JP4535255B2 - 高硬度鋼の高速切削加工で表面被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐チッピング性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)例えば図2(a)に概略平面図、同(b)に概略正面図で示される、物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置、すなわち、中央部に回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、カソード電極(蒸発源)として表面被覆層を構成する硬質層形成用Ti−Al−Si合金、同じくカソード電極(蒸発源)として同潤滑層形成用金属Crを設けたアークイオンプレーティング装置を用い、
(b)上記回転テーブル上に炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された超硬基体を装着し、
(c)まず、ヒータで装置内を、例えば500℃の温度に加熱した状態で、まず、Arガスを装置内に導入して10PaのArガス雰囲気とし、前記超硬基体には、例えば−800Vのバイアス電圧を印加して、前記超硬基体表面をArガスボンバード洗浄処理し、
(d)ついで、硬質層形成用カソード電極(蒸発源)として装着された所定組成を有するTi−Al−Si合金とアノード電極との間に、例えば電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば2Paの反応雰囲気とし、一方上記超硬基体には、例えば−100Vのバイアス電圧を印加した条件で、前記超硬基体の表面に、
組成式:(Ti1-(X+Z) AlX SiZ )N(ただし、原子比で、Xは0.25〜0.65、Zは0.01〜0.10を示す)、
を満足するTiとAlとSiの複合窒化物[以下、(Ti,Al,Si)Nで示す]層からなる硬質層を1〜10μmの平均層厚で蒸着形成し、
(e)さらに、装置内雰囲気を、例えば2.7mPa以下の真空とした状態で、上記超硬基体には、例えば−800Vの直流バイアス電圧を印加して、前記(Ti,Al,Si)N層(硬質層)の表面を真空ボンバード洗浄処理し、
(f)上記超硬基体に印加される直流バイアス電圧を、例えば−100Vとして、前記潤滑層形成用のカソード電極(蒸発源)として配置した金属Crとアノード電極との間に、例えば電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして酸素ガスを導入して、例えば2Paの反応雰囲気した条件で、上記硬質層に重ねて、酸化クロム(以下、Cr−Oで示す)層からなる潤滑層を0.3〜10μmの平均層厚で蒸着形成する、
以上(a)〜(f)の工程で製造されることも知られており、前記(Ti,Al,Si)N層が、構成成分であるAlによって高温硬さと耐熱性、同Tiによって高温強度を具備し、さらに同Siによって一段の耐熱性向上効果を有し、これに加えてすぐれた潤滑性を有する上記Cr−O層と相俟って、この結果製造された被覆超硬工具は、特に上記の高硬度鋼などの被削材の連続切削や断続切削加工に用いた場合にすぐれた切削性能を発揮することも知られている。
(a)上記の従来被覆超硬工具の製造方法においては、潤滑層であるCr−O層は、例えば図2に示されるアークイオンプレーティング装置を用い、カソード電極(蒸発源)として設置した金属Crとアノード電極との間に発生させたアーク放電でCrイオンを放出し、同時に装置内に反応ガスとして導入した酸素ガスと反応させることにより形成されるため、Crと酸素の結合反応が不安定であり、この結果Crと酸素の結合割合が変化した状態でCr−O層が形成されるようになることから、層自体の強度に局部的バラツキが生じ、かつ強度の低いものとならざるを得ないこと。
以上(a)〜(d)に示される研究結果を得たのである。
(a)例えば図1(a)に概略平面図、同(b)に概略正面図で示される蒸着装置、すなわち、中央部に回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、カソード電極(蒸発源)としてTi−Al−Si合金を備えた表面被覆層を構成する硬質層形成用アーク放電装置、カソード電極(蒸発源)としてCr2O3を備えた同じく表面被覆層を構成する潤滑層形成用スパッタリング装置、さらにカソード電極として金属Crを備えた超硬基体表面ボンバード洗浄、密着接合層、および同潤滑層形成用アーク放電装置を設けた蒸着装置を用い、
(b)上記蒸着装置の回転テーブル上に、WC基超硬合金またはTiCN基サーメットで構成された超硬基体を装着し、
(c)まず、上記超硬基体表面ボンバード洗浄用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、上記超硬基体表面をCrボンバード洗浄処理し、
(d)ついで、上記蒸着装置内の雰囲気を窒素ガス雰囲気とすると共に、上記硬質層形成用アーク放電装置のカソード電極であるTi−Al−Si合金とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、上記超硬基体の表面に、
組成式:(Ti1-(X+Z) AlX SiZ )N(ただし、原子比で、Xは0.25〜0.65、Zは0.01〜0.10を示す)、
を満足する(Ti,Al,Si)N層からなる硬質層を1〜10μmの平均層厚で形成し、
