて説明する。図5は、本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機を側方より見た概略縦断面図、図6は、図5とは異なる位置における側方より見た概略縦断面図、図7は、左半分が水槽の前方側を支持するダンパーによる水槽の支持構造、右半分が水槽の後方側を支持するダンパーによる水槽の支持構造を示す正面より見た概略縦断面図を示す。なお、この第二の実施の形態については、上述した第一の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機は、外箱1の下方を覆う底台3の底面上側に後述するダンパー45、45´の一端が連結されるダンパー取付部41、41´、および、ダンパー46、46´の一端が連結されるダンパー取付部42、42´が設けられる。図5および図6に示すように、ダンパー取付部41、41´は底台3の前方側(図5および図6における左側)、ダンパー取付部42、42´は底台3の後方側(図5および図6における右側)に配される。また、図7に示すように、ダンパー取付部41は左側、ダンパー取付部42´は右側となるように配されており、また、図7の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部41とダンパー取付部41´とが、およびダンパー取付部42とダンパー取付部42´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部41とダンパー取付部41´およびダンパー取付部42とダンパー取付部42´が同じ位置となるように構成される。
また、外箱1の内部には、有底円筒形状を有する水槽40が、その後方側が水平面に対して5〜30°下降傾斜するように配される。水槽40は、その軸方向に対して前方側を成す前部40aと、水槽40の軸方向に対して後方側を成す後部40bとをネジ40cにて結合させて構成される。前部40aには、その上方外周面に後述するサスペンション27、28の一端が連結されるサスペンション取付部12が設けられる。また、前部40aには、図5に示すように、外箱開口部1aに対向して開口する水槽開口部40dが設けられる。水槽開口部40dには、第一の実施の形態と同様に、外箱開口部1aとの間にそれぞれの開口を相互に水密に連結させるドアパッキン14が取り付けられる。
また、前部40aには、図5および図6に示すように、その側方外周面に後述するダンパー45、45´の一端が連結されるダンパー取付部43、43´が配される。後部40bには、図5および図6に示すように、側方外周面に後述するダンパー46、46´の一端が連結されるダンパー取付部44、44´が配される。図7に示すように、ダンパー取付部44は左側、ダンパー取付部44´は右側となるように配されており、また、図7の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部43とダンパー取付部43´とが、およびダンパー取付部44とダンパー取付部44´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部43とダンパー取付部43´およびダンパー取付部44とダンパー取付部44´が同じ位置となるように構成される。
水槽40の外側上方には、図5に示すように、水槽40の前後方向の振動を抑制するサスペンション27、28が配される。サスペンション27およびサスペンション28は、その一端を水槽40の外周面に設けられたサスペンション取付部12に連結するとともに、他端を天面2の下方に固着した連結部材8および連結部材9に連結される。このように、サスペンション27、28は、弾性的に吊り下げ支持するので、水槽40からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
水槽40の外側下方には、水槽40を下方より弾性的に押し上げ支持する緩衝手段たる4本のダンパー45、45´、46、46´が配される。ダンパー45、45´、46、46´は、その一端をそれぞれ底台3の底面部に設けられるダンパー取付部41、41´、42、42´に弾性部材47、47´、48、48´を介して連結されるとともに、他端をそれぞれ水槽40の外周面に設けられるダンパー取付部43、43´、44、44´に弾性部材49、49´、50、50´を介して連結される。このように、ダンパー45、45´、46、46´は、水槽40を弾性的に押し上げ支持し、また、ダンパー45、45´、46、46´と水槽40および外箱1との連結が弾性部材47、47´、48、48´、49、49´、50、50´を介して行われるので、水槽40からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
