JP4516893B2 - 厚板製造管理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製品の一つである厚板の製造管理を行う厚板製造管理装置に関するものである。
従来、厚板鋼材の製造において、一般的には、需要家からの矩形の特定サイズ(製品サイズ)の厚板の発注を受けて、厚板製造工場では、受注の製品サイズの四周に余裕代を付けたサイズ(切り出しサイズ)で矩形に切断した厚板を製造して出荷していた。
また、圧延を行った後(矩形に切断する前)の厚板の四周は、直線とは限らず、幅スボミや横曲がり(キャンバー)等が発生する。このため、例えば厚板の角の部分が上記切り出しサイズに対して数mm(ミリメートル)でも足りない場合には、当該厚板から製品を採取不可能(不合格)と判断して、当該厚板を降格して他製品に振り替えたり、又は、スクラップ処理し、再度製造したりすることが行われている。
例えば、需要家からの受注条件と用途・加工条件の情報に基づいて、最終検査・判定を行うべき製品仕様を決定し、当該製品仕様を確保するための鉄鋼生産設備における品質管理項目を決定し、当該ユーザ向けの製品の加工実績に基づいて、品質管理項目の管理範囲を設定する薄板鉄鋼製品の品質管理方法及び装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−151852号公報
上述したように、厚板の製造側では切り出しサイズに数mmでも足りなければ降格としているが、その一方で、需要家における厚板の発注に際には、必要とする複数の部材を矩形の厚板内に集約することで上記製品サイズを決定しているので、上述した切り出しサイズに満たない製品でも、必要部材を全て採取可能なケースが多い。すなわち、厚板の製造側での厚板製造から需要家での必要部材の切り出しまでを一貫工程と捉えると、切り出しサイズに満たない厚板であって需要家側で部材の採取に問題ない厚板を降格処理することは非経済的かつ非効率的であるという問題がある。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、厚板の製造における経済性を向上させることができる厚板製造管理装置を提供することを目的とする。
この発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明による厚板製造管理装置においては、圧延処理を行う圧延工程及びせん断処理を行うせん断処理工程、該せん断処理工程で加工した鋼板を出荷する出荷工程を有し、顧客からの注文に応じた厚板を製造する製造ラインを管理する厚板製造管理装置であって、前記顧客からの注文に関する情報として前記厚板の製品サイズに関する情報である矩形の製品サイズ情報と、前記顧客側で前記厚板から板取りする部材の形状、サイズ、及び板取り位置に関する情報である部材情報とを少なくとも格納する注文情報格納手段と、前記圧延工程により圧延処理後の鋼板である処理後鋼板の形状を計測する計測装置から前記処理後鋼板の形状計測情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記形状計測情報、及び前記注文情報格納手段から参照する前記製品サイズ情報から、前記処理後鋼板毎に、前記処理後鋼板から前記製品サイズの厚板を切り出し可能か否かの合否を判定し、否の場合は、更に前記部材情報から前記部材の板取りが可能か否かの合否を判定する判定手段と、前記判定手段が合格と判定した前記処理後鋼板に対して前記製品サイズ情報を基にして、前記せん断処理を行って厚板に加工するよう前記せん断処理工程に対して指示するせん断指示手段とを具備することを特徴とする。
本発明による厚板製造管理装置によれば、厚板の製造における経済性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態における製造管理装置(厚板製造管理装置)を含む厚板製造管理システムとして、厚板の製造ラインを管理するシステムについて説明を行う。特に、本実施形態では、母材(厚板状の鋼片)を加工することで製品(厚板)を製造する鉄鋼業における厚板製造管理を例に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における製造管理装置を含む厚板製造管理システムの概要を示す図である。図1に示すように、厚板製造の工程は、母材であるスラブ11に対して圧延処理を行いアズロールに加工する圧延工程12、圧延処理で加工されたアズロールに対して所定の形状にせん断処理を行いプレートに加工するせん断工程14、せん断処理で加工されたプレートを出荷する出荷工程15から構成される。このように厚板鋼材の製造においては、工程が進むにつれて、スラブ(鋳片)→アズロール→プレートと鋼板の名称が変化する。そして、プレートが、厚板の出荷形態の名称である。
