JP4528385B2 - 繊維強化中空構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる中空部を有する複数の中芯と、ガラス繊維等の補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり、前記中芯外周を被覆する中間層(FRP層)と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層より形成される繊維強化中空構造体及びその製造方法に関し、特に、例えば外層表面に滑り止めエンボス加工が施された広幅(幅が厚みの2倍以上)で板状の繊維強化中空構造体とその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
一方向に引きそろえられたガラス繊維強化FRP層を中間層とし、該中間層を挟んで被覆する様に、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を内層及び外層として配した三層構造の繊維強化中空構造体は、軽量、高強度かつ高剛性である上、電気絶縁性、耐久性、耐腐食性も良好であるといった優れた特性を併せて備えている。この繊維強化中空構造体は主に管状または板状の構造材として形成され、一般の木材や、該木材を貼設した集合材などの天然材と違い、外部から長期に亘り荷重が掛かかる状況下に置かれたとしても、クリープ現象等の品質劣化が殆ど生じないなどといった安定した性質を有している。
【0003】
その優れた特性故に該繊維強化中空構造体は、建設工事における仮設工事用足場板や、養殖施設用歩み板、あるいは筏及び浮き桟橋、湿原等における巡回路、道路工事等で使用される歩道橋(簡易橋)などの、軽量で高強度かつ高剛性である上に耐久性が要求される様な状況において使用される場合が多い。
【0004】
係る繊維強化中空構造体を以上のような用途及び状況で屋外使用する場合、海水、降雨等を被り、水に濡れる状況が往々にして発生する。構造体表面が平滑な場合、前述の様な状況に遭遇して一度水に濡れると滑りやすく、その表面を歩行する者が繊維強化中空構造体を使用した足場等から滑落するおそれも考えられる。従って、上記のような用途及び状況に対して用いられる繊維強化中空構造体は、その製造に際し、外層表面に滑り止め加工を施す必要がある。
【0005】
滑り止め加工方法としては例えば、
1繊維強化中空構造体の前記外層表面をサンドブラスト処理するといった機械的手段を用いて広範に粗面化する方法。
2繊維強化中空構造体の前記外層表面の熱可塑性樹脂被覆を再加熱し、加熱されたエンボスローラーをその表面に適宜当接させて凹凸を付与する方法。
3外層たる熱可塑性樹脂を中間層上に被覆する際にダイス口金から例えば凹凸状の縞模様等を形成しつつ押し出す方法。
などの方法が採用されてきた。
【0006】
他方、前述の如き建設用足場や或いは簡易橋などといった用途及び状況に際しては、構造物の構造部材として厚みがあって一体化しており適切な強度を備えた大型の繊維強化中空構造体が望まれるが、これを当初より一体物として作製するのは、設備面から見てその設置規模とコストとの両面において困難に成らざるを得ない。したがって、工場生産のもと一般的に生産される通常サイズの繊維強化中空構造体同士を接合して、目的のサイズの部材を製作し使用する方法が無理のない手段であった。
【0007】
この繊維強化中空構造体と他の中空構造体との接合方法として一般的には、
1繊維強化中空構造体各々に穴を開けてその穴にボルトナットを挿通締結することで一体化する方法。
2繊維強化中空構造体各々に下穴を開け、その下穴にタッピングビスを挿通させビス止め接合する方法。
3繊維強化中空構造体各々をドリルとネジとが一体になったドリルネジにて止め締結する方法。
4エポキシ樹脂系接着剤を接合面に塗布した後、上記1〜3のいずれかの接合方法を用いて接合し、接着剤を硬化させ一体に接合する方法。
等の各種接合方法があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の繊維強化中空構造体及びその製造方法は次に述べるような課題を有していた。
【0009】
