JP4487335B2 - 落射照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、落射照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顕微鏡の照明光学系にはむらなく明るい照明を行うことができるケーラー照明光学系が採用されている。
【0003】
このケーラー照明光学系は照明の視野と開口数とを独立に変えることができるように構成されている。
【0004】
そして、試料と共役な位置には試料への照射領域を変更可能な視野絞りが配置されている。視野絞りでは互いに隣接する円弧状の絞り羽根を駆動して開口部を可変する。
【0005】
この視野絞りによれば、像の大きさ・形状を決めることができ、結像に寄与する光以外の光を遮断してフレアを除去し、コントラストを高めることができる。
【0006】
したがって、観察する視野のみを照明するように、視野より少し大きめの開口にして視野絞りを使用するのが一般的である。
【0007】
ところで、透過照明では視野絞りを試料面に結像させるためにコンデンサレンズを用い、この像を対物レンズによって観察するため、対物レンズの倍率によって視野絞りの大きさを適切な大きさ(視野より少し大きなサイズ)に調整する必要がある。
【0008】
また、透過照明では試料面に視野絞りを結像させるにはコンデンサレンズを光軸方向へ移動させてピントを合わせる必要がある。
【0009】
一方、落射照明では視野絞りはハーフミラーによって偏光するように構成され、対物レンズを介して試料面に結像させる。
【0010】
そのため、対物レンズがコンデンサレンズの役目を果たし、対物レンズの倍率によって視野絞りの大きさを調整する必要がなく、対物レンズの倍率が変わっても視野に対する視野絞りの大きさは常に一定である。
【0011】
また、落射照明では対物レンズがコンデンサレンズの役目を果たすので、試料面と視野絞りとは常に共役な関係にある。
【0012】
そのため、落射照明で鏡面のように表面に凹凸が少ない試料を観察する場合、視野絞りの開口部を視野よりも小さく絞り、視野絞りの像にピントを合わせることによって試料の表面にピントを容易に合わせることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、視野絞りは複数の非常に薄い円弧状の絞り羽根が矢車部品に等間隔に配置されている。1枚の羽根は羽根を駆動させるために2つの部品(ダボ)を必要とするため、例えば、8枚の絞り羽根で構成される絞り羽根の場合、(1+2)×8=24の部品が必要になる。
【0014】
そのため、視野絞りは通常30以上の部品を必要とし、組立には熟練を要し、部品点数の多さと相俟って製造コストが嵩んでしまう。
【0015】
また、鏡面状態の試料を観察する場合、検鏡者は視野絞りを絞ってピントを合わせた後、視野絞りを再び視野よりも大きくして観察を行うが、ピント合わせ前と同じサイズにする操作は非常に面倒である。
【0016】
視野絞りをピント合わせ前と同じサイズに調整できない場合、像質(コントラスト)が多少変化してしまう。このコントラストの変化は目視の場合には問題にならないが、像をCCD等の受光素子で受光して線幅測定等を行う場合には安定した測定結果が得られないという問題がある。
【0017】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は鏡面状態の試料を観察する場合であっても試料に容易にピントを合わせることができる、操作性に優れた落射照明装置を安価に提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明の落射照明装置は、光源からの光を対物レンズを介して試料へ照射する照明系と、前記試料からの光を前記対物レンズを介して集光し、前記試料の像を結像する観察光学系を備える落射照明装置において、前記照明系の光路の前記試料と共役な位置に、前記照明系の視野よりも狭い開口を有した前記試料への照射領域が固定の固定絞りと、前記照明系の視野よりも少し大きく形成された開口部とを切換可能に挿脱することが可能な切換機構を配置し、かつ前記対物レンズと前記試料との間の距離を変える可変手段を配置し、前記可変手段により前記対物レンズと前記試料との間の距離を変える際に、前記切換機構により前記照明系の視野よりも狭い開口を前記照明系の光路に配置可能とし、前記観察光学系による観察を行う際に、前記切換機構により前記照明系の視野よりも少し大きく形成された開口部を前記照明系の光路に配置可能としたことを特徴とする。
【0019】
照明系の光路の試料と共役な位置に固定絞りを配置したので、固定絞りによって視野を絞り、この固定絞りの像にピントを合わせることで、表面の凹凸が極端に少ない試料に対してピントを合わせる。また、照射領域が固定であるので、製造が容易であり、しかも視野絞りを調整するための手間がかからない。
【0020】
請求項2に記載の発明の落射照明装置は、請求項1に記載の落射照明装置において、前記固定絞りは遮光部材によって所定範囲が遮光された透明基板であることを特徴とする。
【0021】
遮光部材によって透明基板の任意の場所を遮光することができる。視野内における指標の占める割合を小さくすることができる。視野の中心に指標を位置させることができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の落射照明装置において、前記固定絞りは、その開口部の形状が視野の中央に十字形に形成されていることを特徴とする
