JP4519137B2 - タバコ属(Nicotiana)からのチトクロムp450遺伝子のクローニング - Google Patents
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Description
チトクロムp450は、内因性基質および生体異物基質の酸化代謝、過酸化代謝および還元代謝を含む、多様な範囲の化学的に異なる基質の酵素反応を触媒する。植物において、p450は、フェニルプロパノイド、アルカロイド、テルペノイド、脂質、青酸グリコシド、およびグルコシノレートなどの植物産物の合成を含む、生化学的経路に関与する(Chappel, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 198, 49:311−343)。チトクロムp450は、p450ヘム−チオレート・タンパク質としても知られ、通常、p450含有モノオキシゲナーゼ系と呼ばれる多構成要素電子移動連鎖の最後のオキシダーゼとして作用する。触媒される特定の反応には、脱メチル化、水酸化、エポキシ化、N−酸化、スルホ酸化(sulfooxidation)、N−、S−、およびO−脱アルキル化、脱硫酸化、脱アミノ化、並びにアゾ、ニトロ、およびN−オキシド基の還元が含まれる。
本発明は植物p450酵素に関する。本発明はさらに、タバコ属由来の植物p450酵素に関する。本発明はまた、その発現がエチレンおよび/または植物老化によって誘導される、植物におけるp450酵素にも関する。本発明はさらに、酵素活性、例えばオキシゲナーゼ、脱メチル化酵素等、またはその他に分類される酵素活性を有する、植物中の核酸配列、およびこれらの酵素の発現または過剰発現を減少させるかまたはサイレンシングするための、これらの配列の使用にも関する。本発明はまた、より低いノルニコチンレベルを示す植物より、より高いノルニコチンレベルを含有する植物で見られるp450酵素にも関する。
第八の関連する側面において、アミノ酸配列において90%以上の同一性を含有する断片を、最初のチトクロムp450ドメイン、UXXRXXZから、第三のチトクロム・ドメイン、GXRXO、ここでUはEまたはKであり、Xはアミノ酸いずれかであり、そしてZはR、T、SまたはMである、までに対応する領域における、互いに対する同一性に応じたグループに入れた。代表的なアミノ酸グループおよびそれぞれの種を表IVに示す。
一般の当業者に通常利用可能な技術を用いて、限定されるわけではないが、内因性p450 RNA転写物、発現されたp450ペプチド、および植物代謝産物濃度の解析を含む、表現型変化に関して、生じた形質転換植物または感染植物を評価する。
定義
別に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する当該技術分野の一般の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら(1994)Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版, John Wiley and Sons(ニューヨーク)は、本発明で用いる用語の多くの一般的辞書とともに、技術の1つを提供する。本明細書に引用する特許および刊行物はすべて本明細書に援用される。本発明の目的のため、次の用語を以下に定義する。
「cDNA」または「相補DNA」は、一般的に、RNA分子に相補的なヌクレオチド配列を持つ一本鎖DNA分子を指す。cDNAは、RNAテンプレートに対する逆転写酵素の作用によって形成される。
本発明にしたがって、変換(converter)および非変換タバコ属系統のタバコ属組織からRNAを抽出した。次いで、抽出したRNAを用いてcDNAを生成した。次いで、2つの戦略を用いて、本発明の核酸配列を生成した。
全長クローンのアミノ酸配列を得て、そして抗原性であり、そして他のクローンに比較してユニークであるペプチド領域を選択することによって、いくつかの全長クローンに対してペプチド特異的抗体を作成した。キャリアータンパク質にコンジュゲート化した合成ペプチドに対して、ウサギ抗体を作成した。これらの抗体を用いて、植物組織に対して、ウェスタンブロッティング解析または他の免疫学的方法を行った。
