JP4520569B2 - 拡張型心筋症の遺伝子治療剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡張型心筋症の遺伝子治療剤、より詳細には、サルコグリカンをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクターに組み込んで得られる遺伝子発現ベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
心筋症は症状として収縮障害と電気生理学的障害を示す心臓疾患の一つであり、最終的には重篤な心不全や突然死に至る一群の心筋疾患を包含する。心筋症は拡張型心筋症と肥大型心筋症とに分類され、各心筋症の発生原因の究明に関する研究がなされてきた。拡張型心筋症(DCM)の場合、治療を進行しても患者の予後は芳しくなく、悪化した患者では心臓移植が必要である(V. V. Michels, et al., New Engl. J . Med. 326, 77 (1992); E. K. Kasper, et al.,J. Am. Coll. Cardiol. 23, 586 (1994); M. Packer, et al., New Engl. J. Med. 334, 1349 (1996); M. Packer, et al. New Engl. J. Med. 335,1107 (1996); R.M.Graham, W. A. Owens, N. Engl. J. Med. 341, 1759 (1999).)。従って、患者の死亡率と罹患率を改善することができる新規な治療法を開発する必要がある。このような新規な治療法を開発するために動物モデルを利用することは有用である。
【0003】
遺伝子欠損を原因とするある種のDCMの治療には遺伝子導入が有用であると考えられる。ハムスターにおけるDCMの原因としてはδ−サルコグリカン(δ−SG)遺伝子の欠損が実証されている(A. Sakamoto, et al., Proc. Natl. Sci. Acad. U. S. A. 94, 13873 (1997); V. Nigro,et al., Hum. Mol. Genet. 6, 601 (1997))。また、DCMのモデル動物であるTO−2ハムスターにおけるδ−SG遺伝子のブレークポイントが最初のイントロンにあり、TO−2ハムスターでは、プロモーター及び最初のエキソンを含む大きな領域が欠失していることが判明している(A. Sakamoto, et al., Proc. Natl. Sci. Acad. U. S. A. 94, 13873 (1997))。また、ジストロフィン結合糖タンパク質複合体(DAGC)は細胞内収縮機構と細胞外マトリックスとを関連付けている(G. F. Cox, L. M. Kunkel, Curr. Opin. Cardiol. 12, 329 (1997); K. H. Holt, et al.,Mol. Cell 1, 841 (1998); M. D. Henry, K. P. Campbell Curr. Opin. Cell Biol. 11, 602 (1999))。
【0004】
δ−SGは他の3種のSG(α−、β−及びγ−SG)と一緒に複合体を形成し、α−及びβ−ジストログリカンを介して細胞内のジストロフィンと細胞外マトリックスのラミニン−2を結合させている(G. F. Cox, L. M. Kunkel, Curr. Opin. Cardiol. 12, 329 (1997); K. H. Holt, et al.,Mol. Cell 1, 841 (1998); M. D. Henry, K. P. Campbell Curr. Opin. Cell Biol. 11, 602 (1999))。TO−2ハムスターの心筋では、BIO14.6ハムスター(肥大型心筋症のモデル動物)の心筋とは対照的にα−、β−、γ−及びδ−SGの全ての発現が欠損している(T. Kawada, et al., F. E. B. S. Lett. 45, 405 (1999); T.Kawada, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 259, 408 (1999))。
【0005】
拡張型心筋症のような遺伝子の欠損又は疾患心筋組織における遺伝子の発現の変化が原因となる心臓疾患の治療の手段の一つとして、分子生物学的方法、例えば、心筋組織の体細胞へ直接遺伝子を導入することが提唱されている。
体細胞への遺伝子導入にはさまざまな方法が提唱されており、例えば、DNAインジェクションによる遺伝子導入法、リポソームを利用した遺伝子導入法またはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターもしくはアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子導入法などが提唱されている。遺伝子治療を成功させるための重要な条件としては、導入効率が高いこと、遺伝子発現が安定していること、組織特異性があること、宿主に対する安全性が高いことなどが挙げられる。
【0006】
例えば、レトロウイルスベクターを遺伝子治療に用いることが提唱されている。しかし、レトロウイルスの使用には多くの欠点がある。例えば、ウイルスDNAが宿主染色体中へランダムに組込まれることが挙げられ、これは挿入による突然変異を生じさせるという問題を生じさせる。さらに、レトロウイルスゲノムの両末端に位置するLTR(long terminal repeat)構造はプロモーター/エンハンサー活性を有し、この活性により、組込まれたウイルスDNAに隣接する遺伝子座の活性化を生じさせる可能性もある。
レトロウイルス以外のものとしては、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)が遺伝情報を細胞内に送達するための別の系として研究されている。AAV転写プロモーターの制御下にAAVのDNAと異種遺伝子とを含む組換えベクターの構築は、例えば、Carterらの米国特許第4,797,368号に記載されている。
