JP4515794B2 - 創傷部用パッド - Google Patents

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Description

本発明は創傷部用パッドに関し、更に詳しくは、創傷部に付着し難く、創傷部からの滲出液の吸い上げ透過性に優れるとともに、吸い上げ透過した滲出液の吸収性に優れた創傷部用パッドに関する。
従来、手術、創傷、皮膚潰瘍、褥瘡等に由来する滲出液を伴う皮膚及び皮下組織の創傷部に当接して創傷を治癒させるための創傷部用パッドとしては、多種多様のものが提案されている。
例えば、吸収材が水で濡れ、細菌の流入、繁殖等の原因となるのを防止するために、ガーゼ、脱脂綿、不織布、毛綿、ポリエステル等の織・編物等からなる吸収材層を撥水剤で処理した絆創膏が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、かさぶたとの付着解消と傷からの滲出液の吸収性を満足させるために、傷口パッドの表面の少なくとも80%以上が再生セルロース繊維布帛で被覆されている絆創膏が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、創傷部分からの滲出液の除去性を改善するために、創傷部に当てる液透過性繊維綿層と、当該液透過性繊維綿層上に重合する液吸収性繊維綿層とからなるパッドが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭61−253058号公報 特開平7−51314号公報 特開2002−78730号公報
しかしながら、前二者のように、ガーゼ、脱脂綿や再生セルロース繊維布帛からなるパッドは液の吸収性に優れているため、当初は創傷部からの滲出液を良く吸収するものの、吸収した滲出液が次第に固化してガーゼ等パッドの滲出液吸収性を低下させ、その結果、創傷部からの滲出液を封じ込める結果となり、汚れた滲出液の漏出を妨げ、却って雑菌繁殖の温床となり、創傷部の治癒を遅延させる虞れがある。
更には、滲出液で固化したパッドが創傷部に付着するため、例えば、汚染したパッドを新しいパッドに交換する際には、汚染したパッドを創傷部から無理矢理引き剥がすことになり、せっかく治癒しかけた創傷部を再び悪化させることにもなりかねない。また、固化したパッドは、弾力性、柔軟性が乏しいため、創傷部を刺激し、これも治癒を遅延させる原因となる。
一方、後者の液透過性繊維綿層と液吸収性繊維綿層とからなるパッドは、液透過性繊維綿層は創傷部からの滲出液を殆どを吸収せず透過させるので、この液透過性繊維綿層で滲出液が固化することが少ないためパッドが創傷部に付着することは少なく、従って、パッド交換時にパッドを創傷部から無理矢理引き剥がすことにより治癒しかけた創傷部を悪化させるといった事態は前二者に比べればかなり改善されるものの、液透過性能は必ずしも十分ではないため、パッドが付着する場合が発生することは避けられない。
本発明はかかる実情に鑑み、液透過繊維綿層の液吸い上げ透過性を改善し、創傷部からの滲出液の漏出を促すとともに、パッドが創傷部に付着しにくく、従って、パッドの交換も容易で治癒しかけた創傷部を悪化させることのないパッドを提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を解決するべく鋭意研究の結果、液透過性繊維綿層がシリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に熱融着性繊維綿により融着されていることにより、所期の目的が達成されることを見い出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明の請求項1に係る発明は、創傷部に当接させ創傷部からの滲出液を吸い上げ透過させるための液透過性繊維綿層と、該液透過性繊維綿層上に積層され、前記滲出液を吸収させるための液吸収性繊維綿層とからなるパッドにおいて、前記液透過性繊維綿層がシリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に該熱融着性繊維綿により融着されていることを特徴とする創傷部用パッドを内容とする。
本発明の請求項2に係る発明は、剥離性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、制菌性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、熱融着性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、熱融着性繊維綿が、芯鞘構造からなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、剥離性繊維綿が、シリコーン加工を施したポリエステル繊維からなり、制菌性繊維綿が制菌処理を施したポリエステル繊維からなり、熱融着性繊維綿がポリエステル繊維を芯とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造からなることを特徴とする請求項1記載の創傷部用パッドを