JP4514698B2 - ハイブリッドセンサ - Google Patents

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本発明は、電極パターンが形成された複数枚の可撓性シートを重合してなるメンブレン回路に監視、特に物体の近接を静電容量の変化で検出する静電容量式近接センサと荷重印加によってオンオフする接触センサとを含むハイブリッドセンサに関する。
従来より、メンブレンスイッチを使用した接触センサと静電容量式近接センサとを併用したハイブリッドセンサとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。図4に、このハイブリッドセンサの概略構成を示す。このハイブリッドセンサ2は、例えば、自動車の着座検出システムに適用されるものであり、ポリエステルフィルムのような絶縁樹脂フィルム等からなる一対の可撓性シート11、12を、シート状の絶縁スペーサ13を介して重合することにより構成されている。
一対の可撓性シート11、12の対向面11a、12aには、それぞれ銀ペースト等の導電材からなるスイッチ電極パターン14、15がスクリーン印刷等の方法で形成されている。これらスイッチ電極パターン14、15は、接点部16に対応する位置に形成されたランド部14a、15aと、ランド部14a、15aを図示しない回路まで導くリード部14b、15bとを有する。
絶縁スペーサ13の接点部16に対応する位置には、ランド部14a、15aが互いに十分に接触できるだけの開口径を有する開口部17が形成され、この開口部17を介して着座部への荷重印加時に上下のランド部14aと15aとが接触するような構造となっている。一方、静電容量式近接センサは、可撓性シート11の一方の面にスイッチ電極パターン14とは絶縁状態で形成された一組の電極7a、7bからなり、その容量の変化を検出することで、人体の接近を検出することを可能にしている。
特開2002−326554号公報(段落0020、図7)
しかし、上述したハイブリッドセンサでは、静電容量式近接センサの面積が小さいため検出感度が悪いという問題がある。検出感度を上げるために電極面積を広くすることが考えられるが、形状に起状がある座席の着座部等に設置する場合、可撓性シートを起伏に合わせて曲げて貼り付けることが難しいという問題があった。
また、ハイブリッドセンサを貼り付けた面が曲面の場合、曲げによって、感圧スイッチに応力がかかり、スイッチがオンしてしまうという問題があった。さらには、このハイブリッドセンサを座席などの中に入れた場合に、ハイブリッドセンサが曲面になじまず、人体が感じる感触が悪化するという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、該感圧スイッチの誤作動がなく、人体に違和感を感じさせることがないハイブリッドセンサを提供することを目的とする。
本発明に係るハイブリッドセンサは、電極パターンが形成された可撓性シートを含む複数枚の可撓性シートを重合して構成され、荷重印加によってオンオフするスイッチからなる接触センサと、物体の接近を非接触で検出する静電容量式近接センサとを含むハイブリッドセンサにおいて、前記電極パターンは、前記接触センサのスイッチを構成するスイッチ電極パターンと、前記静電容量式近接センサの検知電極パターンとを含み、前記検知電極パターンは、前記スイッチ電極パターンが形成されていない領域のほぼ全体を覆うように形成され、前記複数枚の可撓性シートの前記検知電極パターンが形成された領域に前記複数枚の可撓性シートの全てを貫通する複数の切り込みが形成され、前記スイッチ電極パターンが形成された第1領域と、前記検知電極パターンが形成された第2領域との間に切り込みが形成され、前記第1領域及び前記第2領域は、両者の移動を規制し両者が同一面上に配置されるように互いに接続部を残して分離されていることを特徴とする。
本発明のハイブリッドセンサによれば、可撓性シートのスイッチ電極パターンが形成されていない領域のほぼ全域に検知電極を設けているので、検出の感度が高い静電容量センサを構成することが可能となる。さらには、複数枚の可撓性シートの検知電極パターンが形成された領域に複数枚の可撓性シートの全てを貫通する複数の切り込みが形成されているので、座席などに入れた際の感触の悪化を防ぎ、曲げによる感圧センサの誤作動を防ぐことができる。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッドセンサの概略構成図である。