図7に示すように、ダンパー45は、前方より見て水槽40の左側部を支持し、ダンパー46´は、前方より見て水槽40の右側部を支持する。また、図7に示すように、前方より見て、ダンパー取付部41はダンパー取付部43に対して左側となるように、ダンパー取付部42´はダンパー取付部44´に対して右側となるように配されており、また、上述したように、図7の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部41とダンパー取付部41´とが、およびダンパー取付部42とダンパー取付部42´とが、およびダンパー取付部43とダンパー取付部43´とが、およびダンパー取付部44とダンパー取付部44´とが線対称となるように配される。すなわち、ダンパー45、45´、46、46´は、図7の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、その取付状態において、左右対称となるように取り付けられる。
また、側方より見てダンパー取付部41とダンパー取付部41´とが、およびダンパー取付部42とダンパー取付部42´とが、およびダンパー取付部43とダンパー取付部43´とが、およびダンパー取付部44とダンパー取付部44´とがそれぞれの前後方向が同じ位置となるように配されるとともに、ダンパー取付部41、41´はそれぞれダンパー取付部43、43´に対して、ダンパー取付部42、42´はそれぞれダンパー取付部44、44´に対して鉛直下方となるように配置される。
すなわち、ダンパー取付部43とダンパー45との接続位置P3(図7参照)とダンパー取付部43´とダンパー45´との接続位置P4(図7参照)とを結ぶP3−P4軸(図7参照)およびダンパー取付部44とダンパー46との接続位置P5(図7参照)とダンパー取付部44´とダンパー46´との接続位置P6(図7参照)とを結ぶP5−P6軸がドラム式洗濯機の左右方向と一致する水平軸と平行を成すように配置される。なお、ここで、ダンパー取付部41、41´はそれぞれダンパー取付部43、43´に対して前方となるように、ダンパー取付部42、42´はそれぞれダンパー取付部44、44´に対して後方となるように配置してもよく、そのようにすると、水槽40の前後方向の振動を低減することができる。
このドラム式洗濯機において、外箱1内にダンパー45、45´、46、46´(およびサスペンション27、28)によって水槽40(ダンパー取付部43、43´、44、44´およびサスペンション取付部12含む)とともに弾性支持される部材として、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット24が挙げられる。以降は、洗濯工程または乾燥工程において水槽40とともに振動するこれらの部材(水槽40、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット24等)より成る構成を荷重負荷51と呼称する。また、荷重負荷51と洗濯負荷34とを合計した重量体を振動体負荷52と呼称する。
荷重負荷51の重心の位置をg2、定格重量の洗濯物投入時の洗濯負荷34の重心の位置をg0、このときの振動体負荷52の重心の位置をG2として図5および図7に示す。本発明の第二の実施の形態において、洗濯負荷34の重心の位置g0は荷重負荷51の重心の位置g2の前方且つ下方に存在する。振動体負荷52の重心は、洗濯負荷34の重心の位置g0と荷重負荷51の重心の位置g2とを結ぶ線分上の点G2となる。ここで、図5に示すように、ダンパー45、45´は前後方向に関しては位置G2よりも前方を支持(P3およびP4が前後方向に関して位置G2よりも前方に存在する)、ダンパー46、46´は位置g2よりも後方を支持(P5およびP6が前後方向に関して位置g2よりも後方に存在する)するように配する。このようにすると、振動体負荷52の重心の位置は前後左右方向において確実にP3、P4、P5、P6の4点を頂点とする四角形内に配されるので、水槽の上下左右方向への回動変位を低減できる。さらに、ダンパー45、45´、46、46´は高さ方向に関しては位置g2と同じ高さ位置を支持(P3、P4、P5、P6が高さ方向に関して位置g2と同じ高さに存在する)するように配する。このようにすると、洗濯負荷34が投入されると振動体負荷52の重心は下方へと移動するので、位置P3・P4・P5・P6のそれぞれを結ぶ軸よりも確実に下方に位置するようになり、水槽40の振動低減効果を得ることができる。ここで、ダンパー45、45´、46、46´は高さ方向に関して位置g2よりも高い位置を支持するように構成すれば、それだけ位置P3・P4・P5・P6のそれぞれを結ぶ軸に対する水槽の回動による振動体負荷52の重心の位置の水平方向の変化を大きく出来るため振動低減効果を向上させることも可能である。
本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機において、洗い工程やすすぎ工程、脱水工程といった洗濯工程や、乾燥工程においては、水槽40内には洗濯負荷34が内包されており、その重心位置はg2より前方且つ下方に存在し、振動体負荷52の重心の上下方向の位置に関しても位置P3・P4・P5・P6それぞれを結ぶ軸よりも下方に存在する。ここで、振動体負荷52の重心の水平位置が変位すると、位置P3・P4・P5・P6それぞれを結ぶ軸回りの回動モーメントが発生し、水槽40は回動する。水槽40が回動すると、位置P3・P4・P5・P6それぞれを結ぶ軸と振動体負荷52の重心の位置との水平方向の距離は小さくなるので、水槽40を回動変位させるモーメントもまた小さくなる。このため、振動体負荷52の重心の位置の変動があった場合においてもそれによる振動は大きくなることはなく、洗濯運転においても水槽40の振動の小さい、ひいては、水槽40のダンパー45、45´、46、46´やサスペンション27、28を介しての外箱1への振動の伝播や、水槽40の外箱1への衝突等による騒音が発生することを防止できる。
