JP4519031B2 - 超伝導高周波デバイスとその作製方法、およびフィルタ調整方法 - Google Patents

超伝導高周波デバイスとその作製方法、およびフィルタ調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、超伝導高周波デバイスに関し、特に、移動通信や放送の分野において、送信フィルタやアンテナ等の送信フロントエンドに適用されるデュアルモード型超伝導高周波デバイスに関する。
近年、携帯電話の普及、発展に伴い、高速・大容量の伝送技術が不可欠になってきている。超伝導体は、高周波領域においても、通常の電気的良導体に比べて表面抵抗が非常に小さいので、低損失、高Q値の共振器が期待でき、移動通信の基地局用のフィルタとして有望視されている。
たとえば、図1(c)に示すように、アンテナ151を介して受信されたRF信号は、受信系フロントエンドを構成する帯域フィルタ(BPF)152R、低ノイズアンプ(LNA)153、ダウンコンバータ(D/C)154、復調器(DEMOD)155を経て、ベースバンド部156でベースバンド処理される。
送信系では、ベースバンド部156で処理された信号は、変調器(MOD)157、アップコンバータ(U/C)158、ハイパワーアンプ(HPA)159、帯域フィルタ(BPF)152Tを経て、RF信号としてアンテナ151から放射される。
超伝導フィルタを、受信側の帯域フィルタ152Rに適用する場合、伝送ロスが少なく、急峻な周波数遮断特性が期待される。一方、送信側の帯域フィルタ152Tに適用する場合は、ハイパワーアンプ159によって発生する歪を取り除く効果が期待できるが、高周波信号を送信するために大電力を要し、小型化と良好な電力特性の両立が、目下の課題となっている。
従来、共振器のパターンとして、図1(a)に示すヘアピン型の超伝導パターン102や、図1(b)に示すストレートライン型の超伝導パターン102が用いられていた(たとえば、特許文献1および2参照)。誘電体基板101の裏面には、超伝導グランド膜104がベタ形成され、誘電体基板101の表面側に、ヘアピンあるいは直線状の超伝導パターン102と、フィーダが形成される。
このようなマイクロストリップライン構造の場合、特に送信側で高いRFパワーが入力されると、損失が増大してしまうという問題がある。これは、マイクロ波などの高周波は導体のエッジ部分に集中しやすく、マイクロストリップラインのエッジまたはコーナー部分に電流が集中して、その電流密度が超伝導体の臨界電流密度を超えてしまうからだといわれている。
そこで、図2(a)に示すように、電流集中を緩和したディスク型パターンが提案されている。すなわち、誘電体基板101の表面に、コーナー部分やエッジ部分の少ないディスク型の超伝導パターン112を形成して、送信フィルタとしての大電力応答を実現しようとするものである。
たとえば、図2(b)に示すようなTM11モードの共振器として構成される場合、電流は、ディスクの直径に対して対称な弧を描いて、均一に流れる。磁界は、電流と直交する方向に向く。
しかし、このようなディスク型共振器を多数並べた多段フィルタやアレイアンテナは、大型化してしまうという欠点がある。
そこで、図3に示すように、ディスク型超伝導パターン122の円周の一部にノッチ125を設けることにより、お互いに直交した電磁界モードの縮退を解いて共振周波数を分離させ、デュアルモードフィルタとして機能させるパターンが用いられている。中心周波数f0を挟んで、低周波数f1側(電流の流れはA方向)と、高周波数f2側(電流の流れはB方向)に、二つの共振を発生させている。
なお、マイクロストリップ型の高周波伝送線路で、誘電体基板上に形成される電極の縁端部に沿って、ライン状の溝を形成して端部への電流の集中を分散させることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平11−177310号公報
ディスク型超伝導バターン122にノッチ125を設けたため、図3に示すように、低周波数f1側の電流が、ノッチのコーナー部分により集中し、ノッチを設けない基本のディスク型共振器の最大電流密度を越えてしまう。図3の電流密度分布図では、電流密度の高い領域は矢印で示す部分であり、特にコの字型のノッチの底部とコーナー部分が高くなっている。円形の超伝導パターンの円周に沿った影の部分は、逆に電流集中が低い部分である。なお、周波数f1とf2は、最大電流密度時は位相が45°ずれている。
このように、ノッチのコーナー部分やエッジに電流が集中する結果、超伝導共振器を用いた帯域フィルタやアンテナにおいて、耐電力(許容電力)の低下や歪の増大が発生してしまう。
そこで、本発明は、耐電力特性を向上し、歪を低減した超伝導デバイスを提供することを課題とする。このような超伝導デバイスは、送信用フィルタやアンテナに好適に用いられる。
