JP4512030B2 - ダイヤモンド焼結体 - Google Patents

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Description

この発明は、耐摩耗性、耐欠損性に優れ、旋削工具、フライス工具、エンドミルなどに代表される切削工具の切れ刃や線引きダイスに代表される耐摩工具の材料、さらには電極部品などの電子材料として使用するのに好適なダイヤモンド焼結体に関する。
ダイヤモンドは、地球上に存在する物質の中で最も高硬度であり、ダイヤモンド粒子を原料にして人工的に製造されるダイヤモンド焼結体は、切削工具や耐摩工具などに使用されている。例えば、下記特許文献1や特許文献2は、ダイヤモンド粒子をコバルトなどの鉄族金属を結合材にして焼結したダイヤモンド焼結体を開示している。特許文献1,2が開示しているダイヤモンド焼結体は、単結晶ダイヤモンドの欠点であるへき開性による欠損が生じ難いため、Al−Si合金などの非鉄金属材料を切削加工するための工具の切れ刃の素材などとして広く用いられている。
このダイヤモンド焼結体の中で、ダイヤモンド粒子の平均粒径が大きいもの、例えば、その平均粒径が20μm以上、100μm以下のものは、ダイヤモンドの含有率が高く、耐摩耗性に優れる。一方、ダイヤモンド粒子の平均粒径が小さいもの、例えば、平均粒径が5μm未満の微粒ダイヤモンド粒子で構成されるダイヤモンド焼結体は、耐欠損性に優れる。中でも、平均粒径が1μm以下の超微粒ダイヤモンド粒子で構成されるダイヤモンド焼結体は、耐欠損性が特に優れる。
ところで、ダイヤモンド焼結体の性能向上を図る場合には、出発原料のダイヤモンド粒子を微粒化することで耐欠損性の向上を図るか、粗粒化することで耐摩耗性の向上を図るかのどちらかに限られていた。
そこで、下記特許文献3が開示しているように、微粒ダイヤモンド粒子に結合材の被覆を行うことが考え出された。その結合材の被覆を行うことによって結合材のプールや空隙或いは不純物の少ない高密度な焼結を行うことが可能になり、この手法で微粒ダイヤモンド焼結体の弱点である耐摩耗性の向上を図ったダイヤモンド焼結体が製品化されて実用に供されている。
しかしながら、結合材のプールや空隙或いは不純物を低減したとしても、微粒ダイヤモンド粒子を、耐摩耗性に優れる粗粒ダイヤモンド焼結体と同等の高ダイヤモンド含有率に焼結するためには、粒子の表面積が増加することによる粒子間の摩擦力の増加に対応するために、ダイヤモンドが生成し得る焼結条件の中でも、より高い圧力と温度が必要となる。その場合、超微粒ダイヤモンド粒子は非常に活性に富んでいるため、ダイヤモンド粒子の異常な粒成長が起こりやすくなる。異常粒成長部を有する焼結体はWEDM(ワイヤー放電加工機)による切断が不可能になり、ダイヤモンドの機械的強度も低下する。粒径が1μm以下の超微粒ダイヤモンド粒子とコバルト(Co)或いは炭化タングステン(WC)−Coなどの鉄族金属を出発原料として焼結を行うと、異常な粒成長が不可避となるため、粒径が1μm以下で均質な組織を有するダイヤモンド焼結体を歩留りよく得るのは困難である。
そのため、1μm以下の超微粒ダイヤモンド粒子を平均粒径が20〜30μmの粗粒ダイヤモンド粒子と同等の含有率で焼結することは、事実上不可能であり、1μm以下の超微粒ダイヤモンド粒子で構成されるダイヤモンド焼結体は、平均粒径が20〜30μmのダイヤモンド粒子で構成されるダイヤモンド焼結体と比べると耐摩耗性に劣る。
また、下記特許文献4には、平均粒径が20〜30μmのダイヤモンド粒子と平均粒径
が2〜4μmのダイヤモンド粒子を混合することで粗粒ダイヤモンド焼結体の弱点である
耐欠損性を向上させることが開示されている。しかしながら、平均粒径が20〜30μmのダイヤモンド粒子を含むため、1μm以下の超微粒ダイヤモンド粒子で構成されるダイヤモンド焼結体に比べると強度が低く、実用上の信頼性が不十分である。
下記特許文献5には、周期律表の4、5または6族元素などの炭化物とCoからなる結合材を用いてダイヤモンド粒子同士を結合させた焼結体であって、焼結工程での異常な粒成長を抑制すると共に、ダイヤモンド粒子同士の直接結合をより強固にして、耐摩耗性、耐欠損性、耐衝撃性などに優れたダイヤモンド焼結体を得るために、ダイヤモンド粒子の粒径や含有率、結合材中のCoなどの含有率、炭化物の存在形態を特定したダイヤモンド焼結体が開示されている。しかしながら、ダイヤモンド焼結体と超硬合金基材との界面に何の工夫もしていないため、超硬合金基材とダイヤモンド焼結体の接合部に引っ張り応力が働き、ダイヤモンド焼結体の強度低下や剥離が起こるため、安定的な生産は不可能であった。
