JP4501322B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転数やトルクなどの運転状態を適宜に設定することのできる内燃機関の制御装置に関し、特に予め用意した情報に基づいて燃費が良好となるように内燃機関を制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、内燃機関のスロットル開度や燃料供給量を電気的に制御できることに加えて、内燃機関の出力側に連結された無段変速機によってその回転数を適宜に設定できることにより、内燃機関のトルクや回転数で表される運転状態を適宜に制御できるようになってきている。一方、地球環境の保全のために、車両の燃費を可及的に向上させることが強く求められている。
【0003】
そこで従来、無段変速機を出力側に連結した内燃機関にあっては、無段変速機の変速比を適宜に制御することにより、その回転数を任意に設定するできることを利用して、要求駆動量に基づいて燃費が最小となる回転数を求め、その回転数を達成するように無段変速機の変速比を制御し、また他方で、前記要求駆動量に応じた出力トルクを求め、その出力トルクを達成するようにスロットル開度などの負荷を制御することがおこなわれている。その一例が、特開2000−289496号公報に記載されている。
【0004】
この公報に記載された装置では、車速と要求駆動量の一例であるアクセル開度とに基づいて、先ず、目標駆動力が求められる。これは、予め用意してあるマップに基づいて算出される。その目標駆動力と車速との積として、目標出力が求められる。その目標出力を最小の燃費で達成することのできる目標回転数が求められる。これは、内燃機関の特性を示すデータとして予め用意されたマップを利用して算出される。そして、その目標回転数を達成するように、無段変速機の変速比が制御される。他方、目標出力をその時点の内燃機関の回転数で除算することにより目標トルクが求められ、その目標トルクを達成するようにスロットル開度などのエンジン負荷が制御される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の目標回転数を求めるために使用されるマップは、対象とする内燃機関と同型式の標準的な内燃機関についてテストをおこなって各回転数および出力トルクごとの燃費率を測定し、その燃費率の等しい点を結んだ等燃費率線と等出力線との交点のうち、燃費が最も小さくなる点を結んで最適燃費線を作成したものである。上記の従来の制御装置では、トルクと回転数とで表される運転点がその最適燃費線上で変化するように、無段変速機の変速比および負荷が制御される。
【0006】
このように燃費の良い運転状態とするための基礎データとされる最適燃費線は、同型式の標準的な内燃機関を使用して実測し、作成されたものである。そのため、そのデータには内燃機関あるいはこれに連結されている無段変速機の個体差や経時変化による特性のズレなど、基準とされた内燃機関あるいはそれに連結された無段変速機の特性とのズレ要因が考慮されていない。そのために、内燃機関の運転状態を、上述した従来の装置によるように制御したのでは、燃費を最適化できなくなったり、あるいは燃費が次第に悪化するなどの可能性があった。
【0007】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、実機の特性を反映して最適な燃費で内燃機関を運転することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この出願に係る請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、内燃機関の運転状態を予め用意した燃費に関する情報を利用して決定するように構成された内燃機関の制御装置において、前記情報とは異なる燃費に関する情報を利用して運転状態を決定するとともにその決定された運転状態で前記内燃機関を運転し、かつその運転の際の燃費に関する情報を運転状態と関連させて取得する手段であって、予め定められている最適燃費線による運転点よりも低回転数・高トルク側もしくは高回転・低トルク側に所定量ずらせた仮の最適燃費線による運転点、もしくは予め定められている最適燃費線による運転点よりも低回転数・高トルク側もしくは高回転・低トルク側に所定量ずらせた仮の最適燃費線による運転点で前記内燃機関を運転した場合の燃費に関する情報を運転状態に関連させて取得する燃費情報取得手段と、前記予め用意した燃費に関する情報による燃費と前記燃費情報取得手段で取得された情報による燃費とを比較し、燃費の良い方の情報を前記運転状態を決定するための情報として採用する補正手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0009】
