JP4484469B2 - cmサイズのコロイド結晶の製法 - Google Patents

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Description

この発明は、表面電荷を有するコロイド粒子から成るcmサイズの3次元単結晶を製造する方法に関する。
近年、コロイド粒子が液体中で形成する結晶構造(コロイド結晶)に着目した応用展開が検討されている。コロイド結晶は粒子が三次元的に規則正しく配列した集合体であり、1)表面に電荷を持つイオン性コロイド粒子(シリカ、イオン性高分子ラテックス等)が水等の極性液体中において、粒子間の強い静電的相互作用により安定化され形成する場合と、2)非イオン性コロイド粒子がパッキングして形成する場合があるが、本発明が対象とするのは、前者のイオン性コロイド粒子系である。
コロイド結晶の結晶面間隔は、原子・分子系結晶の場合よりはるかに大きく、しばしば用いられる実験条件(イオン性粒子系の場合、粒径0.1〜1μm、粒子の体積分率10−3〜10−1)において、可視光の波長のオーダーとなる。このため、コロイド結晶は可視光のBragg回折により、イリデセンスと呼ばれる虹色の光を発し、また、可視光に対する特異的な吸収帯(フォトニックバンドギャップ)を持つ。これらの特性に基づき、コロイド結晶を用いて新規な特性を持つ光学素子を作製する試みが近年盛んに行われている。
例えば、本発明者らは、シリカコロイドを用い、塩基(NaOH)を添加したpHが均一の系で、粒子表面電荷数を増加させることにより、コロイドの結晶化が生じることを見出した(非特許文献1)。更に、本発明者らは、この実験を拡張し、pHが均一の系で、NaOH濃度、添加塩(NaCl)濃度に加えて、粒子濃度も変数とした、結晶化の3次元相図を決定し、既存の理論と比較した(非特許文献2,3)。また、顕微鏡法によりこのコロイド結晶グレインを観察して、グレインの合体による成長過程や、粒子濃度によるグレインサイズの変化を検討した(Langmuir, vol.15, No.8, 1684-2702 (1999))。しかし、これらの論文には、相図上で液体−結晶相境界に近いほど、結晶グレインサイズは大きいことは示されているが、系統的な調査にもかかわらず、数cmの単結晶は常法では得られていなかった。
また、本発明者らは、このような課題を解決するために、既にイオン性コロイドの分散液に、温度変化と共に解離度が変化する弱電離物質を加えて温度を変化させることにより、このコロイドを結晶化することができることを見出している(特許文献1)。
Phys. Rev. E. 53, R4314 (1996) Physical Review Letters vol.80, No.26, 5806-5809 (1998) Langmuir, vol.15, No.8, 1684-2702 (1999) 特許第3025233号
本発明は、イオン性コロイド分散液から、特殊な装置や複雑な工程を必要とせずに比較的簡単にコロイド結晶を製造することのできる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、コロイド分散液のイオン濃度や粒子濃度を結晶化条件を満たすように選択し、初期のコロイド粒子の表面電荷数が結晶化条件を下回るようにしておいて、分散液中にpH勾配又はイオン濃度勾配を設けると、pHの増加又はイオン濃度の減少によりコロイド粒子の表面電荷数が増加するため、コロイドの表面電荷数が結晶化条件を満たした位置にあるコロイド粒子から順次結晶化し、更に、このような結晶化条件を満たす領域を空間的に移動させると、この移動に従って大きな単結晶が形成されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、表面電荷を有するコロイド粒子が極性溶媒に分散されたコロイド分散液にpH勾配を設け、このpHを徐々に上げることにより、該分散液に該コロイド粒子から成る3次元結晶を製造する方法であって、該コロイド分散液中のコロイド濃度が0.01〜70体積%であり、該コロイド分散液の初期pHを(等電点+2)以下として、該pH勾配を(等電点+2)から(等電点+6)の範囲のpHを含んだものとする方法である。
