JP4535626B2 - キースイッチ装置及びキーボード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、打鍵操作されるキースイッチ装置に関し、特に、電子機器の入力装置であるキーボードで好適に使用されるキースイッチ装置に関する。さらに本発明は、そのようなキースイッチ装置を複数個備えたキーボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ等の電子機器の入力装置であるキーボードに装備されるキースイッチ装置は、従来、種々の構成のものが知られている。特に、机上据置型電子機器に付設されるキーボードでは、ベース上でキートップを昇降方向へ摺動式に案内する入れ子型案内構造を有するキースイッチ装置が多用されている。この種のキースイッチ装置において、一般に入れ子型案内構造は、ベースに連結される筒状の第1案内部と、キートップに連結される筒状の第2案内部とを備え、第1案内部と第2案内部とが互いに入れ子式摺動可能に係合した状態で、キートップがベース上に昇降方向へ移動可能に配置される。
【0003】
このキースイッチ装置では、入れ子型案内構造を構成するベースの第1案内部とキートップの第2案内部とが互いに円滑に摺動できることが、良好な打鍵操作性を確保するための1つの要件となっている。従来、このような入れ子型案内構造における摺動性の要件を満たすために、第1及び第2案内部を互いに異なる樹脂材料から作製することが有効であることが判っている。さらに、第1及び第2案内部の少なくとも一方を摩擦係数の小さい樹脂材料から作製することにより、キートップの打鍵操作性を一層向上させることができる。しかし、摩擦係数の小さい樹脂材料は一般に高価であるから、通常は、第1及び第2案内部を比較的安価な樹脂材料から作製した上で、それら第1及び第2案内部の相互摺動面(すなわち案内面)間に潤滑剤を塗布する対策が講じられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した入れ子型案内構造を備える従来のキースイッチ装置において、ベースの第1案内部とキートップの第2案内部との相互摺動面間に潤滑剤を塗布した場合には、キートップの打鍵操作性は、潤滑剤自体の性能だけでなく相互摺動面間での潤滑剤保持能力に依存する。しかし従来の構成では、潤滑剤が第1及び第2案内部の相互摺動面間の全体に容易に広がるので、特に比較的高温の環境下で打鍵操作を繰り返すような場合には、潤滑剤の流失及び蒸発により相互摺動面間の摩擦力が次第に高まり、打鍵操作感覚に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0005】
ところで、上記した入れ子型案内構造を備える従来のキースイッチ装置を組み立てる際には、一般に手作業で、ベースの第1案内部に対してキートップの第2案内部を位置合わせしつつ入れ子式に係合させて、キートップをベースに組み付けている。したがって特に、第1及び第2案内部が、対応する略多角形横断面形状の第1及び第2表面をそれぞれに有して、それら第1及び第2表面を互いに対向させた状態で相互に摺動可能に係合する構成の場合には、第1及び第2案内部を適正に相互係合させるために、第1及び第2表面の横断面形状が互いに合致する方向にキートップをベース上で正確に方向付けする必要が生じる。その結果、キースイッチ装置の組立作業性が悪化し、多数のキースイッチ装置を装備するキーボードの製造コストが増加する傾向がある。
【0006】
したがって本発明の目的は、ベース及びキートップが相互摺動可能なそれぞれの案内面に沿って相対移動するキースイッチ装置において、両者の案内面間での潤滑剤保持能力を向上させて、キートップの良好な打鍵操作性を長期間に渡り維持できるキースイッチ装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、ベースとキートップとの間に入れ子型の案内構造を有するキースイッチ装置において、キートップをベースに組み付ける際にキートップを容易に位置決めかつ方向付けすることができ、以って組立工程を簡略化して製造コストを低減できるキースイッチ装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記したようなキースイッチ装置を複数個備え、操作性及び組立作業性に優れたキーボードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、略矩形横断面形状の内周面を有する筒状のスリーブを備えるベースと、該内周面に対応する略矩形横断面形