JP4507377B2 - ケイ素ポリマー、膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 - Google Patents

ケイ素ポリマー、膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素ポリマーおよび該ケイ素ポリマーを含む膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として、塗膜の比誘電率が小さく、クラック耐性や機械的強度や密着性に優れたシリカ系膜が形成可能な膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD(ChemicalVapor Deposition)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2 )膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
特に半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、したがって、より低比誘電率でかつクラック耐性や機械的強度や密着性に優れた層間絶縁膜材料が求められるようになっている。
【0003】
低比誘電率の材料としては、アンモニアの存在下にアルコキシシランを縮合して得られる微粒子とアルコキシシランの塩基性部分加水分解物との混合物からなる組成物(特開平5−263045、同5−315319)や、ポリアルコキシシランの塩基性加水分解物をアンモニアの存在下縮合することにより得られた塗布液(特開平11−340219、同11−340220)が提案されているが、これらの方法で得られる材料は、反応の生成物の性質が安定せず、塗膜の比誘電率、クラック耐性、機械的強度、密着性などのバラツキも大きいため、工業的生産には不向きであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためのケイ素ポリマーの製造方法および膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、塗膜の比誘電率が小さく、クラック耐性や機械的強度や密着性に優れた膜形成用組成物および該組成物から得られる絶縁膜形成用材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)テトラハロゲン化炭素(B)テトラハロゲン化ケイ素および(C)下記一般式(1)で表される化合物、一般(2)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
10 nSiX4-n ・・・・・(1)
10 nCX4-n ・・・・・(2)
10MgX ・・・・・(3)
(式中、R10炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状脂肪族、炭素数が3〜20の脂環式基、炭素数が6〜20のアリール基、および炭素数が6〜20のアラルキル基、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)を金属リチウムおよび金属マグネシウムもしくはいずれか一方の存在下で反応させてなり、
ケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分/(B)成分=0.1〜10(モル/モル)であり、ケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の総量に対する(C)成分の使用割合は、((A)成分+(B)成分の総量)/(C)成分=0.1〜10(モル/モル)であることを特徴とするケイ素ポリマーの製造方法および該製造方法により得られたケイ素ポリマーを含有する膜形成用組成物を提供するものである。
【0006】
本発明のケイ素ポリマーは、(A)テトラハロゲン化炭素
(B)テトラハロゲン化ケイ素および
(C)下記一般式(1)で表される化合物、一般(2)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
10 nSiX4-n ・・・・・(1)
10 nCX4-n ・・・・・(2)
10MgX ・・・・・(3)
(式中、R10は1価の有機基、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
を金属リチウムおよび金属マグネシウムもしくはいずれか一方の存在下で反応させて得られる。
【0007】
(A)テトラハロゲン化炭素
かかる(A)成分としては、カーボンテトラクロライド、カーボンテトラブロマイド、カーボンテトラアイオダイドを挙げることができる。
これら(A)成分は2種以上を同時に使用しても良い。
【0008】
(B)テトラハロゲン化ケイ素
かかる(B)成分としては、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン、テトラヨードフルオロシランを挙げることができ、テトラクロロシラン、テトラブロモシランが特に好ましい。
これら(B)成分は2種以上を同時に使用しても良い。
【0009】
(C)成分
一般式(1)において、R10は1価の有機基である。その具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状脂肪族基;シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルキル基などの炭素数が3〜20脂環式基;炭素数が6〜20のアリール基;および炭素数が6〜20のアラルキル基を挙げることができる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えばプロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、例えばプロパギル基、3−メチルプロパギル基、3−エチルプロパギル基などを挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などを挙げることができる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、α−チオフェン基、β−チオフェン基などを挙げることができる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基などを挙げることができる。これらの置換基としては、生成するケイ素ポリマーの安定性、さらに熱および/または光で分解するときの易分解性の点でt−ブチル基、ヘキシル基、フェネチル基、ノルボルニル基が好ましい。