〔本発明の第三の実施の形態〕
次に、本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機を図8から図10に基づいて説明する。図8は、本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機を側方より見た概略縦断面図、図9は、図8とは異なる位置における側方より見た概略縦断面図、図10は、左半分が水槽の前方側を支持するダンパーによる水槽の支持構造、右半分が水槽の後方側を支持するダンパーによる水槽の支持構造を示す正面より見た概略縦断面図を示す。なお、この第三の実施の形態については、上述した第二の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機は、外箱1の下方を覆う底台3の底面上側には後述するダンパー65、65´の一端が連結されるダンパー取付部61、61´、および、ダンパー66、66´の一端が連結されるダンパー取付部62、62´が設けられる。図8および図9に示すように、ダンパー取付部61、61´は底台3の前方側(図8および図9における左側)、ダンパー取付部62、62´は底台3の後方側(図8および図9における右側)に配される。また、図10に示すように、ダンパー取付部61は左側、ダンパー取付部62´は右側となるように配されており、また、図10の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部61とダンパー取付部61´とが、およびダンパー取付部62とダンパー取付部62´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部61とダンパー取付部61´およびダンパー取付部62とダンパー取付部62´が同じ位置となるように構成される。
また、外箱1の内部には、有底円筒形状を有する水槽60が、その後方側が水平面に対して5〜30°下降傾斜するように配される。水槽60は、その軸方向に対して前方側を成す前部60aと、水槽60の軸方向に対して後方側を成す後部60bとをネジ60cにて結合させて構成される。前部60aには、その上方外周面に後述するサスペンション27、28の一端が連結されるサスペンション取付部12が設けられる。また、前部60aには、図8に示すように、外箱開口部1aに対向して開口する水槽開口部60dが設けられる。水槽開口部60dには、第二の実施の形態と同様に、外箱開口部1aとの間にそれぞれの開口を相互に水密に連結させるドアパッキン14が取り付けられる。
水槽60の外周部の空間には、図9に示すように、乾燥工程において被洗濯物を乾燥させる乾燥ユニット73が設けられる。乾燥ユニット73は、水槽60の空気を吸い込み口である吸入口73aと、吸入口73aより吸い込んだ空気を除湿する除湿器73bと、除湿器73bによって除湿された空気を吸い込む送風ファン部73cと、送風ファン部73cによって吐き出された空気を加熱するヒータ部73dと、ヒータ部73dによって加熱された空気を水槽60内へと吐き出し口である吐出口73eとを備える。第三の実施の形態においては簡単のために吸入口73aおよび除湿器73bを水槽60の右側に配したが、吸入口73aおよび除湿器73bの配設位置はこの場所に限定するものではない。
また、前部60aには、図8および図9に示すように、その側方外周面に後述するダンパー65、65´の一端が連結されるダンパー取付部63、63´が配される。後部60bには、図8および図9に示すように、背面に後述するダンパー66、66´の一端が連結されるダンパー取付部64、64´が配される。図10に示すように、ダンパー取付部64は左側、ダンパー取付部64´は右側となるように配されており、また、図10の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部63とダンパー取付部63´とが、およびダンパー取付部64とダンパー取付部64´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部63とダンパー取付部63´およびダンパー取付部64とダンパー取付部64´が同じ位置となるように構成される。
水槽60の外側上方には、図8に示すように、水槽60の前後方向の振動を抑制するサスペンション27、28が配される。サスペンション27およびサスペンション28は、その一端を水槽60の外周面に設けられたサスペンション取付部12に連結するとともに、他端を天面2の下方に固着した連結部材8および連結部材9に連結される。このように、サスペンション27、28は、弾性的に吊り下げ支持するので、水槽60からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
