JP4514532B2 - 交流損失測定装置及び測定方法 - Google Patents

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Description

超電導体の交流損失を測定する装置及びそれを用いた測定方法に関する。
超電導体に交流電気を通電したり、交流磁界を印加すると、交流損失が発生する。交流損失を測定する方法には、電気的な計測による方法として4端子法やスパイラルループ法、ポインティングベクトル法(住吉ほか、低温工学2000年35巻12号575ページ)がある。磁気的な計測による方法としては、磁化法(特開平9−297168号公報)がある。熱的な計測による方法としては、カロリーメトリック法がある。
上記計測方法のうちカロリーメトリック法は、サンプルで発生した損失を熱エネルギーに変換して、その熱量を計測することが基本原理であり、サンプルの形状、性質、及び大きさなどに起因する測定時の制約が他の2方法に比べて少ない点が優れていると言われている。カロリーメトリック法の例として、蒸発式カロリーメトリック法について特開昭61−207957号公報、特開平9−101277号公報の記載を図2を参照しながら説明する。
測定用サンプル101は液体ヘリウムや液体窒素のような冷媒103が貯められている容器111の下部に配置されている。この状態で、サンプル101に外部電源105から交流電気を通電する、あるいは外部磁石107から交流磁界を印加すると、交流損失が発生する。サンプル101に発生した交流損失は、熱エネルギーとして周囲へ放散する。すなわち、サンプル101に発生した損失エネルギーは、熱エネルギーとしてサンプル101の表面を通して容器中の冷媒103を加熱し、加熱されて気化した冷媒103はガス109として容器111の内側の冷媒中を上昇する。
容器111を上昇して、管115、ビニールチューブ117を通過したガス109は体積流量計119によりガス流量が計測される。すなわち、単位時間当たりの発生ガス量を流量計や目盛り付きシリンダーを用いて計測することにより交流損失を求めることができる。
特開昭61−207957号公報 特開平9−101277号公報
前記の蒸発式カロリーメトリック装置は、サンプル101で発生したガス量を計量することで、サンプル101で発生した熱を求める測定装置である。ところで、測定精度を向上させたいとか、測定可能時間を増加させたいといったとき、図2に示すようにサンプル容器がクライオスタット113内部に配置されると効果的である。この場合には、サンプル容器の外径が50mm程度で、クライオスタット内部の冷媒の深さが20cmである。しかし、サンプルの大きさを実機の大きさ程度にしたとき、冷媒の深さも1m程度となり、容器をクライオスタット内部に配置させている場合には、下記のような問題があった。
すなわち、サンプルから発生した熱は容器の壁面に伝達されて容器の外側に到り、加熱された容器の外側で冷媒がガス化して泡を形成する現象が発生した。また、容器111に取付けられた管115を泡状のガス109が上昇する間に、管115の外側にある冷媒103とガスとの熱交換によってガスが再凝縮して液化する現象が発生した。このような現象が発生すると、サンプルで発生した熱に相当するガス量と計測したガス量に大きな差が生じ測定不能となった。
さらに、管115の径が小さい場合には、発生した泡状のガス109が管内部の冷媒から抜出る際、液面が突沸状態になって飛沫が発生し、その飛沫がガス化してガス量が増大し、見かけ上サンプルの発熱量が増大したように観測されることもあった。
従って、本発明は、測定精度の向上、測定可能時間を増加できるとともに、サンプルの形状や寸法、サンプル材質に関して制約のない損失測定装置を提案するものである。