植物組織の発育およびエチレン処理
植物栽培
植物の種子を植木鉢に蒔き、そして温室で4週間栽培した。4週齢の苗を個々の植木鉢に移植し、そして温室で2ヶ月栽培した。栽培中、植物に1日2回、150ppm NPK肥料を含有する水を与えた。広がった緑の葉を植物から分離して、以下に記載するエチレン処理を行った。
ケンタッキー大学から譲渡されたバレー種タバコ系統であるタバコ系統78379を、植物材料の供給源として用いた。当該技術分野における標準のように、100の植物を栽培し、そして移植して、そして別個の番号(1〜100)でタグ付けした。推奨されるように、受精およびフィールド管理を行った。
バレー種系統であるタバコ属系統4407を植物材料の供給源として用いた。均質でそして代表的な植物(100)を選択し、そしてタグ付けした。100の植物のうち97が非転換系統であり、そして3つが変換系統であった。56番の植物が最小量の変換を有し(1.2%)、そして58番の植物が最高レベルの変換を有した(96%)。これらの2つの植物を用いて、自家受粉種子および交雑種子を作成した。
PBLB01は、ProfiGen, Inc.に開発されたバレー種系統であり、そしてこれを植物材料の供給源として用いた。PBLB01の原種(foundation)種子から、変換系統植物を選択した。
温室で2〜3ヶ月栽培した植物から緑の葉を分離し、そして0.3%のエチレン溶液(調製商標、エテフォン(Rhone−Poulenc))をスプレーした。スプレーした葉を各々、加湿器を備えた養生ラックに吊るし、そしてプラスチックで覆った。処理中、試料の葉に定期的にエチレン溶液をスプレーした。エチレン処理のおよそ24〜48時間後、RNA抽出のため、葉を収集した。代謝構成要素解析のため、別の下位試料を採取して、葉の代謝産物、および多様なアルカロイドなどのより具体的な目的の構成要素の濃度を測定した。
RNA単離
RNA抽出のため、2ヶ月齢の温室栽培植物の中央部の葉を、記載するようにエチレン処理した。0時間および24〜48時間の試料をRNA抽出に用いた。いくつかの場合、花頭除去10日後の植物から、老化過程にある葉の試料を採取した。これらの試料もまた、抽出に用いた。製造者のプロトコルにしたがって、Rneasy Plant Mini Kit(登録商標)(Qiagen, Inc.、カリフォルニア州バレンシア)を用い、総RNAを単離した。
逆転写−PCR
製造者のプロトコル(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)にしたがってSuperScript逆転写酵素を用いて、第一鎖cDNAを産生した。ポリA+濃縮RNA/オリゴdTプライマー混合物は、5μg未満の総RNA、1μlの10mM dNTP混合物、1μlのオリゴd(T)12−18(0.5μg/μl)、および10μlまでのDEPC処理水からなった。各試料を65℃で5分間インキュベーションし、次いで氷上に少なくとも1分間置いた。以下の構成要素の各々を順番に添加することによって、反応混合物を調製した:2μlの10xRT緩衝液、4μlの25mM MgCl2、2μlの0.1M DTT、および1μlのRNase OUT組換えRNase阻害剤。9μlの反応混合物を各RNA/プライマー混合物にピペッティングして添加し、そして穏やかに混合した。これを42℃で2分間インキュベーションし、そして1μlのSuperScript IITM RTを各試験管に添加した。試験管を42℃で50分間インキュベーションした。70℃で15分間処理して反応を終結させ、そして氷上で冷却した。遠心分離によって試料を収集し、そして1μlのRNase Hを各試験管に添加し、そして37℃で20分間インキュベーションした。200pmolの順方向プライマー(図75、配列番号149〜156に示すような縮重プライマー)および100pmolの逆方向プライマー(18ntオリゴd(T)の後に1つのランダム塩基が続く混合物)を用いて、第二のPCRを行った。
PCR断片集団の生成
