JP4527219B2 - 圧入検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャフト等の被圧入部材に圧入される筒状部材等の圧入部材の斜め圧入を検出する圧入検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速機等の機械装置では、被圧入部材の外周や中央孔に筒状部材や棒部材を圧入により組付ける圧入組付け部分がある。例えば変速機では、シャフト部材の外周に形成されたアウタースプライン歯形部に該アウタースプライン歯形部と対象のインナースプライン歯形部をもつクラッチハブを両該スプライン歯形部が嵌合した状態に圧入により装着する。
【0003】
このような圧入組付け部分の組付けにおいては、被圧入部材と圧入部材との軸線が一致した状態に圧入する必要があり、被圧入部材に対する圧入部材の斜め圧入は回避されるべきである。
【0004】
従来、被圧入部材に対する圧入部材の斜め圧入は、鍛造機械等、圧入機のラム側から押付ける加圧力を調整し、圧入部材の圧入方向への進行が停止した場合に、加圧を停止したり、人手による目視で監視していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧入組付け部分の圧入作業においては、被圧入部材に対する圧入部材の斜め圧入を積極的に検出する手段が採用されておらず、斜め圧入が生じた場合でも、どちらか亀裂等を起した部材でもそのまま作業工程中に流動しているのが現状である。被圧入部材に対する圧入部材の斜め圧入は、特にスプライン歯形同士において、位相がずれた状態で圧入するとスプライン歯形部でのかつぎに斜め圧入状態になってしまう。
【0006】
本発明は、斜め圧入を物理的に検出し、亀裂等を生じた部材を作業工程中に流動させず、歩留りを向上できる圧入検出装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明の発明者等は種々検討を重ね、圧入用の機械装置は、圧入部材の被押圧面を圧入方向に押圧して圧入するので、その被押圧面に当接する押圧部材の押圧面を被押圧面に面接触する着座面とし、この面接触が均等に行われているか否かを流体を利用して測定することを考え本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の圧入検出装置は、被圧入部材に圧入される圧入部材の該被圧入部材に対する斜め圧入を検出する圧入検出装置であって、圧入開始位置で前記圧入部材の被押圧面に当接面を着座した面接触状態で圧入終端位置まで加圧移動され、該当接面に開口する検圧室を周方向に複数もつ押圧部材と、前記検圧室に検出用の流体を供給する流体供給手段と、前記検圧室の流体圧を検出し該開口より漏れ出る流体を流体圧より検知し斜め圧入と検出するセンサ手段とを具備し、前記センサ手段は、いずれか一つの該検圧室の流体圧が所定の定常圧値より変化したとき斜め圧入とすることを特徴とする。
また、本発明の圧入検出装置は、被圧入部材に圧入される圧入部材の該被圧入部材に対する斜め圧入を検出する圧入検出装置であって、圧入開始位置で該圧入部材の被押圧面に当接面を着座した面接触状態で圧入終端位置まで加圧移動され、該当接面に開口する検圧室を周方向に複数もつ押圧部材と、該検圧室に検出用の流体を供給する流体供給手段と、該検圧室の流体圧を検出し該開口より漏れ出る流体を流体圧より検知し斜め圧入と検出するセンサ手段とを具備し、前記センサ手段は、いずれか一つの該検圧室の流体圧が所定の定常圧値より変化したとき斜め圧入とし、前記圧入開始位置から前記圧入終端位置まで加圧移動された区間で1回以上斜め圧入を検出することを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の圧入検出装置は、圧入部材の被押圧面と押圧部材の当接面とは、斜め圧入でない正常の圧入において、検圧室内の流体が開口より接触面のすきまを通じて一定の割合で洩れ出る。この漏れ出る流体は、圧入部材が被圧入部材に斜めに圧入されると、圧入部材の被押圧面と押圧部材の当接面との面接触状態が崩れるため、正常圧入時より多くなる。従って、検圧室の流体の圧力は、正常圧入時に呈する定常圧値より変化する。この圧変化をセンサ手段により検出することにより、斜め圧入が生じたか否かを判断できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の圧入検出装置において、検圧室は押圧部材側に設けても外部部材に設けても良い。外部部材は、圧入部材の被押圧面と押圧部材の当接面とのすきまに検圧室を臨ませた状態で該すきまを閉塞するリング状のゴム質部材で構成することが好ましい。この場合、外部部材には、一定の割合で流体を漏出する通路を設ける。