しかしながら、AAVベクターを用いた場合でも、感染率が高いこと、遺伝子発現が安定していること、組織特異性が高いこと、安全性が高いといった条件を全て充足して遺伝子治療が常に成功するとは限らない。特に、遺伝子発現ベクターを心臓にインビボで投与することによって拡張型心筋症患者の心臓機能を改善することができるという報告はこれまでになされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、拡張型心筋症患者の遺伝子治療のために使用することができる、遺伝子発現ベクターを構築することである。
本発明の別の目的は、拡張型心筋症患者の心臓に直接注入した場合に、目的の遺伝子を安定的に発現することができる遺伝子発現ベクターを構築することである。
本発明のさらに別の目的は、拡張型心筋症患者の心臓に直接注入した場合に、該患者の心臓機能を向上させることができる遺伝子発現ベクターを構築することである。
本発明のさらに別の目的は、上記した遺伝子発現ベクターを含む、遺伝子治療用医薬組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、先ず、モデル動物として5週齢の雄TO−2ハムスターを使用し(T. Kawada, et al., F. E. B. S. Lett. 45, 405 (1999); T.Kawada, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 259, 408 (1999))、遺伝子導入ベクターとして組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を使用して、TO−2ハムスターの心臓にδ−SG遺伝子をインビボで注入した。その結果、δ−SG遺伝子を導入したTO−2ハムスターでは心臓機能が改善されていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、サルコグリカンをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに組み込んで得られる遺伝子発現ベクターが提供される。
好ましくは、サルコグリカンはδ−サルコグリカンである。
好ましくは、δ−サルコグリカンをコードする遺伝子はハムスター又はヒト由来のサルコグリカン遺伝子である。
本発明の遺伝子発現ベクターは、好ましくはサルコグリカン遺伝子の欠損を原因とする心臓疾患、特に好ましくは拡張型心筋症の治療のために使用される。
【0010】
本発明の別の側面によれば、本発明の遺伝子発現ベクターを含む、遺伝子治療用医薬組成物が提供される。
本発明の遺伝子治療用医薬組成物は、好ましくはサルコグリカン遺伝子の欠損を原因とする心臓疾患、特に好ましくは拡張型心筋症の治療のために使用される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施方法及び実施態様について説明する。なお、本明細書に記載した引用文献に記載された内容は全て引用により本明細書中に取り込まれるものとし、引用文献に記載の内容は本明細書の開示の一部とみなす。
(A)SG遺伝子を含有する遺伝子発現ベクター
本発明は、サルコグリカンをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに組み込んで得られる遺伝子発現ベクターに関する。
1.AAVベクター
本明細書で言う「遺伝子発現ベクター」とは、目的遺伝子(サルコグリカンをコードする遺伝子)を発現することができる核酸構築物である。ベクターは通常DNAまたはRNAのどちらで構成されてもよいが、本発明ではアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが使用される。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、4680ヌクレオチドの線状一本鎖DNA分子からなる欠損性パルボウイルスであり、REP(複製)タンパク質とCAP(キャプシド)タンパク質とをコードするオープンリーディングフレームを含む。REPタンパク質はウイルスゲノムの複製の際に機能するが、CAPタンパク質は集合して、ウイルスのゲノムをパッケージングするウイルスキャプシド分子を形成する。AAVコード領域に隣接するのは、2つの145ヌクレオチドのITR(inverted terminal repeat sequence)であり、この配列には、折りたたまれてヘアピン構造を形成しDNA複製開始の際にプライマーとして機能するパリンドローム配列が含まれる。ITR配列はDNA複製の際に必要である他、ウイルスの組み込み、宿主ゲノムからのレスキューおよび成熟ビリオンへのウイルス核酸のキャプシド包み込みにも必要であることが示されている(Muzyczka,N.,1992,Current Topics in Microbiology & Immnunology 158:97-129)。
【0012】
ヘルパーウイルスの存在下において、AAVは溶菌化経路に入り、それによってウイルスゲノムが転写、複製され、キャプシドに包み込まれ、新たなウイルス粒子が形成される。ヘルパーウイルス機能の非存在下では、AAVゲノムは、AAVの両末端と宿主細胞配列との間の組換えによりプロウイルスとして宿主細胞のゲノム中に組み込まれる(Cheung,A.ら,1980,J.Virol.33:739-748; Berns,K.I.ら,1982,in Virus Persistence,Mahey,B.W.J.ら編(Canmbridge Univ.Press,Cambridge),pp.249-265)。プロウイルスの組込み部位の解析と組込み部位に隣接する宿主細胞の配列の分析の結果、野生型AAVウイルスDNAはヒト染色体19番の長腕中へ特異的にターゲティングしていることが示唆される(Kotin,R.M.ら,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2211-2215; Samulski,R.J.ら,1991,EMBO J.10:3941-3950)。
【0013】
AAVベクターとしては、アデノ随伴1型(「AAV-1」)またはアデノ随伴2型(「AAV-2」)ベクター(WO95/13365; Flotteら、PNAS 90(22):10613-10617,1993を参照のこと)が知られている。遺伝子治療においてこのようなベクターを用いる方法は、当該分野において周知である(例えば、Larrick,J.W.およびBurck,K.L.,Gene Therapy: Application of Molecular Biology,Elsevier Science Publishing Co.,Inc.,New York,New York, 1991およびKreigler,M.,Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company,New York,1990を参照)。