すなわち、まず、繊維強化中空構造体の製造に際し、その外層表面に施されるべき滑り止め加工については、上記1〜3のいずれの方法においても、加工条件の適宜検討を行うことにより滑り止め効果を得ることが可能であるが、例えば1のサンドブラスト等を用いた方法では、外層表面が粗面化されると言ってもその凹凸具合は比較的小さく、多少の摩耗を経ると容易に滑り止め効果が低減することとなり耐久性に劣ると共に、その加工に際し、加工速度がかなり遅く加工効率が著しく低い上に設備コストも高く工業的にコスト及び効率を満足すべきレベルとすることは難しい。
【0010】
2の、外層表面の熱可塑性樹脂被覆に加熱したエンボスローラーを適宜当接させて凹凸を付与するといった方法では、例えばより確実な滑り止め効果を得ようと深いエンボス模様を形成する場合、外層表面へのエンボスローラーの当接圧力をかなり高める必要があるが、中空構造体内の構造脚部(各中芯間の中間層にあたる)に高い負荷が加わることでクラックを発生し構造強度が大幅に低下するおそれがあるため、加工時の当接圧力を任意には上昇させることが困難である。そのため、係るエンボスローラーで凹凸加工を施す前に外層表面を再加熱して軟化させ、凹凸加工を容易ならしめる前工程が必要となり工程数が増加する。また、もともと平滑な外層表面に凹凸加工するため、被加工物(繊維強化中空構造体)の表面精度、形状精度から受ける影響が大きく、正確な位置決め等の条件出しに時間を要する。また、元来平滑な外層表面にエンボスローラーを当接することで凹凸形状を形成するわけであるが、該凸部は凹部の周囲にバリ状に形成されるにとどまり、塊状で適宜強度を備えるといったことはないため、表面が摩耗すると凸部が比較的容易に摩滅してしまい安定した滑り止め効果を長期間得られないという問題があった。
【0011】
3の、外層たる熱可塑性樹脂を凹凸状の縞模様等を形成しつつ押し出す方法では、繊維強化中空構造体の長さ方向にのみ伸びる筋状の凹凸が得られることとなり、外層表面の全方位に亘る広範かつ確実な滑り止め効果が期待できないといった問題がある。4の、エポキシ樹脂系接着剤を接合面に塗布した後、前記1〜3のいずれかの接合方法を用いて接合一体化させる方法でも、上述1〜3の接合方法が持つ問題点を同様に抱えているのである。
【0012】
また、繊維強化中空構造体同士を接合する1〜4のいずれの接合方法も中空構造体各々に穴を開けることになり、例えばもし誤って前述の構造脚部に穴を開けることにでもなれば、その構造脚部は損傷または破壊され、構造物として全体強度が著しく低下するおそれも十分考えられる。また、前記構造脚部付近で穴開け作業などを行おうとしても係る構造脚部自体の影響を受け、穴開け時、或いはドリルネジの打ち込み時における加工位置が当初位置より齟齬を生じる問題も懸念される。上記の様な問題を回避するため、穴開けや打ち込み作業は構造脚部位置を避けて行う必要があったが、繊維強化中空構造体はその表面が元来平滑で指標となるものもないため、この構造脚部の位置を表面からすぐさま判別することが困難であった。
【0013】
そこで、本発明はこのような従来の課題に着目してなされたもので、繊維強化中空構造体における構造脚部の平面位置が容易に判別でき、かつ、長期間に亘る確実な滑り止め効果を発現する繊維強化中空構造体と、該繊維強化中空構造体を工業的に優れたコスト及び効率で製造可能な製造方法とを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するためになされたもので、熱可塑性樹脂からなる中空部を有する複数の中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり、前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層より形成される繊維強化中空構造体であって、前記複数の中芯各間における前記中間層たる構造脚部について、該構造脚部平面位置に対応した前記外層表面に、前記構造脚部に沿った方向に断続的に凸部を配してなる凸条を設けたことを特徴とする。
【0015】
他の要旨として、前記繊維強化中空構造体の製造方法であって、繊維強化中空構造体における前記構造脚部と対応する位置に配置され凹部を有する口金より、前記外層を構成する熱可塑性樹脂を押出すことにより、少なくとも前記構造脚部直上の外層表面に前記凸条を設ける凸条形成工程と、該凸条形成工程により形成された凸条が未硬化状態である間に該凸条の一部を所定パターンに従って押圧して凹部を形成し、凸条長手方向に凹凸が繰り返し現出する凸条を形成する凸条加工工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。ここではまず、本発明における繊維強化中空構造体を示す。