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、剥離性繊維綿が30〜50重量%、制菌性繊維綿が40〜60重量%、熱融着性繊維綿が5〜15重量%であることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、液吸収性繊維綿層が、ガーゼ、天然綿、セルロース繊維綿から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明のパッドは、創傷部に当接され創傷部からの滲出液を吸い上げ透過させるための液透過性繊維綿層が、シリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に熱融着性繊維綿により融着されネットワーク化されているため、熱融着性繊維綿の融着部により形成された多数の微細な空間部が恰も毛細管と同様に機能し、毛細管現象により創傷部からの滲出液を効果的に吸い上げて透過させ、液透過性繊維綿層上に積層された液吸収性繊維綿層に導いて該吸収性繊維綿層に吸収させる。
かくして、滲出液は液透過性繊維綿層を透過し、該層に吸収され滞留することが殆どないので、滲出液により液透過性繊維綿層が滲出液で固化することがなく、従って、パッドが創傷部に付着してパッドの交換の際に無理矢理引き剥がして治癒しかけた創傷部を再び悪化させるといったトラブルが防止される。
また、滲出液は液透過性繊維綿層を透過するだけで、吸収され滞留することが殆どないので、雑菌繁殖の温床となりにくい。
また、液透過性繊維綿層に創傷部に付着しにくいシリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿を混合したので、パッドの創傷部への付着は一層減少する。
更に、液透過性繊維綿層に制菌性繊維綿を混合したので雑菌の繁殖が阻止され、創傷部の治癒が促進される。
更にまた、液透過性繊維綿層は剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿とからなる混合物が部分的に該熱融着性繊維綿により融着されネットワーク化されているので、弾力性、柔軟性に富み創傷部を刺激することがなく、また、まとまり性が極めて良好で、ピンセットによる取り扱い性も容易である。
本発明は、創傷部に当接させ創傷部からの滲出液を吸い上げ透過させるための液透過性繊維綿層と、該液透過性繊維綿層上に積層され、前記滲出液を吸収させるための液吸収性繊維綿層とからなるパッドにおいて、前記液透過性繊維綿層がシリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に該熱融着性繊維綿により融着されていることを特徴とする。
本発明に用いられる液透過性繊維綿層は、創傷部に当接して創傷部からの滲出液を実質的に吸収せず、吸い上げ透過させるためのものである。従って、液透過性繊維綿層は創傷部に対して悪影響がなく、液を吸収しにくい繊維からなるものが好ましく、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維が挙げられ、これらは単独で、又は必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。
また、本発明の液透過性繊維綿層は、剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿とからなるが、剥離性繊維綿は、創傷部への付着を防止又は減少させるためのもので、シリコーン加工を施したものが使用される
また、制菌性繊維綿は雑菌の繁殖を防止するためのもので、上記繊維を乾熱滅菌、ガス滅菌、ガンマー線照射滅菌等の滅菌処理を施したもの、上記繊維に抗菌剤を含有又は塗布した抗菌性繊維等が挙げられ、これらは単独で、又は必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。
また、熱融着性繊維綿は、剥離性繊維綿及び制菌性繊維綿を部分的に融着してネットワーク化し、熱融着性繊維綿の融着部により多数の空間部を形成するためのもので、上記した繊維の中で、剥離性繊維綿及び制菌性繊維綿よりも融点の低い繊維を用いるのが好ましい。また、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維を用いてもよい。特に、上記した繊維を芯とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造のものが好ましく、ポリエチレンが溶融して剥離性繊維綿及び制菌性繊維綿を融着してネットワークを形成する。
本発明における液透過性繊維綿としては、特にポリエステル繊維からなるものが好ましい。具体的には、剥離性繊維綿が、例えば「ウォッシャブル」(商品名、帝人株式会社製)のような、シリコーン加工を施したポリエステル繊維からなり、また、制菌性繊維綿が、例えば「ケミタックΣ」(商品名、帝人株式会社製)のような、制菌処理を施したポリエステル繊維からなり、更に、熱融着性繊維綿が、例えば「TBS」(商品名、帝人株式会社製)のような、ポリエステル繊維を芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘構造繊維からなるものが好ましい。