形状測定装置13は、圧延工程12で、スラブ11に対して圧延を行ったアズロールの形状を測定する。
また、せん断工程14にはアズロールに対してせん断処理を行う製造装置が含まれ、出荷工程15にはプレートの出荷処理を行う出荷処理装置が含まれる。製造管理装置10は、各工程の製造装置(又はその製造装置を制御する制御装置)や形状測定装置13と、ネットワーク16を介して通信可能である。これにより、製造管理装置10は、各製造装置に製造命令を送信したり、形状測定装置13から測定結果を受信したり、出荷処理装置に出荷処理に必要な情報を与えたりすることで、厚板の製造管理を行う。尚、ネットワーク16は、有線又は無線又はそれらの混在した通信網である。
本実施形態の製造管理装置10は、圧延工程12で圧延処理を終えたアズロールに対して、製品として出荷可能な形状であるか否かを判断する処理や、製品として出荷不可能である形状のアズロールを、他の注文に対応させることが可能であれば対応させる処理に特徴がある。それらの特徴的な処理の詳細については後述する。
尚、実際には、例えば圧延工程12においては、加熱処理を行う加熱炉、圧延処理を行う圧延機、冷却処理を行う注水冷却装置の3種類の製造装置があるが、本発明の本質に関係しない加熱炉や注水冷却装置などの装置については説明を省略する。また、せん断工程14及び出荷工程15についても同様である。また、実際には、せん断工程14と出荷工程15の間に、せん断処理で加工されたプレートに対して表面加工やキズや歪みの修正を行う精整工程があるがこれも本発明の本質に関係しないので省略している。
次に、図1に示した製造管理装置10の機能構成について説明する。
図2は、図1に示した製造管理装置10の機能構成を示す図である。図2において、制御部101は、製造管理装置10内のデータの流れの制御や、各処理部の動作の制御を行う制御部である。契約情報データベース102は、プレート(厚板)の発注者(需要者)との契約情報(受注情報)を格納するデータベースである。尚、図2では、図1で示した圧延工程12、せん断工程14、及び出荷工程15は省略している。
図3は、図2に示した契約情報データベース102のデータ構成例を示す図である。
図3に示すように、顧客である発注者を特定する顧客IDに関連づけて、以下に示す注文された厚板に関する情報(注文情報)を格納する。図3において「顧客名」は、顧客IDで特定される発注者の名称である。「注文情報」とは、プレート(厚板)の注文に関する情報であり、例えば「契約番号」及び「製品情報」を含む。
「契約番号」とは、顧客と厚板の製造者側で注文に応じた製品を特定するために利用している識別番号である。出荷工程15において、出荷対象の製品(プレート)はこの「契約番号」別に管理される。「製品情報」とは、顧客IDで特定される顧客が、注文するプレートの仕様及び数量を特定する情報と、顧客側で厚板から切り出す部材に関する情報である「部材情報」とを含むものである。
図3に示すように、プレートの仕様を特定する情報としては、プレートの厚さを指定する「板厚」、プレートの幅を指定する「幅」、プレートの長さを指定する「長さ」があり、その単位は例えばmm(ミリメートル)である。また、「部材情報」には、一枚のプレートからどのような形状及び板取り位置で部材を板取り(切り出し)するかを示す情報である「板取情報」(板取りレイアウトの情報)と、各部材の形状(三角形、円形、台形など)やそのサイズ(例えば三角形なら二辺の長さと二角の角度)を特定する「形状情報」と、一枚のプレートから採取する(板取りする)部材の数を示す「部材数」とが含まれる。