また、いったん超伝導材料で形成した2次元回路型(たとえばディスク状)の共振器フィルタの特性を簡単に微調整する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、円形、楕円形、多角形など、2次元回路型の超伝導共振器パターンにおいて、ノッチからさらに内側に延びるライン・アンド・スペースを有する梯子(ラダー)パターンを形成する。ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインの方向は、低周波数f1側で電流の流れる方向(A方向)に合わせる。ノッチの切り込み量によって、フィルタの大まかなフィルタ特性を設定し、ライン・アンド・スペースのライン幅、数、終了位置等によって、中心周波数や互いの電磁界モードが干渉する度合い(カップリング)や、帯域幅を微調整するとともに、電流の集中を抑制する。
本発明の第1の側面では、超伝導高周波デバイスは、誘電体基板と、前記誘電体基板上に超伝導材料で形成された2次元回路型の共振器パターンとを備え、
前記共振器パターンは、当該共振器パターンの周縁部に形成される切り込みと、当該切り込みにつながるライン・アンド・スペースとから成るラダーパターンを有する。
ライン・アンド・スペースのスペース幅は、寄生共振を避けるため、実効波長の1/4(λ/4)未満であるのが望ましい。
本発明の第2の側面では、超伝導高周波デバイスの作製方法を提供する。この方法は、
誘電体基板上に、所定のラダーパターンを有する2次元回路形状の共振器パターンを超伝導材料で形成するステップと、
前記共振器パターンが形成された誘電体基板を、金属パッケージに実装するステップと
を含み、前記所定のラダーパターンは、前記2次元回路形状の周縁に形成される切り込みと、前記切り込みにつながるライン・アンド・スペースとで構成される。
ラダーパターンは、マスクを用いて共振器パターンと同時に形成してもよいし、共振器パターンの形成の後に、イオンミリング、レーザトリミング等により形成してもよい。
本発明の第3の側面では、超伝導高周波デバイスのフィルタ特性を調整するフィルタ調整方法を提供する。この方法は、超伝導材料で形成され、周縁部に切り込みが形成された2次元回路形状の共振器パターンを有するデュアルモード超伝導高周波デバイスにおいて、前記共振器パターンの切り込みから前記共振器パターンの半径方向に延びるライン・アンド・スペースをレーザトリミングで形成することによって、前記超伝導高周波デバイスのフィルタ特性の微調整を行うことを特徴とする。
2次元回路型の超伝導共振器パターンを有する超伝導デバイスにおいて、局所的な電流の集中を低減するとともに、ラダーパターンにより、フィルタ特性の微調整を容易に行なうことができる。
エッジ部分への電流の集中を防止し、特に、ハイパワーの送信側で、電力特性を良好に維持できる。
1つの超伝導デバイスで2つの共振モードを発生させ、多段フィルタなどに適用する場合に、装置の小型化をはかることができる。
図4および図5を参照して、本発明の良好な実施形態を説明する。
図4(a)は、本発明の一実施形態に係る超伝導デバイスの概略図、図4(b)は、図4(a)の超伝導デバイスを、移動通信システムの基地局の送信用超伝導フィルタに適用するために、金属パッケージに実装した様子を示す概略図である。
超伝導デバイスは、MgO単結晶基板などの誘電体基板11と、MgO誘電体基板11の表面に超伝導材料で所定の形状に形成された超伝導共振器パターン12と、超伝導フィルタパターン12の近傍に延びる信号入出力線(フィーダ)13と、MgO誘電体基板11の裏面に形成されたグランド用電極(グランド膜)14と、を備える。図4の例では、超伝導材料としてYBCO(Y−Ba−Cu−O系)材料を用いている。
超伝導共振器パターン12は、ディスク円周から所定の切り込み量で形成されるノッチ17aと、ノッチ17aにつながる複数のライン・アンド・スペース17bとで構成されるラダーパターン17を有する。
なお、本明細書および特許請求の範囲において「2次元回路パターン」あるいは「2次元回路型パターン」という場合は、ライン(1次元)状あるいはストリップ状のパターンとは区別され、円形、楕円形、多角形など基本的な共振器の形状を定義する平面図形型のパターンを意味するものとする。
誘電体基板11は、MgO単結晶基板以外に、3〜5GHzの周波数で8〜10の誘電率を有する任意の誘電体基板を用いることができる。
信号入出力用の電極15から超伝導共振器パターン12へ向かって延びるフィーダ13の一方は、信号入力として用いられ、他方は、信号出力として用いられる。
図4(b)において、2次元回路型の超伝導デバイスを、表面に金メッキを施した金属パッケージ30に実装し、図示しない天板を取り付ける。金属パッケージ30には、入出力コネクタ31が固定されており、フィーダ13の端部につながる電極15と、入出力コネクタ31の中心導体が電気的に接合される。電気的な接合は、ワイヤ方式、テープ方式、ハンダ方式など、任意の方法を採用することができる。MgO誘電体基板11の裏面のベタ膜によるグランド電極14は、金属パッケージ30との電気的接続を向上させる。
図5は、図4の超伝導共振器パターン12の模式図である。ディスク状の共振器パターン12の円周から中心に向かって延びるラダーパターン17のライン・アンド・スペース17bにおいて、各ラインは、低周波数側の電流が流れる方向に沿って形成される。
