JP4526378B2 - ステンレス製フレキシブル管 - Google Patents

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Description

本発明は、特に給水給湯用配管に適した、ステンレス製の溶接管に波形形状を付加した、ステンレス製フレキシブル管に関するものである。
ステンレス製フレキシブル管301は、ステンレス素材の水に対する耐食性の良さから、給水給湯用配管に使われ、たとえば図18に示すように水栓金具等300への給水給湯用に使われている。このステンレス製フレキシブル管301によれば、可撓性がよく自由に引き回せて扱いやすいので配管施工が容易であるという特徴がある。
一方、ステンレス製フレキシブル管をシングルレバー水栓器具や大型自動洗濯機、食器洗浄器等の給水給湯の急閉止を伴う水栓器具や電磁弁を内蔵した家電製品の給水給湯用配管に用いる場合は、これらの機器の急閉止によるウォーターハンマー(水撃)現象及びその繰り返し作用に対する疲労耐久性が必要となる。
さらに、近年では、建築物の高層化、高台への建築、3階建て住宅の普及、住宅密度の増加等により、各自治体は給水圧力・給水量をふやさざるを得なくなりつつある。よって、ステンレス製フレキシブル管においては、今後増大するウォーターハンマーに対する、さらなる疲労耐久性が求められている。
一般的に、ステンレス製フレキシブル管は、引き抜き管から製作するよりも安価ということから、板状のステンレス素材を溶接して円筒状とした溶接管から製作される。
しかし一般的に、溶接部には多くの場合、その溶接部近傍に引張残留応力が発生する。さらに、その引張残留張応力は溶接部が大きくなるほど大きくなる。
さらに、溶接部は、溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がりやへこみ等により形状不連続を生じやすい。
図14にステンレス製溶接管200の断面図および代表的な溶接余盛部201を示し、図15にその拡大図を示す。
図16にステンレス製溶接管202の断面図および代表的な溶接部の垂れ下がり203およびへこみ204を示し、図17にその拡大図を示す。
このような溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がりやへこみによる形状不連続を生じた溶接部に繰り返し応力が作用する場合、引張残留応力は平均応力として負荷され、さらに、溶接部の形状不連続により応力集中を生じるため、実際に溶接部に負荷される応力は、所定値を大きく上回ることになり、長期間の繰り返しによっては溶接部から疲労破壊に至るとされている。
よって、溶接を施した溶接管から製作したフレキシブル管をシングルレバー水栓金具等の給水給湯の急閉止を伴う器具に使用する場合、長期にわたる給水給湯の急閉止によるウォーターハンマーの繰り返しにより、溶接部が疲労破壊を起こし、そこから漏水するという問題があった。
溶接部の引張残留応力を低減させる方法として、溶接後の化粧溶接により引張残留応力を低減させる手法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、この手法では、溶接後に、さらに化粧溶接を施すので、加工工程が増え経済的に問題がある。
また、溶接部の引張残留応力を低減させる別の手法として、溶接部にハンマーピーニングにより圧縮応力を導入する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この手法でも、溶接後に、さらにハンマーピーニングを施すため、加工工程が増え経済的に問題がある。
また、溶接部の引張残留応力を低減させる別の手法として、溶接金属の変態膨張を利用して圧縮応力を導入する手法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この手法では、高価な合金元素を多く添加した溶接材料を用いるため経済的な面で問題がある。
また、溶接部の形状不連続を低減し、応力集中を緩和する手法として、溶接部ビードを研削する手法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この手法では、溶接後に、さらに溶接ビードを研削するので、加工工程が増え経済的に問題がある。
フレキシブル管の別の問題として、フレキシブル管は波形形状を付加しているため、ウォーターハンマー等の水撃による発生応力が、円筒管に比べて大きくなり、また応力集中も起こしやすくなっている。発生応力については、管の板厚を上げれば低減することができるが、施工時のフレキシブル管の曲げ易さ、施工修正時の再度の曲げ直し等、すなわち可撓性を確保するためには板厚は0.4mm程度が限度である。
