JP4520110B2 - 微細鉄粉除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料の中に含まれる金属を除去する微細鉄粉除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
材料の中に含まれる金属を除去する微細鉄粉除去装置として、例えば図9に示すようなものがある。この微細鉄粉除去装置50は、材料を導入する管体51と、この管体51の内部で管体51の軸心方向に配置されるマグネット部材52と、このマグネット部材52を管体51に装着するための装着部材53とを有している。このマグネット部材52は、円筒状に形成された装着部材53の嵌合凸部54に嵌合(装着)されている。装着部材53には、ねじ部55が設けられており、管体51に設けられたねじ部56と装着部材53のねじ部55とを螺合することにより、マグネット部材52は管体51内に支持されている。
【0003】
そして、管体51の上側から材料を導入し、マグネット部材52と管体51との間に材料を流通させることにより材料に含まれる鉄をマグネット部材52で除去するようになっており、管体51とマグネット部材52との間を通過した材料は、装着部材53の落下孔57から流出するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−76176号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の微細鉄粉除去装置では、装着部材53のねじ部55と管体51のねじ部56との間に材料などの異物が混入することがあり、この状態で管体51内からマグネット部材52を取り出すために、装着部材53を回転させて装着部材53を管体51から取り外そうとすると、装着部材53を回転させにくくいことがあり、マグネット部材52の取り出しが非常に困難であった。
また、従来の微細鉄粉除去装置では、材料を流通させた場合、材料は管体51とマグネット部材52との間を直線的に上流から下流に向けて流れる。そのため、例えば、管体51の内周壁に沿って流動する材料は、マグネット部材52から離れた状態で、管体51とマグネット部材52との間を通過して落下孔57から流出してしまうので、その材料に含まれる鉄がマグネット部材52に吸着されにくく、鉄の吸着除去率が低いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、管体からのマグネット部材の着脱を非常に簡単になし得る微細鉄粉除去装置を提供することを目的とする。また、材料に含まれる鉄の吸着除去率を向上させた微細鉄粉除去装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、材料を導入する管部材の内部に、マグネット部材を管部材の軸心方向に配置し、マグネット部材を装着部材を介して管部材に取り付け、前記管部材を材料供給路の途中に配設して該管部材と前記マグネット部材との間に材料を流通させることで該材料に含まれる鉄粉を除去するようにした微細鉄粉除去装置において、前記装着部材は、マグネット部材を支持する支持部と、この支持部から放射状に突出した複数の取付腕とを備え、前記管部材は、第1管体と該第1管体の軸心方向両側に配置された第2管体とを、これらの軸心方向の端部に設けられたフランジ部を介して接合してなり、前記マグネット部材及び装着部材を前記第1管体内に配置し、前記装着部材の取付腕の突出端部が、第1管体のフランジ部と第2管体のフランジ部との間に挟まれることにより保持されている点にある。
【0008】
また、他の本発明の技術的手段は、前記マグネット部材の軸心方向一端に、嵌合凸部が突設され、前記装着部材の支持部に嵌合凹部が設けられ、マグネット部材の軸心方向外方の移動を規制すると共に、マグネット部材の径方向の移動を規制するように、マグネット部材の嵌合凸部が装着部材の嵌合凹部に嵌合保持されているいる点にある。
また、他の本発明の技術的手段は、前記管部材内に流入する材料を攪拌する攪拌翼が前記装着部材の取付腕に突設されているいる点にある。
【0009】
また、他の本発明の技術的手段は、前記装着部材は第1管体の軸心方向両側に設けられ、前記マグネット部材は一方の装着部材から他方の装着部材にわたって設けられている点にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3は、本発明に係る第1の実施の形態の微細鉄粉除去装置を示しており、この微細鉄粉除去装置1は、例えば食品製造ラインの材料供給路に配設されて、液体状の食品材料に混入した鉄粉等を除去するものである。