水槽60の外側下方には、水槽60を下方より弾性的に押し上げ支持する緩衝手段たる4本のダンパー65、65´、66、66´が配される。ダンパー65、65´、66、66´は、その一端をそれぞれ底台3の底面部に設けられるダンパー取付部61、61´、62、62´に弾性部材67、67´、68、68´を介して連結されるとともに、他端をそれぞれ水槽60の外周面および背面に設けられるダンパー取付部63、63´、64、64´に弾性部材69、69´、70、70´を介して連結される。このように、ダンパー65、65´、66、66´は、水槽60を弾性的に押し上げ支持し、また、ダンパー65、65´、66、66´と水槽60および外箱1との連結が弾性部材67、67´、68、68´、69、69´、70、70´を介して行われるので、水槽60からの外箱1への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
図10に示すように、ダンパー65は、前方より見て水槽60の左側部を支持し、ダンパー66´は、前方より見て水槽60の右側部を支持する。また、図10に示すように、前方より見て、ダンパー取付部61はダンパー取付部63に対して左側となるように、ダンパー取付部62´はダンパー取付部64´に対して右側となるように配されており、また、上述したように、図10の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部61とダンパー取付部61´とが、およびダンパー取付部62とダンパー取付部62´とが、およびダンパー取付部63とダンパー取付部63´とが、およびダンパー取付部64とダンパー取付部64´とが線対称となるように配される。すなわち、ダンパー65、65´、66、66´は、図10の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、その取付状態において、左右対称となるように取り付けられる。
また、側方より見てダンパー取付部61とダンパー取付部61´とが、およびダンパー取付部62とダンパー取付部62´とが、およびダンパー取付部63とダンパー取付部63´とが、およびダンパー取付部64とダンパー取付部64´とがそれぞれの前後方向が同じ位置となるように配されるとともに、ダンパー取付部61、61´はそれぞれダンパー取付部63、63´に対して、ダンパー取付部62、62´はそれぞれダンパー取付部64、64´に対して鉛直下方となるように配置される。
すなわち、ダンパー取付部63とダンパー65との接続位置P7(図10参照)とダンパー取付部63´とダンパー65´との接続位置P8(図10参照)とを結ぶP7−P8軸(図10参照)およびダンパー取付部64とダンパー66との接続位置P9(図10参照)とダンパー取付部64´とダンパー66´との接続位置P10(図10参照)とを結ぶP9−P10軸(図10参照)がドラム式洗濯機の左右方向と一致する水平軸と平行を成すように配置される。なお、ここで、ダンパー取付部61、61´はそれぞれダンパー取付部63、63´に対して前方となるように、ダンパー取付部62、62´はそれぞれダンパー取付部64、64´に対して後方となるように配置してもよく、そのようにすると、水槽60の前後方向の振動を低減することができる。また、接続位置P9および接続位置P10は水槽60の背面となるように配しており、後述する振動体負荷72の重心の位置との前後方向の距離を大きくできるので、水槽60の前面側の上/下方向への変位および背面側の下/上方向への変位による回動を低減できる。
このドラム式洗濯機において、外箱1内にダンパー65、65´、66、66´(およびサスペンション27、28)によって水槽60(ダンパー取付部63、63´、64、64´およびサスペンション取付部12含む)とともに弾性支持される部材として、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット73が挙げられる。以降は、洗濯工程または乾燥工程において水槽60とともに振動するこれらの部材(水槽60、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット73等)より成る構成を荷重負荷71と呼称する。また、荷重負荷71と洗濯負荷34とを合計した重量体を振動体負荷72と呼称する。
荷重負荷71の重心の位置をg3、定格重量の洗濯物投入時の洗濯負荷34の重心の位置をg0、このときの振動体負荷72の重心の位置をG3として図8および図10に示す。本発明の第三の実施の形態において、洗濯負荷34の重心の位置g0は荷重負荷71の重心の位置g3の前方且つ下方に存在する。振動体負荷72の重心は、洗濯負荷34の重心の位置g0と荷重負荷71の重心の位置g3とを結ぶ線分上の点G3となる。ここで、図8に示すように、ダンパー65、65´は前後方向に関しては位置G3よりも前方を支持(P7およびP8が前後方向に関して位置G3よりも前方に存在する)、ダンパー66、66´は位置g3よりも後方を支持(P9およびP10が前後方向に関して位置g3よりも後方に存在する)する。このようにすると、振動体負荷72の重心の位置は前後左右方向において確実にP7、P8、P9、P10の4点を頂点とする四角形内に配されるので、水槽の上下左右方向への回動変位を低減できる。
