JP4489416B2 - ジホスフィン化合物を配位子とする遷移金属錯体 - Google Patents

ジホスフィン化合物を配位子とする遷移金属錯体 Download PDF

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Description

本発明は種々の不斉合成反応に有用な触媒となり得る、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とした遷移金属錯体に関する。
遷移金属に光学活性ホスフィンを配位させた触媒を用いる不斉還元、不斉異性化等において、光学活性ホスフィンとして2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(以下、BINAPと省略することもある)が汎用されているものの、基質の種類によっては反応性、立体選択性、触媒効率等の点で十分ではないため、種々の光学活性ホスフィンが製造され報告されている(例えば、非特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、2,2'-ビス(ジ(p-トルイル)ホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを配位子としたルテニウム錯体が炭素-炭素二重結合の不斉還元において有用であることが記載され、特許文献2には、2,2'-ビス(ジ(3,5-ジアルキルフェニル)ホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを配位子としたルテニウム錯体がβ-ケトエステルの不斉還元において有用であることが記載されている。
しかしながら、これらの遷移金属触媒を用いる反応において、反応基質によっては光学選択が不十分である場合がある。
特開昭61-63690号公報 特開平3-255090号公報 Handbook of Enantioselective Catalysis with Transition Metal Compounds, VCH 出版社発行,1993年
本発明は、種々の不斉合成反応において、反応基質の選択性および転化率に優れ、反応持続性のある新規な遷移金属錯体を提供する。
本発明者らは、下記の構造式で表される2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(以下、化合物(I)と略記する)
Figure 0004489416

