JP4496715B2 - 温度勾配型ホットプレス装置および方法 - Google Patents

温度勾配型ホットプレス装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度勾配型ホットプレス装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスの機械的特性はその微視的構造に大きく影響を受ける。例えば、窒化珪素(Si3N4)は、α母相中に微細な柱状β粒子を析出させることで靭性を向上させている。更に、柱状β粒子の形状異方性を利用して、その長手軸を所望の方向に配向させることで、その方向の強度、靭性、耐摩耗性を改善することができる。このような微視的構造の制御は、通常のホットプレスにおける処理条件の制御による他、異方性粒子を添加した成形用原料を用いた押出し成形やテープキャスティングなどにより行なっている(ホットプレスの例については、特許文献1、2を参照)。
【0003】
しかし、上記従来の方法で所望の配向組織を得るには、下記の点で問題があった。
【0004】
ホットプレスの場合、配向組織の生成は、ホットプレス中に異方性粒子が一旦溶解してから再析出することにより行なわれる。しかし、この溶解・再析出プロセスは原料の調製や処理条件に対して非常に敏感であり、特に温度分布の揺らぎによって再析出の方位が揺らぐため、所望の配向組織を安定して得ることが困難である。
【0005】
また、異方性粒子を成形原料に添加した押出し成形やテープキャスティングの場合、添加する異方性粒子は通常用いる原料粉末よりもサイズが大きい。例えば窒化珪素焼結体の製造に用いる原料粉末は、平均粒径がサブミクロンオーダ以下の微細なα−Si3N4粒子である。これに対して、添加するβ−Si3N4柱状粒子は、α−Si3N4粒子を熱処理してβ転移させたものであり、直径がミクロンオーダ、長さは数十ミクロンに及ぶものもある。焼結過程は出発材料である粉末のサイズに大きく影響を受け、上記のような大きいサイズの異方性粒子を添加した場合は、99%TD以上の密度を得ることが困難である。また、添加用の異方性粒子自体も、健康への影響から工業的な生産は殆どされておらず入手が困難である上、製造プロセスも複雑であるなど、問題点が多い。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−39504号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2002−173375号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、添加するための異方性粒子を別途に必要とせず、配向組織を安定して実現することができる温度勾配型ホットプレス装置および方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ダイス内で対面する上下一対のパンチの各先端面とダイス内壁とで画定される密閉空間に充填した材料を高温下で加圧するホットプレス装置において、
ダイスの下方へ延びた固定式下パンチの軸を加熱する加熱手段、および
ダイスの上方へ延びた可動式上パンチの軸を冷却する冷却手段を備え、
下パンチ先端面を高温端とし、上パンチ先端面を低温端とする、加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下において加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス装置が提供される。
【0009】
本発明の装置においては、加熱手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の加熱ユニットから成り、冷却手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の冷却ユニットから成り、加圧軸を含む境界面に対して、一対のうち一方の加熱ユニットと一対のうち一方の冷却ユニットは互いに同じ側にありかつ他方の加熱ユニットと他方の冷却ユニットは互いに同じ側にあり、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下で加圧を行なうこともできる。
【0010】
更に、本発明によれば、ダイス内で対面する上下一対のパンチの各先端面とダイス内壁とで画定される密閉空間に充填した材料を高温下で加圧するホットプレス方法において、
ダイスの下方へ延びた固定式下パンチの軸を加熱する加熱手段、および
ダイスの上方へ延びた可動式上パンチの軸を冷却する冷却手段を用い、
下パンチ先端面を高温端とし、上パンチ先端面を低温端とする、加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下において加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス方法も提供される。