(e)同じく上記蒸着装置内の反応雰囲気を窒素ガス雰囲気とした状態で、上記密着接合層形成用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって、上記硬質層に重ねて、0.1〜5μmの平均層厚でCrN層からなる密着接合層を形成し、
(f)上記蒸着装置内の反応雰囲気を、酸素ガスとArガスの酸化性混合ガス雰囲気とした状態で、上記潤滑層形成用スパッタリング装置のカソード電極であるCr2O3に印加して、前記反応雰囲気中のArの作用で、Cr2O3をスパッタ放出させ、同時に上記潤滑層形成用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、Crをイオン化放出させ、前記反応雰囲気中で前記スパッタ放出Cr2O3の存在下で、前記反応雰囲気中の酸素と反応させてCr−Oを生成させ、もって、Cr2O3・Cr−O複合潤滑層を、上記密着接合層に重ねて、0.3〜10μmの平均層厚で形成する、
以上(a)〜(f)の工程で、特に上記の高硬度鋼の高速切削加工で表面被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐チッピング性を発揮する被覆超硬工具を製造する方法に特徴を有するものである。
(a)硬質層の組成および平均層厚
硬質層を構成する(Ti,Al,Si)N層におけるAl成分には高温硬さと耐熱性を向上させ、一方同Ti成分には高温強度を向上させ、さらに同Si成分にはAlとの共存において一段と耐熱性を向上させる作用があるが、Alの割合を示すX値がTiとSiとの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.25未満になると、相対的にTiの割合が多くなり過ぎて、すぐれた高温硬さと耐熱性を確保することができず、摩耗進行が急激に促進するようになり、一方Alの割合を示すX値が同0.65を越えると、相対的にTiの割合が少なくなり過ぎて、高温強度が急激に低下し、摩耗が発生し易くなることから、X値を0.25〜0.65と定めた。
また、Siの割合を示すZ値がTiとAlの合量に占める割合で、0.01未満では、所望の耐熱性向上効果が得られず、一方同Z値が0.10を超えると、高温強度が低下するようになることから、Z値を0.01〜0.10と定めた。
さらに、その平均層厚が1μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その平均層厚が10μmを越えると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜10μmと定めた。
密着接合層を構成するCrN層には、上記の通り硬質層の(Ti,Al,Si)N層およびCr2O3・Cr−O複合潤滑層のいずれにも強固に密着接合し、高速断続切削加工でも表面被覆層に密着接合性不足が原因のチッピングが発生するのを防止する作用があるが、その平均層厚が0.1μm未満では、所望のすぐれた密着接合性を確保することができず、一方その平均層厚が5μmを越えると、CrN層による強度低下が表面被覆層に現れ、これが原因でチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を0.1〜5μmと定めた。
上記の通り、Cr2O3・Cr−O複合潤滑層は、これを構成するCrと酸素の組成割合が安定し、層全体に亘って均質な性質を有し、かつ相対的に高強度を具備したものとなるため、高速切削加工で、すぐれた潤滑性をチッピングの発生なく発揮するが、その平均層厚が0.3μm未満では、前記潤滑性を十分に発揮することができず、一方その平均層厚が10μmを越えて厚くなり過ぎると、層自体にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を0.3〜10μmと定めた。
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する超硬基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記金属Crとアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって超硬基体表面をCrボンバード洗浄処理し、
(c)上記のボンバード洗浄用金属Crのカソード電極とアノード電極との間のアーク放電を停止し、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して3Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する超硬基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記Ti−Al−Si合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって前記超硬基体の表面に、表3に示される目標組成および目標層厚の(Ti,Al,Si)N層を硬質層として蒸着形成し、
(d)ついで、上記の硬質層形成用Ti−Al−Si合金のカソード電極とアノード電極との間のアーク放電を停止し、超硬基体への直流バイアス電圧(−100V)および装置内の雰囲気(3Paの窒素雰囲気)は同じくしたままで、上記アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって上記硬質層である(Ti,Al,Si)N層の表面に、CrN層を同じく表3に示される目標層厚で蒸着形成し、
