JP4486739B2 - 紙葉類識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の紙葉類、例えば紙幣や株券等の有価証券類さらには各種の伝票類等の真贋をより確実に識別することができる紙葉類識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙幣や有価証券等の紙葉類の真贋を識別する紙葉類識別装置が知られている。かかる識別装置は、紙葉類の各所に印刷されている文字、図形、記号、模様(以下模様等という)を光学的に読み取って電気信号に変換し、予め記憶されている本物の模様等と比較することによって真贋を識別するものが一般的であった。
【0003】
しかし、近年、贋作技術が巧妙化して通常の印刷模様のみを対象としては真贋の判別が困難になっていることから、ヨーロッパ特許の特許公報EP0996099A2に記載されているように、紫外線や交番電圧に反応して蛍光を発する材料(エレクトロルミネセンス(electroluminescence(以下EL材料という))を用いた発光インキで紙幣が印刷されることがある。かかる発光インキを使用すると、紙葉類は、それに紫外線を照射したり、それを交流電磁界内に置くことにより発光するため、たとえ通常の印刷による模様等が真贋の紙葉類で一致していてもこの発光の有無を検出することによって真贋を識別することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような発光インキが偽物の紙葉類に使用されておれば、真贋の識別が困難になるという問題点を有している。すなわち上記EL材料は極めて細かい微粉状を呈していることから、これを紙葉類の表面に散布して貼着させるという簡単な操作を行うだけでEL材料の付与された紙葉類とすることができる。
【0005】
従って、かかる操作でEL材料の付与された紙葉類は、たとえ交流電磁界中でEL材料を発光させても真贋を識別することができない。このことについては、EL材料以外の他の発光インキにおいても同様である。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、通常の印刷インキと発光インキとを併用して印刷処理が施された紙葉類の真贋を確実に識別することができる紙葉類識別装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、所定の環境中に置かれることにより発光する発光インキと通常の印刷インキとの双方を用いて印刷処理された紙葉類の真贋を識別する紙葉類識別装置であって、前記紙葉類を一定方向へ搬送する搬送路と、前記搬送路上の紙葉類へ光を照射する発光素子と、前記発光インキからの発光を受光する第1受光手段と、前記第1受光手段が受光する光と同一の紙葉類上の位置からの光であって、前記発光インキの発光波長と異なる波長の光の通常のインキからの反射光を受光する第2受光手段と、前記第1受光手段により検出された第1データ及び前記第2受光手段により検出された第2データをそれぞれサンプリングして番地順に記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された第1データのサンプリング値のうちの所定の閾値以上のものと、そのサンプリング値に対応した番地に記憶されている第2データのサンプリング値とから、前記第1データにおける互いに隣接する番地のデータの差を求めるとともに前記第2データにおける互いに隣接する番地のデータの差を求め、続いて互いに対応する隣接番地における、これらの第1データ差と第2データ差との差の絶対値を算出することを繰り返し、得られた複数の算出値を合計する相関関係演算手段と、この相関関係演算手段の演算結果に基づいて紙葉類の真贋を判別する真贋判別手段とを具備することを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、紙葉類を所定の環境に設定された紙葉類識別装置に供給することにより、紙葉類の同一位置に印刷処理で付与された発光インキが発光するとともに、通常インキからは照射された光が反射し、発光インキからの発光は第1受光手段によって受光される一方、通常インキからの反射光は第2受光手段によって受光され、これら受光による各受光手段からの出力値は相関関係演算手段に入力されて所定の相関関係が演算される。そして、紙葉類は、この相関関係演算手段による演算結果に基づく真贋判別手段の判別によって真贋が判別される。
【0009】
このように、紙葉類は、同一位置に印刷された発光インキと通常インキとの双方を読み取って真贋が判別されるため、重ね塗りされた、あるいは互いに混合された発光インキと通常インキとは同一のパターンを有しており、これらパターン間の高度な相関関係によって本物が判別される。従って、単に発光インキの有無のみを検出して真贋を識別する従来の方式に比較し、より高精度で紙葉類の真贋を識別することが可能になる。また、上記相関関係演算手段は、上記第1受光手段からの出力値が予め設定された閾値以上のときにのみ上記演算を行うので、発光インキが付与されていない位置の受光を対象にした無駄な真贋識別処理が排除され、効率的かつ確実な真贋識別が実現する。
【0010】