状の外周面を有する筒状のスライダを備えるキートップとを具備し、該キートップは、該外周面を該内周面に対向させて該スライダが該スリーブに摺動可能に係合した状態で、該ベース上に昇降方向へ移動可能に配置されるキースイッチ装置において、前記スリーブの軸線方向端面に、前記内周面の前記略矩形横断面形状における4つの隅領域を最低部位とする複数の傾斜面が形成され、前記ベースが、前記スリーブの前記内周面に第1案内面を有し、前記キートップが、前記スライダの前記外周面の四隅のそれぞれに、該第1案内面に係合する第2案内面を有して、該第1案内面及び該第2案内面に沿って前記昇降方向へ摺動式に案内され、前記第2案内面の各々に、前記キートップの前記昇降方向に延びる少なくとも1つの溝が形成され、該溝内に潤滑剤が充填されることを特徴とするキースイッチ装置を提供する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキースイッチ装置を複数個配列して構成されるキーボードを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は本発明の第1の実施形態によるキースイッチ装置10の分解正面図、図2はキースイッチ装置10の組立縦断面図、図3はキースイッチ装置10の組立横断面図である。キースイッチ装置10は、ベース12と、ベース12上に昇降方向へ移動可能に配置され、オペレータの手指で打鍵される操作面14aを有するキートップ14と、キートップ14をベース12上で昇降方向へ摺動式に案内する入れ子型の案内構造16と、キートップ14の昇降動作に対応して電気回路の接点を開閉するスイッチ機構18とを備えて構成される。
【0013】
ベース12は、互いに固定的に組み合わされる略平板状の下板20及び上板22を備える。上板22の所定位置には、その表面22aから外方へ直立状に突出する中空筒状のスリーブ24が一体的に設けられる。スリーブ24は、上板表面22aに隣接する基端部分26で、基端部分26に隣接する末端側の主部分28よりも径方向へ拡張した形状を有する。スリーブ24の主部分28は、略円形横断面形状を呈する外周面30と略矩形横断面形状を呈する内周面32とを有し、内周面32の軸線方向末端に、キートップ14によって遮蔽される略矩形の中心開口34が画定される。また、スリーブ24の主部分28には、略矩形横断面形状を呈する内周面32の対向部位のそれぞれに、その軸線方向中間位置から基端部分26まで直線状に延びる案内溝36が凹設される。
【0014】
キートップ14は、略角錐台外形を有する笠状の部材であり、操作面14aの反対側の内面14bに、直立状に突出する中空筒状のスライダ38が一体的に設けられる。スライダ38は、互いに対応する略矩形横断面形状を呈する外周面40及び内周面42を有する。スライダ38の外周面40には、その略矩形横断面形状の四隅に、外方へ略同一曲率で膨出する円弧面44が軸線方向全長に渡ってそれぞれ形成される。また、スライダ38には、略矩形横断面形状を呈する内周面42の対向部位のそれぞれに、軸線方向全長に渡って直線状に延びる一対のスリット46が、外周面40まで貫通して設けられる。そして各一対のスリット46の間には、キートップ内面14bから略直立状に延出する弾性腕48が形成される。各弾性腕48は、キートップ内周面14bとの連結部位を支点として弾性的に揺動可能であり、その末端の自由端に、外方へ突出する爪50が設けられる。
【0015】
案内構造16は、ベース12のスリーブ24とキートップ14のスライダ38とから構成される。すなわち、ベース12のスリーブ24の主部分28は第1案内部として機能し、キートップ14のスライダ38は、第1案内部に摺動可能に係合する第2案内部として機能する。第1案内部の第1表面すなわちスリーブ主部分28の内周面32と、第2案内部の第2表面すなわちスライダ38の外周面40とは、互いに対応する略矩形横断面形状を呈し、スライダ38がその外周面40を内周面32に対向させた状態で、スリーブ主部分28に実質的にがたつき無く軸線方向摺動可能に収容される。
【0016】
キートップ14をベース12に適正に組み付けた状態では、スライダ38の外周面40の四隅に設けた円弧面44が、スリーブ主部分28の内周面32の四隅近傍領域に接触し、スライダ38に設けた一組の弾性腕48がそれらの自由端の爪50で、スリーブ主部分28の内周面32に設けた一組の案内溝36に受容される。この状態で、スリーブ主部分28の内周面32が第1案内面として機能し、スライダ38の外周面40の四隅に設けた円弧面44が第2案内面として機能して、キートップ14をベース12上でそれら内周面32及び円弧面44に沿って昇降方向へ案内する。それによりキートップ14は、ベース12に対し略鉛直方向へ、操作面14aを上板表面22aに略平行に配置した所定の略水平姿勢を保持しつつ平行移動できる。なお、キートップ14の打鍵ストロークすなわち昇降ストロークの上限位置は、スライダ38の各弾性腕48の爪50が、スリーブ主部分28の対応する案内溝36の上端肩面36aに衝合した時点で規定される。
