本発明は、拡散符号により拡散されたパルス列を伝送信号として用いる通信システムにおける受信装置及びそれを用いた通信装置に関するものである。
本発明は、ウルトラワイドバンド信号受信装置のような、拡散符号により拡散されたパルス列を伝送信号として用いる通信システムに係り、特に同伝送信号に対する同期追跡装置を備えた受信装置及びそれを用いた通信装置に関する。
近年、携帯電話や無線LAN(Local Area Network)等の無線端末装置が著しく普及し、利用する周波数帯もGHz帯に及んできている。そのため、新しい周波数帯が見出し難い状況にある。そのような状況の中で、パルス幅が極めて狭い(例えば、1ns近辺)インパルス状の複数のパルスからなるパルス列(以下、単にパルス列)を用いる通信方式が周波数資源の新しい利用方法として注目されるようになってきた。そのようなパルス列を用いる通信方式として、例えば、ウルトラワイドバンドインパルスラジオ(以下「UWB−IR」と略称する)通信方式がある。その一例として、ガウシアンモノパルスをPPM(Pulse Position Modulation)方式で変調するUWB−IR通信システムが非特許文献1に開示されている。
これらのパルス列を用いた通信方式では、通常の連続波を用いた信号伝送とは異なり、断続的なエネルギー信号の送受信によって情報の伝送が行なわれる。
パルス列を構成するパルスが上述のように非常に狭いパルス幅を持つので、その信号スペクトラムは通常の連続波を用いた通信に比べて周波数帯域が拡がり、信号のエネルギーが分散される。その結果、単位周波数帯域当たりの信号エネルギーは微小のものとなる。従って、他の通信システムと干渉を起こすことなく通信が可能となり、周波数帯域の共有が可能になる。
UWB−IR通信方式における信号波形として、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調によりパルス列を変調したUWB信号波形がある。この波形では、送信データの値"1"又は"0"に応じてパルス列の極性が反転する。PPM変調型のUWB通信装置の例が特許文献2に開示されている。
次に、UWB−IR通信方式では、一般的に、パルス列を拡散符号により拡散する直接拡散が採用される。この場合、拡散された複数のパルスが1個のデータ値に対応する。直接拡散型UWB−IR通信装置の例が特許文献1及び特許文献5に開示されている。
直接拡散を用いる通信方式では、受信において、到来する信号の拡散信号と、受信装置が生成する拡散符号とで同期の維持を行う、同期追跡が行なわれる(特許文献3、特許文献4参照)。
また、従来、同期保持装置として、変調インパルスと拡散符号系列との相関検出タイミングを保持するものがあった(例えば、特許文献6参照)。
特開2002−335189号公報
特表平10−508725号公報
特開2003−32225号公報
国際公開第WO0193444号パンフレット
特開2002−335228号公報
特開2003−110466号公報
モエ・ゼット・ウィン(Moe Z. Win)他著、「インパルスラジオ:その動作(Impulse Radio: How It Works)」、米国文献アイ・イー・イー・イー・コミュニケーションズ・レターズ(IEEE Communications Letters)第2巻第2号、第36頁〜第38頁(1998年2月)
UWB−IR通信において、直接拡散を用いることによって他の通信システムへの干渉の一層の低減が得られるが、その高い時間分解能のため同期を維持するために比較的複雑で大規模なハードウェアが必要とする難点があった。以下に、同期追跡のための問題を、直接拡散を用いるBPSK変調型UWB−IR通信方式を対象に説明する。
図35は、特許文献3に開示されたような直接拡散を用いたBPSK変調型の、同期追跡機能を備えたUWB−IR受信装置の概略構成を示すブロック図である。受信装置は、アンテナ330、RFフロントエンド部(RFFE)331、乗算部332C、332D、332E、積分部(INT)333C、333D、333E、減算部334、ループフィルタ(LF)335、シンセサイザ(SYN)336、拡散符号生成部(SCG)337、パルス生成部(PG)338、遅延部(DLY)339a、339bを含んで構成される。
PG331は、アンテナ330において受信された信号に対して、必要に応じて増幅、ノイズ除去、周波数変換などの信号処理を行ない、受信信号を出力する。3つの乗算部332C、332D、332Eにおいて、PG338において発生したテンプレートパルス列が、二つのDLY339a、339bによって遅延が加えられた3つの信号と、RFフロントエンド331からの受信信号を乗算し、それぞれINT333C、333D、333Eにおいて1シンボル時間(=各基準信号区間)だけ積分される。
SCG337は、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列を、シンセサイザ336より出力された基準クロックに同期して発生する。PG338は、SCG337により生成された拡散符号系列に同期してテンプレートパルス列を生成する。このとき、拡散符号系列の各符号に応じて、パルスの極性は反転させられる。
乗算部332C、332D、332Eに入力される3つのテンプレートパルス列のうち、最も時間的に進んだ信号が乗算される成分(進み成分)と最も遅れた信号が乗算される成分(遅れ成分)の積分結果の差が、減算部334において計算され、上記差信号がLF335を介してSYN336を制御する。また時間的に中間の信号が乗算される成分は、復調用信号として利用される。
図36を用いて、図35における上記受信装置の同期追跡機能を概念的に説明する。
図36の(a)は、受信パルスとテンプレートパルス列が一致している場合を示す。この場合、進み成分と遅れ成分の積分結果は同レベルである。図36の(b)は、受信パルスがテンプレートパルス列に比べて時間的に早い場合を示す。この場合、進み成分の積分結果が遅れ成分の積分結果に比べて大きくなる。この場合、SYN336において、出力タイミングが早まるように制御される。図36の(c)は、逆に受信パルスがテンプレートパルス列に比べて時間的に遅い場合を示す。この場合、進み成分の積分結果が遅れ成分の積分結果より小さくなる。この場合、SYN336において、出力タイミングが遅れるように制御される。上記手順において、受信パルスとのテンプレートパルス列との同期が維持される。
上記構成の場合、乗算部332C、332D、332Eにおける、乗算は非常にパルス幅が細いため、広帯域な入力信号である。しかし積分部333C、333D、333Eにおいては、1シンボル時間(各基準信号区間)の積分のために、積分時間の長い積分器が必要となる。したがって全てアナログ回路で上記構成を実現しようとすると、高速な入力に対応しかつ非常に容量の大きい積分器が必要となりハードウェア規模、消費電力の増大を招く。
図37に、演算増幅器を用いたアナログ積分器の構成例を示す。350は演算増幅器を示す。この構成を用いる場合、長い時間での積分が可能であるが、広帯域な入力信号に対応するために、帰還回路を持つ構成により演算増幅器350を高速動作させる必要があるために消費電量の増大が見込まれる。また高速動作を可能とするため、gm-C積分器などの、帰還回路を有せず積分器を構成する方法もあるが、出力の寄生抵抗が存在するため、容量にためられた電荷がもれる。そのため、長時間の積分を行うために大きな容量が必要である。
また、全てディジタル回路で実現する場合、非常に高速なサンプリングが必要となり、大規模で高速なディジタル信号処理が必要となる。例えば2nsのパルス幅を用いる場合1GHz程度のサンプリング周波数が必要である。
また、各通信において受信レベルが一定でないと追跡性能が変化するため、VGA(バリアブルゲインアンプ)を用意し、各通信セッション毎にVGAを制御する必要がある。しかしパルス通信においては、パルスが間欠的に到来するため、短い時間でパルスを捉えVGAを制御するのは困難である。
また、受信経路を3成分に分割する必要があるため、部品点数の増大が問題となる。