したがって請求項1の発明では、内燃機関の運転状態を決める情報が、その内燃機関を実際に運転して得られた情報となる。すなわち請求項1の発明では、内燃機関の運転状態を決定するための情報を学習補正する手段を備えていることになるので、その内燃機関の個体差や経時変化などによる特性を反映した制御が可能になり、燃費が向上し、あるいは燃費の悪化が防止される。そして、この請求項1の発明では、内燃機関が、予め用意した情報に基づく運転状態と、これとは異なる情報に基づく運転状態との互いに異なる情報に基づく運転状態に設定される。そして、それぞれの運転状態での燃費が比較され、燃費が良好な方の情報が、内燃機関の運転状態を決定するための情報として採用される。このような燃費に関する情報の更新がおこなわれるので、内燃機関の個体差や経時変化などを反映した燃費の良い内燃機関の運転が可能になる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記補正手段が、予め定めた期間が経過する毎に前記補正を行い、もしくは前記情報の採用を行うように構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0011】
したがって請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる。
【0012】
なお、この発明において、上記の「燃費に関する情報」は、出力トルクもしくはこれに対応する物理量と出力回転数もしくはこれに対応する物理量とをパラメータとして定まるマップ化された最適燃費線とすることができる。また、この発明における「補正手段」は、その最適燃費線自体を変更する手段であっても良い。すなわち、最適燃費線を新たに作成する手段であっても良い。さらにこの発明における「補正手段」は、予め用意されている情報に基づいて決定された指示値を補正係数によって補正する手段あるいはその補正係数を変更する手段であっても良い。
【0013】
この発明における上記の補正は、常時おこなっても良いが、これに替えて、従前の情報に基づく運転状態と、新たな情報に基づく運転状態との偏差が予め定めた判断基準値を超えた場合、もしくは判断基準値を超えた回数が所定回数を超えた場合に上記の補正を実行するように構成しても良い。あるいは内燃機関の運転時間の積算値、もしくはその内燃機関を搭載した車両の走行距離の積算値が所定の値を超えたとき、あるいはその車両の定期的な検査時に上記の補正をおこなうように構成しても良い。
【0014】
さらに、上記の補正をおこなうために、内燃機関の出力トルクや回転数などの運転状態を決めるパラメータを意図的に所定量変更し、その結果、燃費が向上した場合に、その変更に応じて上記の補正をおこなうようにしても良い。なお、上記の補正をおこなう場合、実測したデータに基づいて補正をおこなうことになるので、そのデータを得るためのセンサー類に異常がないこと、あるいは実測したデータが極端な値を示さないことにより信頼性があることなどを、実行条件とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする動力系統およびその制御系統について説明すると、図2において、エンジン1の出力側に無段変速機(CVT)2が連結されており、さらにその無段変速機2の出力側に、デファレンシャル3を介して左右の駆動輪4が連結されている。
【0016】
そのエンジン1は、負荷を電気的に制御できるように構成されており、具体的には、スロットル開度を電子制御できる電子スロットルバルブ5が設けられている。また、吸気に向けて、もしくはシリンダの内部に向けて、燃料を噴射する燃料噴射装置6が設けられている。この燃料噴射装置6は、単位時間あたりに予め決められた量の燃料を噴射するノズルを使用し、燃料噴射時間を適宜に制御することにより、任意の量の燃料をエンジン1に対して供給できるように構成されている。
【0017】
そして、上記のエンジン1には、その出力トルクを直接検出するトルクセンサ7が、その出力軸の近傍に配置して設けられている。
【0018】
前記無段変速機2は、要は、変速比を無段階に(連続的に)変化させることにより入力回転数(エンジン回転数)を適宜に設定することのできる変速機である。したがって、ベルト式無段変速機やトラクション式(トロイダル型)無段変速機などを採用することができる。
【0019】
この無段変速機2の変速比は、定常的な走行状態では、燃費が最良となるエンジン回転数となるように制御される。例えば、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)で表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を出力するための目標出力が、目標駆動力と車速とに基づいて演算される。その目標出力を最も燃費の良好な状態で得るようにマップに基づいて目標入力回転数(目標エンジン回転数)が求められ、その目標入力回転数を達成するように無段変速機2の変速比が制御される。他方、前記目標出力とエンジン回転数とに基づいて目標トルクが演算され、得られた目標トルクを達成するようにエンジン1の負荷が制御される。これは、上述した公報に記載されている制御と同様の制御である。
