JP4530955B2 - 液体充填装置 - Google Patents

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本発明は、液体を容器などに充填する液体充填装置に関する。
従来、液体の充填後に、ノズル口から液体を吸引して液垂れを防止する充填装置には、たとえば特許文献1のものがある。この充填装置は、開閉弁の弁体に装着したダイヤフラムを充填通路に面して配置し、弁体を突出して充填流路を全閉した時に、背面側にエアを供給してダイヤフラムを膨出しておき、全閉後にエアを排出してダイヤフラムをその弾性により元状態に復帰させることにより、充填流路を負圧とし、ノズル口から液体を吸引するものである。
特開平9−86595号公報
しかしながら、短時間に大容量の液体を急速充填するような場合に、ノズルの口径が大きくなったり、また液体の粘度が低下すると、液垂れしやすくなるという問題があり、また液垂れを防止するには液体の吸引量を増大させる必要があるという問題があった。
本発明は上記問題点を解決して、吸引量を増大させることなく、ノズルの口径が大きくても、また低い粘度の液体を充填する場合であっても、確実に液垂れを防止できる液体充填装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、充填通路に設けられた開閉装置と、充填通路の出口にノズル口を有するノズル装置と、充填通路内の液体を吸引可能な吸引機構と、前記ノズル装置の充填通路内に配置されたガイド部材と、前記ノズル口とガイド部材の間に微小空間を形成する隙間形成機構とを具備し、前記ノズル装置は、外筒と、該外筒に液体流送方向にスライド自在に配置されて前記充填通路およびノズル口が形成された内筒とを有し、前記隙間形成機構は、前記外筒内に設けられて内筒をスライドさせるノズル口出退部を有し、前記開閉装置により液体の充填を停止すると同時または停止した後に、ノズル口出退部により内筒を後退させてノズル口をガイド部材に接近させ微小空間を形成するように構成されたものである。
請求項2記載の発明は、ノズル口出退部は、内筒の基端側に形成されたピストン部と、外筒内で前記ピストン部をスライド自在に収容するシリンダ室とを有する流体圧シリンダにより構成されたものである。
請求項3記載の発明は、ガイド部材に、周方向所定間隔ごとに整流羽根を液体流送方向に複数段に突設して千鳥状に配置したものである。
請求項1の発明によれば、ノズル口出退部により内筒をスライドさせてノズル口をガイド部材に接近させ微小空間を形成し、吸引機構によりノズル口に付着した液体を前記微小空間から充填通路内に吸引することにより、少ない吸引量でノズル口近傍の液体を確実に充填通路内に吸引することができ、さらに液体の表面張力を利用して微小空間からの液垂れを確実に防止することができる。したがって、大流量、高速充填用の大口径ノズル口であっても、また粘度の低い液体であっても確実に液垂れを防止することができる。
またハウジング筒内に、ノズル口と充填通路を形成する内筒と、この内筒をスライドさせるノズル口出退部と一体に設けたので、全体をコンパクトに構成することができる。
請求項3記載の発明によれば、ガイド部材に整流羽根を千鳥状に配置したので、充填液体を効果的に整流することができ、ノズル装置の長さを短縮することができる。
本発明に係る液体充填装置は、充填後のノズル口からの液垂れを確実に防止することを目的としたもので、充填通路を全閉した後、ノズル口に微小空間を形成してサックバック(吸引)することにより、ノズル口の液体を微小空間から充填通路内に吸引し、少ない吸引量でノズル口周辺の付着液体を確実に吸引し、また微小空間により液垂れを確実に防止できる。特に口径の大きいノズルを使用しての高速充填、大流量充填や低粘度の液体の充填に効果を奏するものである。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この充填装置は、図1,図2に示すように、充填通路1の入口流路1iに介在された開閉装置2と、充填通路1の出口流路1oを形成するノズル装置3と、充填通路1内の液体を吸引可能な吸引機構5と、ノズル装置3内に配置されたガイド部材6と、当該ガイド部材6と前記ノズル装置3のノズル口4との間に微小隙間(微小空間)αを形成する隙間形成機構7とを具備している。ここで微小隙間αとは、出口流路1oに吸引された後の液体が、その粘度や表面張力により、再度微小隙間αから滴下しない間隔をいう。