製造者の指示にしたがって、実施例3由来のPCR断片をpGEM−T(登録商標)Easyベクター(Promega、ウィスコンシン州マディソン)に連結した。連結した産物をJM109コンピテント細胞に形質転換し、そしてブルー/ホワイトセレクションのため、LB培地プレート上に蒔いた。コロニーを選択し、そして1.2mlのLB培地を含む96ウェルプレート中で37℃で一晩増殖させた。すべての選択されるコロニーに関して、凍結ストックを生成した。Wizard SV Miniprep(登録商標)キット(Promega)とともに、BeckmanのBiomeck 2000ミニプレップ・ロボットを用いて、プレートからプラスミドDNAを精製した。100μlの水でプラスミドDNAを溶出し、そして96ウェルプレート中に保存した。EcoR1でプラスミドを消化し、そして1%アガロースゲルを用いて解析して、DNA量および挿入物のサイズを確認した。CEQ 2000配列決定装置(Beckman、カリフォルニア州フラートン)を用いて、400〜600bpの挿入物を含有するプラスミドの配列を決定した。BLAST検索によって、GenBankデータベースと該配列を並列した。p450関連断片を同定し、そしてさらに解析した。あるいは、サブトラクション・ライブラリーからp450断片を単離した。これらの断片もまた、上述のように解析した。
cDNAライブラリーの構築
以下のように、エチレン処理した葉から、総RNAを調製することによって、cDNAライブラリーを構築した。まず、修飾した酸フェノールおよびクロロホルム抽出プロトコルを用いて、タバコ系統58−33のエチレン処理した葉から、総RNAを抽出した。1グラムの組織を用いて、これをすりつぶし、そして続いて5mlの抽出緩衝液(100mM Tris−HCl、pH8.5;200mM NaCl;10mM EDTA;0.5%SDS)中でボルテックスし、これに5mlのフェノール(pH5.5)および5mlのクロロホルムを添加するように、プロトコルを修飾した。抽出した試料を遠心分離し、そして上清を取り置いた。上清が透明に見えるようになるまで、この抽出工程をさらに2〜3回反復した。およそ5mlのクロロホルムを添加して、微量のフェノールを取り除いた。3倍体積のEtOHおよび1/10体積の3M NaOAc(pH5.2)を添加し、そして−20℃に1時間保存することによって、合わせた上清分画からRNAを沈殿させた。Corexガラス容器に移した後、RNA分画を、4℃、9,000RPMで45分間遠心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、そして4℃、9,000RPMで5分間回転させた。ペレットを乾燥させた後、ペレットにしたRNAを0.5ml RNase不含水に溶解した。ペレットにしたRNAを0.5ml RNase不含水に溶解した。変性ホルムアルデヒドゲルおよび分光光度計によって、それぞれ、総RNAの品質および量を解析した。
クローニングした断片の性質決定−逆サザンブロッティング解析
上記実施例で同定したp450クローンすべてに対して、非放射性大規模逆サザンブロッティングアッセイを行って、示差発現を検出した。異なるp450クラスターの間で発現レベルが非常に異なることが観察された。高発現のものに対して、さらなるリアルタイム検出を行った。
1)実施例2に記載するように、Qiagen Rnaeasyキットを用いて、エチレン処理および非処理変換系統(58−33)および非変換系統(58−25)の葉から総RNAを抽出した。
クローンの性質決定−ノーザンブロット解析
サザンブロット解析の代わりに、ノーザンブロッティングアッセイの例に記載されるように、いくつかの膜をハイブリダイズさせ、そして検出した。以下のように、ノーザンハイブリダイゼーションを用いて、タバコ属において、示差発現されるmRNAを検出した。
クローニングした遺伝子にコードされるp450の免疫検出
3つのp450クローンから、1)他のクローンに対してより低い相同性を有するかまたはまったく相同性を持たず、そして2)優れた親水性および抗原性を有する、長さ20〜22アミノ酸に対応するペプチド領域を選択した。それぞれのp450クローンから選択したペプチド領域のアミノ酸配列を以下に列挙する。合成したペプチドをKHLとコンジュゲート化し、そして次いでウサギに注射した。第4回の注射の2週間後および4週間後に抗血清を収集した(Alpha Diagnostic Intl. Inc.、テキサス州サンアントニオ)。