剥離性繊維綿、制菌性繊維綿、熱融着性繊維綿の混合割合としては、剥離性繊維綿が30〜50重量%、制菌性繊維綿が40〜60重量%、熱融着性繊維綿が5〜15重量%であることが好ましい。剥離性繊維綿が30重量%未満では創傷部への付着防止効果が小さくなり、一方、50重量%を越えると制菌性繊維綿の割合が少なくなり、雑菌繁殖の防止効果が小さくなる場合がある。また、熱融着性繊維綿が5重量%未満では、熱融着性繊維綿の融着部により形成されるネットワーク化が不十分となり、形成される微細な空間部の形成が不十分となり、毛細管現象による滲出液の吸い上げ透過効果が小さくなり、一方、15重量%を越えるとネットワーク化が進み過ぎ、弾力性、柔軟性が減じられ、創傷部を刺激して悪化させる場合がある。
本発明における液透過性繊維綿は、剥離性繊維綿、制菌性繊維綿、熱融着性繊維綿を所定の割合でミキシングし、解綿装置で解綿し、ミキシングタンクに風送し、ミキシングタンクを1〜2回パスさせてミキシングし、カーディングし、成型機で所定のサイズに成型した後、熱処理機で熱処理し、カッティング装置でカッティングして液透過性繊維綿とされる。
成型機での成型サイズは特に制限されないが、製造の容易性、取り扱い性の点から、例えば、巾1〜2m、長さ1〜2m、厚さ10〜40mm程度が好ましい。
また、カッティング装置でカッティングされて得られる液透過性繊維綿のサイズは特に制限されないが、巾50〜200mm、長さ50〜200mm、厚さ10〜30mm程度が好ましい。
液透過性繊維綿には、必要に応じ、消毒液、薬剤等を含浸又は塗布させることも可能である。
上記の如くして得られる液透過性繊維綿層上には、液吸収性繊維綿が積層され創傷部用パッドとされる。
液吸収性繊維綿層は、液透過性繊維綿層により吸い上げ透過される滲出液を吸収するためのものである。
従って、液吸収性を有するものが用いられ、例えば、ガーゼ、天然綿、セルロース繊維綿等が挙げられ、これらは単独で、又は必要に応じ、2種以上組み合わせて用いられる。ガーゼは所望の厚さに折り畳んで使用される。
液吸収性繊維綿層のサイズは、液透過性繊維綿層が吸い上げ透過してくる滲出液の量により適宜決定すればよいが、通常、液透過性繊維綿層と同程度でよい。
上記液透過性繊維綿層と液吸収性繊維綿層とからなる本発明の創傷部用パッドは、液透過性繊維綿層を創傷側にして創傷部に当接され、必要に応じ、包帯、粘着テープ等により固定される。この場合、パッドをガーゼ、油紙、シート等で覆ってから固定することも可能である。
本発明の創傷部用パッドは、液透過性繊維綿層が創傷部からの滲出液を吸い上げ透過し、その上部の吸収性繊維綿層に導き、滲出液は該吸収性繊維綿層で吸収される。従って、液透過性繊維綿層は実質的に滲出液を吸収せず汚染されないため、頻繁に取り替える必要がなく、その上部の液吸収性繊維綿層は滲出液の吸収、汚れ具合に応じて適宜取り替えればよい。
以下、実施例及び治験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
実施例1
剥離性繊維として、シリコーン加工を施したポリエステル繊維「ウオォシャブル」(帝人株式会社製)40重量%、制菌性繊維として、制菌加工を施したポリエステル繊維「ケミタックΣ」50重量%、及び熱融着性繊維綿として、ポリエステル繊維を芯とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造繊維「TBS」(帝人株式会社製)10重量%をミキシングし、解綿した後、第1ミキシングタンクに風送し、該ミキシングタンクを通過させた後第2ミキシングタンクに供給した。
次いで、カード機でカーディングし、成型機で巾2m×長さ1.5m×厚さ20mmのサイズに成型した後、熱処理機で150℃で2分間熱処理し、その後、トムソンバーにより巾100mm×長さ100mm×厚さ20mmにプレスカットし、液透過性繊維綿層を得た。
上記液透過性繊維綿層の上に、乾熱滅菌したガーゼを巾100mm×長さ100mm×厚さ40mmに折り重ねた液吸収性繊維綿層を積層して、図1に示す如き創傷部用パッドを得た。
実施例2
実施例1において、熱融着性繊維綿としてポリエチレン繊維を用い、液透過性繊維綿のサイズを巾200mm×長さ200mm×厚さ30mmとし、ガーゼからなる液吸収性繊維綿のサイズを巾200mm×長さ200mm×厚さ30mmとした他は実施例1と同様にして、図2に示す如き創傷部用パッドを得た。
比較例1
実施例1において、液透過性繊維綿層として乾熱滅菌したポリエステル綿を用いた他は実施例1と同様にして、図3に示す如き創傷部用パッドを得た。
治験例1
狭心症と無酸素脳症でベッド上に寝たきりの72才の男性患者の仙骨部の褥瘡(13cm×16cm)部の壊死組織を切除した後、イソジン生食水500mlにて1日1回洗浄、創傷部にイソジンゲルを塗布した。
上記イソジンゲル塗布面に実施例1で得られた創傷部用パッド4個を用い、各液透過性繊維綿層を創傷部に当接させ、液透過性繊維綿層は1日に1回交換し、液吸収性繊維綿層は1日に2回交換した。