主として、ラダーパターン17のノッチ17aにより、2つの共振周波数をカップリングさせている。また、ライン・アンド・スペース17bにより、電流の集中を低減するとともに、フィルタ特性を微調整することができる。すなわち、ライン・アンド・スペース17bのライン幅、終了位置等によって、中心周波数や互いの電磁界モードが干渉する度合い(カップリング)、すなわち帯域幅を微調整することができる。
図5の例では、ノッチ17aおよびライン・アンド・スペース17bは、すべて直線で描いているが、ノッチ17aのコーナー部分およびライン・アンド・スペース17bのスペースのコーナー部分を、所定の曲率で円弧状に形成するのが望ましい。この場合、円弧部分の曲率半径Rは、実効波長の1/4(λ/4)以下であることが望ましい。曲率半径Rが大きいほど電流集中は緩和できるが、モードのカップリングも変化し、帯域幅が増大するからである。
このような超伝導デバイスを作製するには、たとえば20×20×0.5mmのMgO単結晶基板11の両面に、レーザ蒸着法を用いてYBCO(Y−Ba−Cu−O系)薄膜を形成する。YBCO薄膜の膜厚は、フィルタ特性に応じて適宜選択され、たとえば0.5μmである。片面側のYBCO薄膜を、フォトリソグラフィーの手法によりパターニングして、ラダーパターン17を有するディスク型の共振器パターン12と、フィーダ13を形成する。ラダーパターンは、マスクを用いて、ディスクパターン(共振器パターン)12と同時に形成してもよいし、ディスクパターン12の形成後に、たとえばアルゴン(Ar)イオンによりミリングによって形成してもよい。ディスク型共振器パターン12の直径は12.8mm程度、ラダーパターン17のライン幅は100μm程度である。
その後、フィーダ13の端部に金属電極15を形成する。MgO単結晶基板11の他方の面のYBCO膜はベタ膜として残し、グランド電極14とする。
図4(b)に示すように金属パッケージ30に実装して、共振器を完成させる。図5に例示される超伝導デバイスは、たとえば第4世代の移動通信への適用が考えられ、4GHz帯で、互いに直交する方向に2つの共振を有する。
なお、ラダーパターン17の共振器パターン12を有する超伝導フィルタデバイスを完成した後に、ラダーパターン17のライン幅や、コーナー部の形状をレーザトリミングで調整する、あるいは、レーザトリミングでライン・アンド・スペースを追加形成することによって、中心周波数やカップリング特性を容易に微調整することができる。
図6〜図15は、ディスク型の共振器パターン12に、異なる形状のラダーパターン17を形成して、電流の集中とフィルタ特性を観察した結果を示す。
図6は、ディスク型の共振器パターン12に形成されるラダーパターン17の第1の例(例1)である。この例では、直径が12.8mmのディスクパターン12に、円周からの切り込み量(ノッチ17aのサイズ)が0.192mm、それに引き続くライン・アンド・スペース17の半径方向の長さが1.6mmであり、ライン幅200μmの4本のラインを形成している。また、ライン間のスペース幅は、200μmであり、実効波長の1/4(λ/4)未満に設定されている。ラダーパターン17の接線方向の横幅は、約1mmである。
図7は、図6のラダーパターン17を有する共振器フィルタのフィルタ特性を示すグラフ、図8は、図6のラダーパターン17を有する共振器フィルタの電流集中を示す図である。図8において、ハッチングで示す部分は電流が集中する部分、具体的には、最大電流密度Jmaxが30A/m以上になる部分である。
図6のパターンでは、電流集中の低減効果が非常に良好であるが、ノッチ17aの切り込み量(円周からの距離)が少なく、通常のディスク型の共振器パターンとほとんど変わりがなくなっているため、図7のグラフに示すように、2つの共振を発生させることができない。
図7のグラフは、超伝導共振器フィルタの周波数特性として、入力反射特性(S11)と、伝送特性(S21)を示すものである。細い点線は、ラダーパターン17を設けずに、ラダーパターン17と同じサイズのノッチのみを形成したフィルタパターンの入力反射特性、太い点線が、図6と同様のラダーパターン17を形成したフィルタパターンの入力反射特性である。ノッチのみの場合は、2つの共振特性が明確に出ているが、円周近傍からライン・アンド・スペース17bが始まるラダーパターン17では、共振を発生させることができない。
また、細い実線は、通常のノッチのみを形成したフィルタパターンの伝送特性、一点差線は、図6のラダーパターン17を形成したフィルタパターンの伝送特性である。ラダーパターン17において円周からの切り込み量(ノッチ17aのサイズ)が不十分な場合、伝送ロスが大きく、特定の周波数帯の信号をフィルタリングすることができない。
図7および図8から分かるように、ラダーパターン17の円周からの切り込み量(ノッチ17a)が小さいと、電流集中は効果的に低減できるが、デュアルモードの共振器フィルタとしては、機能しないことがわかる。