なお、発光インキが発光する所定の環境としては、請求項2の交流電磁界環境や赤外線や紫外線が照射される光照射環境等を挙げることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記所定の環境は、交番電圧が印加されることにより形成される交流電磁界環境であり、上記発光インキは、交流電磁界環境で発光するエレクトロルミネセンスを用いたものであることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、エレクトロルミネセンスは、交流電磁界環境で発光するため、通常の環境では発光せず、従って、真贋識別時には有効にその機能を果した上で普段は支障なく紙葉類を使用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係る紙葉類識別装置の一実施形態を示す斜視図であり、図1は、ケーシング蓋体が閉じられた状態、図2は、ケーシング蓋体が開かれた状態をそれぞれ示している。また、図3は、ケーシングに内装された装置本体の一実施形態を示す分解斜視図であり、図4はその組立て斜視図である。さらに、図5は、図4のA−A線断面図であり、図6は、図4のB−B線断面図である。なお、図1〜図4において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0018】
本実施形態の紙葉類識別装置1は、交流電磁界の環境中に置かれることにより発光するEL(electroluminescence)インキと通常の印刷インキとの双方を用いて文字、図形あるいは記号が印刷処理された紙幣(紙葉類)Mの真贋を識別するものである。この識別を行うために、紙葉類識別装置1には、後に詳述する第1検出構造71と、第2検出構造72とが内装されている。第1検出構造71は、交流電磁界環境でのEL発光を検出するものであり、第2検出構造72は、通常インキの反射光を検出するものである。
【0019】
上記各図に示すように、紙葉類識別装置1は、装置本体2および制御装置8が箱型のケーシング9に内装されて形成されている。ケーシング9は、直方体状のケーシング本体91と、このケーシング本体91の上部に設けられた蓋体92とからなっている。
【0020】
ケーシング本体91の上面の幅方向両側部には、前後方向に延びる一対のブラケット93が設けられ、上記蓋体92は、その後端部がこれら一対のブラケット93間に挟持された状態で水平軸94回りに回動自在に軸支されることにより、図1に示すケーシング本体91上に折り重なった閉止姿勢と、図2に示すケーシング本体91の後端部に起立した開放姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
【0021】
そして、蓋体92が閉止姿勢に設定された状態で、図1に示すように、ケーシング本体91の上面と蓋体92の下面との間に紙幣搬送路95が形成され、ケーシング9の前面からこの紙幣搬送路95に紙幣Mを差し入れられることにより図略のセンサがこれを検出し、この検出信号に基づいた制御装置8からの駆動信号による駆動機構の駆動によって紙幣Mは紙幣搬送路95内に引き入れられ、装置本体2に内装された後に詳述する識別機構(第1検出構造71および第2検出構造72)によって真贋が識別されるようになっている。
【0022】
上記紙幣搬送路95におけるケーシング本体91の上面には、前後方向に延びる複数本の案内突条95aが突設されているとともに、隣接する案内突条95a間には長尺溝95bが形成され、これら案内突条95aと長尺溝95bとで、紙幣Mの搬送通路としてのケーシング本体91の天板950が形成されている。
【0023】
上記複数条の長尺溝95bには、それぞれの前後位置に切欠き窓が設けられてここから、図2に示すように、搬送ローラ95cの頂部が突出されている一方、蓋体92の裏面側には上記搬送ローラ95cに対向した前後一対の補助ローラ95dが設けられ、紙幣搬送路95に差し込まれた紙幣Mは、搬送ローラ95cと補助ローラ95dとに挟持された状態で、搬送ローラ95cの駆動回転により紙幣搬送路95を通過し、紙幣搬送路95の後端部から外部に導出されるようになっている。
【0024】
また、ケーシング本体91の右側部前方には、電源スイッチ96が設けられているとともに、上記蓋体92の頂部の前方位置には表示灯98が設けられている。この表示灯98は、紙葉類識別装置1が使用可能状態であるか否かを表示するレディランプ98aと、紙幣Mの真贋の識別結果が合格であることを表示する合格ランプ98bと、同不合格であることを表示する不合格ランプ98cとを備えている。上記レディランプ98aは、電源スイッチ96をオンにすることによって点灯し、これによって装置本体2が識別可能状態であることが表示されるとともに、装置本体2が識別処理中のときはこのレディランプ98aが消灯され、これによってレディランプ98aが点灯するまでつぎの紙幣挿入を差し控えるべきことが判るようになっている。
【0025】
上記装置本体2は、図3〜図6に示すように、後述する受光素子や発光素子、さらには光学部材や配線基板等が一体的にモジュール化されたセンサー装置20を含んで構成され、ケーシング本体91に内装されたローラ部材3と、このローラ部材3の周面に対向するように蓋体92に内装された、各種のセンサや基板等が装着されてなるセンサ筐体4とを備えている。
【0026】
上記ローラ部材3は、交流電源30(図5)からの交番電圧が印加される電極の一方側のものであり、ケーシング本体91内の所定の軸受に自軸心回りに回転自在に軸支される幅方向に延びた金属製の中心軸31と、この中心軸31に同心で一体に固定された金属円盤32と、この金属円盤32に同心で圧入外嵌されたチタン酸バリウム(BaTiO3)のような高誘電率材料製の絶縁リング33と、この絶縁リング33にさらに圧入状態で外嵌された、外周面が紙幣Mと直接接触する金属リング34とからなっている。
【0027】
また、交番電圧が印加される電極の他方側のものとしてリード板35が採用されている。このリード板35は、平板状のリード板本体35aと、このリード板本体35aの前端部が下方に折り曲げられて形成した折曲げ片35bとからなっている。そして、上記折曲げ片35bと後述するITO膜66(ガラス基板6の底面に蒸着された導電性の膜)とが図略の導電ペーストによって電気的に接続され、これらローラ部材3とITO膜66とに交流電源30からの交番電圧が印加されて紙幣搬送路95内に交流電磁界が形成されるようにしている。
【0028】