ダイヤモンド焼結体中の残留応力に関しては、下記非特許文献1に、ダイヤモンド焼結体中の残留応力との関係が開示されている。ここでは、ダイヤモンド焼結体の径寸法、超硬合金基材の厚み、超硬合金基材の形状によるダイヤモンド焼結体中の残留応力を測定及び計算した結果があるが、得られた最大残留圧縮応力は1.5GPaであるとしている。これは、従来のダイヤモンド粒子とCo或いはWC−Coなどの鉄族金属を出発原料として焼結を行う構成で、1.5GPa以上の圧縮残留応力を付与したダイヤモンド焼結体を、安定的に製造することは不可能であることを示している。また、仮に製造できたとしても、高い圧縮残留応力を付与したダイヤモンド層と超硬合金基材との間で大きな歪を生じ、界面で剥離が生じるため安定的な生産は不可能である。
特公昭39−20483号公報 特公昭52−12126号公報 特許第3327080号公報 特許第3391231号公報 特開2005−239472号公報 J.Am.Ceram.Soc.77[6]1562-68(1994)
上述したように、従来のダイヤモンド焼結体は、耐欠損性と耐摩耗性が出発原料として使用するダイヤモンド粒子の粒径によって定まり、優れた耐欠損性と優れた耐摩耗性を両立させることができなかった。この発明は、耐欠損性に優れるという微粒ダイヤモンド焼結体の特徴を生かしながら、耐摩耗性を高めることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、平均粒径が10μm以下のダイヤモンド粒子と結合材を超硬合金基材上で焼結してダイヤモンド焼結体を得る。そして、そのダイヤモンド焼結体を、主ダイヤモンド層と、この主ダイヤモンド層と超硬合金基材との間に存在する、主ダイヤモンド層よりもコバルト(以下、Coと表記)含有量が多い析出したコバルトリッチダイヤモンド層(以下、Coリッチダイヤモンド層と表記)を備えるものにし、さらに、このダイヤモンド焼結体に1.5GPa〜3GPaの圧縮応力を残留させる。
本願発明者らは、微粒ダイヤモンド焼結体の特徴である耐欠損性を生かしながら、耐摩耗性を向上させるための策を鋭意検討して模索した結果、特許文献3の0004段落に記載されているように、残留する歪が大きくなるためにダイヤモンド焼結体の強度が低下して実用上の信頼性が不十分になると考えられていたダイヤモンド焼結体中の圧縮残留応力を、1.5GPa〜3GPaに制御することで、耐摩耗性さらには耐欠損性をも飛躍的に向上させることが可能であることを見出した。
この発明のダイヤモンド焼結体は、超硬合金基材とダイヤモンド焼結体の接合部に大きな歪が発生することを防止するため、超硬合金基材とダイヤモンド焼結体(その焼結体の主ダイヤモンド層)との間に主ダイヤモンド層よりもCo含有量の多いCoリッチダイヤモンド層を析出させ、主ダイヤモンド層と超硬合金基材のヤング率の差をそのCoリッチダイヤモンド層で吸収する。
この発明におけるダイヤモンド焼結体の主ダイヤモンド層は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の中から選択される1種以上の、0.1重量%以上、8重量%以下の量の元素と、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素の化合物を含有するのが好ましい。さらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moの中から選択される元素がTiであるとより好ましい。前記化合物は炭化チタン(TiC)や炭窒化チタン(TiCN)であることが好ましい。さらに好ましくは、Co−Ti合金やCo−W−Ti合金といったものがよい。
また、Coリッチダイヤモンド層のCo含有量を、主ダイヤモンド層のCo含有量よりも1〜30体積%の範囲で多くしたもの、より好ましくは10〜20体積%の範囲で多くしたものや、Coリッチダイヤモンド層の厚さを0.01mm以上、0.07mm以下にしたもの、より好ましくは0.02mm以上、0.055mm以下にしたものがよい。
さらに、使用するダイヤモンド粒子の平均粒径は、5μm以下が好ましく、1μm以下であるとなお好ましい。
この発明のダイヤモンド焼結体に含ませる超硬合金基材は、ヤング率550〜650GPa、Co5.0〜15.0重量%の基板や、チタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の、0.1重量%以上、8重量%以下の量の元素含む化合物を含む基板が好ましい。チタンの存在形態はTiC、TiCNなどが考えられるが、いずれでもよく、好ましくはTiCが良い。
なお、ダイヤモンド焼結体中の1.5GPa〜3GPaの残留応力は、下記(1)〜(3)のいずれかの方法で測定したものとする。
(1)Cu−KαのX線をNiフィルタに通して使用するX線回折装置を用いて、40kV、45mAの励起条件でsin2Ψ法(側傾法)によりダイヤモンドの(111)格子面のX線回折線を測定し、ヤング率1071GPa、ポアソン比0.20として算出した残留圧縮応力。
(2)上記(1)と同一方法、同一条件で、ダイヤモンド焼結体中のCoの(200)格子面におけるX線回折線を測定し、ヤング率100GPa、ポアソン比0.30として算出した残留圧縮応力。