本発明の目的は、上記課題を解決し、拡散符号により拡散されたパルス列を用いて信号を送受信するときに、より簡単な構成で同期追跡できる機能を具備する受信装置及びそれを用いた通信装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の第1の観点における受信装置は、拡散符号により拡散されたパルス信号を受信する受信装置であって、到来する受信パルスの信号とほぼ同じ周期で、かつ2つの異なる位相タイミングにおいて、1つあるいは複数の基準信号にまたがる任意の周期毎に、パルス相関を行ない上記受信パルスのパルスデータを取得するパルスデータ取得機能部と、上記2つの異なる位相タイミングのパルスデータと上記拡散符号との符号相関を行ない、得られた両相関信号から上記受信パルスと上記各位相タイミングとの同期誤差信号を抽出し、該同期誤差信号を基に、上記位相タイミングを修正する同期追跡処理機能部とを具備することを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の第2の観点における受信装置は、拡散符号により拡散されたパルス信号を受信する受信装置であって、到来する受信パルスの信号とほぼ同じ周期で、かつ互いに異なる二つの位相タイミングで、二つのパルスデータを取得する並列パルスデータ取得部と、上記パルスデータを取得する位相タイミングを与えるタイミング信号生成部と、上記取得された上記二つのパルスデータと上記拡散符号との相関をとる符号相関部と、上記二つのパルスデータ毎に符号相関された第1の相関結果と第2の相関結果とから、同期誤差信号を抽出し、該同期誤差信号を基に、上記タイミング信号生成部を制御して上記パルスデータを取得する位相タイミングを修正する同期追跡処理部と、を具備することを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の第3の観点における受信装置は、拡散符号により拡散されたパルス信号を受信する受信装置であって、前記受信パルスのデータの進み成分と遅れ成分を、到来する受信パルスの信号とほぼ同じ周期で、かつ互いに異なる位相タイミングで交互に取得するパルスデータ取得部と、上記パルスデータを取得する位相タイミングを与えるタイミング信号生成部と、上記取得された上記パルスデータの進み成分及び遅れ成分と上記拡散符号との相関をとる符号相関部と、上記進み成分と遅れ成分毎に符号相関された2つの相関結果から、同期誤差信号を抽出し、該同期誤差信号を基に、上記タイミング信号生成部を制御して上記パルスデータを取得する位相タイミングを修正する同期追跡処理部と、を具備することを特徴とする。
本発明により、拡散符号により拡散されたパルス列を用いて信号を送受信するときに簡単な構成、処理で同期維持が可能となる。
以下に記述する本発明の各実施例の構成により、パルスデータの取得がパルスデータ取得部において行われ、符号相関が別のブロックで上記パルスデータ毎に行われ、その相関結果をパルスの同期維持に用いることで、広帯域な入力でかつ長時間の積分が必要な部分がなくなりハードウェアが簡単な構成となる。以下、本発明の各実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施形態になる受信装置を、図1〜図16で説明する。
まず、図1に、本発明の実施例1としての受信装置のブロック構成図を示す。図1において、拡散符号により拡散されたパルス信号を受信する受信装置303は、アンテナ000、パルスデータ取得機能部3031、同期追跡処理機能部3032及び両者部間に位置し両機能の一部を有するIF部(IF) 013を具備している。パルスデータ取得機能部3031は、RFフロントエンド部(RFFE) 011、並列パルスデータ取得部(PGETPD)012を有し、到来する受信パルスの信号とほぼ同じ周期で、かつ2つの異なる位相タイミングにおいて、パルス相関を行ない上記受信パルスのパルスデータを取得する。同期追跡処理機能部3032は、符号相関部(CCRR) 014D、014E、同期追跡処理部(SYNCTRACK) 015、タイミング信号生成部(TIMSIGG) 016、符号相関・復調部(CCRR&DEMOD) 017、同期捕捉部(SYNCACQ) 018を具備し、上記2つの異なる位相タイミングのパルスデータと上記拡散符号との符号相関を行ない、得られた両相関信号から上記受信パルスと上記各位相タイミングとの同期誤差信号を抽出し、該同期誤差信号を基に、上記位相タイミングを修正する。また、上記2つの異なる位相タイミング成分の相関結果から復調用パルスデータを合成する。なお、パルスデータ取得機能部3031は主にアナログ回路で構成され、同期追跡処理機能部3032は、主にデジタル信号プロセッサで構成される。
また、本発明の実施例1の受信装置を用いた通信装置(送受信装置)の例を図2に示す。なお、この通信装置(送受信装置)は、後で述べる第2〜第6の実施例の受信装置のいずれかを用いて構成しても良いことは言うまでもない。
図2の通信装置において、300はアンテナ、301はスイッチ(SWT)、302はUWB送信器(UWBTX)、303はUWB受信器(UWBRX)、304はベースバンド部(BB)、305はアプリケーション部(APL)を示す。BB 304は、APL 305から送信すべきデータを受け取り、ベースバンド処理を行い、送信データをUWBTX 302へ送り、UWBTX 302はデータを送信する。
UWBRX 303は受信器であり、図1のように構成される。復調されたデータは、BB 304へ送られベースバンド処理がなされ、APL 305で活用される。SWT 301は送受信の信号を切り替えるために用いられる。
UWBTX 302は、例えば図3Aのように構成される。
図3Aにおいて、320は情報ソース(DATA)、321は拡散符号生成部(SCG)、322は乗算部、323はパルス生成部(PG)、324は高周波(以下「RF」と略称する)フロントエンド部(RFFE)、325はアンテナをそれぞれ示す。DATA 320は、送信すべき送信データを出力する。SCG 321は、PN(Pseudo-random Noise)系列などの拡散符号系列を出力する。このとき、上記拡散符号系列は、DATA 320が送信データを生成するレートより高速なレートで生成される。乗算部322によって、DATA 320から出力された送信データは、SCG 321によって生成された拡散符号系列と乗算されて直接拡散され、拡散データ列が生成される。
PG 323は、乗算部322の出力である拡散データ列に応じて、送信パルス列を生成する。このとき拡散データ列の値に応じて、出力されるパルス列を構成するパルスの極性が反転させられる。PG 323で生成されたパルス列は、RFRE 324によって増幅や帯域制限などのRF信号処理を施されることによって送信信号に変換され、アンテナ325から送信される。
本実施形態の受信装置がアンテナ000で受信する信号は、例えば図3Aの送信装置303が送信するBPSK変調及び直接拡散された、インパルス状のパルス列の信号であり、その一例を図3Bに示す。図3Bの(a)は、BPSK変調によりパルス列を変調したUWB信号波形の例である。この例において、基準信号は時間周期Tで区切られた4個のパルス信号(インパルス)からなるパルス列で構成され、各パルスの幅はWである。送信データの値“1”又は“0”に応じてパルス列の極性が反転する。図3Bの(b)は、PPM変調によりパルス列を変調したUWB−IR信号波形の例である。PPM変調では、送信データの値“1”又は“0”に応じてパルスの時間的位置がシフトする。なお、本発明は、基準信号が複数のパルス信号からなるパルス列で構成されるものに広く適用可能であることは言うまでもない。
本実施例の動作の理解を助けるために、図4に示す本実施例の各部の波形例を示す。以下、この図を参照しつつ説明する。なお、図4の前提となる実施例は、PGETPD 012として後で述べる図5の構成を用い、CCRR 014D、014Eとして図10の構成を用い、SYNCTRACK 015として図12の構成を用いたものである。
図1の受信装置において、RFフロントエンド部(RFFE)011は、例えば図3Aの送信装置UWBTX 302が送信するBPSK変調及び直接拡散された送信信号のパルス列(Tx signal)を、アンテナ000で受信し、必要に応じて増幅や帯域制限、ノイズ除去などのRF信号処理や周波数変換を行ない、受信信号S011を出力する。
並列パルスデータ取得部(PGETPD)012において、受信信号S011は2つ以上の成分に分割される。図1では3成分S012C、S012D、S012Eに分割される。その各分割された信号は、タイミング信号生成部(TIMSIGG)016において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングS021D、S021Eで、パルスの大きさ、極性に応じたデータS012C、S012D、S012Eが取得される。図4の例では、位相タイミングS021Eがタイミング信号S016に同期し、位相タイミングS021Dはタイミング信号S016よりも所定値遅れたタイミングとなっている。上記パルスデータを取得する最も早い取得時間t1と最も遅い取得時間t2の差は、典型的には受信したパルスの幅W(図3B参照)の約2倍以下である。以降、最も早い時間で取得される成分を進み成分、最も遅い時間で取得される成分を遅れ成分、それらの中間で取得される成分を正規成分と呼ぶ。図4には、進み成分S012D、遅れ成分S012Eのみを表示している。
IF部(IF) 013では、上記互いに位相タイミングが異なって取得された信号S012C、S012D、S012Eを、同一タイミング(t3)の信号S013C、S013D、S013Eとして、後段に出力する。
正規成分の出力S013Cは、符号相関・復調部(CCRR&DEMOD)017、同期捕捉部(SYNCACQ)018に入力される。SYNCACQ 018では、タイミング信号生成部(TIMSIGG)016を制御し、出力されるタイミング信号S016と受信パルスのタイミング誤差が約パルス幅以内になるように初期同期捕捉を確立し、以後同期信号S018をCCRR&DEMOD 017、符号相関部(CCRR)014D、014Eに供給する。初期同期捕捉の方法は様々な方法があり、特定の方法に限定されるものではないが、本発明の特徴ではないので、ここでは詳細な説明を省略する。