【0017】
スイッチ機構18は、各々に形成した接点(接点部52として略示する)を互いに対向させる一対のシート基板(図示せず)を有するメンブレンスイッチ54と、キートップ14とメンブレンスイッチ54との間に配置され、キートップ14の下降動作に伴い接点部52を閉じるように作用する作動部材56とから構成される。メンブレンスイッチ54は、フレキシブル印刷回路板からなる両シート基板の間にスペーサ(図示せず)を介在させて、ベース12の下板20上に支持され、接点部52が、スリーブ24の中心開口34の略中心点に対し軸線方向へ整列する位置に配置される。
【0018】
作動部材56は、ゴム材料から一体成形されたドーム状部材であり、ドーム頂部56aをキートップ14側に向けた姿勢で、ベース12のスリーブ24の基端部分26内に配置される。作動部材56のドーム頂部56aの外面は、キートップ14のスライダ38の軸線方向端面に当接される。作動部材56のドーム頂部56aの内面には、メンブレンスイッチ54に向かって延びる柱状の押圧部56bが形成される。作動部材56は、無負荷時には押圧部56bをメンブレンスイッチ54の上方に離隔して配置する。
【0019】
メンブレンスイッチ54の接点部52は、一対のシート基板が本質的に有するこしによりスペーサを介して通常は開状態に保持され、作動部材56の押圧部56aの下方に位置決めされる。作動部材56のドーム頂部56aにメンブレンスイッチ54に接近する方向への外力が加わると、作動部材56は弾性変形し、その押圧部56aがメンブレンスイッチ54を外側から押圧したときに、接点部52が閉成される。なお、図示実施形態では作動部材56は、メンブレンスイッチ54とベース12の上板22との間に配置される可撓性を有するシート部材58に一体的に連結される。
【0020】
上記構成において、キートップ14に外力が加わらないときには、スイッチ機構18の作動部材56がドーム頂部56aの外面で、スライダ38を介してキートップ14を打鍵ストロークの上限位置に付勢支持する。このときメンブレンスイッチ54は、接点部52が開いた状態にある。オペレータの打鍵操作によりキートップ14が押下げられると、作動部材56はキートップ14に上向きの弾性付勢力を及ぼしつつ変形し、キートップ14が下限位置に達する直前にメンブレンスイッチ54を外側から押圧して接点部52を閉じる。キートップ14への押下げ力が解除されると、作動部材56が弾性的に復元し、キートップ14を上限位置へ復帰させるとともに、メンブレンスイッチ54が復元して接点部52が開く。
【0021】
キースイッチ装置10では、キートップ14の打鍵操作性を向上させるために、キートップ14の第2案内面すなわちスライダ38の外周面40の四隅に設けた円弧面44の各々に、キートップ昇降方向に延びる細溝60を形成するとともに、各細溝60内に潤滑剤62を充填している(図4参照)。図示実施形態では、スライダ38の各円弧面44におけるスリーブ主部分28の内周面32に接触する部位に、スライダ38の全長に渡って軸線方向へ直線状に延びる一対の細溝60が形成されている。潤滑剤62は、毛管現象によって各細溝60の全体に満遍なく充填され、表面張力により各円弧面44とスリーブ主部分28の内周面32との間の微小隙間に安定的に保持される。なお潤滑剤62としては、グリース等の一般的なものを使用できる。
【0022】
上記構成を有するキースイッチ装置10によれば、キートップ14を繰り返して打鍵操作する間に、スライダ38の各円弧面44の細溝60に充填した潤滑剤62は、細溝60から流出することなく各円弧面44とスリーブ主部分28の内周面32との間の微小隙間に安定的に保持されるので、スライダ38とスリーブ主部分28との相互摩擦力を低減したキートップ14の良好な打鍵操作性を、長期間に渡り維持することができる。特に、比較的高温の環境下で打鍵操作を繰り返すような場合にも、潤滑剤62の露出面積が少ないのでその蒸発を抑制することができ、スライダ38の各円弧面44とスリーブ主部分28の内周面32との間の摩擦力の上昇を確実に防止することができる。
【0023】