D90a−BB3 RDAFREKETFDENDVEELNY
D89−AB1 FKNNGDEDRHFSQKLGDLADKY
ウェスタンブロット解析によって、タバコ植物組織由来のタンパク質を標的とする交差反応性に関して、抗血清を調べた。エチレン処理した(0〜40時間)、変換系統および非変換系統の中央部の葉から、未精製タンパク質抽出物を得た。製造者のプロトコルにしたがって、RC DCタンパク質アッセイキット(BIO−RAD)を用いて、抽出物のタンパク質濃度を測定した。
単離核酸断片の核酸同一性および構造関連性
ノーザンブロット解析と組み合わせて、クローニングした100を超えるp450断片を配列決定して、構造的関連性を決定した。用いたアプローチは、p450遺伝子のカルボキシル末端近くに位置する2つの一般的なp450モチーフのいずれかに基づく順方向プライマーを利用した。順方向プライマーは、図1に示すような、チトクロムp450モチーフFXPERFまたはGRRXCP(A/G)に相当した。逆方向プライマーは、プラスミド、pGEMTMプラスミドの両方のアーム上に位置するSP6またはT7、あるいはポリAテールのいずれか由来の、標準的プライマーを用いた。用いたプロトコルを以下に記載する。
単離核酸断片の関連アミノ酸配列同一性
実施例8由来のチトクロムp450断片に関して得た核酸配列のアミノ酸配列を推定した。推定した領域は、GXRXCP(A/G)配列モチーフの直後のアミノ酸からカルボキシル末端の終わり、または停止コドンまでに相当した。断片の配列同一性の比較に際して、70%以上のアミノ酸同一性を持つ配列に関して、ユニークなグループ分けが観察された。80%以上のアミノ酸同一性を持つ配列に関して、好ましいグループ分けが観察され、より好ましいグループ分けは90%以上のアミノ酸同一性のものであり、そして最も好ましいグループ分けは99%以上のアミノ酸同一性の配列であった。グループおよびグループメンバーの対応するアミノ酸配列を図2に示す。ユニークな核酸配列のいくつかは、他の断片と完全なアミノ酸同一性を有することが見出され、そしてしたがって、同一アミノ酸を持つ1つのメンバーのみが報告された。
全長クローンの関連アミノ酸配列同一性
実施例5でクローニングした全長タバコ属遺伝子の核酸配列を、全アミノ酸配列に関して推定した。チトクロムp450遺伝子は、3つの保存されるp450ドメインモチーフの存在によって同定され、該モチーフは、カルボキシル末端のUXXRXXZ、PXRFXFまたはGXRXC、ここでUはEまたはKであり、Xはアミノ酸いずれかであり、そしてZはP、T、SまたはMである、に対応した。クローンのうち2つ、D130−AA1およびD101−BA2は、ほぼ完全であるようだったが、適切な停止コドンを欠き、しかしどちらも3つのp450チトクロムドメインすべてを含有した。BLASTプログラムを用いて、全長配列を互いに、そして既知のタバコ遺伝子に比較して、p450遺伝子すべてをアミノ酸同一性に関して性質決定した。該プログラムは、NCBI特別BLASTツール(2配列並列(b12seq)、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html)を用いた。核酸配列に関してはフィルターをかけずにBLASTNで、そしてアミノ酸配列に関してはBLASTPで、2つの配列を並列させた。アミノ酸同一性パーセントに基づいて、各配列を同一性グループにグループ分けし、グループ分けは、別のメンバーと少なくとも85%の同一性を共有するメンバーを含有した。90%以上のアミノ酸同一性を持つ配列に関して、好ましいグループ分けが観察され、より好ましいグループ分けは95%以上のアミノ酸同一性のものであり、そして最も好ましいグループ分けは99%以上のアミノ酸同一性の配列を有した。これらの基準を用いて、25のユニークなグループが同定され、そしてこれらを表IIIに示す。
1以上のタバコ・チトクロムp450特異的ドメインを欠く、タバコ属チトクロムp450クローン
4つのクローンは、表IIIに報告する他のタバコ・チトクロム遺伝子に、90%〜99%の核酸相同性の範囲の、高い核酸相同性を有した。4つのクローンには、D136−AD5、D138−AD12、D243−AB3およびD250−AC11が含まれた。しかし、ヌクレオチド・フレームシフトのため、これらの遺伝子は、3つのC末端チトクロムp450ドメインの1以上を含有せず、そして表IIIまたは表IVに示す同一性グループからは除外された。
