JP4507389B2 - Polyolefin fiber and nonwoven fabric and absorbent article using the same - Google Patents

Polyolefin fiber and nonwoven fabric and absorbent article using the same Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系繊維とこれを用いた不織布及び吸収性物品に関する。さらに詳しくは、熱融着不織布加工時の加工適性や、柔軟性や肌触りなどの風合に優れたポリオレフィン系繊維とこれを用いた不織布及び吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリエステル繊維の原料として用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)に比べ、樹脂の曲げ弾性率が低いポリオレフィン樹脂を原料とするポリオレフィン系繊維は、風合に優れた不織布が得られるため、衛生材料を中心に様々な分野に用いられてきた。
【0003】
ポリオレフィン系繊維としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる単一繊維だけでなく、これらポリオレフィン樹脂と他の樹脂とからなる複合繊維も種々用いられている。これらポリオレフィン系繊維は、性能をより向上させるために、様々な改良が加えられてきた。例えば不織布の風合いの向上を目的に、ホモのポリプロピレンに代えて、プロピレンとエチレンとからなるプロピレン系ランダム共重合体を原料樹脂として、ポリオレフィン系繊維を製造する等の改良が行われていた。この原料樹脂であるプロピレン系ランダム共重合体は、ホモのポリプロピレンの存在下にプロピレンとエチレンとを共重合していることから、非晶性であるエチレンプロピレンラバー成分(以下、EPR成分という)がポリプロピレン成分中にランダムに形成された組成となっており、その物性は、元のポリプロピレンよりも結晶性(結晶化度及び結晶化温度)、及び曲げ弾性が低下している。
【0004】
しかしながら、これらの従来公知のプロピレン系ランダム共重合体から製造された繊維を用いることで、それから製造された熱融着不織布の風合いを良好にできるという反面、プロピレン系ランダム共重合体の樹脂成分中にランダムに形成された、粘着性の高いEPR成分が繊維表面に露出するため、繊維の平滑性が低下してしまうという欠点を有していた。
【0005】
さらにプロピレン系ランダム共重合体を用いると結晶性が低いことから、その結晶化温度も低く、これにより、溶融紡糸時に紡糸ノズル孔から吐出した溶融状態の糸条が結晶化し固化するまでの距離が長くなる傾向、すなわち固化長が増大する傾向にある。また、固化長の増大により糸条は、冷却空気流や随伴空気流などによる糸条の揺れの影響を受けやすくなり、繊維同士の膠着や融着が発生したり、さらには繊維の切れが発生するようになるのである。
【0006】
一方、繊維表面の平滑性の低さは、溶融紡糸時の繊維接触による相互間の摩擦を高め、繊度斑を大きくするという問題を発生させる。さらに不織布加工において、繊維表面の平滑性の低さは、開繊工程での繊維相互間の接触によって繊維塊を発生させ、斑の多い不均一な不織布が生産されるという問題を引き起こすのである。
【0007】
すなわち、風合いを向上させるために、従来公知のプロピレン系ランダム共重合体を用いると、繊度斑が大きくなる傾向があり、また、低い結晶化温度のために溶融状態のままでの糸条が接触し、繊維相互間の膠着や融着、さらには糸切れの発生等の操業性悪化という問題を発生させるのである。また、前記したような膠着や融着、繊度斑、繊維塊の発生により、得られた繊維を用いた不織布等の布帛の風合い向上の効果が低下するという問題も発生するのである。また、このような従来公知のプロピレン系ランダム共重合体を用いたポリオレフィン系繊維は、α−オレフィンの導入された部分がEPR成分となり、それがポリマー中にランダムに分散することで、これが繊維表面に露出した場合に、繊維表面の平滑性の欠如あるいは、極端な言い方をすれば繊維表面の粘着性が内在したものとなるのである。
【0008】
また、特開平5−263350号公報には、エチレン−プロピレンランダム共重合体を用いて柔軟性を向上させ、さらに造核剤を添加することで結晶化温度を上昇させ上述した繊度斑や開繊性不良、糸切れによる操業性の悪さを改善した長繊維不織布が開示されている。しかしながら、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体に造核剤として強い造核作用を呈する3−メチル−1−ブテン重合体を添加するため、溶融張力が増大し、エチレン−プロピレンランダム共重合体の配向結晶化が促進される。その結果、得られた繊維の曲げ弾性率が、従来のポリプロピレンより製造した繊維とほぼ同等となり、これにより、エチレン−プロピレンランダム共重合体の持つ柔軟性が低下する。そのため、柔軟性や肌触りなどの風合いの点で、従来のポリプロピレンより製造した繊維からなる不織布と大差ない不織布しか得られていなかった。
【0009】
このように、従来のプロピレン系ランダム共重合体より製造された繊維は、繊度斑、紡糸時の操業性、不織布加工機での通過性や開繊性が不充分であり、さらにこの繊維を用いた不織布は、均一性、風合いにおいて、充分ではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、紡糸性、不織布加工性等の操業性に優れ、繊維の均一性が良好で繊度斑が少ないポリオレフィン系繊維、及びこの繊維を用いて得られる柔軟性や肌触りなどの風合いに優れた不織布及び該不織布を用いた吸収性物品を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた。その結果、プロピレンホモポリマー成分(I)と、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体からなる樹脂を用い、溶融紡糸法などで繊維化することにより、風合いが非常にソフトでしかも粘着性の低い平滑性に優れた繊維が得られ、この繊維を用いることで、柔軟性や肌触りなどの風合いのよい不織布が得られ、該不織布を用いると柔軟性や肌触りなどの風合いのよい吸収性物品が得られることを見通し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は以下の構成を有する。
(1)プロピレンホモポリマー成分(I)と、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体からなるポリオレフィン系繊維であって、繊維横断面において該プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が島状または層状に分散し、かつ繊維縦断面において該プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が繊維軸方向に沿って走行分散しており、前記繊維横断面の島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大厚みが1.5μm以下であることを特徴とするポリオレフィン系繊維。
【0013】
(2)プロピレン系ブロック共重合体のα−オレフィンが、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンから選ばれた少なくとも1種である前記(1)項記載のポリオレフィン系繊維。
【0014】
(3)α−オレフィンが、エチレンであり、かつエチレン−プロピレンランダムコポリマーがエチレン重合単位をエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の重量基準で25〜65%含有し、さらにエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分をプロピレン系ブロック共重合体の重量基準で10〜80%含有するプロピレン系ブロック共重合体である前記(1)項記載のポリオレフィン系繊維。
【0015】
(4)前記(1)〜(3)項の何れか1項記載のポリオレフィン系繊維が、プロピレン系ブロック共重合体を少なくとも一部に用いた、該ブロック共重合体以外の熱可塑性樹脂との2成分以上からなるポリオレフィン系複合繊維であることを特徴とするポリオレフィン系繊維。
【0016】
(5)前記(1)〜(4)項の何れか1項記載のポリオレフィン系繊維を少なくとも一部に用いた不織布。
【0017】
(6)スパンボンド法を用いて得られた前記(5)項記載の不織布。
【0018】
(7)メルトブロー法を用いて得られた前記(5)項記載の不織布。
【0019】
(8)前記(5)〜(7)項の何れか1項記載の不織布を少なくとも一部に用いた吸収性物品。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明のポリオレフィン系繊維には、後記する特定のプロピレン系ブロック共重合体が使用される。この特定のプロピレン系ブロック共重合体とは、プロピレンホモポリマー成分(I)とポリプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体からなり、このプロピレン系ブロック共重合体を用いて得られた繊維は、繊維横断面において、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が島状または層状に分散している。また、繊維縦断面において、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が繊維軸方向(繊維長さ方向)に沿って走行分散している。しかも、前記繊維横断面の島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または層状に分散しているポリプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大厚みが1.5μm以下の繊維である。
【0022】
本発明のポリオレフィン系繊維は、プロピレンホモポリマー成分(I)と、ポリプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体が繊維化されたものである。また、プロピレンホモポリマー成分(I)とプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体には、プロピレンホモポリマー成分(I)とプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とが混合および/または結合された樹脂を含んでいる。
【0023】
本発明のポリオレフィン系繊維は、繊維縦断面においてポリプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が前記の様に繊維軸方向に沿って走行分散している。しかも繊維表面には、プロピレンホモポリマー成分(I)だけが露出しており、その内部ではプロピレンホモポリマー成分(I)を海成分としてプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が前記の様に分散している。言い替えれば、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が繊維表面に露出していない海島構造の横断面を有しているのである。本発明のポリオレフィン系繊維は、プロピレンホモポリマー成分(I)中に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または最大厚みが1.5μm以下であり、結晶化温度の高いプロピレンホモポリマー成分(I)が露出しているので、従来公知のプロピレン系ランダム共重合体と比べて、膠着や融着がなく、表面平滑性にも優れている。また、並列型、鞘芯型などの複合繊維の1成分としてプロピレン系ブロック共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成する場合であっても同様の効果がある。
【0024】
以下、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の分散状態を図面で更に詳しく説明する。
本発明のポリオレフィン系繊維1のキシレン処理した横断面を観察した模式図を図1,図2に示す。本発明のポリオレフィン系繊維1のキシレン処理した縦断面を観察した模式図を図3,図4に示した。また、本発明のポリオレフィン系繊維1のキシレン処理した横断面の一部を示す電子顕微鏡写真を図5として示し、さらに、本発明のポリオレフィン系繊維1のキシレン処理した縦断面の一部を示す電子顕微鏡写真を図6として示した。
【0025】
図1において、2はキシレン処理でプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が溶出してできた島状の空洞部であり、実質的にプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の所在と分散状態を示している。図1より、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)は、プロピレン成分Pをマトリックス(海成分)として島状に多数分散しているものの、繊維表面には露出していない。また、本発明のポリオレフィン系繊維1の断面観察時に、繊維の切断時に引きずり出され、キシレン処理で完全に溶出されなかったプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が、フィブリルFとしてその形態を残したものが観察される場合がある。
【0026】
図2において、2は図1と同様にプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が溶出してできた島状の空洞部であり、3はプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が溶出してできた層状の空洞部である。これら空洞部は、実質的にプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の所在と分散状態を示している。図2より、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)は、プロピレン成分Pをマトリックスとして、一部が島状2に、ほとんどが層状3に分散しており、かつ繊維表面に露出していない。また、図1と同様に、キシレン処理で完全に溶出されなかったプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が、フィブリルFとしてその形態を残したものが観察される場合がある。