ここで、板取りレイアウトと、アズロールに対する製品として合格/不合格の判断の関係を説明する。図4は、本実施形態のアズロール例、切り出しサイズ例、部材の板取りレイアウト例を示す図である。図4に示すように、圧延工程12による圧延処理を終えたアズロール40は、幅スボミや横曲がりが生じており、せん断工程14にてせん断予定のサイズである切り出しサイズ41に満たない部分(図4の破線円で示す部分)がある。ここで、切り出しサイズ41は、注文で顧客が指定した製品サイズ(長さと幅)に余裕代(耳代)を含ませたサイズである。
また、部材レイアウト42は、顧客側において切り出しサイズ41で切り出されたプレートに対して板取りする際の板取りレイアウト例を示すものであり、図4では、台形に部材が4枚、切り出されるレイアウトである。すなわち、顧客側では、発注する際に、1枚のプレートからどのように部材を板取りするか板取りレイアウトを決めて、製品サイズを決めている。
そして、図4に示すように、例え、切り出しサイズ41(製品サイズでもよい)に比べてアズロール40の一部分が満たしていない形状であっても、板取りレイアウトを参照することで、顧客側で全部材を板取り可能な場合がある。このような場合に、本実施形態の製造管理装置10は、「板取情報」を参照することで、アズロール40を製品として合格と判定し、せん断工程14へ送るよう制御することができる。これにより、従来であれば不合格と判定されスクラップ処理される厚板を、合格判定として出荷することができ、厚板製造の経済性を向上することができる。
尚、本実施形態の「板取情報」は、例えば、顧客側で、プレートからの部材の切り出しに利用しているNC(数値制御)切断機にて利用している情報が流用可能である。また、「板取情報」も含めて「注文情報」は、顧客から注文時に受け取る情報である。
圧延指示部103は、ネットワーク16を介して圧延工程12に対して、圧延処理の指示を行う。具体的には、圧延指示部103は、契約情報データベース102から上記注文情報を参照して、圧延工程12において注文に応じた製品サイズを採取可能なアズロール(プレートの前の形態)を作成するために必要な情報(板厚、幅、長さなど)を取得し、指示情報にそれらの情報を含ませて圧延工程12へ送信する。
また、本実施形態の製造管理装置10は、顧客からの注文情報を複数のグループに集約してグループ単位で処理する。具体的には、注文情報で特定される製品の「板厚」や「幅」が同程度の注文を集約して一つのグループ(以下、注文グループとする)にして処理する。そして、圧延指示部103は、注文グループ単位で、圧延工程12に対して圧延指示を行う。
測定値受信処理部104は、形状測定装置13から圧延工程12での圧延処理を終えた時点での(=せん断工程14へ移行する際の)アズロールの形状測定情報を受信する。これにより、製造管理装置10は、せん断工程14に移動したアズロールの形状を把握することができる。
せん断指示部105は、契約情報データベース102から注文情報を参照して顧客の注文に応じた長さ及び幅のプレートに切断する指示をせん断工程14へ送信する。また、せん断指示部105は、後述する振替指示部108からの振替指示に応じて注文とアズロールの対応を振り替えてせん断指示する機能も有する。その機能の詳細については後述する。尚、せん断指示部105も、圧延指示部103と同様に、上記注文グループ単位で、せん断工程14に対してせん断指示を行う。
製品判定部106は、圧延工程12の圧延処理を終えたアズロールに対して、次のせん断工程14において注文に応じた切り出しサイズでせん断処理可能なサイズであるか否かを判定する。さらに、製品判定部106は、注文に応じた切り出しサイズでせん断処理可能なサイズではないアズロールに対しては、契約情報データベース102から「板取情報」を参照して、顧客側における部材の板取りに支障のないサイズであるか否かを判定する。具体的には、製品判定部106は、図4に示したアズロール40を、製品として合格(=せん断工程へ移行してよい)と判定することができる。