図1に示すように、微細鉄粉除去装置1は、材料が導入可能な管部材2と、管部材2内に配置されるマグネット部材3と、このマグネット部材3を装着する一対の装着部材4とを有している。管部材2は、略中央に位置する第1管体5と、この第1管体5の軸心方向両端部に接続される一対の第2管体6とを有しており、第1管体5と第2管体6とを後述するこれらのフランジ部10、13を介して接続具7で接合(接続)することにより構成されている。
【0011】
図1に示すように、第1管体5は、ステンレススチールや合成樹脂等の非磁性体材料で筒状に形成されており、この第1管体5の軸心方向両端部には、フランジ部10が設けられている。第1管体5のフランジ部10は、第1管体5の軸心方向両端部から径外方向に突出する円形鍔状となっている。図2又は3に示すように、この各フランジ部10の軸心方向外端部の径方向外方側には、断面視円弧状の嵌合溝11が全周に亘って形成され、フランジ部10の軸心方向外端部の径方向内方側には、軸心方向に外壁を切り欠く係合凹部12(段部)が全周に亘って形成されている。
【0012】
各第2管体6は、第1管体5と同様に、ステンレススチールや合成樹脂等の非磁性体材料で筒状に形成されており、この第2管体6の軸心方向一端部には、フランジ部13が設けられ、第2管体6の軸心方向他端部には、微細鉄粉除去装置自体(管部材2)を材料供給路に配設された他の管A等に接続するための取付部14が設けられている。第2管体6のフランジ部13は、第2管体6の軸心方向一端部から径外方向に突出する円形鍔状となっており、フランジ部13の軸心方向外端部の径方向外方側には、断面視円弧状の嵌合溝15が全周に亘って形成されている。第2管体6の取付部14は、第2管体6の軸心方向他端部から径外方向に突出する円形状となっており、この取付部14の径方向外周には、管Aを接続するための螺子が切られている。
【0013】
接続具7は、第1管体5と第2管体6とを接続して管部材2内に材料を流動させたときに、第1管体5、第2管体6との接続部から管部材2内の材料が外部へ出ないようにするパッキン18と、第1管体5と第2管体6とを接合するクランプ19とを有している。図2、3に示すように、クランプ19は、第1管体5及び第2管体6のフランジ部10、13に沿うように半円筒状に形成された上下取付23、24と、ヒンジ20とを有している。クランプ19の上下取付部23、24の一端は、ヒンジ20により揺動自在に連結され、上下取付部23、24の他端は、螺子21により連結可能とされている。パッキン18は、第1管体5のフランジ部10と第2管体6のフランジ部13とを合わせて突き当てて第1管体5と第2管体6とを接合したときに、第1管体5のフランジ10と、第2管体6のフランジ部13との隙間を埋めるようにゴム等の弾性体によりリング状に形成されている。また、パッキン18は、第1管体5と第2管体6とを接合したときに、フランジ部10、13の嵌合溝11、15と密着嵌合し、且つ、管部材2の軸心方向に突出する断面視略円弧状の第1突出部25と、この第1突出部25から径内方向に突出する第2突出部26とを有している。
【0014】
したがって、第1管体5のフランジ部10と第2管体6のフランジ部13とを軸心方向に突き当て、フランジ部10、13とを互いに跨ぐようにクランプ19を第1管体5及び第2管体6のフランジ部10、13に装着し、クランプ19の上下取付部23、24の他端を螺子21により連結して締め付けすることにより、第1管体5と第2管体6とは互いに軸心方向に引き寄せられながら接合されるようになっている。
マグネット部材3は、円柱状に形成されて、軸心方向(長手方向)の長さが第1管体5の長さと略同じになるように形成されている。このマグネット部材3は、非磁性体よりなる非磁性体部28と、この非磁性体部28に連結する複数個のマグネットで構成された積層マグネット部29とから構成されている。このマグネット部材3の軸心方向両端部が非磁性体部28とされ、この非磁性体部28に挟み込まれたマグネット部材3の中途部が積層マグネット部29とされている。
【0015】
マグネット部材3の軸心方向両端部の非磁性体部28には、管部材2の軸方向外方に突出する略円形状の嵌合凸部30が突設され、この嵌合凸部30は、非磁性体部28の径よりも小さい径(小径)となっている。
装着部材4は、マグネット部材3を支持する支持部32と、この支持部32から放射状(管部材2の径外方向)に突出した複数(例えば3個)の取付腕33とから構成されている。装着部材4の支持部32は、円筒状に形成されて、支持部32の略中央部には、マグネット部材3の嵌合凸部30が嵌合される嵌合凹部34(例えば貫通孔)が設けられている。装着部材3の各取付腕33は、装着部材3の支持部32の中央部を中心として、互いの取付腕33の周方向の開き角度が略一定となるように、支持部33から突出している(例えば、取付腕33が3個の場合は開き角度は略120°)。また、各取付腕33の突出端部(外側端部)は、第1管体5のフランジ部10の係合凹部12に係合可能に形成されており、各取付腕33の外側端部の肉厚は取付腕33の中途部比べ薄厚となっている。