(3)上記(1)と同一方法、同一条件で、ダイヤモンド焼結体中のTiCの(200)格子面におけるX線回折線を測定し、ヤング率450GPa、ポアソン比0.30として算出した残留圧縮応力。
この発明では、以上のように構成したダイヤモンド焼結体でコーナ部の切れ刃を形成した切削工具用刃先交換式チップも併せて提供する。
この発明のダイヤモンド焼結体は、超硬合金基材とダイヤモンド焼結体の接合部における剥離を抑えながら高い圧縮応力を内部に残留させたので、耐摩耗性だけでなく耐欠損性も飛躍的に向上させることができる。
具体的な理由としては、以下のことが考えられる。即ち、高い圧縮応力を残留させたことによって、ダイヤモンド粒子間の結合力及びダイヤモンド粒子―結合材間の結合力が向上するため粒子の脱落を抑制することができ、さらにダイヤモンド粒子自体の機械的強度が高くなるため、耐摩耗性が大きく向上する。また、前述の機械的強度の向上に加え、焼結ダイヤモンド層における亀裂の発生及び伝播を抑制することもできるため、耐欠損性も大きく向上する。
高い圧縮応力を残留させるためには、基材に線膨張係数の高い超硬合金を使用することが有効である。ダイヤモンド焼結体と同時に焼結する超硬合金基材の線膨張係数が高いと、焼結時の高温から常温へ温度が下がるときに体積変化が大きく、より多く縮小するため、ダイヤモンド焼結体に圧縮応力が付与される。一方、ヤング率の低い超硬合金基材を使用すると、焼結時の高圧付加状態から除圧するときに体積変化が大きく、より多く拡大するため、ダイヤモンド焼結体に引張り応力が付与される。そのため、高い圧縮応力を残留させるためには、ヤング率が高い超硬合金基材を用いることで、ダイヤモンド焼結体に付与される引張り応力をできるだけ小さくすることが有効である。しかし、線膨張係数の高い超硬合金はヤング率が低いので、超硬合金基材を何の工夫もせずに使用すると、超硬合金基材とダイヤモンド焼結体の接合部に引張り応力を付与するように働き、ダイヤモンド焼結体の強度低下や剥離が起きやすくなる。
この不具合を回避するために、超硬合金基材と主ダイヤモンド層との間に主ダイヤモンド層よりもCo含有量の多いCoリッチダイヤモンド層を析出させた。このCoリッチダイヤモンド層があると、主ダイヤモンド層と超硬合金基材のヤング率の差が吸収され、ヤング率の変化が緩やかになるため、焼結ダイヤモンド層と超硬合金基材との間に引張り応力を生じさせずにダイヤモンド焼結体に高い残留圧縮応力を付与して耐摩耗性および耐欠損性の向上効果を十分に発揮させることができる。
なお、ダイヤモンド焼結体中の残留圧縮応力の大きさやCoリッチダイヤモンド層のCo含有量、厚さなどを限定した理由は次項で説明する。
以下、この発明のダイヤモンド焼結体の実施形態について説明する。図1は、ダイヤモンド焼結体1の層構成を模式的に示している。図の符号2は超硬合金基材、3は超硬合金基材2上に形成された焼結ダイヤモンド層である。焼結ダイヤモンド層3は、主ダイヤモンド層4と、その主ダイヤモンド層4よりもCo含有量の多いCoリッチダイヤモンド層5とで構成されている。
ダイヤモンド焼結体の残留応力は、1.5GPa〜3GPaの圧縮応力であるのが好ましい。残留圧縮応力が1.5GPaよりも小さいと、耐摩耗性および耐欠損性は出発原料として使用するダイヤモンド粒子の粒径によって定まり、優れた耐摩耗性と耐欠損性を両立させることができない。また、残留圧縮応力が1.5GPaよりも大きいと、結合相部分において自己破壊が発生し、内部欠陥の要因となるため、ダイヤモンド焼結体の強度が低下し、実用上の信頼性が不十分となる。
焼結ダイヤモンド層3は、ダイヤモンド焼結体中に高い残留圧縮応力を付与するために、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moの中から選択される少なくとも1種以上の元素と、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素の化合物を含有することが好ましい。
これらの化合物を焼結ダイヤモンド層3中に添加することにより、高い残留圧縮応力を付与することができる。理由としては、これらの化合物はCoよりもヤング率が大きいため、ダイヤモンド焼結体のヤング率を制御することができ、歪を小さく抑えて高い圧縮残留応力を内在させることがより簡単に行えるようになる。
また、焼結時の高温から常温へ温度が下がるときに、線膨張係数が大きいCoは体積変化が大きく、必要以上に小さくなるため、得られるダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子間に空隙ができる。これに対し、上記の化合物は線膨張係数が小さく、これをCoの代わりに焼結ダイヤモンド層3中に添加することで、体積変化が小さく、ダイヤモンド粒子間の空隙が少ない、高密度な焼結体となるため、高い残留圧縮応力を内在させることができる。