他鋼板検索部107は、製品判定部106があるアズロール(以下、アズロールAとする)に対して製品として不合格と判定した場合に、上記注文グループ単位で処理中のアズロールA以外のアズロールの中から、アズロールAに対応する注文(以下、注文Aとする)に応じた注文情報を基に製品判定部106が合格と判定するアズロールを検索する。次に、他鋼板検索部107は、検索したアズロールに対応付けられている注文情報を参照して、当該注文情報の中にアズロールAを製品判定部106が製品として合格と判定できる注文情報を検索する。以上により、アズロールAの替わりとなるアズロールとして、アズロールAに元々対応する注文Aの注文情報に応じた製品を採取可能なアズロールであって、当該アズロールに元々対応する注文情報に応じた製品をアズロールAから採取可能なアズロール(以下、アズロールBとする)を検索する。
更に、他鋼板検索部107は、該当するアズロールBを検索できなかった場合には、アズロールAに対して以下の処理を行う機能を有する。他鋼板検索部107は、製品判定部106がアズロールAに対して製品として不合格と判定した場合に、上記「板取情報」を参照して、アズロールAで採取できなかった部材のみを採取するために必要なサイズ(以下、必要サイズとする)を求める。更に、他鋼板検索部107は、注文に応じた製品サイズを採取して、なおかつ、上記求めた必要サイズも採取できるほど余裕のあるアズロール(以下、アズロールCとする)を、上記注文グループ単位で処理中のアズロールA以外のアズロールの中から検索する。
振替指示部108は、他鋼板検索部107が検索したアズロールBと注文の対応と、アズロールAと注文Aの対応を振り替える処理を行う。これにより、双方の注文に応じた製品が採取可能となる。また、振替指示部108は、他鋼板検索部107が上記アズロールCを検索した場合には、上記アズロールCに対してアズロールAで採取できないと判断した部材を採取するための注文情報を更に割り当てる処理を行う。
再製造指示部109は、製品判定部106があるアズロールAに対して製品として不合格と判定し、かつ、他鋼板検索部107において注文情報を振り替え可能なアズロールBや、アズロールAで採取できなかった部材を更に採取可能なアズロールCを検索できなかった場合に、アズロールAで採取できなかった部材を採取するためのプレートを製造するよう製造ラインへ指示する。
通信処理部110は、ネットワーク16を介して、圧延工程12、せん断工程14、及び出荷工程15で稼動している製造装置、製造装置の制御装置、及び形状測定装置などと通信するための処理を行う。また、ネットワーク16がインターネットとファイアウォールサーバなどを介して接続されており、顧客からインターネット経由で注文情報を受信したりする場合には、通信処理部110にて、その通信処理を行う。
他鋼板検索部107において、アズロールAを他のアズロールB,Cでも振り替え可能であった場合、又は、製品判定部106で不合格と判定されたアズロールはせん断工程でアズロールの長手方向両端部のクロップのみ又はクロップとアズロールの幅方向端部の耳部のせん断を行ってもよい。
次に、図1及び図2に示した製造管理装置10の圧延工程12開始からせん断工程14開始までの製造管理処理について説明する。
図5は、図1及び図2に示した製造管理装置10の圧延工程12開始からせん断工程14開始までの製造管理処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、まず、ステップS1において、製造管理装置10は、スラブ11が圧延工程12へ移動していることを検知し、スラブ11に対する圧延処理の開始を判断する。
次に、ステップS2において、圧延指示部103は、ネットワーク16を介して圧延工程12に対して、スラブ11を注文情報に応じて圧延処理するよう指示を行う。これにより、圧延工程12において、スラブ11に対する圧延処理が開始される。
次に、ステップS3において、測定値受信処理部104は、形状測定装置13から圧延工程12での圧延処理を終えた時点での(=せん断工程14へ移行する際の)アズロールの形状測定情報を受信したか否かを判断する。受信していなければ、受信待ちを行い、受信した場合には、次のステップS4において、圧延指示部103は、注文グループ内に含まれる全注文情報に対する処理を終えたか否かを判断する。まだ終えてなければ、ステップS2に戻り、圧延指示部103は、未処理の注文情報に応じた圧延処理の指示を圧延工程12へ送信する。また、注文グループ内に含まれる全注文情報に対する処理を終えたと判断した場合には、ステップS5へ移行する。以上により、例えば注文グループに応じた板厚が同じアズロールが複数製造される。
