JP4505596B2 - バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ - Google Patents

バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ Download PDF

Info

Publication number
JP4505596B2
JP4505596B2 JP2004158287A JP2004158287A JP4505596B2 JP 4505596 B2 JP4505596 B2 JP 4505596B2 JP 2004158287 A JP2004158287 A JP 2004158287A JP 2004158287 A JP2004158287 A JP 2004158287A JP 4505596 B2 JP4505596 B2 JP 4505596B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
gold
biochip
thin film
vapor deposition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004158287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005337930A (ja
Inventor
薫 玉田
友章 佐々木
達志 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
R-DEC CO., LTD.
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
R-DEC CO., LTD.
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by R-DEC CO., LTD., National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical R-DEC CO., LTD.
Priority to JP2004158287A priority Critical patent/JP4505596B2/ja
Publication of JP2005337930A publication Critical patent/JP2005337930A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4505596B2 publication Critical patent/JP4505596B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、バイオ的利用における耐水性、平滑性及び光学特性に優れた金被覆基板を製造する方法及びその製造装置に関するものである。詳細には、石英ガラスのような固体支持基板表面を真空中でプラズマ処理した後、真空を維持したまま金を蒸着することにより、クロム、チタン等の下地膜を用いることなく、バイオ分析溶液中で使用中も剥離しない金蒸着膜を形成した高精度バイオチップ用金基板を製造する方法及びその製造装置に関するものである。
多段階の面倒な分離精製プロセスやDNAプローブに蛍光等の標識することを要するPCR法による増幅を経ずに、バイオチップを用いて分子レベルで直接、DNA等の生体分子を分析・同定する表面高感度分析法は、煩雑なプロセス(上記分離精製プロセス、標識プロセス、PCRプロセス)を要せず、かつ迅速化・低コスト化が可能であるので、注目が集まり、種々の研究が行われている。表面高感度分析法(例えば、表面プラズモン共鳴法、水晶振動子法、走査型プローブ顕微鏡法など)では、表面分子認識部位での認識反応による電気的、光学的特性変化及び形態的な変化をバイオチップを用いてモニターする。
バイオチップにおいて、生体分子間(抗体、抗原、酵素などのタンパク質)相互作用の測定などの表面高感度分析用基板には基板(光学的に透明なガラス、プラスチック、石英の他にマイカなど)の表面に金(Au)薄膜を成膜し用いられる(例えば、非特許文献1及び2参照。)。金薄膜は、自己組織化膜法によりバイオ関連物質を固定化するのに適する(例えば、非特許文献3参照。)。
ところで、上述のように、表面高感度分析バイオチップは分子レベルでの分析・同定であるため、厚さ、平滑性等が高精度に制御された基板を必要とする。例えば、表面プラズモン測定の場合、オングストローム(Å)〜ナノメーター(nm)オーダーの膜厚変化をプラズモン共鳴を利用して高感度検出するためには、ナノメーターオーダーの金薄膜厚の制御が必要である。また、走査型プローブ顕微鏡の場合には、原子レベル(Åオーダー)で平坦な、金単結晶被覆マイカ基板が必要である。そのような金単結晶成長のための蒸着条件は設定が難しい上、生体分子観察の機会が増加するにつれ、水溶液中での金単結晶膜の剥離が問題になってきているにもかかわらず、高温蒸着(基板温度350〜450℃)における後述のような問題発生のため、クロム、チタン等の下地膜は使用できなかった。
そのため、従来のガラス又はマイカ基板では、試料溶液を金薄膜上に載せ、分析するときに基板から金薄膜の剥離が生じやすく、その結果、測定中に突然測定不能になる(例えば、プラズモン吸収の信号が消える、走査型プローブ顕微鏡で画像が不安定で観察できなくなる)等の問題が生じていた。金薄膜の剥離防止のため接着強度を高めるためにガラス基板では、クロム、チタン等の下地膜を数nmほど蒸着した後金薄膜を蒸着する手法が一般的に用いられていた。この従来の一般的な基板蒸着法は、例えば、プラズモン測定用ガラス基板などの常温蒸着で作製する金多結晶基板の場合、ガラス基板を界面活性剤あるいはエタノール中で超音波洗浄後乾燥し、剥離防止のためにクロム、チタン等の下地膜を蒸着するため、真空チャンバー内で下地膜を金薄膜の10%以下の厚み(膜厚500Åの金を蒸着する場合には50Å以下)の下地膜を蒸着した後、同一チャンバー内で金を蒸着していた。装置としては、蒸着源が複数(たとえばひとつは金用でもうひとつがクロム用)あって切り替えて使えるもの(多源蒸着)が必要であった。