【0011】
本発明の方法においては、加熱手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の加熱ユニットから成り、冷却手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の冷却ユニットから成り、加圧軸を含む境界面に対して、一対のうち一方の加熱ユニットと一対のうち一方の冷却ユニットは互いに同じ側にありかつ他方の加熱ユニットと他方の冷却ユニットは互いに同じ側にあり、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下で加圧を行なうこともできる。
【0012】
本発明の方法においては、更に、上記境界面に対して互いに同じ側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せによる加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下での加圧と、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下での加圧とを交互に行なうこともできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、ダイスの下方へ延びた固定式下パンチの軸を取り巻く加熱手段およびダイスの上方へ延びた可動式上パンチの軸を取り巻く冷却手段を備え、下パンチ先端面を高温端とし、上パンチ先端面を低温端とする、加圧軸に平行な温度勾配下において加圧を行なうことにより、溶解・再析出プロセスの際に加圧軸に沿って異方性粒子を析出・成長させることができるので、異方性粒子が加圧軸に平行に配向した組織を安定して生成させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、加熱手段および冷却手段を加圧軸に対してそれぞれ2分割して各一対のユニットで構成し、加圧軸を横断する方向の温度勾配下で加圧を行なうことにより、異方性粒子が加圧軸を横断する方向に配向した組織を安定して生成させることができる。
【0015】
更に、加圧軸に平行な温度勾配と加圧軸横断方向の温度勾配とを交互に形成することにより、異方性粒子が加圧軸に平行方向に配向した組織と横断方向に配向した組織との積層組織を生成させることができる。
【0016】
【実施例】
〔実施例1〕
図1に、本発明による温度勾配型ホットプレス装置の構造例を示す。
【0017】
図示した温度勾配型ホットプレス装置10は、全体としてほぼ円筒形をしており、円筒の中心軸Cが加圧軸に対応している。ダイス100内で上パンチ102と下パンチ104が対面しており、これら上下一対のパンチ102、104の各先端面102A、104Aとダイス内壁100Aとで画定される密閉空間に充填した材料Wを高温下で加圧力Fを負荷する。
【0018】
ダイス100と上下パンチ102、104から成るアセンブリを断熱内筒Z1が取り巻き、更にその外側の断熱外筒Z2が装置全体を取り巻いている。
【0019】
下パンチ104は固定式であり、その軸104Sがダイス100の下方へ延びている。軸104Sは、図中で中心軸(加圧軸)Cの左右半分ずつをそれぞれ加熱ユニットとしての誘導加熱コイル106A、106Bから成る加熱器106により加熱される。軸104Sと誘導加熱コイル106A、106Bとの間に介在して軸104Sを取り巻く断熱円筒Z3によって、軸104Sの外周面からの放熱を防止している。これにより軸104S内で発生した熱が先端面104Aを介して材料Wの下端に伝達される。先端面104Aの温度Tbは下方から貫通孔を通してパイロメータにより常時検知され、それに基づいて誘導加熱コイル106A、104Bの出力を制御して先端面104Aの温度を所定値に維持する。誘導加熱コイル106によって直接加熱される軸104Sがサセプタとして機能し、これを介して下パンチ本体104が加熱されるので、下パンチ104の横断面全体に渡って均一な温度分布が安定して得られる。
【0020】
上パンチ102は可動式であり、その下降により加圧を行なう。上パンチ102の軸102Sがダイス100の上方へ延びており、積層された2枚の黒鉛板108A、108Bから成るサセプタ(熱流調整体)108を介して冷却器110に接続している。上パンチ102はサセプタ108を介して抜熱されるので、横断面全体に渡って均一な温度分布が安定して得られる。
【0021】
冷却器110は、図中で中心軸(加圧軸)Cの左右にある一対の冷却ユニットとしての冷却槽110A、110Bから成る。各冷却層110A、110Bにはそれぞれ流入口LI、流出口LOを介して冷媒Lが循環する。冷媒Lとしては通常は水または油を用いる。冷却槽110は、黒鉛板サセプタ108、上パンチ102の軸102S、先端面102Aを介して材料Wの上端から抜熱する。先端面102Aの温度Ttは上方から貫通孔を通してパイロメータにより常時検知される。各冷却層110A、110Bは、それぞれ両頭矢印XA、XBで示すように昇降することができ、それにより冷却槽110A、110Bと黒鉛板サセプタ108との間隔を変えて、サセプタ108を介して抜熱能を変えることができる。上パンチ102の先端面102の温度Ttの制御は、冷媒Lの温度および循環量によって行なう他、上記のように冷却槽110A、110Bの昇降によって行なうことができる。