次に、ステップS5において、製品判定部106は、圧延工程12の圧延処理を終えた複数のアズロールの一つ(以下、第1のアズロールとする)に対して、次のせん断工程14において注文に応じた切り出しサイズでせん断処理可能なサイズであるか否かを判定する。ここで、せん断処理可能なサイズではないと判断した場合には、製品判定部106は、第1のアズロールに対応する注文情報に含まれる「板取情報」を契約情報データベース102から参照して、顧客側における部材の板取りに支障のないサイズであるか否かを判定する。
ステップS5において、せん断処理可能なサイズであると判断した場合又は顧客側における部材の板取りに支障のないサイズであると判断した場合(ステップS5のYES)には、ステップS9に移行し、顧客側における部材の板取りに支障のないサイズではないと判断した場合(ステップS5のNO)には、ステップS6に移行する。
次に、ステップS6において、他鋼板検索部107は、上記第1のアズロールと同じ注文グループである他のアズロール内から、第1のアズロールの替わりとなるアズロール(以下、第2のアズロールとする)を検索する。また、第2のアズロールが検索できなかった場合には、他鋼板検索部107は、上記第1のアズロールにおいて注文情報に対応できなかった部材(採取できなかった部材)を替わりに採取できる余裕のあるアズロール(第3のアズロール)を上記注文グループ内から検索する。尚、ここでの第1、第2、第3のアズロールの関係は、上述したアズロールA、B、Cの関係と同様である。
ここで、ステップS6において、第2のアズロール又は第3のアズロールを検索できなかった場合(ステップS6のNO)には、ステップS7において、再製造指示部109は、第1のアズロールで採取できなかった部材を採取するためのプレートの基となるアズロールを製造するよう圧延工程12へ指示する。また、ステップS6において、第2のアズロール又は第3のアズロールを検索できた場合(ステップS6のYES)には、ステップS8において、振替指示部108は、他鋼板検索部107が検索した第2のアズロールと注文情報(以下、第2の注文情報とする)の対応と、第1のアズロールと注文情報(以下、第1の注文情報とする)の対応を振り替える処理を行う。これにより、第1のアズロールと第2の注文情報が対応し、第2のアズロールと第1の注文情報が対応し、双方の注文情報に応じた製品が採取可能となる。
また、振替指示部108は、他鋼板検索部107が上記第3のアズロールを検索した場合には、上記第3のアズロール(第3の注文情報に対応している)に対して第1のアズロールで採取できないと判断した部材を採取するための注文情報(第4の注文情報)を更に割り当てる処理を行う。これにより、第3のアズロールは、第3の注文情報に加えて第4の注文情報にも対応している。以上の振替指示部108による処理を終えるとステップS9へ移行する。
次に、ステップS9において、製品判定部106は、注文グループに含まれる全てのアズロールに対してせん断処理可能なサイズであるか否かの判断を行ったか否かを判断する。ここで、注文グループに含まれる全てのアズロールに対してせん断処理可能なサイズであるか否かの判断を行っていないと判断した場合(ステップS9のNO)には、ステップS5に戻り、製品判定部106は、注文グループに含まれる未処理のアズロールに対してせん断処理可能なサイズであるか否かの判断を行う。
また、注文グループに含まれる全てのアズロールに対してせん断処理可能なサイズであるか否かの判断を行ったと判断した場合(ステップS9のYES)には、ステップS10に移行して、せん断指示部105は、各アズロールに対応する注文情報を参照して顧客の注文に応じた長さ及び幅の矩形プレートに切断する指示をせん断工程14へ送信する。尚、せん断指示部105が、せん断工程14へ送信するせん断処理の指示は、ステップS8におけるアズロールに対する注文情報の振り替え処理を反映したものである。以上により、製造管理装置10は、圧延工程12開始からせん断工程14開始までの製造管理処理を終了する。