しかし、これらの下地膜はガラス基板製バイオチップの光学・電気特性を著しく低下させていた。詳細には(1)クロム、チタンは可視光を吸収するので、上述のように極微量の下地膜によってでさえ、表面分析時の反射光強度が減少したり、スペクトルが変形する、(2)クロム、チタン等の下地膜は接着界面で金薄膜と融合するため、これら積層膜の光学特性では理論値と実験測定値が一致しない、などの問題があった。これらの問題は下地膜を有する従来のプラズモン測定用基板において、上述のようにÅオーダーの膜厚変化をプラズモン測定する場合に、測定値にばらつきが生じ測定の信頼性を欠く原因となった。
さらに、走査型プローブ顕微鏡用マイカ基板として用いる、高温蒸着で作製する金単結晶マイカ基板の場合、下地膜のクロム、チタン等は高温処理により金薄膜の中を熱拡散し最表層に向かう特性があるので、上記下地膜の使用では、金が単結晶成長しない、あるいは最表層に他金属が混在するため、表面反応が不均一になる問題が生じる。
したがって、下地膜にクロム、チタン等を用いた金の光学的特性は不安定で、温度変化・圧力変化・電気刺激等により、光学特性が変化し、高精度のバイオチップとしての特性が安定して得られなかった。また、製造時に100℃以上の高温処理が必要な基板の場合には、上記下地膜は使用不可能であった。
ところで、プラズマ処理により金属薄膜を形成する方法が開発されている。プラズマを用いた表面改質により濡れ性の向上、密着性の改善は、既にプラスチック、繊維、半導体の製造プロセスに取り入れられている。非親水性物質の表面を親水性化することに目的があり、親水性物質の表面の処理とその処理表面の金蒸着の改良については、全く記載がない。特に半導体のパッケージ内部配線接続やFPDの大型ガラス基板の親水性向上に常温プラズマ表面改質が用いられているが、バイオチップ用ガラス金基板の作製のために使用されている例はない。
プラズマビームを用いて基板の濡れ性をコントロールする手法は、マイカ表面のプラズマ処理による表面改質を含め既に報告があるものの(例えば、非特許文献4参照。)、これを金蒸着バイオチップ用基板前処理法として用いた例はこれまでにはなかった。
"クウォーツ クリスタル マイクロバランス スタディ オブ DNA インモービライゼーション アンド ハイブリダイゼーション フォア ヌクレイック アシッド センサー デベロップメント",カルーゾ Fら.アナリティカル ケミストリー(Quartz crystal microbalance study of DNA immobilization and hybridization for nucleic acid sensor development, Caruso F, etc. ANALYTICAL CHEMISTRY), 69 (11): PP.2043-2049(1997). "インターフェイス アンド スィン フィルムス アズ スィーン バイ バウンド エレクトロマグネチィック ウェーブス",アニュ.レビュ.フィズ.ケム.(Interface and thin films as seen by bound electromagnetic waves, Annu.Rev.Phys.Chem.) 1998, 49, 569. "アン イントロダクション トュー ウルトラスィン オーガニック フィルムス フローム ラングミューアー−ブロジェット トュー セルフ−アッセンブリティー",アブラハム ウルマン編,アカデミックプレッス,インク,ニューヨーク.(An Introduction to Ultrathin Organic Films from Langmuir-Blodgett to Self-Assemblty, Ed. Abraham Ulman, Academic Press, Inc, New York.) パーカー,ジェー.ら,ジェー.フィズ.ケム.(Parker, J. et al. J. Phys. Chem.)1989, 93, 6121
上記のような問題点を解決するため、本発明の目的は、クロム等の下地膜を用いないで、分析溶液中での取扱い中に金薄膜の剥離が生じないバイオチップ用基板を製造しうる方法及びその装置を提供することである。また、本発明の目的は、1nmオーダー(好ましくは1Åオーダー)の精度で均一な膜厚を有する金薄膜を有し、且つ上記金薄膜が分析溶液中で剥離しない表面プラズモン測定用基板を提供することである。さらに本発明の目的は、分析溶液で剥離しない走査型プローブ顕微鏡用金単結晶基板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、マイカ又は光学ガラス表面を真空状態下で低温プラズマ処理した後に、その表面を空気にさらすことなく金蒸着することによりクロム等の下地金属層を用いることなく、水系及び非水系溶液中での金の剥離現象を解決できることを見出した。さらに上記クロム等の下地金属層を用いないことにより、光学特性に優れた、平滑な金薄膜形成、及び金単結晶成長が可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち本発明は、
(1)ガラス又はマイカの基板の表面を真空状態下でプラズマ処理した後、真空状態で前記基板のプラズマ処理面上に金を蒸着させ金薄膜を形成する、バイオチップ用金基板の製造方法、
(2)前記金薄膜が金単結晶膜からなることを特徴とする(1)項記載の製造方法、
(3)前記バイオチップ用金基板が、表面プラズモン共鳴測定用である(1)又は(2)項記載のバイオチップ用基板を製造する方法、
(4)前記バイオチップ用金基板が、走査型プローブ顕微鏡用である(1)又は(2)項記載の製造方法、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたバイオチップ用金基板、