【0020】
上述したエンジン1のスロットル開度(負荷)や燃料噴射量などを制御するための電子制御装置(E−ECU)8が設けられている。また、無段変速機2の変速比やトルク容量(例えばベルト挟圧力)などを制御するための電子制御装置(T−ECU)9が設けられている。これらの電子制御装置8,9は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、また相互にデータ通信可能に接続されている。さらに、これらの電子制御装置8,9には、車速やアクセル開度、エンジン回転数、エンジン水温などのデータが入力されている。そして各電子制御装置8,9は、これらの入力されたデータおよび予め記憶しているマップなどのデータと予め記憶しているプログラムとに基づいて演算をおこない、エンジン1および無段変速機2についての上記の制御を実行するようになっている。
【0021】
前述したように、上記のエンジン1は、定常状態あるいは緩やかな加減速が生じる準定常状態では、マップとして用意されている最適燃費線を使用して目標エンジントルクおよび目標エンジン回転数が求められ、それらの目標値を達成するようにエンジン負荷や変速比が制御される。その最適燃費線の一例を図3に示してある。すなわちエンジン回転数とエンジントルクとを順次変化させ、それらの各値での燃費率を、前述した燃料噴射装置6による燃料噴射量から求めてプロットし、燃費率の等しい点を結ぶことにより等燃費率線が得られる。その等燃費率線に出力毎の等出力線を重ね合わせ、その等出力線と等燃費率線との交点で燃費率の最小となる点を結ぶことにより、最適燃費線が得られる。
【0022】
この最適燃費線は例えば前述したエンジン用電子制御装置8に、予め用意した燃費に関する情報として記憶される。また、当初は、ベンチテストなどで得られた最適燃費線が標準的な情報として記憶させられる。これに対して、エンジン1には個体差があり、また経時的に特性が変化することがあるので、燃費が最小となる運転状態は、既に記憶している最適燃費線を使用して求まる運転状態とは異なる場合がある。そこでこの発明の制御装置は、最適燃費線あるいは燃費が最小となる運転状態を、エンジン1を実際に運転して得られた情報に基づいて補正するように構成されている。
【0023】
図1はその補正制御の一例を説明するためのフローチャートであって、先ず、走行中などのエンジン1を動作させている状態で、エンジントルクが求められる(ステップS1)。このステップS1の操作は、例えば図2に示すトルクセンサ7によって直接検出することによっておこなうことができる。なお、そのトルクセンサは、エンジン1の出力側でエンジン1の出力トルクを受ける部材のトルクを検出することとしてもよく、その場合には検出したトルクをエンジントルクに換算すればよい。
【0024】
また、車両の運動方程式に基づいてエンジントルクを算出することもできる。すなわち、エンジン1による駆動力Fは、
F=m×a+Rl
で表される。ここで、mは車両の全体としての質量であり、車重を計測して得てもよく、あるいは空車重量に乗車人数分の重量および荷物の重量を加算して得てもよく、さらにその乗車人数分の重量は座席にスイッチを設けておき、そのスイッチがオン動作することにより人数を検出し、その人数に一人分の重量を掛算して求めることとしてもよい。また、これらの質量に関するデータは、手動操作で制御装置に入力してもよく、あるいは制御装置が自動的に読みとるようにしてもよい。
【0025】
また、上記の式における「a」は、加速度であり、車速の単位時間当たりの変化として算出することができる。
【0026】
さらに、上記の式における「Rl 」は、走行抵抗を示しており、以下のように表すことができる。
Rl =Rr +Ra +Rs
【0027】
Rr は転がり抵抗を表し、これは、走行路面が整備された舗装路であることを検知できれば一定値としてよい。あるいは車両間通信や道路情報センターとの通信などによりその時点に走行している道路について転がり抵抗を得ることとしてもよい。
【0028】
Ra は空気抵抗を示し、車両が搭載しているセンサーで得た風速と車両の空気抵抗係数(Cd 値)とに基づいて求めることができる。なお、その風速は、外部からのデータ通信によって得ることとしてもよい。
【0029】
Rs は勾配抵抗を示し、車両に搭載した勾配センサーによって道路勾配を検出し、これに車体重量を加味して求めることができ、その勾配は、車両に搭載してあるナビゲーション装置の有する道路情報から得ることができ、あるいは外部からのデータ通信によって得ることができる。