また、第二の実施の形態とは異なり、ダンパー65、65´は高さ方向に関しては位置g3よりも低い位置を支持(P7およびP8が高さ方向に関して位置g3よりも低い位置に存在する)、ダンパー66、66´は高さ方向に関しては位置g3よりも高い位置を支持(P9、P10が高さ方向に関して位置g2よりも高い位置に存在する)するように配する。位置P7・P8・P9・P10は同一平面上に存在するように配され、本実施の形態においては位置P7・P8・P9・P10を通る平面上に位置g3が存在するように構成される。ここで、位置P7・P8・P9・P10を通る平面が高さ方向に関して位置g3よりも高い位置となるように構成すれば、それだけ位置P7・P8・P9・P10のそれぞれを結ぶ軸に対する水槽の回動による振動体負荷72の重心の位置の水平方向の変化を大きく出来るため振動低減効果を向上させることも可能である。
本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機において、洗い工程やすすぎ工程、脱水工程といった洗濯工程や、乾燥工程においては、水槽60内には洗濯負荷34が内包されており、その重心位置はG3より前方且つ下方に存在し、振動体負荷72の重心の上下方向の位置に関しても位置P7・P8・P9・P10のそれぞれを結ぶ軸よりも下方に存在する。ここで、振動体負荷72の重心の水平位置が変位すると、位置P7・P8・P9・P10それぞれを結ぶ軸回りの回動モーメントが発生し、水槽60は回動する。水槽60が回動すると、位置P7・P8・P9・P10のそれぞれを結ぶ軸と振動体負荷72の重心の位置との水平方向の距離は小さくなるので、水槽60を回動変位させるモーメントもまた小さくなる。このため、振動体負荷72の重心の位置の変動があった場合においてもそれによる振動は大きくなることはなく、洗濯運転においても水槽60の振動の小さい、ひいては、水槽60のダンパー65、65´、66、66´やサスペンション27、28を介しての外箱1への振動の伝播や、水槽60の外箱1への衝突等による騒音が発生することを防止できる。
また、本実施の形態のドラム式洗濯機においては、水槽60の最大幅となる直径位置の影響を受けない水槽60下方に前方側のダンパー65、65´との接続位置P7、P8を配するとともに、水槽60の背面側に後方側のダンパー66、66´との接続位置P9、P10を配することにより、外箱1の幅寸法を抑えることができる。また、水槽60後方のモータ22の配置や水槽60の傾斜による水槽60背面と外箱1背面との奥行きのギャップを利用して後方側のダンパー66、66´を配することにより奥行き寸法が大きくなることを抑えることもできる。
〔本発明の第四の実施の形態〕
次に、本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機を図11から図13に基づいて説明する。図11は、本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機を側方より見た概略縦断面図、図12は、図11とは異なる位置における側方より見た概略縦断面図、図13は、ダンパーによる水槽の支持構造を示す正面より見た概略縦断面図を示す。なお、この第四の実施の形態については、上述した第三の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機は、図11に示すように、下方を底台81にて覆われた外箱80を備える。外箱80の前面側には、第三の実施の形態と同様に、前方に向けて開口する外箱開口部80aを開閉する開閉扉4がヒンジ(図示せず)で外箱80に回動自在に取り付けられる。底台81の底面上側には後述するダンパー87の一端が連結されるダンパー取付部83、および、ダンパー88、88´の一端が連結されるダンパー取付部84、84´が設けられる。図11および図12に示すように、ダンパー取付部83は底台81の前方側(図11および図12における左側)、ダンパー取付部84、84´は底台81の後方側(図11および図12における右側)に配される。また、図13に示すように、ダンパー取付部84は左側、ダンパー取付部84´は右側となるように配されており、また、図11の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部84とダンパー取付部84´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部84とダンパー取付部84´が同じ位置となるように構成される。