(6)表面を真空状態下でプラズマ処理したガラス又はマイカの基板のプラズマ処理面上に、真空状態で金を蒸着させて形成した金薄膜を有し、前記基板と前記金薄膜との間に下地処理膜を有しないバイオチップ用金基板、
(7)ガラス又はマイカの基板の金薄膜を蒸着する表面をプラズマ処理するユニットを有するプラズマ処理室と、上記基板上に金薄膜を蒸着形成するユニットを有する蒸着室を有し、前記蒸着室内に、蒸着源に対して基板を平面方向及び上下方向に位置調節できる、加熱可能な基板ホルダー設置器を有し、前記プラズマ処理室と蒸着室とを真空状態とするためのユニットを具備することを特徴とするバイオチップ用金基板製造装置、
(8)前記プラズマ処理室及び前記蒸着室が気密性を有するように連結されていることを特徴とする、(7)項記載のバイオチップ用金基板製造装置、及び
(9)プラズマ処理後の基板を、真空状態を保ったまま前記蒸着室へと移動することを特徴とする(7)又は(8)記載のバイオチップ用金基板製造装置
を提供するものである。
本発明のバイオチップ用基板製造方法によれば、クロム、チタン等の下地膜を用いないことにより、平滑な金薄膜の光学特性が優れ、且つ上記金薄膜が分析溶液中で剥離しないバイオチップ用金基板を製造することができる。特に金単結晶基板の場合には、上記下地膜を用いないため単結晶成長が好適であり、且つ金単結晶が剥離しない金単結晶基板を製造することができる。
本発明のバイオチップ用金基板製造装置は、バイオ分析溶液中で剥離せず、光学特性に優れた、平滑な表面プラズモン測定用金基板及び走査型プローブ顕微鏡用金単結晶基板いずれも工業的に製造できる。
上記製造された表面プラズモン測定用金基板は、Åオーダーで膜厚変化を測定できる高感度測定に適し、上記製造された走査型プローブ顕微鏡用金単結晶基板は金単結晶成長が良好であり、上記金基板の金薄膜はいずれも水系又は非水系溶液で剥離することがない。
本発明のバイオチップ用金基板製造方法は、水、バッファー等任意のバイオ分析溶液中でも金薄膜が剥離することがなく、Åオーダーで膜厚変化を測定したり、Åオーダーで顕微鏡観察するのに適したバイオチップ用金基板の製造を実現するものである。本発明の製造方法によるバイオチップ用金基板の測定感度が向上する理由は、定かではないが以下のように推定される。後述のように規定した範囲の低温プラズマ処理により、基板表面の均一さ、平坦さは保持しながら親水性が高められることにより、マイカ又はガラス基板と金薄膜との接着強度が上昇すると思われ、これがクロム等下地膜の形成を不要とする。これにより、平滑な金薄膜の光学特性が向上し、その結果、測定感度が上昇すると推定される。
なお、本明細書及び請求の範囲において、バイオチップとは、基板等に固定化された生体分子と、それ以外の生体分子又は化合物とを接触させ、生じた特異的相互作用を光学的、電気的あるいは物理的信号変化で検出するための固体基板あるいはその検出手段のことである。そのため、反応及び取扱いは、水、バッファー等の溶液中で行われるものである。また、50nm±1nmの範囲で均一な膜厚とは、金薄膜表面の凹凸が1mm角内で50nm±1nmであることをいう。また、真空状態とは、反応装置の態様、サイズ等によって異なり、一義的に定められないが、本発明の装置の場合、30Pa〜1×10-7Paの圧力下をいうが、1×10-7Paよりも減圧された圧力下であってもよい。また、本発明に用いないとする下地処理膜とは、クロム、チタン等の下地膜等をいう。
以下、本発明のバイオチップ用基板製造方法の好ましい実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明をする。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
まず、図1及び2を参照しながら本発明のバイオチップ用基板製造方法を説明する。
図1は、本発明のバイオチップ用基板製造装置の1実施態様の概略を示す縦断面図である。図2は、図1に示された装置のプラズマ処理室の一部切欠縦断面図である。
本発明のバイオチップ用金基板製造装置は、基板1の金薄膜を蒸着する表面をプラズマ処理するユニットを有するプラズマ処理室2と、上記基板1上に金薄膜を蒸着形成するユニットを有する蒸着室3を有し、前記プラズマ処理室2と蒸着室3とを真空状態とするためのユニットを具備することを特徴とする。4は、蒸着室3とプラズマ処理室2の間の仕切5の開閉を行う手動ゲートバルブである。仕切5を閉めることにより蒸着室3とプラズマ処理室2は独立して密閉状態となり、それぞれ独立した減圧度を有することができる。したがって、プラズマ処理室2と蒸着室3はそれぞれ独立して、真空状態とするためのユニットを有することが好ましい。
まず、特に図2を参照してプラズマ処理室2について説明する。
基板1をプラズマ処理するユニットは、基板1を保持するための基板ホルダー6、及びプラズマ発生電極7を有する。基板ホルダー6は、固定ネジ35等の任意の手段により基板1を保持する。また、基板ホルダー6は台31に設置されている。9は、台31が連結していて、プラズマ処理室2から蒸着室3に基板1を移動させるマグネットフィードスローである。
プラズマ発生電極7は電源8に接続している。仕切5を下げて閉じた状態で、ロータリーポンプ17で減圧(例えば、プラズマ処理室2内圧1Pa)にしたプラズマ処理室2に、アルゴンを導入し、扇型のプラズマ発生電極7においてアルゴン雰囲気下(プラズマ処理時内圧、例えば、20Pa)で基板1をプラズマ処理する。プラズマ処理後、減圧度を高めておいた蒸着室3の高真空状態(図示の態様の場合、1×10-3〜1×10-7Pa)に近づくようプラズマ処理室2の減圧度を高め、処理後の基板1を有する基板ホルダー6を蒸着室3に移動する。
次に、図1を参照して蒸着室3について説明する。
金蒸着のため、基板1はマグネットフィードスロー9を用いたロードロック機構により蒸着室3に真空状態を維持したまま運ばれる。それにより、結果的に金蒸着膜の耐剥離性が向上する。その際、例えば、手動ゲートバルブ4により、蒸着室3とプラズマ処理室2の間の仕切5を開ける。