(e)上記金属Crとアノード電極とのアーク放電を続行させながら、前記蒸着装置内の雰囲気を、窒素雰囲気に代って、酸素ガスとArガスを導入して、酸素ガス:50容量%を含有し、残りがArガスからなる3Paの酸化性混合ガス雰囲気とし、同時に前記スパッタリング装置のカソード電極(蒸発源)として配置したCr2O3焼結体に、スパッタ出力:3kWの条件で印可して、スパッタリングを開始し、スパッタ放出Cr2O3が目標割合で全体の20質量%を占め、残りが反応生成Cr−OからなるCr2O3・Cr−O複合潤滑層を同じく表3に示される目標層厚で蒸着形成することにより、本発明方法1〜16を実施し、被覆超硬工具としての表面被覆超硬製スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
(a)図2に示されるアークイオンプレーティング装置、すなわち、中央部に回転テーブルを設け、前記回転テーブル挟んで、一方側にカソード電極(蒸発源)として所定の組成を有する硬質層形成用Ti−Al−Si合金を配置し、他方側にカソード電極(蒸発源)として潤滑層形成用金属Crを対向配置したアークイオンプレーティング装置を用い、上記の超硬基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、前記装置の前記回転テーブル上に、中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して10PaのArガス雰囲気とし、前記超硬基体に−800Vの直流バイアス電圧を印加し、もって超硬基体表面をArガスボンバード洗浄処理し、
(c)ついで装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して3Paの反応雰囲気とすると共に、前記超硬基体に印加するバイアス電圧を−100Vに下げて、前記Ti−Al−Si合金のカソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって前記超硬基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれの表面に、表4に示される目標組成および目標層厚の(Ti,Al,Si)N層を硬質層として蒸着形成し、
(d)さらに、装置内雰囲気を、2.7mPa以下の真空とした状態で、上記超硬基体には、例えば−800Vの直流バイアス電圧を印加して、前記(Ti,Al,Si)N層(硬質層)の表面を真空ボンバード洗浄処理し、
(e)上記超硬基体へ印可する直流バイアス電圧を−100Vとし、前記潤滑層形成用のカソード電極(蒸発源)として配置した金属Crとアノード電極との間に90Aの電流を流してアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして酸素ガスを導入して、2Paの酸素ガス雰囲気とした条件で、同じく表3に示される目標層厚のCr−O層を潤滑層として上記硬質層に重ねて蒸着形成することにより従来方法1〜16を実施し、従来被覆超硬工具としての従来表面被覆超硬製スローアウエイチップ(以下、従来被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
被削材:JIS・SKD11(硬さ:HRC58)の丸棒、
切削速度:150m/min.、
切り込み:0.5mm、
送り:0.25mm/rev.、
切削時間:4分、
の条件(切削条件A)での高硬度鋼の乾式連続高速切削加工試験(通常の切削速度は80m/min.)、
被削材:JIS・SUJ2(硬さ:HRC52)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:150m/min.、
切り込み:0.8mm、
送り:0.3mm/rev.、
切削時間:2分、
の条件(切削条件B)での高硬度鋼の乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は100m/min.)、
被削材:JIS・SNCM439(硬さ:HRC50)の丸棒、
切削速度:180m/min.、
切り込み:0.8mm、
送り:0.3mm/rev.、
切削時間:4分、
の条件(切削条件C)での高硬度鋼の乾式連続高速切削加工試験(通常の切削速度は100m/min.)を行い、いずれの高速切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表5に示した。
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SKD61(硬さ:HRC53)の板材、
切削速度:80m/min.、
溝深さ(切り込み):0.3mm、
テーブル送り:200mm/分、
の条件での高硬度鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度は40m/min.)、本発明被覆エンドミル20〜22および従来被覆エンドミル20〜22については、
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SKD11(硬さ:HRC58)の板材、
切削速度:100m/min.、
溝深さ(切り込み):0.5mm、