【0011】
本発明の圧入検出装置において、圧入開始位置とは、被圧入部材に圧入部材が合致した状態に対応した押圧部材の圧入方向位置である。
【0012】
圧入部材の被押圧面と押圧部材の当接面との関係は、必ずしも平坦面である必要はない。
【0013】
流体供給手段は、ポンプ等の流体を吐出する吐出源と、該吐出原からの流体の原圧を一定圧値に制限するリリーフ弁とから構成することができる。リリーフ弁は、原圧の脈動を小さく制限する例えば針弁を用いた精密レギュレータとすることが好ましい。
【0014】
流体供給手段は、斜め圧入でない正常の圧入において、流体が接触面のすきまを通じて一定の割合で洩れ出る漏れ量に比例した供給量が設定される。
【0015】
検圧室は、二以上、好ましくは等間隔に3つ形成することが好ましい。そして、センサ手段は、3つの検圧室のうち一つでも流体圧が定常圧値より低下した場合に斜め圧入と判断すればよい。検圧室を複数設ける場合も、その検圧室は、押圧部材および外部部材のいずれにも形成することができる。
【0016】
センサ手段は、半導体式、静電容量式、圧電セラミック式、ストレンゲージ接着式等の圧力センサと、コンピュータシステムとで構成することができる。
【0017】
センサ手段は、少なくとも前記圧入開始位置から所定位置まで加圧移動された初期加圧区間に斜め圧入を検出するだけでもよい。初期加圧区間では、圧入部材が傾く場合が多く、この区間で斜め圧入を検出することにより、その後の本加圧区間の正常な圧入を期待できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の圧入検出装置を図面に示す実施例により更に具体的に説明する。 第1実施例の構成
図1〜5は本発明の第1実施例を説明する図面である。図1に全体の構成図を示す。図1に示す第1実施例の圧入検出装置は、図示しない機構によって上下方向に移動される押圧部材1と一体のポンチ2と、該ポンチ2の外周に取付けられた流体供給手段3と、該流体供給手段3に付加された圧力センサ4を有するセンサ手段5(図3、4参照)とから構成されている。
【0019】
押圧部材1によって圧入工作される部材は、ベースに6に固定された被圧入部材としてのシャフト部材7と、該シャフト部材7のアウタースプライン部71に圧入される部材としてのクラッチハブ8からなり、クラッチハブ8にはシャフト部材7のアウタースプライン部71に対象なインナースプライン部81が形成されている。インナースプライン部81とアウタースプライン部71は、それぞれ周方向に面取りがなされている。
【0020】
押圧部材1と一体のポンチ2は、その先端の当接面21を押圧部材1の圧入開始位置(図5)でクラッチハブ8の被押圧面82(端面)に面接触状態とし、この状態を維持して圧入終端位置(図5)まで加圧移動される。ポンチ2の内部には、周方向に等間隔で上下方向に穿孔された検圧室22がそれぞれ配設されている。検圧室22は図2に示すように当接面21において開口しており、検圧室22の押圧部材1側は図1に示すように栓部材23で止められている。また、検圧室22の中間位置からは、それぞれ遠心方向に係合孔24が延びている。
【0021】
流体供給手段3は、図1に示すように、前記係合孔24に係合するプラグ部31と、図示しないエアーポンプに接続されたホース32と、該ホース32とプラグ部31を連通する機構ハウジング部33と、該機構ハウジング部33に配設され通流するエアーの圧力を例えば0.1MPaに制限するリリーフ弁タイプの精密レギュレータ34とから構成されている。流体供給手段3は、前記機構ハウジング部33にリング状のブラケット9の中間部分が一体化され、ブラケット9の両開端を締結することにより、ポンチ2の外周に固定される。
【0022】
