JP4505103B2 - 陽イオン交換樹脂の性能評価方法及び該方法を用いた水処理系の管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所、原子力発電所の復水脱塩装置や、電子工業における純水製造装置のポリッシャ等で使用する陽イオン交換樹脂の劣化度合いの評価方法に関する。また、本発明は、上記評価方法を用いた水処理系の管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを組み合わせた脱塩装置のイオン交換樹脂の性能評価方法として、次の方法が知られている。すなわち、▲1▼脱塩装置から樹脂をサンプリングし、▲2▼混合状態の場合は逆洗等の手法により分離し、▲3▼再生が必要な場合は、陽イオン交換樹脂は塩酸等の酸再生剤を通薬してH形に調整し、陰イオン交換樹脂は苛性ソーダ等のアルカリ再生剤を通薬してOH形に調整した後、十分に洗浄を行い、▲4▼樹脂を脱塩装置と同様の組み合わせになるように調整し、▲5▼これを試験筒に充填して試験筒に一定濃度の塩類含有水を通水し、処理水に漏洩するイオン量を電気伝導率の値として測定する方法である。
【0003】
しかしながら、上述したイオン交換樹脂の性能評価方法は、イオン交換樹脂の反応速度の低下を知ることはできるが、脱塩装置の処理水質に問題を生じる以前に、予めイオン交換樹脂の使用限界を予測することはできなかった。また、陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合いは、TOC溶出量の増加、水分保有能力の増加、TOC溶出物中の高分子物質の増加等によって評価することが可能である。しかし、陽イオン交換樹脂からの溶出物の量は必ずしも使用期間につれて徐々に増加するわけではなく、ある時期から比較的急激に増加するため、上記性能評価方法では陽イオン交換樹脂の使用限界を予測することはできなかった。
【0004】
これに対し、本出願人は、陽イオン交換樹脂の使用限界を予測できる方法として、陽イオン交換樹脂に銅イオン及び/又は鉄イオンを吸着させた後、ヒドラジン水溶液を接触させて加速劣化させ、次いで劣化させた陽イオン交換樹脂に溶離液を接触させ、この時樹脂から溶出したポリスチレンスルホン酸量を測定する陽イオン交換樹脂の性能評価方法を提案した(特開平9−210977号)。この方法は、陽イオン交換樹脂を加速劣化させた後、劣化させた陽イオン交換樹脂からのポリスチレンスルホン酸溶出量を測定し、その値に基づいて陽イオン交換樹脂の交換時期を決定する方法である。
【0005】
すなわち、脱塩装置に通常使用されている陽イオン交換樹脂は、イオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂であり、その溶出物の主成分はポリスチレンスルホン酸(以下、場合によりPSSという)である。この陽イオン交換樹脂を長期間使用した場合、陽イオン交換樹脂の一部が酸化分解されて劣化し、種々の分子量のPSSを溶出するようになる。溶出されるPSSは、陽イオン交換樹脂と対で使用される陰イオン交換樹脂の反応速度を低下させることが知られており、そのため陽イオン交換樹脂の劣化度合いの評価方法が望まれていた。しかし、PSSを溶出するようになっても、通常は陽イオン交換樹脂自体のイオン交換性能には大きな低下が認められないため、劣化度合いをPSSの溶出量によって評価する方法が望まれていた。前述の特開平9−210977号の方法は、かかる要望に応えるものである。
【0006】
また、強酸性陽イオン交換樹脂の劣化度合いを短期間で判定する方法として、特開平9−257778号の方法が提案されている。この方法は、強酸性陽イオン交換樹脂を純水と共に容器中で所定条件で曝気して、陽イオン交換樹脂から有機物を溶出させた後、陽イオン交換樹脂を分離し、溶出液をOH形に再生した新品の強塩基性陰イオン交換樹脂に通液して、溶出した有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させ、該有機物負荷後の陰イオン交換樹脂の反応速度を測定するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の特開平9−257778号に示された曝気による加速劣化法は、曝気をしない場合に比べて判定時間は短縮されるが、それでも10時間以上という長い曝気時間を要し、判定時間を十分に短縮できないものであった。また、判定に必要な陽イオン交換樹脂の体積が陰イオン交換樹脂の体積の10倍以上と大量である上、曝気中に温度や湿度の条件により樹脂/水比が大きく変動し、再現性に乏しいといった欠点があった。そのため、この判定法は実用に十分適したものとは言えなかった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、陽イオン交換樹脂から溶出した有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させ、陰イオン交換樹脂の反応速度を調べて陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定するに際し、陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出、溶出した有機物の陰イオン交換樹脂への負荷を加速して、短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定することができる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述した課題を達成するために種々の条件を検討した結果、陽イオン交換樹脂及び液体を容器に入れ、この容器を振盪した場合、容器中で陽イオン交換樹脂及び液体が激しく動くために、前述した曝気による加速劣化法に比べて陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出が著しく加速され、その結果、短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定できることを知見した。