【0014】
本発明で用いるAAVベクターとしては、様々なタイプのAAVウイルスベクターを使用することができる。例えば、AAVベクターは、REPおよび/またはCAP遺伝子を欠くAAVウイルス配列を含有するものである。また、その組換えベクターは、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質に対する耐性を付与するのに必要な細菌プラスミド配列、および大腸菌(E.coli)中での複製に必要な配列を含有してもよい。
【0015】
2.導入遺伝子
本発明では、サルコグリカン(SG)遺伝子を導入遺伝子として使用する。SG遺伝子としては、α−、β−、γ−及びδ−SG遺伝子が知られているが、このうちどれを用いてもよい。好ましくは、δ−SG遺伝子が使用される。SG遺伝子の由来や起源は特に限定されず、任意の動物由来ものを使用できるが、好ましくは哺乳動物由来のSG遺伝子であり、より好ましくはハムスター、ラット又はマウスなど齧歯類あるいはサル又はヒトなど霊長類由来のものであり、さらに好ましくはハムスター又はヒト由来のものであり、特に好ましくはヒト由来のものである。
ハムスター及びヒト由来のα−、β−、γ−及びδ−SGのDNAのクローニングについては、A. Sakamoto, et al., Proc. Natl. Sci. Acad. U. S. A. 94, 13873 (1997); V. Nigro,et al., Hum. Mol. Genet. 6, 601 (1997);及び V. Nigro,et al., Hum. Mol. Genet. 5, 1179 (1996)に記載されている。例えば、ハムスター由来のδ−SGをクローニングするためには、ゴールデンハムスター心臓由来のcDNAライブラリーをλZAPIIファージベクター中に構築し、ヒトδ−SG(V. Nigro,et al., Hum. Mol. Genet. 5, 1179 (1996))のcDNA断片を使用してスクリーニングすることによりクローニングすることができる。また、ハムスターδ−SGのcDNAはGenBankデータベースにaccession nos.AB001508として登録されている。
【0016】
3.遺伝子発現ベクター
本発明の遺伝子発現ベクターにおいては、プロモーター等の調節核酸配列をSG遺伝子と機能的に結合することが好ましい。所望の発現レベルおよび心臓特異的発現を達成するために、各種のプロモーター/エンハンサー要素を用いることができる。哺乳動物細胞のゲノムから誘導されるプロモーター、あるいは組換えDNAまたはDNA合成技術によって得られるプロモーターを用いて、導入遺伝子の転写を行ってもよい。プロモーターとしては、CMVプロモーター、pol III(例えば、tRNA)プロモーター、SV40後期プロモーター、またはSV40初期プロモーターなどの真核生物プロモーターが挙げられ、SG遺伝子はこれらのプロモーター制御下に配置される。また、プロモーターは、心臓組織特異的プロモーターでもよい。
【0017】
また導入遺伝子の3’末端にはポリA配列、例えば、それぞれの遺伝子の内在性ポリA配列を含むことが好ましい。このような配列を含むことによって、心筋細胞内でのmRNAの安定化を実現することができる(Jackson,R.J.(1993)Cell 74,9-14およびPalmiter,R.D.et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88, 478-482)。
【0018】
真核発現ベクターを得るのに、標準的な組換えDNA法を用いてもよい。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技法、合成技法およびin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。例えば、Maniatisら、1989、Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.およびAusubelら,1989,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.に記載されている方法を参照することができる。
【0019】
例えば、AAVウイルス配列は、増幅されたウイルスDNA断片の各末端に適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を加えるオリゴヌクレオチド・プライマーを用いたPCR反応により増幅してもよい。あるいはまた、所望のあらゆる切断部位は、制限エンドヌクレアーゼ配列をコードするヌクレオチド配列を、増幅した標的配列の両末端にライゲーションすることにより得てもよい。この標的配列は、次いで、相補的な付着末端を有する発現ベクターに挿入してもよい。
AAV配列を含有する組換え遺伝子発現ベクターは、当業者に周知の突然変異誘発法の鋳型として使用してさらに改変された遺伝子発現ベクターを作製してもよい。突然変異誘発法としては、部位特異的突然変異誘発、欠失突然変異体の構築、または上記AAV配列を改変するためのPCRの使用などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
4.組換えウイルスのストックの作製
組換えウイルスのストックを作製するためには、上記で構築した組換えベクターを、ヘルパー・ウイルス機能を付与し、かつAAV のREPおよびCAPタンパク質をトランス位置で供給することができる宿主細胞系にトランスフェクトする。このREPおよびCAPタンパク質は、線状の組換えDNAの複製および突然変異ウイルス粒子へのキャプシド包み込みに必要であり、REPおよびCAPタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えプラスミドで宿主細胞系をトランスフェクションすることによってトランス位置で供給することができる。DNAトランスフェクションは、当業者に周知である方法のいずれかを用いて行うことができ、その結果、REPおよびCAPタンパク質の一時的発現又は持続的発現が行われる。宿主細胞へのDNAのトランスフェクションを行うための方法としては、リポフェクション法、エレクトロポレーション法またはリン酸カルシウム法などによるDNAトランスフェクションが挙げられる[Ausubel ら、1989,Current Protocols for Molecular Biology]。