を配位子とする遷移金属錯体が不斉合成反応、特に不斉還元反応において、反応基質の選択性および転化率に優れていることを見出し、これらに基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
〔1〕2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体、
〔2〕遷移金属がロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケルまたは銅である前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔3〕遷移金属がロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウムまたはニッケルである前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔4〕遷移金属がロジウムである前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔5〕遷移金属がルテニウムである前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔6〕Ru(L)(AcO)2 〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、Acはアセチルを示す。〕で表される前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔7〕Ru(L)Cl2 〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを示す。〕で表される前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔8〕Ru(L)Cl2(dmf)n 〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミドを示す。〕で表される前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔9〕[Rh(L)(cod)]OTf〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、codは1,5-シクロオクタジエン、Tfはトリフルオロメチルスルホニルを示す。〕で表される前記〔1〕記載の遷移金属錯体、
〔10〕式:
Figure 0004489416
〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、R'はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体の存在下、還元反応を行うことを特徴とする、式:
Figure 0004489416
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法、
〔11〕式:
Figure 0004489416
〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、R''は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、遷移金属錯体の存在下、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒およびアミド系溶媒から選ばれる溶媒中あるいはこれら二種以上の混合溶媒中で還元反応を行うことにより、式:
Figure 0004489416
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩を得、さらに無機塩基の存在下で環化反応を行うことを特徴とする式:
Figure 0004489416
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法、
〔12〕式:
Figure 0004489416
〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を、*は不斉炭素の位置を示す。〕で表される化合物が
Figure 0004489416
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕または
Figure 0004489416
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表される光学活性化合物である前記〔11〕記載の製造法、
〔13〕式:
Figure 0004489416
〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、R''は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を、*は不斉炭素の位置を示す。〕で表される化合物が、
Figure 0004489416
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕または、
Figure 0004489416
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表される光学活性化合物である前記〔11〕記載の製造法、
〔14〕R''が塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である前記〔11〕記載の製造法、
〔15〕無機塩基がアルカリ金属の炭酸塩である前記〔11〕記載の製造法、
〔16〕還元反応を行う溶媒がアルコール系溶媒である前記〔11〕記載の製造法、
〔17〕遷移金属錯体が2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体である前記〔11〕記載の製造法、
〔18〕式:
Figure 0004489416
〔式中、R3は水素原子または置換基を有していてもよいアルキルを示す。〕で表される化合物またはその塩を、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体の存在下、式:R4-R'''〔式中、R4は置換基を有していてもよいフェニル、R'''は脱離基を示す。〕で表される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする式:
Figure 0004489416
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法等に関する。
化合物(I)は、(R)体、(S)体および(R)体と(S)体の混合物(両者の比率は限定しない)が含まれるが、光学活性体であるものが好ましい。
化合物(I)の製造法を以下に示す。
Figure 0004489416
〔式中Xは臭素、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等の脱離基を示す〕
化合物(II)は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、33巻、3690頁、1968年記載の方法に従って製造することができる。
化合物(III)は、化合物(II)を塩化セリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化リチウムアルミニウムの存在下で反応させることで製造できる。
塩化セリウムの使用量は、化合物(II)1モルに対して約1ないし6モル、好ましくは約3ないし5モルである。
水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、化合物(II)1モルに対して約2ないし10モル、好ましくは約3ないし5モルである。
水素化リチウムアルミニウムの使用量は、化合物(II)1モルに対して約0.25ないし5モル、好ましくは約1ないし3モルである。
前記反応は、不活性な有機溶媒中で行うことができる。該有機溶媒としては、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサンなど)、アミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなど)、芳香族炭化水素系溶媒(例、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼンなど)、エーテル系溶媒(例、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなど)、リン酸アミド系溶媒(例、ヘキサメチルリン酸アミドなど)等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、また混合溶媒として用いてもよい。好ましい溶媒はエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などである。さらに好ましくはエーテル系溶媒(例、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなど)である。
該反応における反応温度は、約-20ないし50℃、好ましくは約-10ないし35℃である。該反応における反応時間は、約1ないし48時間、好ましくは約1ないし20時間である。
化合物(IV)は、自体公知の方法、例えばテトラへドロンレターズ,31巻,985頁,1990年、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,58巻,1945頁,1993年等に記載の方法に従って製造できる。このようにして得られる化合物(IV)は、単離せずに反応混合物として、化合物(III)との反応に用いてもよい。
化合物(I)は、化合物(III)と化合物(IV)とを、アミンおよびニッケル触媒存在下、溶媒中で反応させることで製造できる。
用いられる「アミン」としては、例えば、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(略称:DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ(n-プロピル)アミン、トリ(n-ブチル)アミン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン(略称:DBU)、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルアニリン、1,4-ジメチルピペラジン、1-メチルピペリジン、1-メチルピロリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、ジエチルアミンなどのアミン類が挙げられる。このうち好ましくは1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの3級アミンである。特に好ましくは、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンである。
用いられる「ニッケル触媒」としては、NiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィノC1-4アルカン、NiBr2、NiCl2、NiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィニルフェロセン、NiCl2・ビス(トリフェニルホスフィン)、Ni・テトラキストリフェニルホスフィン、Ni・テトラキストリフェニルホスファイト、Ni・ジカルボニルビス(トリフェニル)ホスフィン、NiBr2・ビス(トリフェニルホスフィン)、Ni・ビス(1,5-シクロオクタジエン)、Ni・ビス(シクロペンタジエニル)、Ni・ビス(エチルシクロペンタジエニル)、NiCl2・ジメトキシエタン、Ni(BF4)2またはNi(PF3)4などが挙げられる。なかでも、NiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィノC1-4アルカン、NiBr2、NiCl2、NiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィニルフェロセン、NiCl2・ビス(トリフェニルホスフィン)、Ni・テトラキストリフェニルホスフィン、Ni・テトラキストリフェニルホスファイトまたはNi・ジカルボニルビス(トリフェニル)ホスフィンなどが好ましい。とりわけ、NiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィノC1-4アルカンなどが好ましく、特にNiCl2・ビス(ジフェニル)ホスフィノエタンが好ましい。
化合物(III)の使用量は、化合物(IV)1モルに対して約2ないし5モル、好ましくは約2ないし3モルである。
アミンの使用量は、化合物(IV)1モルに対して約2ないし10モル、好ましくは約2ないし8モルである。
ニッケル触媒の使用量は、化合物(IV)1モルに対して約0.01ないし10モル、好ましくは約0.05ないし1モルである。
前記反応は、不活性な有機溶媒中で行うことができる。該有機溶媒としては、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサンなど)、アミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなど)、芳香族炭化水素系溶媒(例、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼンなど)、脂肪族エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルなど)、エーテル系溶媒(例、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素類など)、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノールなど)、ケトン系溶媒(例、アセトン、エチルメチルケトンなど)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、リン酸アミド系溶媒(例、ヘキサメチルリン酸アミドなど)等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、また混合溶媒として用いてもよい。好ましい溶媒はアミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、リン酸アミド系溶媒などである。さらに好ましくはアミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)である。
該反応における反応温度は、約30ないし180℃、好ましくは約80ないし120℃である。該反応における反応時間は、約1ないし240時間、好ましくは約24ないし168時間である。
生成物は常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
本発明の遷移金属錯体における「遷移金属」とは、例えば、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル、銅等が挙げられる。なかでもロジウム、ルテニウムが好ましい。
本発明の遷移金属錯体は、公知の方法に従って製造することができる。
例えば、ロジウム錯体を製造する場合、日本化学会編(丸善)「第4版実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、341〜344頁、1991年に記載の方法に従い、化合物(I)をビス(シクロオクタ-1,5-ジエン)ロジウム(I)テトラフルオロホウ酸塩と反応させることにより製造することができる。
ルテニウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー(J.Chem.Soc.,Chem. Commun.)、922頁、1988年に記載の方法に従い、化合物(I)と〔Ru(cod)Cl2n とを、トルエン溶媒中トリエチルアミンの存在下、加熱還流することにより製造することができる。また、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー(J.Chem.Soc.,Chem. Commun.)、1208頁、1989年に記載の方法に従って、化合物(I)と〔Ru(p-cymene)I2 2 とを、塩化メチレンとエタノール中で加熱撹拌することにより製造することができる。
イリジウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・オルガノメタル・ケミストリー(J.Organomet.Chem.)、第428巻、213頁、1992年に記載の方法に従って、化合物(I)と〔Ir(cod)(CH3 CN)2 〕BF4 とを、テトラヒドロフラン中にて攪拌下に反応させることにより製造することができる。
パラジウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、第113巻、9887頁、1991年に記載の方法に従って、化合物(I)とπ-アリルパラジウムクロリドを反応せしめることにより製造することができる。
ニッケル錯体を製造する場合、日本化学会編(丸善)「第4版実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、376頁(1991年)に記載の方法に従って、化合物(I)と塩化ニッケルとを、溶媒存在下に、加熱、攪拌することにより製造することができる。
銅錯体を製造する場合、日本化学会編(丸善)「第4版実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、444頁(1991年)に記載の方法に従って、化合物(I)と塩化銅(I)を反応せしめることにより製造する。
ロジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる(以下の遷移金属錯体の式中、Lは本発明の化合物(I)、codは1,5-シクロオクタジエン、Tfはトリフルオロメチルスルホニル、nbdはノルボルナジエン、Phはフェニル、Acはアセチル、Etはエチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミド、enはエチレンジアミン、dpenは1,2-ジフェニルエチレンジアミン、daipenは1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソプロピル-1,2-エチレンジアミン、nは1以上の数を示す)。
〔Rh(cod)(L)〕OTf、Rh(L)Cl、Rh(L)Br、Rh(L)I、〔Rh(cod)(L)〕BF4 、〔Rh(cod)(L)〕ClO4 、〔Rh(cod)(L)〕PF6 、〔Rh(cod)(L)〕BPh4 、〔Rh(nbd)(L)〕OTf、〔Rh(nbd)(L)〕BF4 、〔Rh(nbd)(L)〕ClO4 、〔Rh(nbd)(L)〕PF6 、〔Rh(nbd)(L)〕BPh4、〔Rh (L) (CH3OH)2〕OTf、〔Rh(L) (CH3OH)2〕BF4 、〔Rh(L)(CH3OH)2〕ClO4 、〔Rh(L)(CH3OH)2〕PF6 、〔Rh(L)(CH3OH)2〕BPh4
ルテニウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
RuCl2(L) 、RuBr2(L)、RuI2(L)、Ru(OAc)2 (L)、Ru(O2CCF3)2 (L)、〔NH2Et2〕〔{RuCl(L)}2(μ-Cl)3〕、[Ru2Cl4(L)](NEt3)、Ru(L)Cl2(dmf)n、Ru(L)(methylallyl)2、〔RuCl(benzene)(L)〕Cl、〔RuCl(benzene)(L)〕Br、〔RuCl(benzene)(L)〕I、〔RuCl(benzene)(L)〕OTf、〔RuCl(benzene)(L)〕ClO4、〔RuCl(benzene)(L)〕PF6、〔RuCl(benzene)(L)〕BF4、〔RuCl(benzene)(L)〕BPh4、〔RuBr(benzene)(L)〕Cl、〔RuBr(benzene)(L)〕Br、〔RuBr(benzene)(L)〕I、〔RuI(benzene)(L)〕Cl、〔RuI(benzene)(L)〕Br、〔RuI(benzene)(L)〕I、〔RuCl(p-cymene)(L)〕Cl、〔RuCl(p-cymene)(L)〕Br、〔RuCl(p-cymene)(L)〕I、〔RuBr(p-cymene)(L)〕Cl、〔RuBr(p-cymene)(L)〕Br、〔RuBr(p-cymene)(L)〕I、〔RuI(p-cymene)(L)〕Cl、〔RuI(p-cymene)(L)〕Br、〔RuI(p-cymene)(L)〕I、〔Ru(L)〕(OTf)2 、〔Ru(L)〕(BF4 )2 、〔Ru(L)〕(ClO4 )2 、〔Ru(L)〕(PF6 )2 、〔Ru(L)〕(BPh4 )2、〔RuH(L)2〕Cl、〔RuH(L) 2〕OTf 、〔RuH(L) 2〕BF4 、〔RuH(L)2〕ClO4 、〔RuH(L) 2〕PF6 、〔RuH(L) 2〕BPh4、〔RuH(CH3CN)(L)〕Cl、〔RuH(CH3CN)(L)〕OTf、〔RuH(CH3CN)(L)〕BF4 、〔RuH(CH3CN) (L)〕ClO4 、〔RuH(CH3CN) (L)〕PF6 、〔RuH(CH3CN) (L)〕BPh4、〔Ru(L)Cl〕OTf、〔Ru(L)Cl〕BF4 、〔Ru(L)Cl〕ClO4 、〔Ru(L)Cl〕PF6 、〔Ru(L)Cl〕BPh4、〔Ru(L)Br〕OTf、〔Ru(L) Br〕BF4 、〔Ru(L)Br〕ClO4 、〔Ru(L)Br〕PF6 、〔Ru(L)Br〕BPh4、〔Ru(L)I〕OTf、〔Ru(L)I〕BF4 、〔Ru(L)I〕ClO4 、〔Ru(L)I〕PF6 、〔Ru(L)I〕BPh4、RuCl2(L)( en)、RuCl2(L)(dpen)、RuCl2(L)(daipen)、RuH(BH4)(L)( en)、RuH(BH4)(L)(daipen)、RuH(BH4)(L)(dpen)
イリジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
Ir(L)Cl、Ir(L)Br、Ir(L)I、〔Ir(cod)(L)〕OTf、〔Ir(cod)(L)〕BF4 、〔Ir(cod)(L)〕ClO4 、〔Ir(cod)(L)〕PF6 、〔Ir(cod)(L)〕BPh4 、〔Ir(nbd)(L)〕OTf、〔Ir(nbd)(L)〕BF4 、〔Ir(nbd)(L)〕ClO4 、〔Ir(nbd)(L)〕PF6 、〔Ir(nbd)(L)〕BPh4
パラジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
PdCl2 (L)、PdBr2(L)、PdI2(L)、(π-allyl)Pd(L)、〔Pd(L)〕OTf、〔Pd(L)〕BF4 、〔Pd(L)〕ClO4 、〔Pd(L)〕PF6 、〔Pd(L)〕BPh4
ニッケル錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
NiCl2 (L)、NiBr2 (L)、NiI2 (L) 、(π-allyl)Ni(L)
銅錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
CuCl(L)、CuBr(L)、CuI(L)、CuH(L)、Cu(BH4)(L)、Cu(C5H5)(L)、Cu(C5(CH3)5)(L)
本発明の遷移金属錯体のうち、特に好ましいものは、Ru(L)(AcO)2 、Ru(L)Cl2、Ru(L)Cl2(dmf)n、[Rh(L)(cod)]OTfなどである。
本発明の遷移金属錯体を還元反応、Heck反応等に用いることにより、目的の立体を有する化合物の製造が可能である。以下、反応例を示す。
1.β-ケトエステルの不斉還元
Figure 0004489416
〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、R'はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
化合物(V)を本発明の遷移金属錯体の存在下、水素化反応に付すことにより、光学活性化合物(VI)を得ることができる。
R1およびR2で表される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、例えば、アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1-6アルキル)、シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のC3-8シクロアルキル)、アリール(例、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル等のC6-10アリール)、アラルキル(例、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル等のC7-11アラルキル)等があげられる。
R1およびR2で表される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシ)、ホルミル、アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなどのC1-6アルキル-カルボニル)、アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシ-カルボニル)、カルボキシル、N-モノ低級アルキルカルバモイル(例、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなどのN-モノC1-6アルキル-カルバモイル)、N,N-ジ低級アルキルカルバモイル(例、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなどのN,N-ジC1-6アルキル-カルバモイル)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などが挙げられ、これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
R1で表される「置換基を有していてもよい複素環基」の複素環基としては、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1または2種の1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員の複素環基(例、2-チエニル、3-チエニル、2-フリル、3-フリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、ピラジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、3-ピロリル、2-イミダゾリル、3-ピリダジニル、3-イソチアゾリル、3-イソオキサゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、2-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル等の芳香族複素環基;2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-ピペラジニル等の非芳香族複素環基等)が挙げられる。
R1で表される「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシ)、ホルミル、アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなどのC1-6アルキル-カルボニル)、アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシ-カルボニル)、カルボキシル、N-モノ低級アルキルカルバモイル(例、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなどのN-モノC1-6アルキル-カルバモイル)、N,N-ジ低級アルキルカルバモイル(例、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなどのN,N-ジC1-6アルキル-カルバモイル)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などが挙げられ、これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
R1としては、アリールが好ましく、特にフェニルが好ましい。
R2としては、アルキルが好ましく、特にエチルが好ましい。
R’で表される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
R’で表される「置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ」の「アルキルスルホニルオキシ」としては、例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、ブチルスルホニルオキシ、イソブチルスルホニルオキシ、sec-ブチルスルホニルオキシ、tert-ブチルスルホニルオキシ等のC1-4アルキルスルホニルオキシがあげられる。
R’で表される「置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等があげられる。
R’で表される「置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ」の「アリールスルホニルオキシ」としては、例えば、フェニルスルホニルオキシ、1-ナフチルスルホニルオキシ、2-ナフチルスルホニルオキシ等のC6-10アリールスルホニルオキシがあげられる。
R’で表される「置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有していてもよいアルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1-6アルキル)等があげられる。
R’としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
化合物(V)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(V)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
化合物(V)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.8MPaから5MPaである。
化合物(V)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にエタノールが好ましい。
化合物(V)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
化合物(V)の不斉還元反応で得られる光学活性化合物(VI)とは、
Figure 0004489416