前記課題を解決するために本発明の第1の態様は、内部にサンプルを収容した非金属製の容器の内側と外側の両側に冷媒を貯え、サンプルに発生した熱によって前記容器の内部の冷媒を気化させてガスを発生させ、前記発生させたガス量を計測してサンプルの熱損失を測定する装置であって、前記容器に設けられた断熱手段と、前記容器の内部に設けられたヒーターと、前記容器の外部へ導く管について、前記容器内部で発生したガスが前記管内の冷媒の液面から排気される際に、冷媒が飛沫状となって飛散することを防止する飛散防止手段とを備え、前記飛散防止手段は、前記管の内径D(mm)が測定発熱量に対して式D=[5×(P+3)]/4(D:管の内径(mm)、P:測定の発熱量(W))で求めた値以上となることを特徴とし、サンプルの熱損失を測定する際に、予め前記ヒーターに一定の発熱状態を与えて前記ヒーターから定常的に泡が発生するようになった後に、前記ヒーターの定常的発熱状態を継続させながら前記サンプルに熱損失を発生させて前記ヒーターと前記サンプルとの合計発熱量を計測し、前記計測した合計発熱量から前記ヒーターの発熱量を差し引いて前記サンプルの発熱量を求めることを特徴とする交流損失測定装置である。
本発明の第2の態様は、前記管内の冷媒の液面に障害物を配置させることを特徴とする交流損失測定装置である。
本発明の第の態様は、前記断熱手段は、前記容器に真空断熱層が形成され、前記容器の壁の厚さtが、容器内部の冷媒が容器壁を介して外部へ伝達する熱伝導量Q(式(1))が前記交流損失測定装置の精度の同程度若しくはそれより以下になる厚さであるかの、いずれか1種又両者を組み合わせたものであることを特徴とする交流損失測定装置である。
=A×λ×ΔT/t・・・・(1)
ここで、各アルファベットは以下を示す。
:熱伝導量(W)
λ:冷媒の温度付近における容器材料の熱伝導率(W・m−1・K−1
:容器の表面積(m
ΔT:容器内外の温度差(K)
:容器の壁の厚さ(m)
本発明の第の態様は、前記ヒーターは、マンガニン線、ニクロム線、金属被膜抵抗体、又はセラミック抵抗体から選択される発熱体の、いずれか1種又は2種以上を組み合わせた発熱体であり、かつ定常発熱可能なことを特徴とする交流損失測定装置である。
本発明の第の態様は、前記容器には、前記容器に接続され前記容器の内部で発生したガスを前記容器の外部へ導く管が備えられ、該管には断熱手段が設けられていることを特徴とする交流損失測定装置である。
本発明の第の態様は、前記断熱手段は、前記管に真空断熱層が形成されているか、又は前記管の材質に非金属材料が選定され、前記管の壁の厚さtが、管内部の冷媒が管壁を介して外部へ伝達する熱伝導量Q(式(2))が前記交流損失測定装置の精度の同程度若しくはそれより以下になる厚さであるかの、いずれか1種又両者を組み合わせたものであることを特徴とする交流損失測定装置である。
=A×λ×ΔT/t・・・・(2)
ここで、各アルファベットは以下を示す。
:熱伝導量(W)
λ:冷媒の温度付近における管材料の熱伝導率(W・m−1・K−1
:管材料の表面積(m
ΔT:管内外の温度差(K)
:管の壁の厚さ(m)
本発明の第の態様は、前記交流損失測定装置を用いてサンプルの損失を測定する交失測定方法であって、前記ヒーターに一定の発熱状態を与えて前記ヒーターの発熱量を測定し、前記ヒーターの定常的発熱状態を継続させながら前記サンプルに熱損失を発生させ、前記ヒーターと前記サンプルの合計発熱量を計測し、前記合計発熱量から前記ヒーターの発熱量を差し引いて前記サンプルの発熱量を測定することを特徴とする交流損失測定方法である。
蒸発式カロリーメトリック法による交流損失測定装置において、クライオスタットを用いた測定が可能であり、測定精度の向上、測定可能時間を増加できるとともに、サンプルの形状や寸法、サンプル材質に関して制約のない損失測定装置を提供し、該測定装置を用いた測定方法が可能になった。
すなわち、本発明によって、蒸発式カロリメトリック法の損失測定装置において、クライオスタットを用いてサンプル容器を大きくした場合でも損失測定が可能になった。このクライオスタットを用いることで、外部からの熱侵入が抑えられて測定精度が向上し、さらにクライオスタットの断熱特性によって冷媒の自然蒸発量を低く保持することができるので測定可能時間も増加し、さらにはこれらの効果によってサンプルの大きさを実機級に大きくすることができる。
図1を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明は、サンプルに発生した熱によって冷媒を気化させてガスを発生させ、ガス量を計測してサンプルの熱損失を測定する装置であって、前記容器に断熱手段が備えられ、かつ前記容器の内部に定常発熱可能なヒーターが設けられていることを特徴とする。