また、CCRR&DEMOD 017では、正規成分のパルスデータS013Cと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関を計算し、上記相関結果を基に復調し、復調データを出力する。このCCRR&DEMOD 017も同様に様々な構成があり、本発明においては特定の構成に限定されない。
一方、IF部(IF) 013から出力される進み成分のパルスデータS013Eと遅れ成分のパルスデータS013Dは、CCRR 014E、014D に入力される。CCRR 014E、014Dでは、進み成分と遅れ成分のパルスデータS013E、S013Dと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関をそれぞれ計算する。拡散符号系列と符号係数C(1〜Ns)が一致する時間t4、t5、t6−−(=各基準信号区間)毎に、S072E及びS072Dのピーク値Pe及びPdが得られる(図4参照)。CCRR 014E、014Dから出力される上記進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014Dは、同期追跡処理部(SYNCTRACK)015に入力される。
SYNCTRACK 015では、進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014DEの減算結果(Pe−Pd)、又は減算結果と加算結果の比を基に、演算で差信号S091を求める(図4参照)。そして、この差信号S091を平滑化しゲインを調整することにより、同期誤差信号S015として抽出し、TIMSIGG 016に出力する。
TIMSIGG 016では、PGETPD 012においてデータを取得するタイミングを供給するタイミング信号S016を出力する。上記同期誤差信号S015により上記タイミング信号S016の出力タイミングが調整される。好適には上記同期誤差信号S015が0になるように調整される。
本発明の第1の実施例によれば、以上述べた構成、作用により、インパルス通信における同期追跡機能が可能となる。
以後、図5〜図16を用いて本発明の第1の実施例をさらに詳しく説明する。
まず、図5に、第1の実施例に係るPGETPD 012の構成例を示す。図5において、020C、020D、020Eはサンプリング部(SMP)、021a、021bは遅延部(DLY)をそれぞれ示す。
TIMSIGG 0106からのタイミング信号S016は、DLY 0201a、0201bにより、互いにタイミングの異なる3つのタイミング信号S021C、S021D、S021Eが生成される。SMP020C、020D、020Eは、図4で示すように、上記3つのタイミング信号が与えられた瞬間の、パルスレベル値S012C、S012D、S012Eを出力する。上記三つの信号がパルスデータとして出力される。上記DLY 021a、021bの遅延量は、好適には等しく、また受信パルスのパルス幅W以下の遅延量を持つ。また好適には、SMP 020C、020D、020Eで変換されるパルスレベル値はデジタルデータである。
また、図5の構成においては、タイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが3分割されたパスに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
図6に、第1の実施例に係るPGETPD 012の別の構成例を示す。図6において、030C、030D、030Eは乗算部、031C、031D、031Eは積分部(INT)、020C、020D、020Eはサンプリング部(SMP)、021a、021b、021c、021dは遅延部(DLY)、032はテンプレート波形生成部(TMPWAVG)、033はタイミング調整部(TIMADJ)を示す。
TMPWAVG 032では、タイミング信号S016を基に受信パルスと相関を持ったパルス波形を持つテンプレート波形を生成する。好適にはパルス波形はすべて同一極性である。上記テンプレート波形は、DLY 021a、021bを通過し、互いにタイミングの異なる3つのテンプレート波形が生成される。乗算部030C、030D、030Eでは、上記3つのテンプレート波形と受信パルスがそれぞれ乗算される。INT 031C、031D、031Eでは、上記3つの乗算された信号を約パルス幅期間だけ積分される。積分時間を規定するリセット信号は、TIMADJ 033、DLY 021c、021dを通過したタイミング信号により供給される。また上記積分信号は、SMP 020C、020D、020Eにより取得され、それぞれパルスデータとして出力される。好適には、SMP 020C、020D、020Eで変換されるパルスレベル値はデジタルデータである。
また、図6の構成においては、テンプレート波形列及びタイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが3分割されたパスに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
図7に、第1の実施例に係るIF 013の構成例を示す。図7において、040C、040D、040Eはデータ取得部(GETDATA)を示し、041はタイミング調整部(TIMADJ)をそれぞれ示す。
GETDATA 040C、040D、040Eは、TIMADJ 041でタイミング調整されたタイミング信号のタイミングでそれぞれ入力されるデータを取り込む。その様子を図8に示してある。
図8に示すように、信号S012C、S012D、S012Eはそれぞれ互いにタイミングが異なる信号であるが、TIMADJ 041から供給される信号によって同一タイミングのデータとしてデータが取得される。実際の構成例としては、フリップフロップを用いて構成されうる。
図9に、第1の実施例に係るIF013の別の構成例を示す。図9において、040C、040D、040Eはデータ取得部(GETDATA)を示し、041はタイミング調整部(TIMADJ)、060C、060D、060Eは補正部(CAL)をそれぞれ示す。図9と図7の違いは、図7にCAL 060C、060D、060Eを追加されたことである。CAL 060C、060D、0602は、それぞれ3つの分割されたパスの相互のゲイン、位相等のデバイスの特性の違いを補正する回路である。ゲインを補正する場合、レジスタ等に格納された補正値を乗算することにより実現する。
図10に、第1の実施例に係るCCRR 014D、014Eの構成例を示す。図10において、070(a〜d)はタップつき遅延素子(D)、071(a〜e)は係数乗算部、C(1〜Ns)は符号係数、072は加算部(ADD)、073はデータ選択部(SELECT)を示す。図10はタップつき遅延線によるマッチドフィルタを構成する。またC(1〜Ns)は系列長Nsの符号係数を示し、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列に対応する。図4に示すように、受信信号に施されている拡散符号系列と、符号係数C(1〜Ns)が一致する時間においてピーク値Pe、Pdが出力される。SELECT 073では、SYNCACQ 018の同期信号S018により上記ピーク値を選択して出力する。
図11に、第1の実施例に係るCCRR 014D、014Eの別の構成例を示す。図11において、080は拡散符号生成部(SCG)、081は乗算部、082は積分部(INT)をそれぞれ示す。SCG 080はSYNCACQ 018に同期して、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列を出力し、乗算部081において入力信号S013と乗算する。INT 082において、上記乗算された信号を一つの拡散系列が続く期間、積分する。
図12に、第1の実施例に係るSYNCTRACK 015の構成例を示す。図12において、090D、090Eは2乗/絶対値部(SQR/ABS)、091は減算部、092は積分/LPF(Low Pass Filter)部(INT/LPF)、093はゲイン部(K)をそれぞれ示す。
SQR/ABS090E、090Dでは、図1における進み成分の相関結果と遅れ成分の相関結果S014E、S014Dの2乗又は絶対値がとられ、減算部091において減算され差信号S091(図4参照)を出力する。上記差信号S091はINT/LPF 092において、積分又は低域通過フィルタにより平滑化され、ゲイン部093によってゲインが調整され同期誤差信号S015として出力される。上記出力された同期誤差信号S015は、TIMSIGG 016を制御する。
なお、図4は、受信器で生成するタイミングは受信される信号よりも遅い場合を示しており、したがって、進み成分S012Eの方が遅れ成分S012Dよりも大きくなる。実際は、この差信号S091(=Pe−Pd)が0になるように、タイミング信号TIMSIGG 016が制御される。
図13に、第1の実施例に係るSYNCTRACK 015の別の構成例を示す。図13において、100は加算部、091は減算部、101は除算部(DIV)、092は積分部/LPF部(INT/LPF)、093はゲイン部(K)をそれぞれ示す。加算部100では図1における進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S14Dが加算され、減算部091では減算される。DIV 101により、上記減算信号と加算信号の比が計算され、INT/LPF 092では、上記除算信号が、積分又は低域通過フィルタにより平滑化される。平滑化された信号はゲイン部093においてゲイン調整され出力される。