【0010】
また、本発明者は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂及び液体を容器に入れ、この容器を振盪した場合、容器中で陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂及び液体が激しく動くために、前記と同様に陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出が著しく加速されるとともに、陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出と、溶出した有機物の陰イオン交換樹脂への負荷を同時に行うことが可能となり、その結果、より短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定できることを知見した。
【0011】
さらに、本発明者は、陽イオン交換樹脂及び液体を入れた容器を振盪して、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させた後、この液体中に含まれる有機物を測定することによっても、短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定できることを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記(1)〜(3)に示す陽イオン交換樹脂の性能評価方法を提供する。また、本発明は、これらの方法を用いた水処理系の管理方法を提供する。なお、本発明は各種の強酸性陽イオン交換樹脂の評価に適用することができ、陽イオン交換樹脂であればゲル形、MR形、ポーラス形等のどのような形のものでも、またH形、Na形、NH3形等のどのようなイオン形のものでも評価することができる。
(1)陽イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させる工程と、有機物を溶出させた後の液体を陰イオン交換樹脂に通液して、陽イオン交換樹脂から溶出した有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させる工程と、有機物を負荷させた後の陰イオン交換樹脂の反応速度を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法(第1発明)。
(2)陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させるとともに、該有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させる工程と、有機物を負荷させた後の陰イオン交換樹脂の反応速度を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法(第2発明)。
(3)陽イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させる工程と、有機物を溶出させた後の液体中に含まれる有機物を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法(第3発明)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。第1〜第3発明において、陽イオン交換樹脂から有機物を溶出させる液体の種類に限定はないが、純水(超純水を含む)を好適に使用することができる。また、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂単独又は陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂):液体の体積比は1:1〜1:3とすることが適当である。
【0017】
第1〜第3発明において、振盪とは、容器自体を上下方向、左右方向、斜め方向、ランダム方向などに振り動かす(往復動など)ことを言う。この場合、容器の振盪条件はイオン交換樹脂:液体の体積比等に応じて適宜決定することができるが、通常、振盪の振幅(静止の位置から振盪の極点までの距離)は20〜70mm、振盪速度は50〜500回/分、特に250〜350回/分、振盪時間は1時間以内、特に30〜60分とすることが適当である。なお、振盪は適宜装置を用いて実施することができる。
【0018】
第1及び第2発明において、陽イオン交換樹脂から溶出した有機物を負荷させる陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂、特に新品のOH形強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることが好ましい。これは、他の外的要因による誤差の発生のおそれを減らすという理由からである。
【0019】
第1及び第2発明では、陽イオン交換樹脂の体積を陰イオン交換樹脂の体積の0.5〜4倍とすることが適当である。第1及び第2発明では、このように少量の陽イオン交換樹脂量でも、陰イオン交換樹脂の反応速度は顕著に低下する。したがって、少量の陽イオン交換樹脂量で陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定することができる。