【0027】
図3及び図4は、それぞれ図1及び図2の横断面に対応した繊維の縦断面を示したもので、4はキシレン処理でプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が溶出してできた空洞部であり、実質的にプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の所在と分散状態を示している。図4の走行分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)は図3のそれよりも厚く観察されている。図3及び図4に示すように、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)は、プロピレン成分Pをマトリックスとして、繊維軸方向に走行分散しており、図1や図2と同様にプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)による、フィブリルFが観察される場合がある。
【0028】
次に、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)としてエチレン−プロピレンランダムコポリマー(以下、PERCと略す場合あり)成分を用いて得た本発明の繊維の断面写真について説明する。図5は図1と類似した本発明のポリオレフィン系繊維1の横断面を撮影した電子顕微鏡写真であり、島状に分散したエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分は、プロピレン成分Pをマトリックスとして無数に存在しており、フィブリルFが多く観察されている。
【0029】
また、図6は、本発明のポリオレフィン系繊維1の略縦断面を撮影した電子顕微鏡写真であり、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分は、その分散状態を示す空洞部4により、プロピレン成分Pをマトリックスに繊維軸方向に沿って走行分散している状態が確認でき、フィブリルFも観察される。
【0030】
上記繊維横断面の島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の径または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または最大厚みを1.5μm以下にする理由は、分散の最大径あるいは最大厚みが1.5μmよりも大きいと、紡糸時に異物として働き、糸切れの原因になり操業性を低下させ好ましくないためである。
【0031】
また、本発明に用いられるプロピレン系ブロック共重合体は、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の極限粘度を[η]RCとし、プロピレンホモポリマー成分(I)の極限粘度を[η]PPとしたとき、該極限粘度の比([η]RC)/([η]PP)が0.5〜1.4のブロック共重合体が好ましい。さらに、プロピレンホモポリマー成分(I)とプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重量比(WPP/WRC)と前記極限粘度比([η]RC)/[η]PP)の積、すなわち(WPP/WRC)×([η]RC)/[η]PP)が、0.2〜3.0のブロック共重合体が好ましい。この様な範囲にプロピレン系ブロック共重合体を設計すると、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の分散状態が改善される。
【0032】
本発明のプロピレン系ブロック共重合体は、上記のような設計となっていることが好ましく、係る設計になっていれば、その製法は限定されない。例えば、チタン含有固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び必要に応じて電子供与体の存在下で、少量のオレフィンで処理された予備活性化触媒のオレフィン重合物の生成量が、チタン含有固体触媒成分1グラム当たり0.1〜100グラムとなるように予備重合を行い、次いで該予備活性化触媒の存在下に有機アルミニウム及び必要に応じて電子供与体の存在下で、プロピレンの重合を行い、その後にプロピレンと、エチレン等のα−オレフィンとのランダム重合を行い、プロピレン系ブロック重合体のパウダーを得ることが好ましい。また、プロピレン系ブロック共重合体のプロピレンホモポリマー成分(I)を製造するためのプロピレンの重合は、チタン含有固体触媒等を用いてスラリー重合法、塊状重合法、気相重合法等のいずれの重合方法を用いても良いが、後段のプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重合法は気相重合法を用いることが好ましい。また、プロピレン系ブロック共重合体は、例えばプロピレンホモポリマーにプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマーを混合したものでも良い。しかし、上記重合法により得られたものがプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の分散性が良いので好ましく用いられる。
【0033】
上記ホモポリマー成分の極限粘度[η]PPは、熱キシレンでのプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)を溶解除去することや、クロマトグラフ処理でプロピレンホモポリマーを分取することで測定できる。プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の極限粘度[η]RCは、全組成物すなわちプロピレン系ブロック共重合体の極限粘度を[η]WHOLEとしたとき、下式1によって求めることができる。
【0034】
【式1】
[η]RC={[η]WHOLE−(1−WRC/100)・[η]PP}/{WRC/100}
さらに、[プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重量(WRC)]/[プロピレン系ブロック共重合体の重量(WWHOLE)]×100は、10〜80重量%の範囲が好適に使用でき、好ましくは20〜75重量%、より好ましくは25〜75重量%である。前記プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重量比率が10重量%に満たないプロピレン系ブロック共重合体を用いて繊維化した場合、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の島状化及び/または層状化に分散する量が不足し本発明の効果が得られにくい。また、前記プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重量比率が80重量%を越えると紡糸時の流動性や溶融時の張力が低下して紡糸性が悪化したり、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が繊維表面に露出して繊維の表面平滑性が低下するので好ましくない。
【0035】
本発明のポリオレフィン系繊維の繊維断面は、特に制限するものではなく、扁平断面、U字断面、三角断面、トリローバル断面、楕円断面などの異形断面、及び円形断面の中実または中空構造体やこれら断面形状を組み合わせた繊維断面であっても構わない。さらに、本発明のポリオレフィン系繊維には、耐侯剤、着色剤、親水剤、撥水剤、難燃剤、香料、抗菌剤、消臭剤、植物エキス、結晶造核剤などの各種機能付与剤を予め製造時に添加しておいてもよく、或いは可能であれば、繊維製造後に付着させてもよい。
【0036】
本発明のポリオレフィン系繊維の繊度は、特に制限するものではないが、通常0.05〜500デシテックス/f(dtex/f)の繊度範囲が使用できる。また、繊維化の手法は特定するものではなく、メルトブロー法やスパンボンド法などの直接不織布化法、溶融紡糸法、ゲル紡糸法、割繊法など従来公知の様々な方法を用いることができる。
【0037】
本発明で用いるプロピレン系ブロック共重合体は、前述したようにプロピレンホモポリマー成分(I)とプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とがブレンドあるいは結合された樹脂である。このうちプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)のα−オレフィンには、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられ、このうち2種以上を用いることもできる。また、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の曲げ弾性の低さが、ひいてはプロピレン系ブロック共重合体全体の曲げ弾性を低下させる効果につながる。なお、繊維を柔軟にする効果に優れている点で、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)のα−オレフィンとしてエチレンを用いることが好ましい。
【0038】
本発明のポリオレフィン系繊維は、プロピレン系ブロック共重合体を少なくとも一部に用い、該ブロック共重合体以外の熱可塑性樹脂との2成分以上からなる複合繊維であっても良い。複合繊維の断面は、扁平断面、U字断面、三角断面、トリローバル断面、楕円断面などの異形断面、及び円形断面の中実または中空構造体やこれら断面形状を組み合わせた繊維断面であってもよく、さらにこれらの繊維断面を有する、同心鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、多層型、放射型、ブタバナ状、及び海島状の複合繊維であってもよい。このように本発明では、さまざまな形態の繊維断面形状を用いることができる。また、複合繊維としては、3成分以上の複合繊維の利用も可能であるが、紡糸設備や紡糸口金が複雑となり、さらに製造コストもアップする傾向にあり、通常の場合は2成分で充分である。2成分の複合繊維の容積比は、2成分をそれぞれ第1成分と第2成分とすると、その容積比は、通常、第1成分:第2成分=10:90〜90:10の範囲が適用される。生産性を考慮した場合には、第1成分と第2成分の容積比は、30:70〜70:30の範囲が好ましい。本発明の複合繊維に用いる場合には、プロピレン系ブロック共重合体を、第1成分と第2成分のどちらに用いても構わない。例えば、鞘芯型複合繊維或いは偏心鞘芯型複合繊維の第1成分を鞘成分、第2成分を芯成分とし、第1成分をプロピレン系ブロック共重合体とした場合、第2成分には第1成分と組成の異なるプロピレン系ブロック共重合体やその他従来公知の各種熱可塑性樹脂を用いることもできる。また、鞘芯型複合繊維の第1成分を鞘成分、第2成分を芯成分とし、第2成分をプロピレン系ブロック共重合体とした場合も同様である。従来公知の各種熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリブチレン、各種ポリエチレン(高密度、直鎖状低密度、低密度)、各種ポリスチレン(アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック)、ポリフェニレンサルファイド、各種ポリプロピレン(アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック)、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンビニルアルコール、各種プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、熱可塑性ウレタン、ポリノルボルネンなどが挙げられる。本発明で言うポリオレフィン系繊維は、少なくとも一部にオレフィンの重合体が用いられた繊維のことであり、例えば上記複合繊維で使用するプロピレン系ブロック共重合体以外の他成分がポリエステルやナイロンであり、これら他成分の比率がプロピレン系ブロック共重合体より多い場合であっても、本発明においては、ポリオレフィン系繊維と定義する。
【0039】
本発明の不織布は、本発明のポリオレフィン系繊維を少なくとも一部に用いた不織布であり、該繊維を100%用いるだけでなく、該繊維と積層や混綿、混紡などの手法により本発明以外の他の繊維と共に用いて不織布とすることもできる。不織布化の手法としては、ポイントボンド法,熱風加熱法,高圧水柱流絡合法,及びニードルパンチ法等の加工方法や、前記した直接不織布化法と呼ばれるメルトブロー法,スパンボンド法,及びフラッシュスパン法等のあらゆる不織布加工法が例示できる。なお、不織布化の手法は、これらに制限されるものではないが、スパンボンド法は、不織布の生産性がよく、安価に製造できることから、特に好ましい。
【0040】
本発明の吸収性物品は、本発明の不織布を少なくとも一部に用いた使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品である。この吸収性物品は、その態様によっても異なるが、尿や血液などの体液を吸収し保持する吸収コア層と、吸収コア層を包むための体液透過性のカバーと、肌に接する側に配置される体液透過性のトップシートとトップシートが位置する側と反対に配置され、吸収した体液が外部に漏れる事を防止する体液非透過性バックシートとを基本構造として構成されている。この様な基本構造を持つ吸収性物品は、ほとんどの場合、トップシートから体液を吸収する際に横から漏れるのを防止するためのサイドギャザを具備している。これらトップシートやサイドギャザには、不織布が用いられている。また、通常バックシートには体液不透過性でかつ通気性のあるフィルムが用いられているが、風合いを良くするために不織布が張り合わされている場合もある。この様に、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品は、トップシートやサイドギャザ、バックシートなど多数の部材により構成されいる。本発明の不織布は、均一性や風合いに優れるという特性から、これら部材に好適に用いることができるのである。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて具体的に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に挙げられたもののみに限定されるものではない。
【0042】
実施例、比較例において用いた各種物性などの測定方法について以下に説明する。