ここで、サンプルを収容した非金属製容器に断熱機能を備えるということは、例えば、容器の壁に真空断熱層を形成させるか、あるいは、容器の壁を厚くして容器の壁を介して容器内部と外部の熱伝達を遮断することが望ましい。
真空断熱層は、例えば、二重構造の壁であって、その二重壁の中間が真空層、又は断熱材を配置した真空層である(例えば、魔法瓶のような構造である。)。
また、容器の壁厚を大きくすることは、容器内部で発生した熱が水平方向に伝達して、壁を通して外部に流出するので測定誤差が大きくなることを考慮して、容器の壁厚を容器の壁を介した熱伝達を抑えられる必要な厚さ以上にすることである。
クライオスタット25に貯液された冷媒3について、冷媒の深さ方向の上部と下部では温度差がある。容器外部の冷媒は、マグネット7の運転などによって撹拌されて、例えば深さ方向の温度勾配が解消する。ところが、容器内部の冷媒について、深さ方向の温度差は解消されない。すなわち、同じ深さ位置では、容器の内と外で温度差が生じることになる。そのため、容器の壁が薄く、熱伝導が大きい場合には、発熱によって生じた冷媒の高温領域は、泡を形成して容器内を上昇するよりも、壁を伝わって容器外部で泡を形成して流出する方が多くなる。
そこで、本発明では、容器の壁厚を容器の壁を介した熱伝達を抑えられる必要な厚さ以上にする。ところで、容器の壁の厚さをt(m)とすると、tの値を決める因子は、容器内部と容器外部の温度差ΔT(K)と、容器の熱伝導率λ(W・m−1・K−1)と、容器の表面積A(m)を用い、熱伝導量を示す式Q=A×λ×ΔT/tから求めることができる。交流損失測定装置の測定精度を±Δp(W)としたいときに、熱伝導量QがΔpの値より大きい場合は測定できない。熱伝導量QはΔpの値と同程度、好ましくはΔpの値の10分の1程度に抑えておくと測定が測定可能となる。従って、Qの値を抑える容器の壁の厚さtを求めることが望ましい。
上記tを求める方法について、以下の例により説明する。通常のクライオスタットの場合には、貯液深さは1mから3m程度であり、この場合の温度差は、0.1Kから1K程度になる。クライオスタットの深さを1m程度として、容器の材質がFRPの場合を計算してみる。FRPの77Kにおける熱伝導率λは、0.348(W・m−1・K−1)であるから、容器表面積Aを、例えば0.147mとし、容器の壁の厚さtを25mmとし、容器の位置するところから液面までの深さを300mmとし、冷媒を液体窒素とすると、液体窒素の液面と容器の深さ300mmでは、大気圧を1気圧とすると温度差は0.206Kと求まる。
容器外部の同じ深さの冷媒は、撹拌されるなどで大気圧における均一な飽和温度である場合には、容器の内外の平均温度差は前記上下温度差の1/2、0.103Kとなり、熱伝導量Qは、計算式Q=A×λ×0.103/tから求められる。ここで、各変数に上記の数値を代入してQの値を求めると、Q=0.2Wとなる。この値は、装置の感度±0.2Wとした場合には、満足される値となる。従って、容器厚さは25mmが必要となる。このように容器の厚さを設定すれば良い。もちろん、前記の方法を組合わせることも可能である。
定常発熱可能なヒーターとしては、通電により発熱する材料から選択することが望ましく、例えば、マンガニン線をコイル状に形成したもの、ニクロム線からなるもの、金属被膜抵抗体やセラミック抵抗体などの発熱体を用いても良い。もちろん、前記発熱体を組合わせて用いても良い。
また、容器内部で発生したガスが容器に接続されている管を上昇する際に、クライオスタット内部に配置されている部分で管の外側の冷媒とガスとの熱交換により、ガスが再凝縮して液化することを防ぐ方法としては以下の例があげられる。
すなわち、前記容器の壁と同様な方法を用いて、管に真空断熱を施したり、非金属性材料を用いて管を形成したり、管の壁の厚さを厚くすれば良い。もちろん該方法を組合わせることも可能である。