〔式中、各記号は前記と同意義である。〕の4種類の立体構造を有するが、特に
Figure 0004489416

〔式中、各記号は前記と同意義である。〕または、
Figure 0004489416

〔式中、各記号は前記と同意義である。〕である立体構造を有する化合物(syn体)を優先的に得ることができる。
また、化合物(V)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
化合物(VI)のうち、R'が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシである化合物(VI')は、さらに環化反応を行うことにより、医薬の合成中間体として有用な化合物(VII)を得ることができる。
Figure 0004489416
〔式中、R''は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、その他の各記号は前記と同意義である。〕
化合物(VI')の環化反応は、無機塩基の存在下、溶媒中で行う。
化合物(VI')の環化反応において用いられる無機塩基としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、アルカリ金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属のリン酸塩(例、リン酸三カリウム等)、アルカリ金属の重炭酸塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)等があげられる。なかでもアルカリ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)が好ましい。
化合物(VI')の環化反応において、無機塩基の使用量は化合物(VI')1モルに対し、約1モルないし約10モル、好ましくは、約2モルないし約4モルである。
化合物(VI')の環化反応において、用いられる溶媒は、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)、水およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)が好ましい。
化合物(VI')の環化反応における反応温度は、約-50℃ないし約180℃、なかでも約0℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
2.Heck反応
Figure 0004489416