(1)極限粘度[η]:自動粘度測定装置を使用し、135℃の温度条件下で、溶媒としてテトラクロロナフタレンを用いて、極限粘度[η]を測定した。単位は、dl/gである。
(2)メルトフローレート:JIS K 7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで、メルトフローレート(以下、MFRという)を測定した。単位は、g/10分である。
(3)不織布強度:横方向(CD)の不織布強度測定用試験片として、不織布から、機械方向(MD)50mm×横方向(CD)150mmの試験片を5点採取し、さらに機械方向(MD)の不織布強度測定用試験片として、機械方向(MD)150mm×横方向(CD)50mmの試験片を5点採取する。得られたそれぞれの方向の試験片を引張試験機により、つかみ幅100mm、引張速度100mm/分の条件で、最大荷重(cN/50mm)を測定し、これら5点をそれぞれ平均して求めた。
(4)風合:不織布、ネットから、250mm角程度の大きさに統一した試験片を3枚づつ採取し、この試験片を5人のパネラーが手で直に触り、触感により、ソフト性、べとつき感などの観点で風合を評価した。5人のうち3人以上がソフトであり、べとつき感がないと判断した場合、風合が良好と判定し、それ以外の場合を風合不良と判定した。
(5)繊維中におけるプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の分散状態の判定、及び島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大厚み:繊維軸方向(切断面は縦断面)または繊維軸と垂直な方向(切断面は横断面)に鋭利な刃物で切断した繊維を試料として用い、これを室温〜50℃のキシレンに10〜60分浸漬させた後、n−ヘキサン(適切な揮発性溶媒で代替可)で洗浄し、自然乾燥させ、電子顕微鏡で観察した(最適な溶解条件はプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)のα−オレフィン含有量によって異なる)。なお、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)はキシレンで溶解されるため、繊維の切断面には空洞部が観察できる。この空洞部から島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の径、または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の厚みを測定した。繊維軸方向(切断面は縦断面)または繊維軸と垂直な方向(切断面は横断面)に切断した繊維を試料として用い、それぞれ5箇所の断面を観察し、島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径(以下、単に島の最大径という場合あり)、または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大厚み(以下、単に層の最大厚みという場合あり)をそれぞれ5箇所の断面について測定し、これらの平均値を求めた。また、これら縦横断面写真からプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が、針状及び/または板状で繊維軸方向に走行分散しているかどうかを判断した。さらに、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の繊維中での分散状態について、最終判断として、繊維1本あたりに分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径及び/または層の最大厚みが1.5μmを大きく上回った場合には、針状及び/または板状の分散状態が悪いと判断し、それ以外の場合には良好と判断した。観察する試料がスパンボンド不織布やメルトブロー不織布などの不織布の場合は、これら不織布を機械方向(MD)またはMDと垂直な横方向(CD)に鋭利な刃物で切断し、MD切断面から縦断面に相当する繊維断面を、CD切断面から横断面に相当する繊維断面を選択して上記と同様の測定を行った。
【0043】
実施例1〜2、比較例1〜2
レギュラー繊維を紡糸し、得られたポリオレフィン系繊維を用いカードウェブとし、さらにこれを点熱圧着して不織布とした。具体的には、プロピレン系ブロック共重合体として、実施例1では表1に示したAを使用し、実施例2では表1に示したBを使用した。また、樹脂として、比較例1では表1に示したE(プロピレンホモポリマー)を使用し、比較例2では表1に示したF(エチレン−プロピレンランダムコポリマー)を使用した。
表1に示すプロピレン系ブロック共重合体のうち、A、Bはエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の含有率が比較的少ないプロピレン系ブロック共重合体である。該プロピレン系ブロック共重合体の物性値を表1に示す。なお、使用した樹脂は何れも熱安定剤や滑剤などが適宜添加され造粒されたものを用いた。
孔径0.4mmのレギュラー繊維用紡糸口金から表1に示す各々の樹脂を紡糸した。紡糸で得られた未延伸トウをロール延伸法により、ロール温度90℃で3.1倍に延伸し、スタッファーボックス型クリンパーで12山/25mmの機械捲縮を付与し、単糸繊度2.4dtex/fの延伸トウとし、これをカッターで51mmに切断し短繊維とした。
【0044】
上記短繊維をカード機によって加工し、目付22g/m2のカードウェブとした。このウェブを凹凸ロールと平滑ロールを具備したエンボス加工機に、表2に示すロール温度で通過させ点熱圧着処理して不織布を得た。なお、カード通過性は、実施例1及び実施例2、比較例1が非常に良好であり、均一かつ均質なウェブが得られた。しかし、比較例2はカード通過性が悪く斑の多いウェブであった。
【0045】
得られた上記短繊維の電子顕微鏡観察によるエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の分散状態や、点熱圧着不織布の物性や風合いなどの評価結果は、表2に示した。表2の通り、実施例1及び実施例2のプロピレン系ブロック共重合体の繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維表面に露出しておらず、この繊維から得られた点熱圧着不織布は、ソフト性や平滑性に優れ、粘着性がなく、風合いの総合判定は良であった。また、不織布強度も高いものであった。
【0046】
一方、E(プロピレンホモポリマー)を用いた比較例1の繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が存在せず、またF(エチレン−プロピレンランダムコポリマー)を用いた比較例2の繊維は、繊維全体がエチレン−プロピレンランダムコポリマーで構成されており、島状かつ針状の分散や層状かつ板状の分散状態は観察されなかった。また、これらの繊維から得られた点熱圧着不織布は風合いが硬い(比較例1)か、或いは均一性、平滑性に劣り、粘着性がある(比較例2)など、何れかに欠陥のある悪いものであった。
【0047】
実施例3〜4
鞘芯型複合繊維を紡糸し、得られた繊維を用いてカードウェブとし、さらに点熱圧着して不織布とした。具体的には、複合紡糸機で、孔径0.4mmの鞘芯型紡糸口金から表1に示すA(プロピレン系ブロック共重合体)を鞘成分に、E(プロピレンホモポリマー)を芯成分に用いて、表2に示した樹脂の組み合わせ、及び複合比で鞘芯型複合繊維を紡糸した(実施例3)。また、B(プロピレン系ブロック共重合体)を鞘成分に、PET(ポリエチレンテレフタレート)を芯成分に用いて、同様に鞘芯型複合繊維を紡糸した(実施例4)。得られた未延伸トウをロール延伸法により、ロール温度90℃で3.5倍に延伸しスタッファーボックス型クリンパーで13山/25mmの機械捲縮を付与し単糸繊度2.2dtex/fの延伸トウとし、これをカッターで36mmに切断し短繊維とした。さらに前記実施例1に準拠した不織布の製法を用いて、目付20g/m2(実施例3)、及び目付22g/m2(実施例4)の点熱圧着不織布を得た。なお、点熱圧着条件等は、表2に示した。
【0048】
表2の通り、本発明によるプロピレン系ブロック共重合体を鞘成分に用いた実施例3、及び実施例4の複合繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維の表面に露出しておらず、さらに、この繊維から得られた点熱圧着不織布は、ソフト性や平滑性に優れ、粘着性がなく、風合いの総合判定は良であった。また、不織布強度も高く、繊維同士の膠着塊状物のない均一性に優れた不織布であった。
【0049】
実施例5
長繊維をスパンボンド法で紡糸し、得られた長繊維ウェブを点熱圧着して不織布とした。具体的には、繊維の製造には、押出機、紡糸口金、高速気流牽引装置、ネットコンベア型捕集装置、凹凸ロールと平滑ロールからなる点熱圧着装置等を備えたレギュラー長繊維と複合長繊維両方が紡糸可能なスパンボンド不織布製造装置を用いた。表1に示したB(プロピレン系ブロック共重合体)を孔径0.4mmのレギュラー繊維用紡糸口金からスパンボンド法で紡糸し長繊維とした。単糸繊度は2.6dtex/fであった。得られた長繊維ウェブを表3に示したロール温度で点熱圧着処理し、目付26g/m2の長繊維不織布を得た。得られた繊維の電子顕微鏡観察によるエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の分散状態や点熱圧着不織布、風合い等の評価結果を表3に示す。表3に示した通り、本発明のプロピレン系(長)繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維表面に露出しておらず、この繊維から得られた点熱圧着不織布は、ソフト性や平滑性に優れ、粘着性がなく、風合いの総合判定は良であった。また、不織布強度も高いものであった。
【0050】
比較例3
前記実施例5と同様の、レギュラー繊維用スパンボンド不織布製造装置を用い、同様の方法で単糸繊度2.7dtexの長繊維を紡糸した。但し、樹脂は、表1に示すF(エチレン−プロピレンランダムコポリマー)を用いた。得られた長繊維ウェブを表3に示したロール温度で点熱圧着処理し目付26g/m2の長繊維不織布を得た。得られた繊維の電子顕微鏡観察によるエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の分散状態や点熱圧着不織布の物性、風合いの評価結果を表2に示す。得られた長繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマーのみからなり、エチレン含量が少ないのでEPR成分がさらに微細かつ少量であり、キシレン処理による溶解は確認できなかった。また、この長繊維の点熱圧着不織布は、紡糸時の糸切れや繊維同士の融着塊が随所に発生しており、ソフト性が不良で、さらに粘着性があり平滑性に劣り、風合いの総合判定が不良であった。
【0051】
実施例6
前記実施例5と同様のスパンボンド不織布製造装置を用い同様の方法で単糸繊度2.6dtex/fの鞘芯型複合長繊維を紡糸した。但し、紡糸口金は孔径0.4mmの鞘芯型口金を用い、表1に示すAを鞘成分として、Eを芯成分として用い複合比を50/50として紡糸した。得られた長繊維ウェブを表3に示したロール温度で点熱圧着処理し、目付26g/m2の長繊維不織布を得た。得られた繊維の電子顕微鏡観察によるエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の分散状態や点熱圧着不織布の物性や風合いなどの評価結果を表3に示す。表3の通り得られた鞘芯型複合長繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維表面に露出しておらず、この繊維から得られた点熱圧着不織布は、ソフト性に優れ、粘着性がないことから、平滑性に優れ、風合いの総合判定は良であった。また、不織布強力が高く、紡糸時に発生する繊維同士の融着塊状物の無い均一性に優れた不織布であった。
【0052】
実施例7〜8、比較例4
モノフィラメント製造装置を用い、モノフィラメントを製造した。さらに得られたモノフィラメントを用いネットに織製した後に熱処理し、繊維の交点が融着したネットを製造した。具体的には、レギュラーモノフィラメント(実施例7、比較例4)、及び鞘芯型複合モノフィラメント(実施例8)を紡糸した。なお、このモノフィラメント製造装置は紡糸後の溶融糸条を水で冷却する方式の装置である。
実施例7では表1に示すC(プロピレン系ブロック共重合体)を使用し、比較例4では表1に示すE(プロピレン系ブロック共重合体)を使用し、孔径1.0mmのレギュラーモノフィラメント用紡糸口金から間隙を設けて設置された水槽中に糸条を紡糸し、この水槽中を通過させ、さらに温度85℃の温水浴中を通し、この中で5.8倍に延伸し、ワインダーで巻き取り、単糸繊度250dtex/fのモノフィラメントを得た。さらに、このモノフィラメントを織機で織製し、経糸及び緯糸が共に3mm間隔となる平織りネットを得、このネットを熱処理機により温度150℃(実施例7)及び155℃(比較例4)で各々加熱し繊維交点が融着したネットを得た。
【0053】
実施例8では、孔径1.0mmの鞘芯型紡糸口金を用い、表1に示すD(プロピレン系ブロック共重合体)を鞘成分に、E(プロピレンホモポリマー)を芯成分に用いた以外は、前記と同様の製法で、鞘芯型複合モノフィラメントを製造し、鞘芯の複合比(成分容積の比)が60/40、単糸繊度が250dtex/fの鞘芯型複合モノフィラメントを得た。同様の方法で、このモノフィラメントを経糸及び緯糸として用い、3mm間隔で織製後、150℃で熱処理して、繊維交点が融着した平織りネットを得た。得られたモノフィラメントによるエチレン−プロピレンランダムコポリマーの分散の電子顕微鏡観察状態やネット物性、風合い等の評価結果を表4に示した。
表4に示す通り、実施例7のプロピレン系ブロック共重合体を用いたレギュラーモノフィラメント、及び実施例8の鞘芯型複合モノフィラメントは、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維表面に露出しておらず、さらにこのモノフィラメントから得られた熱融着したネットは、粘着性が低く、ソフト性に優れていることから、風合いの判定が良であった。一方、比較例4のプロピレンホモポリマーを用いたモノフィラメントのネットは、粘着性は低いもののソフト性に乏しく、風合いの判定が不良であった。
【0054】
実施例9