このハイブリッドセンサ1は、ポリエステルフィルムのような絶縁樹脂フィルム等からなる一対の可撓性シート21、22を絶縁スペーサ23を介して重合することにより構成されている。
図2は、可撓性シート21の対向面21aの平面図である。図1及び図2に示すように一対の可撓性シート21、22の対向面内21a、22aには、それぞれ銀ペースト等の導電材からなるスイッチ電極パターン24、グランド電極パターン25がスクリーン印刷等の方法で形成されている。これらスイッチ電極パターン24、グランド電極パターン25には、接点部26に対応する位置に形成されたランド部24a、25aとランド部24a、25aを検知回路30まで導くリード部24b、25bを有する。絶縁スペーサ23も可撓性シートの一種であり、その接点部26に対応する位置には、ランド部24a、25aが互いに接触できるだけの開口径を有する開口部27が形成され、この開口部27を介して、荷重印加時に上下のランド部24aと25aとが接触するような構造となっている。
可撓性シート21は、スイッチ電極パターン24が形成された面と同一面(又はその裏面でも良い)に、検知電極パターン28を形成したものである。この検知電極パターン28は、スイッチ電極パターン24が形成された領域を除く領域のほぼ全てを覆うように形成されている。検知電極パターン28をこのように形成することにより、検知面積を大幅に拡大して、検出感度を向上させることができる。
また、可撓性シート21のスイッチ電極パターン24と検知電極パターン28の間には、スイッチ電極パターン24を取り囲むように可撓性シート21、22及び絶縁スペーサ23を貫通する切り込み41が形成されている。また、可撓性シート21の検知電極パターン24が形成された領域には、可撓性シート21、22及び絶縁スペーサ23を貫通する切り込み42が形成されている。
これら切り込み41、42の詳細な構成及びその効果は、後述する図3A〜図3Cにおいて説明する。
また、グランド電極パターン25は、接触センサの接地電極としてセンサ回路30の端子cを介して接地されている。スイッチ電極パターン24は、センサ回路30の端子aに接続され、グランド電極パターン25との接触時にGNDレベルとなるON/OFF信号を出力する。
検知電極パターン28は、静電容量を検出する検知回路31の入力である端子bに接続されている。検知回路31は、例えば検知電極パターン28と接地との間の静電容量によって決まる周波数又はデューティー比で発振する発振回路と、その出力を積分する低域通過フィルタ等により構成することができる。検知回路31の入力端と電源Vccの間には、抵抗32が接続されている。
次に、このように構成されたハイブリッドセンサ1の動作について説明する。
検知電極パターン28は、スイッチ電極パターン24及びグランド電極パターン25の形成されない領域上に形成されているので、両者の間の静電容量は、それほど大きなものではないものの、両者の間には、寄生容量C0が存在する。もし、検知電極パターン28に物体が接近すると、その近接物と対地との間に発生した容量Cxと寄生容量C0との合成容量Cが増加する。従って、検知回路31により、合成容量Cの変化を検出すれば、人体の接近などを検知する近接センサとして機能する。
このように、ハイブリッドセンサ1の静電容量式センサは、検出すべき物体が存在する側に1枚の検知電極パターン28を形成すれば足り、他方の電極としては、共通のグランド電極パターン25を使用することができる。
次に、図3A〜図3Cを参照して、ハイブリッドセンサ1の切り込み41、42及びハイブリッドセンサ1に曲げ応力が加わった場合を説明する。図3Aは、可撓性シート21、22及び絶縁スペーサ23を重ねたハイブリッドセンサ1に係る図2のa−a断面図、図3Bは図1のA部、図3Cは図1のB部拡大平面図である。
図3A、図3Bに示すように、スイッチ電極パターン24と検知電極パターン28間にハイブリッドセンサ1を貫通する切り込み41を入れると、検知電極パターン28で生じた応力がスイッチ電極パターン24に伝播して誤動作を生じさせるのを防ぐことができる。しかし、その一方でスイッチ電極パターン24が検知電極パターン28に対して比較的自由に移動可能であると、スイッチ電極パターン24と検知電極パターン28が重なる可能性が生じる。そこで、ランド部24a以外で、切り込み41により離間したリード部24bと検知電極パターン28の間を部分的に接続部43で接続している。
また、検知電極パターン28との位置的なずれが生じる際、位置的なずれが応力としてリード部24bを通じスイッチ電極パターン24に加わる。この応力を防ぐために、接続部43は、多少のずれを吸収できるように曲線的な形状となっている。この曲線的な接続により、検知電極パターン27の応力をランド部24aに伝えないようにすることが可能となる。