【0010】
かかる(C)成分としては、例えばメチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、2−ノルボルニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリブロモシラン、n−プロピルトリブロモシラン、イソプロピルトリブロモシラン、n−ブチルトリブロモシラン、t−ブチルトリブロモシラン、シクロヘキシルトリブロモシラン、フェネチルトリブロモシラン、2−ノルボルニルトリブロモシラン、フェニルトリブロモシラン、メチルトリヨードシラン、エチルトリヨードシラン、n−プロピルトリヨードシラン、イソプロピルトリヨードシラン、n−ブチルトリヨードシラン、t−ブチルトリヨードシラン、シクロヘキシルトリヨードシラン、フェネチルトリヨードシラン、2−ノルボルニルトリヨードシラン、フェニルトリヨードシラン、
ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジ−n−プロピルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、ジフェネチルジクロロシラン、ジ−2−ノルボルニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジエチルジブロモシラン、ジ−n−プロピルジブロモシラン、ジイソプロピルジブロモシラン、ジ−n−ブチルジブロモシラン、ジ−t−ブチルジブロモシラン、ジシクロヘキシルジブロモシラン、ジフェネチルジブロモシラン、ジ−2−ノルボルニルジブロモシラン、ジフェニルジブロモシラン、ジメチルジヨードシラン、ジエチルジヨードシラン、ジ−n−プロピルジヨードシラン、ジイソプロピルジヨードシラン、ジ−n−ブチルジヨードシラン、ジ−t−ブチルジヨードシラン、ジシクロヘキシルジヨードシラン、ジフェネチルジヨードシラン、ジ−2−ノルボルニルジヨードシラン、ジフェニルジヨードシラン、
トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリ−t−ブチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、トリフェネチルクロロシラン、トリ−2−ノルボルニルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリエチルブロモシラン、トリ−n−プロピルブロモシラン、トリイソプロピルブロモシラン、トリ−n−ブチルブロモシラン、トリ−t−ブチルブロモシラン、トリシクロヘキシルブロモシラン、トリフェネチルブロモシラン、トリ−2−ノルボルニルブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、トリメチルヨードシラン、トリエチルヨードシラン、トリ−n−プロピルヨードシラン、トリイソプロピルヨードシラン、トリ−n−ブチルヨードシラン、トリ−t−ブチルヨードシラン、トリシクロヘキシルヨードシラン、トリフェネチルヨードシラン、トリ−2−ノルボルニルヨードシラン、トリフェニルヨードシランなどのケイ素化合物;
メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリド、テキシルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムクロリド、フェネチルマグネシウムクロリド、2−ノルボルニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムブロミド、テキシルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド、フェネチルマグネシウムブロミド、2−ノルボルニルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムアイオダイド、n−プロピルマグネシウムアイオダイド、イソプロピルマグネシウムアイオダイド、n−ブチルマグネシウムアイオダイド、t−ブチルマグネシウムアイオダイド、テキシルマグネシウムアイオダイド、シクロヘキシルマグネシウムアイオダイド、フェネチルマグネシウムアイオダイド、2−ノルボルニルマグネシウムアイオダイド、フェニルマグネシウムアイオダイドなどの有機マグネシウム化合物;
メチルトリクロロカーボン、エチルトリクロロカーボン、n−プロピルトリクロロカーボン、イソプロピルトリクロロカーボン、n−ブチルトリクロロカーボン、t−ブチルトリクロロカーボン、シクロヘキシルトリクロロカーボン、フェネチルトリクロロカーボン、2−ノルボルニルトリクロロカーボン、フェニルトリクロロカーボン、メチルトリブロモカーボン、エチルトリブロモカーボン、n−プロピルトリブロモカーボン、イソプロピルトリブロモカーボン、n−ブチルトリブロモカーボン、t−ブチルトリブロモカーボン、シクロヘキシルトリブロモカーボン、フェネチルトリブロモカーボン、2−ノルボルニルトリブロモカーボン、フェニルトリブロモカーボン、メチルトリヨードカーボン、エチルトリヨードカーボン、n−プロピルトリヨードカーボン、イソプロピルトリヨードカーボン、n−ブチルトリヨードカーボン、t−ブチルトリヨードカーボン、シクロヘキシルトリヨードカーボン、フェネチルトリヨードカーボン、2−ノルボルニルトリヨードカーボン、フェニルトリヨードカーボン、