タバコ特性の制御改変におけるタバコ属チトクロムp450断片およびクローンの使用
タバコp450核酸断片または全遺伝子の使用は、改変されたタバコ表現型またはタバコ構成要素、そしてより重要なことに、改変された代謝産物を有する植物を同定し、そして選択する際に有用である。下方制御のため、例えばアンチセンス方向で、または過剰発現のため、例えばセンス方向で、本明細書に報告するものから選択される核酸断片または全長遺伝子を取り込む、多様な形質転換系によって、トランスジェニック・タバコ植物を生成する。全長遺伝子を過剰発現するため、特定の酵素の発現を増加させるのに有効であり、そしてしたがってタバコ属内で表現型効果を生じる、本発明に記載する全長遺伝子のすべてまたは機能する部分またはアミノ酸配列をコードする核酸配列いずれかが望ましい。一連の戻し交雑を通じて、ホモ接合体系統であるタバコ属系統を得て、そして一般の当業者に一般的に利用可能な技術を用いて、限定されるわけではないが、内因性p450 RNA、転写物、p450発現ペプチドおよび植物代謝産物の濃度の解析を含む、表現型変化に関して評価する。タバコ植物で示される変化は、目的の選択される遺伝子の機能的役割に関する情報を提供するか、または好ましいタバコ属植物種として有用性を有する。
エチレン処理した変換系統で誘導される遺伝子の同定
遺伝子発現の定量的で高度に並行の測定のために、高密度オリゴヌクレオチドアレイ技術であるAffymetrix GeneChip(登録商標)(Affymetrix Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)アレイを用いた。この技術を用いる際、固体表面上でオリゴヌクレオチドを直接合成することによって、核酸アレイを組み立てた。この固相化学反応は、GeneChip(登録商標)と称されるチップ上に、非常に高密度に充填された数十万のオリゴヌクレオチドプローブを含有するアレイを産生可能である。単一のハイブリダイゼーションから、数千の遺伝子を同時にスクリーニングすることも可能である。各遺伝子は、典型的には、サイズに応じて、11〜25対のプローブの組によって表される。感度、特異性、および再現性を最大にするようにプローブを設計して、特異的シグナルおよびバックグラウンドシグナル間、並びに緊密に関連する標的配列間の一貫した区別を可能にする。
GeneChip CustomExpress Advantageアレイは、Affymetrix Inc.(カリフォルニア州サンタクララ)によってオーダーメードされた。チップサイズは18ミクロンであり、そしてアレイ形式は100〜2187であって、528のプローブセット(11,628プローブ)に適応可能である。GenBank由来核酸配列を除いて、我々が先に同定したタバコクローンからすべての配列を選択し、そしてプローブはすべてあつらえて設計した。総数400のタバコ遺伝子または断片がGeneChip上に含まれるように選択した。選択したオリゴヌクレオチドの配列は、遺伝子の3’端のユニークな領域に基づいた。選択した核酸配列は、(特許出願)に記載される、タバコからクローニングされた、56の全長p450遺伝子および71のp450断片からなった。他のタバコ配列には、Clontech SSHキット(BD Biosciences、カリフォルニア州パロアルト)を用いた抑制サブトラクション・ライブラリーから生成した、270のタバコESTが含まれた。これらの遺伝子の中で、GenBankに列挙されるチトクロムP450遺伝子から、いくつかのオリゴヌクレオチド配列を選択した。各全長遺伝子に関して、最大25のプローブを用い、そして各断片に関して11のプローブを用いた。いくつかのクローンに関しては、ユニークな高品質のプローブがないため、減少した数のプローブを用いた。適切な対照配列もまた、GeneChip(登録商標)上に含んだ。
