JP4499641B2 - 交流負荷装置 - Google Patents

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本発明は、直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とによる交流電圧を出力するインバータの負荷特性試験を行う交流負荷装置に関する。
各種の電池やコンデンサ等を含む直流電圧を出力する電源装置の負荷試験を行う為の電子負荷装置は、既に各種の構成が知られている。例えば、図5に示すように、電子負荷装置51は、制御回路52とトランジスタ53と抵抗R1,R2と演算増幅器54とを含む構成を有し、端子55,56に、電池やコンデンサ等の直流電圧を出力する被試験電源装置57を接続する。端子55,56間のVinは被試験電源装置57の出力電圧を示す。この電子負荷装置51は、トランジスタ53と電流検出用の抵抗R1とを端子55,56間に接続し、抵抗R1の両端の電流検出用電圧Vrを、抵抗R2を介して演算増幅器54にフィードバックし、制御回路52により設定した電圧と比較し、その差分に相当する電圧をトランジスタ53のベースに印加する。それにより、被試験電源装置57からの電流Iinが電子負荷装置51に流れ込むことになる。
この被試験電源装置57から電子負荷装置51に流れる電流Iinは、制御回路52により設定した電圧に従った定電流となるから、被試験電源装置57に対する定電流負荷特性を試験することができる。なお、Vceはトランジスタ53のコレクタ・エミッタ間電圧を示す。この電子負荷装置51の端子55,56間では、被試験電源装置57からの電流Iinに対応した電圧Vce,Vrが生じる。従って、この電圧降下分の為に、被試験電源装置57の端子電圧が零となるまで電流Iinを電子負荷装置51に流すことができないものであり、例えば、この電圧降下分を補償する為のバイアス電源を、トランジスタ53と端子55との間に接続することも知られている(例えば、特許文献1参照)。又制御回路52に端子55,56間の被試験電源装置57の電圧を入力し、この電圧が設定値となるように、演算増幅器54を介してトランジスタ53を制御し、被試験電源装置57の定電圧特性の負荷試験を行うこともできる。
又交流電圧を出力する電源装置の負荷試験を行う為の交流負荷装置は、交流電圧の正負極性対応の前述の電子負荷装置を2台、直列的に接続した構成が一般的である。その場合に、図5に示す構成を適用した場合、一方と他方との2個のトランジスタのエミッタ間をそれぞれ電流検出用の抵抗を介して直列に接続し、各トランジスタと並列にバイパス用のダイオードを接続し、交流電圧の一方の極性の期間では、一方のトランジスタにより電流を制御し、他方のトランジスタはその電流がバイパス用ダイオードを流れるように構成する。又このバイパス用ダイオードを、内部の寄生ダイオードを利用して、その接続を省略できる電界効果トランジスタにより、一方と他方とのトランジスタとした構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。
又直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とによる交流電圧を出力するインバータは、設定した電圧又は周波数となるように、交流の正負各極性の半周期毎に、それぞれ零クロス点近傍のパルス幅は狭く、且つ半周期内の中心点近傍のパルス幅は広くなるように、スイッチング制御する構成を有するものである。従って、パルス幅を全体的に広くすれば、正負極性の切替えの周期を基本波周期とする出力交流電圧を等価的に高くすることができ、反対に狭くすれば出力交流電圧を等価的に低くすることができる。又正負の半周期の期間を短くするように、正負極性の出力電圧の切替えを制御すれば、出力交流電圧の基本波の周波数を高くすることができる。反対に、正負の半周期の期間を長くするように、正負極性の出力電圧の切替えを制御すれば、出力交流電圧の基本波の周波数を低くすることができる。又インバータは、単相交流電圧のみでなく、3相位相に従ってスイッチング制御することにより、パルス幅制御の3相交流電圧を出力する構成も知られており、又蛍光灯用や交流モータ用等の交流電圧を印加する負荷の特性に対応して既に各種提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−134326号公報 特開2004−325220号公報 特開2005−198378号公報
インバータは、前述のように、正負極性の直流電圧を、出力交流電圧の基本波の周期に従って切替え、且つ正極性と負極性との電圧を、それぞれパルス幅制御により正弦波電圧成分を含むようにスイッチング制御する構成を有するものであり、インバータとしては、正弦波電圧出力型と、パルス幅制御電圧出力型とに大別することができる。一般的に、後者のパルス幅制御電圧出力型の方が廉価であり、比較的大きなインダクタンス成分を有する交流モータ駆動用として、多く使用されている。