以上に説明したように、本実施形態の製造管理装置10は、従来ではアズロールの形状において切り出しサイズ(又は製品サイズ)に満たない部分があるとしてスクラップ処理となっていた厚板の一部を、顧客側での部材のレイアウト情報を参照することで、合格製品として出荷することができる。これにより、厚板の製造における経済性を向上させることができる。また、本実施形態の製造管理装置10は、例えば注文元が異なるが同じ板厚及び幅となる製品サイズの注文情報を注文グループにして製造の効率化を図っていることを利用して、注文グループ内でのアズロールと注文情報の対応の振り替えを行うことができるので、従来と比べて更に効率良く、厚板の製造を行うことができる。
図6は、本実施形態による厚板の製造例を示す図である。図6において、製品サイズ及び実績サイズは、厚板の板厚×幅×長さを示している。契約番号1は、せん断工程14において製品サイズに対して余裕代を含む切り出しサイズで切り出されたので、実績サイズの平均値は、板厚、幅、長さともに製品サイズを超えているが、長さ方向の端の一方が幅スボミにより幅が2495mm以下となる部分が、端から300mmまで占めているとする。このような場合には、従来であれば、不合格となっていたが、本実施形態の製造管理装置10では、顧客側での板取りレイアウトの情報を参照して、台形の部材15個全てが採取可能であることを判断して合否判定を行うので、このような場合でも合格判定とすることができる。
次に、契約番号2は、実績サイズの平均値は、板厚と長さともに製品サイズを超えていないが、板厚は許容範囲とする。但し、長さが足りないため、半円形の部材数24個中、22個までしか採取できないとする。このような場合には、従来であれば、不合格となっていたが、本実施形態の製造管理装置10では、顧客側での板取りレイアウトの情報を参照して、2個の部材が採取できなかったことを検出し、注文グループ中の他のアズロールの中から、その2個の部材を採取できる余裕があるアズロールを検索して、そのアズロールに2個の部材の分となる注文情報を割り当てることができ、合格判定とすることができる。
次に、契約番号3、4は、同じ注文グループに属するものであり、契約番号4の実績サイズの平均値は、板厚、幅、長さともに製品サイズを超えているが、契約番号3の実績サイズの平均値は、長さが製品サイズを超えていない。また、契約番号3及び4は、同じ注文グループに属するので板厚と幅は同じ値である。このような場合には、従来であれば、契約番号3は不合格となっていたが、本実施形態の製造管理装置10では、契約番号3のアズロールと契約番号4のアズロールの振り替えができるので、契約番号3と契約番号4ともに合格判定とすることができる。
以上に説明したように、本実施形態の製造管理装置10は、顧客側での板取りレイアウトを特定する「板取情報」を参照することで、従来不合格と判定されていたアズロールの一部に対して、顧客側で製品として利用可能なアズロールを判別して合格と判定できる。これにより、顧客側で製品として利用可能であるのに、従来であれば不合格と判定されスクラップ処理される厚板を、合格判定として出荷することができ、厚板製造の経済性を向上することができる。
尚、上述した実施形態において、図2に示した製造管理装置10の各処理部は、ハードウェアとしてはメモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、各処理部の機能を実現する為のプログラムをメモリに読み込んでCPUが実行することによりその機能を実現させるものである。尚、これに限定されるものではなく、各処理部の一部の処理又は全部の処理を専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
また、上記メモリは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組合せによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されるものとする。