【0016】
以上の構成により、次のようにすることで、マグネット部材3を、管部材1内に取り付けることができる。例えば、図1〜2に示すように、第1管体5の左側フランジ部10aの係合凹部12に、左側装着部材4aの取付腕33の外端部を係合し、パッキン18を介して第1管体5の左側フランジ部10aと左側第2管体6aのフランジ部13とを接続する。このとき、パッキン18が第1管体5の左側フランジ部10aと左側第2管体6aのフランジ部13との隙間を埋めると共に、パッキン18の第2突出部26が左側装着部材4aの取付腕33の外端部と当接するようになり、左側装着部材4aの取付腕33の外端部は、第1管体5のフランジ部10aと左側第2管体6aのフランジ部13との間で保持(挟持)される。したがって、左側装着部材4aは、径内外方向への移動が規制されると共に、軸心方向への移動が規制されるようになり、左側装着部材4aは管部材2に支持される。
【0017】
次に、左側装着部材4aの支持部32の嵌合凹部34にマグネット部材3の左側嵌合凸部30aを嵌合する。これにより、マグネット部材3の軸心方向外方(左側第2管体6a側)への移動は規制されると共に、マグネット部材3の径方向の移動は規制されるようにマグネット部材3は、左側装着部材4aに支持される。
そして、マグネット部材3の右側嵌合凸部30bに右側装着部材4bの支持部32の嵌合凹部34を嵌合し、左側装着部材4aと同様に右側装着部材4bを第1管体5の右側フランジ部10bに取り付け、第1管体5と右側第2管体6bとを接続することで、マグネット部材3の嵌合凸部30が装着部材4の嵌合凹部34に嵌合保持され、マグネット部材3は管部材2内で支持されることになる。
【0018】
したがって、各装着部材4の径内外方向への移動が規制されると共に、軸心方向への移動が規制され、その結果、マグネット部材3の軸心方向への移動(軸心方向の内方及び外方への移動)規制されると共に、マグネット部材3の径内外方向の移動は規制されるようになり、マグネット部材3は管部材2内でがたつくこがない。
管部材2内に取り付けられたマグネット部材3は、各装着部材4によって管部材2と同心となるように管部材2の中心軸方向に沿って配置され、これにより、マグネット部材3と管部材2との径方向の距離が略一定なる。したがって、管部材2とマグネット部材3との間に材料を流動させた場合、その材料が管部材2内で、一方に偏ることなく、マグネット部材3の廻りを材料が均一に流動するようになり、材料に含まれる鉄粉を効率よくマグネット部材3に吸着させることができる。
【0019】
このように管部材2内に保持したマグネット部材3を管部材2内から取り外すには、一つのクランプ19の螺子21を緩めて第2管体6を第1管体5から取り外し、装着部材4を軸心方向外方に引き抜くだけでよく、マグネット部材2を簡単に管部材2内から取り外すことができる。また、マグネット部材3と装着部材4とは、嵌合されているだけであり、マグネット部材3と装着部材4との脱着も行い易い。
次に、本発明に係る第2の実施の形態の微細鉄粉除去装置について説明する。
【0020】
図4〜7に示すように、この微細鉄粉除去装置1は、装着部材4に、管部材2内に流入する材料を攪拌する攪拌翼40を設けたものである。
この装着部材4の支持部32は、第1の実施の形態と同様に、円筒状に形成されており、この支持部32には、放射状に突出する取付腕33が4個設けられている。この装着部材4の各取付腕33は、支持部32の中央部を中心として、互いの取付腕33の周方向の開き角度が略90°となるように突設されている。
この攪拌翼40は、装着部材4の各取付腕33から軸心方向(支持部32の軸心方向)に突設されており、流動する材料が攪拌翼40に当たったときに、流動する材料の流れ方向が変化して乱流となるように、取付腕33から屈曲して傾斜状となっている。したがって、例えば、図4の線aに示すように、材料を上流から下流に流動させると、図6に示すように、攪拌翼40に当たった材料は、攪拌翼40の傾斜部により周方向に案内されて、材料の流れが第1管体5内で渦状に乱流となるので、管部材2とマグネット部材3との間を流れる材料全体が、略均一にマグネット部材3の磁気の影響を受けやすくなり、材料に含まれる鉄粉を効率よく吸着することができる。なお、その他の点は、第1の実施の形態と同様の構成である。
【0021】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく適宜に設計変更が可能である。微細鉄粉除去装置1は、食品製造ラインで使用されるものとしていたが、この微細鉄粉除去装置1は、材料供給路の途中に配設して材料内の微細鉄粉を除去するものなので、その他化学工業等に使用することができる。