【0021】
宿主細胞系は、ウイルスREPおよびCAPタンパク質の発現に加えて、ヘルパー・ウイルス機能も付与できなければならない。AAV標的配列を含有するDNA断片を複製するためのヘルパー・ウイルスとしては、アデノウイルスおよび単純ヘルペスウイルスの双方が有用である。本発明の実施においては、これらの2種のウイルスのいずれか、またはAAVのヘルパー・ウイルスとして作用するいずれかのウイルスによる感染を許容する任意の宿主細胞を用いることができる。使用可能なヘルパー・ウイルスとしては、単純ヘルペス(HSV)、帯状ヘルペス状水疱(varicella zoster)、サイトメガロウイルスおよびエプスタイン−バー(Epstein-Barr)ウイルスが挙げられるが、それらに限定されない。感染多重度(MOI)および感染時間の持続性は、用いられるウイルスの種類および採用される細胞系に依存するであろう。
【0022】
例えば、SG遺伝子を含む組み換え遺伝子発現ベクター(ベクタープラスミド)をヘルパープラスミドと一緒に宿主細胞にトランスフェクションすることができる。このような場合、AAVのrepおよびキャプシドタンパク質はトランスに作用して、組換えAAV構築物の複製およびパッケージングを促進する。トランスフェクション後3日で、組換えAAVウイルスはアデノウイルスと共に細胞から回収される。混入しているアデノウイルスは熱処理によって不活性化することができる。
【0023】
5.遺伝子発現ベクターのインビボ投与
体細胞への外来遺伝子の導入はAAVにより、分化した静止細胞に対して行うことができ、これは心臓の遺伝子治療にとって特に好適である。AAV遺伝子発現ベクターの組み込み能によりin vivoの長期持続的な遺伝子発現が保証されるが、これは特に好適である。AAVのさらなる長所は、このウイルスが人間にとって病原となることなく、in vivoで相対的に安全であるということである。
【0024】
(B)遺伝子発現ベクターを含有する医薬組成物
本発明の別の側面によれば、本発明の遺伝子発現ベクターを含む、遺伝子治療用医薬組成物、特には、拡張型心筋症の治療のために使用する遺伝子治療用医薬組成物が提供される。
医薬組成物の形態は特に限定されないが、例えば、好ましくは約6.0〜8.0、より好ましくは約6.5〜7.5のpHおよび/または約200〜400ミリオスモル/リットル(mosm/L)、好ましくは約290〜310mosm/Lまでのオスモル濃度の生理緩衝液から成る薬剤キャリア中に本発明の遺伝子発現ベクターを含む医薬組成物などが挙げられる。薬剤キャリアとしては、その他に適当な安定剤(例えば、ヌクレアーゼ阻害剤など)、キレート剤(例えば、EDTAなど)、及び/又はその他の助剤も含むことができる。
【0025】
あるいはまた、本発明の医薬組成物は、SG遺伝子を含む遺伝子発現ベクターとリポソームとの複合体として供給してもよい。このような形態によって、特に心筋細胞において高いトランスフェクション効率を実現できる可能性がある。リポフェクションに際し、リポソーム懸濁液の超音波処理により陽イオン電荷脂質から成る単層の小胞が作られる。DNAはリポソームの表面にイオン結合され、しかも正の純電荷が残留して遺伝子導入ベクターのDNAが100%リポソームによって複合されるように結合する。脂質混合物DOTMA(1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウムブロミド)およびDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)などを含む多くの新しい脂質製剤が合成され、さまざまな細胞系のトランスフェクション効率が試験されている(Behr,J.P.et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6982-6986; Felgner,J.H. et al.(1994)J.Biol.Chem.269,2550-2561; Gao,X.& Huang,L.(1991)Biochem. Biophys.Res.Commu.179,280-285;Zho,X.& Huang,L.(1994) Biochem. Biophys. Acta 1189,195-203)。DNA−リポソーム複合体の製造と心臓特異的トランスフェクションにおけるその適用例は例えば、DE4411402に記載されている。
【0026】
上述した遺伝子発現ベクターまたはそれを含む医薬組成物は、例えば、カテーテルを利用して適用することができる。好適なのは、例えば、本発明の発現ベクターまたはそれを含む医薬組成物を患者の冠動脈に直接に注入することである("経皮冠動脈遺伝子導入法"PCGT)。例えば、Feldman et al.(Feldman,L.J.et al.(1994)JACC 235A,906-34)に記述されているようにバルーンカテーテルを用いて適用することは特に好ましいが、それはこれによってトランスフェクションを心臓に限定できるからである。
【0027】
本発明の医薬組成物の投与量は患者の年齢、性別、体重、症状、及び投与経路などの条件に応じて適宜増減されるべきであるが、一般的には、成人1回当たりは有効成分のDNA量として1μg/kgから1000mg/kg程度の範囲であり、好ましくは10μg/kgから100mg/kg程度の範囲である。投与回数は特に限定されない。1回の投与で治療効果を持続できる場合には、複数回投与する必要はない。AAVベクターに組み込んだ遺伝子発現ベクターは以下の実施例に記載の動物実験では動物の生涯の2/3の期間発現を続けたことから、本発明の遺伝子発現ベクター又はそれを含む医薬組成物は、それほど頻繁に投与する必要はない。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例によって限定されることはない。
【0028】
【実施例】
実施例1:δ−SGの遺伝子導入