フレキシブル管の波形形状については、従来技術に管径、肉厚、蛇腹部の高さ、ピッチで記載したものがあるが(例えば、特許文献5)、ウォーターハンマー等の水撃による発生応力が小さくなる形状は明らかにされていない。
特開昭52−98642号公報 特開平4−21717号公報 特開2000−84670号公報 特開昭61−186611号公報 特開平8−184391号公報
前記従来技術の諸問題に鑑み、本発明は、経済的に優れ、かつ、可撓性を落とすことなく、ウォーターハンマーの繰り返し作用に耐えうる、耐久特性に優れた、給水給湯用配管に使用されるステンレス製フレキシブル管を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明では、
板厚tが0.285mmから0.400mmのステンレス製板材を縦方向に溶接して形成した溶接管を、山部と谷部とが周期的に繰り返し形成され、その山部の管外側頂点及びその谷部の管内側頂点が曲面である波形形状に形成した可撓性を有した、給水給湯用配管に使用されるステンレス製フレキシブル管であって、前記溶接管の溶接部の外側ビード幅W1を0.741mm以上(3.884×t)mm以下とし、かつその溶接部の内側ビード幅W2を0.241mm以上(3.070×t)mm以下とし、かつ外側ビード幅W1を内側ビード幅W2以下とし、かつその溶接部の厚みW3を(0.969×t)mm以上(1.403×t)mm以下としたことを特徴とするステンレス製フレキシブル管とした。
こうすることで、溶接ビード部を小さくし、その結果、溶接部に残留する引張残留応力を抑制し、さらに、溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がり等の形状不連続による応力集中を抑制することができるので耐久性が向上する。その結果、溶接後に残留応力を低減する処置や形状不連続を修正する処置を行う工程を追加する必要がなくなり、コスト高にならず経済的である。
また、上記目的を達成するために請求項2記載の発明では、
前記波形形状が、らせん状であり、前記ステンレス製フレキシブル管を軸方向に投影した場合、前記谷部の管内側頂点から形成される投影円の直径dが6mmから16mmであり、前記山部の管外側頂点と前記谷部の管外側頂点との、前記ステンレス製フレキシブル管の中心軸に垂直な方向の高さHが1.1mmから2.0mmであり、隣り合う前記山部の管外側頂点間のピッチPが2.5mmから5.0mmであり、かつ前記山部の管外側頂点部の曲面の山半径R1と前記谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径R2が1mm以上であると共に、高さHとピッチPと投影円の直径dと板厚tとの関係が、H≦0.2571P−0.0366d+4.4000t−0.1763であることを特徴とする請求項1に記載のステンレス製フレキシブル管とした。
こうすることで、波形形状を有するステンレス製フレキシブル管においても、溶接部の改良に加え、ウォータハンマーに対する発生応力を抑制することができるので、さらに耐久性が向上する。
また、上記目標を達成するために請求項3記載の発明では、
前記山部の管外側頂点部の曲面の山半径R1と前記谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径R2を同じとしたことを特徴とする請求項2に記載のステンレス製フレキシブル管とした。
こうすることで、波形形状における応力集中を抑制することができるので、さらに耐久性が向上する。
本発明によれば、溶接ビードを小さくし、その結果、溶接部に残留する引張残留応力を抑制し、さらに、溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がりやへこみ等の形状不連続による応力集中を抑制することができる。その結果、溶接後に残留応力を低減する処置や形状不連続を修正する処置を行う工程を追加する必要がなくなる。また、波形形状を有するステンレス製フレキシブル管においても、溶接部の改良に加え、ウォーターハンマーによる発生応力および応力集中を抑制することできる。また、山半径と谷半径を同じとすることで、波形形状の応力集中を抑制することができる。よって、これらの重畳作用により、ウォータハンマーの繰り返し作用による疲労が問題となる給水給湯用配管に、高価な引き抜き管を用いることなく安価な溶接管に波形形状を付加した、耐久性に優れかつ経済的にも優れた可撓性を有するステンレス製フレキシブル管を提供することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のステンレス製フレキシブル管1の断面図を示す。