機構ハウジング部33は、図3および図4に示すように、ホース32による1本の通路35の途中に精密レギュレータ34が挿入され、精密レギュレータ34を経た通路36を三つの通路37〜39に分岐したものである。分岐した各通路37〜39には、それぞれ圧力センサ4が配設されている。更に通路37〜39は、プラグ部31を介して検圧室22に連通されている。この精密レギュレータ34により検圧室22および各通路37〜39の流体圧は、被押圧面81と当接面21とが正常な(密着の)着座状態のとき定常圧値に維持される。
【0023】
センサ手段5の圧力センサ4は、そのケース部分が図3に示すように、機構ハウジング部33の外側に取付られ、素子部分PSが、図4に示すように、分岐した各通路37〜39の流体圧を検出するように配設されている。これにより、圧力センサ4は、それぞれの検圧室22内の流体圧を検出することができる。 圧力センサ4の各信号は、論理回路を構成するコンピュータ51に入力されている。圧力センサ4は、被押圧面81と当接面21とが正常な着座状態のときHレベルの信号を出力し、少なくとも一つの検圧室22の流体圧がエアー漏れにより低下すると、Lレベルの信号を出力する。
【0024】
第1実施例の作用
上記構成よりなる圧入検出装置は、シャフト部材7にインナースプライン部81の内孔が通されたクラッチハブ8を所定の位相に合わせることにより、インナースプライン部81とアウタースプライン71とが噛合い可能な関係に設定される。この状態でクラッチハブ8を下方向に進行させ、図5に示すように、アウタースプライン71の面取り面とインナースプライン部81の面取り面とが合致する位置(圧入開始位置)で押圧部材1を加圧移動させる。
【0025】
圧入工作過程は、図5に示すように、圧入開始位置より約2mmの初期加圧区間と、アウタースプライン71の長さ分に対応した本加圧区間と、本加圧区間の終了点後の約2mmの終期加圧区間とからなる。
【0026】
本実施例では、初期加圧区間において、コンピュータ51は、連続的に各圧力センサ4の信号をサーチする。本加圧区間および終期加圧区間においては、所定のサイクルタイムで各圧力センサ4の信号をサーチする。すなわち、初期加圧区間においては、各圧力センサ4の信号をサーチする頻度を高くしている。
【0027】
各区間において、斜め圧入か否かを判断する方法は同じである。すなわち、シャフト部材7の軸線に対しクラッチハブ8の軸線が一致している正常圧入時は、当接面21が被押圧面81に面接触している。このとき、エアーは、両面の面粗度に応じたすきまを通じて洩れる。この漏れ量は一定の割合で洩れ、このため検圧室22の流体圧は、精密レギュレータ34によって規制される定常圧値を維持し、各圧力センサ4の信号は全てLレベルとなる。従って、コンピュータ51は、Lレベルを出力して正常圧入であることを知らせる。
【0028】
斜め圧入が生じると、当接面21と被押圧面81との面接触状態が崩れ、いずれか又は全部の検圧室22の開口から、両面の面粗度に応じたすきまを通じて洩れる量より多く洩れる。従って、検圧室22の流体圧は、定常圧値より低下し、圧力センサ4の信号がHレベルとなって、コンピュータ51は、Hレベルを出力して斜め圧入であることを知らせることができる。
【0029】
本実施例では、斜め圧入が生じやすい初期加圧区間において、コンピュータ51は、連続的に各圧力センサ4の信号をサーチしているので、圧入不良の発生率を極めて低減することができる。
【0030】
なお、各区間の判断は、押圧部材1の移動量を検出する図示しない手段により容易に行うことができる。また、各圧力センサ4は、正常時にHレベルの信号を出力するものでもよい。この場合は、コンピュータ51として別の論理回路を構成する。
【0031】
更に変形例として、作業時間を短くするため、初期加圧区間にだけ、斜め圧入を検出するようにしてもよい。
【0032】
第2実施例
図6〜図8に示す第2実施例の圧入検出装置は、ダイヤフラム形の圧力センサを用いて隣接した検圧室22間の差圧により斜め圧入を検出するようにしたものである。
【0033】