基板1上に金薄膜を蒸着形成するユニットは、蒸発(蒸着)源10及び加熱可能な基板ホルダー設置器11を有する。33は蒸着制御用シャッターである。
金蒸着のため、蒸着室3の加熱可能な基板ホルダー設置器11は、基板1を保持した基板ホルダー6を台31から受け渡される。台31が連結したマグネットフィードスロー9がXYチルト機構13により制御され、基板ホルダー6の受け渡し位置合わせが行われる。一方、加熱可能な基板ホルダー設置器11はシャフト15に連結しており、シャフト15は、3軸マニュピュレーター14により3次元的に位置調節を行う。それにより、加熱可能な基板ホルダー設置器11は直交する3方向で所定の位置に位置決めされる。3軸マニュピュレーター14の3方向の調節の内、2方向の調節は、上述の受け渡しの際の位置合わせに寄与する。残りの1方向については蒸着源10と基板1の距離の調整のため加熱可能な基板ホルダー設置器11の高さ方向の位置調節に寄与する。上記受け渡しは、基板ホルダー6を加熱可能な基板ホルダー設置器11の外側に嵌着させる等の任意のジョイントにより行われる。より具体的には、前記ジョイントの一態様として、例えば、基板ホルダー6に接する部分が円柱形を有する基板ホルダー設置器11を、該基板ホルダー設置器11の外径と同一の内径を有する円筒形の基板ホルダー6に差込み、両者を嵌着させる等が挙げられる。
ジョイント後、基板ホルダー設置器11にジョイント・保持された基板ホルダー6は台31から離れ、台31に連結したマグネットフィードスロー9は蒸着室3から後退し、仕切5を閉じた後、蒸着室内の減圧度が調節される。基板ホルダー設置器11を介して蒸着室3内に保持された基板ホルダー6について、加熱可能な基板ホルダー設置器11による温度制御下、基板ホルダー6に保持された基板1下面に蒸発源10により金蒸着がなされる。
プラズマ処理室2と蒸着室3とを真空状態とするためのユニットは、ターボ分子ポンプ16とロータリーポンプ17を有する。ロータリーポンプ17は低減圧度(図示の態様の場合、大気圧〜1×10-1Pa)に減圧するためのものであり、ターボ分子ポンプ16は、ローターリーポンプ17により減圧された状態からさらに減圧度を高め、高真空状態(図示の態様の場合、1×10-3〜1×10-7Pa)にする。さらに、ロータリーポンプ17に使用するオイルがターボ分子ポンプ16へ移動することを防止するために、ターボ分子ポンプ16とロータリーポンプ17の間にはトラップ18を有することが好ましい。19は、プラズマ処理室2及び/又は蒸着室3と真空状態にするためのユニットとの間の仕切を調節することにより、減圧度を調節する手動アングルバルブである。20は、プラズマ処理時等の低減圧度の内圧(図示の態様の場合、大気圧〜1×10-1Pa)を測定するためのピラニー・ゲージである。21は、蒸着時等の高度減圧の内圧(図示の態様の場合、1×10-3〜1×10-7Pa)を測定するためのバキューム・ゲージである。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
本発明において、接着性を向上し、不純物(表面の汚れ)による金薄膜の平滑性低下を防止し、並びに結晶成長阻害を防止するため、表面粗面化(物理的、光学的な改変)が起こらない範囲内において、金薄膜を蒸着または結晶成長させる基板面をプラズマ処理により表面処理する。
図1及び2に示した本発明の装置において、プラズマ発生源と処理される基板の距離が5cmである場合、プラズマ処理は、好ましくは、300〜1500V下で30〜180秒の照射時間が用いられる。そのプラズマ処理は、照射時間を目安として行うことができる。
プラズマ発生源としては、金属製チャンバー(プラズマ処理室)外壁への放電をさけるため裏面にテフロン(登録商標)コートを施したアルミ、アルミ合金等の任意の金属電極が用いられる。図1及び2に示した本発明の装置においては、プラズマ発生源と処理される基板の距離は、好ましくは、3〜8cmであるが、より好ましくは4.5〜5.5cmである。
本発明において、プラズマ処理は好ましくは、10〜30Pa、より好ましくは20Pa前後の減圧下で行われる。処理温度は、室温(20〜30℃)である。
上記プラズマ処理が強すぎると基板表面が荒れ、接着力は強化するものの金薄膜厚にばらつきが生じたり、単結晶成長が起こりにくくなったり、単結晶グレインのサイズが小さくなる。また弱すぎると接着力の強化はみられない。
本発明におけるプラズマ処理について、特に、ガラス基板の場合は処理されやすいので300〜900V下で30秒〜60秒であることが好ましい。一方、マイカ基板の場合は処理されにくいので、300〜1500V下で30秒〜60秒であることが好ましい。
プラズマ励起性気体とは、プラズマ処理下においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。本発明においては、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが好ましく、アルゴンが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、プラズマ処理室と蒸着室をロードロック機構等の任意の機構を介して連結することが好ましい。これにより基板が真空を維持したまま大気にさらされずに移動でき、不純物混入がないため、蒸着時に単結晶成長が阻害されるようなことがない。ここで、ロードロック機構とは、真空レベルの異なる2室を差動排気システム及びゲートバルブで連結し、真空を維持したまま試料自動搬送を可能にする機構である。
本発明において、上記プラズマ処理された基板の表面には金薄膜が以下(a)又は(b)のように蒸着形成される。
(a)常温蒸着により金多結晶膜を形成する場合、蒸着室(超高真空チャンバー)内、好ましくは1×10-4〜1×10-6Pa、より好ましくは1×10-5〜1×10-6Paで、ガラス等の基板上に蒸着速度(好ましくは1〜3Å/秒)制御下で金を蒸着して作製される。蒸着時の基板の温度は、室温(20〜30℃)であり、蒸着速度及び真空度により多少変動するが、微妙な温度制御を必要としない。均一の膜厚である必要があるため、基板ホルダーと蒸発源との間を離し(たとえば15cm)基板ホルダーを偏心回転させるのが好ましい。