pH勾配を設け、pHを徐々に上げるために、このコロイド溶液中に塩基又は塩基の弱酸塩を含有させた高分子ゲルを静置してもよいし、このコロイド溶液に塩基若しくは塩基の弱酸塩又はこれらを含む溶液を添加してもよいし、このコロイド溶液を高分子ゲルを介して塩基又は塩基の弱酸塩の溶液に接触させてもよい。
このようにpHを徐々に上げることにより、その結果、結晶化領域が空間的に移動し、大きなコロイド単結晶の生成を促すこととなる。
また、本発明は、表面電荷を有するコロイド粒子が極性溶媒に分散されたコロイド分散液にイオン濃度勾配を設け、このイオン濃度を徐々に下げることにより、該分散液に該コロイド粒子から成る3次元結晶を製造する方法であって、該コロイド分散液中のコロイド濃度が0.01〜70体積%であり、該コロイド分散液の初期イオン濃度を10μM以上とし、該イオン濃度勾配を1μM〜10mM範囲のイオン濃度を含んだものとする方法である。このイオン濃度勾配は、ある範囲のイオン濃度から成るが、1μM〜10mMのいずれかのイオン濃度(即ち、結晶化の起こるイオン濃度)を含めばよい。
イオン濃度勾配を設け、イオン濃度を徐々に下げるために、このコロイド溶液中にイオン交換樹脂を静置してもよい。
このようにイオン濃度を徐々に下げることにより、その結果、結晶化領域が空間的に移動し、大きなコロイド単結晶の生成を促すこととなる。
本発明においては系を密閉系に保つことができるため、イオン性不純物による汚染を防いで高性能のコロイド結晶を得ることができる。
本発明で得られる単結晶は、単結晶としたのち、結晶を高分子ゲルで固定し、媒体の蒸発を避けるために容器内に密閉して光学素子として使用できる。コロイド結晶には、回折波長を容易に制御できる(粒子濃度を変えることによる)こと、材料が安価であること、リソグラフィー法とくらべ、コロイドの自己組織化を利用しているため、周期構造が短時間で形成されること、などのメリットがあり、光フィルター、フォトニック素子として幅広く応用可能である。
まず、本発明の結晶生成の原理を説明する。
イオン性コロイド系においては粒子間静電的相互作用の増加に伴って結晶化が起こり、ここで、静電的相互作用の大きさは、粒子の有効表面電荷密度(σ)の増加、粒子の体積分率(φ)の増加、または添加塩濃度(C)の減少により増加することが本発明者らにより見出されている(Phys. Rev. E. 53, R4314 (1996)、Phys.Rev.Lett.vol.80,no.26,5806-5809 (1998))。
イオン性コロイド系の相図の一例として、直径120nmのシリカ粒子の結晶化の相図を図1に示す。σ、φ、Cを、この相図の固相(結晶化)領域にすることによって、コロイドは結晶化する。例えば、初期状態を有効表面電荷密度(σ)が十分に低い状態にしておき、塩基の添加によりpHを上げると、有効表面電荷密度(σ)が増加し、これに伴って、コロイド粒子間の静電反発が強くなり、コロイドは結晶化する。また、初期状態を添加塩濃度(C)が十分に高い状態にしておき、イオン濃度を減少させると、添加塩濃度(C)が減少し、相図の固相(結晶化)領域に入ることにより、コロイドは結晶化する。
これまでσ値の制御は、コロイド粒子の表面電荷密度を積極的に変化させるべきとの考えから、コロイド分散液に専ら強電離物質(強電解質)を添加することにより行われていた。例えば、本発明者らも、以前の実験では、シリカコロイド系に水酸化ナトリウムNaOHを添加し、シリカ粒子表面の弱酸性シラノール基(Si−OH)の解離度を変化させるように試みた(Phys. Rev. E. 53, R4314 (1996))。NaOHは強塩基であり、その解離(NaOH→Na + OH)はほぼ完全であると見なせる。しかし、これまでの技術は、pHやイオン濃度を一定とするような条件でのみ行われて来たため、大きな単結晶を形成させることは出来なかった。