また、外箱80の内部には、有底円筒形状を有する水槽82が、その後方側が水平面に対して5〜30°下降傾斜するように配される。水槽82は、その軸方向に対して前方側を成す前部82aと、水槽82の軸方向に対して後方側を成す後部82bとをネジ82cにて結合させて構成される。前部82aには、その上方外周面に後述するサスペンション27、28の一端が連結されるサスペンション取付部12が設けられる。また、前部82aには、図11に示すように、外箱開口部80aに対向して開口する水槽開口部82dが設けられる。水槽開口部82dには、第三の実施の形態と同様に、外箱開口部80aとの間にそれぞれの開口を相互に水密に連結させるドアパッキン14が取り付けられる。
また、前部82aには、図11および図12に示すように、その前面に後述するダンパー87の一端が連結されるダンパー取付部85が配される。後部82bには、図11および図12に示すように、側方外周面に後述するダンパー88、88´の一端が連結されるダンパー取付部86、86´が配される。図13に示すように、ダンパー取付部86は左側、ダンパー取付部86´は右側となるように配されており、また、図13の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部85とダンパー取付部85´とが、およびダンパー取付部86とダンパー取付部86´とが線対称となるように配される。また、側方より見てダンパー取付部85とダンパー取付部85´およびダンパー取付部86とダンパー取付部86´が同じ位置となるように構成される。
水槽82の外側上方には、図11に示すように、水槽82の前後方向の振動を抑制するサスペンション27、28が配される。サスペンション27およびサスペンション28は、その一端を水槽82の外周面に設けられたサスペンション取付部12に連結するとともに、他端を天面2の下方に固着した連結部材8および連結部材9に連結される。このように、サスペンション27、28は、弾性的に吊り下げ支持するので、水槽82からの外箱80への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
水槽82の外側下方には、水槽82を下方より弾性的に押し上げ支持する緩衝手段たる3本のダンパー87、88、88´が配される。ダンパー87、88、88´は、その一端をそれぞれ底台81の底面部に設けられるダンパー取付部83、84、84´に弾性部材89、90、90´を介して連結されるとともに、他端をそれぞれ水槽82の前面および背面に設けられるダンパー取付部85、86、86´に弾性部材91、92、92´を介して連結される。このように、ダンパー87、88、88´は、水槽82を弾性的に押し上げ支持し、また、ダンパー87、88、88´と水槽82および外箱80との連結が弾性部材89、90、90´、91、92、92´を介して行われるので、水槽82からの外箱80への振動の伝播、ひいては床への振動の伝達を発生しにくくすることができる。
図13に示すように、ダンパー87は前方より見て水槽82の中央部を、ダンパー88は左側部を、ダンパー88´は右側部を支持する。また、図13に示すように、前方より見て、ダンパー取付部83はダンパー取付部85に対して鉛直上方となるように、ダンパー取付部84はダンパー取付部86に対して左側となるように、ダンパー取付部84´はダンパー取付部86´に対して右側となるように配されており、また、上述したように、図13の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、ダンパー取付部84とダンパー取付部84´およびダンパー取付部86とダンパー取付部86´それぞれが線対称となるように配される。すなわち、ダンパー88、88´は、図13の断面図におけるドラム式洗濯機の中心を通る鉛直軸に対して、その取付状態において、左右対称となるように取り付けられる。
また、ダンパー取付部84とダンパー取付部84´およびダンパー取付部86とダンパー取付部86´がそれぞれの前後方向が同じ位置となるように配されるとともに、ダンパー取付部83はダンパー取付部85に対して、ダンパー取付部84、84´はそれぞれダンパー取付部86、86´に対して鉛直下方となるように配置される。
すなわち、ダンパー取付部86とダンパー88との接続位置P12(図13参照)とダンパー取付部86´とダンパー88´との接続位置P13(図13参照)とを結ぶP12−P13軸がドラム式洗濯機の左右方向と一致する水平軸と平行を成すように配置される。なお、ここで、ダンパー取付部83はダンパー取付部85に対して前方となるように、ダンパー取付部84、84´はそれぞれダンパー取付部86、86´に対して後方となるように配置してもよく、そのようにすると、水槽82の前後方向の振動を低減することができる。また、接続位置P11ならびに接続位置P12および接続位置P13は水槽82の前面ならびに背面となるように配しており、後述する振動体負荷94の重心の位置との前後方向の距離を大きくできるので、水槽82の前面側の上/下方向への変位および背面側の下/上方向への変位による回動を低減できる。
