JP4532127B2 - 加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズル - Google Patents

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本発明は、加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズルの改良に関し、更に詳細に述べると、制御棒の振動を低減することができる加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズルに関するものである。
図１に示すように、加圧水型原子炉用燃料集合体１０は、複数段の支持格子１２によって束ねられた多数の燃料棒１４から成り、上下のノズル２０、２２は、制御棒案内シンブル１６によってこの束に結合されている。なお、図１において符号１８は、上部ノズル２０に取付けられて炉内で上部炉心板に当接するリーフスプリングであり、これは、冷却材によって燃料集合体１０が浮き上がるのを防止する機能を有する。
図４に示すように、この加圧水型原子炉の運転中、制御棒クラスタは、燃料集合体から殆ど引き抜かれており、制御棒１７の先端部が燃料集合体の上部ノズル２０に取付けられた制御棒案内シンブル１６に挿入された状態になっている。この挿入深さLは、すべての燃料集合体に対して等しいわけではないが、いずれにしても制御棒１７の先端部は、制御棒案内シンブル１６内にある。
一方、図４に示すように、原子炉の運転中、燃料集合体１０の上部ノズル２０のノズルプレート３１の流水孔を経て図４の矢印Ｖ方向に上向きに流れる冷却材Ｃは、上部ノズル２０のトッププレート３２に当たって水平方向に向きを変え制御棒１７に向かって水平方向に流れる。
しかし、制御棒案内シンブル１６に挿入された制御棒１７の先端部は、このような冷却材Ｃの水平方向の流れを受けると、振動し、制御棒１７とこの制御棒の先端が挿入された制御棒案内シンブル１６とが繰り返し接触し、制御棒案内シンブル１６が摩耗する。
制御棒案内シンブル１６は、燃料集合体の骨格としての機能を有し、燃料集合体１０の全重量を支持しているので、制御棒案内シンブル１６が摩耗すると、燃料集合体１０の強度が低下し、燃料集合体の品質の低下を招く。
本発明が解決しようとする課題は、制御棒が冷却材の流れによって振動を受けるのを低減し、燃料集合体の強度の低下を起すことがない加圧水型原子炉用燃料集合体を提供することにある。
本発明の課題解決手段は、上部ノズル本体の上縁内周面にトッププレートを有するものであるとともに、そのトッププレートが垂直な上部ノズル本体外壁に対して水平に折れ曲がっており、かつ、そのトッププレートには、リーフスプリングの脚部が入り込むスリットが設けられている加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズルにおいて、前記トッププレートによって発生して制御棒に向かう冷却材の水平方向の流れを低減するように冷却材の流れを制御する冷却材流れ制御手段を備えているものであり、かつ、当該冷却材流れ制御手段が、前記トッププレートに垂直方向に貫通して設けられた複数の流水孔又は流水スリットからなり、さらにその流水孔又は流水スリットがトッププレート貫通状態のままで開放されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、燃料集合体内を上向きに流れる冷却材は、上部ノズルのトッププレートに当たっても、水平方向に流れないで、垂直流水孔または流水スリットを貫通して又はトッププレートの内周誘導面に沿ってトッププレートの上方に誘導され又は水平流水孔を貫通して上部ノズルの外側に誘導されるので、制御棒がこの冷却材の流れによって振動を受ける度合いが減少し、従って制御棒案内シンブルの摩耗量が低減し、燃料集合体の強度を低下することがない。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べる。図２及び図３は本発明に係る加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズル２０を示すものである。この上部ノズル２０は、下側にノズルプレート３１を有し上端縁の内周面に鍔状のトッププレート３２を有する略四角形の上部ノズル本体３４から成っている。ノズルプレート３１には多数の流水孔３１ＷＨとシンブル貫通孔３１ＳＨとを有する。なお、図２において符号３６は、上部ノズル本体３４の２つのコーナ立上がり部に設けられたロック部、符号３８は、上部ノズル本体３４の他の２つのコーナ立上がり部に設けられて各リーフスプリング（図１の符号１８参照）の基部を固定するボルトがねじ込まれるねじ孔、また符号４０は、トッププレート３２に設けられて各リーフスプリングの脚部（図１の符号１８ａ参照）が入り込むスリットである。
本発明の上部ノズル２０は、トッププレート３２によって発生する傾向があって制御棒に向かう水平方向の冷却材Ｃの流れを制御する冷却材流れ制御手段４２を備えている。図２（Ａ）（Ｂ）の実施形態では、この冷却材流れ制御手段４２は、トッププレート３２に垂直方向に貫通して設けられた複数の流水孔４２Ａから成っている。
このように、トッププレート３２に垂直流水孔４２Ａを設けると、燃料集合体１０内を上向きに流れる冷却材Ｃの大部分は、トッププレート３２によって水平方向に方向変換することなく、これらの流水孔４２Ａを経て上昇する。このような場合は、制御棒（図４の符号１７参照）が冷却材Ｃの流れによって振動を受ける度合いが減少するので、制御棒案内シンブル（図１の符号１６参照）の摩耗量が低減し、燃料集合体１０の強度を低下させることがない。
本発明の他の実施の形態が図３に示されている。図３の実施の形態では、冷却材流れ制御手段４２が、トッププレート３２の内周面に設けられた複数の垂直スリット４２Ｂから成るものである。
図３の冷却材流れ制御手段４２も、図２の垂直流水孔４２Ａと同様に、冷却材Ｃの大部分を流水スリット４２Ｂによって垂直方向に逃すから、制御棒が冷却材Ｃの流れによって振動を受ける度合いを減少することができる。
本発明の燃料集合体上部ノズルによれば、制御棒が冷却材の流れによって振動を受ける度合いが減少し、従って制御棒案内シンブルの摩耗を低減して燃料集合体の強度の低下を抑制することができる。
本発明の上部ノズルが用いられた燃料集合体の正面図である。 本発明の１つの形態による燃料集合体上部ノズルを示し、同図（Ａ）は、上面図、同図（Ｂ）は、正面図である。 本発明の他の形態による燃料集合体上部ノズルの上面図である。 従来技術による燃料集合体上部ノズルの正面図である。
１０ 燃料集合体
１２ 支持格子
１４ 燃料棒
１６ 制御棒案内シンブル
１７ 制御棒
１８ リーフスプリング
１８ａ スプリング脚
２０ 上部ノズル
２２ 下部ノズル
３１ ノズルプレート
３１ＷＨ 流水孔
３１ＳＨ シンプル貫通孔
３２ トッププレート
３４ 上部ノズル本体
３６ ロック部
３８ スプリング固定用ボルト孔
４０ スリット
４２ 冷却材流れ制御手段
４２Ａ 垂直流水孔
４２Ｂ 流水スリット
Ｃ 冷却材

Claims (1)

  1. 上部ノズル本体の上縁内周面にトッププレートを有するものであるとともに、そのトッププレートが垂直な上部ノズル本体外壁に対して水平に折れ曲がっており、かつ、そのトッププレートには、リーフスプリングの脚部が入り込むスリットが設けられている加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズルにおいて、前記トッププレートによって発生して制御棒に向かう冷却材の水平方向の流れを低減するように冷却材の流れを制御する冷却材流れ制御手段を備えているものであり、かつ、当該冷却材流れ制御手段が、前記トッププレートに垂直方向に貫通して設けられた複数の流水孔又は流水スリットからなり、さらにその流水孔又は流水スリットがトッププレート貫通状態のままで開放されていることを特徴とする加圧水型原子炉用燃料集合体上部ノズル。
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