液透過性繊維綿層は創傷部からの滲出液を良く吸い上げ透過させるとともに、創傷部に付着することもなく、6日後には良性の肉芽の増殖が確認され、褥瘡の縮小回復が認められた。
治験例2
慢性吸収不全でベッド上に寝たきりの80才の男性患者の仙骨部の褥瘡(15cm×17cm)部の壊死組織を切除した後、イソジン生食水500mlにて1日1日1回洗浄、創傷部にイソジンゲルを塗布した。
上記イソジンゲル塗布面に実施例2で得られた創傷部用パッド1個を用い、その液透過性繊維綿層を創傷部に当接させ、液透過性繊維綿層は1日に1回交換し、液吸収性繊維綿層は1日に2回交換した。
液透過性繊維綿層は創傷部からの滲出液を良く吸い上げ透過させるとともに、創傷部に付着することもなく、6日後には良性の肉芽の増殖が確認され、褥瘡の縮小回復が認められた。
比較治験例1
治験例1の患者の仙骨部の他の褥瘡(12cm×14cm)に、比較例1の創傷部用パッド4個を当接した他は治験例1と同様とした。
治験例1の場合と比べ、滲出液の吸い上げ透過性が若干劣り、また透過性組織綿層の創傷部への付着が若干認められたが、1週間後には良性の肉芽の増殖が確認され、褥瘡の縮小回復が認められた。
叙上のとおり、本発明の創傷部用パッドは、創傷部に当接され創傷部からの滲出液を吸い上げ透過させるための液透過性繊維綿層が、シリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に熱融着性繊維綿により融着されネットワーク化されているため、熱融着性繊維綿の融着部により形成された多数の微細な空間部が恰も毛細管と同様に機能し、毛細管現象により創傷部からの滲出液を効果的に吸い上げて透過させ、液透過性繊維綿層上に積層された液吸収性繊維綿層に導いて該吸収性繊維綿層に吸収させる。
かくして、滲出液は液透過性繊維綿層を透過し、該層に吸収され滞留することが殆どないので、滲出液により液透過性繊維綿層が滲出液で固化することがなく、従って、パッドが創傷部に付着してパッドの交換の際に無理矢理引き剥がして治癒しかけた創傷部を再び悪化させるといったトラブルが防止される。
また、滲出液は液透過性繊維綿層を透過するだけで、吸収され滞留することが殆どないので、雑菌繁殖の温床となりにくい。また、液透過性繊維綿層に創傷部に付着しにくい剥離性繊維綿を混合したので、パッドの創傷部への付着は一層減少する。
に、液透過性繊維綿層に制菌性繊維綿を混合したので雑菌の繁殖が阻止され、創傷部の治癒が促進される。
更にまた、液透過性繊維綿層は、剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿とからなる混合物が部分的に該熱融着性繊維綿により融着されネットワーク化されているので、弾力性、柔軟性に富み、従って創傷部を刺激することがなく、また、まとまり性が極めて良好であるので、ピンセットによる取り扱い性も容易である。
実施例1の創傷部用パッドを示す概略断面図である。 実施例2の創傷部用パッドを示す概略断面図である。 比較例1の創傷部用パッドを示す概略断面図である。
1 液透過性繊維綿層
1a 融着部
2 液吸収性繊維綿層

Claims (8)

  1. 創傷部に当接させ創傷部からの滲出液を吸い上げ透過させるための液透過性繊維綿層と、該液透過性繊維綿層上に積層され、前記滲出液を吸収させるための液吸収性繊維綿層とからなるパッドにおいて、前記液透過性繊維綿層がシリコーン加工が施された繊維からなる剥離性繊維綿と、制菌性繊維綿と、熱融着性繊維綿との混合物からなり、該混合物が部分的に該熱融着性繊維綿により融着されていることを特徴とする創傷部用パッド。
  2. 剥離性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載の創傷部用パッド。
  3. 制菌性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の創傷部用パッド。
  4. 熱融着性繊維綿が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷部用パッド。
  5. 熱融着性繊維綿が、芯鞘構造からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷部用パッド。
  6. 剥離性繊維綿が、シリコーン加工を施したポリエステル繊維からなり、制菌性繊維綿が制菌処理を施したポリエステル繊維からなり、熱融着性繊維綿がポリエステル繊維を芯とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造からなることを特徴とする請求項1記載の創傷部用パッド。
  7. 剥離性繊維綿が30〜50重量%、制菌性繊維綿が40〜60重量%、熱融着性繊維綿が5〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷部用パッド。
  8. 液吸収性繊維綿層が、ガーゼ、天然綿、セルロース繊維綿から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷部用パッド。
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