【0030】
また、走行抵抗Fは、
F=A+B×v+C×v×v
で表すことができ、惰行法を用いて平地での惰行中のコーストタイムを計測し、各係数A,B,Cを求めることによって得られる。なお、vは車速を表している。
【0031】
ついで、各エンジントルクに対応させてエンジン回転数Ne を読み込み、保持する(ステップS2)。さらに、ステップS1でのエンジントルクとステップS2でのエンジン回転数とに対応させて瞬時燃費を求める(ステップS3)。前述したように燃料噴射装置6は、噴射時間によって燃料の噴射量を制御しているので、その噴射時間に基づいて燃料量を知ることができ、したがってこれにエンジン回転数およびエンジントルクに基づく出力を加味して演算することにより、瞬時燃費を求めることができる。
【0032】
このようにして求めた燃費が正常か否かが判断される(ステップS4)。すなわちステップS3で得られた燃費が、エンジン1を通常の状態で動作させた場合には生じない燃費を示している否かが判断される。誤信号や異常状態に基づく補正を回避するためである。したがって、このステップS4で否定的に判断された場合には、警告のための表示をするなどの異常処理(ステップS5)をおこなってリターンする。
【0033】
これに対してステップS4で肯定的に判断された場合には、燃費率マップおよび最適燃費線が作成される(ステップS6)。これは、前述した図3に示す等燃費率線および燃費最適線を作成するのと同様にしておこなうことができ、エンジントルクとエンジン回転数とをパラメータとするマップ上の、これらのパラメータで定まる点に燃費率をプロットし、燃費率の等しい点を曲線で結んで等燃費率線を作成する。そして、その等燃費率線と等出力線との交点で燃費が最小となる点を結んで最適燃費線を作成する。
【0034】
このようにして新たに作成した最適燃費線と既に記憶して保持している最適燃費線とを比較し、偏差の有無が判断される(ステップS7)。この判断は、最適燃費線の全体での偏差の有無を判断することによりおこなっても良く、あるいは走行中に使用される頻度の高い所定の領域もしくは運転点(判定点)における偏差の有無を判断しても良く、さらには偏差が予め定めた閾値を越えた場合、もしくはその回転数が所定回数を超えた場合に偏差があることを判断するようにしても良い。このいわゆる超過回数の判定は、データの信頼性を確認するための制御である。
【0035】
このステップS7で否定的に判断された場合、すなわち既に記憶して保持している最適燃費線と新たに作成した最適燃費線とに特別な相違がない場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これに対して既に記憶して保持している最適燃費線と新たに作成した最適燃費線とに相違が認められることによりステップS7で肯定的に判断された場合には、最適燃費線が変更される(ステップS8)。すなわち新たに作成された最適燃費線が、既に記憶して保持されていた最適燃費線に替わって、エンジン1の運転状態を決定するための情報として採用される。
【0036】
このようにして置換された最適燃費線および等燃費率線とを、図3に鎖線で示してある。なお、図3において、実線は変更される前の旧最適燃費線および旧等燃費率線を示す。図3に示す例では、最適燃費線が高トルク側に変更されるから、新たな最適燃費線に従ってエンジン1の運転状態を決定することにより、エンジン1あるいは車両の運転状態は、駆動トルクが増大する方向に補正されることになる。また、併せて、エンジン1の実際の特性を反映した最適燃費線に基づく運転状態が設定されるから、最適燃費線上の運転点からのズレが解消されて燃費が向上する。
【0037】
なお、上記の図1に示すいわゆる補正制御は、エンジン1を運転している場合に常時おこなうこととしても良いが、これに替えて、エンジン1の累積運転時間あるいはエンジン1を搭載している車両の累積走行距離が予め定めた基準値を超えた場合、あるいはその車両の定期点検の際などの一定期間毎に実行することとしても良い。
【0038】
また、この発明では、エンジン1の実際の特性を反映させて、最適燃費でエンジン1を運転するようにエンジン1の運転状態を設定できればよいのであり、上述した最適燃費線の変更を伴わない補正制御をおこなうように構成しても良い。例えば、旧最適燃費線に従って決定した運転状態と新最適燃費線に従って決定した運転状態との偏差を、上述した最適燃費線の作成と同様の手法によって求め、その偏差を補正係数として記憶するとともに、旧最適燃費線に基づいて決定される運転状態(エンジントルクやエンジン回転数)をその補正係数で補正することとしても良い。
【0039】