(b)高温蒸着により金単結晶膜を形成する場合、プラズマ処理後マイカへき開面を蒸着室内(1.33×10-5〜1.33×10-7Pa(1×10-7〜1×10-9Torr))でプレベイク(マイカへき開面を、核形成点となる表面吸着水、不純物(混入物)を十分に取り除き、清浄化するため500〜600℃の高温で一定時間加熱)した後、温度及び蒸着速度(好ましくは1Å/秒)制御下で金を蒸着し、その後再び高温(500〜600℃)で3〜12時間アニール処理した後、室温に冷却することにより金単結晶膜を作製することができる。蒸着時の基板の最適温度は、通常は300〜450℃の範囲内であり、蒸着速度及び真空度により多少変動するが、最適温度範囲が狭いので、±5℃程度の微妙な温度制御が必要になる。このため、通常、マイカ基板は、基板用ヒーターにより加熱可能な基板ホルダー設置器に基板ホルダーを介して背面から均一に接触するようにセットされ、片側表面のみに金が蒸着される。基板ホルダーと蒸発源との間は比較的に近く(たとえば10cm以下)基板ホルダーを回転させないのが好ましい。
本発明に用いられる蒸発源は、抵抗加熱型等任意のものであってよい。
本発明に用いられる基板の材質は、表面プラズモン共鳴法、水晶振動子法、走査型プローブ顕微鏡法等の表面高感度分析用バイオチップに用いる観点から、ガラス又はマイカを用いる。前記ガラスは、光学測定用透明ガラス、石英ガラス、高屈折率ガラス、ソーダガラス等任意のガラスであってよい。
本発明における基板上の薄膜に用いられる金属は、自己組織化膜法により生体分子を固定化するのに適し、表面酸化されにくく、平滑な結晶面(111)面が得られ、バイオ分析に適する等の観点から、金であり、金単結晶又は金多結晶が好ましい。いずれも上述の蒸着方法によって基板上に薄膜を形成することができ、膜厚は通常数100Å〜数100μmである。特に表面プラズモン共鳴法の場合は、400〜550Åが好ましく、走査型プローブ顕微鏡法の場合の蒸着時金単結晶膜厚は1000〜1500Åが好ましい。
本発明のバイオチップ用基板製造では、分子認識部位を有するチオール誘導体(ジスルフィドやスルフィド、チオフェンなどの含硫黄化合物全般を含む)やカルボン酸誘導体、アミン誘導体、リン酸誘導体など金表面に特異的に吸着する有機化合物溶液に上記金基板を浸漬して有機化合物による表面処理を施す。
本発明において、自己組織化膜(Self-Assembled Monolayers、以下SAM膜ともいう)を、金基板上に形成することができる。
本発明におけるSAM膜は、後述する自己組織化性を有する分子より形成される膜であれば特に制限はなく、含硫黄有機分子より形成される膜であることが好ましい。金チオラートSAM膜は、金表面を含硫黄有機分子雰囲気下又は希薄溶液中に一定時間放置するだけで、高度に分子配列した単分子膜が得られること、及び金原子とチオール基間の化学反応による吸着によりできた膜の安定性が非常によいことから特に好ましい。
SAM膜形成については、例えば、上記基板を含硫黄有機分子雰囲気下に一定時間放置する気化吸着法(蒸着も含む)、含硫黄有機分子希薄溶液中に一定時間浸漬する浸漬法などの通常の自己組織化膜形成の方法・条件で、自己組織化膜を形成することができる。SAM膜形成の時間は1mmolの溶液に浸漬した場合、通常数分〜24時間であり、分子鎖長相当の膜厚の単分子膜が得られる。
含硫黄有機分子の共吸着によれば、2種の含硫黄有機分子を一定条件下で基板上に共吸着させることにより、含硫黄有機分子の自己組織化性(分子間相互作用による自己集合体形成)を利用して、所定の間隔で自発的にナノサイズの表面パターン(ナノドット)を形成することもできる(例えば、Surface Phase Behavior of n-Alkanethiol SAMs Adsorbed on Au(111): An Atomic Force Microscope Study, K. Tamada; M. Hara; H. Sasabe; W. Knoll Langmuir 1997, 13, 1558.等参照)。
本発明における含硫黄有機分子とは、チオール(−SH)基、ジスルフィド(−S−S−)基、モノスルフィド(−S−)基、チオフェンなどの含硫黄官能基を有する有機分子であり、チオール基又はジスルフィド基を有する有機分子が好ましい。有機分子としては例えば、置換基を有してもよい炭素数1〜22、好ましくは4〜18の直鎖又は分岐の脂肪族飽和アルキル、脂肪族不飽和アルキル、ポリエチレングリコール鎖などがあげられ、置換基としてはさらに置換されていてもよいフェノキシ基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、カルボン酸基、アミノ基、シアノ基、アミド基、エステル基、スルホン酸基、ハロゲン原子(ブロモ基、クロロ基、ヨード基等)、ピリジン基、ペプチド基、フェロセン基、各種ポリマー鎖、蛋白質や核酸塩基等の生体関連物質などがあげられる。本発明における含硫黄有機分子の具体例としては、例えばオクタデカンチオール、アゾフェノキシドデカンチオール、ペルフルオロオクチルペンタンチオール、ブタンチオール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ジオクタデシルジスルフィド、システイン、シスタミン、チオフェン、メルカプトオクタデシルアミン、メルカプトオクタデカノール、メルカプトオクタデカン酸などが挙げられる。また、特開2000−264874号公報に記載のジスルフィド誘導体化合物、特開2002−20368号公報に記載のアゾベンゼン誘導体化合物、特開2001−261681号公報に記載のフタロシアニン誘導体化合物も本発明に好ましく用いることができる。