【0022】
加圧軸Cで紙面に立てた垂直面に対して、誘導加熱コイル106Aと冷却槽110Aは互いに同じ側(図中左側)にあり、誘導加熱コイル106Bと冷却槽110Bは互いに同じ側(図中右側)にある。
【0023】
上記の構成において、下パンチ先端面104Aを高温端とし、上パンチ先端面102Aを低温端とする、加圧軸Cに平行な温度勾配下において加圧を行なうことができる。この場合、一対の加熱ユニット(誘導加熱コイル)106A、106Bを一括して制御することにより下パンチ先端面104A全体を均一な温度分布に維持すると共に、一対の冷却ユニット(冷却槽)110A、110Bも一括して制御することにより上パンチ先端面102A全体を均一な温度分布に維持することにより、加圧軸Cに平行な熱流のみが材料W内を上向きに流れるようにして、材料W内に加圧軸Cに平行な温度分布を形成する。
【0024】
また、同じく上記の構成において、加熱ユニット(誘導加熱コイル)106A、106Bのうち一方(例えば106A)のみを作動させると共に、冷却ユニット(冷却槽)110A、110Bのうち上記作動させる加熱ユニット(106A)に対して加圧軸Cを挟んで反対側の冷却ユニット(この例では110B)のみ作動させることにより、加圧軸Cを横断する方向の温度勾配を形成することができる。
【0025】
焼結過程は、緻密化と粒成長の2段階があり、粒成長段階において温度勾配を付与しつつ保持することにより、温度勾配方向に沿って低温側から高温側への粒子の析出が進行する。これにより1プロセスで異方性粒子が配向した組織を生成することができる。すなわち、加圧軸に平行な温度勾配を用いると、加圧軸に平行な方向に異方性粒子が配向した組織が生成し、加圧軸を横断する方向の温度勾配を用いると加圧軸を横断する方向に異方性粒子が配向した組織が生成する。
【0026】
更に、加圧軸に平行な温度勾配と加圧軸を横断する方向の温度勾配とを交互に用いることにより、加圧軸に平行に異方性粒子が配向した層と加圧軸を横断する方向に異方性粒子が配向した層とが積層した組織を得ることができる。このようにして、配向方向の異なる層が連続した組織を生成させることができる。これにより以下の利点が得られる。
【0027】
すなわち、配向焼結体の微視的組織として最も望ましい典型的な組織の1つは、表面部では表面に垂直な配向として耐摩耗性を確保し、内部では表面と平行な方向に配向として曲げ強度・靭性を向上させることである。従来法では、それぞれの配向組織を有する成形体を重ねて焼結することにより上記組織の焼結体と得ていたが、プロセスが煩雑である上、積層面が不連続面として存在し、この部分から破壊が生じ易いと欠点が避けられなかった。本発明によれば、前述のように焼結プロセス中に温度勾配方向を変えることにより各配向層間に不連続面がなく連続した一体の焼結体を得ることができるので、上記従来のような問題を生じることなく、表面配向組織による耐摩耗性と内部配向組織による曲げ強度・靭性とを兼備した焼結体を得ることができる。
【0028】
また、本発明のホットプレス装置は以下の点で従来装置に比べて有利である。
【0029】
従来、一般にホットプレス装置は油圧シリンダを下側に配した下押し方式を採っている。この方式の場合、材料の焼結過程での収縮に伴い下パンチが上方に移動する。このとき材料(焼結体)が下側にある加熱源から遠ざかり温度が低下してしまう。本発明のホットプレスでは、上パンチを可動式、下パンチを固定式としたのことにより、従来のような温度低下が起きない。
【0030】
ホットプレスでは、ダイスにはプレス圧に耐えるための強度が要求される。また同時に、特にセラミックスの場合、焼結温度として2000℃以上を必要とする場合が多い。例えば、下パンチとは別体の円筒サセプタを下方に配して、その加熱により下パンチを加熱する形態とすると、焼結体と入熱部(サセプタ)との距離が大きく、焼結体を2000℃以上に加熱するには、入熱部の温度を4000℃以上にしなければならず、現実性がない。本発明においては、下パンチの軸自体を加熱する構造とすることができるので、焼結体と入熱部とを近づけることが可能であり、入熱部を3000℃以下に抑制しながら焼結体の最高到達温度2000℃以上を実現できる。
【0031】
また、冷却手段を上部に配置したのでパンチ軸とは独立に昇降可能とすることができ、これによりサセプタとの間隔を変えて抜熱能を変えることにより、材料上端温度Ttを変えることができる。冷却手段を下部に配置すると、昇降可能な構造とすることが困難である。
【0032】
〔実施例2〕
図2に示す種々の形態のホットプレス装置について到達可能な温度と温度勾配を調べた。