以上の構成により、減算信号の絶対値と加算信号の絶対値の比の情報を同期誤差信号S015として生成し、TIMSIGG 016を制御する。
図14に、第1の実施例に係るSYNCTRACK 015の別の構成例を示す。図14において、090D、090Eは2乗/絶対値部(SQR/ABS)、092D、092Eは積分部/LPF部、100は加算部、091は減算部、110、111はゲイン部(K1、K2)、112は比較部(COMP)をそれぞれ示す。SQR/ABS 090E、090Dでは、図1における進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014Dの2乗又は絶対値がとられ、INT/LPF 092D、092Eにおいて、それぞれ積分又は低域通過フィルタにより平滑化される。平滑化された信号はそれぞれ、加算及び減算され、加算された信号はゲイン部110で、減算された信号はゲイン部111においてゲイン調整される。増幅された減算信号の絶対値と加算信号の比をCOMP 112において比較し、減算信号の絶対値が超えた場合、同期誤差信号S015が減算信号の符号とともに出力される。
以上の構成により、減算信号の絶対値と加算信号の比がK1/K2を超えた時に同期誤差信号が出力され、上記同期誤差信号S015と減算信号の符号とによりTIMSIGG 016の出力タイミングが制御される。
図13、図14に示した構成により、減算信号と加算信号の比によりTIMSIGG 016を制御する構成が可能となる。
図15Aに、第1の実施例に係るタイミング制御信号生成部016の構成例を示す。図15Aにおいて120はVCO(Voltage-Controlled Oscillator)を示す。VCO 120は、入力信号の大きさに対応した出力周波数信号(=タイミング信号)S016を出力する。したがって、タイミング信号S016の出力タイミングが受信パルスよりも遅い場合、SYNCTRACK 015の同期誤差信号S015により周波数が大きくなるように制御されタイミングが早められる。逆にタイミング信号S016の出力タイミングが受信パルスよりも早い場合、SYNCTRACK 015の同期誤差信号S015により周波数が小さくなるように制御されタイミングが遅くされる。上記動作を繰り返すことにより、同期が維持される。好適には、上記構成はアナログ的な制御信号が必要となり、したがって図12や図13に示す同期追跡処理部が適する。
図15Bに、第1の実施例に係るTIMSIGG 016の別の構成例を示す。図15Bにおいて、130は発振器、131はプログラマブル分周器(PRGRMBL DIVIDER)を示す。発振器130は出力するタイミング信号の周波数の整数倍(N倍)の周波数を持つ信号S130を出力する。PRRMBL DIVIDER 131は、発振器130からの信号を制御信号S015に応じる分周数にて出力する。通常状態では分周比はNである。制御信号S015により、出力タイミングを早めたい場合、分周比を小さくして、すぐに元の分周比に戻す。逆に出力タイミングを遅くしたい場合、分周比を高くして、すぐに元の分周比に戻す。
図16に、第1の実施形態のタイミング制御信号生成部016の動作波形を示す。図16の例は、制御信号により、1回分周比をN+1にしてすぐNに戻すことにより、出力タイミングを発振器出力S130の1周期分δだけ遅くする状態を示している。好適には、上記構成には離散的な制御信号が必要となり、従って図12や図13の出力を離散的な信号に変換するか、図14で示す同期処理部が適する。
第1の実施形態になる受信装置では、同期追跡処理部が、進み信号の相関結果と遅れ信号の相関結果の和と差の両方を求め、両者の信号との比を同期誤差信号とする。この構成により、受信レベルの大きさが同期追跡性能に影響を与えにくくなるため、通信セッション前のVGA制御が不要となり、処理が簡単にすることが可能になる。
上記各構成により、パルスデータの取得がパルスデータ取得部において行われ、符号相関が別のブロックで上記パルスデータ毎に行われ、その相関結果をパルスの同期維持に用いることで、広帯域な入力でかつ長時間の積分が必要な部分がなくなりハードウェアが簡単な構成となる。
以上の通り、これまで述べてきた構成をとることにより、パルスデータの取得は、並列パルスデータ取得部において行われ、符号相関が別のブロックで上記パルスデータ毎に行われ、その相関結果がパルスの同期維持に用いられる。そのため、広帯域な入力でかつ長時間の積分が必要な部分がなくなるので、従来例のような、高速な入力に対応しかつ非常に容量の大きい積分器は不要であり、ハードウェアが簡単な構成となる。
また進み成分の信号と遅れ成分の信号の加算結果と、減算結果の比により制御することにより、受信信号の大きさにより同期追跡性能が影響をうけにくく、ダイナミックなゲインコントロールが不要となり、手順が簡略化される。例えば、通信セッション前のVGA制御が不要となり、処理を簡単にすることが可能になる。
本発明の受信装置の第2の実施形態を、図17に示す。本実施形態は、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムに適用される。図17において、000はアンテナ、011はRFフロントエンド部(RFFE)、150I、150Qはミキサー部、151I、151QはLPF部(LPF)、152I、152Qは中間増幅部(IFAMP)、153はローカル発振器(LO)、154は90度移相器(90PH)、155は並列パルスデータ取得部(PGETPD)、013I、013QはIF部(IF)、014ID、014IE、014QD、014QEは符号相関部(CCRR)、156D、156Eは電力計算部(POWER)、015は同期追跡処理部(SYNCTRACK)、016’はタイミング信号生成部(TIMSIGG)、158は符号相関・復調部(CCRR&DEMOD)、157は同期捕捉部(SYNCACQ)、をそれぞれ示す。
本実施形態で受信する信号は、例えば上述した図3Aに示す送信装置などにおいて生成された送信信号である。即ち、DATA 320からの信号が、SCG 321、乗算部322及びPG 323において、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列が生成される。更に、RFFE 324において、搬送波を同パルス列によって変調することによって変調パルス波形の送信信号が生成され、アンテナ325から送出される。
RFFE 011は、上記送信信号をアンテナ000で受信し、必要に応じて増幅や帯域制限、ノイズ除去などのRF信号処理を行ない、受信信号を出力する。
図18に波形例として示した、90度互いに位相のずれた搬送波と同じ周波数を持つ信号S154I、S154Qと、受信信号S011をミキサー部150I、150Qによって乗算し、LPF部152I、152Q、LO 153、90PH 154によって高周波成分を除去することにより、変調パルス波形の受信信号を、二つの直交成分であるI成分とQ成分に分けてそれぞれに周波数変換を行ない、元のパルス波形を抽出する。上記パルス波形は、IFAMP 152I、152Qによって増幅されS152I、S152Qとして出力される。
PGETPD 155において、I成分、Q成分の各成分S152I、S152Qは、さらに2つ以上の成分に分割される。図17の例ではそれぞれ3成分に分割される。(並列パルスデータ取得部(PGETPD) 155以降の各部の動作波形については、図4参照)。
その各分割された信号は、TIMSIGG 016’において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングで、パルスの大きさ、極性に応じたデータS155IC、S155ID、S155IE、S155QC、S155QD、S155QEが取得される。
上記パルスデータを取得する最も早い取得時間と最もの遅い取得時間の差は、典型的には受信パルス幅の約2倍以下である。以降、最も早い時間で取得される成分を進み成分、最も遅い時間で取得される成分を遅れ成分、それらの中間で取得される成分を正規成分と呼ぶ。
図19に、第2の実施形態に係るPGETPD 155の構成例を示す。図19において020IC、020ID、020IE、020QC 、020QD、020QEはサンプリング部(SMP)、021a、021bは遅延部(DLY)を示す。図19に示す構成は、図5に示した機能をI成分、Q成分の両方において備えたものである。
TIMSIGG 016’からのタイミング信号S016は、DLY021a、021bにより、互いにタイミングの異なる3つのタイミング信号が生成される。SMP 020IC、020ID、020IE、020QC、020QD、020QEは、上記3つのタイミング信号が与えられた瞬間の、パルスレベル値を出力する。上記DLY021a、021bの遅延量は、好適には等しく、また受信パルスのパルス幅以下の遅延量を持つ。
また、図19の構成においては、タイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが3分割されたパスに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