キースイッチ装置10におけるこのような打鍵操作性向上機能を明確にするために、本願の発明者は、キートップ14の操作面14aの中央領域を打鍵したときと端縁領域を打鍵したときとの打鍵力の比の変動(特に高温環境下での変動)を測定し、従来の潤滑剤付き入れ子型案内構造を備えるキースイッチ装置と比較した。通常、キートップ操作面の端縁領域を打鍵したときには、スリーブ内でスライダが傾くことにより、中央領域を打鍵したときに比べて摩擦力が増加することが判っている。実験では、従来構造において、常温環境でのキートップ操作面の中央打鍵力に対する端縁打鍵力の比が113%の場合に、65℃の環境下に24時間置いた後には、同じ打鍵力の比が125%に上昇することが観察された。これは、高温環境下に曝されたことにより潤滑剤が流失及び蒸発したためと考えられる。これに対し、本発明に係るキースイッチ装置10では、常温環境でのキートップ操作面の中央打鍵力に対する端縁打鍵力の比が同様に113%の場合に、65℃の環境下に24時間置いた後であっても、同じ打鍵力の比の上昇が115%に抑制されていることが観察された。
【0024】
キースイッチ装置10における案内構造16の構成は、様々な変形が可能である。
例えば、ベース12のスリーブ24には、図5に示すように、略矩形横断面形状を呈する内周面32の四隅のそれぞれに内側へ段状に隆起する一対の平坦な第1案内面64を設け、各第1案内面64に軸線方向へ延びる1本の細溝66を形成することができる。或いは図6に示すように、スリーブ24の各第1案内面64に、軸線方向へ延びる複数本の細溝66を形成することもできる。このようなスリーブ24を、前述したキートップ14のスライダ38と組み合わせれば、潤滑剤62をスライダ38の各細溝60とスリーブ24の各細溝66との双方に充填できるので、潤滑剤62の充填量を増加することができる。
【0025】
図5及び図6に示すスリーブ24は、例えば図7(a)及び(b)に示すように、外周面40の四隅のそれぞれに外方へ段状に隆起する一対の平坦な第2案内面68を有するスライダ38と組み合わせることもできる。この場合、スライダ38の各第2案内面68には、潤滑剤充填用の細溝を形成する必要がない。或いは図8に示すように、スライダ38の各第2案内面68に、1本以上の細溝70を形成してもよい。図8に示す溝付きスライダ38は、図3に示す溝無しスリーブ24と組み合わせることもできる。
【0026】
図示しないが、スリーブ24及びスライダ38の相互対向面(内周面32及び外周面40)は、図示のような略矩形横断面形状に限らず、円形、楕円形、多角形等の他の様々な横断面形状を有することができる。また、スリーブ24及びスライダ38はいずれも、図示のような入れ子型の筒状体に限らず、キートップ14に対する昇降方向案内機能を発揮できることを前提に、分散配置される複数の柱状体や壁状体等の他の様々な形態を採ることができる。さらに、ベース12の上板22とスリーブ24とを互いに別部材から形成したり、キートップ14とスライダ38とを互いに別部材から形成したりすることもできる。
【0027】
ところで、上記した案内構造16を備えるキースイッチ装置10を組み立てる際には、一般に手作業で、ベース12のスリーブ24に対してキートップ14のスライダ38を位置合わせしつつ入れ子式に係合させて、キートップ14をベース12に組み付けることになる。このとき、スリーブ24とスライダ38とを適正に相互係合させるために、スリーブ内周面32とスライダ外周面40との略矩形横断面形状が互いに合致する方向に、キートップ14をベース12上で正確に方向付けする必要が生じる。図9及び図10は、このような組立工程中のキートップ14の位置決め及び方向付けを容易にする構成を有した本発明の第2の実施形態によるキースイッチ装置の主要部を示す。
【0028】
第2の実施形態によるキースイッチ装置は、ベースに設けたスリーブの構成以外は、前述したキースイッチ装置10と実質的同一の構成を有するものとし、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
このキースイッチ装置では、ベース12の上板22に設けたスリーブ72の主部分74の軸線方向端面に、その内周面76の略矩形横断面形状における4つの隅領域78を最低部位とする複数の傾斜面80が形成されている。スリ−ブ72は、これら傾斜面80を設けたこと以外は、前述したキースイッチ装置10のスリーブ24と実質的同一の構成を有する。
【0029】