〔式中、R3は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル、R4は置換基を有していてもよいフェニル、R’’’は脱離基を示す。〕
化合物(VIII)を本発明の遷移金属錯体の存在下、化合物(IX)と反応させることにより、医薬の合成中間体として有用な光学活性化合物(X)を得ることができる。
R3で表される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシ)、ホルミル、アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなどのC1-6アルキル-カルボニル)、アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシ-カルボニル)、カルボキシル、N-モノ低級アルキルカルバモイル(例、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなどのN-モノC1-6アルキル-カルバモイル)、N,N-ジ低級アルキルカルバモイル(例、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなどのN,N-ジC1-6アルキル-カルバモイル)などから選ばれる1ないし3個の置換基を置換可能な位置に有していてもよいC1-6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等)があげられる。
R3としては、特に水素原子が好ましい。
R4で表される「置換基を有していてもよいフェニル」の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシ)、ホルミル、アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなどのC1-6アルキル-カルボニル)、アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシ-カルボニル)、カルボキシル、N-モノ低級アルキルカルバモイル(例、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなどのN-モノC1-6アルキル-カルバモイル)、N,N-ジ低級アルキルカルバモイル(例、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなどのN,N-ジC1-6アルキル-カルバモイル)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノなどがあげられ、置換基の数は1ないし3個である。
R4としては、無置換のフェニルが特に好ましい。
R’’’で表される「脱離基」としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ等があげられる。該「ハロゲン原子」、「置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ」、「置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ」とは、前記のR’で表される「ハロゲン原子」、「置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ」、「置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ」と同様のものがあげられる。なかでも、ハロゲン原子を有していてもよいアルキルスルホニルオキシが好ましく、特にトリフルオロメチルスルホニルオキシが好ましい。
化合物(VIII)と化合物(IX)のHeck反応は、通常、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)が好ましい。さらに、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)が好ましい。
化合物(VIII)と化合物(IX)のHeck反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(IX)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約0.01モルないし約0.1モルである。
化合物(VIII)と化合物(IX)のHeck反応において、化合物(VIII)の使用量は化合物(IX)1モルに対し、約1モルないし約10モル、好ましくは、約3モルないし約5モルである。
化合物(VIII)と化合物(IX)のHeck反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約30℃ないし約110℃で行うのが好ましい。
また、上記の反応の他に、α,β-不飽和エステルの不斉水素化(後述の実施例1など)、オレフィン、ケトンの不斉水素化等に本発明の遷移金属錯体を用いることができ、医薬の合成中間体として有用な光学活性化合物の製造を可能とした。
以下に実施例および参考例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書中、室温は、10℃ないし35℃を示す。なお、実施例の各物性の測定には次の機器を用いた。1H核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):DPX300(ブルッカー社製)、内部基準物質:テトラメチルシラン。13C核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR):DPX300(ブルッカー社製)、内部基準物質:CDCl331P核磁気共鳴スペクトル(31P-NMR):DPX300(ブルッカー社製)、外部基準物質:85%H3PO4水溶液。質量分析:JMS-700T(日本電子社製)。融点:530(ビュッヒ社製)。
参考例1
(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル
(S)-1,1’-ビ-2-ナフトール(26.2 g, 91 mmoL)のアセトニトリル(130 mL)溶液に、ピリジン(19.5 g, 2.7 当量)を室温で加えた。ついでトリフルオロメタンスルホン酸無水物(64.2 g, 2.5 当量)を5℃で加え、5ないし10℃で2時間撹拌した。3℃で水(100 mL)を加え、ついで酢酸エチル(130 mL)を加えた後、室温で30分攪拌した。反応液を分液し、有機層を水(50 mL)で洗浄後、減圧濃縮した。残渣にジイソプロピルエーテル(150 mL)および活性炭(0.25 g)を加え60℃で30分攪拌した。活性炭をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタンより再結晶し、表題化合物(48.9 g,白色結晶)を得た。収率97%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 7.33 (d, 2H, J = 8.14 Hz), 7.34-7.46 (m, 2H), 7.57-7.63 (m, 2H), 7.68 (d, 2H, J = 9.09 Hz), 8.03 (d, 2H, J = 8.23 Hz), 8.16 (d, 2H, J = 9.08 Hz).
参考例2
4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルアニソール
Figure 0004489416

アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(50 g, 0.175 moL)および炭酸カリウム(96.7 g, 4.0 当量)のアセトン(750 mL)溶液に硫酸ジメチル(38.6 g, 1.75 当量)を22℃で加えた後、還流下で13時間攪拌した。不溶物をろ去後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(150 mL)、水(100 mL)を加え、分液し、有機層を水(100 mL)、5%NaHCO3水溶液(100 mL)、5%NaCl水溶液(100 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。表題化合物(56.1 g,褐色オイル)を得た。収率95.2%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.41 (s, 18H), 3.68 (s, 3H), 7.33 (s, 2H).
参考例3
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィンオキサイド
Figure 0004489416

アルゴン雰囲気下、マグネシウム(4.0 g, 0.95 当量)および少量のヨウ素のTHF(50 mL)溶液を室温で1時間撹拌した。参考例2で合成した4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルアニソール(52 g, 0.175 moL)を46℃ないし53℃で加えた後、5℃で1時間攪拌した。ついで5℃で亜リン酸ジエチル(11.4 g, 0.52 当量)を加えた後、5℃で1時間撹拌した。3℃で水(50 mL)を加え、ついでトルエン(50 mL)、6M-HCl(20 mL)を加えた後、室温で30分間攪拌した。反応液を分液し、有機層を水(20 mL)、5%NaHCO3水溶液(20 mL)、5%NaCl水溶液(20 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタンより再結晶し、表題化合物(11.6 g,薄黄白色結晶)を得た。収率20.5%。融点166.1℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.38 (s, 36H), 3.68 (s, 6H), 7.49 (s, 2H), 7.54 (s, 2H), 8.01 (d, 1H, J = 474.4 Hz).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 23.57 (dquint, J = 474.1 Hz, 14.0 Hz).
元素分析 C30H47O3Pとして
計算値; C: 74.04, H: 9.73, P:6.36.
実測値; C: 74.13, H: 9.93, P:6.20.
参考例4
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
Figure 0004489416