【0017】
〜実施例1〜
図1は本発明における繊維強化中空構造体10を示す説明図である。該繊維強化中空構造体10は、図に示す様な、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる中空部11を有する中芯12と、ガラス繊維などの補強繊維13をビニエステル樹脂などの熱硬化性樹脂で一体に結着してなり、前記中芯12外周を被覆するFRP層14(中間層)と、該FRP層14を被覆しABS樹脂などの熱可塑性樹脂よりなる外層15との三層よりなるものであり、ここでは繊維強化中空構造体10を成形して板状(例えば、商品名ハニカムコンポーズ:宇部日東化成株式会社製)にした例を示した。
【0018】
ここで、例えばABS樹脂製の中芯12、FRP層14、ABS被覆外層15の三層構造を成し、中芯12が7本並列配置され、該中芯12をABS被覆外層15が上下に挟み込み、更に前記中芯12とABS被覆外層15との間はにFRP層14が構造脚部16として存在しており、該構造脚部16直上(もしくはその周囲)の外層15表面には例えば高さ1.5mm、幅2.0mmで長さ約5mmの凸部17aを、例えば8mm間隔で長手方向に断続的に配した凸条17を、中空構造体10の裏表で計26条備える幅240mm、厚み30mm程度の板状中空構造体Aを例として、その製造方法を以下に示す。
【0019】
図2は本発明における板状繊維強化中空構造体Aの製造装置概要を示す説明図である。
【0020】
まず、ABS樹脂から主になる中芯12を押出し機21及び外径サイジング槽22等により押出成形(例えば真空サイジング方式によるサイジング)により成形し、これを7本並列させて引取機23をもって図面右方向の次工程に供給する。一方、ガラス繊維などの補強繊維13をロービングスタンド24より含浸槽25に供給し、さらに不飽和ポリエステル樹脂を絞り込んで中芯12とそれらを一体化させる。次に、所定の形状(幅238mm、厚み28mm)となるまで中芯12外周となるFRP層14の樹脂を絞りノズル26により絞り成形するが、この際、未硬化のFRP樹脂14を口金部27a(図3参照)の所定位置に深さ3mm、幅2mmの26条の溝27bを形成した口径350mmのドラフトタイプクロスヘッドダイス27に導き、被覆となるABS樹脂を円環状に押出被覆した。前記ダイス27前部〜ABS樹脂被覆ポイント付近まで被覆加熱装置(図示しない)等により加熱し、係る被覆ポイントから約10mm硬化槽側の位置からローラーサイジング装置28によりサイジング成形するのである。該ローラーサイジング装置28の備える第一ローラー28a(図4参照)は前記凸条17に対応して長さ5mm、幅5mm、深さ2.5mmの凹部28bを周方向に8mm間隔で周期的に設けてあり、また、ローラー28a表面にはテフロンコーティングが施されている。該第一ローラー28aは約50℃の温水を通し、第二ローラー(図示しない)は室温程度の水(約20℃)を通し成形状況に適した温度に適宜冷却するよう配慮されている。
【0021】
この様にサイジング成形した後、前記凸部17aに対応し幅5mm、深さ2mmの溝を有する上下ローラー5対(図示しない)よりなるローラーサイジング装置(図示しない)を、5セット設置した熱湯硬化槽29にて約95℃の熱湯で未硬化樹脂の硬化を図り、そして、冷却水槽30にて水冷し、引取機31で速度1m/minにて引き取った。また、図示しないが、引取機31で引き取りながら連続して、最終的にカッター32により所定寸法に切断し、中芯の肉厚1.2mm、FRP部の厚さ1.3mm、被覆樹脂の厚さ1.0mmで外幅240mm、高さ30mmの板状繊維強化中空構造体Aを得た。
【0022】
本実施例1における板状中空構造体Aは、前記凸条17が構造脚部16の直上にあってその位置指標となっているため、ドリルによる穴開け作業等の各種作業を行うにあたり、作業を行う者が構造脚部16の位置を容易かつ確実に判別可能であり、そのため構造脚部16を損傷させて板状中空構造体A自体の構造強度を低下させてしまうといったおそれは解消されたのである。
【0023】
次に、上記のようにして得られた板状中空構造体Aの、乾燥時及び水濡れ時における表面の滑り止め効果の評価を行った結果を表1に示す。(測定装置等については特に図示しない)