このキースイッチ装置を組み立てる際には、キートップ14(図1)のスライダ38をベース12のスリーブ72の主部分74に挿入するとともに、一対の弾性腕48をそれらの爪50で主部分74の内周面76に係合させることにより弾性的に揺動させ、最終的に各爪50を対応の案内溝82にスナップ式に嵌入する。ここで、例えば図10に示すように、スライダ38をスリーブ72に挿入しようとするときに、スライダ外周面40とスリーブ内周面76とが互いに軸線中心で回転方向にずれるような位置に置かれていた場合には、スライダ38の軸線方向端面が四隅の円弧面44に隣接する部位でスリーブ72の軸線方向端面に衝突する。
【0030】
このとき、スライダ38すなわちキートップ14をスリーブ72に対しさらに押し込むと、スライダ38の軸線方向端面の衝突部位がスリーブ72の軸線方向端面に設けた傾斜面80に沿って摺動し、傾斜面80の最低部位にある隅領域78に向けて案内される。それに伴い、スライダ38すなわちキートップ14が、スライダ38の軸線を中心に自動的に回転し、最終的に、スライダ38の四隅の円弧面44がスリーブ72の4つの隅領域78に合致する位置に配置される。このようにして、スリーブ内周面32とスライダ外周面40との略矩形横断面形状が互いに合致する方向に、キートップ14がベース12上で自動的に方向付けされる。そこで、スライダ38すなわちキートップ14をスリーブ72に対し継続して押し込むことにより、キートップ14をベース12に適正に組み付けることができる。
【0031】
このように、第2実施形態によるキースイッチ装置によれば、キートップ14をベース12に組み付ける際にキートップ14を適正位置に容易に位置決めかつ方向付けすることができる。したがって、キースイッチ装置の組立作業性が改善され、多数のキースイッチ装置を装備するキーボードの製造コストの上昇が抑制される。なお上記構成において、スリーブ72の軸線方向端面に傾斜面80を設ける代わりに、或いはそれに加えて、スライダ38の軸線方向端面に、スライダ外周面40の略矩形横断面形状における隅領域を最低部位とする傾斜面を設けることもできる。このような構成によっても、同様の作用効果が得られることは理解されよう。
【0032】
本発明に係るキースイッチ装置を複数個配列して構成したキーボードにおいては、例えば前述したベース12の下板20及び上板22、並びにスイッチ機構18のメンブレンスイッチ54及びシート部材58がいずれも、キーボードに組み込まれる全てのキースイッチ装置に対して共通する大判の部材として形成される。このような構成を有するキーボードは、キースイッチ装置の操作性及び組立作業性に優れたものとなる。
【0033】
図11は、そのようなキーボードの一例としてのテンキー装置90を示す。テンキー装置90は、筐体92と、筐体92に配列される複数の数字キー94と、筐体92から延出する接続ケーブル96とを備え、接続ケーブル96を介して、パーソナルコンピュータ等の電子機器に着脱自在に接続される。各数字キー94は、前述した本発明の第1及び第2実施形態によるキースイッチ装置と同様の構成を有することができる。或いは数字キー94は、従来周知のキースイッチ装置の構成を有していてもよい。
【0034】
図12に示すように、筐体92は、複数の数字キー94のベースを構成する矩形箱状の下板部材98を有する。下板部材98の一側面には開口部100が形成され、底面には開口部100に近接して中空のボス102が直立状に立設される。下板部材98には、接続ケーブル96を支持する支持部材104が回動自在に取り付けられる。
【0035】
支持部材104は、略半円状の基板部分106と、基板部分106の円弧状の外縁に沿って直立状に立設される周壁部分108とを一体的に備える。支持部材104の基板部分106には、周壁部分108に対する実質的中心位置に、ボス102を受容可能な貫通孔110が形成され、貫通孔110に近接して一対の支持壁112が直立状に立設される。また周壁部分108の周方向中央には、両支持壁112に近接する位置に切欠き114が形成される。接続ケーブル96は、一対の支持壁112の間に圧入されるとともに、切欠き114に受容されて、筐体92の外部に延長される。
【0036】
図13に示すように、支持部材104は、基板部分106を下板部材98の底面に対向させて、ボス102を貫通孔110に好ましくはがたつき無く受容した状態で、ボルト116及びナット118を用いて下板部材98に装着される。このとき、支持部材104の基板部分106及び周壁部分108は、それらの大部分が、下板部材98の開口部100を通して外部に露出する。この状態で、ボルト116及びナット118を緩めておけば、支持部材104を下板部材98上でボス102を中心に回動させることができる。また、ボルト116及びナット118を締め付けることにより、支持部材104を下板部材98上で所望の回転位置に固定することができる。
