JP4485635B2 - コロナ放電器およびそれを用いたガス処理装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、脱臭装置などのガス処理装置に使用するコロナ放電器に関するものである。さらには、コロナ放電器を用いたオゾンガス発生装置やオゾン水製造装置に関するものである。特に放電部がパイプの外表面に形成されている沿面放電型コロナ放電器の冷却方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の円筒状コロナ素子1は、冷却効率を良好に保つために図1に記載のように内面に放電電極4を設けて外面に冷却フィン3を設けて冷却風6を送風して冷却していた。
しかし、円筒状誘電体2の内面に放電電極4を形成するためには、平板状の誘電体上に放電電極を形成した後に丸めてパイプ状にする必要があり、製造工程が複雑になる上に、丸めて製造した円筒精度が悪かった。
さらに、沿面放電のプラズマ化学反応により酸や塩が生成され、これらを定期的に清掃して放電面を清浄に保つ必要があるが、円筒の内径が小さい場合には円筒内面の放電部の清掃が困難であった。
【0003】
この改善策として、図2に示すように円筒状誘電体2の外面に放電電極4を形成したコロナ放電器が考えられた。この場合、円筒状の誘電体に直接放電電極を形成できるので、放電電極の形成工程が簡略化でき、さらに、放電部が外表面となるため汚れの清掃が容易となる。
しかしながら、外表面に放電電極を形成した円筒状のコロナ放電器を冷却するためには、外筒9及び円筒状コロナ放電素子1の両端にパッキン11を介してフランジ7を結合し、原料ガスならびに生成されたオゾンのガス通路15と隔離して冷却水通路16を形成し、パイプの内部に冷却水を供給することで冷却する必要があり、オゾン発生装置の構造が複雑なものとなってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、円筒外面に放電電極を形成したコロナ放電器の冷却効果を高めると同時に、これを組み込んだガス処理装置ならびにオゾン発生装置の構造を簡易なものとし、コロナ放電器の脱着ならびに放電部の清掃を容易とする点である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円筒状誘電体の外面に放電電極を設け、該円筒状誘電体の肉厚内もしくは内面に誘電電極を設け、両電極間に交流高電圧もしくはパルス高電圧を印加してコロナ放電を発生させる沿面放電型コロナ放電器において、該誘電体内面と気密に熱接触させたヒートパイプを用いて沿面放電で発生する熱を除去することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
外表面に放電電極を形成した円筒状の沿面放電型コロナ放電器の冷却効果を高めると同時に、これを組み込んだガス処理装置ならびにオゾン発生装置の構造を簡易なものとし、これの脱着ならびに放電部の清掃を容易に行うという目的を、コロナ放電器の誘電体内面と気密に熱接触させたヒートパイプを設けることで実現した。
【0007】
【実施例】
図3ならびに図4に示すが如く、外面に放電電極4を形成した円筒状の沿面放電型コロナ放電素子1の内面にヒートパイプ19aを空隙が無いようにサーマルジョイント33等を用いて熱接触させたコロナ放電器を構成する。
【0008】
この場合、誘電電極3は円筒状誘電体2の肉厚内、または誘電体内面に設ける。もしくは、図4に示すようにヒートパイプ外筒19dは通常金属パイプで構成されているのでヒートパイプ外筒19d自体を誘電電極4とすることも可能である。
【0009】
外面に形成された放電電極は沿面放電でスパッタリングを受けて消耗する場合があるため、釉薬、セラミック、合成樹脂などの保護膜32を形成し消耗を防止するのが良い。
また、撥水性を有するフッ素樹脂で被覆すれば、ミスト付着を防止すると同時に沿面放電を阻害する塩や酸のコロナ放電器放電面への付着が防止できる。
【0010】
