JP4513393B2 - 燃料電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
接触抵抗を減らす例として、アノード側の燃料の供給とカソード側の空気の供給を分離するためのセパレータを用いた構造の燃料電池では、セパレータを介して荷重を構成部材に均一に加える方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明の第二の目的は、第一の目的に加えて、発電効率を向上させることができる燃料電池の製造方法を提供することにある。
この発明では、単位セルが、薄型の膜電極接合体とアノード電極にのみ燃料を供給する袋状の領域とを含んで構成されるので、水素とカソード電極に供給する空気とを分けるセパレータが必要でなくなる。従って、薄型でフレキシブルな単位セルが得られる。その単位セルが渦巻状に巻かれているので、電極面積が大きな単位セルであっても、小さい体積にコンパクトに収納することが可能である。
単位セル当りの電極面積を大きくして容量を増やし、コンパクトに収容できた単位セルを複数集めて燃料電池を構成すれば起電力も高くなり、出力の大きな燃料電池が得られる。
また、本発明では、前記一対の膜電極接合体は、長方形部分と二等辺三角形部分とで五角形状に形成され、前記袋状の領域は、前記シール層により前記五角形状に形成され、前記袋状の領域において、前記二等辺三角形の領域には、複数の仕切層が前記水素の供給方向に沿って配設されていることが好ましい。
さらに、本発明では、前記一対の膜電極接合体は、矩形状に形成され、前記一対の膜電極接合体の間において、前記シール層は、前記膜電極接合体の長辺側が開口するように配置され、前記膜電極接合体の前記空気透過部材と対向する側の面には、前記膜電極接合体において、前記開口する長辺側とは反対側の長辺側が開口するようにシール層が配置されることが好ましい。
高分子固体電解質膜は、プロトン透過性であり水素燃料も透過しやすい。そこで、この発明では、これらの気体非透過層を必要な場所に設けることにより、より確実に袋状の領域からの気体の漏出が防げる。
この発明では、単位セルが渦巻状に巻かれる際に生じる渦巻に沿った間隙がカソード電極に空気を供給する領域となる。その間隙を同方向とすると、空気の流れが一定方向となり、制御する構造が簡便にできる。従って、複数の単位セルを集めて燃料電池を構成しても小型化する。また、単位セルへの空気の流れも淀みがなくなり、各単位セルの発電効率が高まる。
この発明では、単位セルが巻かれた際に生じる渦巻きの外周から中心に加わった締付力を保持する保持部材を設けることで、巻かれた単位セルの形状と単位セルの電極の構成部材間に加わった力が保持され、電極の構成部材間の接触抵抗が低く抑えられて発電効率が向上する。
この発明では、渦巻状に巻かれた単位セルの外周から渦巻き中心方向に力を加えて固定するので、電極の構成部材間に均一に力がかかった状態が維持され、電極の構成部材間の接触抵抗が低く抑えられて発電効率が向上する。
図1は、本実施形態に係る燃料電池1の全体図、図2は、燃料電池1を構成するユニット20の斜視図、図3は、ユニット20を形成している単位セル7の平面図、図4は、ユニット20を展開した状態の単位セル7を示す断面図である。
図1において、燃料電池1は、7個の発電用のユニット20を備えている。ユニット20は円柱形で、底面と上面とを揃えて側面が接するように稠密に並べられている。ユニット20間に生じた隙間および外周は、パテ30によって埋められ接着されている。ユニット20は、水素入口12を備えていて、それらはまとめられている。燃料電池1に供給される空気は、矢印方向に流れ、水素入口12からは燃料である水素が供給される。
図3において、単位セル7には、水素入口12が設けられ、反対側に水素出口16が設けられている。ここで、水素入口12と水素出口16と取出電極10とは、シール層8に挟まれて気密性を保った状態で内側から延長され、外部に引き出されている。取出電極14は、アノード側の取出電極10とは反対側に引き出されている。なお、水素入口12と水素出口16および取出電極の数は複数であってもかまわない。
アノード電極4には燃料である水素が供給され、カソード電極5には空気(酸素)か供給される。それぞれの電極は、水素酸化や酸素還元の反応を促進させるための白金または白金合金等の触媒が担持されたカーボンから構成される。
シール層8は、熱で変形させた後固化できる熱可塑性の樹脂からなる熱溶着フィルム(ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、およびそれらの混合物)であってもよいし、光により固化する光硬化性型樹脂(可視光硬化型、UV硬化型)でもよい。
取出電極10,14は、水素や酸素を透過する電気抵抗の低いメッシュ状部材で、例えば金属のメッシュ等が使用できるし、任意の形状の金属箔であってもよいし、リード線等の導電性を有するものであればよい。
先ず、単位セル7と空気透過部材15を渦巻状に巻いてユニットを形成する工程を説明する。
矩形の単位セル7の、水素入口12、水素出口16、取出電極10,14が引き出されていない辺の片側に、剛性のある巻芯18を合わせる。次に、単位セル7を構成する部材と空気透過部材15を合わせて、実線矢印方向に巻芯18を回転させて、締め付けるように力を加えながら巻いていく。このとき、外側と内側では巻かれる長さに違いがあるので、予め外側になる膜電極接合体2等の部材を巻く方向に長めに調整しておく。また、単位セル7を構成する部材も巻く際に多少ずれるので、シール層8にはまだ加熱や紫外線の照射は行わずに各部材が固定されない状態で巻く。
巻きが終了後、図1に示したように単位セル7の末端を止め材17で固定する。ここで、単位セル7は力を加えながら巻かれているので、このように固定された状態で加熱するか紫外線を照射して単位セル7のシール層8の固定を行うと、単位セル7の電極の構成部材に力が加わった状態が維持される。