しかし、本発明においては、初期のコロイド分散液を図1の結晶化領域外になるように設定し、図1の結晶化領域をもたらすようなpH勾配又はイオン濃度勾配をコロイド分散液中に設け、これを空間的に移動させることにより、コロイド結晶を成長させる点に特徴がある。また、この液相と固相(結晶)間の移動は可逆的であるので、コロイド分散液を非結晶化(液相)と結晶化(固相)とを条件次第で随時繰り返すことが可能である。
従って、例えば、図2に示すように、コロイド粒子(シリカ微粒子)が水に分散されたコロイド分散液においては、表面電荷を有するコロイド粒子は、pHの増加によりその表面の電荷化数が増加する。即ち、その表面を覆っている弱酸性のシラノール基(Si−OH)のOHが一部解離してマイナスの電荷(O)を持つとともに、その周囲に対イオンと呼ばれるプラスイオン(H)が分布している。これに塩基添加(pH増加)すると、シラノール基が部分的に中和され、表面の電荷が増加し、これにともなって、粒子間の静電反発が強くなり、結晶化が起こる。
例えば、図3に示すように系の底部に塩基を含むゲルを置いたり、又は高濃度の塩基を含む溶液を分散しないようにそのままコロイド分散液に添加すると、ここから塩基が除放されることにより、pH勾配が形成され、結晶化条件を満たしたゲル近傍から結晶化が始まり、時間とともに塩基は拡散してゆき、結晶化条件を満たす点が空間的に移動するに従って、単結晶が柱状に成長する。
また、コロイド粒子(シリカ微粒子)が水に分散されたコロイド分散液においては、表面電荷を有するコロイド粒子は、分散液中のイオン濃度の減少により、その表面の電荷化数が増加し、コロイド粒子は結晶化する。例えば、図4に示すように系にイオン交換樹脂を置いて、Csが高い状態から出発し、Csを減少させることで、非結晶状態から結晶状態へ変化させる。このような結晶化条件を満たす点が空間的に移動するに従って、単結晶が柱状に成長する。
本発明の方法において、コロイドは、pH又はイオン濃度によって電荷数が変化するコロイド表面電荷を有するコロイドであれば特に制限なく用いることができる。このようなコロイド粒子として、シリカ粒子(SiO)をはじめとする、金属酸化物粒子、または弱酸/弱塩基を表面に持つ、高分子微粒子(カルボキシ変性ポリスチレンラテックスなど)を用いることができる。また、これらの成分で表面をコートした他の成分の粒子も同様の効果を有すると考えられる。従って、コロイド粒子として、シリカ粒子又は表面をシリカで被覆したコロイド粒子が好ましい。
結晶を形成することのできるコロイド粒子の粒径は約50nm〜数μmであり、粒径分布は標準偏差で10%以下である。コロイド粒子の粒径が大きすぎると、粒子の沈降が著しいため結晶が形成されず、また粒径分布が広い試料は結晶を生じにくく不適である。
媒体は、極性媒体であれば特に制限なく用いることができる。例えば、水、極性の有機媒体(アルコール、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド)及びこれらの混合物などが挙げられ、これらを用いてコロイド結晶が形成され得ることが確認されている。
媒体に関しては、コロイド粒子表面の解離基(電荷付与基)、及び添加した弱電離物質(弱酸、弱塩基、塩)が解離できるような高い誘電率を呈することができれば、水以外の液体も使用可能である。例えば、フォルムアミド類(例えば、ジメチルフォルムアミド)やアルコール類(例えば、エチレングリコール類)を使用することができる。これらはそのまま使用することもできるが、一般的には水との混合物として使用するのが好ましい。