又交流電圧を出力するインバータの負荷試験を行う交流負荷装置として、前述の従来例の交流負荷装置は、直流電圧を出力する電源装置の負荷試験を行う電子負荷装置の約2倍の構成部品を含むものであるから、コストアップとなる問題がある。そこで、インバータの出力の交流電圧をダイオードにより整流して、直流電源の付加試験を行う電子負荷装置により負荷試験を行うことが考えられる。しかし、前述の交流モータ駆動用のインバータは、廉価のパルス幅制御電圧出力型の場合、インバータからは数kHz〜数10kHzのスイッチング周波数による高周波パルス電圧が出力されており、全波整流回路を構成するダイオードは、低周波用であるから、高周波パルス電圧に対する応答性が低いことにより、安定な整流出力電圧を得ることが困難である。従って、インバータの出力電圧に対応して、負荷電流を流すことができないことになる。即ち、インバータの負荷試験を正確に行うことが困難である問題がある。
本発明は、比較的簡単な構成により、前述の問題点を解決することを目的とする。
本発明の交流負荷装置は、直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とにより交流電圧を出力するインバータの負荷試験を行う交流負荷装置に於いて、前記インバータのパルス幅制御による出力交流電圧を入力し、該出力交流電圧の基本波成分を通過帯域とするフィルタと、該フィルタの出力電圧を全波整流する全波整流回路と、該全波整流回路の出力の直流電圧を入力し、該直流電圧により流れる直流電流を設定値に従って制御する電子負荷装置とを備えている。
比較的簡単な構成のフィルタを設けて、パルス幅制御によるインバータの出力電圧の高周波成分を除去することにより、全波整流回路を構成するダイオードが低周波用であっても、その応答可能範囲の周波数成分を全波整流することができるから、この整流出力電圧を入力する電子負荷装置により、インバータの負荷試験を行うことが可能となる。
本発明の交流負荷装置は、図1を参照して説明すると、直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とにより交流電圧を出力するインバータの負荷試験を行う交流負荷装置であって、インバータ4のパルス幅制御による出力交流電圧を入力し、この出力交流電圧の基本波成分を通過帯域とする例えばリアクトルLとコンデンサCとを含む構成のフィルタ3と、このフィルタ3の出力電圧を全波整流するダイオード・ブリッジ接続構成等による全波整流回路2と、この全波整流回路2の出力の直流電圧を入力し、この直流電圧により流れる直流電流をインバータ4の負荷試験用の設定値に従って定電流制御特性、定抵抗制御特性で制御する電子負荷装置1とを備えている。
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、定電流特性で、インバータの負荷試験を行う場合の構成を示し、1は電子負荷装置、2はダイオード・ブリッジ接続の全波整流回路、3はコンデンサCとリアクトルLとからなるフィルタ、4はインバータを示す。インバータ4は、交流電圧の基本波の周期に従った正負極性の電圧切替えと、設定した基本波電圧に従ったパルス幅制御とにより、図示のような波形の交流電圧を出力して、交流モータを駆動する構成を有するものである。
このインバータ4の負荷試験を行う交流負荷装置を、図示のように、電子負荷装置1と全波整流回路2とフィルタ3とにより構成する。全波整流回路2は、ダイオード・ブリッジによる全波整流を行う構成を有するものであり、又フィルタ3は、コンデンサCとリアクトルLとにより構成したローパスフィルタであって、インバータ4の出力交流電圧に含まれる高周波成分を除去して、出力交流電圧の基本波成分を通過帯域とする特性を有するものである。従って、このフィルタ4は、コンデンサCとリアクトルLとにより構成した場合を示すが、他の既に知られている各種の構成を適用することができる。
図2は、本発明の実施例1の詳細な説明図であり、図1と同一符号は同一部分を示し、10は交流負荷装置、12は制御回路、13はトランジスタ、14は演算増幅器、15,16は端子、17は電流設定用基準電圧、18,19はインバータ(図示を省略)を接続する端子を示す。トランジスタ13は、バイポーラ型の場合を示すが、電界効果型のトランジスタとすることも可能である。又全波整流回路2は、ダイオードをブリッジ接続した構成を有し、又フィルタ3は、図1に示す場合と同様にコンデンサCとリアクタンスLとから構成した場合を示す。なお、このフィルタ3は、前述のように、基本波成分を通過帯域とする各種のフィルタ構成を適用することができる。