一方、上記ケーシング本体91には、その天板950の中央位置に方形のローラ嵌挿窓91a(図2)が穿設され、このローラ嵌挿窓91aからローラ部材3の金属リング34が外部に突出している。ローラ部材3は、図略の付勢手段の付勢力で上方に向かって付勢され、これによってその頂部が案内突条95aより上位に位置するようになされている。
【0029】
また、金属リング34には、その外周面を軸心の延びる方向に向けて横断した所定ピッチの縞模様が全周に亘って設けられている一方、ローラ部材3の近傍にはフォトレシーバー36が設けられている。このフォトレシーバー36は、金属リング34の外周面に投光してその反射光を受光するように構成されており、上記縞模様による反射光の変化でローラ部材3の回転速度を検出するためのものである。
【0030】
上記センサ筐体4は、平面視で正方形状を呈した所定厚み寸法の筐体本体41と、この筐体本体41の下部に一体に連設された逆四角錐台状の漏斗状部42とを備えて形成されている。一方、蓋体92の底板92aには、上記漏斗状部42に対応した矩形窓92b(図2、図5)が穿設されている。この矩形窓92bの内周面には、図5に示すように、上記漏斗状部42の外壁面の傾斜に対応した傾斜縁部92cが形成され、上から矩形窓92bに嵌め込まれたセンサ筐体4は、漏斗状部42の外壁面がこの傾斜縁部92cに当止することによって下面を外部に露出した状態で蓋体92内に装着されるようになされている。
【0031】
かかるセンサ筐体4の筐体本体41には、上面に後述する基板5を装着するための基板装着凹部43が凹設されているとともに、漏斗状部42の底面には、後述するガラス基板6を装着するためのガラス基板装着凹部44が凹設されている。そして、これら各凹部43,44間の光路に該当する部分は連通されて平面視で矩形状の光路孔45が形成され、ガラス基板6を通過した光はこの光路孔45を通って基板5の底部に向かうようになっている。
【0032】
また、上記基板装着凹部43の底部であって、光路孔45の右方位置には、後述するLED54を装着するためのLED装着孔46が穿設されている。このLED装着孔46は、下部が上記ガラス基板装着凹部44に連通されている。従って、LED54からの光は、このLED装着孔46を通ってガラス基板6に入光し、適所で反射して基板5の裏面側に向けて照射されることになる。
【0033】
また、漏斗状部42には、ガラス基板装着凹部44の後方側に隣接して上記リード板35を装着するためのリード板装着凹部47が設けられ、リード板35の折曲げ片35b側がこのリード板装着凹部47に嵌め込まれてねじ止めその他で固定されるようになっている。そして、リード板35がセンサ筐体4に取り付けられた状態で、折曲げ片35bは、その下端部がケーシング本体91の天板950(図2)に対向するように寸法設定されている。
【0034】
上記基板5は、裏面側に取り付けられた受光素子51の出力に所定の電気的な処理を施すためや、LED54に電力を供給するための配線等を行うためのものであり、センサ筐体4の光路孔45に対応した部分に受光素子51が幅方向に一対で並設されているとともに、上記LED装着孔46に対応した部分には、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)54が付設されている。
【0035】
上記受光素子51は、上記基板5裏面の左方位置に付設された第1受光素子(第1受光手段)52と、この第1受光素子52に隣り合ってその右側に付設された第2受光素子(第2受光手段)53とからなっている。第1受光素子52は、交流電磁界中で発光する特性を備えたEL(electroluminescence)材料からの、いわゆるEL光を検出するものである。かかるEL光を検出するために、第1受光素子52の表面には、EL光のみを透過させてその他の波長域の光をカットするバンドパスフィルター52aが積層され、このバンドパスフィルター52aの存在で第1受光素子52にはEL光のみが入光し得るようになっている。
【0036】
これに対し、上記第2受光素子53は、発光したLED54からの可視光線の紙幣M表面における反射光を検出するためのものである。LED54から照射されるLED光の波長はEL光の波長とは異ならせている。
【0037】
上記ガラス基板6は、図3に示すように、正面視(+Yの方向に向かってガラス基板6を見た状態)で五角形状の第1ガラス基板61と、この第1ガラス基板61の左側に積層された平行四辺形状の第2ガラス基板62と、この第2ガラス基板62の左側に積層された台形状の第3ガラス基板63とからなっている。
【0038】
第1ガラス基板61の右面は、図3および図6に示すように、水平面に対して45°の右下がりの傾斜を備えた傾斜面61aになっているとともに、同左面はこの傾斜面61aに平行に形成されており、LED54からの照射光は、この傾斜面61aに対して垂直に入光するようになっている。
【0039】
第2ガラス基板62は、左右の面がいずれも上記傾斜面61aに平行に形成されている。また、第3ガラス基板63は、右面が上記傾斜面61aと平行に形成されているとともに、左面は垂直面になっている。そして、第1〜第3ガラス基板61,62,63が幅方向に積層されることによって全体的に台形形状をしたガラス基板6が形成されている。かかるガラス基板6は、上記筐体本体41のガラス基板装着凹部44に圧入状態で嵌挿されるように立体形状が設定され、一旦嵌め込まれると摩擦力で抜け止め状態になるようになされている。
【0040】
上記第1ガラス基板61の左面または第2ガラス基板62の右面には、酸化チタン等の誘電体物質の蒸着によって形成された第1誘電体多層膜64が積層されているとともに、上記第2ガラス基板62の左面または第3ガラス基板63の右面には同第2誘電体多層膜65が積層されている。そして、第1誘電体多層膜64は、LED54から照射された波長の光を透過させるとともに、それ以外の波長の光を反射させるように成分設定および厚み設定されている。これに対し上記第2誘電体多層膜65は、少なくともEL光を反射させるように設定されている。
