JP4533120B2 - 液体塗布装置およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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(第1の実施形態)
図1は、本発明の液体塗布装置100に係る実施形態の全体構成を示す斜視図である。ここに示す液体塗布装置100は、概略、塗布媒体に対し所定の塗布液を塗布する液体塗布手段と、この液体塗布手段に塗布液を供給する液体供給手段を有して構成されている。
塗布する液体の成分の一例を以下に記述する。
硝酸カルシウム・4水和物 10%
グリセリン 42%
界面活性剤 1%
水 残量
また、前記塗布液の粘度は25℃で5〜6cP(センチポアズ)である。
なお、本発明の適用において塗布液は、上記のものに限られないことは勿論である。
上述の塗布する液体の成分の一例では、グリセリンおよび界面活性剤が水の表面張力を下げる成分である。
図2は、塗布ローラ1001、カウンターローラ1002および液体保持部材2001などの配置の一例を示す縦断側面図である。
カウンターローラ1002は、不図示の付勢手段によって塗布ローラ1001の周面に向けて付勢されており、塗布ローラ1001を図中、時計方向に回転させることにより、両ローラの間に塗布液を塗布すべき塗布媒体Pを挟持し得ると共に、塗布媒体Pを図中の矢印方向に搬送し得るようになっている。
また、液体保持部材2001は、バネ部材(押圧手段)2006の付勢力によって塗布ローラ1001の周面に対して付勢されて当接するとき、塗布ローラ1001による液体塗布領域全体に亘って延在する長尺な液体保持空間Sを形成するようになっている。この液体保持空間S内には、後述の液体供給経路3000から液体保持部材2001を介して塗布液が供給されるが、液体保持部材2001が以下のように構成されているため、塗布ローラ1001の停止状態において、液体保持空間Sから外方へ不用意に塗布液が漏出するのを防止することができる。
図3に示すように、液体保持部材2001は、空間形成基材2002と、この空間形成基材2002の一方の面に設けられた環状の当接部材2009とを有して構成されている。空間形成基材2002には、その中央部分における長手方向に沿って、底部の断面形が円弧状をなす凹部2003が形成される。そして、当接部材2009は、その直線部分がこの凹部2003の上縁部に沿って固着され、また、円周部分が上記上縁部から底部を経て反対側の上縁部に至るように固着される。これにより、液体保持部材2001の当接部2009が塗布ローラ1001に当接したとき、塗布ローラの周面形状に沿った当接が可能となり、均一な圧力の当接を実現することができる。
図11は、前記塗布液供給手段の液体保持部材2001に連結される液体流路3000の概略構成を示す説明図である。
この液体流路3000は、液体保持部材2001を構成する空間形成基材2002の液体供給口2004と塗布液を貯蔵する貯蔵タンク3003とを連結する第1流路(供給流路)3001と、空間形成基材2002の液体回収口2005と前記貯蔵タンク3003とを連結する第2流路(回収流路)3002とを有する。この貯蔵タンク3003には、大気連通口3004が設けられており、また、この大気連通口には、大気との連通、遮断を切換える大気連通弁3005が設けられている。また、第1流路3001内には切換弁3006が設けられており、この切換弁3006によって第1流路3001と大気との連通、遮断が切換え可能となっている。さらに第2流路3002内には、本液体流路3000内で塗布液および空気を所望の方向へと強制的に流動させるためのポンプ3007が連結されている。
図12は、本実施形態の液体塗布装置における制御系の概略構成を示すブロック図である。
図において、4000は液体塗布装置全体を制御する制御手段としての制御部である。この制御部4000は、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するCPU4001と、このCPU4001によって実行される、図13にて後述される処理などの制御プログラムなどを格納するROM4002と、CPU4001の処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM4003などを有する。
図13は、本実施形態の液体塗布装置の液体塗布に係る処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して、液体塗布にかかる各工程を説明する。すなわち、液体塗布装置に電源が投入されると、制御部4000は、図13にフローチャートに従って以下の塗布動作シーケンスを実行する。