【0033】
形態(i)は下パンチの本体104と下方の軸104Sとが別体であり、ダイス100の寸法はφ150mm×L150mmであり、形態(ii)〜(iv)は下パンチ104と下方の軸104Sと一体である。そのうちで、形態(ii)は図1に示した構造であり、ダイス寸法は形態(i)と同じφ150mm×L150mmであり、これに対して、形態(iii)はダイス100の径を大きく高さを小さく(φ250mm×L100mm)して、上パンチ上端から下パンチ下端までの距離を小さくしてあり、形態(iv)はダイス100の材質を(i)〜(iii)の等方性黒鉛焼結体からC/Cコンポジットに変更してあり、それ以外は形態(iii)と同じ構造である。
【0034】
焼結素材Wとしてα−Si34粉末に焼結助剤として5mass%のY23粉末と2mass%のAl23粉末を加えた混合粉末を用いた。プレス圧は40MPaとした。得られた温度および温度勾配を図3にまとめて示す。
【0035】
形態(i)は、下パンチ104とサセプタとしての軸104S’とが別体であり、両者間での熱伝達ロスが大きいため、上下パンチの各先端面における到達温度(Tt、Tb)がいずれも最も低く、両先端面の温度差も小さいため温度勾配TGも最も小さい。
【0036】
形態(ii)は、下パンチ104とサセプタとしての軸104Sとを一体としたことにより、形態(i)に比べて両者間での熱伝達ロスが低減し、上下パンチの各先端面温度(Tt、Tb)および温度勾配(TG)がともに上昇している。
【0037】
形態(iii)は、ダイス全高を小さくし、材料Wを加熱源106に近づけたことにより、上下パンチの各先端面温度(Tt、Tb)および温度勾配(TG)が更に上昇している。ただし、温度上昇に見合うだけのダイス強度を確保するためにダイス径を大きくした結果、ダイス内周単位面積当たりの熱容量(体積)が大きくなり、ダイス径方向への抜熱量が大きくなる点で不利である。
【0039】
〔実施例3〕
実施例2において到達温度(Tt、Tb)および温度勾配(TG)が共に最高値であった形態(iv)のホットプレス装置を用いて焼結実験を行なった。
【0040】
焼結素材Wとしてα−Si34粉末に焼結助剤として5mass%のY23粉末と2mass%のAl23粉末を加えた混合粉末を用いた。プレス圧は40MPaとした。
【0041】
焼結処理における温度サイクルは、表1(a)〜(d)に示すように加熱手段(106:106A/106B)と冷却手段(110:110A/110B)の作動形態組合せを変えることにより、図4(a)〜(d)に示す4種類とした。
【0042】
【表1】
Figure 0004496715
【0043】
条件(a)は、一対の誘導加熱コイル106A、106Bを同じ出力で共に作動させ、一対の冷却槽110A、110Bを両方とも上昇させて黒鉛板サセプタ108から十分に離した位置に置き、加圧軸C方向の温度勾配を無くした。
【0044】
条件(b)は、液相が生成する温度までは条件(a)と同様に昇温し、その後は一対の冷却槽110A、110Bを両方とも降下させて黒鉛板サセプタ108に密着させて加圧軸C方向の温度勾配を形成した。
【0045】
条件(c)は、液相生成までは条件(a)と同様に昇温し、その後は一対の誘導加熱コイルのうち106Aのみを引き続き作動させて106Bは停止すると共に一対の冷却槽のうち110Bのみを黒鉛板サセプタ108に引き続き密着させ110Aは上昇させて十分に離したことにより、加圧軸Cに垂直な方向の温度勾配を形成した。
【0046】
条件(d)は、条件(b)で焼結前半を行い、焼結後半は条件(c)とした。
【0047】
図5(a)〜(d)に、上記各条件で作製した窒化珪素焼結体の微視的組織のスケッチを示す。
【0048】
条件(a)では、均熱状態で焼結を行なったので、柱状β−Si34がランダムに絡み合った組織が得られた。
【0049】
条件(b)では、液相が生成した後に加圧軸C方向の温度勾配を付与したことにより、高温部の下部で溶解したSi34粒子が低温部の上部に存在する粒子に析出し、これが温度勾配に沿って過飽和度の高い方から低い方へ向かって連続的に起こることで、β−Si34粒子が加圧軸C方向に配向した組織が得られた。
【0050】
条件(c)では、条件(d)と同様の理由により、ただし加圧軸Cに垂直な方向にβ−Si34粒子が配向した組織が得られた。
【0051】
条件(d)では、焼結前半に形成された層(図の上部)はその期間に付与されていた加圧軸C方向の温度勾配に沿った配向組織であり、焼結後半に形成された層(図の下部)はその期間に付与されていた加圧軸Cに垂直な温度勾配に沿った配向組織であり、温度勾配の方向が切り替わる期間に形成された中間層は無配向のランダム組織であった。
【0052】