はじめに図1に示す、本発明のステンレス製フレキシブル管1の製造方法について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、本発明のステンレス製フレキシブル管1の製造装置を示す図である。まず、コイル状に巻き付けられている薄肉の板状のステンレスからなる管素材100を管製造機50へ所定の速度で送り込む。
次に、管製造機50で前記板状の管素材100を図3に示すように円筒状の溶接管102に成形する。
すなわち、管製造機50では、TIG溶接などの溶接手段により管素材100の対抗面、つまり接合部101を管外側から互いに溶接し、溶接管102を形成する。
次に、この溶接管102を波形形状成形機51へ供給する。波形形状製造機51では図示しない波形形状製造ローラにより溶接管102にらせん状の波形形状を形成する。その後、所定の寸法に切断し、熱処理を施し、ステンレス製フレキシブル管1とする。
なお熱処理としては、鋭敏化を回復し耐食性を向上させる熱処理として、1000℃以上1100℃以下に加熱した後に急冷する熱処理を行う。
図4は、図3の溶接管102のA−A断面を示す図であり、板厚t、および溶接部2を示す図である。
また、図5は図4の溶接部2の拡大図であり、溶接部の外側ビード幅W1、溶接部の内側ビード幅W2、溶接部の厚みW3の定義を示している。なお、ステンレス製溶接管の溶接部2は、ステンレス製溶接管の中心軸に垂直な断面に対し、JIS G 0571に記載された10%しゅう酸エッチを行うことにより、顕微鏡で50倍から200倍にて図5に示す通り観察することができる。すなわち溶接部2は非溶接部3よりも黒色に観察され、それらの境界4も明確に観察できる。
よって、図5に示すとおり、外側ビード幅W1は、管外側の溶接部2の幅を示し、内側ビード幅W2は管内側の溶接部2の幅を示し、溶接部の厚みW3は、溶接部2の管半径方向の最大厚みを示す。
次に、ステンレス製フレキシブル管の波形形状について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、ステンレス製フレキシブル管1の断面図およびそのステンレス製フレキシブル管1の軸方向への投影図を示す図である。前記ステンレス製フレキシブル管1の波形形状は、その頂点が曲面である、らせん状の山部10と谷部11の周期的な繰り返しで形成されている。また、図6では、前記ステンレス製フレキシブル管の軸方向への投影図において、前記谷部11の管内側頂点12から形成される投影円の直径dの定義を示している。
図7は、波形形状断面の拡大図であり、前記山部の管外側頂点21と前記谷部の管外側頂点22との、ステンレス製フレキシブル管の中心軸23に垂直方向の高さH、隣り合う前記山部の管外側頂点間のピッチP、前記山部の管外側頂点部の曲面の山半径R1と前記谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径R2の定義を示している。
本発明の板状のステンレス素材の板厚tについては、板厚tが小さくなればステンレス製フレキシブル管のウォーターハンマー等による耐久性は悪くなることは明白であるため、最低板厚は、市場でのステンレス製板材の入手性、概略の耐久性を考慮して、0.285mmとした。また、最高板厚は、可撓性を確保するため0.400mmとした。
本発明の投影円の直径dは、水洗金具や食器洗浄器等への給水給湯用として流量を確保するのに十分な範囲として6mmから16mmとした。
高さHとピッチPについては、高さHは、大きくなれば可撓性は向上するが耐久性は低下し、ピッチPは、大きくなれば可撓性は悪くなるが、耐久性は向上するという性質がある。よって、本発明の高さHとピッチPについては、耐久性と可撓性を考慮し、さらに成形ローラでの波形形状の成形のしやすも考慮し、高さHについては1.1mmから2.0mmとし、ピッチについては2.5mmから5.0mmとした。
本発明の山半径R1および谷半径R2については、波形形状の成形ローラーでの成形可能範囲として1mm以上とした。
次に、本発明の溶接ビード形状について説明する。
本発明は、ステンレス製溶接管の溶接ビード形状を調整し溶接部の残留応力や応力集中を抑制することで、そのステンレス製溶接管に波形形状を付加したステンレス製フレキシブル管のウォーターハンマー等に対する耐久性を向上させるものである。
まず、溶接条件を変化させて種々の溶接ビード形状を有するステンレス製溶接管を製作し、さらに、それらの溶接管に波形形状を付加しステンレス製フレキシブル管とした。