ステップS1では、前記塗布空間Sに対する塗布液の充填工程を実行する。この充填工程では、まず、貯蔵タンク3003の大気連通弁3005を大気に開放させると共に、ポンプ3007を一定時間駆動する。これにより、液体塗布空間Sおよび各流路3001,3002内に塗布液が充填されていない場合には、ポンプによって内部の空気が貯留部へと送られて大気へと排出されると共に各部に塗布液が充填される。また、既に各部に塗布液が充填されている場合には、各部の塗布液が流動して適正な濃度および粘度の塗布液が供給される。この初期動作によって、塗布ローラ1001に対し塗布液が供給された状態となり、塗布媒体への塗布が可能となる。
ここで、塗布開始指令が入力されると(ステップS2)、再びポンプ3007が作動を開始すると共に(ステップS3)、塗布ローラ1001が図1の矢印に示すように、時計周りに回転を開始する(ステップS4)。この塗布ローラ1001の回転により、液体保持空間Sに充填された塗布液Lは、塗布ローラ1001に対する液体保持部材2001の当接部材2009の押圧力に抗して、塗布ローラ1001と当接部材2009の下縁部2011との間を摺り抜け、塗布ローラ1001の外周に層状態となって付着する。塗布ローラ1001に付着した塗布液Lは、塗布ローラ1001とカウンターローラ1002との当接部に送られる。
図26は塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部より上流側での状態を示している。同図において塗布ローラ1001の塗布面には液体が塗布面の表面の微細な凹凸をわずかに被うように液体が付着している。
図27は塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部での、媒体Pである普通紙の表面と塗布ローラ1001の塗布面の状態を示している。同図において媒体Pである普通紙の表面の凸部は塗布ローラ1001の塗布面と接触し、接触した部分より液体が瞬時に媒体Pである普通紙の表面の繊維に浸透ないし吸着する。また塗布ローラ1001の塗布面には普通紙の表面の凸部と接触しない部分に付着した液体が残留される。
上記のようにして、塗布媒体への塗布動作が実行されると、次に塗布工程を終了して良いか否かの判断を行い(ステップS6)、塗布工程を終了しない場合は、ステップS5に戻り、塗布媒体の塗布が必要な部分全体に塗布工程を終了するまで塗布動作を繰り返す。塗布工程を終了すると、塗布ローラ1001を停止させ(ステップS7)、さらに、ポンプ3007の駆動を停止させる(ステップS8)。この後、ステップS2へ移行し、塗布開始指令が入力されていれば、前述のステップS2〜S8の動作を繰り返し、塗布開始指令が入力されていなければ、塗布空間Sおよび液体流路内の塗布液を回収する回収動作などの後処理を行い(ステップ9)、塗布にかかる処理を終了する。
回避空間Qは、供給路や回収路等、各流路の所定の位置に設けられた空間であり、回避空間Qが設けられた流路についての、液体が流れる方向(方向D)に垂直な断面(本明細書では、単に「断面」とも呼ぶ)の面積は、その他の部分(供給路や回収路)の断面の面積よりも大きい。
図18(A)および(B)において、斜線部で示された回避空間Qは、供給路3001に対して同心円状の形状をしており、その回避空間Qが形成された供給路3001の断面の面積は、回避空間Qが形成されていない(その他のチューブである)供給路3001の断面の面積よりも大きい。すなわち、図18(A)および(B)では、回避空間Qが設けられた供給路3001は、回避空間3001分だけ太くなったチューブである。
第1の実施形態では、回収終了時等のポンプの停止時に液体の残り易い場所として、図17(A)〜(C)に示した場所について説明したが、他の液体の残り易い場所として、重力方向Gにおいて、低い場所に位置する流路が考えられる。これを具体的に例示すると、装置の構成上、供給路や回収路が這いまわしてある場合に、図29(A)のようにたわみが発生する場合がある。このような供給路や回収路において重力方向Gにおいて一番低い場所にあたるところに回避空間Qを設ける。図29(A)は、本実施形態に係る、供給路3001の重力方向Gにおいて一番低い場所に回避空間Qを設けた構成を示す図であり、図29(B)は、図29(A)のD−D断面図である。
また、その他にも回収終了時等のポンプの停止時に液体が残りやすい場所として、以下のような場合が考えられる。例えば、本実施形態において供給路や回収路は円筒状のチューブを用いている。チューブは装置の構成において、様々な場所に這いまわされることがある。この場合、硬度の低いチューブを急激に這いまわすと、図30のように、折れ曲がりが発生し、流路が狭くなってしまう部分が生じることが考えられる。このような状況の対策として、図31(A)に示すようなジョイント部品3101を用いる場合がある。
本実施形態においては、特に、液体が付着したまま増粘するのが好ましくない場所付近に回避空間を設置し、わざとそこに液体を集める(予め液体を集める)ことによって、上記好ましくない場所で液体が増粘することを防ぐものである。