Genome Explorations, Inc.(テネシー州メンフィス)によって、ハイブリダイゼーション実験を行った。ハイブリダイゼーションで用いるRNA試料は、エチレン処理によって誘導される、6対の非変換/変換同系系統からなった。試料には、1対の4407−25/4407−33非処理バレー種タバコ試料、3対のエチレン処理4407−25/4407−33試料、1対のエチレン処理した黒(dark)タバコNL Madole/181および1対のエチレン処理バレー品種PBLB01/178が含まれた。エチレン処理は、実施例1に記載するとおりであった。
標識cRNA物質の調製を以下のように行った。製造者の指示にしたがって、SuperScript二本鎖cDNA合成キット(Gibco Life Technologies)およびオリゴ−dT24−T7(5’− GGC CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AGG CGG−3’)プライマーを用いて、5〜15μgの総RNAから、第一鎖および第二鎖cDNAを合成した。
Genome Explorationsの検出装置を用いて生成した発現レポートに立証されるように、12組のハイブリダイゼーションに成功した。レポートの主なパラメーターには、ノイズ、スケール係数、バックグラウンド、総プローブセット、存在および非存在プローブセットの数およびパーセンテージ、ハウスキーピング対照のシグナル強度が含まれた。続いて、他のMicrosoftソフトウェアと組み合わせてソフトフェアGCOSを用いて、データを解析し、そして提示した。処理対間のシグナル比較を解析した。複製を含む、異なる処理各々の遺伝子および断片に対応するそれぞれのプローブすべてに関する全体のデータをコンパイルし、そしてコンパイルした発現データ、例えば変化のコールおよびシグナルlog2比の変化を解析した。
タバコ変換系統におけるミクロソーム・ニコチン脱メチル化酵素のエチレン誘導
変換および非変換タバコ系統のエチレン処理および非処理対のミクロソーム濃縮分画において、脱メチル化酵素活性の生化学的解析を、以下のように行った。
ミクロソームを4℃で単離した。50mM N−(2−ヒドロオキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、pH7.5、3mM DL−ジチオスレイトール(DTT)およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を1錠剤/50mlからなる緩衝液中で、タバコ葉を抽出した。四層のチーズクロスを通じて未精製抽出物をろ過して、破壊されていない組織を取り除き、そしてろ液を20,000xgで20分間遠心分離して、細胞破片を取り除いた。上清を100,000xgで60分間、超遠心に供して、そして生じたペレットはミクロソーム分画を含有した。抽出緩衝液にミクロソーム分画を懸濁し、そして超遠心工程に適用し、ここで抽出緩衝液中の0.5Mスクロースの不連続スクロース勾配を用いた。凍結保護剤として10%(w/v)グリセロールを補った抽出緩衝液に、精製ミクロソームを再懸濁した。ミクロソーム調製物を使用するまで液体窒素フリーザー中に保存した。
アセトン中の10%トリクロロ酢酸(TCA)(w/v)を用いて、ミクロソームタンパク質を沈殿させ、そして製造者のプロトコルにしたがってRC DCタンパク質アッセイキット(BIO−RAD)を用いて、ミクロソームのタンパク質濃度を測定した。
Moravek BiochemicalsからDL−ニコチン(ピロリジン−2−14C)を得て、そしてこれは54mCi/mmolの比活性を有した。どちらもp450阻害剤であるクロルプロマジン(CPZ)および酸化チトクロムc(cyt.C)を、Sigmaから購入した。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートの還元型(NADPH)は、NADPH:チトクロムP450還元酵素を介したチトクロムP450の典型的な電子供与体である。対照インキュベーションに関してはNADPHを省いた。日常的な酵素アッセイは、ミクロソームタンパク質(およそ2mg/ml)、6mM NADPH、55μM 14C標識ニコチンからなった。CPZおよびCyt.Cの濃度は、これらを用いる場合には、それぞれ1mMおよび100μMであった。25℃で1時間反応を行い、そして各25μl反応混合物に300μlメタノールを添加して反応を停止した。