実験動物としては、DCMを初期に発症するTO−2ハムスターを使用した(T. Kawada, et al., F. E. B. S. Lett. 45, 405 (1999); T.Kawada, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 259, 408 (1999))。野生型ハムスター及びTO−2ハムスターはBiobreeder(Fitchburg, MA)から購入した。
本発明では動物及びヒトの両方で安全性が確認されていることから、遺伝子導入ベクターとして組み換えアデノ随伴ウイルスベクターを使用した(P. D. Robbins, S. C. Ghivizzani, Pharmacol. Ther. 80, 35 (1998); J.A. Wagner,et al., Lancet 351, 1702 (1998))。レポーター遺伝子であるLacZ又は野生型ハムスターδ−SG遺伝子を含有するrAAVを構築した。rep及びcap遺伝子を有するAAVゲノムのITR配列に隣接してLacZリポーター遺伝子を含有するpW1(rAAVプラスミド)を構築した。δ−SGのcDNA断片はpW1のLacZ遺伝子のN末端の半分の代わりとして挿入した。
【0029】
アデノウイルスを含まない系を使用することによってrAAV−LacZを構築した(D.S. Fan,et al., Hum. Gene Ther. 9, 2527 (1998))。CMVプロモーターにより駆動されるδ−SG発現カセットを保持するpWSGをrAAV−δ−SG産生のために使用した。遺伝子導入実験用として、293細胞にベクタープラスミド、rep及びcap遺伝子を有するヘルパープラスミド(pHLP19)、及びアデノウイルスE2A、E4及びVA遺伝子を保持するpladeno-1をトランスフェクションすることによって、LacZ又は野生型δ−SG遺伝子(1.2kb)を含有するrAAVを産生した。
【0030】
マーカーとしてLacZを含有するrAAV、並びにδ−SG遺伝子を含有するrAAVを5週齢のハムスターの開胸手術後に、心臓先端部に同時に2回注入した(各々15μlずつ、全部でLacZ及びδ−SGの各々につき8.4×1010コピー及び6×1010コピー)。
導入遺伝子の注入から10週間後に実験動物を屠殺し、ノーザンブロット、β−Gal及び4種のSGタンパク質の免疫染色、並びに病理試験の分析を以下の通り行った。
【0031】
実施例2:ノザーンブロット分析
常法によりノザーンブロット分析を行った(A. Sakamoto, et al., F. E. B.S. Lett. 447, 124 (1999))。結果を図1のAに示す。図1のAから分かるように、コントロールハムスターの心臓においてエキソン1B由来のδ−SGの2つの主要な転写物がそれぞれ1.4kb及び9.5kbの位置に検出されたが(図1AのレーンC)、δ−SG遺伝子をゲノム上に欠失している導入遺伝子を投与していないTO−2ハムスターではこれらのバンドは両方とも失われている(図1AのレーンT、A. Sakamoto, et al., Proc. Natl. Sci. Acad. U. S. A. 94, 13873 (1997); V. Nigro,et al., Hum. Mol. Genet. 6, 601 (1997))。対照的に、δ−SGを遺伝子導入したTO−2ハムスターの心臓では、単一の強い転写物が4.4kbの位置に検出された(図1のAのレーンT+)。これらの結果から、rAAVで媒介した導入遺伝子(δ−SG)は広範囲に渡り検出しうる量で発現していることが判明した。
【0032】
さらに、TO−2ハムスターの心臓にrAAVベクターを筋肉内投与してから10週間後に採取した冷凍切片をヘマトキシリン−エオシンで染色して組織学的検査を行った(図1のB)。図1のBから分かるように、多型核細胞の浸潤、線維症又は脈管形成などを含む炎症応答は誘導されなかった。
【0033】
実施例3:β−Gal生成の確認
β−Galに対するモノクローナル抗体(Novocastra, Newcastle, England or Funakoshi, Tokyo, Japanから購入)を用いてβ−Galの生成を確認した(図2のA及びB)。 β−Galの発現はrAAVのインビボ注入の10週間後にプラトーに達した(J. P. Greelish, et al., Nature Med. 5, 439 (1999))。β−Galの発現効率は良好で(図2のA)、β−Gal発現細胞は先端(Apex)では、ベクターを注入したApexの全細胞の41.5±13.6%を占め、乳頭筋肉レベル(PML)の断面では27.0±5.9%であり(図2のB)、これらはベクター媒体又はリンパ流の浸潤を反映している。
【0034】
δ−SG遺伝子でトランスフェクションした壁厚は局所的に厚くなっている(図2のA)。β−Gal発現細胞はδ−SG導入遺伝子を有する細胞と合致した(図3A、β−Galとδ)。導入遺伝子は20週間後にも実証されたことから(データは示さず)、導入遺伝子は長期間に渡って持続的に発現していたことが分かる(M. J. Sole, Hamster Inf. Serv. 8, 3 (1986))。
従って、rAAV仲介による遺伝子導入は持続期間および発現範囲の両方に関して他のベクターよりも非常に優れていることが判明した。
【0035】
実施例4:δ−SG遺伝子のインビボ導入後におけるβ−Galと各種SGの発現と細胞径の回復
LacZ遺伝子のみをTO−2ハムスターの心臓に導入した場合、導入遺伝子(β−Gal)は心筋細胞の細胞質でのみ検出されたが(データは示さず)、HVJリポソーム仲介遺伝子移入の場合と同様、SGは検出されなかった(T. Kawada, et al., F. E. B. S. Lett. 45, 405 (1999); T.Kawada, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 259, 408 (1999))。そこで、野生型δ−SG遺伝子の導入後における、各種SGの発現の有無を抗体を用いて調べた。δ−SGに対するポリクローナル抗体はアフィニティークロマトグラフィーで調製し精製した。α−、β−又はγ−SGに対するモノクローナル抗体はNovocastra, Newcastle, England or Funakoshi, Tokyo, Japanから購入した。免疫染色法は既報の通りに行った(H. Kawaguchi, et al., Circulation 95, 2441 (1997))。 免疫染色の結果を図3Aに示す。図3から分かるように、野生型δ−SG遺伝子の導入後においては、δ−SGだけでなく他の全てのSG(α−SG、β−SG及びγ−SG)もまた心筋細胞で明確に検出された。なお、各種SGの再発現は筋肉細胞膜に制限されず、細胞質も一部染色された。