また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現する為のものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明の一実施形態における製造管理装置を含む厚板製造管理システムの概要を示す図である。 図1に示した製造管理装置10の機能構成を示す図である。 図2に示した契約情報データベース102のデータ構成例を示す図である。 本実施形態のアズロール例、切り出しサイズ例、部材の板取りレイアウト例を示す図である。 図1及び図2に示した製造管理装置10の圧延工程12開始からせん断工程14開始までの製造管理処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態による厚板の製造例を示す図である。
符号の説明
10 製造管理装置
11 スラブ
12 圧延工程
13 形状測定装置
14 せん断工程
15 出荷工程
16 ネットワーク
101 制御部
102 契約情報データベース
103 圧延指示部
104 測定値受信処理部
105 せん断指示部
106 製品判定部
107 他鋼板検索部
108 振替指示部
109 再製造指示部
110 通信処理部

Claims (4)

  1. 圧延処理を行う圧延工程及びせん断処理を行うせん断処理工程、該せん断処理工程で加工した鋼板を出荷する出荷工程を有し、顧客からの注文に応じた厚板を製造する製造ラインを管理する厚板製造管理装置であって、
    前記顧客からの注文に関する情報として前記厚板の製品サイズに関する情報である矩形の製品サイズ情報と、前記顧客側で前記厚板から板取りする部材の形状、サイズ、及び板取り位置に関する情報である部材情報とを少なくとも格納する注文情報格納手段と、
    前記圧延工程により圧延処理後の鋼板である処理後鋼板の形状を計測する計測装置から前記処理後鋼板の形状計測情報を受信する受信手段と、
    前記受信手段が受信した前記形状計測情報、及び前記注文情報格納手段から参照する前記製品サイズ情報から、前記処理後鋼板毎に、前記処理後鋼板から前記製品サイズの厚板を切り出し可能か否かの合否を判定し、否の場合は、更に前記部材情報から前記部材の板取りが可能か否かの合否を判定する判定手段と、
    前記判定手段が合格と判定した前記処理後鋼板に対して前記製品サイズ情報を基にして、前記せん断処理を行って厚板に加工するよう前記せん断処理工程に対して指示するせん断指示手段とを具備することを特徴とする厚板製造管理装置。
  2. 前記製品サイズ情報には、前記厚板の板厚、幅、長さに関する情報が含まれ、
    前記圧延工程に対して前記注文情報格納手段から参照する前記注文情報に応じて圧延指示を行い、かつ、前記注文情報を前記注文情報に含まれる板厚及び幅に応じてグループ化して、前記グループ単位で複数の処理後鋼板を圧延処理するよう圧延指示を行う圧延指示手段と、
    前記判定手段が第1の処理後鋼板から前記製品サイズの厚板を切り出し不可能で、かつ、前記顧客側で第1の処理後鋼板をせん断処理後の厚板から前記部材の板取りが不可能であると判断した場合に、前記第1の処理後鋼板と同じグループである他の処理後鋼板の中から前記判定手段が合格と判定する第2の処理後鋼板を検索する第1の検索手段と、
    前記第1の処理後鋼板と注文情報の対応と、前記第1の検索手段が検索した第2の処理後鋼板と注文情報の対応とを振り替える振替手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の厚板製造管理装置。
  3. 前記第1の検索手段において前記第2の処理後鋼板を検索出来なかった場合に、前記第1の処理後鋼板で採取できない部材のみを採取する余裕のある第3の処理後鋼板を前記第1の処理後鋼板と同じグループである他の処理後鋼板の中から検索する第2の検索手段を更に具備し、
    前記振替手段は、前記第1の処理後鋼板に対応する注文情報に含まれる前記採取できない部材の分の注文情報を、前記第3の処理後鋼板に対応する注文情報に追加する処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の厚板製造管理装置。
  4. 前記判定手段が不合格と判断した場合に、前記せん断処理手段は処理後鋼板の長手方向両端に形成されたクロップ及び耳部を少なくともせん断するように前記せん断処理工程に指示することを特徴とする請求項1に記載の厚板製造管理装置。
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