回転後、メタノール抽出物の20μlをVarianのInertsil ODS−3 3μ(150x4.6mm)カラムを用いて、逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)系(Agilent)で分離した。アイソクラチック可動相は、60:40(v/v)の比のメタノールおよび50mMリン酸カリウム緩衝液、pH6.25の混合物であり、そして流速は1ml/分であった。真性の非標識ノルニコチンとの比較によって決定されるようなノルニコチンピークを収集し、そして定量化のため、2900 tri−carb液体シンチレーションカウンター(LSC)(Perkin Elmer)に供した。1時間インキュベーションに渡る、14C標識ノルニコチンの産生に基づいて、ニコチン脱メチル化酵素の活性を計算する。
ニコチン脱メチル化酵素としてのD121−AA8の機能的同定
酵母細胞において、異種発現されるP450の酵素活性をアッセイすることによって、ニコチン脱メチル化酵素のコード遺伝子としての候補クローン(D121−AA8)の機能を確認した。
P450コードcDNA(121AA8)の推定上のタンパク質コード配列を、酵母発現ベクターpYeDP60にクローニングした。適切なBamHIおよびMfeI部位(下線)を含有するPCRプライマーを介して、これらの配列を、翻訳開始コドン(ATG)の上流または停止コドン(TAA)の下流に導入した。増幅されたPCR産物上のMfeIは、ベクター上のEcoRI部位と適合する。121AA8 cDNAを増幅するのに用いたプライマーは、
シロイヌナズナ属(Arabidopsis)NADPH−チトクロムP450還元酵素ATR1を発現するように修飾したWAT11酵母株を、構築物pYeDP60−P450 cDNAプラスミドで形質転換した。0.2cm電極ギャップのキュベット中で、50マイクロリットルのWAT11酵母細胞懸濁物を〜1μgのプラスミドDNAと混合した。Eppendorfエレクトロポレーション装置(モデル2510)によって、2.0kVでパルスを1回適用した。SGIプレート(5g/lバクトカザミノ酸、6.7g/lのアミノ酸不含酵母窒素基剤、20g/lグルコース、40mg/l DL−トリプトファン、20g/l寒天)上に細胞を広げた。ランダムに選択したコロニーに対して、PCR解析を直接行うことによって、形質転換体を確認した。
単一酵母コロニーを用いて、30ml SGI培地(5g/lバクトカザミノ酸、6.7g/lのアミノ酸不含酵母窒素基剤、20g/lグルコース、40mg/l DL−トリプトファン)に接種し、そして30℃で約24時間増殖させた。この培養物のアリコットを、1000mlのYPGE培地(10g/l酵母エキス、20g/lバクトペプトン、5g/lグルコース、30ml/lエタノール)に1:50で希釈し、そしてDiastix検尿試薬紙(Bayer、インディアナ州エルクハート)の色変化によって示されるように、グルコースが完全に消費されるまで増殖させた。最終濃度2%までDL−ガラクトースを添加することによって、クローニングしたP450の誘導を開始した。in vivo活性アッセイまたはミクロソーム調製に用いる前に、培養物をさらに20時間増殖させた。
酵母培養物にDL−ニコチン(ピロリジン−2−14C)を供給することによって、形質転換酵母細胞におけるニコチン脱メチル化酵素活性をアッセイした。75μlのガラクトース誘導培養物に、14C標識ニコチン(54mCi/mmol)を最終濃度55μMまで添加した。14mlポリプロピレン試験管中、アッセイ培養物を振盪しながら6時間インキュベーションし、そして900μlメタノールで抽出した。回転後、20μlのメタノール抽出物をrp−HPLCで分離して、そしてLSCによってノルニコチン分画を定量化した。