前記Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moの中から選択される少なくとも1種以上の元素の含有率は、0.1重量%以上、8重量%以下が好ましい。0.1重量%以下では、高い圧縮残留応力を内在させるのに十分な効果が得られない。また、8重量%以上添加した場合、結合材の効果を十分に得るだけの量のCoを添加すると、ダイヤモンドの含有率が低くなり、さらにダイヤモンド粒子同士の結合を阻害する効果が顕著になるため、耐摩耗性さらには耐欠損性が低下する。
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moの中から選択される元素はTiであることが好ましい。チタン化合物はダイヤモンド粒子同士の結合を阻害する効果が小さく、耐摩耗性及び耐欠損性の低下要因が最低限に抑えられるためである。
前記チタン化合物は、TiC、TiCNなどが考えられるが、いずれでもよく、好ましくはTiCがよい。さらに好ましくは、Co−Ti合金やCo−W−Ti合金といったものがよい。理由は、ダイヤモンド粒子同士の結合を阻害する効果が小さいのに加え、結合材成分であるCoの一部をCoよりも耐熱性が高い化合物に置換することで、ダイヤモンド焼結体としての耐熱性が高まり、熱による摩耗が抑制されるためである。さらに、ダイヤモンドと過度の反応性を有する純Coのような結合材とは異なり、適度な反応性を有し、異常な粒成長を抑制することができるためである。
超硬合金基材と主ダイヤモンド層との間にCoリッチダイヤモンド層を析出させる方法としては、下記(i)〜(iii)の方法などが適用でき、いずれの方法を採用してもよい。
(i)ダイヤモンド粉末中にCo粉末を30〜60重量%混合し、ペースト状としたものを超硬合金基材に塗布し、その上にダイヤモンド粒子と結合材を混合した原料を充填して焼結する方法。
(ii)CO濃度が2〜15%である(CO+CO)の還元雰囲気中で熱処理(1300℃で10分間程度)することで超硬合金基材とダイヤモンド焼結体原料との界面にCoを析出させる方法。
(iii)超硬合金基材のダイヤモンド焼結体原料が接触する界面に、高さ1〜100μm、直径5〜50μm程度の突起を、超硬合金基材の焼結体原料を積層する面の面積に対する突起部端面の面積比率が50%以下となるように配置することで、焼結時にダイヤモンド焼結体層に溶解してしまうためアンカー効果はないものの、高温、・高圧焼結後の該突起物周辺(超硬合金基材とダイヤモンド層の界面)のCoを制御できるようにした超硬合金基材に原料粉末を積層する方法。
超硬合金基材2は、WCを主体とする合金の基板であって、ヤング率550〜650GPa、Co5.0〜15.0重量%の基板や、0.1〜8重量%の、チタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物を含有する基板が好ましい。また、前記化合物はTiCであることがより好ましい。この超硬合金基材2のヤング率が550GPa以下であると、ダイヤモンド焼結体のヤング率との差が大きくなりすぎ、Coリッチダイヤモンド層を備えたとしてもその差を吸収しきれず、ダイヤモンド焼結体に引張り応力を付与する効果が大きくなるため、主ダイヤモンド層の剥離が起きやすくなる。また、そのヤング率が650GPaを越えると、高圧を加えたときに超硬合金基材に割れ、亀裂が入りやすく、焼結体の均一性が悪くなって製造の歩留まりが低くなる。従って、超硬合金基材2は、ヤング率が550〜650GPaの範囲にあるものがよい。
また、この超硬合金基材2のCo含有量が5.0重量%よりも少ないと、ダイヤモンド層へのCoの溶浸が不十分になり易い。そのような結合材不足の状況では、ダイヤモンド粒子同士の結合が十分に進まないため、粒子の脱落や亀裂の伝播が原因となる耐摩耗性の悪化、耐欠損性の悪化が起こる。そのため、超硬合金基材2のCo含有量は5.0重量%以上とするのがよい。また、そのCo含有量が15.0重量%よりも多いと、超硬合金基材2のヤング率が低くなって焼結時の基板の変形が大きくなりやすくなる。その変形によってダイヤモンド焼結体の均一性が悪くなり、製造の歩留まりが低くなる可能性が高くなるため、超硬合金基材2のCo含有量は15.0重量%を上限にするのがよい。
さらに、WCよりも線膨張係数が高いチタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物を超硬合金基材に含ませることで、超硬合金基材の線膨張係数を制御できる。超硬合金基材中のCo含有量を多くすることでも、超硬合金基材の線膨張係数を高めることができるが、Co量を多くするとCoリッチダイヤモンド層の厚みやCo含有量が多くなりすぎ、切削加工時にダイヤモンド焼結体の剥離や欠損が起きやすくなる。さらに、超硬合金基材のヤング率が低くなって焼結時の基板の変形が大きくなりやすく、その変形によってダイヤモンド焼結体の均一性が悪くなり、製造の歩留まりが低下する可能性が高くなる。そのため、チタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物を超硬合金基材中に含ませることで、高い圧縮残留応力を歩留まりよく内在させることができる。