いずれの焼結体も、理論密度に対して99.5%TD以上の密度であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、添加するための異方性粒子を別途に必要とせず、配向組織を安定して実現することができる温度勾配型ホットプレス装置および方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による温度勾配型ホットプレス装置の望ましい構造例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による温度勾配型ホットプレス装置の種々の形態(i)〜(iv)を示す断面図である。
【図3】図3は、図2の各形態(i)〜(iv)により達成された上下パンチの各先端面の到達温度および温度勾配を比較して示すグラフである。
【図4】図4は、図2の形態(iv)の装置を用いた焼結実験における種々の温度サイクル(a)〜(d)を示すグラフである。
【図5】図5は、図4の各温度サイクル(a)〜(d)により作製した窒化珪素焼結体の微視的組織を示すスケッチである。
【符号の説明】
10…温度勾配型ホットプレス装置
100…ダイス
102…上パンチ
102A…上パンチ先端面
102S…上パンチ軸
104…下パンチ
104A…下パンチ先端面
104S…下パンチ軸
106…加熱手段(誘導加熱コイル対)
106A、106B…誘導加熱コイル
108…黒鉛サセプタ(2層黒鉛板)
108A、108B…黒鉛板
110…冷却手段(冷却槽対)
110A、110B…冷却槽
W…材料
Z1、Z2、Z3…断熱円筒
C…加圧軸
F…加圧力
Tt…上パンチ先端面温度
Tb…下パンチ先端面温度
L…冷媒
LI…冷媒流入口
LO…冷媒流出口

Claims (5)

  1. ダイス内で対面する上下一対のパンチの各先端面とダイス内壁とで画定される密閉空間に充填した材料を高温下で加圧するホットプレス装置において、
    ダイスの下方へ延びた固定式下パンチの軸を加熱する加熱手段、および
    ダイスの上方へ延びた可動式上パンチの軸を冷却する冷却手段を備え、
    下パンチ先端面を高温端とし、上パンチ先端面を低温端とする、加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下において加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス装置。
  2. 請求項1において、加熱手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の加熱ユニットから成り、冷却手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の冷却ユニットから成り、加圧軸を含む境界面に対して、一対のうち一方の加熱ユニットと一対のうち一方の冷却ユニットは互いに同じ側にありかつ他方の加熱ユニットと他方の冷却ユニットは互いに同じ側にあり、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下で加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス装置。
  3. ダイス内で対面する上下一対のパンチの各先端面とダイス内壁とで画定される密閉空間に充填した材料を高温下で加圧するホットプレス方法において、
    ダイスの下方へ延びた固定式下パンチの軸を加熱する加熱手段、および
    ダイスの上方へ延びた可動式上パンチの軸を冷却する冷却手段を用い、
    下パンチ先端面を高温端とし、上パンチ先端面を低温端とする、加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下において加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス方法。
  4. 請求項において、加熱手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の加熱ユニットから成り、冷却手段が、加圧軸に対して対称に配置され別個に制御可能な一対の冷却ユニットから成り、加圧軸を含む境界面に対して、一対のうち一方の加熱ユニットと一対のうち一方の冷却ユニットは互いに同じ側にありかつ他方の加熱ユニットと他方の冷却ユニットは互いに同じ側にあり、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下で加圧を行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス方法。
  5. 請求項において、上記境界面に対して互いに同じ側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸に平行な温度勾配成分の存在下での加圧と、該境界面を挟んで互いに反対側にある加熱ユニットと冷却ユニットの組合せにより加圧軸を横断する方向の温度勾配成分の存在下での加圧とを、交互に行なうことを特徴とする温度勾配型ホットプレス方法。
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