また別の構成として、図19と同様に図6に示す機能をI成分、Q成分の両方において備えた構成も可能であることは自明である。
図17に戻って、IF 013I、013Qは、図1におけるIF 013と同等の機能を有する。上記互いにタイミングがずれて取得された信号を同一タイミングの信号として、後段に出力する。I成分、Q成分のそれぞれの正規成分の出力は、CCRR&DEMOD 158、SYNCACQ 157に入力される。図7、図8、図9で説明した構成例がIF 013I、013Qとして適用可能である。
SYNCACQ 157では、TIMSIGG 016’を制御し、出力されるタイミング信号S016と受信パルスのタイミング誤差が約パルス幅以内になるように初期同期捕捉を確立し、以後同期信号をCCRR&DEMOD 158、CCRR0 14ID、014IE、014QD、014QEに供給する。初期同期捕捉の方法は、様々な方法があり本発明においては限定されない。
また、CCRR&DEMOD 158では、正規成分のパルスデータと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関を計算し、上記相関結果を基に復調し、復調データを出力する。このCCRR&DEMOD 158も同様に様々な構成があり、本発明においては限定されない。
CCRR 014ID、014IE、014QD、014QEでは、I成分、Q成分それぞれの進み成分とパルスデータと遅れ成分のパルスデータと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関をそれぞれ計算する。I成分、Q成分それぞれの進み成分の相関結果S014IE、S014QEと遅れ成分の相関結果S014ID、S014QDは、POWER 1510E、1510Dにそれぞれ入力される。
それぞれのCCRR 014ID、014IE、014QD、014QEは、図1のCCRR 014D、014Eと同等の機能を有し、構成例としては、図10、図11で示される構成が適用可能である。
POWER 156E、156Dでは、I成分とQ成分の相関結果を用いて、進み成分と遅れ成分の電力値S156E、S156Dを計算する。その構成例を図20に示す。図20において、090I、090Qは2乗/絶対値部(SQR/ABS)、100は加算部を示す。
図17に戻って、SYNCTRACK 015は、図1におけるSYNCTRACK 015と同等の機能を有する。進み成分と遅れ成分のそれぞれの電力値S156E、S156Dの減算結果、又は減算結果と加算結果の比を基に、同期誤差信号S015を抽出しTIMSIGG 016’に出力する。SYNCTRACK 015の構成例として、図12、図13、図14で説明した構成が適用可能である。但し、電力計算値を入力としていることにより、図12、図14中のSQR/ABS 090D、090Eは不要となる。
TIMSIGG016’は、図1におけるTIMSIGG 016と同等の機能を有する。PGETPD 155においてデータを取得するタイミングを供給するタイミング信号S016を出力する。上記同期誤差信号S015により上記タイミング信号S016の出力タイミングが調整される。好適には上記同期誤差信号S015が0になるように調整される。TIMSIGG 016’として、図15A、図15Bで説明した構成が適用可能である。
また、図17の実施形態を構成するTIMSIGG 016’は、図21に示す構成例も適用可能である。図21において、131はプログラマブル分周器(PRGRMBL DIVIDER)である。図15Bの構成と異なる点は、PRRMBL DIVIDER 131の入力を外部から入力することである。したがって図17で示す構成では、周波数変換で利用したLO(1505)の出力S153を入力としている。ただし、この構成を用いる場合、受信パルスの搬送波周波数が受信パルスの到来する周波数の整数倍である必要がある。
上記構成により、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムにおいても、第1の実施形態と同様に簡単な構成で同期の維持が可能となる。
本発明の受信装置の第3の実施形態を図22に示す。図22において、000はアンテナ、011はRFフロントエンド部(RFFE)、190は並列パルスデータ取得部(PGETPD)、191はIF部(IF)、014D、014Eは符号相関部(CCRR)、015は同期追跡処理部(SYNCTRACK)、192は復調用合成部(COMB)、016はタイミング信号生成部(TIMSIGG)、018は同期捕捉部(SYNCACQ)、193は復調部(DEMOD)をそれぞれ示す。
本実施形態の受信装置がアンテナ000で受信する信号は、第1の実施形態で受信する信号と同様な、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列の信号である。
図22のRFFE 011は、図3Aの送信装置が送信する、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列をアンテナ000で受信し、必要に応じて増幅や帯域制限、ノイズ除去などのRF信号処理や周波数変換を行ない、受信信号S011を出力する。
PGETPD 190において、受信信号S011は2つの成分に分割される。その各分割された信号は、TIMSIGG 016において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングで、パルスの大きさ、極性に応じたデータS190D、S190Eが取得される。上記パルスデータを取得する最も早い取得時間と最もの遅い取得時間の差は、典型的には受信パルス幅の約2倍以下である。以降、早い時間で取得される成分を進み成分、遅い時間で取得される成分を遅れ成分と呼ぶ。
IF191では、上記互いに位相タイミングがずれて取得された信号を同一タイミングの信号として、後段に出力する。進み成分と遅れ成分のどちらか一方、または両方がSYNCACQ 018に入力される。但し、SYNCACQ 018がIFの出力信号を用いるのは一例にすぎず限定されない。例えば、CCRR 014D、014Eの出力S014D、S014Eを用いる場合もあるし、COMB192の出力S192を用いることも考えられる。
SYNCACQ 018では、TIMSIGG 016を制御し、出力されるタイミング信号S016と受信パルスのタイミング誤差が約パルス幅以内になるように初期同期捕捉を確立し、以後同期信号S018を復調部193、CCRR 014D、014Eに供給する。初期同期捕捉の方法は、様々な方法があり本発明においては限定されない。
CCRR 014E、014Dでは、進み成分、遅れ成分のパルスデータと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関をそれぞれ計算する。上記進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014Dは、SYNCTRACK 015、及びCOMB 192に入力される。それぞれのCCRR 014D、S014Eは、図1のCCRR 014D、014Eと同等の機能を有し、構成例としては、図10、図11で示される構成が適用可能である。
COMB 192では、進み成分の相関結果S014Eと、遅れ成分の相関結果S014Eから復調用に用いる信号S192を合成してDEMOD 193に出力する。この時、必要に応じて、SYNCTRACK 015からの同期誤差信号S015を利用して復調用信号S192を合成する。
DEMOD 193では、上記復調用に合成された信号S192を用いて復調し、復調データを出力する。ただし復調方法は本発明の限定とはならない。
SYNCTRACK 015は、図1におけるSYNCTRACK 015と同等の機能を有する。進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014Dの減算結果、又は減算結果と加算結果の比を基に、同期誤差信号S015を抽出しTIMSIGG 016に出力する。SYNCTRACK 015の構成例として、図12、図13、図14で説明した構成が適用可能である。
TIMSIGG 016は、図1におけるTIMSIGG 016と同等の機能を有する。PGETPD 190においてデータを取得するタイミングを供給するタイミング信号S016を出力する。上記同期誤差信号S015により上記タイミング信号S016の出力タイミングが調整される。好適には上記同期誤差信号S015が0になるように調整される。TIMSIGG016の構成例として、図15A、図15Bで説明した構成が適用可能である。
図23に、第3の実施例に係るPGETPD 190の構成例を示す。図23において、020D、020Eはサンプリング部(SMP)、200は遅延部(DLY)をそれぞれ示す。TIMSIGG 016からのタイミング信号S016はDLY 200により、互いにタイミングの異なる2つのタイミング信号が生成される。SMP 020D、020Eは、上記2つのタイミング信号が与えられた瞬間の、パルスレベル値を出力する。上記DLY 200の遅延量は、好適にはまた受信パルスのパルス幅Wの2倍以下の遅延量を持つ。