アルゴン雰囲気下、塩化セリウム(4.55 g, 3.0 当量)のTHF(25 mL)溶液を室温(25℃)で30分間攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.72 g, 3.1 当量)を加えた後、室温で1時間攪拌した。ついで5℃にて参考例3で合成したビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィンオキサイド(3.0 g, 6.16 mmoL)および水素化リチウムアルミニウム(0.28 g, 1.2 当量)を順次加えた後、室温で18時間攪拌した。3℃で水(10 mL)を加え、ついでトルエン(30 mL)、6M-HCl(20 mL)を加えた後、室温で30分間攪拌した。反応液を分液し、水層をトルエン(30 mL)で抽出した。合わせた有機層を5%NaCl水溶液(20 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(アルミナ 25 g、n-ヘキサン)で精製した。残渣をヘプタンより再結晶し、表題化合物(1.18 g,白色結晶)を得た。収率39.6 %。融点134.7℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.37-1.08 (m, 3H), 1.39 (s, 36H), 3.69 (s, 6H), 6.23 (dq, 1H, J = 376.2 Hz, 6.78 Hz), 7.50 (d, 4H, J = 12.18 Hz).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -3.33- -1.46 (m), -0.13-1.80 (m).
参考例5
(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
Figure 0004489416

アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(48 mg, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(507 mg, 0.91 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(620 mg, 6.0 当量)のDMF溶液(5 mL)に、参考例4で合成したビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(1.03 g, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで110℃で153時間攪拌した。DMFを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(737 mg, 黄白色結晶)を得た。収率69%。融点 129.5℃。旋光度:[α]D = -232°(25℃, c = 1.0, CHCl3)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.21 (s, 36H), 1.24 (s, 36H), 3.58 (s, 6H), 3.64 (s, 6H), 6.64 (d, 2H, J = 7.60 Hz), 6.77 (d, 2H, J = 7.10 Hz), 6.92-7.00 (m, 4H), 7.13-7.20 (m, 4H), 7.30-7.37 (m, 2H), 7.42-7.51 (m, 2H), 7.77 (d, 2H, J = 6.91 Hz), 7.86 (d, 2H, J = 8.02 Hz).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 33.34, 33.49, 36.96, 37.19, 65.44, 65.53, 126.64, 127.23, 128.76, 128.80, 128.92, 131.84, 132.95, 134.51, 144.02, 160.37, 161.31.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -15.02 (s).
質量分析(ESI-HR); 計算値; 1189.7332
実測値; 1189.7350(M-H)
実施例1
メチル (Z)-α-アセトアミドシンナメートの不斉水素化
Figure 0004489416

Rh(cod)2OTf(4.27 mg、0.0091mmoL)のメタノール(1 mL)溶液に参考例5で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(12.65 mg、0.011 mmoL)を加えた後、室温(25℃)で30分間攪拌した。反応混合物の31P-NMRを測定した。(31P-NMR (121 MHz, CD3OD, 85%H3PO4) δ: 27.9(s), 29.1(s).) メチル (Z)-α-アセトアミドシンナメート(0.10 g、0.456 mmoL)のメタノール(4 mL)溶液に上記で調整したRh錯体溶液を加え、水素圧1.0 MPa、25℃で24時間水素化を行った。反応混合物をGC(カラム:CHIRASIL VAL、0.25mm×30 m)にて測定し、変換率 >99.9%、光学純度 91.43%ee(R)であった。
比較例1
メチル (Z)-α-アセトアミドシンナメートの不斉水素化
Figure 0004489416

Rh(cod)2OTf(4.27 mg、0.0091mmoL)のメタノール(1 mL)溶液に(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(6.79 mg、0.011 mmoL)を加えた後、室温(25℃)で30分間攪拌した。メチル (Z)-α-アセトアミドシンナメート(0.10 g、0.456 mmoL)のメタノール(4 mL)溶液に上記で調整したRh錯体溶液を加え、水素圧1.0 MPa、25℃で24時間水素化を行った。反応混合物をGC(カラム:CHIRASIL VAL、0.25mm×30 m)にて測定し、変換率 >99.9%、光学純度 15.33%ee(R)であった。
実施例2
ジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル} ルテニウム(II)の合成
アルゴン雰囲気下、ビス(η6-ベンゼン)-テトラ-μ-クロロ 二ルテニウム(II) (100.0 mg, 0.200 mmoL)及び参考例5で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(453.1 mg, 0.380 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)を加えて100℃で10分間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、残渣に酢酸ナトリウム(640.4 mg, 7.80 mmoL)のメタノール(6 mL)溶液を加えて、超音波を照射し20分間反応した。反応液にトルエン(3 mL)及び水(6 mL)を加え分液し、水層にトルエン(3 mL)を加え分液した。全ての有機層に水(6 mL)を加え分液し、有機層の溶媒を留去した。残渣にトルエン(1 mL)及びメタノール(6 mL)を加え、室温で15時間、4℃で5日間放置後、不溶物をろ過した。ろ液より表題化合物(450 mg, 褐色粉末)を得た。収率80%。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, TMS) δ: 1.0 (s, 36H), 1.3 (s, 36H), 1.5 (s, 6H), 3.2 (s, 6H), 3.7 (s, 6H), 6.0 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 6.6-6.7 (m, 2H), 6.9 (t, 4H, J = 5.6 Hz), 7.0-7.1 (m, 2H), 7.3-7.4 (m, 4H), 7.5 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.6 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.8-7.9(m, 2H)
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:67.5 (s)
実施例3
{[(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル]ジクロロ ルテニウム(II)} (N,N-ジメチルホルムアミド)nの合成
アルゴン雰囲気下、ビス(η6-ベンゼン)-テトラ-μ-クロロ 二ルテニウム(II) (101.7 mg, 0.203 mmoL)及び参考例5で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル (454.8 mg, 0.382 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド (4 mL)を加えて100℃で60分間攪拌した。反応液の溶媒を留去し表題化合物(469 mg, 赤褐色粉末)を得た。収率80%。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:56.8 (s), 70.1 (s)
実施例4
{(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ジクロロ ルテニウム(II)の合成
アルゴン雰囲気下、実施例2で合成したジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル} ルテニウム(II)(237 mg, 0.168 mmol)の塩化メチレン (4 mL) 溶液に5% 塩酸-メタノール (0.3 mL) 加えて、室温で93時間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、表題化合物(22mg, 褐色の粉末)を得た。収率96%。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:62.2 (s)。
実施例5
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