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の落射照明装置において、前記固定絞りは、その開口部の形状が視野の中央に矩形に形成されていることを特徴とする
【0023】
固定絞りによって試料にピントを合わせた後、固定絞りを照明系光路から外して観察を行う。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1はこの発明の第1実施形態に係る落射照明装置のブロック構成図である。
【0026】
落射照明装置は、光源11と、コレクタレンズ12と、開口絞り13と、固定絞り30と、視野レンズ14と、ハーフミラー15と、対物レンズ16とを備える。
【0027】
コレクタレンズ12と、開口絞り13と、固定絞り30と、視野レンズ14と、ハーフミラー15と、対物レンズ16とで照明系が構成され、対物レンズ16とハーフミラー15とで観察光学系が構成される。
【0028】
コレクタレンズ12は光源11からの光を集め、集めた光を視野レンズ14等の光学素子に進ませる。
【0029】
開口絞り13は光の強さを調節する。
【0030】
ハーフミラー15は光源11からの光を反射させるとともに、物体面(試料面)17で反射された光を透過させる。
【0031】
固定絞り30は物体面17及び像面18と共役な位置関係にあり、像面18には物体面17及び固定絞り30の像が結像される。
【0032】
次に固定絞り30の形状を説明する。
【0033】
図2〜4は固定絞りを示す図である。
【0034】
これらの固定絞り30は金属板で形成されている。
【0035】
図2は視野の中央に矩形の開口部31を形成した場合を、図3は視野の中央に円形の開口部32を形成した場合を、図4は視野内の指標33を除いて開口部34とした場合を示している。
【0036】
各図において、円(図3においては外側の円)は視野を示している。
【0037】
ほとんどコントラストがない鏡面状態の試料を観察するとき、上記固定絞り30を用いてピント合わせが行われる。
【0038】
光源11から出射された光はコレクタレンズ12、開口絞り13、固定絞り30及び視野レンズ14を通り、ハーフミラー15によって偏光されて照明光になり、対物レンズ16を通して物体面17に投影される。
【0039】
この照明光によって得られた像は光路を逆行し、対物レンズ16及びハーフミラー15を通って像面18に結像する。
【0040】
このとき、検鏡者は物体面17と対物レンズ16との間の距離を変化させて像面18に結像された固定絞り30の像にピント合わせることで、物体面17に対してピントを合わせる。
【0041】
このとき、例えば図2に示すように矩形の開口部31を形成した固定絞り30を用いた場合には像面18に矩形の像が結像される。
【0042】
なお、像面18は接眼レンズで観察されるだけでなく、CCD等の受光素子を配置して観察してもよい。また、このCCDの出力に基いて焦点ずれを演算して、物体面17と対物レンズ16との間の距離を電気的に変化させるようにしてもよい。
【0043】
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0044】
▲1▼鏡面状態の試料を観察するとき、従来の視野絞りのようにピントを合わせた後に再び視野絞りを調整する面倒な操作がなくなり、操作性が向上する。
【0045】
▲2▼固定視野絞り30は金属板を打ち抜くだけであり、従来の視野絞りのように複数の絞り羽根を組み立てる作業がないので、製造コストを低減することができる。
【0046】
図5〜7は固定絞りの変形例を示す図である。
【0047】
この変形例は固定絞り30を例えば透明なガラス板(透明基板)を用いて形成した例である。
【0048】
各図において、円が視野を示すのは図2〜4と同様である。
【0049】
図5は視野の中央に十字形の遮光部(指標)35を形成した場合を、図6は視野に比し十分に小さい三角形の遮光部36を90°の間隔で形成した場合を、図7は視野に比し十分に小さい三角形と円とからなる遮光部37を形成した場合を示している。
【0050】
遮光部35,36,37にはガラス板の表面の所定部分に金属(遮光部材)を蒸着させて薄い金属皮膜のパターンが形成されている。
【0051】
この変形例によれば、上記実施形態の効果▲1▼と同じ効果を奏することができる。
【0052】
また、複数の絞り羽根からなる視野絞りと比べて、製造コストを低減することができる。
【0053】
更に、金属の蒸着によってガラス板の任意の場所を遮光部にすることができるので、上記実施形態よりも指標のバリエーションを増やすことができる。
【0054】
また、視野内における指標の占める割合を小さくしたので、視野が広く確保され、指標が観察の際の妨げにならず、検鏡の際に固定絞り30を外す必要がない。
【0055】
また、図5に示したように十字形の遮光部35を視野の中心に配置することによってピント合わせが容易になる。
【0056】
なお、図2〜4の固定絞り30をガラス板で構成した場合には、この変形例でも前述の▲1▼、▲2▼と同様の効果を奏することができる。
【0057】
図8,9は固定絞りの他の変形例を示す図である。
【0058】
この変形例は視野の半分以上を遮光部材によって遮光した例である。
【0059】