前記ノズル装置3は、下端部にガイド部材6が一体に垂下され入口流路1iと出口流路1oの間に中間流路1mを形成する中間ノズル筒11と、中間ノズル筒11に連結されたハウジング筒(外筒)12と、ハウジング筒12内に液体の流送方向に所定範囲でスライド自在(昇降自在)に嵌合されて出口流路1oを形成する可動スリーブ(内筒)13とで構成され、可動スリーブ13の下端開口部にノズル口4が形成されている。そして、ハウジング筒12と可動スリーブ13との間に、可動スリーブ13を液体の流送方向にスライドさせてノズル口4とガイド部材6との間に微小隙間αを形成する隙間形成用のスリーブ駆動装置(ノズル口出退部)14が設けられ、ハウジング筒12、可動スリーブ13およびスリーブ駆動装置14とで隙間形成機構7が構成されている。
すなわち、中間ノズル筒11は、上端入口から下端出口に順に、入口フランジ部11a、中間フランジ部11b、垂下筒部11cおよびガイド部材6が一体に形成されている。そして前記入口フランジ部11aから垂下筒部11cまでの軸心部に中間流路1mが形成され、この中間流路1mの入口側にオリフィス15の形成部材が介装されている。また垂下筒部11cの下端部には、図3に示すように、軸心位置で中間流路1mからガイド部材6外周の環状の出口流路1oに至る2個の接続孔16が形成されている。
前記ガイド部材6は、垂下筒部11cから縮径された円柱の胴部6aと、逆円錐形の隙間形成部6bからなり、図2,図4に示すように、胴部6aの外周に複数の整流羽根17が周方向所定間隔ごとに液体流送方向に沿って複数段に突設されている。そして、整流羽根17が千鳥状に配置されることで、2本の接続孔16から流入された液体の整流効果を向上させて胴部6aの長さが短く形成されている。
前記中間フランジ部11bに垂下筒部11cとガイド部材6を覆うハウジング筒12が取付けられ、垂下筒部11cとの間に環状のシリンダ室18が形成されている。またハウジング筒12内にスライド自在に嵌合された可動スリーブ13は、ハウジング筒12のガイド穴およびシリンダ室18にスライド自在に嵌合された軸筒部13aと、この軸筒部13aの外周部からシリンダ室18内に突設された環状のピストン部13bとを有している。またノズル口4は漏斗状の座受面4aと開口部4bとで構成され、座受面4aとガイド部材6の隙間形成部6bとの間に環状の微小隙間αを形成する。
前記スリーブ駆動装置14は、前記シリンダ室18とピストン部13bとを有する流体圧シリンダであるエアシリンダからなり、シリンダ室18の上部進展室18aと下部収縮室18bにそれぞれエアポート19A,19Bがそれぞれ設けられている。なお、下部収縮室18bに復帰用ばねを介装して応答特性を向上させてもよいし、エアポート19Bを設けずに復帰用ばねのみを介装した単動式シリンダにすることもできる。
したがって、下部収縮室18bにエアAaを供給するとともに上部進展室18aからエアAbを排出することにより可動スリーブ13を引上げ、ガイド口4の座受面4aをガイド部材6の隙間形成部6bに接近させることにより、ノズル口4に微小隙間αを形成することができる。
前記開閉装置2は、ピンチバルブ式開閉弁が採用され、吸引機構5が装備(兼用)されている。図1に示すように、入口流路1iの一部を可撓性で十分な弾性(復元性)を有するチューブ21により形成し、開閉弁フレーム20には、チューブ21の入口側を押圧して開閉する開閉部22が設けられるとともに、チューブ21の出口側を押圧して開閉する吸引部23が設けられている。
すなわち、開閉部22は、チューブ21の入口側で開閉弁フレーム20に取付けられた固定開閉弁体22aと、この固定開閉弁体22aに対向して配置された可動開閉弁体22bと、可動開閉弁体22bを固定開閉弁体22a側に出退駆動してチューブ21を開閉するエア式の開閉シリンダ22cとにより構成されている。また吸引部23は、チューブ21の出口側で開閉弁フレーム20に取付けられた固定吸引弁体23aと、この固定吸引弁体23aに対抗して配置された可動吸引弁体23bと、この可動吸引弁体23bを固定吸引弁体23aに対して出退駆動してチューブ21を開閉するエア式の吸引シリンダ23cにより構成されている。
したがって、高速充填中には、開閉弁体22a,22bおよび吸引弁体23a,23bはそれぞれ最大の離間位置でチューブ21を絞らず全開状態にある。次いで所定の充填量に接近すると、開閉シリンダ22cが所定量進展されて可動開閉弁体22bにより固定開閉弁体22aとの間隔を縮小してチューブ21を所定量絞り、充填流量を減少させたスローダウン状態になる。さらに所定の充填量に達すると、開閉シリンダ22cおよび吸引シリンダ23cをそれぞれ同時に進展して可動開閉弁体22bおよび可動吸引弁体23bによりチューブ21の入口側と出口側とをそれぞれ押圧しチューブ21を閉じて液体の供給を停止する。さらに吸引シリンダ23cを収縮して可動吸引弁体23bを後退させ、その弾性によりチューブ21を元の形状に復元させ、絞られていた容積分によりチューブ21内を負圧にして液体を吸引し、サックバックする。