次に、本発明において製造された金基板が用いられるプラズモン測定方法について説明する。図5は、プラズモン測定装置の1例の概略を示す断面図である。101はガラス基板102上の金薄膜103の上に形成されたSAM膜、104はプリズム、107はフローセルの供給口、108は排出口、109はセルである。紫外光、可視光、近赤外光等の入射光111をガラス基板102に入射し、基板102上の金薄膜103あるいはSAM101に表面プラズモンを発生させ、出射光112を測定して局所的表面プラズモン共鳴分光測定を行う。分子認識反応等による吸着の有無により反射率が異なることを利用して、反応等の有無を可視化することができる。プラズモン現象を利用した情報処理方法自体は、例えば、特開2002−22653号公報等に記載の方法を利用することができる。また、表面プラズモン顕微鏡は、一度に多点のデータを画像情報(吸着による光反射率の局所的な変化)として取り込むことができるので好ましく用いられる。
プラズモン測定には、特定の限られた厚み(例えば、金最適膜厚47nmであるように)の金薄膜表面でのみ、プラズモン波が発生するため、1nmオーダー(好ましくは1Åオーダー)で金薄膜の膜厚が制御された基板が要求される。
次に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(基板製造)
本発明のバイオチップ用金基板装置で、石英ガラス(松波硝子工業(株)製プレクリン水縁磨、縦2.5cm×横2.5cm×厚さ1.5mm)およびマイカ(S&J Trading (USA)製光学用マイカスライド、縦1cm×横2cm×厚さ300μm)表面に蒸着直前にプラズマ処理を施し、その後金蒸着を行った(厚み約100μm)。
ガラスは洗浄後、マイカ基板は劈開処理後、プラズマ処理室内の扇型のプラズマ発生電極により室温(20〜30℃)アルゴン雰囲気下(処理時真空度20Pa)でプラズマ処理された。プラズマ処理条件を以下に示す。
a)ガラスの場合
印加電圧0,500,700V
印加時間0,30,60秒(60秒の場合の結果は示していない。)
b)マイカの場合
印加電圧0,300,1000,1500V
印加時間0,60秒
その後、各基板はロードロック機構により蒸着室に真空を維持したまま運ばれ、金蒸着された。ガラス基板上には常温蒸着(20〜30℃)で蒸着速度2Å/秒で基板を20秒/回で回転させながら均一に50nm膜厚の多結晶金を蒸着した(蒸着時真空度〜2x10-5Pa)。マイカ基板は550℃で数時間プレベイク処理をした後、450℃で蒸着速度1Å/秒で50nm膜厚の多結晶金を蒸着した後、さらに数時間550℃でアニール処理して、Au(111)を単結晶成長させた(蒸着時真空度〜6x10-6Pa)。
(剥離試験)
上述の蒸着条件により作製したガラス上金およびマイカ上金について、以下の手法により基板との接着強度に関する試験を行った。まず金薄膜表面にカッターで傷をつけ、剥離が起こり易くする。通常、剥離はわずかな傷(欠陥)部から基板と金の間に水が入り込んで生じやすくするためである。その後、ビーカー内におき、純水(25℃)を入れて超音波洗浄処理装置(商品名SV-3T, 40W、柴田科学株式会社製)内で一定時間(8分間)処理し、基板表面積当りに残っている金薄膜の面積(%)を算出することにより、接着性を比較した。ガラス基板の場合についての結果を表1に、マイカ上金単結晶の場合についての結果を表2にそれぞれ示した。
表1から明らかなように、比較例の未処理の場合は金薄膜の大半が剥離を起こす一方、プラズマ処理500V30秒から700V30秒まで印加電圧を上げる程、金薄膜剥離が減少し、接着強度が顕著に向上していることが分かった。
表2は、金単結晶マイカ基板の場合の結果であり、表2から明らかなように、比較例の未処理の場合に比べて接着強度の明らかな向上が確認でき、プラズマ処理300V60秒から1500V60秒まで印加電圧を上げる程、接着強度が向上していることが分かる。
また、ガラス基板上金薄膜の場合、プラズマ処理の効果がマイカ上金単結晶の場合に比べ同じ照射時間では低印加電圧で現れる一方、マイカ上金単結晶の場合、効果が現れるのにより高印加電圧での処理が必要であった。
(単結晶成長試験)
図3を参照しながら、上述のように作製したマイカ上に高温蒸着した金について、プラズマ処理により単結晶成長が阻害されないことを原子間力顕微鏡(AFM;15μmスキャナー)観察により確認したことを説明する。図3は金単結晶基板(マイカ)表面の顕微鏡写真であり、図3(a)はプラズマ未処理の基板についてであり、図3(b)は1200V60秒プラズマ処理した表面についてである。なお、金単結晶マイカ基板は上記蒸着条件(蒸着温度450℃、蒸着速度1Å/秒、金膜厚50nm、蒸着時真空度〜6x10-6Pa)で得られたものである。
図3(a)及び(b)において、薄片状に見えるのが金単結晶(111)基板である。図3から明らかなように、剥離強度の向上がみられる1200V60秒プラズマ処理した表面(図3(b))においても、未処理マイカ表面(図3(a))とほぼ同様の金単結晶が成長していることが確認され、上記プラズマ処理により金単結晶成長が阻害されないことが分かった。
また、例えば、1500V30秒のようにプラズマ処理が強すぎると表面が荒れ、接着力は強化するものの単結晶成長が起こりにくくなる(単結晶グレインのサイズが小さくなる)。例えば、マイカ基板の場合300V60秒のようにプラズマ処理が弱すぎると接着力の強化は実用的に十分ではない。しかし、処理条件が1000V60秒〜1200V60秒の範囲であれば、接着力が強く、単結晶性に優れた基板作製が可能であることを実験的に立証できた。
(プラズモン光学特性試験)
上述のように得られた金蒸着ガラス基板(金膜厚50nm)の片面にチオール化ビオチン(LCC Engineering & Trading GmbH製、商品名:41151-0895)の1mmolエタノール溶液に1時間浸漬して、表面プラズモン測定用金基板を作製した。また、比較のために、作成したクロム下地膜を用いた従来の金基板は、蒸着速度1Å/秒で交互に積層蒸着し、作製した(クロム下地膜厚3nm;金膜厚47nm)。