【0036】
心筋又は骨格筋では一定の現象が報告され(T. Kawada, et al., F. E. B. S. Lett. 45, 405 (1999); T. Kawada, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 259, 408 (1999); J. Li, et al., Gene Therapy 6, 74 (1999))、各SGの生合成の後に複雑なタンパク質の移動が存在することが示唆されている。十分な遺伝子を送達した後であってもSGタンパク質の発現に異常が生じる可能性もある。本実施例のように、遺伝子をトランスフェクションした部位に炎症を含む病的な応答が検出されなかったことは注目すべきである(図1B、図3A、HE)。
【0037】
δ−SG遺伝子の導入を行った心筋細胞と行わなかった心筋細胞の直径を同一の試料で測定した。萎縮性心筋細胞に対する遺伝子導入の効果を同定し、試料誤差を避けるために、細胞の直径は遺伝子導入した領域と導入しなかった領域の両方でランダムに記録した。コントロールの心筋細胞とDCM心筋細胞とを比較するために、4個のハムスターの心臓の各40個(合計160個)の細胞をランダムに選択して測定した。結果を図3Bに示す。
【0038】
TO−2ハムスターの心臓の筋直径はδ−SG導入遺伝子を用いた場合、導入しなかった細胞の場合よりも有意に厚かった(11.7±0.2mm;7.73±0.17mm、p<0.01)。LacZのみを導入した心筋細胞と何も導入しなかった心筋細胞の間では有意な差異は生じなかったことから(7.81±0.33mm;7.71±0.26mm)、細胞径の1.5倍の増加は遺伝子治療の際の遺伝子操作によるものではないことは明白である。
上記したようにδ−SGによる遺伝子治療は形態学的変化を改善するのに有効であったが、野生型ハムスターの心筋細胞の直径(13.6±0.5mm)はDCMハムスターの細胞の直径よりも大きいので、δ−SGによる遺伝子導入によりDCMの病理学的変化が完全に治癒することは限らない。
【0039】
実施例5:TO−2ハムスターの心臓へのδ−SGのインビボ遺伝子導入による石灰化への影響
局所的石灰化はδ−SG遺伝子の欠失に固有の現象である(F. Homburger, J. R. Baker, C. W. Nixon, R. Whitney, Med. Exp. 6, 339 (1962); E. Bajusz, Am. Heart J. 78, 202 (1969))。δ−SG遺伝子を欠損するトランスジェニックマウスの心臓でも同様のことが実証されている(R. Carol-Verazques, et al., Cell 98, 465 (1999))。
δ−SGをインビボで遺伝子導入することによる石灰化への影響を調べるためにスコアを測定した。組織石灰化の予備的定量のために、以下の基準に従って、石灰化の程度に応じてスコアをつけた。
ポイント0;石灰化領域なし、
ポイント1;1個の石灰化スポット
ポイント2;2個の領域
ポイント3;3個以上の領域及び/又は莫大、伸長又は融合した領域
スコアは遺伝子を注入した先端及び僧帽弁環の間の4個の断片の合計とした。
【0040】
結果を図4のA及びBに示す。先端レベル及び乳頭筋肉レベルでの断片で計算したスコア(図4のA)は、各動物で計測し合計した。LacZ遺伝子単独を導入したTO−2ハムスターの心臓はLacZ及びδ−SG遺伝子の両方で処理したハムスターより約3.2倍高いスコアを示した(8.4±0.9、2.6±0.6、p<0.01、図4のB)。これらのデータはδ−SG遺伝子の欠損により石灰化が生じることを裏付けている。
【0041】
実施例6:TO−2ハムスターへのδ−SG遺伝子のインビボ投与による心臓機能の改善
遺伝子移入後に動物の年齢を調整(15週齢)して、血行力学的指標を測定した。先ずハムスターを2%イソフラン(Dainippon Pharmaceutical,Osaka, Japan)で麻酔した。CVP(中心静脈圧)、LVP(左心室圧)、LVEDP(左心室末端拡張圧)及びdP/dtを、圧力変換器(A154,Fukuda Denshi, Tokyo, Japan)及びカテーテルチップ圧力変換器(SPR-671, Millar Instruments, Houston, TX)に連結したヘパリン生理食塩水で充填したポリエチレンカテーテルを用いて測定した。測定前に、イソフランの濃度を1%まで下げ、20分間維持して血行力学を安定化させた(S. Hirono, et al., Circ. Res. 80, 11 (1997))。A/D変換後のこれらの血行力学パラメーターを Power Lab system (ADInstruments, Castle Hill, Australia) に 1 kHzで記録した。
【0042】
TO−2マウスは野生型ハムスターと比較して、
左心室圧(LVP)(100±5mmHg;133±6mmHg);
LVPの最大微分係数(dP/dtmax)(4895±303mmHg/秒;8188±743mmHg/秒、p<0.01);及び
LVPの最小微分係数(dP/dtmin)(−3664±378mmHg/秒;−7118±971mmHg/秒、p<0.01);
では低い値を示し、
左心室末端拡張圧(LVEDP)(8.82±1.92mmHg;1.84±1.48mmHg、p<0.01);及び
中心静脈圧(CVP)(2.70±0.87mmHg;0.78±0.50mmHg、p<0.05);
では高い値を示し、
心拍数(HR)(382±20心拍/分;377±9心拍/分)では有意な変化を示さなかった。
【0043】
物理的パラメーターとしては、TO−2ハムスターでは野生型ハムスターと比較して、
体重の減少(103±1g;122±3g、p<0.01);
心臓重量の減少(294±7mg;382±11mg、p<0.01);及び心臓の重量/体重の比率の減少(0.284±0.005;0.314±0.007%、p<0.01);
を示した。