図9は、ディスク型の共振器パターン12に形成されるラダーパターン17の第2の例(例2)を示す。例2では、直径が12.8mmのディスクパターン12に、円周からの切り込み量(ノッチ17aのサイズ)が1.789mm、それに引き続くライン・アンド・スペース17の長さが0.8mmであり、ライン幅100μmの4本のラインを形成している。また、ライン間のスペース幅は、100μmであり、実効波長の1/4(λ/4)未満に設定されている。ラダーパターン17の横幅は1mmである。
図10は、図9のラダーパターン17を有する共振器フィルタのフィルタ特性を示すグラフ、図11は、図9のラダーパターン17を有する共振器フィルタの電流集中を示す図である。
図10に示すように、図9のラダーパターン17は、2つの共振モードを良好に出すことができる。またフィルタとしての許容し得る伝送特性を有する。これは、ラダーパターン17が適切なサイズのノッチ17aを有するからである。
また、ラダーパターン17と同じサイズでノッチのみを形成したフィルタデバイスと比較して、中心周波数がわずかにずれていることがわかる。すなわち、ラダーパターンを設けることにより、通過帯域幅や共振周波数を微調整することができる。
図11に示すように、図9のパターンでは、ライン・アンド・スペース17bの1番目のライン(最も円周に近いライン)に電流が集中する傾向があるが、フィルタパターン全体としてみると、電流集中の低減効果は達成されている。最初のラインへの電流の集中は、ノッチ17aのコーナー部分を実効波長の1/4(λ/4)未満の曲率半径でラウンド状にする、あるいは、ライン部分の両端の線幅を広く形成することにより、ある程度、回避することができる。このようにライン・アンド・スペース17bの形状を調整した変形例を図12(a)および図12(b)に示す。
図12(a)は、ノッチ17aのコーナー部分と、ライン・アンド・スペース17bのスペース部分のコーナーを、実効波長の1/4(λ/4)未満の曲率半径で円弧状にした例、図12(b)は、ノッチ17aのコーナー部分と、ライン・アンド・スペース17bのスペース部分のコーナーを、多角形状に面取りした例である。いずれの例でも、ラインの両端部が広く形成され、ライン部分への電流の集中を回避することができる。
図13は、ディスク型の共振器パターン12に形成されるラダーパターン17の第3の例(例3)を示す。例3では、直径が12.8mmのディスクパターン12に、円周からの切り込み量(ノッチ17aのサイズ)が1mm、それに引き続くライン・アンド・スペース17の長さが3.2mmであり、ライン幅100μmの16本のラインを形成している。また、ライン間のスペース幅は、100μmであり、実効波長の1/4(λ/4)未満に設定されている。ラダーパターン17の横幅は1mmである。
図14は、図13のラダーパターン17を有する共振器フィルタのフィルタ特性を示すグラフ、図15は、図13のラダーパターン17を有する共振器フィルタの電流集中を示す図である。
図14に示すように、ラダーパターン17がディスクパターン12の中心付近まで延びる場合には、2つの共振を生じさせることができない。フィルタリング特性自体は良好であるが、デュアルモードの共振器ではなく、シングルモードの共振器としか機能しないことが分かる。
また、図15に示すように、図13のパターンでは、ライン・アンド・スペース17bのうち、円周に近い側のラインに電流が集中し、また、各ラインの両端部にも、電流が集中する傾向にある。すなわち、例3のように、ラダーパターン17のライン・アンド・スペース17bが長すぎると、デュアルモードで機能しないだけでなく、電流集中の低減を実現できない。
図6〜図15を参照して述べたラダーパターン17の例1〜3の考察から、
(1)デュアルフィルタとしての基本的なフィルタ特性は、ラダーパターン17のノッチ17aの切り込み量で決まり、
(2)中心周波数などの微調整は、ライン・アンド・スペース17bの形成によって行なうことができ、
(3)電流集中の低減効果は、ライン・アンド・スペース17bの開始位置および終了位置で決まる
ことが分かる。
逆に言うと、ラダーパターン17のノッチ17aの切り込み量と、ライン・アンド・スペース17のサイズを適切に選択することによって、良好なフィルタ特性と耐電力特性を有するデュアルモードの超伝導共振器フィルタを実現することが可能になる。
より具体的には、例1と例2の比較から、ラダーパターン17のノッチ(切り込み)17aは、2つの共振周波数を生じさせるのに十分な深さが必要である。また、例2と例3の比較から、ラダーパターン17の長さは、ディスク型の共振器パターン12の円周と中心との間の距離(すなわち半径)の1/2よりも短いことが望ましく、さらに望ましくは、半径の1/3よりも短い。これらのことは、共振器バターン12がディスク型以外の形状、たとえば、楕円形や多角形である場合にも、同様に当てはまる。
以上述べたように、本発明によれば、耐電力が向上した超伝導デバイスが実現される。このような超伝導デバイスは、送信用のデュアルモード共振器やフィルタ、アンテナに良好に適用され、移動通信や放送分野において、高性能な送受信フロントエンドを提供できる。