前記超硬合金基材中の、チタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物の含有量は、0.1〜8重量%であることが好ましい。この化合物の含有量が0.1重量%よりも少ないと、含有量が不足して線膨張係数を高める効果が現れない。また、前記この化合物の含有量が8重量%よりも多くなると、ヤング率の高いWCの含有量が低くなるため、ヤング率が低くなりすぎて切削加工時にダイヤモンド焼結体の剥離が起きやすくなる。
この超硬合金基材2上でダイヤモンド粒子と結合材をダイヤモンドが熱力学的に安定な高圧と高温の条件で焼結してこの発明のダイヤモンド焼結体を製造する。ここで言う熱力学的に安定な高圧と高温の条件とは、具体的には圧力5GPa以上、8GPa以下、温度1200℃以上、1900℃以下程度を指す。
出発原料のダイヤモンド粒子は、粒径が大きすぎるものは好ましくない。例えば粒径が20μmを超えるダイヤモンド粒子は、それ自身のへき開性による欠損が発生するため、20μmを超えるダイヤモンド粒子を原料としたダイヤモンド焼結体は耐欠損性が悪い。そのため、ダイヤモンド粒子は、平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下の粒子を使用する。また、ダイヤモンド粒子と結合材の混合割合は、例えば、ダイヤモンド粒子80〜99体積%、残部結合材と言った範囲でよい。
また、結合材も周知のものでよい。例えば、鉄、Co、ニッケルから選択された少なくとも一つを含む溶媒金属など、より好ましくは、CoとTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moの中から選択される1種以上の元素と、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素の化合物を含む溶媒金属などがよい。
また、Coリッチダイヤモンド層5は、超硬合金基材2と主ダイヤモンド層4のヤング率の差の吸収効果を十分に発揮させるために、Coを主ダイヤモンド層4のCoよりも1〜30体積%の範囲で多くするのが好ましい。より好ましくは、10〜20体積%の範囲で多くするのがよい。Coリッチダイヤモンド層5のCoが主ダイヤモンド層4のCoに対して1体積%以下の範囲で多いだけではヤング率がほとんど変わらず、超硬合金基材2と主ダイヤモンド層4のヤング率の差を吸収することができない。そのため、残留する歪が大きくなり、ダイヤモンド焼結体の強度が低下する。また、その含有率の差が30体積%を越えると、Coリッチダイヤモンド層5のダイヤモンド含有率が低くなってこの層の強度が弱くなり、主ダイヤモンド層4が超硬合金基材2から剥離し易くなる。
さらに、Coリッチダイヤモンド層5の厚さは、0.01mm以上、0.07mm以下、より好ましくは0.02mm以上、0.055mm以下とするのがよい。Coリッチダイヤモンド層5の厚さが0.01mmよりも薄くなるとCoリッチダイヤモンド層5によるヤング率の差の吸収効果が小さくなるため、ダイヤモンド焼結体の強度が低下する。また、その厚さが0.07mmより厚いと、主ダイヤモンド層4が超硬合金基材2から剥離し易くなる。
以下に、この発明の実施例を挙げる。
表1に示す組成の超硬合金基材を用いて試料No.11〜20のダイヤモンド焼結体を製造し、そのダイヤモンド焼結体中の残留圧縮応力と、得られたダイヤモンド焼結体を切削工具の切れ刃として使用したときの刃具の逃げ面の摩耗量を測定した。
ダイヤモンド焼結体の製造は、具体的には以下のように行った。先ず、平均粒径5μmのダイヤモンド粒子(ダイヤモンド粉末)と結合材(Co粉末)を、ダイヤモンド粒子80重量%、Co粉末20重量%の混合割合にして、乾式混合を行った。試料No.16の結合材については、Co粉末16重量%、チタン粉末4重量%の割合で混合したものを、また、試料No.17の結合材については、Co粉末12重量%、チタン粉末8重量%の割合で混合したものをそれぞれ使用した。
ダイヤモンド粒子と結合材を混合した原料を、表1の各種組成の超硬合金で形成され、ダイヤモンド粉末中にCo粉末を50重量%混合し、ペースト状としたものを塗布した基材(円盤)に接した状態でタンタル製の容器に充填し、ベルト型超高圧装置を用いて、圧力:6.0GPa、温度:1550℃の条件で10分間保持してダイヤモンドの焼結を行った。そして、ダイヤモンド焼結体の各々について、以下の方法で残留応力を測定した。
−残留応力測定方法−