ジメチルジクロロカーボン、ジエチルジクロロカーボン、ジ−n−プロピルジクロロカーボン、ジイソプロピルジクロロカーボン、ジ−n−ブチルジクロロカーボン、ジ−t−ブチルジクロロカーボン、ジシクロヘキシルジクロロカーボン、ジフェネチルジクロロカーボン、ジ−2−ノルボルニルジクロロカーボン、ジフェニルジクロロカーボン、ジメチルジブロモカーボン、ジエチルジブロモカーボン、ジ−n−プロピルジブロモカーボン、ジイソプロピルジブロモカーボン、ジ−n−ブチルジブロモカーボン、ジ−t−ブチルジブロモカーボン、ジシクロヘキシルジブロモカーボン、ジフェネチルジブロモカーボン、ジ−2−ノルボルニルジブロモカーボン、ジフェニルジブロモカーボン、ジメチルジヨードカーボン、ジエチルジヨードカーボン、ジ−n−プロピルジヨードカーボン、ジイソプロピルジヨードカーボン、ジ−n−ブチルジヨードカーボン、ジ−t−ブチルジヨードカーボン、ジシクロヘキシルジヨードカーボン、ジフェネチルジヨードカーボン、ジ−2−ノルボルニルジヨードカーボン、ジフェニルジヨードカーボン、トリメチルクロロカーボン、トリエチルクロロカーボン、トリ−n−プロピルクロロカーボン、トリイソプロピルクロロカーボン、トリ−n−ブチルクロロカーボン、トリ−t−ブチルクロロカーボン、トリシクロヘキシルクロロカーボン、トリフェネチルクロロカーボン、トリ−2−ノルボルニルクロロカーボン、トリフェニルクロロカーボン、トリメチルブロモカーボン、トリエチルブロモカーボン、トリ−n−プロピルブロモカーボン、トリイソプロピルブロモカーボン、トリ−n−ブチルブロモカーボン、トリ−t−ブチルブロモカーボン、トリシクロヘキシルブロモカーボン、トリフェネチルブロモカーボン、トリ−2−ノルボルニルブロモカーボン、トリフェニルブロモカーボン、トリメチルヨードカーボン、トリエチルヨードカーボン、トリ−n−プロピルヨードカーボン、トリイソプロピルヨードカーボン、トリ−n−ブチルヨードカーボン、トリ−t−ブチルヨードカーボン、トリシクロヘキシルヨードカーボン、トリフェネチルヨードカーボン、トリ−2−ノルボルニルヨードカーボン、トリフェニルヨードカーボンなどの炭素化合物を挙げることができる。
これらの化合物は1種単独でも使用できるし、2個以上を混合して使用することもできる。
【0011】
本発明のケイ素ポリマーの製造方法では、(A)成分、(B)成分、(C)成分および金属リチウムおよび金属マグネシウムとを反応させることにより、分子の末端にR10基またはハロゲン基を有するケイ素ポリマーを得ることができる。
ケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分/(B)成分=0.01〜100(モル/モル)であり、より好ましくは0.1〜10であり、特に好ましくは0.5〜5である。またケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の総量に対する(C)成分の使用割合は、((A)成分+(B)成分の総量)/(C)成分=0.01〜100(モル/モル)であり、より好ましくは0.1〜10であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0012】
また、これらと反応させる金属リチウムおよびマグネシウム金属は、(A)成分、(B)成分および(C)成分から還元的にハロゲン原子を脱離させハロゲン化リチウムおよびハロゲン化マグネシウムにさせるために使用するもので、その使用量は好ましくは(A)成分、(B)成分および(C)成分の総量と当量である。
【0013】
また、本発明のケイ素ポリマーの製造方法では必要に応じて外部から超音波を照射することにより反応を促進することができる。ここで使用される超音波の振動数としては10〜70KHz程度のものが望ましい。
【0014】
本発明のケイ素ポリマーの製造において、使用する溶媒としてはエーテル系溶媒を好ましいものとして使用することができる。通常のKipping反応で使用する炭化水素系溶媒では目的とする可溶性ポリシランオリゴマーの収率が低くなり易い。エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを挙げることができる。これらのうち、(C)成分の溶解性の点から、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどが好ましい。
【0015】
これらのエーテル系溶媒は水分を予め除去しておくことが望ましい。水分の除去法としては、ナトリウム−ベンゾフェノンケチルの存在下での脱気蒸留法などが好ましい。これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の総量に対して好ましくは1〜30重量部であり、より好ましくは2〜20重量部である。
【0016】
この際の反応の温度は、好ましくは−78℃〜+100℃である。反応温度が−78℃以下では反応速度が遅く生産性が上がらず、また反応温度が+100℃より大きい場合には、反応が複雑になり得られるケイ素ポリマーの溶解性が低下し易くなる。さらに、反応は通常、アルゴンや窒素などの不活性ガス中で行うことが好ましい。
本発明のケイ素ポリマーの製造方法においては、分子末端に未反応の加水分解性ハロゲン原子を有するケイ素ポリマーを、還元剤で還元することで加水分解性ハロゲン原子を安定な水素原子に置換処理しても良い。
かかる還元剤としては、例えばLiAlH4、NaH、LiBu3BH、(C5112BH、B26、NaBH4、Zn(BH42、NaBH3CN、Bu2AlH、Li(OBu)3AlHなどを挙げることができ、LiAlH4、NaH、B26、NaBH4をより好ましい例として挙げることができる。還元剤の使用量は、還元剤中の水素原子が残留するハロゲン原子に対して少なくとも当量であり、好ましくは1.0〜4.0倍当量必要である。また、この際に使用する溶媒としては還元剤と反応しない溶媒であれば特に限定されないが、通常エーテル系溶媒が好ましく、先に例示したエーテル系溶媒と同じものを使用することができる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