【表1】
Figure 0004528385
【0024】
評価方法としては、まず傾斜法と呼ばれる方法を採用し滑りテストを行った。その手順及び方法は、最初に所定サイズに板状中空構造体Aを切断した試料S上に、底面に軟質PVCを貼りつけた円柱状の重錘(例えば直径70mm、底面周辺に5Rにて面取りしたもので、重さ約1.5kg)を載せて試料Sである板状中空構造体Aを傾斜させ、その後傾斜角度を適宜変化させて、重錘が滑り始める時の角度を測定するといったものである。実際には試料Sを係止したラボジャッキを静的に徐々に傾斜させ、重錘が滑り始める時の傾斜角度を測定した。また、分液ロートを使用して水を試料S上に滴下させ、水濡れ状態おける滑り易さも測定し比較した。測定で得られた傾斜の程度は正接(tan、高さ/底辺)の値で表現した。
【0025】
次に横引き法と呼ばれる方法を引き続き行った。この方法の手順としては、水平に置いた前記試料S上に、所定サイズに切断したビニール系材料(例えばスリッパ等)を配し、この上にシリコンゴムを介して30kgの重錘を載せてこれを横方向に牽引する順序となる。この際前記ビニール系材料が動き始める際の加重をバネ秤にて測定した。
【0026】
さらに、摩耗試験と呼ばれる方法を続いて行った。研磨用のワイヤーブラシを取付けた電動ドリルを使用して、試料S表面における縦30cm×横24cmの範囲を約30秒間摩耗させた後、上記の横引き法と同様にして重錘を載せたスリッパ等が動き始める際の荷重を測定した。試料S表面が濡れていない状態、及び水で濡れた状態の各々の状況について測定した。実施例1の板状中空構造体Aは、水に濡れた状態でも良好な滑り止め効果を発現し、更には優れた耐摩耗性をも併せて備えていることが明らかとなった。
【0027】
その他、本発明の実施例1と比較の為、次の(1)〜(4)に挙げた比較例についても上記測定をそれぞれ同様に行った。
【0028】
(1)比較例1……試料表面平滑(凸条無し、エンボス加工無し)
この比較例における試料S表面は平滑で構造脚部16の位置を指し示すものはなんら存在しないため、穴開け作業等の各種作業を行う際には、板状中空構造体Aの端部から寸法計測を行って構造脚部16の位置を特定する必要があり、実用上問題が多い。表1に示した通りだが、実施例1と比較すれば、水に濡れると非常に滑りやすいことが明らかである。
【0029】
(2)比較例2……試料表面エンボス加工有り(凸条無し、金網エンボス加工済み)このエンボス加工は、板状中空構造体Aを引取機で引取りながら、上下にセラミックヒーターを配置した長さ900mmで、300℃に設定された予備加熱装置に通し、直径230φの鉄製のローラー表面にシリコンゴムシート、目開き10mm、線形2mmの金網を巻き付けた、一対の加熱ローラーにより金網目50を転写加工することで得られたものである。係る比較例2の板状中空構造体Aの表面形状を図5に示す。この試料も構造脚部16の位置を特定できる指標が如きものはなんら備えないため、比較例1の試料Sと同様に各種加工作業に際しては構造脚部16を損傷しないよう手間のかかる配慮が必要となる。滑り止め効果のテストでは、良好な滑り止め効果を有することを示したが、摩耗に弱く耐久性は低いことが明らかとなった。
【0030】
(3)比較例3……凸条のみ(長手方向に凹凸の無い凸条有り、エンボス加工無し)実施例1と同様の方法にて、高さ1.5mm、幅1.5mmの連続した凸条60(凹部無し)を構造脚部16直上、及び構造脚部16各間に、試料S表面の裏表計26条有する、幅240mm、厚み30mmの板状中空構造体A(図6参照)を製作して前記各測定に供した。適宜高さ及び幅を備え連続した凸条60を備えるため摩耗に対しては良好な耐久性を示したが、水に濡れた場合凸条60の横断方向の滑り止め効果は期待できるが、凸条60の長手方向に関しては滑りやすいといった問題を呈した。
【0031】
(4)比較例4……サンドブラスト加工したもの
比較例1の、エンボス加工等滑り止め加工をなんら施していない表面平滑な板状中空構造体Aを長さ300mm、幅240mmに切断した試料Sに対し、サンドブラスターを使用して該試料S表面を次のような条件でサンドブラスト加工した。投射材は例えばアランダム#24を使用し、噴射ノズルは8mmφのものを使用した。エアー圧力0.4Mpa(4kg/cm2)にて片面を30秒間、ノズルから約150mmの距離で試料S表面の略全面に投射した。このようにして得られた試料Sを上述と同様の各種測定に供した。一応の滑り止め効果は得られたが、摩耗により粗面が摩滅し耐久性は低いものとなった。