Cu−KαのX線をNiフィルタに通して使用するX線回折装置を用いて40kV、45mAの励起条件でsin2Ψ法(側傾法)によりダイヤモンドの(111)格子面のX線回折線を測定し、ヤング率1071GPa、ポアソン比0.20として残留圧縮応力を算出。
また、各ダイヤモンド焼結体をそれぞれ長さ6mm×幅3mm×厚み0.3mmの板状試験片に加工し、それぞれの試験片の抗折力を、スパン距離4mmの3点曲げ試験によって測定した。
さらに、図2に示す形状、即ち、主面の形状が正三角形の台金6のコーナに、各試料のダイヤモンド焼結体1を取付けた切削用焼結体チップ(刃先交換式チップ、ISO規格:TPGN160304)7を作製して下記条件で切削試験を行い、試験中にダイヤモンド焼結体が剥離した試料No.11、18を除く各試料の逃げ面の摩耗量を測定した。結果を表1に示す。
−切削条件−
被削材:Si16重量%含有のAl合金丸棒
切削条件:外周旋削、切削速度800m/min、切り込み0.5mm、送り0.12mm/rev、湿式切削、切削時間5分
Figure 0004512030
表1に示すように、超硬合金基材の組成を変化させることでダイヤモンド焼結体中の残留応力が大きく変化し、さらに、切削工具の切れ刃として使用したときの逃げ面摩耗量やダイヤモンド焼結体の抗折力も大きく変化することがわかる。超硬合金基材のCo含有量が最も多く、線膨張係数も大きい試料No.11は、残留応力も最も大きくて3GPaを超えているが、超硬合金基材のヤング率が550GPaよりも小さいため、Coリッチダイヤモンド層を備えているものの、主ダイヤモンド層と超硬合金基材のヤング率の差を吸収しきれず、切削試験において主ダイヤモンド層の剥離が発生した。また、試料No.12、13に比べると、抗折力も低下しており、残留圧縮応力が3GPaを超えると、ダイヤモンド焼結体の強度が低下することがわかる。
また、試料No.15は、残留圧縮応力が1.5GPaを下回っており、そのために、切削工具の切れ刃として使用したときの逃げ面摩耗量が大きく、抗折力も低い。これに対し、残留圧縮応力が1.5GPa以上ある試料No.12〜14及び試料No.16、17、19、20(いずれも発明品)は試料No.15に比べて切れ刃として使用したときの逃げ面摩耗量が格段に小さく、また、抗折力も格段に大きく、これから、残留圧縮応力を1.5GPa以上確保すると耐摩耗性及び耐欠損性が飛躍的に向上することがわかる。
同じ超硬合金基材を使用しても、ダイヤモンド焼結体の結合材にチタンを含有させた試料No.16、17は残留圧縮応力が高く、耐摩耗性及び耐欠損性が共に向上した。しかし、Tiを8重量%含有した試料No.17は4重量%含有のNo.16より耐摩耗性及び耐欠損性が低下している。これから、Tiの含有量は8重量%以下が好ましいことが分かる。
このほか、超硬合金基材にTiCを含ませたもの、即ち、TiCを8重量%含有する試料No.19や、4重量%含有する試料No.20は、耐摩耗性と耐欠損性が共に向上している。しかし、TiCを12重量%含有する試料No.18は、ヤング率が550CPaを下回っており、切削加工時にダイヤモンド焼結体の剥離が発生した。そのため、超硬合金基材中に含まれるTiCの含有量は8重量%以下が好ましいことがわかる。
超硬合金基材に塗布するためにペースト状としたダイヤモンド粉末とCo粉末の混合量を、表2に示す比率として試料No.21〜28のダイヤモンド焼結体を製造した。また、比較のため、試料No.29のダイヤモンド焼結体を、ダイヤモンド粉末とCo粉末のペースト状混合物を塗布せずに製造した。得られたダイヤモンド焼結体の残留圧縮応力、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差、Coリッチダイヤモンド層の厚み、各ダイヤモンド焼結体を切削工具の切れ刃として使用したときの刃具の逃げ面摩耗量を測定した。
この実施例でのダイヤモンド焼結体は、試料No.21〜28についてはダイヤモンド粉末とCo粉末を表2に示す含有比率として混合し、ペースト状としたものを塗布したWC−7%Co−0.1%TiCの組成の基材を用い、原料として使用するダイヤモンド粒子と結合材(Co粉末)の混合割合を、ダイヤモンド粉末85重量%、Co粉末15重量%として、製法や製造条件は実施例1と同様にして製造を行った。試料No.29については、同じ原料を用い、超硬合金基材としてWC−5%Coの組成の基材に接した状態でタンタル製の容器に充填し、製造条件は実施例1と同様にして製造を行った。得られたダイヤモンド焼結体の残留圧縮応力、Coリッチダイヤモンド層の厚み、切削工具に採用したときの刃具の逃げ面摩耗量の測定も、実施例1と同様の測定方法で行った。また、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差は、下記の方法で求めた。結果を表2に併記する。
−主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差の求め方−