メルトブロー法で極細繊維を紡糸し、極細繊維ウェブからなる点熱圧着不織布を製造した。具体的には、メルトブロー紡糸法で、孔径0.3mmのメルトブロー紡糸口金から表1に示したB(プロピレン系ブロック共重合体)を紡糸し、繊維径5μmの極細繊維ウェブをネットコンベア上に捕集した。この極細繊維ウェブを凹凸ロール温度が137℃、平滑ロール温度が135℃の条件で点熱圧着処理し、目付32g/m2の長繊維不織布を得た。この極細繊維を前記同様、キシレン処理後の縦横断面をそれぞれ電子顕微鏡観察した。この極細繊維は、横断面にエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が島状に分散し、縦断面に該プロプレン−エチレンランダムコポリマー成分が針状に走行分散していた。また、この極細繊維は該エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の最大径が0.6μmであった。このエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の分散状態の判定は良であった。
この極細繊維は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー成分が繊維表面に露出しておらず、この繊維から得られた点熱圧着不織布は、粘着性がなく、ソフト性や平滑性に優れていることから、風合いの総合判定は良であった。また、不織布強力は縦方向(MD)が2280cN/5cm、横方向(CD)が2070cN/5cmと高強度であった。
【0055】
実施例10
市販の紙おむつに最初から装備されているサイドギャザを取外し、実施例5で得られた不織布をサイドギャザに加工し、取り外したサイドギャザの代わりにこれをホットメルトで貼り付けた。モニターに触感テストを依頼し、評価を受けたところ風合いの判定は良であった。また、実際に乳幼児に装着し、観察したところ尿の横漏れもなく良好な使用結果となった。
【0056】
比較例5
市販の紙おむつに最初から装備されているサイドギャザを取外し、比較例3で得られた不織布をサイドギャザに加工し、取り外したサイドギャザの代わりにこれをホットメルトで貼り付けた。モニターに触感テストを依頼し、評価を受けたところ風合いの判定は不良であった。また、実際に乳幼児に装着し、観察したところ不織布の均一性が悪いために、尿の横漏れが発生し不良な使用結果となった。
【0057】
【表1】

Figure 0004507389
【0058】
【表2】
Figure 0004507389
【0059】
【表3】
Figure 0004507389
【0060】
【表4】
Figure 0004507389
【0061】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系繊維は、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)がプロピレンホモポリマー成分(I)中に島状または層状に分散して繊維表面に露出しておらず、繊維表面は従来のプロピレンホモポリマー(ポリプロピレン)と同様の平滑性と、従来のプロピレン系ランダム共重合体よりも低い粘着性を示す(粘着性の低い平滑性に優れた繊維)。さらに結晶化温度が従来のポリプロピレンと同程度に高いので、糸切れが極めて少なく、紡糸時の操業性や繊維の不織布加工性などが良好であり、柔軟性や肌触りなどの風合いに優れた繊維や不織布が得られる。
また、本発明のポリオレフィン系繊維は、カード機などでウェブを製造する際、カード通過性が良く、均一なウェブを得ることができ、引いては均一な点熱圧着不織布などを生産性良く得ることができる。また、この繊維は熱融着性に優れるので、この繊維単独で又はこの繊維と他の繊維を併用などして不織布や成形体ほか各種用途に使用可能である。また、本発明の不織布は非常にソフトであり、平滑性に優れ粘着性のない優れた風合いの不織布である。また、本発明の不織布を用いた紙おむつなどの吸収性物品は、非常にソフトであり、平滑性に優れ粘着性のない優れた風合いを有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリオレフィン系繊維の横断面模式図
【図2】本発明のポリオレフィン系繊維の横断面模式図
【図3】図1で用いた本発明のポリオレフィン系繊維の縦断面模式図
【図4】図2で用いた本発明のポリオレフィン系繊維の縦断面模式図
【図5】本発明のポリオレフィン系繊維の横断面写真
【図6】本発明のポリオレフィン系繊維の縦断面写真
【符号の説明】
1:ポリオレフィン系繊維
2:島状分散していたプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)をキシレン溶解した後の空洞部
3:層状分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)をキシレン溶解した後の空洞部
4:走行分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)をキシレン溶解した後の空洞部
F:溶出不完全なプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)のフィブリル
P:プロピレンホモポリマー成分(I)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polyolefin fiber, a nonwoven fabric using the same, and an absorbent article. More specifically, the present invention relates to a polyolefin-based fiber excellent in processing suitability at the time of processing a heat-bonded nonwoven fabric, flexibility and touch, a nonwoven fabric using the same, and an absorbent article.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, polyolefin fibers made from polyolefin resin, which has a low flexural modulus of resin compared to polyethylene terephthalate (PET), which has been used as a raw material for polyester fibers, can produce nonwoven fabrics with excellent texture. It has been used in various fields centering on materials.
[0003]
As the polyolefin fibers, not only single fibers made of polyolefin resins such as polypropylene and polyethylene, but also various composite fibers made of these polyolefin resins and other resins are used. In order to further improve the performance of these polyolefin fibers, various improvements have been made. For example, for the purpose of improving the texture of the nonwoven fabric, improvements such as production of polyolefin fibers using a propylene random copolymer of propylene and ethylene as a raw material resin instead of homopolypropylene have been made. Since this propylene random copolymer, which is a raw material resin, is a copolymer of propylene and ethylene in the presence of homopolypropylene, an amorphous ethylene propylene rubber component (hereinafter referred to as EPR component) is present. The composition is randomly formed in the polypropylene component, and its physical properties are lower in crystallinity (crystallinity and crystallization temperature) and flexural elasticity than in the original polypropylene.
[0004]
However, by using fibers produced from these conventionally known propylene random copolymers, it is possible to improve the texture of the heat-sealed nonwoven fabric produced therefrom, but in the resin component of the propylene random copolymers. In addition, the EPR component having high tackiness which is randomly formed is exposed on the fiber surface, so that the smoothness of the fiber is lowered.
[0005]
Furthermore, since the crystallinity is low when a propylene-based random copolymer is used, its crystallization temperature is also low, which reduces the distance until the melted yarn discharged from the spinning nozzle hole at the time of melt spinning is crystallized and solidified. There is a tendency to increase, that is, the solidification length tends to increase. In addition, due to the increase in solidification length, the yarns are more susceptible to yarn fluctuations caused by cooling air flow and accompanying air flow, causing sticking and fusing of fibers, and further fiber breakage. It comes to do.
[0006]
On the other hand, the low smoothness of the fiber surface raises the problem of increasing the friction between the fibers due to fiber contact during melt spinning and increasing the fineness spots. Furthermore, in the nonwoven fabric processing, the low smoothness of the fiber surface causes a problem that a fiber lump is generated by contact between the fibers in the fiber opening process, and a non-uniform nonwoven fabric with many spots is produced.
[0007]
That is, when a conventionally known propylene-based random copolymer is used in order to improve the texture, fineness unevenness tends to increase, and the yarn in the molten state is contacted due to a low crystallization temperature. As a result, problems such as adhesion and fusion between fibers and deterioration of operability such as occurrence of yarn breakage occur. In addition, there is a problem that the effect of improving the texture of a non-woven fabric or the like using the obtained fiber is reduced due to the occurrence of the above-described sticking or fusion, fineness unevenness, and fiber lump. Moreover, the polyolefin fiber using such a conventionally known propylene-based random copolymer has a portion where α-olefin is introduced as an EPR component, which is randomly dispersed in the polymer. When exposed to the fiber, the fiber surface lacks smoothness, or in other words, the fiber surface is inherently sticky.