【0032】
〜実施例2〜
実施例1で述べた口金部27aに関し、その溝27bの深さを5mm、幅を4mmと変えて凸条17の高さ及び幅を増大させた以外は、実施例1と同様にして高さ2mm、幅3.5mmで長さが5mmの凸部17aを5mm間隔で長手方向に断続的に有する凸条17を、構造脚部16直上、及び構造脚部16各間に、試料S裏表で計26条有する、幅240mm、厚さ30mmの板状中空構造体Aを製作した。実施例1と同様に滑り易さを評価した結果を表1中に示す。凸条17のサイズが増大したことに起因して実施例1よりも良好な滑り止め効果を示し、摩耗に対しては良好な結果を示した。
【0033】
〜実施例3〜
実施例1で述べた口金部27aに関し、その溝27bの位置を構造脚部16直上を挟んだ並列配置として凸条17を付与した以外は実施例1と同様にして製作したものであり、高さ1.5mm、幅1.5mmの凸条17を有する、幅240mm、厚さ30mmの板状中空構造体Aである(図7参照)。
【0034】
製作工程(図示しない)としては、まず、口金部の所定位置(構造脚部16を挟み5mm間隔で配置)に深さ3mm、幅2mmの26条の溝を形成した被覆ダイス(クロスヘッドダイス)により、ABS樹脂を押出被覆した後、被覆ポイントより約10mm硬化槽側の位置からローラーサイジング装置(第一ローラーには、凸条に対応して長さ5mm、幅12mm、深さ3mmの凹部を周方向に5mm間隔で周期的に設けた)によりサイジング成形し、実施例1とほぼ同様の工程をたどることになる。
【0035】
一対の並列凸条17が構造脚部16を挟んでその直近にあり、ドリルによる穴開け時、構造脚部16の位置が容易にわかり、構造脚部16に穴を開けることはなくなった。
【0036】
実施例1と同様に滑り易さを評価した結果を表1に示す。実施例1とほぼ同等の良好な滑り止め効果を示し、摩耗に対しても良好な結果を示した。
【0037】
〜実施例4〜
比較例3で得た、高さ1.5mm、幅1.5mmの連続した凸条60を構造脚部16直上、及び各構造脚部16間に、試料S裏表面で計26条有する、幅240mm、厚さ30mmの板状中空構造体Aを、更に以下のように加熱ローラーでエンボス加工した。ローラー直径100mmで、高さ2mm、幅5mmの凸部を10mm間隔で円周上に配置した歯車状の一対のローラーを230℃に加熱し、この一対のローラー間に前記板状中空構造体Aを通すことにより、凸条表面に断続的にエンボス加工を施した。前記加熱ローラー表面にはテフロンコーティングを施しておいた。比較例2と異なり、凸部17上にエンボス加工を施す方法なので、必要とする加工圧力が低く、また、予備加熱は不要で加工の際の条件設定が容易であった。
【0038】
実施例1と同様に滑り易さを評価した結果を表1に示す。摩耗前は、比較例2のエンボス加工を施されたものと同等の良好な滑り止め効果を示し、加えて摩耗に対しても優れた結果を示し、エンボス加工と凸条加工とにおける利点を併せ持ったものと言える。
【0039】
以上の様に、本発明の実施例として実施例1〜4と、他方、本発明の中空構造体との比較目的の下、比較例1〜4とのそれぞれの備える滑り止め効果について述べたが、いずれにしても、本発明の備える凸条17が構造脚部16の平面配置を示す指標となるべく外層15表面に設けられているため、水濡れ時における滑り止め効果を十分発現可能であることは勿論、例えば中空構造体A同士を各種手段にて接合するとしても構造脚部16の位置を回避して作業を容易かつ敏速に行うことが可能となる。また、従来の、エンボス加工を施すことで滑り止め効果を得ていた板状中空構造体がなし得なかった、長期耐久性の確保という点においても本発明の中空構造体は著しい特性向上を発揮した。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、熱可塑性樹脂からなる中空部を有する複数の中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり、前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層より形成される繊維強化中空構造体であって、前記複数の中芯各間における前記中間層たる構造脚部について、該構造脚部平面位置に対応した前記外層表面に、長手方向に断続的もしくは連続的に凸部を配してなる凸条を設けたことを特徴とするものであるある。