【0041】
そして、LED54の照射光は、第2ガラス基板62の底面に向かった後、上記底面に摺接している紙幣M表面の照射スポットP(図6)で乱反射し、この乱反射の上方に向かう垂直成分が第2受光素子53によって受光されるとともに、照射スポットPにおける紙幣Mで生じたEL光は、その垂直成分が第1誘電体多層膜64で直角に反射して水平成分になり、この水平方向に左方に向かうEL光はさらに第2誘電体多層膜65において直角に反射して上方に向かい、第1受光素子52によって受光されるように、上記第1および第2受光素子52,53は配置設定されている。
【0042】
かかるガラス基板6は、紙幣Mと接する裏面および右の垂直面にインデウムと錫の合金の酸化物であるITO(Indium−Tin−Oxide)を蒸着することによって形成されたITO膜66が積層されている。このITO膜66は、導電性を有する透明膜であり、導電性のペーストで折曲げ片35bと電気的に接続されている。そして、ガラス基板6の特に裏面側には、ITO膜66にさらにアルミナ皮膜やダイヤモンド皮膜で形成された強靭な透明絶縁膜67が積層され、この透明絶縁膜67の存在でガラス基板6の底部が紙幣Mと擦過してもITO膜66が損傷しないようになされている。また、透明絶縁膜67は、紙幣が紙幣搬送路95に存在しないときにITO膜66と金属リング34とが直接接触することを阻止し、これによって電気的な短絡現象の生じるのを防止する役割を担っている。
【0043】
そして、本実施形態においては、上記交流電源30と、ローラ部材3およびリード板35と、ガラス基板6と、第1受光素子52とでEL材料を含んだいわゆるELインキによる印字を検出する第1検出構造71(図5)が構成されているとともに、上記LED54と、ガラス基板6と、第2受光素子53とで上記ELインキに重ねて通常のインキで印刷された印字を検出する第2検出構造72(図6)が構成されている。本発明の真贋識別機構は、かかる第1および第2検出機構71,72によって検出された各検出信号を経時的に比較し、両者の相関関係を調べることにより紙幣Mの真贋を識別するように構成されている。
【0044】
かかる真贋識別機構を説明する前に、識別対象である紙幣Mの印字について説明する。図7は、紙幣Mの印刷状態の一例を示す斜視図である。また、図8は、そのC−C線拡大断面図であり、(イ)は、ELインキの上に通常の非発光性のインキが積層印字された状態、(ロ)は、通常の非発光性のインキにELインキを混合して得られた混合インキで印字された状態をそれぞれ示している。
【0045】
紙幣Mの表面には、各種の文字や図形や記号が多数印字されている。図7における例では、説明を容易にするために簡略化して紙幣Mの表面に「S」の英文字と、これを取り囲むように4つの点が印刷されたものを示している。かかる紙幣Mが紙葉類識別装置1の紙幣搬送路95(図1)に差し入れられることにより、搬送ローラ95c(図2)の駆動回転で紙幣搬送路95の奥部に引き入れられ、これによる受光素子51の紙幣Mに対する相対移動で、紙幣Mの図7に一点鎖線で示す部分が順次走査される。
【0046】
具体的には、紙幣Mの照射スポットP(図6)に照射されたLED54からの光の反射光が第2受光素子53によって経時的に受光されるとともに、紙幣搬送路95内が交流電磁界環境になることによる照射スポットPでのELインキの発光が第1受光素子52によって経時的に受光されるのである。そして、これら第1および第2受光素子52,53による受光結果が制御装置8で比較されて紙幣Mの真贋が識別されるのである。
【0047】
かかる紙幣Mは、図8に示すように、用紙M1と、印字面を平滑にするために所定のコーティング材でコーティング処理されることにより用紙M1表面に積層されたコーティング層M2と、このコーティング層M2の表面に印刷処理が施されることにより形成した印刷隆起部M3とからなっている。
【0048】
そして、印刷隆起部M3は、図8の(イ)に示す例の場合は、ELインキで印刷されたELインキ部M31と、その上に通常の印刷インキが積層されて形成した通常インキ部M32とからなっている。通常インキ部M32のインキは、EL光を透過し、かつ、EL光の波長と異なる波長のものが採用されている。
【0049】
これに対し、図8の(ロ)に示す例の印刷隆起部M3は、上記通常インキ部M32と同様の印刷インキからなるインキ生地M32′の中にEL材料の微粒子(EL微粒子M31′)が混入されてなるインキによって形成されている。そして、いずれの印刷隆起部M3も、受光素子51による走査により紙幣Mの真贋を識別する上で差はない。
【0050】
このような印刷隆起部M3の形成された紙幣Mを、紙葉類識別装置1の紙幣搬送路95に差し込むと、図略のセンサーがこれを検出し、これによる交流電源30からの電力供給により紙幣搬送路95内のローラ部材3とリード板35間が交流電磁界の環境に設定されるとともに、LED54が発光する。この状態で紙幣Mは搬送ローラ95cの駆動回転でローラ部材3の金属リング34とガラス基板6との間に入り込み(図6)、これらと摺接しながら紙幣搬送路95を通り抜け、受光素子51によって走査されることになる。
【0051】
そして、この走査において紙幣Mの印刷隆起部M3(図7、図8)が紙幣搬送路95内の照射スポットP(図6)に到達すると、この位置が交流電磁界環境になっていることから、ELインキ部M31(図8の(イ))またはEL微粒子M31′(図8の(ロ))が発光し、そのEL光がガラス基板6の第1誘電体多層膜64および第2誘電体多層膜65で反射してジグザグに進み、第1受光素子52に受光されるとともに(図6)、LED54の発光が第1誘電体多層膜64を透過して上記と同一位置の印刷隆起部M3の通常インキ部M32またはインキ生地M32′に照射され、その垂直反射成分が第2受光素子53に受光される。