上記のように作製したガラス基板上金薄膜について表面プラズモン測定を行った。
測定波長は632nmとした。レーザ入射角度を連続的に変化させて反射率を測定した。結果を図4にグラフとして示す。図4中、縦軸は表面プラズモン分光による基板の反射率(%)を、横軸はレーザの入射角度(度)を示し、(a)は本発明のプラズマ処理して得た金基板上におけるプラズモン吸収(エタノール中)のグラフを、(b)は比較例の従来のクロム下地膜を用いた金基板上におけるプラズモン吸収(エタノール中)のグラフをそれぞれ示し、実線は理論値、点線は実験測定値である。
ここで、図4における理論値は、プリズムとして高屈折ガラスLaSFN9(屈折率n=1.845,ショットグラス社製)を用いエタノール中における厚み50nmの金上での光の反射率の入射角依存特性について、フレネルの式からプロットして得られた値である(ソフトウエア:WINSPALL,マックスプランク高分子研究所(ドイツ)製(http://www.mpip-mainz.mpg.de/documents/akkn/index.html))。
図4から明らかなように、光学特性では理論値と実験測定値が一致しなかったのは、極微量(3nm厚)の下地膜でさえ、クロムが可視光を吸収することにより、反射光強度が減少したり、スペクトルが変形したりしたからであると考えられ、クロムが接着界面で金薄膜と融合するためとも考えられる。また、再現性も悪かった。グラフ中のプラズモン吸収の極小点の角度分解能から膜厚の測定感度に換算して、少なくとも±3Åの測定誤差を生じることになるので、膜厚Åの高感度測定には適していなかった。
一方、本発明の製造方法によるバイオチップ用金基板は、理論値と実験値が完全に一致した。したがって、同上の手法で換算した測定感度は±1Å以下の測定誤差で、膜厚Åの高感度測定ができることがわかる。
加えて、プラズマ未処理の場合と同等のプラズモン曲線が得られること、およびその金基板表面において、未処理の場合と同様にチオール分子(アルカンチオール)、バイオ系分子が吸着することから金薄膜表面に凹凸がなく、平滑性に優れるばかりでなく、化学種的にも純品である(最表層が、クロム等不純物を含まず金100%で形成されている)ことも実証された。
本発明のバイオチップ用基板製造装置の1実施態様の概略を示す縦断面図である。 図2は、図1に示されたバイオチップ用基板製造装置のプラズマ処理室の一部切欠縦断面図である。 図3は、金単結晶基板(マイカ)表面の原子間力顕微鏡写真であり、図3(a)はプラズマ未処理の基板についての顕微鏡写真であり、図3(b)は1200V60秒プラズマ処理した表面についての顕微鏡写真である。 図4は、プラズモン曲線(入射角‐反射率プロット)を示すグラフである。 図5は、表面プラズモン測定装置の一例の概略を示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 プラズマ処理室
3 蒸着室
5 仕切
7 プラズマ発生電極
10 蒸発源
11 加熱可能な基板ホルダー設置器
101 SAM膜
102 ガラス基板
103 金薄膜
104 プリズム
107 フローセルの供給口
108 フローセルの排出口
109 セル
111 入射光
112 出射光

Claims (9)

  1. ガラス又はマイカの基板の表面を真空状態下でプラズマ処理した後、真空状態で前記基板のプラズマ処理面上に金を蒸着させ金薄膜を形成する、バイオチップ用金基板の製造方法。
  2. 前記金薄膜が金単結晶膜からなることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記バイオチップ用金基板が、表面プラズモン共鳴測定用である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記バイオチップ用金基板が、走査型プローブ顕微鏡用である請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたバイオチップ用金基板。
  6. 表面を真空状態下でプラズマ処理したガラス又はマイカの基板のプラズマ処理面上に、真空状態で金を蒸着させて形成した金薄膜を有し、前記基板と前記金薄膜との間に下地処理膜を有しないバイオチップ用金基板。
  7. ガラス又はマイカの基板の金薄膜を蒸着する表面をプラズマ処理するユニットを有するプラズマ処理室と、上記基板上に金薄膜を蒸着形成するユニットを有する蒸着室を有し、前記蒸着室内に、蒸着源に対して基板を平面方向及び上下方向に位置調節できる、加熱可能な基板ホルダー設置器を有し、前記プラズマ処理室と蒸着室とを真空状態とするためのユニットを具備することを特徴とするバイオチップ用金基板製造装置。
  8. 前記プラズマ処理室及び前記蒸着室が気密性を有するように連結されていることを特徴とする請求項7記載のバイオチップ用金基板製造装置。
  9. プラズマ処理後の基板を、真空状態を保ったまま前記蒸着室へと移動することを特徴とする請求項7又は8記載のバイオチップ用金基板製造装置。
JP2004158287A 2004-05-27 2004-05-27 バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ Expired - Lifetime JP4505596B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004158287A JP4505596B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004158287A JP4505596B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005337930A JP2005337930A (ja) 2005-12-08