また、図23の構成においては、タイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが2分割された片方のパスに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
図24に、第3の実施例に係るPGETPD 190の別の構成例を示す。図24において、030D、030Eは乗算部、031D、031Eは積分部(INT)、020D、02Eはサンプリング部(SMP)、200a、200bは遅延部(DLY)、032はテンプレート波形生成部(TMPWAVG)、033はタイミング調整部(TIMADJ)を示す。
TMPWAVG 032では、タイミング信号S016を基に受信パルスと相関を持ったパルス波形を持つテンプレート波形を生成する。好適にはパルス波形はすべて同一極性である。上記テンプレート波形は、DLY200aを通過し、互いにタイミングの異なる2つのテンプレート波形が生成される。乗算部030D、030Eでは、上記2つのテンプレート波形と受信パルスがそれぞれ乗算される。INT 031D、031Eでは、上記2つの乗算された信号を約パルス幅期間だけ積分される。積分時間を規定するリセット信号は、TIMADJ 033、DLY 200bを通過したタイミング信号により供給される。また上記積分信号は、SMP 020D、020Eにより、それぞれパルスデータとして取得され出力される。
また、図24の構成においては、テンプレート波形列及びタイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが2分割された片方のパスに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
以上の構成による同期追跡機能は、第1の実施例における同期追跡機能と全く同一である。本実施例が第1の実施例と異なる点は、復調用の信号を進み成分と遅れ成分から合成する点である。
以下、図25〜図28Bで、第3の実施例におけるCOMB 192の構成例を説明する。
図25に、第3の実施例におけるCOMB 192の構成例を示す。図25において、100は加算部である。この構成例は、復調信号S192を、進み成分の相関結果S014Eと遅れ成分の相関結果S014Dの加算によって生成する。
図26に、第3の実施例におけるCOMB 192の別の構成例を示す。図26において、230はスイッチ、231はゲイン、100は加算部、232は符号部(SIGN)、091は減算部を示す。スイッチ230は進み成分と遅れ成分の減算結果の正負の符号によって、パスを切り替える。この構成は、以下の計算式を実現する。
a*f1 + f2 (f1-f2 > 0)
f1+a*f2 (otherwise)
但し、f1、f2はそれぞれ進み成分、遅れ成分の入力値S014E、S014Dである。
以上の構成によりタイミングずれ方向により重み付け計算を可能にする。
図27に、第3の実施例におけるCOMB 192の別の構成例を示す。図27において、240D、240Eは乗算部、100は加算部、241D、241Eは関数部、091は減算部を示す。この構成は以下の計算式を実現する。
A(x)*f1 + B(x)*f2
ただし、x=f1-f2である。
以上の構成により、タイミングずれ方向と量により重み付け計算を可能にする。
図28Aに、第3の実施例におけるCOMB 192の別の構成例を示す。図28Aにおいて、230はスイッチ、231はゲイン、100は加算部、232は符号部(SIGN)、を示す。図28Aは図26の構成における減算結果を、SYNCTRACK 015の同期誤差信号S015に置き換えたものである。
図28Bに、第3の実施例におけるCOMB 192の別の構成例を示す。図28Bにおいて、24D、240Eは乗算部、100は加算部、241D、241Eは関数部、をそれぞれ示す。図28Bは図27の構成における減算結果を、SYNCTRACK 015の同期誤差信号S015に置き換えたものである。
図29は、COMB 192が図25の構成をとった時の本実施例の効果を示すものである。図29は縦軸に理想的な受信方式からの信号劣化量[dB]、横軸に同期精度[ns]を示す。図29より、同期精度が小さい場合は従来方式の場合の方が劣化量は少ないが、同期精度が悪くなると特性が改善されていることがわかる。
本実施例の受信装置は、進み成分の信号と遅れ成分の信号から復調用データを合成する復調用合成部と、上得された信号用いてデータを復調する復調部を具備する。この構成により、信号を3分割する必要があったこれまでの例に比べて、2分割で行えるようになり、部品点数の削減が可能であり、ハードウェア規模が削減される。
本発明の受信装置の第4の実施形態を、図30に示す。本実施形態は、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムに適用される。図30において、000はアンテナ、011はRFフロントエンド部(RFFE)、150I、150Qはミキサー部、151I、151QはLPF部(LPF)、152I、152Qは中間増幅部(IFAMP)、153はローカル発振器(LO)、154は90度移相器(90PH)、280は並列パルスデータ取得部(PGETPD)、191I、191QはIF部(IF)、014ID、014IE、014QD、014QEは符号相関部(CCRR)、156D、156Eは電力計算部(POWER)、015は同期追跡処理部(SYNCTRACK)、016’はタイミング信号生成部(TIMSIGG)、192I、192Qは復調用合成部(CCRR&DEMOD)、157は同期捕捉部(SYNCACQ)、158は復調部(DEMOD)をそれぞれ示す。
本実施形態で受信する信号は、例えば上述した図3Aに示す送信装置などにおいて生成された送信信号である。即ち、DATA 320からの信号が、SCG 321、乗算部322及びPG 323において、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列が生成される。更に、フロントエンド部324において、搬送波を同パルス列によって変調することによって変調パルス波形の送信信号が生成され、アンテナ325から送出される。
RFFE 011は、上記送信信号をアンテナ000で受信し、必要に応じて増幅や帯域制限、ノイズ除去などのRF信号処理を行ない、受信信号を出力する。
90度互いに位相のずれた搬送波と同じ周波数を持つ信号S154I、S154Qと、受信信号S011をミキサー部150I、150Qによって乗算し、LPF部151I、151Q、LO 153、90PH 154によって高周波成分を除去することにより、変調パルス波形の受信信号を、二つの直交成分であるI成分とQ成分に分けてそれぞれに周波数変換を行ない、元のパルス波形を抽出する。上記パルス波形は、IFAMP 152I、152Qによって増幅されS152I、S152Qとして出力される。
PGETPD 280において、I成分、Q成分の各成分S152I、S152Qは、さらに2つの成分に分割される。上記各分割された信号は、TIMSIGG 016’において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングで、パルスの大きさ、極性に応じたデータS280IE、S280ID、S280QE、S280QDが取得される。上記パルスデータを取得する最も早い取得時間と最もの遅い取得時間の差は、典型的には受信パルス幅の約2倍以下である。以降、最も早い時間で取得される成分を進み成分、最も遅い時間で取得される成分を遅れ成分と呼ぶ。
図31に、第4の実施形態に係るPGETPD 280の構成例を示す。図31において、020ID、020IE、020QD、020QEはサンプリング部(SMP)、200は遅延部(DLY)を示す。図31に示す構成は、図23に示した機能をI成分、Q成分の両方において備えたものである。
TIMSIGG 016からのタイミング信号S016は、DLY200により、互いにタイミングの異なる2つのタイミング信号が生成される。SMP 020ID、020IE、020QD、020QEは、上記2つのタイミング信号が与えられた瞬間の、パルスレベル値を出力する。上記DLY 200の遅延量は、好適には受信パルスのパルス幅Wの2倍以下の遅延量を持つ。
また、図31の構成においては、タイミング信号のパスに遅延素子が挿入されたが、受信パルスが2分割されたパスのどちらかに遅延素子を挿入しても同様な機能が実現可能である。
また別の構成として、図31と同様に、図24に示す機能をI成分、Q成分の両方において備えた構成も可能であることは自明である。
IF 191I、191Qは、図22におけるIF191と同等の機能を有する。上記互いにタイミングがずれて取得された信号を同一タイミングの信号として、後段に出力する。I成分、Q成分における進み成分、遅れ成分の出力はそれぞれ、CCRR 014IE、014ID、014QE、014QDに出力され、また進み成分と遅れ成分のどちらか一方、または両方がSYNCACQ 157に出力される。但し、SYNCACQ 157がIFの出力信号を用いるのは一例にすぎず限定されない。例えば、CCRR 014IE、014IE、014QD、014QEの出力を用いる場合もあるし、COMB192I、192Qを用いることも考えられる。