【0052】
図9は、受光素子51による走査で第1受光素子52および第2受光素子53が検出した受光量に比例する出力値の経時変化を示すグラフである。このグラフでは、図7の「S」の中央部が走査された状態を想定しており、グラフ中の下部の曲線は第1受光素子52によるものであり、上部の曲線は第2受光素子53によるものである。
【0053】
このグラフで判るように、受光素子51による走査が印刷隆起部M3にまで及んでいない時刻「t0」から時刻「t1」までの間は、紙幣Mの表面は生地の色だけであるため、LED54の発光の反射光が第2受光素子53によって受光されるだけであり、従って、第2受光素子53からは、反射光量に見合った出力が発生しているのに対し、第1受光素子52からの出力値は「0」になっている。
【0054】
これに対し、走査が印刷隆起部M3に及んだ時刻「t1」から時刻「t2」までの間については、ELインキ部M31が発光する。このEL発光が第1受光素子52に受光されるとともに、LED54の照射光の印刷隆起部M3からの反射光も第2受光素子53によって受光されるため、第1および第2受光素子52,53の双方から検出信号が出力される。すなわち、上記期間(t1〜t2)内においては、ELインキの上に通常インキが重ねられた印刷隆起部M3が走査されるため、各受光素子52,53の経時的な出力値のパターンが略同一になるはずである。本発明においては、これらのパターンの同一性(この同一性の度合いのことを相関関係と称している)を所定の演算処理で算出することにより、紙幣Mの真贋を識別するようにしている。
【0055】
なお、ELインキ部M31あるいはEL微粒子M31′を構成しているELインキは、本来的に交流電磁界環境で発光するものであるが、LED54からの光が照射されることによっても通常インキ部M32あるいはインキ生地M32′を構成している通常のインキとは異なる波長の反射光を発する性質を有している。従って、紙幣Mを交流電磁界環境に置かなくても、LED54からの光を紙幣Mの表面に照射することによって、印刷隆起部M3から2種類の反射光を得ることが可能であり、上記図9のグラフで説明したような真贋の識別を行うことができる。
【0056】
そして、本発明のELインキ(発光インキ)が発光する所定の環境の中には、先に説明した交流電磁界環境の他に、紫外線や赤外線さらにはLED54の光が照射される環境も含まれる。
【0057】
図10は、制御装置8による紙幣Mの真贋識別制御の一実施形態を示すブロック図である。この図に示すように、紙幣Mの真贋識別制御は、内部にCPU(Central Processing Unit)80を備えた制御装置8により行われる。CPU80には、RAM(Random Access Memory)81およびROM(Read Only Memory)82が接続されている。
【0058】
上記RAM81は、データの読み書きを自在に行うことができる外部記憶装置であり、第1および第2受光素子52,53からの経時的な出力値や所定の演算処理結果等が入力されるとともに、必要に応じて中間処理や演算結果の各種の値が出力される。また、上記ROM82は、読み取り専用の外部記憶装置であり、真贋識別処理を行うプログラム(相関関係演算手段)が予め記憶されている。電源スイッチ96の操作で紙葉類識別装置1に電力が供給されると、ROM82のプログラムがCPU80に読み込まれる。そして、CPU80は、紙幣Mが紙幣搬送路95に差し込まれる都度、上記プログラムに従って各種の機器に向けて駆動信号を出力したり、第1および第2受光素子52,53からの検出信号に基づいた真贋識別演算を行うようになっている。
【0059】
かかる制御装置8とLED54との間にはLED制御回路54aが介設されている。このLED制御回路54aは、制御装置8からの制御信号に基づいてLED54の点灯・消灯を制御するものである。具体的には、紙幣Mが紙幣搬送路95に差し入れられたことを図略のセンサーが検出するとLED54が点灯し、紙幣Mが紙幣搬送路95を通過してしまうことによりLED54が消灯されるように制御が実行される。
【0060】
また、第1受光素子52と制御装置8との間には、第1増幅器521および第1A/D変換器522が直列で介設されているとともに、第2受光素子53と制御装置8との間には、第2増幅器531および第2A/D変換器532が直列で介設されている。各増幅器521,531は、第1および第2受光素子52,53からの微弱な検出信号を増幅するものであり、各A/D変換器522,532は、各増幅器521,531からのアナログ信号をディジタル信号に変換するものである。
【0061】
また、制御装置8には、タイミングパルス発生回路83が付設されている。このタイミングパルス発生回路83は、制御装置8からの制御信号に基づいて各A/D変換器522,532に対し、アナログ信号をディジタル信号に変換するに際し、時間的な区切りを示すいわゆるタイミング信号を与えるものであり、このタイミング信号による時間的な区切り内のアナログ量の最初の値あるいは平均値的な値がディジタル値とされる。
【0062】
このように処理された第1および第2受光素子52,53の出力値が制御装置8に入力される。そして、制御装置8のCPU80は、入力された上記出力値を対象として所定の演算処理を施し、紙幣Mの真贋が判別される。CPU80には、第1および第2受光素子52,53からの出力値を比較して両者間の相関関係を演算する相関関係演算手段80aと、この相関関係演算手段80aにより演算結果に基づいて紙幣Mの真贋を判別するおよび真贋判別手段80bとが設けられている。これら相関関係演算手段80aおよび真贋判別手段80bの詳細については後に図12を基に説明する。
【0063】
紙幣Mの真贋判別結果は、上記表示灯98に向けて出力され、合格ランプ98bおよび不合格ランプ98cのいずれが点灯しているかを視認することによって、紙幣搬送路95に通した紙幣Mの真贋を知ることができる。また、レディランプ98aの点灯によって紙葉類識別装置1が紙幣Mの受入れ可能を視認することができる。