[0008]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-263350 discloses that an ethylene-propylene random copolymer is used to improve flexibility, and a nucleating agent is added to increase the crystallization temperature to increase the above-mentioned fineness spots and fiber opening. Disclosed is a long-fiber non-woven fabric that has improved operability and poor operability due to yarn breakage. However, since a 3-methyl-1-butene polymer exhibiting a strong nucleating action as a nucleating agent is added to the ethylene-propylene random copolymer, the melt tension increases and the orientation of the ethylene-propylene random copolymer is increased. Crystallization is promoted. As a result, the bending elastic modulus of the obtained fiber becomes almost the same as that of a fiber produced from a conventional polypropylene, thereby reducing the flexibility of the ethylene-propylene random copolymer. For this reason, only non-woven fabrics that are not significantly different from non-woven fabrics made of fibers made from conventional polypropylene have been obtained in terms of texture such as flexibility and touch.
[0009]
As described above, the fibers produced from the conventional propylene-based random copolymer have insufficient fineness, operability at the time of spinning, passability and unfoldability in a non-woven fabric processing machine, and this fiber is further used. The nonwoven fabric was not sufficient in uniformity and texture.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in order to solve the above-described problems, and is excellent in operability such as spinnability and nonwoven fabric processability, and has excellent fiber uniformity and less fiber fineness, and this fiber It aims at providing the nonwoven fabric excellent in textures, such as a softness | flexibility and the touch obtained by using, and an absorbent article using this nonwoven fabric.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors made extensive studies. As a result, using propylene homopolymer component (I) and propylene block copolymer, which is a block copolymer of propylene-α-olefin random copolymer component (II), fiberized by melt spinning and the like By doing so, a fiber having a very soft texture and low stickiness and excellent smoothness can be obtained. By using this fiber, a nonwoven fabric having a good texture such as flexibility and touch can be obtained, and the nonwoven fabric is used. Based on this finding, the present inventors have completed the present invention with the expectation that an absorbent article having a good texture such as flexibility and touch will be obtained.
[0012]
The present invention has the following configuration.
(1) A polyolefin fiber comprising a propylene block copolymer which is a block copolymer of a propylene homopolymer component (I) and a propylene-α-olefin random copolymer component (II), The propylene-α-olefin random copolymer component (II) is dispersed in islands or layers, and the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is traveling and dispersed along the fiber axis direction in the fiber longitudinal section. The maximum diameter of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in islands of the fiber cross section or the maximum thickness of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in layers is 1 A polyolefin-based fiber having a thickness of 5 μm or less.
[0013]
(2) The polyolefin system according to (1), wherein the α-olefin of the propylene-based block copolymer is at least one selected from ethylene, 1-butene, 1-pentene, 1-hexene and 1-octene. fiber.
[0014]
(3) The α-olefin is ethylene, the ethylene-propylene random copolymer contains 25 to 65% of ethylene polymerized units based on the weight of the ethylene-propylene random copolymer component, and the ethylene-propylene random copolymer component is propylene-based. The polyolefin fiber as described in (1) above, which is a propylene block copolymer containing 10 to 80% based on the weight of the block copolymer.
[0015]
(4) The polyolefin fiber according to any one of (1) to (3), wherein the polyolefin fiber uses a propylene block copolymer at least in part, and a thermoplastic resin other than the block copolymer. A polyolefin-based fiber, which is a polyolefin-based composite fiber composed of two or more components.
[0016]
(5) A nonwoven fabric using at least a part of the polyolefin-based fiber according to any one of (1) to (4).
[0017]
(6) The nonwoven fabric according to (5) above, obtained by using a spunbond method.
[0018]
(7) The nonwoven fabric as described in the above item (5), obtained by using a melt-blowing method.
[0019]
(8) An absorbent article using at least a part of the nonwoven fabric according to any one of (5) to (7).
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0021]
For the polyolefin fiber of the present invention, a specific propylene block copolymer described later is used. This specific propylene-based block copolymer consists of a block copolymer of a propylene homopolymer component (I) and a polypropylene-α-olefin random copolymer component (II), and this propylene-based block copolymer is used. In the obtained fiber, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is dispersed in islands or layers in the fiber cross section. Further, in the fiber longitudinal section, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) travels and disperses along the fiber axis direction (fiber length direction). Moreover, the maximum diameter of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in the island shape of the fiber cross section or the maximum thickness of the polypropylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in a layer shape is The fiber is 1.5 μm or less.
[0022]
The polyolefin-based fiber of the present invention is obtained by fiberizing a block copolymer of a propylene homopolymer component (I) and a polypropylene-α-olefin random copolymer component (II). The block copolymer of propylene homopolymer component (I) and propylene-α-olefin random copolymer component (II) includes propylene homopolymer component (I), propylene-α-olefin random copolymer component (II) and Contain mixed and / or bonded resins.
[0023]
In the polyolefin fiber of the present invention, the polypropylene-α-olefin random copolymer component (II) is traveled and dispersed along the fiber axis direction as described above in the longitudinal section of the fiber. Moreover, only the propylene homopolymer component (I) is exposed on the fiber surface, and the propylene homopolymer component (I) is used as the sea component in the interior, and the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is as described above. Is distributed. In other words, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) has a sea-island cross section that is not exposed on the fiber surface. In the polyolefin fiber of the present invention, the maximum diameter or the maximum thickness of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in the propylene homopolymer component (I) is 1.5 μm or less, and the crystallization temperature is Since the high propylene homopolymer component (I) is exposed, there is no sticking or fusing and excellent surface smoothness as compared with conventionally known propylene random copolymers. The same effect can be obtained even when the propylene-based block copolymer forms at least part of the fiber surface as a component of a composite fiber such as a parallel type or a sheath core type.
[0024]
Hereinafter, the dispersion state of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) will be described in more detail with reference to the drawings.
The schematic diagram which observed the cross section which carried out the xylene process of the polyolefin-type fiber 1 of this invention is shown in FIG. 1, FIG. The schematic diagram which observed the longitudinal cross section which carried out the xylene process of the polyolefin fiber 1 of this invention was shown in FIG. 3, FIG. Moreover, the electron micrograph which shows a part of the cross section which carried out the xylene process of the polyolefin fiber 1 of this invention is shown as FIG. 5, and also the electron which shows a part of the vertical cross section which carried out the xylene process of the polyolefin fiber 1 of this invention A photomicrograph is shown in FIG.
[0025]
In FIG. 1, reference numeral 2 denotes an island-like cavity formed by elution of propylene-α-olefin random copolymer component (II) by xylene treatment, and the location of propylene-α-olefin random copolymer component (II) substantially. And the distributed state. As shown in FIG. 1, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is not exposed on the fiber surface, although many propylene components P are dispersed in the form of islands using the propylene component P as a matrix (sea component). In addition, when the cross section of the polyolefin fiber 1 of the present invention is observed, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) that is pulled out when the fiber is cut and is not completely eluted by the xylene treatment has the form as fibril F. What is left may be observed.
[0026]
In FIG. 2, 2 is an island-like cavity formed by elution of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) as in FIG. 1, and 3 is the propylene-α-olefin random copolymer component (II). It is a layered cavity formed by elution. These cavities substantially indicate the location and dispersion of the propylene-α-olefin random copolymer component (II). From FIG. 2, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is dispersed in the island shape 2 and mostly in the layer shape 3 with the propylene component P as a matrix, and is not exposed to the fiber surface. . In addition, as in FIG. 1, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) that has not been completely eluted by the xylene treatment may be observed in the form of fibrils F as it is.
[0027]
3 and 4 show the longitudinal sections of the fibers corresponding to the cross-sections of FIGS. 1 and 2, respectively, and 4 is the result of elution of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) by xylene treatment. It shows the location and dispersion state of the propylene-α-olefin random copolymer component (II). The propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in FIG. 4 is observed to be thicker than that of FIG. As shown in FIGS. 3 and 4, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is run and dispersed in the fiber axis direction using the propylene component P as a matrix. Fibril F may be observed due to the α-olefin random copolymer component (II).
[0028]
Next, a cross-sectional photograph of the fiber of the present invention obtained using an ethylene-propylene random copolymer (hereinafter sometimes abbreviated as PERC) component as the propylene-α-olefin random copolymer component (II) will be described. FIG. 5 is an electron micrograph of a cross section of the polyolefin fiber 1 of the present invention similar to FIG. 1, and the ethylene-propylene random copolymer component dispersed in islands is innumerable with the propylene component P as a matrix. Many fibrils F are observed.
[0029]
FIG. 6 is an electron micrograph of a substantially longitudinal section of the polyolefin fiber 1 of the present invention. The ethylene-propylene random copolymer component has a propylene component P as a matrix due to the cavity 4 indicating the dispersion state. The state of running and dispersing along the fiber axis direction can be confirmed, and fibrils F are also observed.
[0030]
The maximum diameter or the maximum thickness of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in islands or the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in layers in the cross section of the fiber. The reason why the thickness is 1.5 μm or less is that if the maximum dispersion diameter or the maximum thickness is larger than 1.5 μm, it acts as a foreign matter during spinning, which causes thread breakage and lowers operability.
[0031]
Further, the propylene-based block copolymer used in the present invention has an intrinsic viscosity [η] of the propylene-α-olefin random copolymer component (II). RC And the intrinsic viscosity of the propylene homopolymer component (I) is [η] PP The ratio of the intrinsic viscosity ([η] RC ) / ([Η] PP ) Is preferably a block copolymer of 0.5 to 1.4. Further, the weight ratio of propylene homopolymer component (I) to propylene-α-olefin random copolymer component (II) (W PP / W RC ) And the intrinsic viscosity ratio ([η] RC ) / [Η] PP ) Product, ie (W PP / W RC ) X ([η] RC ) / [Η] PP ) Is preferably a 0.2 to 3.0 block copolymer. When the propylene-based block copolymer is designed in such a range, the dispersion state of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is improved.