これらのステンレス製フレキシブル管を、管内に3.5MPaの水圧を1秒周期で作用させる疲労試験に供し、耐久性の評価を行った。
なお、本疲労試験は溶接ビード形状の違いによる耐久性を評価するため、波形形状については、らせん状とし、投影円の直径dは8.9mm、高さHは1.55mm、ピッチPは3.9mm、山半径R1および谷半径R2は1.0とした。また、板厚tについては、もっとも耐久性の劣る本発明の最低板厚である0.285mmとした。
また、ステンレスの鋼種としてJIS G 4305のSUS316Lを用いた。
また、本疲労試験は40万回以上の耐久性を目指した。40万回とは、1日に54回ウォーターハンマーが作用すると仮定した場合、約20年分の回数に相当する。水栓金具や自動洗濯機、食器洗浄器等の家電製品の耐用年数を考慮して、40万回以上とした。
表1に試験に供した溶接ビード形状、および、それらの疲労試験結果を示す。なお、破損したものは、すべて溶接ビード部から破損した。
図8に40万回で破損しなかった代表例として、表1の形状9の溶接ビード部30を示す。また、図9に40万回以下で破損した代表例として、表1の形状23の溶接ビード部31を示す。これらを比較すると形状9の溶接ビード部30の外側ビード幅W1a、内側ビード幅W2a、溶接部厚みW3aはそれぞれ、形状21の溶接ビード部31の外側ビード幅W1b、内側ビード幅W2b、溶接部厚みW3bよりも小さくなっている。また、形状21の溶接部31は、溶接部の厚みW3bが板厚tよりも大きくなっており、板厚tに対して溶接部の厚みW3aがほぼ等しい形状9の溶接部30よりも、形状不連続が大きくなっている。
図10に、表1における、溶接部の外側ビード幅W1と内側ビード幅W2をグラフとして示した。なお、図10中の●は40万回以上破損しなかったものを示し、▲は40万回以下で破損したものを示す。
図10より、疲労試験で40万回以上を達成する溶接部の外側ビード幅W1と内側ビード幅W2の範囲は、
外側ビード幅W1については、0.741mm以上1.107mm以下、
板厚tを用いて示すと、(3.600×t)mm以上(3.844×t)mm以下、
内側ビード幅W2については、0.241mm以上0.875mm以下、
板厚tを用いて示すと、(0.846×t)mm以上(3.070×t)mm以下、
となる。
図10に、点線四角でその範囲を示した。
なお、溶接は管外側から行うため、また、図10からもわかるように、外側ビード幅W1は、少なくとも内側ビード幅W2と同じかあるいはそれよりも大きくなる。
図11に、溶接部の厚みW3と耐久試験結果をグラフに示した。図10中の●は40万回以上破損しなかったものを示し、▲は40万回以下で破損したものを示す。
図11より、疲労試験で40万回以上を達成する溶接部の厚みW3の範囲は、0.276mm以上0.400mm以下、
板厚tを用いると、(0.969×t)mm以上(1.403×t)mm以下となる。
図11に、点線でその範囲を示した。
図11示す通り、前記W3の範囲に、40万回以下で破損したものが含まれるが、それらは、形状19、形状20、形状21、形状22のものであり、前記の外側ビード幅W1あるいは内側ビード幅W2の値が、前記の外側ビード幅W1あるいは内側ビード幅W2の範囲からはずれているものである。
以上より、溶接部の外側ビード幅W1および内側ビード幅W2およびビード厚みW3の範囲を制限することで、溶接部に残留する引張残留応力を抑制し、さらに、溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がり等の形状不連続による応力集中を抑制することができる。その結果、溶接後に残留応力を低減する処置や形状不連続を修正する処置を行うことなく、本疲労試験において40万回で破損しない耐久性に優れたステンレス製フレキシブル管を得ることができる。
なお、本発明は、ステンレス製溶接管の溶接ビード形状を小さくし溶接部の残留応力や応力集中を抑制することで、そのステンレス製溶接管に波形形状を付加したステンレス製フレキシブル管のウォーターハンマー等に対する耐久性を向上させるものであるゆえ、外側ビード幅W1および内側ビード幅W2は、板厚tにかかわらず、小さくなればなるほどよい。
よって、本発明における外側ビード幅W1と内側ビード幅W2の下限範囲は、本発明における最低板厚である0.285mmの場合の値とすることができる。すなわち、溶接部の外側ビード幅W1の範囲は、0.741mm以上(3.884×t)mm以下、
溶接部の内側ビード幅W2の範囲は、0.241mm以上(3.070×t)mm以下となる。
上記、溶接部の外側ビード幅W1および内側ビード幅W2および溶接部の厚みW3の範囲は、本発明範囲において耐久性がもっとも劣る最低板厚である0.285mmの場合の疲労試験結果から導き出したものである。板厚tを増すと強度は向上し疲労強度も向上する。