この際の反応温度は、好ましくは−78℃〜+60℃である。−78℃以下では反応が遅く生産性が上がらず、また+60℃より高い場合には反応生成物の溶解性が下がり本発明のケイ素ポリマーの生成収率が下がり易い。さらに、反応は通常、アルゴンや窒素などの不活性ガス中で行うことが好ましい。
【0018】
本発明の膜形成用組成物は、さらに(D)下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という)、下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」という)および下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」という)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解し、縮合した加水分解縮合物を含有させてもよい。
a Si(OR14-a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、R1 は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR24 ・・・・・(5)
(式中、R2 は1価の有機基を示す。)
3 b(R4O)3-b Si−(R7d −Si(OR53-c6 c ・・・・・(6)
〔式中、R3 〜R6 は同一または異なり、それぞれ1価の有機基、b〜cは同一または異なり、0〜2の整数、R7 は酸素原子、フェニレン基または−(CH2m −で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕
【0019】
(D)加水分解縮合物
(D)加水分解縮合物は、上記化合物(4)〜(6)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を触媒の存在下に、加水分解、縮合して得られる。
化合物(4);
上記一般式(4)において、RおよびR1の1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アリル基、グリシジル基などを挙げることができる。また、一般式(4)において、Rは1価の有機基、特にアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。
一般式(4)において、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0020】
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシランなど;
【0021】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシランなど;
【0022】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルトリメトキシシランなど;
を挙げることができる。
【0023】
化合物(4)として好ましい化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどである。
これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0024】
化合物(5);
上記一般式(5)において、R2 で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)と同様な有機基を挙げることができる。
一般式(5)で表される化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。
【0025】
化合物(6);
上記一般式(6)において、R3 〜R6 で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)と同様な有機基を挙げることができる。
一般式(6)のうち、R7 が酸素原子の化合物としては、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0026】
これらのうち、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0027】
また、一般式(6)において、dが0の化合物としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
【0028】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0029】
さらに、一般式(6)において、R7 が−(CH2m−で表される基の化合物としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−i−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−i−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ-t- ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼンなど挙げることができる。
【0030】
これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどを好ましい例として挙げることができる。
本発明において、化合物(4)〜(6)としては、1種もしくは2種以上を用いることができる。
【0031】
なお、上記化合物(4)〜(6)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解、縮合させる際に、化合物(4)〜(6)1モル当たり0.5モルを越え150モル以下の水を用いることが好ましく、0.5モルを越え130モルの水を加えることが特に好ましい。
【0032】