ここで、容器の壁の厚さをt(m)とすると、tの値を決める因子は、管内外の温度差ΔT(K)と、冷媒の温度付近における管材料の熱伝導率λ(W・m−1・K−1)と、管材料の表面積A(m)を用い、熱伝導量を示す式Q=A×λ×ΔT/tから求めることができる。交流損失測定装置の測定精度を±Δp(W)としたいときに、熱伝導量QがΔpの値より大きい場合は測定できない。熱伝導量Qの値はΔpの値と同程度、好ましくはΔpの値の10分の1程度に抑えておくと測定が可能となる。従って、Qの値を抑える管の壁の厚さtを求めることが望ましい。
なお、非金属性管の厚さが25mm未満の場合には、管内部を上昇する気泡と管外部の冷媒との間の温度差による壁面を通した熱伝達で、気泡が消失することが起こり、測定誤差が大きくなるからである。このようにして、再凝縮を抑制することで、ガス量計測によりサンプルの熱損失を正しく測定できる。
更に、泡状のガスが冷媒の液面から出るときに液面が突沸状態となって飛沫が発生し、その飛沫がガス化してガス量が見掛け上増加することを防ぐ方法として以下の例があげられる。すなわち、管の内径を大きくしたり、管内部の冷媒液面付近に亘ってボール状あるいは他の形状の障害物を配置して液面が突沸状態になるのを防いだり、落としぶたとなるような盤状もしくは皿状の部材を液面に浮かべて飛沫発生を防ぐことができる。
管の内径D(mm)としては、発熱量P(W)に対して、D≧[5×(P+3)]/4となるようにすることが望ましい。理由は、これよりも小さい径では、冷媒の飛沫が気泡と一緒に管を上昇し、その飛沫が室温部分でガス化して、測定誤差を過大なものにしていた。そこで、サンプルよって、様々な発熱量測定に対応するために、管の直径を変更できるような構造を備えるか、あるいは予め直径を十分に大きい管を用いることが望ましいからである。
上記の理由を以下に詳細に説明する。例えば、サンプルの発熱量1Wに対しては、管内径5mm以上が必要であった。これよりも、小さい径では冷媒の飛沫が気泡と一緒に管を上昇し、その飛沫が室温部分でガス化して測定誤差を過大なものにしていた。また、約5Wの発熱では、管内径10mm以上が必要であった。さらに、約9Wの場合は、15mm以上が必要であった。
上記から、管の内径をD(mm)とすると、発熱量P(W)に対してD≧[5×(P+3)]/4以上となるようにすることが望ましいことがわかった。そこで、サンプルの発熱によって管径を変更できるような構造にした。
また、管内部の液面付近に配置させる障害物は、ボール状のものや、他の形状のものでもよい、形状については拘らず、要は飛沫防止できればよい。液面に浮かべる盤状もしくは皿状の部材は、落し蓋のような飛沫防止効果があるものが望ましい。
また、本発明にかかる損失測定装置を利用して熱損失を測定する場合、容器内部に設置したヒーターに一定の発熱条件を与え、ヒーターから定常的に泡が発生するようになってから、サンプルに通電したり、磁界を印加して損失を発生させ、ヒーターの発熱によるガス量とサンプルによるガス量との合計を計測し、合計ガス量からヒーターのみの発熱によるガス量を差し引いてサンプルの発熱量を求めることができる。
すなわち、本発明では、予めヒーターに一定の発熱状態(発熱条件)を与え、ヒーターから定常的に泡が発生するようになってから、前記ヒーターの定常的発熱状態を継続させながら前記サンプルに通電したり、磁界を印加して熱損失を発生させ、前記ヒーターと前記サンプルによるガス量の合計から合計発熱量を計測し、前記計測した合計発熱量から前記ヒーターの発熱量を差し引いてサンプルの発熱量を求めることができる
図1を参照しながら実施例を説明する。サンプル1は、銀合金シース式酸化物超電導テープ線である。超電導体はBiSrCaCuとして知られているBi2223系材料を用いて銀合金シースに内部にフィラメントとして配置したものである。テープの寸法は、幅が4mmであり、厚さが0.3mmであった。
このサンプル1をサンプルホルダー(図示せず)に巻き付けて固定した。このホルダーはFRP製の円筒であって、内径が140mmφ、外径が150mmφ、高さが80mmであった。サンプル1は、このホルダーの外周部に50mmにわたって12ターン巻き付けた。ホルダーはサポート23により支持させた。