テーブル送り:100mm/分、
の条件での高硬度鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度は50m/min.)、本発明被覆エンドミル23,24および従来被覆エンドミル23,24については、
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SCM415(硬さ:HRC51)の板材、
切削速度:90m/min.、
溝深さ(切り込み):1mm、
テーブル送り:90mm/分、
の条件での高硬度鋼の乾式高速溝切削加工試験(通常の切削速度は45m/min.)をそれぞれ行い、いずれの高速溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を表7にそれぞれ示した。
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SKD11(硬さ:HRC58)の板材、
切削速度:80m/min.、
送り:0.12mm/rev.、
穴深さ:8mm、
の条件での高硬度鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は45m/min.)、本発明被覆ドリル28〜30および従来被覆ドリル28〜30については、
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SUJ2(硬さ:HRC52)の板材、
切削速度:50m/min.、
送り:0.2mm/rev、
穴深さ:16mm、
の条件での高硬度鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は25m/min.)、本発明被覆ドリル31,32および従来被覆ドリル31,32については、
被削材−平面:100mm×250mm、厚さ:50mmの寸法をもったJIS・SKD61(硬さ:HRC53)の板材、
切削速度:30m/min.、
送り:0.25mm/rev、
穴深さ:32mm、
の条件での高硬度鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は15m/min.)、をそれぞれ行い、いずれの湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表8にそれぞれ示した。
Claims (1)
- (a)中央部に回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、カソード電極(蒸発源)としてTi−Al−Si合金を備えた表面被覆層を構成する硬質層形成用アーク放電装置、カソード電極(蒸発源)として酸化クロムを備えた同じく表面被覆層を構成する潤滑層形成用スパッタリング装置、さらにカソード電極として金属Crを備えた超硬基体表面ボンバード洗浄、密着接合層、および同潤滑層形成用アーク放電装置を設けた蒸着装置を用い、
(b)上記蒸着装置の回転テーブル上に炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された超硬基体を装着し、
(c)上記超硬基体表面ボンバード洗浄用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、上記超硬基体表面をCrボンバード洗浄処理し、
(d)上記蒸着装置内の反応雰囲気を窒素ガス雰囲気とすると共に、上記硬質層形成用アーク放電装置のカソード電極であるTi−Al−Si合金とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって、上記超硬基体の表面に、
組成式:(Ti1-(X+Z) AlX SiZ )N(ただし、原子比で、Xは0.25〜0.65、Zは0.01〜0.10を示す)、
を満足するTiとAlとSiの複合窒化物層からなる硬質層を1〜10μmの平均層厚で形成し、
(e)同じく上記蒸着装置内の反応雰囲気を窒素ガス雰囲気とした状態で、上記密着接合層形成用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって、上記硬質層に重ねて、0.1〜5μmの平均層厚で窒化クロム層からなる密着接合層を形成し、
(f)上記蒸着装置内の反応雰囲気を、酸素ガスとArガスの酸化性混合ガス雰囲気とした状態で、上記潤滑層形成用スパッタリング装置のカソード電極である酸化クロムに印加して、前記反応雰囲気中のArの作用で、酸化クロムをスパッタ放出させ、同時に上記潤滑層形成用アーク放電装置のカソード電極である金属Crとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、Crをイオン化放出させ、前記反応雰囲気中で前記スパッタ放出酸化クロムの存在下で、前記反応雰囲気中の酸素と反応させて酸化クロムを生成させ、もって、前記スパッタ放出酸化クロムと反応生成酸化クロムで構成された潤滑層を、上記密着接合層に重ねて、0.3〜10μmの平均層厚で形成する、
以上(a)〜(f)の工程からなることを特徴とする、高硬度鋼の高速切削加工で表面被覆層がすぐれた耐摩耗性および耐チッピング性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具の製造方法。
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