実施例2で合成したジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル} ルテニウム(II) (30.1 mg, 0.021 mmol)、2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル(0.966 g, 4.261 mmol)のエタノール(9 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 17.5 時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 18 mL)及び炭酸カリウム(1.79 g, 13.0 mmol) を加え 6 時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL) 及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、光学純度 77.5%ee (2R,3R), 82.7%de (cis) であった。
比較例2
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

ジアセタト{(R)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル} ルテニウム(II)(30.6 mg, 0.036 mmol)、2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル (1.62 g, 7.17 mmol)のエタノール(15 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 17.5 時間水素化を行った。反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定したところ、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 30 mL)及び炭酸カリウム(2.98 g, 21.56 mmol) を加え 6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、光学純度 3.9%ee(2R,3R), 85.7%de(cis) であった。
実施例6
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

実施例3で合成した{[(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル]ジクロロ ルテニウム(II)} (N,N-ジメチルホルムアミド)n (50.5 mg, 0.036 mmol)のエタノール溶液(5 mL) に2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル (1.57 g, 6.928 mmol) のエタノール溶液(10 mL)を加え、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 16.5時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 30 mL)及び炭酸カリウム(2.90 g, 20.9 mmol) を加え 6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、光学純度 79.4%ee (2R,3R), 82.4%de(cis)であった。
比較例3
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

{[(R)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]ジクロロ ルテニウム(II)} (N,N-ジメチルホルムアミド)n (27.8 mg, 0.033 mmol)及び2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル(1.586 g, 6.998 mmol)のエタノール(15 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 16.5時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 30 mL)及び炭酸カリウム(2.95 g, 21.3 mmol)を加え 6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、光学純度 4.5%ee (2R,3R) , 87.7%de(cis) であった。
実施例7
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

アルゴン雰囲気下、ジクロロ(η22-1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(II) (100.9 mg, 0.396 mmol) 及び 参考例5で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(467.0 mg, 0.392 mmol) のトルエン(6 mL)溶液にトリエチルアミン(0.3 mL) を加え、135℃で3時間攪拌還流した。反応液の溶媒を留去し、褐色の粉末 (440 mg)を得た。ここで得た褐色の粉末(50.0 mg, 0.035 mmol)及び2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル (1.61 g, 7.12 mmol)のエタノール(15 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 15時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、変換率 86.5% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 30 mL)及び炭酸カリウム(2.93 g, 21.2 mmol) を加え 6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、光学純度 85.1%ee (2R,3R), 87.8%de (cis)であった。
比較例4
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

実施例7と同様の方法で合成したルテニウム-[(R)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]錯体(33.6 mg, 0.040 mmol)及び2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル(1.64 g, 7.24 mmol)のエタノール(15 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 15 時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 30 mL)及び炭酸カリウム(3.02 g, 21.9 mmol) を加え6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、光学純度 3.1%ee (2R,3R), 86.6%de (cis)であった。
実施例8
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

参考例5で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル (54.7 mg, 0.046 mmol)、(η22-1,5-シクロオクタジエン)ビス-(2-メチルアリル) ルテニウム(II) (12.8 mg, 0.040 mmol)及び2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル (1.71 g, 7.53 mmol) のエタノール (15 mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 14時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、変換率 4.6% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 18 mL)及び炭酸カリウム(3.15 g, 22.8 mmol)を加え6時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30 mL)及び水(30 mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30 mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30 mL)、水(30 mL)、水(30 mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30 m)を測定し、光学純度 67.6%ee (2R,3R), 69.1%de (cis) であった。
比較例5
2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステルの不斉水素化
Figure 0004489416