本発明の(D)加水分解縮合物を製造するに際しては、上記化合物(4)〜(6)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解、縮合させる際に、特定の触媒を用いることが特徴であり、アルカリ触媒、金属キレート触媒、酸触媒の群から選ばれる少なくとも1種を使用する。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリメチルイミジン、1−アミノ−3−メチルブタン、ジメチルグリシン、3−アミノ−3−メチルアミンなどを挙げることができ、アミンあるいはアミン塩が好ましく、有機アミンあるいは有機アミン塩が特に好ましく、アルキルアミン、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドが最も好ましい。
これらのアルカリ触媒は1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0033】
金属キレート触媒としては、例えば、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタンなどのチタンキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物;
などを挙げることができ、好ましくはチタンまたはアルミニウムのキレート化合物、特に好ましくはチタンのキレート化合物を挙げることができる。
これらの金属キレート触媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0034】
酸触媒としては、例えば、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸などの無機酸;
酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物などの有機酸を挙げることができ、有機カルボン酸をより好ましい例として挙げることができる。
これらの酸触媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0035】
上記触媒の使用量は、化合物(4)〜(6)中のR1 O−基,R2 O−基,R4 O−基およびR5 O−基で表される基の総量1モルに対して、通常、0.00001〜10モル、好ましくは0.00005〜5モルである。触媒の使用量が上記範囲内であれば、反応中のポリマーの析出やゲル化の恐れが少ない。また、本発明において、化合物(4)〜(6)を加水分解するときの温度は通常0〜100℃、好ましくは15〜80℃である。
【0036】
なお、化合物(4)〜(6)を完全加水分解縮合物に換算したときに、化合物(5)は、化合物(4)〜(6)の総量中、5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは15〜70重量%である。また、化合物(4)および/または(6)は、化合物(4)〜(6)の総量中、95〜25重量%、好ましくは90〜30重量%、さらに好ましくは85〜30重量%である。化合物(5)が、化合物(4)〜(6)の総量中、5〜75重量%であることが、得られる塗膜の弾性率が高く、かつ低誘電性に特に優れる。
ここで、本発明において、完全加水分解縮合物とは、化合物(4)〜(6)中のR1 O−基,R2 O−基,R4 O−基およびR5 O−基が100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合してシロキサン構造となったものをいう。
また、(D)成分としては、得られる組成物の貯蔵安定性がより優れるので、化合物(4)および化合物(5)の加水分解縮合物であることが好ましい。
本発明において、ケイ素ポリマーに対する(D)成分の使用量は、ケイ素ポリマー100重量部に対して(D)成分0〜4000重量部、より好ましくは0〜3000重量部である。
【0037】
本発明の膜形成用組成物には、上記ケイ素ポリマーおよび加水分解縮合物に加え、さらにβ−ジケトン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤などの成分を添加してもよい。
β−ジケトンとしては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどを挙げることができ、より好ましくはアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオンである。
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0038】
コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。
コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。
有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物などを挙げることができる。
【0039】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(X)j−(Y)k−
−(X)j−(Y)k−(X)l-
(式中、Xは−CH2CH2O−で表される基を、Yは−CH2CH(CH3)O−で表される基を示し、jは1〜90、kは10〜99、lは0〜90の数を示す)
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0040】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0041】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N‘−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステル等の末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
また、市販品としてはメガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15((株)ネオス)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、上記メガファックF172,BM−1000,BM−1100,NBX−15が特に好ましい。