また、上記のマグネット部材3は、非磁性体部28と、積層マグネット体29とから構成されていたが、非磁性体部28は必ずしも必要はなく、積層マグネット体29のみから構成されていてもよい。
【0022】
第2の実施の形態では、管部材2内に流入する材料を攪拌する攪拌翼40を装着部材4に設けているが、材料の流動によって攪拌翼40が周方向に回転自在となるように、装着部材4の取付腕33を管部材2に係合(保持)する共に、装着部材4の嵌合凹部34とマグネット部材3の嵌合凸部30とを嵌合するようにしてもよい。図8に示すように、攪拌翼40有する装着部材と同一形状の攪拌部材を、第2管体内の上流側(マグネット部材2よりも上流側)に設けるようにしてもよい。
【0023】
また、第1及び第2の実施の形態では、マグネット部材3の軸心方向両端部を一対の装着部材4を介して管部材2内に取り付けるようにしていたが、これに代え、図8に示すように、マグネット部材3の軸心方向一端を装着部材4を介して支持するようにしてもよい。この場合は、マグネット部材3が軸心方向に不動となるように、装着部材4とマグネット部材3とを密着嵌合するか、又は、溶接等により装着部材4とマグネット部材3とを一体的に連結してもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、管部材からのマグネット部材の着脱を非常に簡単になすことができる。また、材料に含まれる鉄粉を効率よく吸着することができ、鉄の吸着除去率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微細鉄粉除去装置の第1の実施形態を示した概略断面図である。
【図2】同詳細断面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】本発明に係る微細鉄粉除去装置の第2の実施形態を示した概略断面図である。
【図5】同詳細断面図である。
【図6】同正面図である。
【図7】同装着部材の側面図である。
【図8】他の実施形態を示した概略断面図である。
【図9】従来の微細鉄粉除去装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 微細鉄粉除去装置
2 管部材
3 マグネット部材
4 装着部材
5 第1管体
6 第2管体
10 フランジ部
13 フランジ部
30 嵌合凸部
32 支持部
33 取付腕
34 嵌合凹部
40 攪拌翼
Claims (4)
- 材料を導入する管部材(2)の内部に、マグネット部材(3)を管部材(2)の軸心方向に配置し、マグネット部材(3)を装着部材(4)を介して管部材(2)に取り付け、前記管部材(2)を材料供給路の途中に配設して該管部材(2)と前記マグネット部材(3)との間に材料を流通させることで該材料に含まれる鉄粉を除去するようにした微細鉄粉除去装置において、
前記装着部材(4)は、マグネット部材(3)を支持する支持部(32)と、この支持部(32)から放射状に突出した複数の取付腕(33)とを備え、
前記管部材(2)は、第1管体(5)と該第1管体(5)の軸心方向両側に配置された第2管体(6)とを、これらの軸心方向の端部に設けられたフランジ部(10、13)を介して接合してなり、
前記マグネット部材(3)及び装着部材(4)を前記第1管体(6)内に配置し、
前記装着部材(4)の取付腕(33)の突出端部が、第1管体(5)のフランジ部(10)と第2管体(6)のフランジ部(13)との間に挟まれることにより保持されていることを特徴とする微細鉄粉除去装置。 - 前記マグネット部材(3)の軸心方向一端に、嵌合凸部(30)が突設され、前記装着部材(4)の支持部(32)に嵌合凹部(34)が設けられ、マグネット部材(3)の軸心方向外方の移動を規制すると共に、マグネット部材(3)の径方向の移動を規制するように、マグネット部材(3)の嵌合凸部(30)が装着部材(4)の嵌合凹部(34)に嵌合保持されていることを特徴とする請求項1に記載の微細鉄粉除去装置。
- 前記管部材(2)内に流入する材料を攪拌する攪拌翼(40)が前記装着部材(4)の取付腕(33)に突設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細鉄粉除去装置。
- 前記装着部材(4)は第1管体(5)の軸心方向両側に設けられ、前記マグネット部材(3)は一方の装着部材(4)から他方の装着部材(4)にわたって設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細鉄粉除去装置。
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