【0020】
第1及び第2における陰イオン交換樹脂の反応速度の測定手段に限定はないが、所定濃度の陰イオンを含む原水を陰イオン交換樹脂に通水して出口水質、脱塩率等を測定する手段や、同様にして陰イオン交換樹脂の物質移動係数(MTC)を測定する手段のように、数値として反応速度の優劣を再現性良く比較できる手段が好ましい。また、有機物を負荷させた後の陰イオン交換樹脂は、容易に吸着するイオンを除去するために必要に応じて再生し、この樹脂について反応速度を測定することが望ましい。すなわち、陰イオン交換樹脂の反応速度を低下させるPSSは再生によっても除去されないため、再生を行うことによりPSSによる反応速度の低下を再現性良く測定することができる。
【0021】
ここで、上述した物質移動係数の測定法の一例を示す。例えば、発電所の復水脱塩装置からサンプリングした陰イオン交換樹脂をNaOHを用いて再生し、再生樹脂と新品のH形陽イオン交換樹脂とを再生陰イオン交換樹脂/陽イオン交換樹脂容量比=1/2で混合し、カラムに充填する。次いで、カラムの上部より、所定濃度のアンモニウムイオンと硫酸ナトリウムを含む水溶液を流量70L/hrで通水する。通水中にカラム入口水と出口水を採取して、硫酸イオン濃度を測定し、さらに通水終了後に空隙率、陰イオン交換樹脂粒径を測定する。物質移動係数「MTC」を下記の式に従って算出する。この値が高いほど、陰イオン交換樹脂の反応速度が高い。通常、新品の陰イオン交換樹脂のMTCは、2.0(×10-4m/sec)程度となる。また、MTCが低いと反応速度が低く、陰イオン交換樹脂の一般的な交換時期は、例えば、MTC=1(×10-4m/sec)となった時である。
【0022】
K=[1/{6(1−ε)R}]×{F/(A×L)}×d(lnC0/C)
K:物質移動係数(m/sec)
ε:空隙率
R:陰イオン交換樹脂/陽イオン交換樹脂容量比
F:通水流量(m3/sec)
A×L:樹脂量(m3)
d:樹脂粒径(m)
C0:入口水のSO4 2-濃度
C:出口水のSO4 2-濃度。
【0023】
第3発明における液体中に含まれる有機物の測定手段にも限定はないが、ゲルフィルトレーションクロマトグラフィー(GFC)によることが特に好ましい。GFCは液体クロマトグラフィーの一種であり、溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する方法である。GFCの検出器としては、例えば紫外線検出器、示差屈折検出器等を用いることができる。
【0024】
第1〜第3発明では、容器にイオン交換樹脂及び液体と共に金属微粒子を入れる。このように金属微粒子を入れた場合、金属微粒子と陽イオン交換樹脂との接触によって陽イオン交換樹脂の物理的な劣化が加速され、陽イオン交換樹脂からより多くの有機物が溶出するため、さらに短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定することが可能となる。この場合、金属微粒子としては、例えば酸化第一鉄、ヘマタイト、マグネタイト等の酸化金属や結晶金属の微粒子等を用いることができ、平均粒径が50μm以下のものが好ましい。
【0025】
なお、本方法は、反対に陰イオン交換樹脂の劣化度合いの評価方法、言い換えれば陽イオン交換樹脂の反応性低下の要因を判定する方法として使用することもできる。陽イオン交換樹脂の反応性低下の要因は種々あるが、1つには陰イオン交換樹脂からの溶出物の影響が考えられる。この場合には、本方法での「陽イオン交換樹脂」と「陰イオン交換樹脂」を入れ替えた方法で行う。すなわち、「陰イオン交換樹脂及び液体を入れた容器を振盪することにより、陰イオン交換樹脂から液体中に溶出物を溶出させ、該溶出物を陽イオン交換樹脂に負荷させ、溶出物を負荷させた後の陽イオン交換樹脂の反応速度を測定する」こと、あるいは、「陰イオン交換樹脂及び液体を入れた容器を振盪することにより、陰イオン交換樹脂から液体中に溶出物を溶出させ、該溶出物を測定する」ことにより、上記目的を達成することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本実施例では、実機から採取した劣化傾向の異なる強酸性陽イオン交換樹脂のサンプルa、b及びcを用いてそれぞれ実験を行った。サンプルaは劣化程度が大きいもの、サンプルbは劣化程度が中程度であるもの、サンプルcは使用1ヶ月程度のほぼ新品である。
【0027】
(参考例1)
サンプルa、b、c各200mL及び純水400mLを1Lの分液ロートに入れ、この分液ロートを振盪速度300回/分で60分間振盪した。振盪装置としては、分液ロートを上下方向に振幅50mmで往復動させるものを用いた。振盪終了後、上澄み液をOH形に再生した新品の強塩基性陰イオン交換樹脂100mLに通液して、陽イオン交換樹脂から溶出した有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させた。次いで、有機物負荷後の陰イオン交換樹脂を再生した後、陰イオン交換樹脂のMTCを測定した。結果を表1に示す。
【0028】
(比較例1)
サンプルa、b、c各200mL及び純水400mLを1Lの分液ロートに入れて攪拌した後、この分液ロートを16時間静置した。その後、上澄み液を用いて参考例1と同様の方法で有機物負荷後の陰イオン交換樹脂のMTCを測定した。結果を表1に示す。
【0029】
(比較例2)
サンプルa、b、c各200mL及び純水400mLを1Lの分液ロートに入れ、サンプルa、b、cを純水と共に分液ロート中で16時間曝気した。その後、上澄み液を用いて参考例1と同様の方法で有機物負荷後の陰イオン交換樹脂のMTCを測定した。結果を表1に示す。