(R)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル (30.3mg, 0.049mmol) 、(η22-1,5-シクロオクタジエン)ビス-(2-メチルアリル) ルテニウム(II) (13.6mg, 0.042mmol) 及び2-クロロ-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル(1.71g, 7.543mmol)のエタノール(15mL)溶液を、水素圧 1 MPa、反応温度 80℃で 14 時間水素化を行った。この反応混合物につき、GC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、変換率 >99.9% であった。さらにこの反応混合液の溶媒を留去し、N,N-ジメチルホルムアミド(含水 1.8%, 18mL)及び炭酸カリウム(3.18g, 23.0mmol) を加え 6 時間攪拌した。イソプロピルエーテル (30mL) 及び水(30mL)を加えて抽出分液し、水層にイソプロピルエーテル(30mL)を加えて再度抽出し、合わせた有機層を1N 塩酸(30mL)、水(30mL)、水(30mL)で順次洗浄した。この有機層につきGC(カラム:α-DEX 120, 0.25 mm×30m)を測定し、光学純度 1.1%ee (2S,3S), 84.9%de (cis) であった。
実施例9
不斉Heck反応
Figure 0004489416

酢酸パラジウム(II) (2.2 mg, 0.0099 mmoL)の1,4-ジオキサン(2.5 mL)溶液にジイソプロピルエチルアミン (0.25 mL, 11.46 mmoL)および参考例5で合成した (S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(35.6 mg, 0.030 mmoL)を加えた後、60℃で1時間攪拌した。反応混合物の31P-NMRを測定した。(31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 29.24- 29.54 (m).) 2,3-ジヒドロフラン(0.19 mL、2.50 mmoL)、フェニル トリフルオロメタンスルホネート(0.079 mL、0.488 mmoL)を順次加え、105℃で24時間反応を行った。反応混合物をGC(カラム:CP-Chirasil-DEX CB、0.32mm×25 m)にて測定し、変換率 >99.9%、光学純度 64.9%ee(S)、生成比(1/2) 33:1であった。
比較例6
Figure 0004489416

酢酸パラジウム (II) (2.2 mg, 0.0099 mmoL)の1,4-ジオキサン(2.5 mL)溶液にジイソプロピルエチルアミン (0.25 mL, 11.46 mmoL)および (S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(18.6 mg, 0.030 mmoL)を加えた後、60℃で1時間攪拌した。2,3-ジヒドロフラン(0.19 mL, 2.50 mmoL)、フェニル トリフルオロメタンスルホネート(0.079 mL, 0.488 mmoL)を順次加え、105℃で24時間反応を行った。反応混合物をGC(カラム:CP-Chirasil-DEX CB、0.32 mm×25 m)にて測定し、変換率 >99.9%、光学純度 48.8%ee(S)、生成比(1/2) 6:1であった。
本発明の2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体を不斉反応(特に、不斉還元)に用いることにより、目的とする絶対配置の化合物を効率的に得ることができる。

Claims (15)

  1. 2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体。
  2. 遷移金属がロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケルまたは銅である請求項1記載の遷移金属錯体。
  3. 遷移金属がロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウムまたはニッケルである請求項1記載の遷移金属錯体。
  4. 遷移金属がロジウムである請求項1記載の遷移金属錯体。
  5. 遷移金属がルテニウムである請求項1記載の遷移金属錯体。
  6. Ru(L)(AcO)2〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、Acはアセチルを示す。〕で表される請求項1記載の遷移金属錯体。
  7. Ru(L)Cl2〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを示す。〕で表される請求項1記載の遷移金属錯体。
  8. Ru(L)Cl2(dmf)n〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミドを示す。〕で表される請求項1記載の遷移金属錯体。
  9. [Rh(L)(cod)]OTf〔Lは2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、codは1,5-シクロオクタジエン、Tfはトリフルオロメチルスルホニルを示す。〕で表される請求項1記載の遷移金属錯体。
  10. 式:
    Figure 0004489416
    〔式中、R1は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい炭化水素基またはヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基、R’はハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたはハロゲン原子およびハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルからなる群より選択される置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体の存在下、還元反応を行うことを特徴とする、式:
    Figure 0004489416
    〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法。
  11. 式:
    Figure 0004489416
    〔式中、R1は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい炭化水素基またはヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基、R’’は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキルスルホニルオキシまたはハロゲン原子およびハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルからなる群より選択される置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ、R2は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、およびハロゲン原子からなる群より選択される置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とするルテニウム錯体の存在下、アルコール系溶媒中、または、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒およびアミド系溶媒から選ばれる溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒中で還元反応を行うことにより、式:
    Figure 0004489416
    〔式中、各記号は前記と同意義である。〕または、
    Figure 0004489416
    〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表される光学活性化合物またはその塩を得、さらに無機塩基の存在下で環化反応を行うことを特徴とする式:
    Figure 0004489416
    〔式中、各記号は前記と同意義である。〕または
    Figure 0004489416
    〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表される光学活性化合物またはその塩の製造法。
  12. R’’が塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である請求項11記載の製造法。
  13. 無機塩基がアルカリ金属の炭酸塩である請求項11記載の製造法。
  14. 還元反応を行う溶媒がアルコール系溶媒である請求項11記載の製造法。
  15. 式:
    Figure 0004489416
    〔式中、R3は、水素原子またはヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、およびN,N-ジC1−6アルキルカルバモイルからなる群より選択される置換基を有していてもよいアルキルを示す。〕で表される化合物またはその塩を、2,2'-ビス[ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルを配位子とする遷移金属錯体の存在下、式:R4-R’’’〔式中、R4は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、N-モノC1−6アルキルカルバモイル、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル、ハロゲン原子、およびシアノからなる群より選択される置換基を有していてもよいフェニル、R’’’は脱離基を示す。〕で表される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする式:
    Figure 0004489416
    〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法。
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