【0064】
また、制御装置8には、紙葉類識別装置1に装置された各種の機器(搬送ローラ95cや図略のフラッパー等)に駆動信号を出力する駆動制御回路84が設けられている。紙幣Mが紙幣搬送路95に差し込まれると、そのことが図略のセンサーで検出され、駆動制御回路84からの制御信号が上記交流電源30に向けて出力されて紙幣搬送路95内が交流電磁界環境になるようになされている。
【0065】
以下、図11および図12を基に、制御装置8内における紙幣Mの真贋識別処理について説明する。図11は、受光素子51によって読み取ったデータを蓄積するデータサンプリングルーチンのフローを示すフローチャートであり、図12は、読み取ったデータから真贋を判定するための相関演算ルーチンのフローを示すフローチャートである。なお、図11に示すフローチャートにおいては、本発明の発光性インキが発光する環境として交流電磁界環境に代えて、LED54からのLED光が照射される環境を採用している。
【0066】
まず、図11を基に、受光素子51からの光電変換出力信号(第1受光素子52および第2受光素子53によって検出されたアナログ信号)を制御装置8内の所定の記憶装置またはRAM81に取り込む手順について説明する。ステップS1でデータサンプリングルーチンがスタートすると、制御装置8のCPU80は、ROM82に格納されているプログラムを呼び出して実行を開始し、プログラムに従って各部機構(レジスタ、カウンタ、フラッパ等)の初期化を行い(S2)、同時に駆動制御回路84による紙幣搬送機構の制御が開始される。この紙幣搬送機構の制御の一環としてLED制御回路54aからLED点灯信号が出力されてLED54が点灯する(S3)。
【0067】
ついで、搬送ローラ95cの駆動回転で紙幣搬送路95に差し込まれた紙幣Mが紙幣搬送路95内を前進し、紙幣Mはガラス基板6の底面とローラ部材3の周面との間に進入してローラ部材3を中心軸31回りに回転させる。このローラ部材3の回転速度は、縞模様を有する金属リング34の外周面に光を照射してその反射光を受光するフォトレシーバー36によって縞模様に対応したパルス信号として検出され、この検出結果に基づくCPU80からの制御信号によって上記パルス信号に同期して第1および第2受光素子52,53のアナログ出力値が各A/D変換器522,532によってディジタル信号に変換される(S4〜S5)。
【0068】
そして、第1および第2受光素子52,53によって読み取られた反射光の出力値は、それらがA/D変換される都度、CPU80を介して所定の記憶装置(例えばRAM81)に順番に記憶されていく(S6)。
【0069】
この記憶は以下のようにして行われる。すなわち、記憶装置の中に予め第1受光素子52からのディジタル信号である第1データPD1を順次記憶する第1格納エリアD1(i)(i(格納番地)=1〜n)を予め設定しておくとともに、第2受光素子53からのディジタル信号に関しても、同様に第2データPD2を順次記憶する第2格納エリアD2(j)(j(格納番地)=1〜n)を予め設定しておく。
【0070】
そして、第1および第2受光素子52,53から第1〜第2データPD1,PD2が生じる度に第1格納エリアD1(i)および第2格納エリアD2(j)に順番に(i=i+1、j=j+1)その値を記憶させていき(S7)、紙幣Mの後端部が照射スポットP(図5)を通過したことがフォトレシーバー36からの信号が途絶えることで検出されると(S8)、紙幣Mの読み取り操作が完了する。
【0071】
第1および第2受光素子52,53による紙幣の読み取りが完了すると、つぎに紙幣の真贋を判別するための相関関係演算のルーチンが実行される。以下これについて図12を基に説明する。このルーチンが実行される段階では、上記第1格納エリアD1(i)および第2格納エリアD2(j)内に第1および第2受光素子52,53からのn個のディジタル信号がそれぞれ格納されている。
【0072】
相関関係演算がスタートすると(S10)、まず、ELインキを検知する第1受光素子52が検出した、第1格納エリアD1(i)に記憶されているデータの値が予め設定された所定の閾値αより大きくなる番地(i=a〜a+k)が抽出される(S11)。
【0073】
ついで、上記番地(i=a〜a+k)に対応した第2受光素子53側の第2格納エリアD2(j)の番地(j=b〜b+k)を求め(S12)、新たにaをiに置き換えるとともに、bをjに置き換えた上で(S13)、第1格納エリアD1(i)および第2格納エリアD2(j)のそれぞれについて隣接している番地内のデータの差(AD1(i)およびAD2(j))を演算する(S14)。かかる差を求めることで、紙幣Mの搬送中に緩やかに変化するEL光やLED光の変動および受光素子51や回路の感度の差などを除去して紙幣Mに印刷されているパターンのみを有効に検出することが可能になる。
【0074】
つぎに、AD1(i)とAD2(j)との差の絶対値を順次求め、H(l)に格納する(S15)。かかる処理をiがa+kを越えるまで、およびjがb+kを越えるまで繰り返し(S14〜S17)、これが終わるとH(l)の値が合計される(S18)。そして、上記相関関係演算手段80a(図10)は、ステップS11〜ステップS18の処理を行うように構成されている。
【0075】
そして、上記合計値が、予め設定された真贋基準値εと比較され、ε以下のときは本物と判定される(S20)一方、εを越えると偽物と判定され(S21)て終了する(S22)。そして、上記真贋判別手段80bは、ステップS19〜ステップS21の処理を行うように構成されている。
【0076】
本発明の紙葉類識別装置1によれば、ELインキと、非発光性の通常インキとの双方を用いて印刷されている紙幣Mにおいて、両インキによるパターンの一致で真贋を識別するようにしているため、単にELインキの有無を検出して紙幣Mの真贋を判別する従来のものに比較してより高精度で紙幣Mの真贋を判定することができる。