[0032]
The propylene-based block copolymer of the present invention is preferably designed as described above, and its production method is not limited as long as it is designed as such. For example, the production amount of an olefin polymer of a pre-activated catalyst treated with a small amount of olefin in the presence of a titanium-containing solid catalyst component, an organoaluminum compound and, if necessary, an electron donor is Pre-polymerization to 0.1-100 grams per gram, followed by propylene polymerization in the presence of the pre-activated catalyst in the presence of organoaluminum and optionally an electron donor, followed by It is preferable to perform random polymerization of propylene and an α-olefin such as ethylene to obtain a propylene-based block polymer powder. In addition, the polymerization of propylene for producing the propylene homopolymer component (I) of the propylene-based block copolymer is any of a slurry polymerization method, a bulk polymerization method, a gas phase polymerization method and the like using a titanium-containing solid catalyst. Although a polymerization method may be used, it is preferable to use a gas phase polymerization method for the subsequent polymerization method of the propylene-α-olefin random copolymer component (II). The propylene block copolymer may be, for example, a mixture of a propylene homopolymer and a propylene-α-olefin random copolymer. However, those obtained by the above polymerization method are preferably used since the dispersibility of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is good.
[0033]
Intrinsic viscosity [η] of the homopolymer component PP Can be measured by dissolving and removing the propylene-α-olefin random copolymer component (II) with hot xylene or fractionating the propylene homopolymer by chromatographic treatment. Intrinsic viscosity [η] of propylene-α-olefin random copolymer component (II) RC [Η] represents the intrinsic viscosity of the entire composition, that is, the propylene block copolymer WHOLE , It can be obtained by the following formula 1.
[0034]
[Formula 1]
[Η] RC = {[Η] WHOLE -(1-W RC / 100) ・ [η] PP } / {W RC / 100}
Furthermore, [weight of propylene-α-olefin random copolymer component (II) (W RC )] / [Weight of propylene-based block copolymer (W WHOLE )] × 100 can suitably be used in the range of 10 to 80% by weight, preferably 20 to 75% by weight, more preferably 25 to 75% by weight. When the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is fiberized using a propylene-based block copolymer having a weight ratio of less than 10% by weight, the island shape of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) The amount dispersed in the formation and / or stratification is insufficient, and the effect of the present invention is hardly obtained. Further, when the weight ratio of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) exceeds 80% by weight, the fluidity at the time of spinning and the tension at the time of melting are lowered to deteriorate the spinnability, or the propylene-α-olefin Since the random copolymer component (II) is exposed on the fiber surface and the surface smoothness of the fiber is lowered, it is not preferable.
[0035]
The fiber cross section of the polyolefin-based fiber of the present invention is not particularly limited, and is a solid or hollow structure having a flat cross section, a U-shaped cross section, a triangular cross section, a trilobal cross section, an elliptical cross section, and a circular cross section, or these. It may be a fiber cross-section combining cross-sectional shapes. Further, the polyolefin fiber of the present invention is provided with various function-imparting agents such as an antifungal agent, a colorant, a hydrophilic agent, a water repellent, a flame retardant, a fragrance, an antibacterial agent, a deodorant, a plant extract, and a crystal nucleating agent. It may be added in advance at the time of production, or if possible, it may be adhered after the production of the fiber.
[0036]
The fineness of the polyolefin fiber of the present invention is not particularly limited, but a fineness range of 0.05 to 500 dtex / f (dtex / f) can be usually used. Further, the fiberizing method is not specified, and various conventionally known methods such as a direct nonwoven fabric forming method such as a melt blow method and a spun bond method, a melt spinning method, a gel spinning method, and a split fiber method can be used.
[0037]
The propylene block copolymer used in the present invention is a resin in which the propylene homopolymer component (I) and the propylene-α-olefin random copolymer component (II) are blended or bonded as described above. Among these, ethylene, 1-butene, 1-pentene, 1-hexene, and 1-octene are preferably used for the α-olefin of the propylene-α-olefin random copolymer component (II), and two or more of these are used. You can also. Further, the low bending elasticity of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) leads to the effect of lowering the bending elasticity of the entire propylene block copolymer. In addition, it is preferable to use ethylene as the α-olefin of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) from the viewpoint of excellent fiber softening effect.
[0038]
The polyolefin fiber of the present invention may be a composite fiber composed of at least a part of a propylene block copolymer and composed of two or more components with a thermoplastic resin other than the block copolymer. The cross section of the composite fiber may be a flat cross section, a U-shaped cross section, a triangular cross section, a deformed cross section such as a trilobal cross section, an elliptical cross section, a solid cross section of a circular cross section, or a fiber cross section combining these cross sections. Furthermore, a concentric sheath core type, an eccentric sheath core type, a parallel type, a multilayer type, a radial type, a butana shape, and a sea island shape composite fiber having these fiber cross sections may be used. Thus, in the present invention, various forms of fiber cross-sectional shapes can be used. Also, as the composite fiber, it is possible to use a composite fiber having three or more components, but the spinning equipment and the spinneret tend to be complicated, and the production cost tends to increase. In the normal case, two components are sufficient. . As for the volume ratio of the two-component conjugate fiber, when the two components are the first component and the second component, respectively, the volume ratio is usually in the range of first component: second component = 10: 90 to 90:10. Is done. In consideration of productivity, the volume ratio of the first component to the second component is preferably in the range of 30:70 to 70:30. When used for the conjugate fiber of the present invention, the propylene-based block copolymer may be used for either the first component or the second component. For example, when the first component of the sheath-core composite fiber or the eccentric sheath-core composite fiber is the sheath component, the second component is the core component, and the first component is a propylene-based block copolymer, Propylene-based block copolymers having a composition different from that of one component and other conventionally known thermoplastic resins can also be used. The same applies to the case where the first component of the sheath-core composite fiber is the sheath component, the second component is the core component, and the second component is a propylene-based block copolymer. Conventionally known various thermoplastic resins include polyesters such as polyethylene terephthalate (PET) and polybutylene terephthalate (PBT), nylon 6, nylon 66, nylon 12, polybutylene, various polyethylenes (high density, linear low density, low Density), various polystyrenes (isotactic, atactic, syndiotactic), polyphenylene sulfide, various polypropylenes (isotactic, atactic, syndiotactic), polyvinyl acetate, polyethylene vinyl alcohol, various propylene-α-olefin copolymers Examples thereof include polymer, poly-3-methyl-1-butene, poly-4-methyl-1-pentene, thermoplastic urethane, and polynorbornene. The polyolefin fiber referred to in the present invention is a fiber in which an olefin polymer is used at least in part. For example, other components than the propylene block copolymer used in the composite fiber are polyester and nylon. Even if the ratio of these other components is larger than that of the propylene block copolymer, it is defined as a polyolefin fiber in the present invention.
[0039]
The non-woven fabric of the present invention is a non-woven fabric using at least a part of the polyolefin fiber of the present invention. Not only 100% of the fiber is used, but also other than the present invention by means of lamination, blending, blending, etc. with the fiber. It can also be used as a non-woven fabric with these fibers. Non-woven fabric methods include point bond method, hot air heating method, high-pressure water column entanglement method, needle punch method, etc., and melt blow method, spun bond method, and flash span method referred to as the above-mentioned direct non-woven fabric method. Any non-woven fabric processing method can be exemplified. In addition, although the method of making a nonwoven fabric is not restrict | limited to these, the spun bond method is especially preferable from the productivity of a nonwoven fabric being good and being able to manufacture cheaply.
[0040]
The absorbent article of the present invention is an absorbent article such as a disposable diaper or a sanitary napkin using at least a part of the nonwoven fabric of the present invention. The absorbent article is arranged on the side in contact with the skin, an absorbent core layer that absorbs and retains body fluids such as urine and blood, a body fluid permeable cover for wrapping the absorbent core layer, although it varies depending on the mode. A body fluid-permeable top sheet and a body fluid impermeable back sheet that is disposed opposite to the side where the top sheet is located and prevents the absorbed body fluid from leaking to the outside are configured as a basic structure. In most cases, the absorbent article having such a basic structure is provided with a side gather for preventing leakage from the side when absorbing body fluid from the top sheet. Nonwoven fabrics are used for these top sheets and side gathers. In addition, a film that is impermeable to body fluid and breathable is usually used for the back sheet, but a nonwoven fabric may be laminated to improve the texture. Thus, absorbent articles, such as a disposable diaper and a sanitary napkin, are comprised by many members, such as a top sheet, a side gather, and a back sheet. The nonwoven fabric of this invention can be used suitably for these members from the characteristic that it is excellent in uniformity and a texture.
[0041]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example and a comparative example are given and this invention is demonstrated concretely, this invention is not limited only to what was mentioned by these Examples.
[0042]
The measuring methods for various physical properties used in the examples and comparative examples will be described below.
(1) Intrinsic viscosity [η]: Using an automatic viscosity measuring apparatus, the intrinsic viscosity [η] was measured using tetrachloronaphthalene as a solvent under a temperature condition of 135 ° C. The unit is dl / g.
(2) Melt flow rate: Melt flow rate (hereinafter referred to as MFR) was measured at 230 ° C. and a load of 21.18 N in accordance with JIS K 7210. The unit is g / 10 minutes.
(3) Non-woven fabric strength: Five test pieces (machine direction (MD) 50 mm × lateral direction (CD) 150 mm) were collected from the non-woven fabric as test pieces for measuring the strength of the non-woven fabric in the cross direction (CD). As a test piece for measuring the strength of the non-woven fabric), five test pieces having a machine direction (MD) of 150 mm and a cross direction (CD) of 50 mm are collected. The maximum load (cN / 50 mm) was measured for the obtained test specimens in the respective directions with a tensile tester under the conditions of a grip width of 100 mm and a tensile speed of 100 mm / min, and these five points were averaged.
(4) Texture: Three pieces of test pieces that are about 250 mm square are collected from a nonwoven fabric and a net, and the five panelists touch the test pieces directly by hand. The texture was evaluated from the viewpoint of stickiness. When it was judged that 3 or more out of 5 people were soft and there was no feeling of stickiness, it was judged that the feeling was good, and the other cases were judged as poor feeling.