SYNCACQ 157では、TIMSIGG 016’を制御し、出力されるタイミング信号S016と受信パルスのタイミング誤差が約パルス幅以内になるように初期同期捕捉を確立し、以後同期信号をDEMOD 158、CCRR 014ID、014IE、014QD、014QEに供給する。初期同期捕捉の方法は、様々な方法があり本発明においては限定されない。
DEMOD 158では、上記復調用に合成された信号を用いて復調し、復調データを出力する。ただし復調方法は本発明の限定とはならない。
CCRR 014ID、014IE、014QD、014QEでは、I成分、Q成分それぞれの進み成分、遅れ成分のパルスデータと、送信側において直接拡散に使用されるものと同じ拡散符号系列との相関をそれぞれ計算する。I成分、Q成分それぞれの進み成分の相関結果S014IE、S014QEと遅れ成分の相関結果S014ID、S014QDは、COMB 192I、192Qと、POWER 156E、156Dにそれぞれ入力される。
それぞれのCCRR 014ID、014IE、014QD、014QEは、図1のCCRR 014D、014Eと同等の機能を有し、構成例としては、図10、図11で示される構成が適用可能である。
COMB 192I、192Qは、図22におけるCOMB 192と同等の機能を持つ。I成分、Q成分それぞれの成分において、進み成分の相関結果S014IE、S014QEと遅れ成分の相関結果S014ID、S014QDから復調用に用いる信号を合成して、DEMOD 158に出力する。この時、必要に応じて、SYNCTRACK 015からの同期誤差信号S015を利用して復調用信号を合成する。COMB 192I、192Qの構成例として、図25〜図28Bで示した構成が適用可能である。
POWER 156D、156Eでは、I成分とQ成分の相関結果を用いて、進み成分と遅れ成分の電力値を計算する。構成例としては、図19に示したものがある。
SYNCTRACK 015は、図1におけるSYNCTRACK 015と同等の機能を有する。進み成分と遅れ成分の電力値の減算結果、又は減算結果と加算結果の比を基に、同期誤差信号S015を抽出しTIMSIGG 016に出力する。
SYNCTRACK 015の構成例として、図12、図13、図14で説明した構成が適用可能である。但し、電力計算値を入力としていることにより、図12、図14中のSQR/ABS 090D、090Eは不要となる。
TIMSIGG 016’は、図1におけるTIMSIGG 016と同等の機能を有する。PGETPD 280においてデータを取得するタイミングを供給するタイミング信号S016を出力する。上記同期誤差信号S015により上記タイミング信号S016の出力タイミングが調整される。好適には上記同期誤差信号S015が0になるように調整される。TIMSIGG 016’として、図15A、図15Bで説明した構成が適用可能である。
また図30の実施形態を構成するTIMSIGG 016’は、図17におけるTIMSIGG 016’と同様に、図21で示す構成例でも適用可能である。
この例でも、パルスデータの取得は、並列パルスデータ取得部において行われ、符号相関が別のブロックで上記パルスデータ毎に行われ、その相関結果がパルスの同期維持に用いられる。そのため、広帯域な入力でかつ長時間の積分が必要な部分がなくなるので、従来例のような、高速な入力に対応しかつ非常に容量の大きい積分器は不要であり、ハードウェアが簡単な構成となる。
また、上記構成により、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムにおいても、第1の実施形態と同様に簡単な構成で同期の維持が可能となる。
また、上記構成により、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムにおいても、第3の実施形態と同様にハードウェアの削減ができ、簡単な構成で同期の維持が可能となる。
本発明の受信装置の第5の実施形態を、図32に示す。図32において、000はアンテナ、011はRFフロントエンド部(RFFE)、020はサンプリング部(SMP)、014D、014Eは符号相関部(CCRR)、015は同期追跡処理部(SYNCTRACK)、192は復調用合成部(COMB)、016はタイミング信号生成部(TIMSIGG)、018は同期捕捉部(SYNCACQ)、193は復調部(DEMOD)、200は遅延部(DLY)、502、504はスイッチ部(SW)、503は遅延部(DDLY)、505はスイッチ制御信号生成部(SWG)をそれぞれ示す。
本実施形態の受信装置がアンテナ000で受信する信号は、第1の実施形態で受信する信号と同様な、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列の信号である。
本実施例が実施例1、及び実施例3と異なる最も大きな点は、実施例1、及び実施例3は図1のPGETPD 012や、図22のPGETPD 190において、1パルスの幅W内で進み信号と遅れ信号のパルスデータを取得していたのに対し、本実施例では、1つあるいは複数の基準信号にまたがる任意の周期毎に、進み信号と遅れ信号のパルスデータが交互に取得される点である。たとえば、ある取得タイミングの1パルス内では進み成分か遅れ成分のどちらか一方のパルスデータが取得され、次の周期の1パルス内では他方の成分のパルスデータが取得される。
すなわち、TIMSIGG 016において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングを与える信号S016とS200がDLY(200)によって生成される。SWG 505によって生成された制御信号S505により、SW 504においてS016とS200が選択される。上記選択された信号に基づいて、SMP 020において、上記パルスの大きさ、極性に応じたデータS020が取得される。
SW 502において、制御信号505によって、上記進み成分と遅れ成分のパルスデータ値に振り分けられ、DDLY 503によって、両者のタイミングを合わせCCRR 014D、014Eに入力される。CCRR 014D、CCRR 014Eで符号の相関がとられた後、SYNCTRACK 015に入力される。SYNCTRACK 015は、図1におけるSYNCTRACK 015と同等の機能を有し、進み成分と遅れ成分のそれぞれの電力値の減算結果、又は減算結果と加算結果の比を基に、同期誤差信号を抽出しTIMSIGG 016’に出力する
CCRR 014D、014E、SYNCACQ 018、SYNCTRACK 015、COMP 192、DEMOD 193、TIMSIGG 016は、図22のCCRR0 14D、014E、SYNCACQ 018、SYNCTRACK 015、COMP 192、DEMOD 193、TIMSIGG 016と同等の機能を有する。
図33に本実施例の動作を説明する波形例を示す。図33では、S505の制御信号によって、S016の立ち上がりのタイミングでパルスデータ値を取得するか、S020の立ち上がりタイミングでパルスデータ値をとるか選択され、その選択結果に基き、破線で示すパルスデータ値S019が取得される。即ち、最初のパルスにおいて進み成分の位相タイミングを与える信号S016に基きパルスデータ値の進み成分S019が取得され、次のパルスで遅れ成分の位相タイミングを与える信号S0200に基きパルスデータ値の遅れ成分S019が取得される。2つのパルスデータ値S019の高さの差ΔTは、進み成分と遅れ成分のそれぞれの電力値の差であり、この差に対応した同期誤差信号がSYNCTRACK 015で抽出され、TIMSIGG 016’に出力され、差ΔTに対応した同期誤差が無くなるようにフィードバック制御がなされる。
ここでは、説明のために1パルス毎に取得するタイミングを切り替える例を示したが、切り替える時間単位は任意である。例えば拡散符号単位で切り替えることも考えられる。更には、1つ基準信号内だけでなく、2〜3の複数の基準信号にまたがる周期毎、進み成分と遅れ成分の取得に切り替えても良い。たとえば基準信号単位区間ごと、即ち4パルス毎に取得タイミングを切り替えても良い。
このような構成をとることにより、これまで述べてきた同期追跡機能が受信信号を分割する必要がなく実現可能となり、ハードウェアの削減が見込まれる。
本発明の受信装置の第6の実施形態を図34に示す。本実施形態は、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムに適用される。図34において、000はアンテナ、011はRFフロントエンド部(RFFE)、150I、150Qはミキサー部、151I、151QはLPF部(LPF)、152I、152Qは中間増幅部(IFAMP)、153はローカル発振器(LO)、154は90度移相器(90PH)、020はサンプリング部(SMP)、502I、502Q、504はスイッチ部(SW)、200は遅延部(DLY)、503Iは遅延部(DDLY)、505はスイッチ制御信号生成部(SWG)、014ID、014IE、014QD、014QEは符号相関部(CCRR)、156D、156Eは電力計算部(POWER)、015は同期追跡処理部(SYNCTRACK)、016’はタイミング信号生成部(TIMSIGG)、192I、192Qは復調用合成部(CCRR&DEMOD)、157は同期捕捉部(SYNCACQ)、158は復調部(DEMOD)をそれぞれ示す。