【0078】
また、位置センサー等用いて紙幣Mの位置を検出し、ELインキが印刷されているエリアが各受光素子52,53によって受光され得る位置に到達したときに、各受光素子52,53の受光結果の差または比を求め、この差または比の値の経時変化によるパターンに基づいて真贋を識別してもよい。
【0079】
すなわち、本発明は、異なる波長を有する2種類のインキで文字や図形等が印字されているような紙幣Mの場合、これら2種類の波長のインキをそれぞれ別個に検出し、これらの検出結果を比較した結果、高い相関で一致している場合に本物と判定するものであり、相関関係の演算手法等については上記の実施形態に限定されるものではなく、標準偏差を求めたり差の検定を行う等の統計的な手法を含めて各種の方法が含まれる。
【0080】
図13は、本発明に係る真贋検出構造の他の実施形態を示す断面図である。この実施形態のものは、ELインキと通常の印刷インキとの間の光学的特性の差を利用して紙幣MにおけるELインキで印刷されている領域を特定することができるものであり、センサ筐体4には、3枚(第1ガラス基板61、第2ガラス基板62および第3ガラス基板63)が積層されてなるガラス基板6に代えて一体物のガラスプリズム60が採用されている。
【0081】
上記ガラスプリズム60は、正面視で左右対称の台形状を呈し、LED54の光軸に対して直交する右傾斜面60aと、この右傾斜面60aの図13における左端縁部から延設された水平方向に延びる天面60bと、この天面60bの左端縁部から延設された上記右傾斜面60aと対象の左傾斜面60cとを備えて形成されている。そして、ガラスプリズム60は、その上下方向に延びる中心線とLED54の光軸との交点位置に紙幣Mに対する照射スポットPが位置するように立体形状が設定されている。その他の紙葉類識別装置1の構成は先の実施形態のものと同様である。
【0082】
かかるガラスプリズム60を採用すれば、照射スポットPを交流電磁界環境に設定しない状態で、LED54からの照射光(LED光)は、右傾斜面60aにおいて屈折することなくガラスプリズム60内に入光し、その多くは照射スポットPにおいて紙幣Mの表面で左傾斜面60cと直交する方向に向けて反射し、左傾斜面60cを通ってガラスプリズム60外に導出され、正反射光として第1受光素子52によって受光されるとともに、照射スポットPにおける紙幣M表面で乱反射した光の一部は拡散反射光として第2受光素子53に受光されることになる。
【0083】
そして、紙幣Mの紙面にELインキが存在しない状態では、第1受光素子52によって受光されるLED54から照射された光の採光スポットPからの正反射光の受光量(矢印aで表示)は、第2受光素子53によって受光される同乱反射光の受光量(矢印bで表示)より大きくなる。
【0084】
これに対し、紙幣Mの紙面にELインキが存在し、かつ、採光スポットPが交流電磁界環境になっているときには、第2受光素子が受光するELインキからの発光の受光量(矢印cで表示)は、第1受光素子52が受ける同発光の受光量(矢印dで表示)より大きくなる。従って、第1受光素子52の受光量と第2受光素子53の受光量との差や比を調べることによって、印刷隆起部M3が通常のインキのみで形成されているのか、ELインキのみで形成されているのか、あるいは両者が併用されているのかを知ることができる。
【0085】
そこで、例えばLED54に供給する電流を調節して紙幣Mよりの反射光の光強度を、ELインキの発光の光強度と同程度になるように設定しておけば、EL発光がない場合には第1受光素子の出力が第2受光素子の出力より大きくなるのに対し、EL発光がある場合には、第2受光素子の出力が第1受光素子52の出力より大きくなって上記と逆転し、これによってEL発光が存在するか否かを知ることができる。
【0086】
以上の実施形態においては、第1および第2受光素子52,53からの出力値を比較して両者間の相関関係に基づいて紙幣Mの真贋を識別するようにしているが、こうする代わりに、予め本物の紙幣Mの第1および第2受光素子52,53による経時的な受光パターンを記憶しておき、紙幣Mの真贋を識別するに際し、非識別紙幣を紙葉類識別装置1に供給する都度、第1および第2受光素子52,53が読み取った経時的な受光パターンと、予め記憶されている基準パターンとを比較し、所定の許容範囲で両者が同一とみなされる場合に被識別紙幣を本物と判定するようにしてもよい。
【0087】
かかる識別方法を適用する場合には、制御装置8の中に、本物の紙幣の受光基準パターンを予め記憶しておく基準パターン記憶部と、第1および第2受光素子52,53からの出力値と、上記基準パターンとを比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて紙葉類の真贋を判別する真贋判別手段とが設けられる。
【0088】
また、上記の実施形態においては、第1受光素子52および第2受光素子53の双方が紙幣Mの同一位置(照射スポットP)からの光を受光するように構成されているが、こうする代わりに、図14に示すように、第1受光素子52の受光対象位置と、第2受光素子53の受光対象位置とを空間的に前後に(紙幣Mの進行方向に)若干ずらせてもよい。但し、この場合は、空間的なずれを時間的に補償する操作を行う必要がある。このために、例えば第1受光素子52が受光してから所定時間経過後の第2受光素子53の受光とを対応させる等の操作を行えばよい。こうすることによって、狭隘な場所に第1および第2受光素子52,53を配置する不都合を回避した上で、第1および第2受光素子52,53が同一位置から受光したのと同一の効果を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、重ね塗り状態で印刷された紙葉類表面の発光インキと通常インキとは同一のパターンを有しており、かかる紙葉類は、同一位置に重ねて印刷された発光インキと通常インキとの双方を読み取って真贋が判別されるため、これらパターン間の相関関係を求めることで真贋を識別することができる。そして、単に発光インキの有無のみを検出して真贋を識別する従来の識別方式に比較し、識別精度をより高精度にすることができる。