通常、図3の実施例のように円筒状の誘電体の一端はガラス等の誘電体で封栓28を施し円筒の内部と気密に保たれる構造が用いられる。その場合、ヒートパイプの凝縮部は誘電体の他端から外部に突出し、該凝縮部を冷却フィン3や図3には図示しないが図4に例示したヒートシンク37などの熱交換手段に熱接触させる。
その結果、円筒状コロナ放電器で発生する熱をヒートパイプ蒸発部19bから凝縮部19cにヒートパイプで輸送のうえ、凝縮部に設けた熱交換手段である冷却フィン3やヒートシンク37を風冷もしくは水冷することで外部に放熱することが可能となるわけである。
【0011】
図4の実施例では両端が開放された円筒状の沿面放電型コロナ放電器を用いて、ヒートパイプを貫通させてその中央部にコロナ放電器の放電電極4を設けることでヒートパイプ蒸発部19bを形成し、ヒートパイプの凝縮部19cを両端とすることも可能である。
本実施例では凝縮部に風冷の冷却フィン3と水冷のヒートシンク37をそれぞれ取り付けているが、いかなる熱交換手段を用いても良い。また、ヒートパイプのいずれか一方側のみに熱交換手段を用いても良い。
【0012】
本コロナ放電器を悪臭、NOx、SOx、揮発性有機溶剤、フロン、ハロン、ダイオキシン、水銀蒸気などのガス状汚染物質を含有するガスを処理するガス処理装置ののガス通路に取付けて被処理ガスを沿面放電に直接晒すことで、ガス状汚染物質を無害な物質に変換することが可能である。
【0013】
この場合、図3に示すが如くヒートパイプを円筒状誘電体2にサーマルジョイント33を介して熱接触させた沿面放電型コロナ放電器の放電部27をその余の部分の給電部22をフランジ21で仕切り、その放電部27では放電電極4のみが保護膜32を介して露出し、誘導電極5を円筒状誘電体2の肉厚内または内面に形成し、放電電極4と誘導電極5の給電部22を該フランジ21の外部に引き出した構造とし、該フランジ21で気密にガス処理装置のダクト29に取り付ける。
【0014】
その結果、給電部22は被処理ガスと分離され、被処理ガスは該コロナ放電器の放電部と直接接触することになり、沿面放電で生成されるプラズマの作用(ラジカル反応、直接の電子射突、紫外線)を受けガス状汚染物質が無害な物質に変換される。
【0015】
沿面放電型コロナ放電器の放電による発熱は被処理ガスにより冷却されうるが、これによる冷却効果が不十分な場合、または、被処理ガス温度が高くコロナ放電器を被処理ガス温度より低くする必要がある場合、もしくは、事故で被処理ガス流れが停止した場合などに、該コロナ放電器に取り付けたヒートパイプ19aで沿面放電による発熱を除去することが可能となり、より効果的な沿面放電を継続すると同時に、事故時のコロナ放電器の過熱による破損を防止することが可能となる。
【0016】
他の実施例として、図4に示すが如く、両端が開放された円筒状誘電体2の内部をヒートパイプ19aが貫通しており、その中央部にコロナ放電器の放電部27を設置することでヒートパイプ蒸発部19bを形成し、ヒートパイプの両端に冷却フィン3やヒートシンク37等の熱交換手段を取り付け、円筒状誘電体をO−リング35と押さえフランジ34を用いて被処理ガスダクト内に放電部のみを気密に保持することも可能である。
それによる効果は図3の実施例と同様である。
【0017】
図5の実施例では被処理ガスの通路と分岐した分岐配管41にエタン、メタン、プロパン、アセチレンなどの炭化水素など沿面放電でOHラジカルなど酸化性ラジカルを生成するガス、窒素やアンモニアや尿素含有ガスなどの還元性ラジカルを生成するガス、もしくは空気などの両性のラジカルやオゾンを生成するガスを供給するガス源40aを配管接続し、該分岐配管41に図3もしくは図4の構造の円筒状沿面放電型コロナ放電器を気密に取り付けた上、沿面放電でラジカルやオゾンに変換し被処理ガスの通路に噴出させ、被処理ガスをラジカル化学反応させて処理するものである。
【0018】
さらに、図5に示すようにラジカル反応部45の後段に触媒層、光触媒層、活性炭層、ゼオライト層、シリカゲル層、添着炭層、薬剤坦持吸着層のうち少なくとも1つのガス滞留層46を設けることで、被処理ガス中のガス状汚染物質とラジカルやオゾンとの反応促進を行うことが可能となる。勿論、図3、図4のガス処理装置の後段側にガス接触層を設けて反応促進を計ることも可能である。