上記構成において、開閉装置2を全開にして大容量の液体を充填通路1からノズル口4を介して容器に高速充填し、次いで充填量に接近すると、開閉装置2をスローダウン状態にして流量を絞り、さらに充填量に達すると、開閉装置2を全閉する。この時、ノズル装置3では、エアAaを下部収縮室18bに供給し上進展室18aのエアAbを排出して可動スリーブ13を上昇させ、ノズル口4の座受面4aをガイド部材6の隙間形成部6bに接近させ、微小隙間αを形成する。そして、開閉装置2の吸引機構5により液体をサックバック(吸引)する。
これにより、ノズル口4の開口部4b内や近傍に付着した液体が全て微小隙間αから可動スリーブ13の出口流路1oに吸引する。これにより、大口径のノズル口4であっても、また粘度の低い液体であっても、確実に可動スリーブ13内に吸引して可動スリーブ13内に保持することができ、微小隙間αからの液垂れを確実に防止することができる。また微小隙間αから液体を吸引するので、吸引量が少なくても十分な効果を奏することができる。
なお、吸引機構5を開閉装置2に一体に設けたが、独立して設置することもできる。
また上記実施の形態では、微小空間を環状の微小隙間αとしたが、図5に示すように、ガイド部材6の隙間形成部6bに、液体の流送方向に沿って複数の吸引溝81を形成し、これらの吸引溝81の断面を微小空間βとすることもできる。この場合、ガイド部材6の隙間形成部6bを、可動スリーブ13のノズル口4の座受面4aに当接させて吸引溝81の微小空間βのみで、出口流路1oとノズル口4の開口部4bとを連通させる。
また図6に示すように、可動スリーブ13のノズル口4の座受面4aに、液体の流送方向に沿って吸引溝82を形成して微小空間βとすることもできる。
図5および図6の実施の形態によれば、先の実施の形態の効果に加えて、可動スリーブ13をガイド部材6に当接させればよく、隙間調整を不要にすることができ、セッティングが容易に行える。
なお、先の実施の形態と同じ環状の微小隙間αを形成して微小空間βと共に出口流路1oとノズル口4の開口部4bとを連通させてもよい。
本発明に係る充填装置の実施の形態を示す全体縦断面図である。 同充填装置のノズル装置および隙間形成シリンダを示す拡大縦断面図である。 図1に示すA−A断面図である。 図1に示すB−B断面図である。 本発明に係る充填装置の他の実施の形態を示し、ノズル口の拡大縦断面図である。 本発明に係る充填装置のさらに他の実施の形態を示し、ノズル口の拡大縦断面図である。
符号の説明
α 微小隙間
β 微小空間
1 充填通路
1i 入口流路
1o 出口流路
2 開閉装置
3 ノズル装置
4 ノズル口
5 吸引機構
6 ガイド部材
6b 隙間形成部
7 隙間形成機構
12 ハウジング筒
13 可動スリーブ
13b ピストン部
14 スリーブ駆動装置
17 整流羽根
18 シリンダ室
21 チューブ
22 開閉部
23 吸引部
81,82 吸引溝

Claims (3)

  1. 充填通路に設けられた開閉装置と、充填通路の出口にノズル口を有するノズル装置と、充填通路内の液体を吸引可能な吸引機構と、前記ノズル装置の充填通路内に配置されたガイド部材と、前記ノズル口とガイド部材の間に微小空間を形成する隙間形成機構とを具備し、
    前記ノズル装置は、外筒と、該外筒に液体流送方向にスライド自在に配置されて前記充填通路およびノズル口が形成された内筒とを有し、
    前記隙間形成機構は、前記外筒内に設けられて内筒をスライドさせるノズル口出退部を有し、前記開閉装置により液体の充填を停止すると同時または停止した後に、ノズル口出退部により内筒を後退させてノズル口をガイド部材に接近させ微小空間を形成するように構成された
    液体充填装置。
  2. ノズル口出退部は、内筒の基端側に形成されたピストン部と、外筒内で前記ピストン部をスライド自在に収容するシリンダ室とを有する流体圧シリンダにより構成された
    請求項1記載の液体充填装置。
  3. ガイド部材に、周方向所定間隔ごとに整流羽根を液体流送方向に複数段に突設して千鳥状に配置した
    請求項1または2記載の液体充填装置。
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