【0037】
このように、テンキー装置90では、筐体92に回動自在に取り付けられる支持部材104に接続ケーブル96を支持させて筐体92外部に導出させたので、筐体92からの接続ケーブル96の導出方向を自在に変更することができるとともに、所望の導出方向に固定することができる。したがってテンキー装置90は、操作者の要求に応じて、接続対象の電子機器に対し所望の方向に向けて配置できる。
【0038】
さらにテンキー装置90は、図11に示すように、複数の数字キー94のうちで「0」キー94aを配置する筐体92上の領域92aを側方へ拡幅するとともに、「0」キー94aの寸法を横方向へ拡大している。このような構成によれば、特に親指で操作されることの多い「0」キー94aの、親指による操作性を高めることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ベース及びキートップが相互摺動可能なそれぞれの案内面に沿って相対移動するキースイッチ装置において、両者の案内面間での潤滑剤保持能力を向上させて、キートップの良好な打鍵操作性を長期間に渡り維持することが可能になる。また、ベースとキートップとの間に入れ子型の案内構造を有するキースイッチ装置において、キートップをベースに組み付ける際にキートップを容易に位置決めかつ方向付けできるようになり、その結果、組立工程を簡略化して製造コストを低減することが可能になる。このようなキースイッチ装置を複数個備えるキーボードは、操作性及び組立作業性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるキースイッチ装置の分解正面図である。
【図2】図1のキースイッチ装置の組立時の図で、図3の線II−IIに沿った縦断面で示す。
【図3】図1のキースイッチ装置の組立時の図で、図2の線III−IIIに沿った横断面で示す。
【図4】図1のキースイッチ装置の主要部を示す部分拡大横断面図である。
【図5】図1のキースイッチ装置で使用可能な変形例による第1案内部の平面図である。
【図6】図1のキースイッチ装置で使用可能な他の変形例による第1案内部の平面図である。
【図7】図1のキースイッチ装置で使用可能な変形例による第2案内部を示す図で、(a)キートップの縦断面図、及び(b)スライダの横断面図である。
【図8】図1のキースイッチ装置で使用可能な他の変形例による第2案内部の横断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるキースイッチ装置で使用される第1案内部を示す縦断面図である。
【図10】第2の実施形態によるキースイッチ装置の案内構造を示す横断面図である。
【図11】本発明の実施形態によるキーボードの一例としてのテンキー装置の斜視図である。
【図12】図11のテンキー装置の下部構造を示す分解斜視図である。
【図13】図12の下部構造の部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10…キースイッチ装置
12…ベース
14…キートップ
16…案内構造
18…スイッチ機構
24、72…スリーブ
28、74…主部分
32、76…内周面
38…スライダ
40…外周面
44…円弧面
48…弾性腕
60、66、70…細溝
62…潤滑剤
78…隅領域
80…傾斜面
90…テンキー装置
92…筐体
94…数字キー
96…接続ケーブル
104…支持部材
Claims (2)
- 略矩形横断面形状の内周面を有する筒状のスリーブを備えるベースと、該内周面に対応する略矩形横断面形状の外周面を有する筒状のスライダを備えるキートップとを具備し、該キートップは、該外周面を該内周面に対向させて該スライダが該スリーブに摺動可能に係合した状態で、該ベース上に昇降方向へ移動可能に配置されるキースイッチ装置において、
前記スリーブの軸線方向端面に、前記内周面の前記略矩形横断面形状における4つの隅領域を最低部位とする複数の傾斜面が形成され、
前記ベースが、前記スリーブの前記内周面に第1案内面を有し、前記キートップが、前記スライダの前記外周面の四隅のそれぞれに、該第1案内面に係合する第2案内面を有して、該第1案内面及び該第2案内面に沿って前記昇降方向へ摺動式に案内され、
前記第2案内面の各々に、前記キートップの前記昇降方向に延びる少なくとも1つの溝が形成され、該溝内に潤滑剤が充填されること、
を特徴とするキースイッチ装置。 - 請求項1に記載のキースイッチ装置を複数個配列して構成されるキーボード。
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