長さ3mm×幅3mm×厚み0.3mm程度の正方形の平面形状の試験片を切り出す。その試験片は、各試料について主ダイヤモンド層が最表面になるものとCoリッチダイヤモンド層が最表面になるものの2種類を用意し、これらの試験片を、密閉容器中でCo溶解液に浸してCoの溶解処理を行う。Co溶解液は、濃度60%以上、65%未満の硝酸の2倍希釈液40mlと、濃度45%以上、50%未満のフッ化水素酸10mlを混合したフッ硝酸を使用し、120℃以上、150℃以下の温度下で3時間の溶解処理を行った。この後、処理した試験片の主ダイヤモンド層表面と、Coリッチダイヤモンド層表面における溶解処理により空隙となった部分の面積比率を、各層のCo含有量として算出し、それぞれの算出値の差を求める。
Figure 0004512030
試料No.21は、Coリッチダイヤモンド層厚みが0.009mmと小さく、また、試料No.22は主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が1体積%以下であるため、ダイヤモンド焼結体の残留圧縮応力が3GPaを超え、切削工具の切れ刃を形成して行った切削実験では試料No.21、22ともに欠損が発生した。また、試料No.23は、Coリッチダイヤモンド層の厚みが0.010mm、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が1.0体積%であるが、チッピングの発生はなく、従来のダイヤモンド焼結体である試料No.29に比べて逃げ面摩耗量も小さかった。さらに、試料No.24は、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差は10.5体積%で、Coリッチダイヤモンド層の厚みが0.020mmであるが、逃げ面摩耗量は試料No.23よりさらに小さく、最も良好な耐摩耗性を示した。
この試験結果から、Coリッチダイヤモンド層の厚みが0.01mm未満であるもの、もしくは、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が1体積%未満であるものは、Coリッチダイヤモンド層によるヤング率の差を吸収する効果が小さいため、ダイヤモンド焼結体中に残留する歪が大きく、耐欠損性が不十分になることがわかる。つまり、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差は1体積%以上にするのが好ましく、また、Coリッチダイヤモンド層の厚みは0.01mm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差は10体積%以上で、Coリッチダイヤモンド層の厚みは0.020mm以上である。
試料No.27は、Coの混合比率が高いためにCoリッチダイヤモンド層の厚みが0.07mmを超えており、試料No.28は主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が30体積%を超えていた。そのため、Coリッチダイヤモンド層が切削抵抗に耐えられず、主ダイヤモンド層の剥離が生じた。それに対し、試料No.26は、Coリッチダイヤモンド層の厚みが0.070mmであるが、ダイヤモンド焼結体に高い残留圧縮応力を付与でき、試料No.29に比べて逃げ面摩耗量が小さく、正常な加工が可能であった。さらに、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が19.8体積%で、Coリッチダイヤモンド層の厚みが0.055mmである試料No.25は、試料No.24とともに逃げ面摩耗量が最も小さく、良好な耐摩耗性を示した。
このことから、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差が30体積%を超えたもの、或いはCoリッチダイヤモンド層の厚みが0.07mmを超えたものは、主ダイヤモンド層と超硬合金基材との接合強度が低下することがわかる。従って、主ダイヤモンド層とCoリッチダイヤモンド層のCo含有量の差は30体積%以下にするのが好ましく、Coリッチダイヤモンド層の厚みは0.07mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、Co含有量の差は20体積%以下、Coリッチダイヤモンド層の厚みは0.055mm以下である。
表3に示すダイヤモンド粒子を用いて試料No.31〜35のダイヤモンド焼結体を製造し、得られたダイヤモンド焼結体を切削工具の切れ刃として使用したときの刃具の逃げ面摩耗量を測定し、得られたダイヤモンド焼結体のダイヤモンド含有率と、抗折力を測定した。