したがって、切り込み41と接続部43によって、可撓性シート21上において、スイッチ電極パターン24以外の箇所に荷重が加わった場合、その荷重によりスイッチ電極パターン24に曲げが生じることはなく、従来技術に比べ、荷重印加時の誤作動が低減される効果を生じる。
次に、ハイブリッドセンサ1を貼る下地に起伏がある場合における、切り込みの効果を説明する。
ここで、図3Cに示すように、ハイブリッドセンサ1を貼る下地に起伏(ハイブリッドセンサ1の断面(1)或いはハイブリッドセンサ1の断面(2)の方向)がY軸方向にある場合、起伏方向と直交するX軸方向に形成された切り込み42aで応力が吸収される。同様に、下地の起伏がX軸方向にあるとき、起伏方向と直交するY軸方向に形成された切り込み42bで応力が吸収される。
このハイブリッドセンサ1によれば、切り込み42a又は42bの部分で、ハイブリッドセンサ1にx軸方向又はy軸方向の曲げが生じても、容易に曲がり、変形するので、ハイブリッドセンサ1の全体に応力が加わらない。したがって、ハイブリッドセンサ1を貼る際、起伏があっても、応力が分散し、無理なく、起伏のある下地に貼り易くなる。
また、この切り込み42によって、例えば、検知電極パターン28の一部分Cに可撓性シート21の法線方向から荷重が加わっても、切り込み42があるため、D部分だけが変形することにより、応力を逃すことが可能となる。したがって、可撓性シート21全体に加わる応力は低減され、ハイブリッドセンサ1の一部分のみが変形し、人体が感じる感触も良好に改善される。
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
静電容量の変化によって物体、人体等の接近又は距離を検出するセンサおよびシステムに適用できる。
本発明の一実施形態に係るハイブリッドセンサ1の概略構成を示す図である。 図1の可撓性シート21の対向面21aの平面図である。 可撓性シート21、22及び絶縁スペーサ23を重ねたハイブリッドセンサ1に係る図2のa−a断面図である。 図1のA部の拡大平面図である。 図1のB部の拡大平面図である。 従来のハイブリッドセンサの概略構成を示す図である。
符号の説明
1・・・ハイブリッドセンサ
21、22・・・可撓性シート
23・・・絶縁スペーサ
24・・・スイッチ電極パターン
24a・・・ランド部
24b・・・リード部
25・・・グランド電極パターン
25a・・・ランド部
25b・・・リード部
26・・・接点部
27・・・開口部
28・・・検知電極パターン
30・・・センサ回路
31・・・検知回路
41、42・・・切り込み
43・・・接続部

Claims (4)

  1. 電極パターンが形成された可撓性シートを含む複数枚の可撓性シートを重合して構成され、荷重印加によってオンオフするスイッチからなる接触センサと、物体の接近を非接触で検出する静電容量式近接センサとを含むハイブリッドセンサにおいて、
    前記電極パターンは、
    前記接触センサのスイッチを構成するスイッチ電極パターンと、
    前記静電容量式近接センサの検知電極パターンとを含み、
    前記検知電極パターンは、前記スイッチ電極パターンが形成されていない領域のほぼ全体を覆うように形成され、
    前記複数枚の可撓性シートの前記検知電極パターンが形成された領域に前記複数枚の可撓性シートの全てを貫通する複数の切り込みが形成され
    前記スイッチ電極パターンが形成された第1領域と、前記検知電極パターンが形成された第2領域との間に前記切り込みが形成され、前記第1領域及び前記第2領域は、両者の移動を規制し両者が同一面上に配置されるように互いに接続部を残して分離されている
    ことを特徴とするハイブリッドセンサ。
  2. 前記接続部は、曲線状に形成されている
    ことを特徴とする請求項記載のハイブリッドセンサ。
  3. 前記複数の切り込みは少なくとも2つの異なる方向に延びるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハイブリッドセンサ。
  4. 前記複数枚の切り込みは、I字、L字又はT字状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハイブリッドセンサ。
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