【0019】
コロナ放電器の放電面は、被処理ガス中のガス状汚染物質やラジカル生成用ガス源により酸や塩、もしくはポリマーが生成され汚染される場合がある。その場合、沿面放電が阻害され、ガス処理性能劣化が発生する。
そこで、図3、図4に示すように生成された酸や塩、ポリマーなどを洗浄液を放出するノズル25から水、湯などの洗浄液をコロナ放電器の沿面放面に噴出させて除去すると良い。
【0020】
また、他の実施例として、図6に示すようにヒートパイプを円筒状誘電体2にサーマルジョイント33を介して熱接触させた沿面放電型コロナ放電器の放電部27をその余の部分の給電部22をフランジ21で仕切り、放電部27を取り囲むようにガス入口48とガス出口50を有するハウジング49を設け、該コロナ放電器を該ハウジング49に該フランジ21を介して気密に取り付けた上で、オゾン生成用原料ガス例えば空気や酸素をガス入口48から導入して沿面放電の作用でオゾンの生成を行うものである。
【0021】
この場合、ヒートパイプの種類ならびにヒートパイプ凝縮部を冷却する冷媒ならびに温度を適当に選択することでより経済的なオゾン生成を行うことが可能となる。すなわち、オゾンは低温ほど生成効率が上がるが−112℃で液化してしまうので直接液体窒素などで冷却するとオゾンが固化又は液化してしまう恐れがある。ヒートパイプを冷熱源とコロナ放電素子の間に介在させることでヒートパイプの熱輸送量と放電部の発熱量を適当に選択することができる結果、オゾン生成に望ましい温度とすることが可能となる。
【0022】
勿論、常温付近の温度に保つにもヒートパイプを介在させることで、ヒートパイプの熱輸送量に見合った冷却が可能となる。
【0023】
図6の実施例では、円筒型のコロナ放電器をそのフランジ部でハウジングから取り外すと沿面放電部が露出し適宜清掃が可能となるため、従来の例えば内径20mm以下の円筒型のコロナ放電器で沿面放電部が内面に形成されているコロナ放電器に比較してはるかに清掃が容易となる。
【0024】
図示はしないが、図4に示す構造の円筒型のコロナ放電器を用いても図6と同様のオゾン発生装置を構成することができる。
【0025】
次に、これらのオゾン発生装置を図6に示すように該ガス出口50にガスパイプ51を接続のうえ流量調整バルブ52及び/又は逆止弁53を介してイジェクター57aのガス吸引孔58に接続するとともに、該イジェクターの入口57bに水道栓もしくは水を加圧するためのポンプ54を接続して、加圧された水を該イジェクターに供給し、水がイジェクターを通過する際に生じる負圧で該オゾンガス発生装置で生成されたオゾンガスを吸引し水と混合されることでオゾン水61を吐出口60より得ることができる。
この場合、逆止弁に直列に電磁弁(図示はしない)を接続し、フロースイッチ55からの信号で水が流れていることを確認した上、電磁弁を開いてオゾンガス発生装置からのオゾンガス供給を開始することで、水がオゾンガス発生装置に逆流することを確実に防止できる。
さらに、イジェクターの出口57cにスタティックミキサーや整流器、または単に直管などの気液混合器59を接続してオゾンガスと水との混合効率をより良くすることもできる。
【0026】
また、オゾン発生装置を図6に示すように該ガス出口50にガスパイプ51を接続のうえ流量調整バルブ52及び/又は逆止弁53を介してイジェクター57aのガス吸引孔58に接続するとともに、該イジェクターの入口57bにコンプレッサーや圧力空気配管などの加圧空気源54に接続して出口にオゾンガス散布用ノズル60をその末端に設けたパイプ59を接続し、希釈したオゾンガスを無人の食品工場、病室などに放出し、一定時間オゾンガス濃度を例えば0.1ないし数ppmに高め殺菌や脱臭などを目的としたオゾン薫蒸を行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のコロナ放電器は円筒状誘電体の内面にヒートパイプ蒸発部を気密に熱接触させることで効果的な冷却を行うことが可能となった。さらに、本コロナ放電器をガス処理装置やオゾン発生装置として用いた場合、放電面が円筒状の誘電体外面にあるため、清掃が容易となる。