【0042】
シリコーン系界面活性剤としては、例えばSH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製などを用いることが出来る。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAが特に好ましい。
界面活性剤の使用量は、(A)成分(完全加水分解縮合物)に対して通常0.0001〜10重量部である。
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0043】
シランカップリング剤としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0044】
ラジカル発生剤としては、例えばイソブチリルパーオキサイド、α、α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を挙げることができる。
ラジカル発生剤の配合量は、重合体100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましい。
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0045】
本発明の膜形成用組成物では、上記ケイ素ポリマー、加水分解縮合物および必要に応じてさらに添加剤を溶剤に溶解あるいは分散してなる。
この際使用できる溶剤としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒および非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
【0046】
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;
などを挙げることができる。
これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0047】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。
これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0048】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。
これらアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0049】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0050】
非プロトン系溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N´,N´−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3 −ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。
これら非プロトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0051】
このようにして得られる本発明の組成物の全固形分濃度は、好ましくは、2〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。
なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれば、濃縮および上記有機溶剤による希釈によって行われる。
本発明の組成物を、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。
【0052】
この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜2.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜5.0μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、ガラス質または巨大高分子の絶縁膜を形成することができる。
この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することが出来、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。
また、電子線や紫外線を照射することによっても塗膜を形成させることができる。
また、上記塗膜の硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、窒素、空気、酸素、減圧などの雰囲気を選択することができる。
このようにして得られる本発明のシリカ系膜は、膜密度が、通常、0.35〜1.2g/cm3 、好ましくは0.4〜1.1g/cm3 、さらに好ましくは0.5〜1.0g/cm3 である。膜密度が0.35g/cm3 未満では、塗膜の機械的強度が低下し、一方、1.2g/cm3 を超えると低比誘電率が得られない。
さらに、本発明のシリカ系膜の比誘電率は、通常、3.2〜1.2、好ましくは3.0〜1.5、さらに好ましくは2.7〜1.8である。
【0053】
このようにして得られる層間絶縁膜は、低比誘電率でかつクラック耐性や機械的強度や密着性に優れることから、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜やエッチングストッパー膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、以下の記載は、本発明の態様例を概括的に示すものであり、特に理由なく、かかる記載により本発明は限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。
また、各種の評価は、次のようにして行なった。
【0055】
慣性半径