図20は、上述の液体塗布装置とほぼ同様の構成を有した塗布機構を備えたインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
このインクジェット記録装置1には、複数枚の記録媒体Pを積載する給送トレイ2が設けられており、半月形状の分離ローラ3が、給送トレイに積載された記録媒体Pを1枚づつ分離して搬送経路に給送する。搬送経路中には、上記液体塗布機構の液体塗布手段を構成する塗布ローラ1001およびカウンターローラ1002が配置されており、給送トレイ2から給送された記録媒体Pは、両ローラ1001,1002の間に送られる。塗布ローラ1001はローラ駆動モータの回転によって図20において時計周り方向に回転し、記録媒体Pを搬送しながら塗布液を記録媒体Pの記録面に塗布する。塗布液が塗布された記録媒体Pは、搬送ローラ4とピンチローラ5との間に送られ、搬送ローラ4が、図中、反時計周り方向へと回転することによって、記録媒体Pはプラテン6の上を搬送され、記録手段を構成する記録ヘッド7に対向する位置へと移動する。記録ヘッド7は所定数のインク吐出用のノズルを配設したインクジェット記録ヘッドであり、この記録ヘッド7が図の紙面と垂直方向に走査する間に、記録データに従ってノズルから記録媒体Pの記録面に対してインク滴を吐出して記録を行う。この記録動作と搬送ローラ4による所定量の搬送動作とを交互に繰り返しながら、記録媒体に画像を形成して行く。この画像形成動作とともに、記録媒体の搬送路において記録ヘッドの走査領域の後流側に設けられた、排紙ローラ8と排紙拍車9によって記録媒体Pが挟持され、排紙ローラ8の回転によって排紙トレイ10上に排紙される。
録動作の手順を示すフローチャートである。
同図において、ステップS101、S103〜S105の処理、およびステップS108〜S110の処理は、図13に示した、それぞれ、ステップS1、S3〜S5、S7〜S9の処理と同様である。
また、銀塩写真方式の記録装置において、記録前に、感光剤を塗布してもよい。
2002 空間形成基材
3001 第1流路
3002 第2流路
3003 貯蔵タンク
Claims (6)
- 媒体に液体を塗布する塗布面を有する塗布部材と、前記塗布部材の塗布面に当接して液体保持空間部を形成するための保持部材とを備え、前記塗布部材の塗布面を回転させて前記液体保持空間部に保持される液体を前記塗布部材により前記媒体に塗布する液体塗布装置であって、
前記液体を貯蔵する貯蔵手段と、
前記貯蔵手段に貯蔵される液体を前記液体保持空間部へ供給するための第1の流路と、
前記液体保持空間部に保持される液体を前記貯蔵手段に戻すための第2の流路と、
前記貯蔵手段と前記液体保持空間部とが前記第1の流路を介して連通する状態と、大気と前記液体保持空間部とが前記第1の流路を介して連通する状態とを切換え可能な切換手段と、
前記第1および第2の流路並びに前記液体保持空間部において液体の流れを発生させるための、前記第2の流路に設けられたポンプと、
前記第1の流路を介して前記大気と前記液体保持空間部とを連通させ且つ前記ポンプを駆動することにより、前記第1および第2の流路並びに前記液体保持空間部に空気を流入させつつ、前記第1および第2の流路内並びに前記液体保持空間部内の液体を前記貯蔵手段に回収するための回収手段と、
前記貯蔵手段と前記液体保持空間部とを前記第1の流路を介して連通させ且つ前記ポンプを駆動することにより、前記第1および第2の流路並びに前記液体保持空間部に前記液体を充填するための充填手段と
を備え、
前記第1および第2の流路の少なくとも一方は、前記回収手段により回収されなかった液体の増粘物を溜めるための溜め部を有し、
前記溜め部には、前記充填手段による充填に伴う液体の流れによって移動する前記増粘物が溜まる
ことを特徴とする液体塗布装置。 - 前記第1および第2の流路の少なくとも一方の流路の一部分は他の部分よりも大きな断面積を有し、
前記溜め部は前記一部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布装置。 - 前記一部分に設けられる溜め部は重力方向下方に凹んだ空間であることを特徴とする請求項2に記載の液体塗布装置。
- 前記溜め部は複数箇所設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体塗布装置。
- 前記液体塗布部材により前記液体が塗布された媒体に対してインクを吐出するための記録ヘッドを更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体塗布装置。
- 前記液体は、前記インク中の色材を不溶化あるいは凝集させる成分を含むことを特徴とする請求項5に記載の液体塗布装置。
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