【0028】
特に、ガス処理装置として用いた場合には洗浄液放出ノズルを設け、沿面放電のプラズマ反応で沿面放電面に生成される酸や塩などの汚れを自動的に洗浄液を噴出し清掃することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の円筒型コロナ放電素子の構造と冷却方法の説明図である。
【図2】従来の円筒型コロナ放電素子の他の構造と冷却方法の説明図である。
【図3】本発明によるコロナ放電素子及びそれを用いたガス処理装置の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図4】本発明によるコロナ放電素子及びそれを用いたガス処理装置の実施方法を示した説明図である。(実施例例2)
【図5】本発明によるコロナ放電素子及びそれを用いたガス処理装置の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
【図6】本発明によるコロナ放電素子及びそれを用いたオゾン発生装置の実施方法を示した説明図である。(実施例4)
【符号の説明】
8 留めネジ
10 原料ガス入口
12 冷却水入口
13 冷却水出口
14 オゾン含有ガス出口
17 高周波高圧電源またはパルス電源
18 配線
19e ウイック
20 ダクトフランジ
23 パッキン
24 洗浄液
26 ガス通路
30 洗浄液パイプ
31 洗浄液供給源
38 冷却水通路
39 水冷
40b ガス配管
43 フランジ
44 オゾンやラジカル流
47 清浄ガス出口
54 水道栓またはポンプ/加圧空気源
56 接続配管
59 気液混合器/パイプ
60 吐出口/ノズル
61 オゾン水/希釈オゾンガス
Claims (6)
- 一端が封じられた円筒状誘電体の開放端よりヒートパイプを挿入するとともに、該ヒートパイプの円筒状誘電体の外部に露出した部分に冷却フィンを取り付け、該円筒状誘電体の外表面にコロナ放電電極を、その内部に誘導電極を形成し、両電極間に交流高電圧もしくはパルス高電圧を印加してコロナ放電を発生させる沿面放電型コロナ放電器において、
該円筒状誘電体の外面をフランジで2つに仕切り、コロナ放電電極と誘導電極で形成される放電部を該円筒状電極の封じられた側に設るとともに、該フランジで気密に放電部を分離することで放電部のみが被処理ガスに曝される構造とするとともに
該円筒状誘電体のフランジで仕切られたもう一方側に、コロナ放電電極と誘導電極のそれぞれに接続された給電部を設けることで、放電部、給電部、ヒートパイプならびにフランジが一体構造の沿面放電器とし、
該フランジでガス処理装置のダクトに気密に取り付ける構造であることを特徴とするコロナ放電器。 - 円筒状誘電体の外表面に形成された放電電極が釉薬、セラミック、合成樹脂などの保護膜で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のコロナ放電器。
- 請求項1または2に記載のコロナ放電器を、被処理ガスのガス通路に取り付けて被処理ガスを沿面放電に直接晒すことを特徴とするガス処理装置。
- 請求項1または2に記載のコロナ放電器を、被処理ガスのガス通路の分岐配管に取付け、該分岐配管にラジカル発生源となるガス源を接続し、沿面放電でラジカルを生成のうえ被処理ガスのガス通路に吹き込むことにより生成ラジカルを被処理ガスに作用させることを特徴とするガス処理装置。
- 請求項3または4に記載のガス処理装置において、触媒層、光触媒層、活性炭層、ゼオライト層、シリカゲル層、添着炭層、薬剤坦持吸着層のうち少なくとも1つのガス接触層を設けることを特徴とするガス処理装置。
- 請求項3から5のいずれかに記載のガス処理装置において、該コロナ放電器に向けた洗浄液放出ノズルを設けることを特徴とするガス処理装置。
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