端子18,19に、直流電圧の極性の切替えとパルス幅制御とによるインバータの出力交流電圧を印加すると、フィルタ3により高周波成分が除去されて基本波成分が全波整流回路2に入力され、整流用のダイオードは、この基本波成分に対して充分な応答特性を有するから、インバータの出力交流電圧を安定に整流することが可能であり、従って、インバータの出力交流電圧に対応した全波整流出力を電子負荷装置1の端子15,16に印加することができる。
電子負荷装置1は、制御回路12とトランジスタ13と演算増幅器14と抵抗R1,R2と電流設定用基準電圧17とを含む構成の場合を示し、制御回路12は、図5に示す従来例の制御回路と同様の構成とすることができる。又電流設定用基準電圧17により設定した電圧を制御回路12に入力することにより、インバータの負荷電流を設定する。即ち、トランジスタ13を介して流れるインバータの負荷電流を抵抗R1により検出し、制御回路12から電流設定用基準電圧17の設定電圧値に対応した電圧を演算増幅器14に入力し、抵抗R1の両端の電流検出電圧との差分に対応してトランジスタ13を制御する。従って、トランジスタ13に流れる電流、即ち、インバータの負荷電流を設定値となるように制御することができるから、インバータの定電流負荷試験を行うことができる。
図3は、本発明の実施例2の説明図であり、図1と同一符号は同一名称部分を示し、電子負荷装置1を定抵抗特性となるように制御して、インバータ4の負荷試験を行う場合を示す。即ち、電子負荷装置1の入力電圧を検出し、この入力電圧を基に電子負荷装置1に流れる電流を制御し、インバータ4に対して定抵抗負荷と見做すことができる特性とするものである。インバータ4は、前述のように、直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とによる交流電圧を出力してフィルタ3に入力し、このフィルタ3により高周波成分を除去し、全波整流回路2により全波整流して電子負荷装置1に入力するもので、フィルタ3により高周波成分を除去して、全波整流回路2により安定な全波整流出力電圧を得ることができる。この場合、電子負荷装置1を定抵抗負荷特性として、パルス幅制御の交流電圧を出力するインバータ4の負荷特性を試験することができる。
図4は、本発明の実施例2の電子負荷装置の説明図であり、図2と同一符号は同一部分を示し、20が除算器、R3,R4は抵抗、C1はコンデンサ、Vrefは比較基準電圧を示す。電子負荷装置1の端子15,16間の電圧Vinを制御回路12に入力し、抵抗R3,R4により分圧し、その分圧出力電圧を除算器20により比較基準電圧Vrefにより除算し、その除算出力電圧を演算増幅器14に入力し、又抵抗R1による電流検出電圧を演算増幅器14に入力し、差分に対応した電圧をベースに入力してトランジスタ13を制御する。
抵抗R3,R4による分圧比をnとすると、分圧電圧は、Vin/nとなり、この分圧電圧を除算器20により、Vin/n・A・Vref=Rs・Iinとなる。なお、Aは除算器20の特性による固定値を示し、又Rsは等価抵抗、Iinは電流を示す。即ち、トランジスタ13に、この電流Iinが流れることになり、比較基準電圧Vrefにより等価抵抗Rsを設定して、インバータの負荷試験を、定抵抗特性とした電子負荷装置1により行うことができる。
又電子負荷装置1の端子15,16に入力される電圧Vinと、トランジスタ13に流れる電流Iinとの積が一定となるように、制御回路12によりトランジスタ13を制御する構成として、インバータに対する定電力負荷特性の試験を行うことも可能である。
本発明の実施例1の説明図である。 本発明の実施例1の詳細な説明図である。 本発明の実施例2の説明図である。 本発明の実施例2の電子負荷装置の説明図である。 電子負荷装置の説明図である。
符号の説明
1 電子負荷装置
2 全波整流回路
3 フィルタ
4 インバータ
12 制御回路
13 トランジスタ
14 演算増幅器
15,16 端子
17 電流設定用基準電圧

Claims (1)

  1. 直流電圧の極性切替えとパルス幅制御とにより交流電圧を出力するインバータの負荷試験を行う交流負荷装置に於いて、
    前記インバータのパルス幅制御による出力交流電圧を入力し、該出力交流電圧の基本波成分を通過帯域とするフィルタと、
    該フィルタの出力電圧を全波整流する全波整流回路と、
    該全波整流回路の出力の直流電圧を入力し、該直流電圧により流れる直流電流を、前記インバータの負荷試験用の設定値に従って定電流制御特性、定抵抗制御特性で制御する電子負荷装置と
    を備えたことを特徴とする交流負荷装置。
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