これらの結果は、TO−2ハムスターでは左心室と右心室の両方において収縮機能と拡張機能が低下し、またうっ血性心不全が生じていることを示す。
【0044】
次いで、これらの血行力学的指標に対するδ−SG遺伝子のインビボ導入の効果を評価した。得られた結果を図5に示す。
δ−SG遺伝子とLacZ遺伝子を同時に導入したTO−2ハムスターでは、LacZ遺伝子のみを導入したハムスターと比較して、
dP/dtminは−3072±331mmHg/秒から−4202±229mmHg/秒に改善され(p<0.05)、
LVEDPは11.2±1.5mmHgから1.6±1.3mmHgに改善され(p<0.01)、
CVPは3.04±1.36mmHgから0.25±0.24mmHgに改善された(p<0.05)。
しかし、LVPは各々97.0±7.7mmHgと90.7±5.0mmHgであり、dP/dtmaxは4645±637mmHg/秒と4623±157mmHg/秒であり、そしてHRは390±18心拍/分と356±13心拍/分であり、これらのパラメーターは有意には変化しなかった。
【0045】
(実施例の考察)
上記の結果から、今回の遺伝子治療では、収縮機能ではなく左心室と右心室の拡張機能とうっ血が最初に優先的に改善していることが判明した。拡張機能はCa2+ATPアーゼを用いた筋線維質から筋形質小網又は細胞外空間へのCa2+取り込みによって主として決まる(S. Ebashi, Y. Nonomura, T. Toyo-oka, E. Katayama, Symp. Soc. Exp. Biol. 30,349 (1976); M. Endo, Physiol. Rev. 57, 71 (1977))。拡張期における遊離したCa2+値は、DCMハムスターの心臓、並びにヒト心不全患者の心筋細胞で評価されており(J. K. Gwathmey, et al., Circ. Res 61, 70 (1987); M. J. Lab, J. A. Lee, Circ. Res.66, 585 (1990); C. L. Pereault, R. P. Shanoon, K. Komamura, S. F. Vatner, J. P.Morgan, J. Clin. Invest. 89, 932 (1992))、エネルギー供給の消耗を反映している(T. Toyo-oka, H. Arisaka, T. Takayasu, T. Tezuka, S. Hosoda, Prog. Clin. Biol. Res. 315, 567 (1989); T. Toyo-oka, J. Mol. Cell. Cardiol. 5, 141 (1989); T. Toyo-oka, K. Nagayama, J. Suzuki, T. Sugimoto, Circulation 86, 295 (1992))。
【0046】
BIO14.6ハムスター(肥大型心筋症のモデル動物)の骨格筋の強力な収縮によりCa2+流入は増大し、ジストロフィンの蛋白質分解が誘導された(V. Staub, et al., Am. J. Pathol. 153, 1623 (1998))。心筋並びに骨格筋はカルシウム活性化中性プロテアーゼ(カルパイン、R. B. Huston, E. G. Krebs, Biochemistry 6; 2116 (1968); W. R. Dayton, et al.,Biochemistry 15, 2150 (1976); W. R. Dayton et al., Biochemistry 15, 2159(1976); T. Toyo-oka, T. Shimizu, T. Masaki, Biochem. Biophys. Res. Commun. 82, 484 (1978); T. Toyo-oka, T. Masaki, J. Mol.Cell. Cardiol. 11, 769 (1979))を内生的に含有し、心拍を持続する運命を持つ。Ca2+イオンは遅い内向きの流動によって筋線維質に流入し、能動輸送によって排出されるはずである。心筋細胞は、収縮を必ずしも反復する必要がない骨格筋よりも反復収縮に対して脆弱である可能性がある。心臓選択的Ca2+流入阻害剤(ベラパミル)は心筋症ハムスターのみならず肥大型心筋症を罹患するヒト患者の治療にも有効であることが示されている( A. Fleckenstein, et al.,in Pathophysiology and morphology of myocardial alterations. pp. 21-47. A. Fleckenstein, G. Rona, eds., (University Park Press,Baltimore, 1975); M. Kaltenbach, et al., Br. Heart J. 42, 35 (1979))。
【0047】
導入遺伝子の発現部位は心臓全体をカバーしなかったが(図2)、今回の試験的な遺伝子治療は拡張機能の改善に非常に有効であった。これらのデータは、収縮の局所的改善が心室の全体的機能を改善するのみならず、神経液因子(T. Toyo-oka, et al., Circulation 83, 476 (1991); T. Toyo-oka, T. Sugimoto,Circulation 84, 1451 (1991); W. S. Shin, et al., Ann. N. Y. Acad. Sci. 786, 233 (1996))、オータコイド及び/又はサイトカイン(J. Narula, et al., New Engl. J. Med. 335, 1182 (1996); F. M. Habib, et al., Lancet 347, 1151 (1996); G. Olivetti, et al., New Engl. J. Med. 336, 1131 (1997); H. Hikiji, et al., F. E. B. S. Lett. 410, 238 (1997); H. Hikiji, et al., Am. J.Physiol. in press)をも改善することを示唆している。これは、主観的及び客観的知見の一時的増強のためのBatistaの方法に類似している(R. C. Starling, J. B. Young, Cardiol. Clin. 16, 727 (1998); R. Batista, Eur. J. Cardiothorac. Surg. 15 (Suppl. 1),. S12 (1999); R. SoRelle, Circulation 99, 845 (1999))。