【0041】
従って、繊維強化中空構造体における構造脚部の平面位置が前記凸状を確認することで容易に判別でき、中空構造体同士を各種手段にて接合するとしても構造脚部位置を回避して作業を容易かつ敏速に行うことが可能となる。また、本発明の繊維強化中空構造体が備える凸条は、十分な滑り止め効果を発揮すると共に摩耗に強く、作業現場における足場板、養殖生け簀、養殖用筏の歩み板、渡り板、作業屋形、浮き桟橋の床板、巡回路、遊歩道、歩道橋などのかなり使用条件の厳しい用途にも確実に対応することが出来るのである。
【0042】
また本発明の繊維強化中空構造体の製造方法は、繊維強化中空構造体における前記構造脚部と対応する位置に配置され凹部を有する口金より、前記外層を構成する熱可塑性樹脂を押出すことにより、少なくとも前記構造脚部直上の外層表面に前記凸条を設ける凸条形成工程と、該凸条形成工程により形成された凸条が未硬化状態である間に該凸条の一部を所定パターンに従って押圧して凹部を形成し、凸条長手方向に凹凸が繰り返し現出する凸条を形成する凸条加工工程とを備えることを特徴とするものである。
【0043】
従って、その製造に際し凸条形成は、外層の押出形成と同時に行われて作業効率が高く、しかもわざわざ凸条形成のためだけに別個の作業工程を設けるといったこともないから設備コストも低く抑制され、工業的にコスト及び効率を十分高いレベルで確保維持することが出来る。また、従来技術の如く、中空構造体内の構造脚部に高い負荷を加えて深溝状の凸条を形成しなけらばならないといった必要も皆無であるから、それによる構造脚部のクラック発生が生起されることもない。加えて、本発明の繊維強化中空構造体における凸状は各凸部が塊状で適宜強度を備えるため、耐摩耗性に優れ安定した滑り止め効果を長期間発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における繊維強化中空構造体を示す説明図である。
【図2】本発明における繊維強化中空構造体の製造装置概要を示す説明図である。
【図3】本発明における繊維強化中空構造体の製造装置のうち、所定位置に溝を形成した口金部を示す説明図である。
【図4】本発明における繊維強化中空構造体の製造装置のうち、ローラーサイジング装置の備える第一ローラーを示し、(a)が側断面図、(b)が断面図である。
【図5】比較例2の、表面にエンボス加工を施した板状中空構造体の表面形状を示す平面図である。
【図6】比較例3の、凹部の無い連続した凸条を構造脚部直上、及び構造脚部各間に備えた板状中空構造体を示す説明図である。
【図7】実施例3の、構造脚部直上を挟んだ並列配置として凸条を付与した板状中空構造体本を示す説明図である。
【符号の説明】
12 中芯
14 中間層
15 外層
16 構造脚部
17 凸条
17a 凸部

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂からなる中空部を有する複数の中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり、前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層より形成される繊維強化中空構造体であって、
    前記複数の中芯各間における前記中間層たる構造脚部について、該構造脚部平面位置に対応した前記外層表面に、前記構造脚部に沿った方向に断続的に凸部を配してなる凸条を設けたことを特徴とする繊維強化中空構造体。
  2. 請求項1に記載の繊維強化中空構造体の製造方法であって、繊維強化中空構造体における前記構造脚部と対応する位置に配置され凹部を有する口金より、前記外層を構成する熱可塑性樹脂を押出すことにより、少なくとも前記構造脚部直上の外層表面に前記凸条を設ける凸条形成工程と、該凸条形成工程により形成された凸条が未硬化状態である間に該凸条の一部を所定パターンに従って押圧して凹部を形成し、凸条長手方向に凹凸が繰り返し現出する凸条を形成する凸条加工工程とを備えることを特徴とする繊維強化中空構造体の製造方法。
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