さらに、上述した例は、車両の走行中にエンジン1の運転状態とそれに応じた燃費率とを検出し、その検出結果に基づいて新たに最適燃費線を求める例であるが、この発明では、これに替えて、エンジントルクやエンジン回転数を予め定めた量だけ意図的に変化させるとともに、その場合の燃費率を測定し、得られた燃費率が従前のものより小さければ、その変化させた運転状態を最適燃費線上の運転状態として採用し、あるいは意図的な変化量だけ最適燃費線を変更するように構成しても良い。
【0040】
運転状態を上記のように意図的に変更して最適燃費線の評価および変更をおこなう制御例を次に説明する。図4はその制御例を示すフローチャートであり、先ず、最適燃費線の検討の時期か否かが判断される(ステップS11)。エンジン1の燃費特性が変化するとしても、その変化はかなり緩慢であるから、最適燃費線の適否の検討の頻度は低くてよい。例えば走行距離が5000kmになる毎、もしくはその走行距離に相当するエンジン1の運転時間毎などに最適燃費線の適否の検討をおこなえばよい。ステップS11ではそのような時間間隔の検討時期が到来したか否かが判断される。
【0041】
このステップS11で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これとは反対に、ステップS11で肯定的に判断された場合には、最適燃費線Bに切り替える(ステップS12)。図5は最適燃費線の数例を示しており、実線はその時点で実際に使用されている最適燃費線Aを示している。これに対して最適燃費線Bは、運転点を、最適燃費線Aによる運転点よりも低回転数・高トルク側に所定量ずらせるように設定した仮の最適燃費線である。また、最適燃費線Cは、運転点を、最適燃費線Aによる運転点よりも高回転数・低トルク側に所定量ずらせるように設定した仮の最適燃費線である。ステップS12では、それらの仮の最適燃費線のうち、例えば最適燃費線Bを採用する。
【0042】
その最適燃費線Bを使用してエンジン1の運転点を決定し、燃費率を計測する(ステップS13)。その計測は、最適燃費線Aにおける所定の点A1 ,A2 ,A3 ,A4 と等出力の最適燃費線B上の点B1 ,B2 ,B3 ,B4 についておこなう。全ての運転点について燃費率を計測しなくても最適燃費線の評価をおこなうことができるからである。また、瞬間毎の燃費率にはバラツキがあるから、計測した値の平均値を計測値として採用する。なお、燃費率は、前述したように、燃料の噴射時間やエンジン1の出力などに基づいて演算して求めればよい。
【0043】
こうして得られた燃費率が明らかに悪化しているか否かが判断される(ステップS14)。これは、最適燃費線Bに基づく運転点に変更することに伴う燃費率の増大量が、予め定めた値以上であるか否かを判断することによりおこなうことができる。
【0044】
このステップS14で肯定的に判断された場合には、運転点を決める最適燃費線が、当初の最適燃費線Aに戻される(ステップS15)。燃費の悪化を避けるためである。
【0045】
これとは反対にステップS14で否定的に判断された場合には、最適燃費線Bに基づいて運転点を設定して走行した際の燃費の判定時期か否かが判断される(ステップS16)。前述したように、各瞬間毎の燃費率にはバラツキがあって、燃費率のいわゆる瞬間値によって最適燃費線の適否を判断できない。そこで、ある程度の期間、燃費率の計測を継続し、ステップS16ではその期間が到来したか否かを判断する。なお、その期間は適宜に設定することができ、例えば走行距離が1000kmに達した時点、あるいはエンジン1の運転時間がこれに相当する時間に達した時点とすればよい。したがって、このステップS16で否定的に判断された場合には、燃費率の計測を継続するために、ステップS13に戻る。
【0046】
これに対して、ステップS16で肯定的に判断された場合には、燃費が向上したか否かが判断される(ステップS17)。すなわち計測して得られた最適燃費線Bに基づく運転点での燃費率が、当初の最適燃費線Aに基づく燃費率より良いか否かが判断される。このステップS17で否定的に判断された場合には、検討のために仮に使用した最適燃費線Bに基づいてエンジン1の運転点を決定すると、燃費が悪化することになるので、エンジン1の運転点を決めるために使用する最適燃費線が、当初の最適燃費線Aに戻される(ステップS15)。
【0047】
これとは反対にステップS17で肯定的に判断された場合には、検討のために仮に使用した最適燃費線Bに基づいてエンジン1の運転点を決定すると、燃費が向上することになるので、エンジン1の運転点を決めるために使用する最適燃費線として、仮に使用して最適燃費線Bが採用される(ステップS18)。すなわちステップS12で仮に採用した最適燃費線Bがそのまま使用される。
【0048】
なお、上記の例は、最適燃費線の検討のために運転点を低回転数・高トルク側に変更する例であるが、これとは反対に仮の最適燃費線として図5に示す最適燃費線Cを採用し、運転点を高回転数・低トルク側に変化させてもよい。
【0049】