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(屈折率,粘度,光散乱測定)法により測定した。
試料溶液:シラン化合物の加水分解縮合物を、固形分濃度が0.25%となるように、10mMのLiBrを含むメタノールで希釈し、GPC(屈折率,粘度,光散乱測定)用試料溶液とした。
Figure 0004507377
【0056】
重量平均分子量(Mw)
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、加水分解縮合物1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
【0057】
比誘電率
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに430℃の窒素雰囲気ホットプレートで20分間基板を焼成した。得られた膜に対して蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成させ比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルを周波数100kHzの周波数で、横河・ヒューレットパッカード(株)製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により室温における当該塗膜の比誘電率を測定した。
【0058】
クラック耐性
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに430℃の窒素雰囲気ホットプレートで20分間基板を焼成した。この際の塗膜の膜厚は1.2μmとした。得られた塗膜の一部をナイフで傷を付け、60℃の温水中に10時間浸漬した。塗膜中のナイフの傷跡を顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
○:クラックの伝播認められない。
×:クラックの伝播認められる
【0059】
機械的強度(硬度)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに430℃の窒素雰囲気ホットプレートで20分間基板を焼成した。得られた膜を、ナノインデンターXP(ナノインスツルメント社製)を用いて、連続剛性測定法により測定した。
【0060】
密着性
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに430℃の窒素雰囲気ホットプレートで20分間基板を焼成した。得られたシリカ系膜上にCVD法でSiN膜を100nm形成し、その基板上にエポキシ樹脂を用いてスタッドピン10本を固定し、150℃で1時間乾燥させた。このスタッドピンをセバスチャン法を用いて引き抜き試験行い、以下の基準で密着性を評価した。
○:スタッドピン10本共塗膜とSiNの界面での剥離無し
×:塗膜とSiNの界面での剥離発生
【0061】
合成例1
石英製セパラブルフラスコ中で、メチルトリメトキシシラン276.01g、テトラメトキシシラン86.14gおよびテトラキス(アセチルアセトナート)チタン0.0092gを、プロピレングリコールモノエチルエーテル101gに溶解させたのち、スリーワンモーターで攪拌させ、溶液温度を55℃に安定させた。次に、イオン交換水225.52gとプロピレングリコールモノエチルエーテル263.00gの混合溶液を1時間かけて溶液に添加した。その後、55℃で4時間反応させたのち、アセチルアセトン48.12gを添加し、さらに30分間反応させ、反応液を室温まで冷却した。50℃で反応液からメタノールと水を含む溶液を227gエバポレーションで除去し、反応液Aを得た。
このようにして得られた縮合物等の重量平均分子量は、1,230であった。
【0062】
合成例2
石英製セパラブルフラスコ中で、メチルトリメトキシシラン205.50gとテトラメトキシシラン85.51gを、プロピレングリコールモノエチルエーテル426gに溶解させたのち、スリーワンモーターで攪拌させ、溶液温度50℃に安定させた。次に、コハク酸0.63gを溶解させたイオン交換水182gを1時間かけて溶液に添加した。その後、50℃で3時間反応させたのち、反応液を室温まで冷却した。50℃で反応液からメタノールを含む溶液を360gエバポレーションで除去し、反応液Bを得た。
このようにして得られた縮合物等の重量平均分子量は、1,400であった。
【0063】
合成例3
石英製セパラブルフラスコに、蒸留エタノール370g、蒸留プロピレングリコールモノプロピルエーテル200g、イオン交換水160gと10%メチルアミン水溶液90gを入れ、均一に攪拌した。この溶液にメチルトリメトキシシラン136gとテトラエトキシシラン209gの混合物を添加した。溶液を55℃に保ったまま、2時間反応を行った。この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gを加え、その後、50℃のエバポレーターを用いて溶液を10%(完全加水分解縮合物換算)となるまで濃縮し、その後、酢酸の10%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液10gを添加し、反応液Cを得た。
このようにして得られた縮合物等の慣性半径は、15.4nmであった。
【0064】
合成例4
石英製セパラブルフラスコに、蒸留エタノール428g、イオン交換水215gと25%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液15.6gを入れ、均一に攪拌した。この溶液にメチルトリメトキシシラン40.8gとテトラエトキシシラン61.4gの混合物を添加した。溶液を60℃に保ったまま、2時間反応を行った。この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gを加え、その後、50℃のエバポレーターを用いて溶液を10%(完全加水分解縮合物換算)となるまで濃縮し、その後、マレイン酸の10%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液20gを添加し、反応液Dを得た。