ガラクトースで20時間誘導した後、遠心分離によって酵母細胞を収集し、そしてTES−M緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.6Mソルビトール、10mM 2−メルカプトエタノール)で2回洗浄した。ペレットを抽出懸濁液(50mM Tris−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.6Mソルビトール、2mM 2−メルカプトエタノール、1%ウシ血清アルブミン、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)1錠剤/50ml)に再懸濁した。次いで、細胞をガラスビーズ(直径0.5mm、Sigma)で破壊した。細胞抽出物を20,000xgで20分間遠心分離して、細胞破片を取り除いた。上清を100,000xg、60分間の超遠心に供して、そして生じたペレットはミクロソーム分画を含有した。ミクロソーム分画をTEG−M緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5、1mM EDTA、20%グリセロールおよび1.5mM 2−メルカプトエタノール)に、タンパク質濃度1mg/mlで懸濁した。ミクロソーム調製物を使用するまで液体窒素フリーザー中に保存した。
酵母ミクロソーム調製物を用いて、タンパク質濃度が1mg/mlで一定であったことを除いて、タバコ葉からのミクロソーム調製物と同じ方式で(実施例15)、ニコチン脱メチル化酵素活性アッセイを行った。
Claims (13)
- トランスジェニックタバコ植物を産生する方法であって:
(i)配列番号181に少なくとも91%の配列同一性を有するタバコ属(Nicotiana)由来の核酸を、植物細胞において機能するプロモーターと、機能可能であるように連結して、ベクターを生成し;
(ii)複数のタバコ植物細胞を、工程(i)の前記ベクターで形質転換し;
(iii)前記形質転換植物細胞から複数の形質転換タバコ植物を再生し;そして
(iv)減少したレベルのノルニコチンを有し、前記核酸を発現する少なくとも一つの形質転換タバコ植物を同定する;
工程を含む、前記方法。 - 前記核酸がアンチセンス方向である、請求項1の方法。
- 前記核酸がセンス方向である、請求項1の方法。
- タバコ植物におけるノルニコチンを減少させる方法であって:
(i)配列番号181に少なくとも91%の配列同一性を有するタバコ属(Nicotiana)由来の核酸を、植物細胞において機能するプロモーターと、機能可能であるように連結して、ベクターを生成し;
(ii)複数のタバコ植物細胞を、工程(i)の前記ベクターで形質転換し;
(iii)前記形質転換植物細胞から複数の形質転換タバコ植物を再生し;そして
(iv)ノルニコチンレベルが減少している、少なくとも一つの形質転換タバコ植物を選択する;
工程を含む、前記方法。 - 前記核酸がアンチセンス方向である、請求項4の方法。
- 前記核酸がセンス方向である、請求項4の方法。
- 配列番号181に少なくとも91%の配列同一性を有するタバコ属(Nicotiana)由来の核酸で形質転換され、野生型のタバコ植物と比較して減少したレベルのノルニコチンを有する、トランスジェニックタバコ植物由来のタバコを含む、減少した量のノルニコチンレベルを含む、タバコ製品。
- 巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ、嗅ぎタバコ、噛みタバコからなる群より選択される、請求項7のタバコ製品。
- ノルニコチンレベルが、約5〜約10%減少している、請求項7のタバコ製品。
- ノルニコチンレベルが、約10〜約20%減少している、請求項7のタバコ製品。
- ノルニコチンレベルが、約20〜約30%減少している、請求項7のタバコ製品。
- ノルニコチンレベルが、約30%を超えて減少している、請求項7のタバコ製品。
- 巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ、嗅ぎタバコ、噛みタバコからなる群より選択されるタバコ製品を形成するための、タバコ葉の使用であって、
該タバコ葉が、野生型のタバコ植物由来の葉と比較して減少した量のノルニコチンレベルを有し、配列番号181に少なくとも91%の配列同一性を有するタバコ属(Nicotiana)由来の核酸で形質転換され、野生型のタバコ植物と比較して減少したレベルのノルニコチンを有する、トランスジェニックタバコ植物に由来する、
前記使用。
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