容器11は、FRP製の真空断熱層を有する筒状蓋15、FRP製の円盤状の底板13、及び筒状蓋15の上部に設けられた、発生したガス9を捕集して、集合させるために形成されたフード12により構成され、フード12の上端にはガス導通用の管27を設けた。なお、筒状蓋15、底板13、及びフード12には真空断熱層を設けず、FRPの厚さを25mm以上としても良い。もちろん、両方を備えていても良い。
底板13には、底板13を貫通して通電用端子17を設けた。通電用端子17について、容器11の内側には、ヒーター19を取付けた。ヒーターは、通電により発熱する材料から選択し、本例では、直径0.5mmφ、長さ1mのマンガニン線をコイル状に形成して用いた。ヒーターは、外部のヒーター用電源39を用いてスイッチの入切り、及び電圧調製等を行った。
また、容器11の筒状蓋15の下側に、例えば図1に於いては筒状蓋15の左下側の一箇所に気液分離壁35を設けた。気液分離壁35は、必要に応じて設ければ良い。分離壁35は、銅メッシュやナイロンメッシュなどのメッシュ材を筒状蓋15の側壁に設けた穴に取付けて形成される。本例では、直径が20mmφの孔を筒状蓋15の下部側壁1カ所に開け、該孔にナイロンメッシュを接着して設けた。この気液分離壁35を設けることにより、容器11の外側から冷媒は流入することができるが、容器11の外側で発生したガスの容器内部への侵入を抑制して測定誤差の発生を回避することができる。なお、容器11は、支持部材37に固定した。
電極板21は、幅5mm、長さ20mm、厚さ2mmの銅板製である。サンプル1の両端部は、電極板21に各々ハンダ付けにより接続した。また、外部電源5からサンプル1へ交流通電が可能となるように、電極21にはクライオスタット25の外側から引き込まれた電流リードをハンダ付けにより接続した。
クライオスタット25は、内径が500mmφ、高さが1.8mのFRP製の真空断熱容器であり、真空層にはスリットの入ったスーパーインシュレーションを用いた。冷媒3には液体窒素を用いた。なお、他の冷媒、例えば液体ヘリウム、液体水素等を用いて良いことはもちろんである。
サンプル1への交流通電により交流損失が発生する。交流損失を発生させる別の方法として、容器11を交流磁石7の内側に設置して、交流磁界をサンプル1に印加することでも可能である。この交流磁界を用いる場合には、サンプル1の両端は開放状態とする。
サンプル1で発生した交流損失により周囲の冷媒3が気化してガス9が発生した。ガス9は容器11の中を上昇して、容器11の頂部に接続された管27を通り、クライオスタットの外部に取出した。管27は、FRP製で、内径が12mmφ、長さが2mであり真空断熱層を備えている。ここで、管27は、真空断熱層のほかに、例えばFRPなどの非金属製の材料を用い、その厚さが25mm以上であれば良い。
また、様々な発熱量を測定することに対応できるように、管の直径を変更できるような構造にしても良い。この構造は、具体的には容器頂部にテーパー付きネジ溝を設け、このネジ溝に合うように管にもテーパー付きネジを加工して、ねじ込み式として良い。ネジ部にはシーリングテープを数回巻き付けてガスが、外部に流出することを防ぐことが望ましい。
管27の一方端にはビニールチューブ(材質:軟質PVC)33を繋いだ。このビニールチューブ33は、約15℃に保持された水槽が設けられた恒温槽29に繋いだ。恒温槽29の水槽中には銅パイプが通されており、ガス9の温度が15℃程度に保持された。
この後、ガス9は、湿式体積流量計31に導入されて単位時間当たりの流量が計測され、ガス9の単位体積当たりの蒸発潜熱値を用いてサンプルの損失量を算出した。
超電導体の交流損失の測定に利用できる。
本発明の測定装置の説明図である。 従来例の測定装置の説明図である。
符号の説明
1 サンプル
3 冷媒
5 交流通電電源装置
7 交流磁石
9 ガス
11 容器
12 フード
13 底板
15 筒状蓋
17 通電用端子
19 ヒーター
21 電極板
23 サポート
25 クライオスタット
27 管
29 恒温槽
31 湿式体積流量計
33 ビニールチューブ
35 気液分離壁
37 支持部材
101 サンプル
103 冷媒
105 外部電源
107 外部磁石
109 ガス
111 容器
113 クライオスタット