このようにして得られた縮合物等の慣性半径は、20.4nmであった。
【0065】
実施例1
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとマグネシウム金属60gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。これに第3ブチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液1000ml(1.0モル)を加え、20℃で攪拌しながらとテトラクロロシラン85gとカーボンテトラブロマイド166gの混合物を滴下ロートよりゆっくり添加した。滴下終了後、室温下でさらに3時間攪拌を続けた。15Lの氷水に注ぎ、生成ポリマーを沈殿させた。生成ポリマーを水で良く洗浄し真空乾燥することにより褐色の固体のポリマー▲1▼40gを得た。
このようにして得られたケイ素ポリマーの重量平均分子量は、18,000であった。
【0066】
実施例2
合成例1で得られたポリマー▲1▼20gに、LiAlH410gを乾燥したテトラヒドロフラン300mlに懸濁させた溶液に加え、室温下で5時間反応させた。次に、反応混合物を15Lの氷水に注ぎ、生成ポリマーを沈殿させた。生成ポリマーを水で良く洗浄し真空乾燥することにより褐色の固体のポリマー▲2▼13gを得た。
このようにして得られたケイ素ポリマーの重量平均分子量は、17,000であった。
【0067】
実施例3
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとマグネシウム金属60gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。これに2−ノルボルニルトリクロロシラン227gを加え、20℃で攪拌しながらとテトラクロロシラン85gとカーボンテトラブロマイド166gの混合物を滴下ロートよりゆっくり添加した。滴下終了後、室温下でさらに3時間攪拌を続けた。
次いで、この溶液にLiAlH410gを乾燥したテトラヒドロフラン300mlに懸濁させた溶液に加え、室温下で5時間反応させた。次に、反応混合物を15Lの氷水に注ぎ、生成ポリマーを沈殿させた。生成ポリマーを水で良く洗浄し真空乾燥することにより褐色の固体のポリマー▲3▼65gを得た。
このようにして得られたケイ素ポリマーの重量平均分子量は、15,000であった。
【0068】
実施例4
実施例1で得られたポリマー▲1▼0.5gをテトラヒドロフラン9.5gに溶解した。この溶液に反応液A100gを添加し十分攪拌した。この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い本発明の膜形成用組成物を得た。
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
塗膜の室温での比誘電率は2.79であり、塗膜を水浸漬してもクラックの伝播は認められなかった。また、塗膜の硬度を測定したところ、2.3GPaと機械的強度に優れていた。さらに、塗膜の密着性を評価したところ、スタッドピン10本共塗膜とSiNの界面での剥離は認められなかった。
【0069】
実施例5〜9
実施例4において、表1に示すケイ素ポリマーと反応液を使用した以外は実施例4と同様に評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004507377
【0071】
比較例1
合成例1で得られた反応液Aのみを使用した以外は実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0072】
比較例2
合成例2で得られた反応液Bのみを使用した以外は実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 0004507377
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のケイ素ポリマーを含有する膜形成用組成物を使用することで、塗膜の比誘電率が小さく、クラック耐性や機械的強度や密着性に優れた膜形成用組成物(層間絶縁膜用材料)を提供することが可能である。

Claims (3)

  1. (A)テトラハロゲン化炭素(B)テトラハロゲン化ケイ素および(C)下記一般式(1)で表される化合物、一般(2)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    10 nSiX4-n ・・・・・(1)
    10 nCX4-n ・・・・・(2)
    10MgX ・・・・・(3)
    (式中、R10炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状脂肪族、炭素数が3〜20の脂環式基、炭素数が6〜20のアリール基、および炭素数が6〜20のアラルキル基、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)を金属リチウムおよび金属マグネシウムもしくはいずれか一方の存在下で反応させてなり、
    ケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分/(B)成分=0.1〜10(モル/モル)であり、ケイ素ポリマー中の(A)成分と(B)成分の総量に対する(C)成分の使用割合は、((A)成分+(B)成分の総量)/(C)成分=0.1〜10(モル/モル)であることを特徴とするケイ素ポリマーの製造方法
  2. 請求項1のケイ素ポリマーをさらにLiAlH 4 、NaH、B 2 6 、NaBH 4 の群から選ばれる少なくとも1種からなる還元剤で還元してなることを特徴とするケイ素ポリマーの製造方法
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られたケイ素ポリマーおよび溶剤を含有することを特徴とする膜形成用組成物。
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