JP4505596B2 true JP4505596B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=35491668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004158287A Expired - Lifetime JP4505596B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4505596B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100720155B1 (ko) * 2006-04-20 2007-05-18 주식회사 나노신소재 바이오칩 및 그 제조방법
JP2011108603A (ja) * 2009-11-20 2011-06-02 Ulvac Japan Ltd 薄膜リチウム二次電池及び薄膜リチウム二次電池の形成方法
JP2012052848A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Canon Inc 散乱型近接場光プローブ、散乱型近接場光プローブを備えた近接場光学顕微鏡

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005337930A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8182878B2 (en) Metal-enhanced fluorescence from plastic substrates
TWI404930B (zh) Biochemical sensing wafer substrate and its preparation method
JP4939182B2 (ja) 検知素子、該検知素子を用いた標的物質検知装置及び標的物質を検知する方法
JP2009075016A (ja) バイオセンサーの製造方法及びバイオセンサー
Azzam et al. Fabrication of a surface plasmon resonance biosensor based on gold nanoparticles chemisorbed onto a 1, 10-decanedithiol self-assembled monolayer
JP4505596B2 (ja) バイオチップ用基板の製造方法、その製造装置、及び製造されたバイオチップ
Dong et al. Silver nanoparticles as surface-enhanced Raman substrate for quantitative identification of label-free proteins
JP4128753B2 (ja) 分子センサ
JP2972858B2 (ja) 含硫黄有機分子自己組織化膜の動的接触角の測定方法
Lebitania et al. Local cross-coupling activity of azide-hexa (ethylene glycol)-terminated self-assembled monolayers investigated by atomic force microscopy
JP2008107315A (ja) 生体分子の固定化方法
JP4218016B2 (ja) 核酸固定化方法およびそれを用いるバイオセンサの製造法
JP2009063335A (ja) 生理活性物質と被験物質との相互作用の測定方法
Liedberg et al. Bioanalytical applications of self-assembled monolayers
CN112924436B (zh) 一种银包裹的碗状二硫化钼复合金纳米颗粒sers基底及其制备方法和应用
Salah et al. Graphene and its influence in the improvement of surface plasmon resonance (spr) based sensors: a review
US11156635B2 (en) Method for obtaining functionalised sensor tips for atomic force microscopy by means of activated vapour silanisation and tips obtained using said method
Blanchette et al. Tip functionalization: Applications to chemical force spectroscopy
JP2008209379A (ja) バイオセンサー用基板
US6800370B2 (en) Photoresponsive surfaces
Nadeau Surface Functionalization Techniques
Ignat et al. SERS-active substrate based on macroporous silicon
Tollemache Evaluation of mixed alkanethiolate self-assembled monolayers on gold electrodes for biosensor applications
JP4351541B2 (ja) 金属酸化物表面の機能化法及びその方法により表面が機能化された金属酸化物
Kim Investigations of Thiolated Self-Assembled Monolayers on Gold Substrates by FTIR with Specular Reflectance

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100331

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4505596

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250