このドラム式洗濯機において、外箱80内にダンパー87、88、88´(およびサスペンション27、28)によって水槽82(ダンパー取付部85、86、86´およびサスペンション取付部12含む)とともに弾性支持される部材として、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット73が挙げられる。以降は、洗濯工程または乾燥工程において水槽82とともに振動するこれらの部材(水槽82、ドラム20、モータ22、液体バランサ23、乾燥ユニット73等)より成る構成を荷重負荷93と呼称する。また、荷重負荷51と洗濯負荷34とを合計した重量体を振動体負荷94と呼称する。
荷重負荷93の重心の位置をg4、定格重量の洗濯物投入時の洗濯負荷34の重心の位置をg0、このときの振動体負荷94の重心の位置をG4として図11および図13に示す。本発明の第四の実施の形態において、洗濯負荷34の重心の位置g0は荷重負荷93の重心の位置g4の前方且つ下方に存在する。振動体負荷94の重心は、洗濯負荷34の重心の位置g0と荷重負荷93の重心の位置g4とを結ぶ線分上の点G4となる。ここで、図11に示すように、ダンパー87は前後方向に関しては位置G4よりも前方を支持(P11が前後方向に関して位置G4よりも前方に存在する)、ダンパー88、88´は位置g4よりも後方を支持(P12およびP13が前後方向に関して位置g4よりも後方に存在する)する。
また、ダンパー87は高さ方向に関しては位置g4よりも低い位置を支持(P11が高さ方向に関して位置g4よりも低い位置に存在する)、ダンパー88、88´は高さ方向に関しては位置g4よりも高い位置を支持(P12、P13が高さ方向に関して位置g4よりも高い位置に存在する)するように配する。位置P11・P12・P13は同一平面上に存在するように配され、本実施の形態においては位置P11・P12・P13を通る平面上に位置g4が存在するように構成される。ここで、位置P11・P12・P13を通る平面が高さ方向に関して位置g3よりも高い位置となるように構成すれば、それだけ位置P11・P12・P13のそれぞれを結ぶ軸に対する水槽の回動による振動体負荷72の重心の位置の水平方向の変化を大きく出来るため振動低減効果を向上させることも可能である。
本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機において、洗い工程やすすぎ工程、脱水工程といった洗濯工程や、乾燥工程においては、水槽82内には洗濯負荷34が内包されており、その重心位置はG4より前方且つ下方に存在し、振動体負荷94の重心の上下方向の位置に関しても位置P11・P12・P13のそれぞれを結ぶ軸よりも下方に存在する。ここで、振動体負荷94の重心の水平位置が変位すると、位置P11・P12・P13のそれぞれを結ぶ軸回りの回動モーメントが発生し、水槽82は回動する。水槽82が回動すると、位置P11・P12・P13のそれぞれを結ぶ軸と振動体負荷94の重心の位置との水平方向の距離は小さくなるので、水槽82を回動変位させるモーメントもまた小さくなる。このため、振動体負荷94の重心の位置の変動があった場合においてもそれによる振動は大きくなることはなく、洗濯運転においても水槽82の振動の小さい、ひいては、水槽82のダンパー87、88、88´やサスペンション27、28を介しての外箱80への振動の伝播や、水槽82の外箱80への衝突等による騒音が発生することを防止できる。
また、本実施の形態のドラム式洗濯機においては、水槽82の最大幅となる直径位置の影響を受けない水槽82前面に前方側のダンパー87との接続位置P11を配するとともに、水槽82の背面側に後方側のダンパー88、88´との接続位置P12、P13を配することにより、外箱80の幅寸法を抑えることができる。また、水槽82前方の外箱開口部80aに設けられる下方側スペースを利用して前方側のダンパー87を配したり、水槽82後方のモータ22の配置や水槽82の傾斜による水槽82背面と外箱80背面との奥行きのギャップを利用して後方側のダンパー88、88´を配することにより奥行き寸法が大きくなることを抑えることもできる。
また、第二の実施の形態から第四の実施の形態においては、荷重負荷の重心がダンパーと水槽とのそれぞれの接続位置を通る平面上に存在するようにドラム式洗濯機を構成したが、ダンパーと水槽との接続位置の内の2箇所との間を結ぶ軸およびこの軸と垂直に交差する水平線を含む平面の内の少なくとも1つの平面上にあるように、またはこの少なくとも1つの平面よりも低い位置に荷重負荷の重心位置を配するように構成すると、水槽の回動変位によってその軸と振動体負荷の重心の位置との水平方向の距離は小さくなるので、水槽を回動変位させるモーメントは小さくなり、振動を小さく抑えることができる。
本発明は、水槽を弾性的に押上支持する緩衝手段を備えるドラム式洗濯機に適用可能である。