(1)単位セル7が薄型の膜電極接合体2とアノード電極4にのみ燃料を供給する袋状の領域から構成されるので、燃料と空気の供給の際にそれらを分けるセパレータを不要にでき、薄型でフレキシブルにできる。従って、その単位セル7が渦巻状に巻かれているので、電極面積が大きく容量の大きい単位セルであっても、少ない体積でコンパクトに収納できて、ユニット20を形成できる。
例えば、一つのユニット20からなる燃料電池1に空気を供給する構成の変形例1を図6に示した。
図6において、燃料電池1は、片側を覆うようにフード19を備えている。フード19内の空気は、矢印方向に吸引されている。このように空気を吸引することによって、巻かれた単位セル7間の狭い間隙にも空気を効率よく供給することができる。もちろん、このような構成の燃料電池1を複数集めて燃料電池を構成することも可能である。
例えば、前記実施形態では、一対の膜電極接合体2を含む単位セル7を巻いてユニット20を構成していたが、本発明では、一つの膜電極接合体2を含む単位セル7を使用してもよい。
以下、変形例2を図面に基づいて説明する。図7に変形例2の単位セル7の断面図を示した。この単位セル7を前記実施形態と同様に空気透過部材15とともに巻くことにより、ユニット20を得ることができる。
例えば、前記実施形態では、矩形の膜電極接合体2としていたが、本発明では、矩形以外の膜電極接合体2を利用して袋状の領域を形成してもよい。
以下、変形例3を図面に基づいて説明する。図8に変形例3の単位セルの平面図を示した。
図8において、一対の膜電極接合体2は矩形ではなく異形の六角形をしており、袋状の領域も図示されていないシール層によって家形に形成されている。家形をした袋状の領域の屋根部分には水素入口12が設けられ、反対側に水素出口16が設けられている。袋状の領域の屋根部分全体には、適当な間隔で仕切層23が設けられている。仕切層23は、シール層と同様の材料で形成することができ、水素を袋状の領域全体にいきわたらせる役目と、屋根部分の膜電極接合体2の接着も兼ねる。
例えば、前記実施形態では、単位セル7を一方向から巻いていたが、本発明では、両側から巻いてもよい。
以下、変形例4を図面に基づいて説明する。図9に変形例の水素入口12から見た断面図を模式的に示した。
図9において、実施形態と同様に一対の膜電極接合体を含む単位セルと空気透過性部材(図示せず)は、両側から同じ量だけ巻かれている。このように巻くことにより、巻きの外周と内周で部材(例えば膜電極接合体)の長さを調整する必要がなくなる。
例えば、前記実施形態では、水素の導入を水素入口12から行い反対側の水素出口16から排出して、空気の供給、排出を一方向に向かって行っていたが、本発明では、水素入口12や水素出口16を特別設けることなく、水素や空気の供給、排出を同方向から行なってもよい。
図10には、変形例5の単位セル7の斜概略図、図11には、渦巻状に巻かれた単位セル7を複数備えた燃料電池1の全体図を示した。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 高分子固体電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んだ一対の膜電極接合体、前記各アノード電極の対向する側にそれぞれ配置され、前記アノード電極で発生した電力を外部に取り出す取出電極、及び前記一対の膜電極接合体の間をシールするシール層と前記各取出電極との間に形成される袋状の領域を有する単位セルと、
前記単位セルに空気を供給する空気透過部材とを備え、
前記袋状の領域には、水素が供給及び排出され、
前記単位セルと前記空気透過部材とは、渦巻状に巻かれている
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池において、
前記一対の膜電極接合体は、長方形部分と二等辺三角形部分とで五角形状に形成され、
前記袋状の領域は、前記シール層により前記五角形状に形成され、
前記袋状の領域において、前記二等辺三角形の領域には、複数の仕切層が前記水素の供給方向に沿って配設されている
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池において、
前記一対の膜電極接合体は、矩形状に形成され、
前記一対の膜電極接合体の間において、前記シール層は、前記膜電極接合体の長辺側が開口するように配置され、
前記膜電極接合体の前記空気透過部材と対向する側の面には、前記膜電極接合体において、前記開口する長辺側とは反対側の長辺側が開口するようにシール層が配置される
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池において、
前記高分子固体電解質膜の前記電極が形成されていない部分には、気体非透過層が設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池において、
前記単位セルが渦巻状に巻かれることによって生じる間隙が同方向で開口するように、複数の前記単位セルが配置されていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料電池において、
渦巻状に巻かれた前記単位セルの外周から渦巻中心方向に加わった締付力を保持する保持部材が設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 高分子固体電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んだ一対の膜電極接合体と、前記各アノード電極の対向する側にそれぞれ配置され、前記アノード電極で発生した電力を外部に取り出す取出電極と、及び前記一対の膜電極接合体の間をシールするシール層と前記各取出電極との間に形成されるとともに、水素が供給及び排出される袋状の領域とを有する単位セルを渦巻状に巻く工程と、前記単位セル全体に外周から渦巻き中心方向に力を加えた状態で、前記単位セルを固定する工程とを備える燃料電池の製造方法であって、
前記単位セルを渦巻状に巻く工程において、前記単位セルに空気を供給する空気透過部材を前記単位セルと合わせて巻く
ことを特徴とする燃料電池の製造方法。
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