ダイヤモンド焼結体の製造は、ダイヤモンド粒子と結合材を混合した原料を、WC−10%Coの組成の超硬合金基材(円盤)に接した状態でタンタル製の容器に充填した。Coリッチダイヤモンド層を有するダイヤモンド焼結体とするために、CO濃度4%の(CO+CO)還元雰囲気中で、1300℃で10分間の熱処理を行い、超硬合金基材の界面にCoを析出させた。その後、ベルト型超高圧装置を用いて、圧力:6.0GPa、温度:1550℃の条件で10分間保持してダイヤモンドの焼結を行った。そして、原料として用いるダイヤモンド粒子の粒径を変化させた。得られたダイヤモンド焼結体の残留圧縮応力、Coリッチダイヤモンド層の厚み、抗折力、切削工具に採用したときの刃具の逃げ面摩耗量、抗折力の測定は、実施例1と同様の測定方法で行った。ダイヤモンド含有率は、高周波誘導プラズマ発光分析法(ICP法)により焼結体に含まれる各元素の定量分析を行って算出した。結果を表3に示す。
Figure 0004512030
この試験で得られた試料No.31〜35には、いずれも0.05mm程度の厚みのCoリッチダイヤモンド層が存在した。また、各試料のダイヤモンド焼結体の残留圧縮応力は2.3GPa程度であった。
平均粒径が10μm以下のダイヤモンド粒子を使用した試料No.31、32、33は、抗折力が2GPa以上であるのに対し、平均粒径の大きいダイヤモンド粒子を使用した試料No.34、35は抗折力が低く、使用するダイヤモンド粒子の平均粒径が大きくなるにつれて抗折力が著しく低下することがわかる。また、平均粒度によってダイヤモンドの含有率が変化しているにもかかわらず、いずれの試料も耐摩耗性にはほとんど差がない。この試験結果から、この発明によれば、平均粒径10μm以下のダイヤモンド粒子を用いて良好な耐欠損性を確保しながら、平均粒径20〜30μmのダイヤモンド粒子を使用したときと遜色のない耐摩耗性を確保し得ることがわかる。従って、原料のダイヤモンド粒子は、平均粒径10μm以下のダイヤモンド粒子を使用するのがよい。原料のダイヤモンド粒子は、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下がよい。
この発明のダイヤモンド焼結体の層構成を模式的に示す断面図 この発明のダイヤモンド焼結体を切れ刃として使用した切削用焼結体チップの一例を示す斜視図
符号の説明
1 ダイヤモンド焼結体
2 超硬合金基材
3 焼結ダイヤモンド層
4 主ダイヤモンド層
5 Coリッチダイヤモンド層
6 台金
7 切削用焼結体チップ

Claims (9)

  1. ダイヤモンド粒子と結合材を超硬合金基材上で焼結して得られるダイヤモンド焼結体であって、前記ダイヤモンド粒子の平均粒径が10μm以下であり、かつ、前記ダイヤモンド焼結体が、主ダイヤモンド層と、この主ダイヤモンド層と超硬合金基材との間に存在する、主ダイヤモンド層よりもコバルト含有量が多い析出したコバルトリッチダイヤモンド層を備えて構成され、さらに、このダイヤモンド焼結体が1.5GPa〜3GPaの残留圧縮応力を有していることを特徴とするダイヤモンド焼結体。
  2. 主ダイヤモンド層中に、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンの中から選択される1種以上の、0.1重量%以上、8重量%以下の量の元素と、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド焼結体。
  3. 前記チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンの中から選択される元素がチタンである請求項2に記載のダイヤモンド焼結体。
  4. コバルトリッチダイヤモンド層のコバルト含有量を、主ダイヤモンド層のコバルト含有量に対して1〜30体積%多くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体。
  5. コバルトリッチダイヤモンド層の厚さが、0.01mm以上、0.07mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体。
  6. 前記超硬合金基材が、ヤング率550〜650GPa、Co5.0〜15.0重量%の基板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体。
  7. 前記超硬合金基材に、0.1〜8重量%のチタンと、炭素、窒素、酸素の中から選択される1種以上の元素を含む化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体。
  8. 前記化合物が、炭化チタンである請求項7に記載のダイヤモンド焼結体。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のダイヤモンド焼結体でコーナ部の切れ刃を形成した切削工具用刃先交換式チップ。
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