次に、本発明の波形形状について説明する。
本発明は、ステンレス製フレキシブル管の波形形状を調整し、ウォーターハンマー等の内圧によりステンレス製フレキシブル管に発生する応力を低減する、すなわち、その応力をステンレスの疲労強度以下にすることで、当該ステンレス製フレキシブル管の耐久性を向上させるものである。
フレキシブル管の波形形状は、前記板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチP、山半径R1、谷半径R2の組み合わせで決まる。これらの組み合わせの数は非常に多く、その組み合わせすべてにおいて疲労試験を行い耐久性を評価するのは現実的でない。
そこで、何種類かの波形形状について有限要素法弾性解析にて管内の内圧により発生する最大応力を算出し、それらの解析結果から最大応力がステンレスの疲労強度以下になるような波形形状の範囲を導出し、その範囲の妥当性を疲労試験にて検証した。
表2に、波形形状の範囲を推定するために選定した板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせ、および、その組み合わせによる波形形状での有限要素法弾性解析結果による最大応力算出結果を示す。なお、有限要素法弾性解析による最大応力については、SUS316Lの物性値としてヤング率191.1GPaおよびポアソン比0.23を用い、また、管内に3.5MPaの内圧が作用するとして算出した。また、山半径R1と谷半径R2については、大きくなるほど発生応力は小さくなるので、条件が一番厳しい1mmとした。
表2に示す解析結果から、最大応力がSUS316Lの疲労強度以下になる板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせを導出した。
なお、SUS316Lの疲労強度については、ステンレス鋼便覧第3版(ステンレス協会)にSUS316の疲労強度として262MPaとの記載があるので、化学成分範囲が類似しているSUS316LとSUS316の疲労強度は同等と見なし、262MPaを採用した。
ただし、本発明では、材料のばらつき、有限要素法解析の精度等を考慮して、最大応力が200MPa以下になる板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせ範囲として導出した。その結果を以下の数1に示す。
図12に、t=0.285mm、d=8.3mmの場合の前記式の直線、および有限要素法解析の実施点およびその発生応力算出結果を示す。
図13に、t=0.3mm、d=10.8mmの場合の前記式の直線、および有限要素法解析の実施点およびその発生応力算出結果を示す。
図12、図13に示すとおり、前記直線よりも下にある組み合わせは、発生応力が200MPa以下になっている。
次に、導出した前記式の妥当性を検証するため、前記式の組み合わせの範囲内および範囲外にある板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせのステンレス製フレキシブル管を製作し、管内に3.5MPaの水圧を1秒周期で作用させる疲労試験に供し、耐久性の評価を行った。なお、ステンレス鋼種はJIS G 4305のSUS316Lとした。また、山半径R1および谷半径R2を1mmとした。
表3に、前記試験に用いた板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせと発生応力の算出結果および疲労試験結果を示す。表3に示すとおり、本発明の板厚t、投影円の直径d、高さH、ピッチPの組み合わせをもつステンレス製フレキシブル管は、40万回を超える耐久性を有しいる。
本発明は溶接ビード形状を調整し、その結果、溶接部に残留する引張残留応力を抑制し、さらに、溶接余盛や溶接時の溶融金属の重力による垂れ下がり等の形状不連続による応力集中を抑制するものである。よって、板材料としてJIS G 4305のSUS316Lと同鋼種のJIS G 4305のSUS304、SUS304L、SUS316にも適用できる。また、波形形状はらせん状に限らず、蛇腹状のものにも適用できる。
また、波形形状については内圧による最大応力を200MPa以下にする波形形状としているので、ステンレス鋼便覧第3版(ステンレス協会)に疲労強度として234MPaと記載のあるSUS304および化学成分がSUS304に類似のSUS304L、疲労強度として262MPaと記載のあるSUS316についても適用できる。