【0030】
(参考例2)
サンプルa、b、c各100mL、OH形に再生した新品の強塩基性陰イオン交換樹脂100mL及び純水400mLを1Lの分液ロートに入れ、この分液ロートを振盪速度300回/分で60分間振盪した。振盪装置としては参考例1と同じものを用いた。振盪終了後、サンプルa、b、cから有機物が負荷された陰イオン交換樹脂を分離し、この陰イオン交換樹脂を再生した後、陰イオン交換樹脂のMTCを測定した。結果を表1に示す。
【0031】
(実施例1)
参考例2において、分液ロート中にサンプルa、b、c、陰イオン交換樹脂及び純水と共に金属微粒子を入れたこと以外は、参考例2と同様に実験を行った。金属微粒子としては、Fe3O4微粒子を300mg/L−樹脂用いた。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
参考例及び実施例のいずれの方法でも、実機で反応速度低下傾向の大きい陽イオン交換樹脂aは、溶出物を負荷した陰イオン交換樹脂の反応速度を低下させているが、実機で反応速度低下傾向のない陽イオン交換樹脂cは、溶出物を負荷した陰イオン交換樹脂の反応速度を低下させていない。表1の結果より、本発明によれば、従来に較べてより短時間で、しかもより明確な差で、実機の陰イオン交換樹脂にほぼ対応する評価結果が得られることがわかった。これに対し、実機でMTCが陰イオン交換樹脂の交換基準である1(×10−4m/sec)以下となっている陽イオン交換樹脂aは、比較例1、2では劣化していると判定できなかった。また、参考例2では、陽イオン交換樹脂から有機物を溶出させる工程と、溶出物を陰イオン交換樹脂に負荷させる工程とを同時に行うため、参考例1よりもさらに短時間で陽イオン交換樹脂の劣化を明確に知ることができることがわかった。さらに、実施例1では、金属微粒子が陽イオン交換樹脂の物理的な劣化を促進するため、参考例2よりもさらに短時間で陽イオン交換樹脂の劣化を明確に知ることができることがわかった。
【0034】
(参考例3)
サンプルa、b、c各200mL及び純水400mLを1Lの分液ロートに入れ、この分液ロートを振盪速度300回/分で60分間振盪した。振盪装置としては参考例1と同じものを用いた。振盪終了後、上澄み液中に含まれるPSS量(PSS溶出量)をGFCによって測定した。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
陽イオン交換樹脂からのPSS溶出量が増加し、陰イオン交換樹脂へのPSS吸着量が増加すると、陰イオン交換樹脂の反応速度は低下する。また、陽イオン交換樹脂から溶出するPSSのうち、分子量の大きいものほど陰イオン交換樹脂の反応速度を低下させることが知られている。表2の結果より、陽イオン交換樹脂及び液体を入れた容器を振盪した後、陽イオン交換樹脂から溶出したPSS量を測定することにより、短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定できることがわかった。
【0037】
【発明の効果】
第1〜第3発明によれば、陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出を著しく加速することができる。特に、第2発明では、陽イオン交換樹脂からの有機物の溶出と、この有機物の陰イオン交換樹脂への負荷を同時に行うことができる。したがって、第1〜第3発明によれば、短時間で正確に陽イオン交換樹脂の劣化度合いを判定することが可能となる。その結果、陽イオン交換樹脂の交換の要否を正確に判断することができ、陰イオン交換樹脂の反応速度低下に起因する装置能力の低下を未然に防止することが可能となる。また、陰イオン交換樹脂の交換の必要性が減少し、良好な処理水水質を経済的に維持することが可能となる。
Claims (6)
- 陽イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させる工程と、有機物を溶出させた後の液体を陰イオン交換樹脂に通液して、陽イオン交換樹脂から溶出した有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させる工程と、有機物を負荷させた後の陰イオン交換樹脂の反応速度を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
- 陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させるとともに、該有機物を陰イオン交換樹脂に負荷させる工程と、有機物を負荷させた後の陰イオン交換樹脂の反応速度を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
- 陽イオン交換樹脂、液体及び金属微粒子を入れた容器を振盪することにより、陽イオン交換樹脂から液体中に有機物を溶出させる工程と、有機物を溶出させた後の液体中に含まれる有機物を測定する工程とを備えたことを特徴とする陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
- 陽イオン交換樹脂の体積を陰イオン交換樹脂の体積の0.5〜4倍とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
- 容器の振盪時間を1時間以内とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の陽イオン交換樹脂の性能評価方法を用いて陽イオン交換樹脂の劣化度合いを評価することを特徴とする水処理系の管理方法。
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