本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視概略図である。 本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機の側方からの概略縦断面図である。 本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機の図2とは異なる位置における側方からの概略縦断面図である。 本発明の第一の実施の形態に係るドラム式洗濯機の正面からの水槽のダンパーによる支持構造を示す概略縦断面図である。 本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機の側方からの概略縦断面図である。 本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機の図5とは異なる位置における側方からの概略縦断面図である。 本発明の第二の実施の形態に係るドラム式洗濯機の正面からの水槽のダンパーによる支持構造を示す概略縦断面図である。 本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機の側方からの概略縦断面図である。 本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機の図8とは異なる位置における側方からの概略縦断面図である。 本発明の第三の実施の形態に係るドラム式洗濯機の正面からの水槽のダンパーによる支持構造を示す概略縦断面図である。 本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機の側方からの概略縦断面図である。 本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機の図11とは異なる位置における側方からの概略縦断面図である。 本発明の第四の実施の形態に係るドラム式洗濯機の正面からの水槽のダンパーによる支持構造を示す概略縦断面図である。 従来のドラム式洗濯機の側方からの概略縦断面図である。 従来のドラム式洗濯機の図14とは異なる位置における側方からの概略縦断面図である。
符号の説明
1、80:外箱
1a、80a:外箱開口部
10、60、82:水槽
10d、60d、82d:水槽開口部
20:ドラム
20a:ドラム開口部
22:モータ
23:液体バランサ
24、73:乾燥ユニット
27、28:サスペンション
30、30´、45、45´、46、46´、65、65´、66、66´、87、88、88´:ダンパー
33、51、71、93:荷重負荷
34:洗濯負荷
35、52、72、94:振動体負荷
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13:接続位置
g0:洗濯負荷の重心位置
g1、g2、g3、g4:荷重負荷の重心位置
G1、G2、G3、G4:振動体負荷の重心位置

Claims (4)

  1. 前方に開口する外箱開口部を備えた外箱と、前記外箱開口部と対向して開口する水槽開口部を有して前記外箱内に配設される水槽と、前記水槽開口部と対向して開口するドラム開口部を有して前記水槽に内包されるドラムと、前記ドラムを回転駆動する電動機と、前記水槽を前記外箱内に下方より弾性支持する2つの緩衝手段とを備えたドラム式洗濯機において、
    前記水槽と前記ドラムと前記電動機とを備えて前記2つの緩衝手段にて前記外箱内に弾性支持される荷重負荷の重心の位置に対し、前記2つの緩衝手段の前記水槽との接続位置の間を結ぶ軸が、上下方向において同じ高さ、または高い位置にあり、
    かつ、前記2つの緩衝手段の前記水槽との接続位置の間を結ぶ軸が、前記荷重負荷の重心と、前記水槽の内部に収容される定格重量の洗濯物と水よりなる洗濯負荷と前記荷重負荷とからなる振動体負荷の重心との間になるように、前記2つの緩衝手段を配したことを特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 前方に開口する外箱開口部を備えた外箱と、前記外箱開口部と対向して開口する水槽開口部を有して前記外箱内に配設される水槽と、前記水槽開口部と対向して開口するドラム開口部を有して前記水槽に内包されるドラムと、前記ドラムを回転駆動する電動機と、前記水槽を前記外箱内に下方より弾性支持する3つの緩衝手段とを備えたドラム式洗濯機において、
    前記水槽と前記ドラムと前記電動機とを備えて前記3つの緩衝手段にて前記外箱内に弾性支持される荷重負荷の重心の位置に対し、2つの緩衝手段の前記水槽との接続位置の間を結ぶ軸が、前記ドラムの回転軸方向における前後方向において後方で、かつ上下方向において高く、残り1つの緩衝手段の前記水槽との接続位置が、前後方向において前方で、かつ上下方向において低くなるように、前記3つの緩衝手段を配したことを特徴とするドラム式洗濯機。
  3. 請求項2に記載のドラム式洗濯機において、
    前記荷重負荷の重心が、前記3つの緩衝手段の前記水槽との接続位置の3箇所を通る平面上に、または前記3箇所を通る平面よりも低い位置にあるように、前記3つの緩衝手段を配したことを特徴とするドラム式洗濯機。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のドラム式洗濯機において、
    前記水槽の前方上部に設けられた弾性部材によって前記水槽を吊り下げ支持したことを特徴とするドラム式洗濯機。
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