115 管
117 ビニールチューブ
119 湿式体積流量計

Claims (7)

  1. 内部にサンプルを収容した非金属製の容器の内側と外側の両側に冷媒を貯え、サンプルに発生した熱によって前記容器の内部の冷媒を気化させてガスを発生させ、前記発生させたガス量を計測してサンプルの熱損失を測定する装置であって、
    前記容器に設けられた断熱手段と、前記容器の内部に設けられたヒーターと、前記容器の外部へ導く管について、前記容器内部で発生したガスが前記管内の冷媒の液面から排気される際に、冷媒が飛沫状となって飛散することを防止する飛散防止手段とを備え、
    前記飛散防止手段は、前記管の内径D(mm)が測定発熱量に対して式D=[5×(P+3)]/4(D:管の内径(mm)、P:測定の発熱量(W))で求めた値以上となることを特徴とし、
    サンプルの熱損失を測定する際に、予め前記ヒーターに一定の発熱状態を与えて前記ヒーターから定常的に泡が発生するようになった後に、前記ヒーターの定常的発熱状態を継続させながら前記サンプルに熱損失を発生させて前記ヒーターと前記サンプルとの合計発熱量を計測し、前記計測した合計発熱量から前記ヒーターの発熱量を差し引いてサンプルの発熱量を求めることを特徴とする交流損失測定装置。
  2. 前記管内の冷媒の液面に障害物を配置させることを特徴とする請求項1に記載の交流損失測定装置。
  3. 前記断熱手段は、前記容器に真空断熱層が形成され、前記容器の壁の厚さtが、容器内部の冷媒が容器壁を介して外部へ伝達する熱伝導量Q(式(1))が前記交流損失測定装置の精度の同程度若しくはそれより以下になる厚さであるかの、いずれか1種又両者を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1に記載の交流損失測定装置。
    =A×λ×ΔT/t・・・・(1)
    ここで、各アルファベットは以下を示す。
    :熱伝導量(W)
    λ:冷媒の温度付近における容器材料の熱伝導率(W・m−1・K−1
    :容器の表面積(m
    ΔT:容器内外の温度差(K)
    :容器の壁の厚さ(m)
  4. 前記ヒーターは、マンガニン線、ニクロム線、金属被膜抵抗体、又はセラミック抵抗体から選択される発熱体の、いずれか1種又は2種以上を組み合わせた発熱体であり、かつ定常発熱可能なことを特徴とする請求項1又はに記載の交流損失測定装置。
  5. 前記容器には、前記容器に接続され前記容器の内部で発生したガスを前記容器の外部へ導く管が備えられ、該管には断熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の交流損失測定装置。
  6. 前記断熱手段は、前記管に真空断熱層が形成されているか、又は前記管の材質に非金属材料が選定され、前記管の壁の厚さtが、管内部の冷媒が管壁を介して外部へ伝達する熱伝導量Q(式(2))が前記交流損失測定装置の精度の同程度若しくはそれより以下になる厚さであるかの、いずれか1種又両者を組み合わせたものであることを特徴とする請求項に記載の交流損失測定装置。
    =A×λ×ΔT/t・・・・(2)
    ここで、各アルファベットは以下を示す。
    :熱伝導量(W)
    λ:冷媒の温度付近における管材料の熱伝導率(W・m−1・K−1
    :管材料の表面積(m
    ΔT:管内外の温度差(K)
    :管の壁の厚さ(m)
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の交流損失測定装置を用いてサンプルの損失を測定する交流損失測定方法であって、
    前記ヒーターに一定の発熱状態を与えて前記ヒーターの発熱量を測定し、
    前記ヒーターの定常的発熱状態を継続させながら前記サンプルに熱損失を発生させ
    前記ヒーターと前記サンプルの合計発熱量を計測し、
    前記合計発熱量から前記ヒーターの発熱量を差し引いて前記サンプルの発熱量を測定することを特徴とする交流損失測定方法。
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