すなわち、図6および図7に示すように、第2実施例における検圧室22は、ポンチ2の上面から当接面21まで貫通している。そして、検圧室22は、ポンチ2の上面に配設されたセンサケース12の周状の連通路13によって連通されている。更に各連通路13は、中間にダイヤフラム形の圧力センサ11が配設され、各検圧室22を圧力センサ11によって区画されている。センサケース12は、下側中央にリング状の凹部14をもつ円盤状の上部材14と該上部材14に接合され凹部14と検圧室22とを連通する孤立孔16をもつ下部材17にて構成されている。各検圧室22は、プラグ部31(図1)の係合孔24を介して精密レギュレータ34を経た通路36と連通されている。
【0034】
第2実施例の検出方法においても、図5と同様の検出過程を採用することができる。当接面21と被押圧面82(図1)との面接触状態が正常のときは、各検圧室22の流体圧が同じであり、各圧力センサ11の信号は、Lレベルを出力し、コンピュータ51は正常を知らせる。
【0035】
斜め圧入が生じ当接面21と被押圧面82との面接触状態が崩れると、隣接した検圧室22間の流体圧に差が生じ、ダイヤフラム形圧力センサ11が作動して、Hレベルの信号を出力する。これによりコンピュータ51は斜め圧入を知らせることができる。
【0036】
この第2実施例によれば、機構ハウジング部33の構成を簡略化できる利点があると共に、差圧による検出のため、一層程度の小さい斜め圧入を検出できる。また、精密レギュレータ34として安価なボール弁タイプのものを使用できる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、被圧入部材に対する圧入部材の斜め圧入を物理的に検出し、圧入不良品の発生頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】 第1実施例に採用したポンチの当接面側を示す正面図である。
【図3】 ポンチ外周に取付ける機構ハウジング部を示す模式図である。
【図4】 第1実施例の圧入検出装置に構成されるエアー回路を示す構成図である。
【図5】 本発明の検出過程を示す説明図である。
【図6】 第2実施例に採用したポンチの当接面側を示す正面図である。
【図7】 第2実施例に採用したポンチの断面図である。
【図8】 第2実施例の圧入検出装置に構成されるエアー回路を示す構成図である。
【符号の説明】
1…押圧部材 2…ポンチ(押圧部材)
3…流体供給手段 4、11…圧力センサ
5…センサ手段 22…検圧室。
Claims (5)
- 被圧入部材に圧入される圧入部材の該被圧入部材に対する斜め圧入を検出する圧入検出装置であって、
圧入開始位置で前記圧入部材の被押圧面に当接面を着座した面接触状態で圧入終端位置まで加圧移動され、該当接面に開口する検圧室を周方向に複数もつ押圧部材と、
前記検圧室に検出用の流体を供給する流体供給手段と、
前記検圧室の流体圧を検出し該開口より漏れ出る流体を流体圧より検知し斜め圧入と検出するセンサ手段とを具備し、
前記センサ手段は、いずれか一つの該検圧室の流体圧が所定の定常圧値より変化したとき斜め圧入とすることを特徴とする圧入検出装置。 - 被圧入部材に圧入される圧入部材の該被圧入部材に対する斜め圧入を検出する圧入検出装置であって、
圧入開始位置で前記圧入部材の被押圧面に当接面を着座した面接触状態で圧入終端位置まで加圧移動され、該当接面に開口する検圧室を周方向に複数もつ押圧部材と、
前記検圧室に検出用の流体を供給する流体供給手段と、
前記検圧室の流体圧を検出し該開口より漏れ出る流体を流体圧より検知し斜め圧入を検出するセンサ手段とを具備し、
前記センサ手段は、いずれか一つの該検圧室の流体圧が所定の定常圧値より変化したとき斜め圧入とし、前記圧入開始位置から前記圧入終端位置まで加圧移動された区間で1回以上斜め圧入を検出することを特徴とする圧入検出装置。 - 前記センサ手段は、少なくとも前記圧入開始位置から所定位置まで加圧移動された初期加圧区間に斜め圧入を検出する請求項1又は2に記載の圧入検出装置。
- 前記センサ手段は、斜め圧入を複数回検出する請求項1〜3の何れか1項に記載の圧入検出装置。
- 前記センサ手段は、斜め圧入と検出した場合、斜め圧入が検出された前記被圧入部材及び前記圧入部材を作業工程中に流動させない請求項1〜4の何れか1項に記載の圧入検出装置。
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