本実施形態で受信する信号は、例えば上述した図3Aに示す送信装置などにおいて生成された送信信号である。即ち、DATA 320からの信号が、SCG 321、乗算部322及びPG 323において、BPSK変調及び直接拡散されたパルス列が生成される。更に、フロントエンド部324において、搬送波を同パルス列によって変調することによって変調パルス波形の送信信号が生成され、アンテナ325から送出される。
RFFE 011は、上記送信信号をアンテナ000で受信し、必要に応じて増幅や帯域制限、ノイズ除去などのRF信号処理を行ない、受信信号を出力する。
90度互いに位相のずれた搬送波と同じ周波数を持つ信号S154I、S154Qと、受信信号S011bをミキサー部150I、150Qによって乗算し、LPF部151I、151Q、LO 153、90PH 154によって高周波成分を除去することにより、変調パルス波形の受信信号を、二つの直交成分であるI成分とQ成分に分けてそれぞれに周波数変換を行ない、元のパルス波形を抽出する。上記パルス波形は、IFAMP 152I、152Qによって増幅されS152I、S152Qとして出力される。
本実施例が実施例2、及び実施例4と異なる最も大きな点は、実施例2、及び実施例4では図17のPGETPD 155や、図30のPGETPD 280において、1パルス内で進み信号と遅れ信号のパルスデータを取得していたのに対し、本実施例では、1つあるいは複数の基準信号にまたがる任意の周期毎に、進み信号と遅れ信号のパルスデータが交互に取得される点である。たとえば、1つの基準信号内の最初の1パルス内では、進み成分と遅れ成分のどちらか一方のパルスデータが取得され、次の1パルス内では、他方の成分のパルスデータが取得される。
すなわち、TIMSIGG 016において出力されたタイミング信号S016を基に、互いに異なる位相タイミングを与える信号S016とS200がDLY(200)によって生成される。SWG 505によって生成された制御信号S505により、SW504においてS016とS200が選択される。上記選択された信号に基づいて、SMP020I、020Qにおいて上記パルスの大きさ、極性に応じたデータS020が取得される。
CCRR 014I、CCRR 014Qで必要に応じて符号の相関が取られた後、SW 502I、502Qにおいて、制御信号505によって、上記進み成分と遅れ成分のパルスデータ値に振り分けられ、DDLY 503によって、両者のタイミングを合わせCCRR 014ID、014IE、014QD、014QEに入力される。CCRRで符号との相関が取られた後、SYNC_TRACK 015に入力される。
CCRR0 14ID、014IE、014QE、014QD、POWER 156D、156E、SYNCACQ 018、SYNCTRACK 015、COMP 192I、192Q、DEMOD 193、TIMSIGG 016’は、図30のCCRR 014IE、014IE、014QE、014QD、POWER 156D、165E、SYNCACQ 018、SYNCTRACK 015、COMP 192、DEMOD 193I、193Q、TIMSIGG 016’と同等の機能を有する。
上記構成により、搬送波をパルス波形によって変調した変調パルス波形を用いて信号を伝送する通信システムにおいても、第4の実施形態と同様に簡単な構成で同期の維持が可能となる。
本発明に係る受信装置の第1の実施形態を説明するための構成図。
本発明の実施形態になる受信装置を用いた通信装置の例を説明するための図。
図2の通信装置における送信装置の具体例を説明するための構成図。
ウルトラワイドバンドインパルスラジオ通信における信号の波形を説明するための図。
本発明の第1の実施形態の動作を説明するための波形例。
第1の実施形態における並列パルスデータ取得部の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における並列パルスデータ取得部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態におけるIF部の例を説明するための構成図。
第1の実施形態におけるIF部の動作を説明するための図。
第1の実施形態におけるIF部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における符号相関部の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における符号相関部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における同期追跡処理部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における同期追跡処理部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態における同期追跡処理部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態におけるタイミング信号生成部の例を説明するための構成図。
第1の実施形態におけるタイミング信号生成部の他の例を説明するための構成図。
第1の実施形態におけるタイミング信号生成部の動作を説明するための図。
本発明に係る受信装置の第2の実施形態を説明するための構成図。
第2の実施形態におけるパルス変調波からパルスを取り出す説明をするための構成図。
第2の実施形態における電力計算部の例を説明するための構成図。
第2の実施形態における並列パルスデータ取得部の例を説明するための構成図。
第2の実施形態におけるタイミング信号生成部の例を説明するための構成図。
本発明に係る受信装置の第3の実施形態を説明するための構成図。
第3の実施形態における並列パルスデータ取得部の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における並列パルスデータ取得部の他の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における復調用合成部の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における復調用合成部の他の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における復調用合成部の他の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における復調用合成部の他の例を説明するための構成図。
第3の実施形態における復調用合成部の他の例を説明するための構成図。
第3の実施形態の効果を説明するための図。
本発明に係る受信装置の第4の実施形態を説明するための構成図。
第4の実施形態における並列パルスデータ取得部の例を説明するための構成図。
本発明に係る受信装置の第5の実施形態を説明するための構成図 。
本発明に係る受信装置の第5の実施形態を説明する波形出力例を示す図 。
本発明に係る受信装置の第6の実施形態を説明するための構成図 。
従来の直接拡散型UWB−IR受信装置の例を説明するための構成図。
図35の例における同期追跡原理を説明するための図。
図35の例に用いるアナログ積分器の構成例を示す図 。
符号の説明
000,300…アンテナ、011…RFフロントエンド部(RFFE)、012,155,190…並列パルスデータ取得部(PGETPD)、013,191…IF部(IF)、014…符号相関部(CCRR)、015…同期追跡処理部(SYNCTRACK)、016…タイミング信号生成部(TIMSIGG)、017,158…符号相関・復調部(CCRR&DEMOD)、193…復調部(DEMOD)、018,157…同期捕捉部(SYNCACQ)、020…サンプリング部(SMP)、021,200…遅延部(DLY)、030,081…乗算部、031,082…積分部(INT)、032…テンプレート波形生成部(TMPWAVG)、033,041…タイミング調整部(TIMADJ)、040…データ取得部(GETDATA)、060…補正部(CAL)、070…タップつき遅延素子(D)、071…係数乗算部、072…加算部(ADD)、073…データ選択部(SELECT)、080…拡散符号生成部(SCG)、090…2乗/絶対値部(SQR/ABS)、091…減算部、092…積分/LPF部(INT/LPF)、093…ゲイン部(K)、110…ゲイン部(K1) 、111…ゲイン部(K1)、231…ゲイン(a)、101…除算部(DIV)、112…比較部(COMB)、120…VCO、131…プログラマブル分周器(PRGRMBL DIVIDER)、130…発振器、150…ミキサー部、151…LPF部(LPF)、152…中間増幅部(IFAMP)、153…ローカル発振器(LO)、154…90度移相器(90PH)、156…電力計算部(POWER)、192…復調用合成部(COMB)、230…スイッチ、232…符号部(SIGN)、241…関数部、301…スイッチ(SWT)、302…UWB送信器(UWBTX)、303…UWB受信器(UWBRX)、304…ベースバンド部(BB)、305…アプリケーション部(APL)。