【0090】
請求項2記載の発明によれば、交番電圧が印加されることにより形成される交流電磁界環境で発光するエレクトロルミネセンスを発光インキとして採用したため、エレクトロルミネセンスは通常の環境では発光せずに無色であり、従って、真贋識別時には有効にその機能を果し得るようにした上で普段は支障なく紙葉類を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙葉類識別装置の一実施形態を示す斜視図であり、ケーシング蓋体が閉じられた状態を示している。
【図2】図1の紙葉類識別装置の斜視図であり、ケーシング蓋体が開かれた状態を示している。
【図3】ケーシングに内装された装置本体の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3の装置本体の組立て斜視図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】紙幣の印刷状態の一例を示す斜視図である。
【図8】図7のC−C線拡大断面図であり、(イ)は、ELインキの上に通常の非発光性のインキが積層印字された状態、(ロ)は、通常の非発光性のインキにELインキを混合して得られた混合インキで印字された状態をそれぞれ示している。
【図9】受光素子による走査で第1受光素子および第2受光素子が検出した受光量に比例する出力値の経時変化を示すグラフである。
【図10】制御装置による紙幣の真贋識別制御の一実施形態を示すブロック図である。
【図11】受光素子によって読み取った光強度のデータを蓄積するデータサンプリングルーチンのフローを示すフローチャートである。
【図12】読み取ったデータから真贋を判定するための相関演算ルーチンのフローを示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る真贋検出構造の他の実施形態を示す断面図である。
【図14】第1受光素子および第2受光素子の設置位置の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 紙葉類識別装置 2 装置本体
20 センサー装置 3 ローラ部
30 交流電源 31 中心軸
32 金属円盤 33 絶縁リング
34 金属リング 35 リード板
35a リード板本体 35b 折曲げ片
36 フォトレシーバー 4 センサ筐体
41 筐体本体 42 漏斗状部
43 基板装着凹部 44 電極部材装着凹部
45 光路孔 46 LED装着孔
47 リード板装着凹部 5 基板
51受光素子 52 第1受光素子
52a バンドパスフィルター
521 第1増幅器 522 第1A/D変換器
54 LED 54a LED制御回路
6 ガラス基板 60 ガラスプリズム
60a 右傾斜面 60b 天面
61 第1ガラス基板 61a 傾斜面
62 第2ガラス基板 63 第3ガラス基板
64 第1誘電体多層膜 65 第2誘電体多層膜
66 ITO膜 67 透明絶縁膜
71 第1検出構造 72 第2検出構造
8 制御装置 80 CPU
80a 相関関係演算手段
80b 真贋判別手段
81 RAM 82 ROM
83 タイミングパルス発生回路
84 駆動制御回路 9 ケーシング
91 ケーシング本体 91a ローラ嵌挿窓
92b 矩形窓 92c 傾斜縁部
93 ブラケット 94 水平軸
95 紙幣搬送路 95b 長尺溝
95c 搬送ローラ 95d 補助ローラ
96 電源スイッチ 98 表示灯
98a レディランプ 98b 合格ランプ
M 紙幣 M1 用紙
M2 コーティング層 M3 印刷隆起部
M31 ELインキ部 M31′ EL微粒子
M32 通常インキ部M M32′ インキ生地
P 照射スポット
Claims (2)
- 所定の環境中に置かれることにより発光する発光インキと通常の印刷インキとの双方を用いて印刷処理された紙葉類の真贋を識別する紙葉類識別装置であって、
前記紙葉類を一定方向へ搬送する搬送路と、
前記搬送路上の紙葉類へ光を照射する発光素子と、
前記発光インキからの発光を受光する第1受光手段と、
前記第1受光手段が受光する光と同一の紙葉類上の位置からの光であって、前記発光インキの発光波長と異なる波長の光の通常のインキからの反射光を受光する第2受光手段と、
前記第1受光手段により検出された第1データ及び前記第2受光手段により検出された第2データをそれぞれサンプリングして番地順に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された第1データのサンプリング値のうちの所定の閾値以上のものと、そのサンプリング値に対応した番地に記憶されている第2データのサンプリング値とから、前記第1データにおける互いに隣接する番地のデータの差を求めるとともに前記第2データにおける互いに隣接する番地のデータの差を求め、続いて互いに対応する隣接番地における、これらの第1データ差と第2データ差との差の絶対値を算出することを繰り返し、得られた複数の算出値を合計する相関関係演算手段と、
この相関関係演算手段の演算結果に基づいて紙葉類の真贋を判別する真贋判別手段とを具備することを特徴とする紙葉類識別装置。 - 上記所定の環境は、交番電圧が印加されることにより形成される交流電磁界環境であり、上記発光インキは、交流電磁界環境で発光するエレクトロルミネセンスを用いたものであることを特徴とする請求項1記載の紙葉類識別装置。
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