図8は視野に比し十分に小さい円とこの円に90゜の間隔で形成された溝とで構成された開口部38を、図9は視野の中央に十字形に形成された開口部39を示している。
【0060】
これらの固定絞り30は、図2〜4のように金属板で形成しても、図5〜7のようにガラス板の表面の所定部分に金属を蒸着させて薄い金属皮膜のパターンを形成することでも製造することができる。
【0061】
なお、各図において、円が視野を示すのは図2〜4と同様である。
【0062】
図10はこの発明の第2実施形態に係る落射照明装置のブロック構成図であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この実施形態は切換機構によって固定絞り30を光軸に対して挿脱できるようにした点で第1実施形態と異なる。
【0064】
図11は切換機構の概略構成図である。
【0065】
切換機構50は可動部51とこの可動部を摺動可能に保持するガイド部52とを備えている。
【0066】
可動部51は矩形状の板であり、この可動部51には可動部51を移動させるための操作つまみ53が設けられている。また、可動部51には開口部55と固定絞り30とが所定間隔をおいて配置されている。
【0067】
ガイド部52は落射照明装置本体(図示せず)に設けられ、可動部51を移動可能に保持している。ガイド部52は照明系光路に直交して設けられ、照明系光路に可動部51の開口部55と固定絞り30とを選択的に位置させることができる。
【0068】
また、切換機構50はクリックストップ機構54を備える。このクリックストップ機構54はボール54aとV溝54bとを備え、ボール54aをV溝54bに落ち込ませることによって開口部55又は固定絞り30が照明系光路に位置決めされる。
【0069】
なお、開口部55は視野を遮られないように視野より少し大きく形成されている。
【0070】
この落射照明装置でコントラストのほとんどない鏡面状態の試料を観察するとき、まず固定絞り30を照明系光路に配置し、この固定絞り30を利用してピントを合わせた後、操作つまみ53を操作して固定絞り30を照明系光路から外して開口部55を照明系光路に配置し、広い観察視野(固定絞り30が視野にない状態)で試料面を観察する。
【0071】
なお、コントラストのある試料に対しては最初から開口部55を照明系光路に配置して物体面17の観察を行えばよい。
【0072】
この実施形態によれば、前述の▲1▼、▲2▼の効果と同じ効果を奏することができる。
【0073】
また、第1実施形態で述べた固定絞り30を使用できるとともに、図8,9に記載した視野の半分以上を覆う形状の固定絞り30を使用するときには、観察時に光路から固定絞り30を外してしまえばよく、固定絞りの形状の自由度が一層高まる。
【0076】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の落射照明装置によれば、固定絞りのない広い観察視野で試料を観察することができる。また、視野を大きく遮るような固定絞りでも、光路から外せばよいので、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る落射照明装置のブロック構成図である。
【図2】図2は固定絞りを示す図である。
【図3】図3は固定絞りを示す図である。
【図4】図4は固定絞りを示す図である。
【図5】図5は固定絞りの変形例を示す図である。
【図6】図6は固定絞りの変形例を示す図である。
【図7】図7は固定絞りの変形例を示す図である。
【図8】図8は固定絞りの他の変形例を示す図である。
【図9】図9は固定絞りの他の変形例を示す図である。
【図10】図10はこの発明の第2実施形態に係る落射照明装置のブロック構成図である。
【図11】図11は切換機構の概略構成図である。
【符号の説明】
11 光源
16 対物レンズ
30 固定絞り

Claims (4)

  1. 光源からの光を対物レンズを介して試料へ照射する照明系と、
    前記試料からの光を前記対物レンズを介して集光し、前記試料の像を結像する観察光学系を備える落射照明装置において、
    前記照明系の光路の前記試料と共役な位置に、前記照明系の視野よりも狭い開口を有した前記試料への照射領域が固定の固定絞りと、前記照明系の視野よりも少し大きく形成された開口部とを切換可能に挿脱することが可能な切換機構を配置し、かつ前記対物レンズと前記試料との間の距離を変える可変手段を配置し、
    前記可変手段により前記対物レンズと前記試料との間の距離を変える際に、前記切換機構により前記照明系の視野よりも狭い開口を前記照明系の光路に配置可能とし、前記観察光学系による観察を行う際に、前記切換機構により前記照明系の視野よりも少し大きく形成された開口部を前記照明系の光路に配置可能としたことを特徴とする落射照明装置。
  2. 前記固定絞りは遮光部材によって所定範囲が遮光された透明基板であることを特徴とする請求項1に記載の落射照明装置。
  3. 前記固定絞りは、その開口部の形状が視野の中央に十字形に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の落射照明装置。
  4. 前記固定絞りは、その開口部の形状が視野の中央に矩形に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の落射照明装置。
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