なお、特定の実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
たとえば、実施形態では超伝導材料としてYBCO薄膜を用いたが、任意の酸化物超伝導材料を用いることができる。たとえば、RBCO(R−Ba−Cu−O)系薄膜、すなわち、R元素としてY(イットリウム)に代えて、Nd、Gd、Sm、Hoを用いた超伝導材料を用いてもよい。また、BSCCO(Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、PBSCCO(Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、CBCCO(Cu−Bap−Caq−Cur−Ox、1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)を超伝導材料に用いてもよい。
誘電体基板は、MgO単結晶基板に限定されず、たとえば、LaAlO3 基板、サファイア基板などを用いてもよい。
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 誘電体基板と、
前記誘電体基板上に超伝導材料で形成された2次元回路型の共振器パターンと
を備え、
前記共振器パターンは、当該共振器パターンの周縁部に形成される切り込みと、当該切り込みにつながるライン・アンド・スペースとから成るラダーパターンを有することを特徴とする超伝導高周波デバイス。
(付記2) 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインは、前記共振器パターンの周縁部の接線方向に延びることを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記3) 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインの少なくとも1つのラインにおいて、ライン端部の線幅が、中央部の線幅よりも広いことを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記4) 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインは、少なくともその一部に円弧部分を含むことを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記5) 前記ライン・アンド・スペースを構成するスペース領域の少なくとも一部は、コーナー部分が面取りされていることを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記6) 前記ライン・アンド・スペースパターンのスペース幅は、実効波長の1/4(λ/4)未満であることを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記7) 前記ラダーパターンの切込みは、互いに直交する2つの共振を発生させることのできる切込み量を有することを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記8) 前記ラダーパターンは、前記共振器パターンの周縁部から内側に向かってのび、前記共振器パターンの周縁部と中心との間の長さの1/2以下のサイズであることを特徴とする付記1に記載の超伝導高周波デバイス。
(付記9) 前記誘電体誘電体基板は、3〜5GHzの周波数で、誘電率が8〜10であることを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の超伝導高周波デバイス。
(付記10) 前記超伝導材料は、酸化物超伝導材料であることを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の超伝導高周波デバイス。
(付記11) 誘電体基板上に、所定のラダーパターンを有する2次元回路形状の共振器パターンを超伝導材料で形成するステップと、
前記共振器パターンが形成された誘電体基板を、金属パッケージに実装するステップと
を含み、前記所定のラダーパターンは、前記2次元回路形状の周縁に形成される切り込みと、前記切り込みにつながるライン・アンド・スペースとで構成されることを特徴とする超伝導高周波デバイスの作製方法。
(付記12) 前記ライン・アンド・スペースは、前記共振器パターンの形成と同時に形成されることを特徴とする付記11に記載の超伝導高周波デバイスの作製方法。
(付記13) 前記ライン・アンド・スペースは、前記共振器パターンを形成した後に、形成されることを特徴とする付記11に記載の超伝導高周波デバイスの作製方法。
(付記14) 超伝導材料で形成され、周縁部にノッチが形成された2次元回路形状の共振器パターンを有するデュアルモード超伝導高周波デバイスにおいて、
前記共振器パターンのノッチに、前記周縁部の接線方向に延びるライン・アンド・スペースをレーザトリミングで形成することによって、前記超伝導高周波デバイスのフィルタ特性の微調整を行なうことを特徴とするフィルタ調整方法。