したがって上記の図4に示す制御を実行するこの発明の制御装置によれば、エンジン1あるいはこれを搭載している車両の個体差や経時変化によって、燃費特性が想定したものと異なっても、想定した燃費特性との相違を考慮もしくは含んだ最適燃費線を設定し、かつそれに基づいた燃費の良好な運転が可能になる。また、最適燃費線の検討のために仮に使用する最適燃費線として、燃費およびドライバビリティを考慮したものを予め用意しておけば、誤判定による燃費やドライバビリティの極端な悪化を避けることができる。
【0050】
ここで、この発明と上記の具体例との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS1ないしステップS3およびステップS6の機能的手段および図4に示すステップS12およびステップS13の機能的手段が、この発明の燃費情報取得手段に相当し、また図1に示すステップS8の機能的手段および図4に示すステップS15およびステップS17ならびにステップS18の機能的手段が、この発明の補正手段に相当する。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、燃費が最小となる内燃機関の運転状態を決める情報が、その内燃機関を実際に運転して得られた情報に基づいて決定されるので、言い換えれば、内燃機関の運転状態を燃費が最小となるように決定するための情報を内燃機関を実際に運転した結果から得るので、その内燃機関の個体差や経時変化などによる特性を反映した制御が可能になり、その結果、燃費を向上させ、あるいは燃費の悪化を防止することができる。そして、内燃機関の運転状態を、従前の情報に基づく運転状態とは異ならせ、その結果、燃費が向上した場合には、その異ならせた運転状態を与える燃費に関する情報を、運転状態を決定するために使用する新たな情報とするので、運転状態を決定するために使用される情報が更新されることに伴って、内燃機関の個体差や経時変化などを反映した燃費の良い内燃機関の運転が可能になる。
【0052】
また、請求項2の発明によれば、上記の請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る制御装置で実行される制御例を示すフローチャートである。
【図2】 この発明で対象とするエンジンを含む駆動系統およびその制御系統を示す模式図である。
【図3】 最適燃費線および等燃費率線の例を示す線図である。
【図4】 この発明に係る制御装置で実行される他の制御例を示すフローチャートである。
【図5】 図4に示す制御例で使用する仮の最適燃費線の例を示す線図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…無段変速機、 8,9…電子制御装置。
Claims (2)
- 内燃機関の運転状態を予め用意した燃費に関する情報を利用して決定するように構成された内燃機関の制御装置において、
前記情報とは異なる燃費に関する情報を利用して運転状態を決定するとともにその決定された運転状態で前記内燃機関を運転し、かつその運転の際の燃費に関する情報を運転状態と関連させて取得する手段であって、予め定められている最適燃費線による運転点よりも低回転数・高トルク側もしくは高回転・低トルク側に所定量ずらせた仮の最適燃費線による運転点、もしくは予め定められている最適燃費線による運転点よりも低回転数・高トルク側もしくは高回転・低トルク側に所定量ずらせた仮の最適燃費線による運転点で前記内燃機関を運転した場合の燃費に関する情報を運転状態に関連させて取得する燃費情報取得手段と、
前記予め用意した燃費に関する情報による燃費と前記燃費情報取得手段で取得された情報による燃費とを比較し、燃費の良い方の情報を前記運転状態を決定するための情報として採用する補正手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記補正手段は、予め定めた期間が経過する毎に前記補正を行い、もしくは前記情報の採用を行うように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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JPS59122760A (ja) * | 1982-12-29 | 1984-07-16 | Nissan Motor Co Ltd | 自動車用電子制御装置 |
JP2000250603A (ja) * | 1999-03-02 | 2000-09-14 | Yamaha Motor Co Ltd | 総合特性最適化方法 |
JP2001214798A (ja) * | 1999-12-03 | 2001-08-10 | Robert Bosch Gmbh | ドライバ・タイプの決定方法および装置 |
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