(5) Determination of the dispersion state of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) in the fiber, and dispersion in the maximum diameter or layer of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in islands Maximum thickness of propylene-α-olefin random copolymer component (II): A fiber cut with a sharp blade in the fiber axis direction (cut surface is longitudinal section) or perpendicular to the fiber axis (cut surface is transverse section) This was used as a sample, soaked in xylene at room temperature to 50 ° C. for 10 to 60 minutes, washed with n-hexane (can be replaced with an appropriate volatile solvent), naturally dried, and observed with an electron microscope (optimum) The dissolution conditions vary depending on the α-olefin content of the propylene-α-olefin random copolymer component (II)). Since the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is dissolved in xylene, a cavity can be observed on the cut surface of the fiber. The diameter of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in islands from the cavity or the thickness of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in layers was measured. Propylene dispersed in islands by observing cross-sections at five locations, using fibers cut in the direction of the fiber axis (the cut surface is a longitudinal section) or in the direction perpendicular to the fiber axis (the cut surface is a transverse section). -The maximum diameter of the α-olefin random copolymer component (II) (hereinafter sometimes simply referred to as the maximum diameter of the island) or the maximum thickness of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in layers (hereinafter, In some cases, the maximum thickness of the layer was measured for each of the five cross-sections, and the average value was obtained. Further, it was judged from these longitudinal and transverse cross-sectional photographs whether propylene-α-olefin random copolymer component (II) was traveling and dispersed in the fiber axis direction in the form of needles and / or plates. Further, regarding the dispersion state of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) in the fiber, as a final judgment, the maximum diameter of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed per fiber and When the maximum thickness of the layer // greatly exceeded 1.5 μm, it was judged that the needle-like and / or plate-like dispersion state was bad, and in other cases, it was judged good. When the sample to be observed is a nonwoven fabric such as a spunbond nonwoven fabric or a melt blown nonwoven fabric, these nonwoven fabrics are cut with a sharp blade in the machine direction (MD) or in the transverse direction (CD) perpendicular to the MD, and the longitudinal cross section is taken from the MD cut surface. The corresponding fiber cross section was selected from the CD cut surface, and the cross section corresponding to the cross section was selected, and the same measurement as described above was performed.
[0043]
Examples 1-2 and Comparative Examples 1-2
A regular fiber was spun, and the resulting polyolefin fiber was used as a card web. Specifically, as the propylene-based block copolymer, A shown in Table 1 was used in Example 1, and B shown in Table 1 was used in Example 2. Further, as a resin, E (propylene homopolymer) shown in Table 1 was used in Comparative Example 1, and F (ethylene-propylene random copolymer) shown in Table 1 was used in Comparative Example 2.
Among the propylene-based block copolymers shown in Table 1, A and B are propylene-based block copolymers having a relatively low content of ethylene-propylene random copolymer components. Table 1 shows the physical property values of the propylene-based block copolymer. In addition, as for the used resin, the heat stabilizer, the lubrication agent, etc. were added suitably, and what was granulated was used.
Each resin shown in Table 1 was spun from a spinneret for regular fibers having a pore diameter of 0.4 mm. The unstretched tow obtained by spinning is stretched 3.1 times at a roll temperature of 90 ° C. by a roll stretching method, imparted with 12 crimps / 25 mm of mechanical crimps with a stuffer box type crimper, and a single yarn fineness of 2.4 dtex. / F stretched tow, which was cut to 51 mm with a cutter to obtain short fibers.
[0044]
The above short fibers are processed by a card machine, and the basis weight is 22 g / m. 2 The card web. This web was passed through an embossing machine equipped with a concavo-convex roll and a smooth roll at the roll temperature shown in Table 2, and subjected to a point thermocompression treatment to obtain a nonwoven fabric. In addition, the card | curd permeability was very favorable in Example 1, Example 2, and the comparative example 1, and the uniform and homogeneous web was obtained. However, Comparative Example 2 was a web with poor card passage and lots of spots.
[0045]
Table 2 shows the evaluation results of the dispersion state of the ethylene-propylene random copolymer component and the physical properties and texture of the point thermocompression bonded nonwoven fabric observed by electron microscope observation of the obtained short fibers. As shown in Table 2, in the fibers of the propylene-based block copolymers of Example 1 and Example 2, the ethylene-propylene random copolymer component is not exposed on the fiber surface, and the point thermocompression bonded nonwoven fabric obtained from this fiber is The softness and smoothness were excellent, there was no tackiness, and the overall judgment of the texture was good. Moreover, the nonwoven fabric strength was also high.
[0046]
On the other hand, the fiber of Comparative Example 1 using E (propylene homopolymer) has no ethylene-propylene random copolymer component, and the fiber of Comparative Example 2 using F (ethylene-propylene random copolymer) is the whole fiber. Is composed of an ethylene-propylene random copolymer, and island-like and needle-like dispersions and layer-like and plate-like dispersion states were not observed. Moreover, the point thermocompression bonded nonwoven fabric obtained from these fibers has a dull defect such as hard texture (Comparative Example 1), inferior uniformity and smoothness, and adhesiveness (Comparative Example 2). It was bad.
[0047]
Examples 3-4
A sheath-core type composite fiber was spun, and the obtained fiber was used as a card web, which was further subjected to point thermocompression bonding to form a nonwoven fabric. Specifically, in a composite spinning machine, A (propylene block copolymer) shown in Table 1 was used as a sheath component and E (propylene homopolymer) as a core component from a sheath core type spinneret with a hole diameter of 0.4 mm. Then, the sheath-core type composite fiber was spun with the combination of resins shown in Table 2 and the composite ratio (Example 3). Further, sheath-core type composite fibers were similarly spun using B (propylene block copolymer) as a sheath component and PET (polyethylene terephthalate) as a core component (Example 4). The obtained unstretched tow was stretched 3.5 times at a roll temperature of 90 ° C. by a roll stretching method, and a 13 crimps / 25 mm mechanical crimp was imparted by a stuffer box type crimper to stretch a single yarn fineness of 2.2 dtex / f. A tow was cut into 36 mm with a cutter to obtain a short fiber. Furthermore, using the manufacturing method of the nonwoven fabric based on the said Example 1, a fabric weight is 20 g / m. 2 (Example 3) and basis weight 22 g / m 2 A point thermocompression bonded nonwoven fabric of (Example 4) was obtained. The point thermocompression bonding conditions are shown in Table 2.
[0048]
As shown in Table 2, in the composite fibers of Example 3 and Example 4 using the propylene-based block copolymer according to the present invention as the sheath component, the ethylene-propylene random copolymer component is not exposed on the fiber surface, Furthermore, the point thermocompression bonded nonwoven fabric obtained from this fiber was excellent in softness and smoothness, had no tackiness, and the overall judgment of the texture was good. Moreover, the nonwoven fabric was high in strength and was excellent in uniformity with no agglomerates between fibers.
[0049]
Example 5
Long fibers were spun by the spunbond method, and the obtained long fiber web was subjected to point thermocompression bonding to obtain a nonwoven fabric. Specifically, for the production of fibers, an extruder, a spinneret, a high-speed airflow traction device, a net conveyor type collection device, a regular long fiber and a composite length equipped with a point thermocompression bonding device composed of an uneven roll and a smooth roll, etc. A spunbond nonwoven manufacturing apparatus capable of spinning both fibers was used. B (Propylene block copolymer) shown in Table 1 was spun by a spunbond method from a spinneret for regular fibers having a pore diameter of 0.4 mm to obtain long fibers. The single yarn fineness was 2.6 dtex / f. The obtained long fiber web was subjected to point thermocompression bonding at the roll temperature shown in Table 3, and the basis weight was 26 g / m. 2 The long fiber nonwoven fabric was obtained. Table 3 shows the evaluation results of the dispersion state of the ethylene-propylene random copolymer component, the point thermocompression bonded nonwoven fabric, the texture, and the like, as observed by electron microscopy of the obtained fiber. As shown in Table 3, in the propylene-based (long) fiber of the present invention, the ethylene-propylene random copolymer component is not exposed on the fiber surface, and the point thermocompression nonwoven fabric obtained from this fiber is soft and smooth. It was excellent in properties, was not sticky, and the overall judgment of the texture was good. Moreover, the nonwoven fabric strength was also high.
[0050]
Comparative Example 3
Using the same spunbond nonwoven fabric manufacturing apparatus for regular fibers as in Example 5, long fibers having a single yarn fineness of 2.7 dtex were spun by the same method. However, F (ethylene-propylene random copolymer) shown in Table 1 was used as the resin. The obtained long fiber web was subjected to a point thermocompression treatment at the roll temperature shown in Table 3 to have a basis weight of 26 g / m. 2 The long fiber nonwoven fabric was obtained. Table 2 shows the evaluation results of the dispersion state of the ethylene-propylene random copolymer component, the physical properties of the point thermocompression bonded nonwoven fabric, and the texture of the obtained fiber observed with an electron microscope. The obtained long fiber consists only of an ethylene-propylene random copolymer, and since the ethylene content is small, the EPR component is finer and in a small amount, and dissolution by xylene treatment could not be confirmed. In addition, this long-fiber point thermocompression bonded nonwoven fabric has yarn breakage during spinning and fusion lump of fibers everywhere, poor softness, stickiness, poor smoothness, texture The overall judgment was poor.
[0051]
Example 6
Using the same spunbond nonwoven fabric production apparatus as in Example 5, a sheath-core type composite continuous fiber having a single yarn fineness of 2.6 dtex / f was spun by the same method. However, the spinneret was a sheath-core die having a hole diameter of 0.4 mm, and was spun with A shown in Table 1 as a sheath component and E as a core component at a composite ratio of 50/50. The obtained long fiber web was subjected to point thermocompression bonding at the roll temperature shown in Table 3, and the basis weight was 26 g / m. 2 The long fiber nonwoven fabric was obtained. Table 3 shows the evaluation results of the dispersion state of the ethylene-propylene random copolymer component and the physical properties and texture of the point thermocompression bonded nonwoven fabric observed by electron microscope observation of the obtained fiber. The sheath-core type composite long fiber obtained as shown in Table 3 has no ethylene-propylene random copolymer component exposed on the fiber surface, and the point thermocompression bonded nonwoven fabric obtained from this fiber has excellent softness and adhesiveness. Since there was no, smoothness was excellent and the comprehensive judgment of the texture was good. Further, the nonwoven fabric had high strength and was excellent in uniformity with no fused aggregates of fibers generated during spinning.
[0052]
Examples 7-8, Comparative Example 4
A monofilament was manufactured using a monofilament manufacturing apparatus. Further, the obtained monofilament was woven into a net and then heat treated to produce a net in which the fiber intersections were fused. Specifically, regular monofilament (Example 7, Comparative Example 4) and sheath-core composite monofilament (Example 8) were spun. This monofilament manufacturing apparatus is an apparatus for cooling the melted yarn after spinning with water.