移動通信システムに適用される従来の超伝導フィルタデバイスを説明するための図であり、ヘアピン型や、ストレートライン型の超伝導パターンを有する共振器の図である。 従来のディスク型の超伝導パターンを有する共振器の図である。 従来のノッチ入りディスク型超伝導共振器パターンにおける電流密度の集中を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超伝導デバイスの概略構成図である。 図4の共振器パターンにおけるラダーパターンを説明するための図である。 ラダーパターンの例1を示す平面図である。 図6のラダーパターンを有する超伝導デバイスのフィルタ特性を示すグラフである。 図6のラダーパターンを有する超伝導デバイスの共振器パターンの電流集中を示す図である。 ラダーパターンの例2を示す平面図である。 図9のラダーパターンを有する超伝導デバイスのフィルタ特性を示すグラフである。 図10のラダーパターンを有する超伝導デバイスの共振器パターンの電流集中を示す図である。 図9のラダーパターンの変形例を示す図である。 ラダーパターンの例3を示す平面図である。 図13のラダーパターンを有する超伝導デバイスのフィルタ特性を示すグラフである。 図13のラダーパターンを有する超伝導デバイスの共振器パターンの電流集中を示す図である。
符号の説明
10 超伝導フィルタ
11 誘電体基板
12 超伝導パターン
13 フィーダ(信号入出力線)
14 グランド膜
15 電極
17 ラダーパターン
17a ノッチ(切り込み)
17b ライン・アンド・スペース
30 金属パッケージ
31 入出力コネクタ

Claims (10)

  1. 誘電体基板と、
    前記誘電体基板上に超伝導材料で形成された2次元回路型の共振器パターンと
    を備え、
    前記共振器パターンは、当該共振器パターンの周縁部に形成される切り込みと、当該切り込みにつながるライン・アンド・スペースとから成るラダーパターンを有することを特徴とする超伝導高周波デバイス。
  2. 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインの各々は、前記共振器パターンの周縁部の接線方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  3. 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインの少なくとも1つのラインにおいて、ライン端部の線幅が、中央部の線幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  4. 前記ライン・アンド・スペースを構成する複数のラインは、少なくともその一部に円弧部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  5. 前記ライン・アンド・スペースを構成するスペース領域の少なくとも一部は、コーナー部分が面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  6. 前記ライン・アンド・スペースパターンのライン間の間隔は、実効波長の1/4(λ/4)未満であることを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  7. 前記ラダーパターンの切込みは、互いに直交する2つの共振を発生させることのできる切込み量を有することを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  8. 前記ラダーパターンは、前記共振器パターンの周縁部から内側に向かってび、前記ラダーパターンの前記周縁部からの長さは、前記共振器パターンの前記周縁部と中心との間の長さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波デバイス。
  9. 誘電体基板上に、所定のラダーパターンを有する2次元回路形状の共振器パターンを超伝導材料で形成するステップと、
    前記共振器パターンが形成された誘電体基板を、金属パッケージに実装するステップと
    を含み、前記所定のラダーパターンは、前記2次元回路形状の周縁に形成される切り込みと、前記切り込みにつながるライン・アンド・スペースとで構成されることを特徴とする超伝導高周波デバイスの作製方法。
  10. 超伝導材料で形成され、周縁部に切り込みが形成された2次元回路形状の共振器パターンを有するデュアルモード超伝導高周波デバイスにおいて、
    前記共振器パターンの切り込みから前記共振器パターンの半径方向に延びるライン・アンド・スペースをレーザトリミングで形成することによって、前記超伝導高周波デバイスのフィルタ特性の微調整を行なうことを特徴とするフィルタ調整方法。
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