比較のため、市販のSUS316L製のステンレス製フレキシブル管2本を管内に3.5MPaの水圧を1秒周期で作用させる疲労試験に供した。表4に示す通り、一方は35万回で溶接部が破損し、もう一方は40万回の半分以下である19万回で同様に溶接部が破損した。
なお、これらの市販のステンレス製フレキシブル管の溶接ビード形状は、本発明の溶接部の外側ビード幅W1および内側ビード幅W2の範囲からはずれている。

ステンレス製フレキシブル管の断面を示す図である。 本発明のステンレス製フレキシブル管の製造工程を示す図である。 本発明の溶接管の製造過程を示す図である。 図3におけるA−A断面を示す図である。 ステンレス製溶接管の溶接ビード部を示す図である。 本発明のステンレス製フレキシブル管の波形形状および中心軸方向への投影図を示す図である。 本発明のステンレス製フレキシブル管の波形形状を示す図である。 本発明の溶接ビード形状例を示す図である。 比較例の溶接ビード形状例を示す図である。 管外及び管内側溶接ビード幅と耐久回数の関係を示す図である。 溶接ビード厚みと耐久回数の関係を示す図である。 本発明のt、d、P、Hの関係および応力計算結果を示す図である。 本発明のt、d、P、Hの関係および応力計算結果を示す図である。 従来の溶接管の断面を示す図である。 従来の溶接余盛を示す図である。 従来の溶接管の断面を示す図である。 従来の溶接部の垂れ下がりおよびへこみを示す図である。 シングルレバー水栓を示す図である。
符号の説明
1…本発明のステンレス製フレキシブル管
2…溶接部
3…非溶接部
4…溶接部と非溶接部の境界
10…山部
11…谷部
12…谷部の管内側頂点
21…山部管外側頂点
22…谷部管外側頂点
23…ステンレス製フレキシブル管の中心軸
30…形状9の溶接部
31…形状21の溶接部
50…管製造機
51…波形形状製造機
100…板状の管素材
101…接合部
102…溶接管
200…従来のステンレス製溶接管
201…溶接余盛
202…従来のステンレス製溶接管
203…溶接部の垂れ下がり
204…へこみ
300…水栓金具
301…従来のステンレス製フレキシブル管
t…溶接管の板厚(板状の管素材の板厚)
W1…外側ビード幅
W2…内側ビード幅
W3…溶接部の厚み
d…谷部の管内側頂点の中心軸方向への投影円の直径
H…山部の管外側頂点と谷部の管外側頂点との中心軸に垂直な方向の高さ
P…隣り合う山部の管外側頂点間のピッチ
R1…山部の管外側頂点部の曲面の山半径
R2…谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径



Claims (3)

  1. 板厚tが0.285mmから0.400mmのステンレス製板材を縦方向に溶接して形成した溶接管を、
    山部と谷部とが周期的に繰り返し形成され、その山部の管外側頂点及びその谷部の管内側頂点が曲面である波形形状に形成した可撓性を有した、給水給湯用配管に使用されるステンレス製フレキシブル管であって、
    前記溶接管の溶接部の外側ビード幅W1を
    0.741mm以上(3.884×t)mm以下とし、
    かつその溶接部の内側ビード幅W2を
    0.241mm以上(3.070×t)mm以下とし、
    かつ外側ビード幅W1を内側ビード幅W2以下とし、
    かつその溶接部の厚みW3を(0.969×t)mm以上(1.403×t)mm以下としたことを特徴とするステンレス製フレキシブル管。
  2. 前記波形形状が、らせん状であり、
    前記ステンレス製フレキシブル管を軸方向に投影した場合、前記谷部の管内頂点から形成される投影円の直径dが6mmから16mmであり、
    前記山部の管外側頂点と前記谷部の管外側頂点との、前記ステンレス製フレキシブル管の中心軸に垂直な方向の高さHが1.1mmから2.0mmであり、
    隣り合う前記山部の管外側頂点間のピッチPが2.5mmから5.0mmであり、
    かつ前記山部の管外側頂点部の曲面の山半径R1と前記谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径R2が1mm以上であると共に、
    高さHとピッチPと投影円の直径dと板厚tとの関係が、
    H≦0.2571P−0.0366d+4.4000t−0.1763
    であることを特徴とする請求項1に記載のステンレス製フレキシブル管。
  3. 前記山部の管外側頂点部の曲面の山半径R1と前記谷部の管内側頂点部の曲面の谷半径R2を同じとしたことを特徴とする請求項2に記載のステンレス製フレキシブル管。
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