In Example 7, C (propylene-based block copolymer) shown in Table 1 was used, and in Comparative Example 4, E (propylene-based block copolymer) shown in Table 1 was used. For regular monofilaments having a pore diameter of 1.0 mm The yarn is spun into a water tank provided with a gap from the spinneret, passed through this water tank, passed through a hot water bath at a temperature of 85 ° C., stretched 5.8 times in this, and winded with a winder The monofilament having a single yarn fineness of 250 dtex / f was obtained. Further, the monofilament was woven with a loom to obtain a plain weave net with warp and weft 3 mm apart, and this net was heated at a temperature of 150 ° C. (Example 7) and 155 ° C. (Comparative Example 4), respectively. The net where the fiber intersections were fused was obtained.
[0053]
In Example 8, a sheath core type spinneret having a pore diameter of 1.0 mm was used, except that D (propylene block copolymer) shown in Table 1 was used as a sheath component and E (propylene homopolymer) was used as a core component. A sheath-core type composite monofilament was produced by the same production method as described above, and a sheath-core type composite monofilament having a sheath-core composite ratio (component volume ratio) of 60/40 and a single yarn fineness of 250 dtex / f was obtained. In the same manner, using this monofilament as warp and weft, weaving at intervals of 3 mm and then heat-treating at 150 ° C. to obtain a plain weave net with fused fiber intersections. Table 4 shows the results of evaluation of the dispersion of the ethylene-propylene random copolymer by the obtained monofilament, such as the electron microscope observation state, net properties, and texture.
As shown in Table 4, in the regular monofilament using the propylene-based block copolymer of Example 7 and the sheath-core type composite monofilament of Example 8, the ethylene-propylene random copolymer component is not exposed on the fiber surface, Furthermore, the heat-sealed net obtained from this monofilament has a low adhesiveness and excellent softness, so that the texture judgment is good. On the other hand, the monofilament net using the propylene homopolymer of Comparative Example 4 had low softness although it had low adhesiveness, and the texture was poorly judged.
[0054]
Example 9
Ultrafine fibers were spun by the melt blow method to produce a point thermocompression nonwoven fabric composed of an ultrafine fiber web. Specifically, B (propylene block copolymer) shown in Table 1 was spun from a melt blow spinneret having a pore diameter of 0.3 mm by a melt blow spinning method, and an ultrafine fiber web having a fiber diameter of 5 μm was captured on a net conveyor. Gathered. This ultrafine fiber web was subjected to point thermocompression bonding under conditions of an uneven roll temperature of 137 ° C. and a smooth roll temperature of 135 ° C., and the basis weight was 32 g / m. 2 The long fiber nonwoven fabric was obtained. Similarly to the above, the ultra-fine fibers were observed with an electron microscope in the longitudinal and transverse sections after the xylene treatment. In this ultrafine fiber, the ethylene-propylene random copolymer component was dispersed in an island shape in the transverse section, and the proprene-ethylene random copolymer component was dispersed in a needle shape in the longitudinal section. The ultrafine fiber had a maximum diameter of the ethylene-propylene random copolymer component of 0.6 μm. The determination of the dispersion state of this ethylene-propylene random copolymer component was good.
In this ultrafine fiber, the ethylene-propylene random copolymer component is not exposed on the fiber surface, and the point thermocompression nonwoven fabric obtained from this fiber is not sticky and has excellent softness and smoothness. The overall judgment of the texture was good. Moreover, the nonwoven fabric strength was as high as 2280 cN / 5 cm in the machine direction (MD) and 2070 cN / 5 cm in the transverse direction (CD).
[0055]
Example 10
The side gathers equipped in the commercially available paper diaper from the beginning were removed, the nonwoven fabric obtained in Example 5 was processed into side gathers, and this was pasted with hot melt instead of the removed side gathers. When I asked the monitor for a tactile test and received an evaluation, the judgment of the texture was good. Moreover, when it was actually attached to an infant and observed, it was found to be a good use result without side leakage of urine.
[0056]
Comparative Example 5
The side gather equipped from the beginning to the commercially available paper diaper was removed, the nonwoven fabric obtained in Comparative Example 3 was processed into a side gather, and this was pasted with hot melt instead of the removed side gather. When a tactile sensation test was requested from the monitor and evaluated, the texture was judged poor. In addition, when actually worn on an infant and observed, the uniformity of the nonwoven fabric was poor, resulting in side leakage of urine, resulting in poor use results.
[0057]
[Table 1]
Figure 0004507389
[0058]
[Table 2]
Figure 0004507389
[0059]
[Table 3]
Figure 0004507389
[0060]
[Table 4]
Figure 0004507389
[0061]
【The invention's effect】
In the polyolefin fiber of the present invention, the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is dispersed in the form of islands or layers in the propylene homopolymer component (I) and is not exposed on the fiber surface. The same smoothness as that of the propylene homopolymer (polypropylene) and lower tackiness than conventional propylene random copolymers (fibers with low tackiness and excellent smoothness). Furthermore, since the crystallization temperature is as high as that of conventional polypropylene, there are very few yarn breaks, the operability during spinning and the non-woven fabric processability of the fibers are good, and fibers with excellent texture such as flexibility and touch A nonwoven fabric is obtained.
Further, the polyolefin fiber of the present invention has a good card passing property when a web is produced by a card machine or the like, so that a uniform web can be obtained, and a uniform point thermocompression nonwoven fabric or the like can be obtained with good productivity. be able to. Moreover, since this fiber is excellent in heat-fusibility, it can be used for various uses other than a nonwoven fabric, a molded object, etc. by using this fiber alone or using this fiber and other fibers in combination. In addition, the nonwoven fabric of the present invention is very soft and is a nonwoven fabric having an excellent texture with excellent smoothness and no stickiness. Moreover, absorbent articles, such as a paper diaper using the nonwoven fabric of this invention, are very soft, have excellent smoothness and excellent texture without stickiness.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view of a polyolefin fiber of the present invention.
FIG. 2 is a schematic cross-sectional view of a polyolefin fiber of the present invention.
FIG. 3 is a schematic vertical cross-sectional view of the polyolefin fiber of the present invention used in FIG.
4 is a schematic vertical sectional view of the polyolefin fiber of the present invention used in FIG.
FIG. 5 is a cross-sectional photograph of a polyolefin fiber of the present invention.
FIG. 6 is a longitudinal cross-sectional photograph of a polyolefin fiber of the present invention.
[Explanation of symbols]
1: Polyolefin fiber
2: Cavity after the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in the form of islands was dissolved in xylene
3: Cavity after the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in a layer is dissolved in xylene
4: Cavity after the propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed and dispersed is dissolved in xylene
F: fibril of propylene-α-olefin random copolymer component (II) incompletely eluted
P: Propylene homopolymer component (I)

Claims (7)

プロピレンホモポリマー成分(I)と、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)とのブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体からなるポリオレフィン系繊維であって、繊維横断面において該プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が島状または層状に分散し、かつ繊維縦断面において該プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)が繊維軸方向に沿って走行分散しており、前記繊維横断面の島状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大径または層状に分散しているプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の最大厚みが1.5μm以下であり、α−オレフィンが、エチレンであり、かつエチレン−プロピレンランダムコポリマーがエチレン重合単位をエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分の重量基準で25〜65%含有し、さらにエチレン−プロピレンランダムコポリマー成分をプロピレン系ブロック共重合体の重量基準で10〜80%含有するプロピレン系ブロック共重合体であることを特徴とするポリオレフィン系繊維。A polyolefin fiber comprising a propylene-based block copolymer which is a block copolymer of a propylene homopolymer component (I) and a propylene-α-olefin random copolymer component (II), wherein the propylene- The α-olefin random copolymer component (II) is dispersed in islands or layers, and the propylene-α-olefin random copolymer component (II) travels and disperses along the fiber axis direction in the longitudinal direction of the fiber. The maximum diameter of propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in islands in the cross section or the maximum thickness of propylene-α-olefin random copolymer component (II) dispersed in layers is 1.5 μm or less. der Ri, alpha-olefin is ethylene, and ethylene - propylene random copolymer A propylene block containing 25 to 65% of ethylene polymer units based on the weight of the ethylene-propylene random copolymer component, and further containing 10 to 80% of ethylene-propylene random copolymer components based on the weight of the propylene block copolymer. polyolefin fibers, wherein the copolymer der Rukoto. プロピレン系ブロック共重合体が、プロピレンホモポリマー成分(I)の極限粘度を[η]The propylene-based block copolymer has an intrinsic viscosity [η] of the propylene homopolymer component (I) PPPP 、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の極限粘度を[η]The intrinsic viscosity of the propylene-α-olefin random copolymer component (II) is [η] RCRC 、プロピレンホモポリマー成分(I)とプロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー成分(II)の重量比を(W, The weight ratio of propylene homopolymer component (I) to propylene-α-olefin random copolymer component (II) (W PPPP /W/ W RCRC )としたとき、(W), (W PPPP /W/ W RCRC )×([η]) X ([η] RCRC /[η]/ [Η] PPPP )が0.2〜3.0の範囲である請求項1記載のポリオレフィン系繊維。) In the range of 0.2 to 3.0. 請求項1〜の何れか1項記載のポリオレフィン系繊維が、プロピレン系ブロック共重合体を少なくとも一部に用いた、該ブロック共重合体以外の熱可塑性樹脂との2成分以上からなるポリオレフィン系複合繊維であることを特徴とするポリオレフィン系繊維。The polyolefin fiber according to any one of claims 1 to 2 , wherein the polyolefin fiber comprises at least a component of a propylene block copolymer and a thermoplastic resin other than the block copolymer. Polyolefin fiber characterized by being a composite fiber. 請求項1〜の何れか1項記載のポリオレフィン系繊維を少なくとも一部に用いた不織布。It claims 1-3 according to any one of the polyolefin fibers at least a part nonwoven fabric used. スパンボンド法を用いて得られた請求項記載の不織布。The nonwoven fabric of Claim 4 obtained using the spun bond method. メルトブロー法を用いて得られた請求項記載の不織布。The nonwoven fabric of Claim 4 obtained using the meltblowing method. 請求項4〜6の何れか1項記載の不織布を少なくとも一部に用いた吸収性物品。The absorbent article which used the nonwoven fabric of any one of Claims 4-6 for at least one part.
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