【0048】
複合成分中の一つの成分の遺伝子欠損及びそれに対応する蛋白質破壊により、筋変性が通常誘導され、心臓疾患がこれに伴う場合がある。実際、心臓のF−アクチン、ジストロフィン、各種のサルコグリカン、ラミニン−2及びラミニンA/Cの遺伝子変異は、主症状又は部分的兆候としてヒトの症例では拡張型心筋症の原因となる(T. M. Olson, et al., Science 280, 750 (1998); D. Fatkin, et al., New Engl. J.Med. 341, 1715 (1999))。細胞内F−アクチン及び細胞外ラミニン−2の妨害により筋形質の完全性を保存することができなくなり、最終的に拡張型心筋症につながる可能性があるが、ラミニンA/Cの変異は筋変性を導く正確な機構を説明するものではない。
【0049】
さらに、エンテロウイルス感染後における後天性症例では、ウイルス遺伝子から翻訳されたプロテアーゼ2Aによるジストロフィンの選択的切断により遅延型心筋症と似た症状を示す(C. Badorff, et al., Nature Med. 5, 320 (1999))。即ち、遺伝子欠損という病因とは無関係に、崩壊により心不全が生じる可能性もある。
【0050】
【発明の効果】
本発明の遺伝子発現ベクターをインビボで生体に投与することにより、生体内に持続的にサルコグリカンを発現させることができ、これによりα−、β−、γ−、及びδ−サルコグリカン成分の回復を達成することができ、また拡張型心筋症患者の心臓機能を改善することができる。
本発明の遺伝子発現ベクターは、感染性や病原性がなく安全であり、また遺伝子導入効率及び遺伝子発現効率が高く、さらに頻繁に投与する必要がないという利点を有する。
即ち、本発明により、体細胞遺伝子治療法を用いたうっ血性心臓疾患の新規な治療方法を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1のAは、左心室のδ−サルコグリカン(SG)のRNAブロット分析の結果を示す。1レーン当たり2μgのポリ(A)+RNAを使用した。レーンCはコントロール用の野生型ハムスター、レーンTは遺伝子導入しないTO−2ハムスター、T+はrAAV仲介ベクターにより5週齢のハムスターに遺伝子導入した10週間後のハムスターである。4.4kbのバンドはδ−SG転写物は遺伝子導入したTO−2ハムスター(T+)のもので、少なくとも20週間は持続した。転写物のサイズは野生型ハムスターで検出された内因性δ−SGmRNAのサイズより大きかった。
図1のBは、遺伝子をトランスフェクションした領域の組織学的検査の結果を示す。LacZ及びδ−SG遺伝子をインビボで同時移入した10週間後に採取した冷凍切片をヘマトキシリン−エオシン染色したものである。右下の棒の長さは1mmである。
【図2】図2のAは、TO−2ハムスターの心臓の先端部分にrAAVで仲介してLacZ遺伝子を導入してから10週間後におけるレポーター(β−Gal)の効率的な発現を示す図である。LacZの遺伝子導入は、特異的抗体を使用した場合に組織化学染色よりも感度が高いβ−Galタンパク質の免疫染色によって確認した(P. D. Robbins, S. C. Ghivizzani, Pharmacol. Ther. 80, 35 (1998); J.A. Wagner,et al., Lancet 351, 1702 (1998))。β−Galについて陽性の細胞質領域及び心室内隔壁を含む全左心室壁の領域を、導入効率のアッセイのために面積測定法により測定した。試料は先端又は乳頭筋肉レベル(PML、棒=1mm、最初の拡大率12.5倍)で断面から得た。
図2のBは、LacZ遺伝子を含有するrAAVを局所的に注入した先端とPMLにおけるβ−Galの発現領域を示す。
【図3】図3のAは、TO−2心臓にLacZ及びδ−SG遺伝子を同時に導入してから10週間後におけるレポーター(β−Gal)、α−、β−、γ−及びδ−サルコグリカン(SG)について免疫染色した結果と、ヘマトキシリン−エオシン(HE)染色による組織検査の結果を示す(棒=200μm;最初の拡大率は100倍)。
図3のBは、コントロールハムスター(C)、TO−2ハムスター(T)、レポーター遺伝子(LacZ)を単独でインビボでトランスフェクションしたTO−2ハムスター(T+βGal)、そしてレポーター遺伝子(LacZ)と野生型δ−SG遺伝子を一緒にトランスフェクションしたTO−2ハムスター(T+βGal+δ−SG)の心筋細胞の直径を示す。星印及び#は各々、C及びT+LacZと比較して統計学的に有意差(p<0.01)があることを示す。
【図4】図4のAはδ−SGのインビボ遺伝子導入を行わなかった場合のTO−2の心筋の石灰化を示し、図4のBはδ−SGのインビボ遺伝子導入を行った場合(10週間)のTO−2の心筋の石灰化を示す。矢印は石灰化の損傷部位を示す。棒の長さは1mmを示す。
図4のCは、コントロールハムスターの心臓(C)、レポーター遺伝子(LacZ)を単独又は野生型δ−SG遺伝子と一緒にインビボ遺伝子トランスフェクションしたTO−2ハムスター(T)における石灰化スコアを示す。星印及び#は各々、C及びT+LacZと比較して統計学的に有意差(p<0.01)があることを示す。
【図5】図5は、δ−サルコグリカン(SG)のインビボ遺伝子導入後における血行力学的パラメーターの改善を示す。白い棒はレポーター(LacZ)単独を10週間導入したTO−2ハムスターを示し、斜線の棒はレポーター(LacZ)とδ−SG遺伝子の両方を10週間導入したTO−2ハムスターを示す。星印は各々、p<0.05(*)、p<0.01(**)で、LacZのみを導入した場合と比較して統計的有意差があることを示す。

Claims (2)

  1. δ−サルコグリカンをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに組み込んで得られる遺伝子発現ベクターを含む、拡張型心筋症の遺伝子治療用医薬組成物。
  2. δ−サルコグリカンをコードする遺伝子がハムスター又はヒト由来のδ−サルコグリカン遺伝子である、請求項1に記載の拡張型心筋症の遺伝子治療用医薬組成物。
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