コロイド分散液は、市販のコロイド用粒子を水などの適当な液体媒質に分散させたり、ゾル−ゲル法などにより合成したものを用いればよいが、一般に、コロイド結晶は微量の塩(イオン性不純物)の存在によってその生成が阻害されるため、このような場合には、コロイド分散液の調製にあたっては充分な脱塩が必要である。水を脱塩する場合には、例えば、まず精製水に対して、用いた水の電気伝導度が使用前の値と同程度になるまで透析を行い、次に充分に洗浄したイオン交換樹脂(陽イオン及び陰イオン交換樹脂の混床)を試料に共存して少なくとも1週間保つことにより、脱塩精製を行う。



単結晶成長の最適pHは、粒子の荷電状態のpH変化に依存するが、pH勾配が(等電点+2)から(等電点+6)の範囲のpHを含んだpH勾配であることが適当である。例えば、シリカの場合には等電点はpH=2であるので、pH勾配が4〜8の範囲のpHを含んだpH勾配であればよい。このpH勾配は、ある範囲のpHから成るが、この範囲のいずれかのpH(即ち、結晶化の起こるpH)を含めばよい。なお、等電点とはコロイド懸濁液中のコロイド粒子が電場の中で泳動しないコロイド粒子固有のpHであり、このとき粒子の表面電荷が0となる(北原文雄・渡辺昌著「界面電気現象」共立出版 p.204 (1972)、日本化学会編「コロイド科学 第一巻」東京化学同人 p.174 (1995)等)。
即ち、例えば、シリカではこのpH範囲で結晶化が起こるため、このような結晶化の起こるpHを含んだpH勾配を設ける必要がある。このようなpH勾配は、pHをに上げることにより、空間的に徐々に移動し、それと共に結晶化に適した領域も徐々に移動する。この移動に伴って単結晶が形成されるものと考えられる。
また、コロイド分散液の初期pHを(等電点+2)以下とするが、例えば、シリカの場合には等電点はpH=2であるので、コロイド分散液の初期pHを4以下とすればよい。
コロイド分散液にpH勾配を設ける手段に特に制限はなく、いかなる方法により分散液中にpH勾配を形成させてもよいが、例えば、コロイド溶液中に塩基又は塩基の弱酸塩を含有させた高分子ゲルを静置したり、コロイド溶液に塩基若しくは塩基の弱酸塩又はこれらを含む溶液を添加したり、又はコロイド溶液を高分子ゲルを介して塩基又は塩基の弱酸塩の溶液に接触させて、塩基が高分子ゲルを浸透してコロイド分散液に移行するようにすること等により、分散液中にpH勾配を設けることができる。
塩基は、アンモニア、NaOHをはじめとする無機塩基、有機アンモニウムなど、いかなる有機塩基を用いることができる。弱塩基、強塩基いずれでもよい。また、塩基の弱酸塩を用いることもできる。粒子としてシリカを用いたとき、シリカのpKaの最小値は約6.4であり(R.K.Iler, "The chemistry of silica", Weiley, N.Y.,1979)、これとpKaが同等若しくはこれより大きい酸からなる塩が対象となる。このような弱酸として、例えば、炭酸H2CO3(pKa = 6.35)が挙げられる。
高分子ゲルは適当な時間内で塩基を放出することのできるものであればよく、媒体中で溶解しない、すべての合成・天然ゲルが該当する。
上記塩基や塩基の弱酸塩を含有させた高分子ゲル中の塩基の含有量は0.1〜10mMが好ましく、上記塩基を含む溶液中の塩基濃度は同じく0.1〜10mMが好ましい。
更に本発明においてコロイド分散液にイオン濃度勾配を設け、これを空間的に移動させることにより、コロイド結晶を調製することができる。
イオン濃度勾配を設けるために用いるイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂及びこれらの混合物(mixbed)のいずれを用いてもよく、コロイド分散液に共存することによって、系のイオン濃度を減少させ得るものならいかなるものを用いてもよい。
イオンは価数、符号(プラスまたはマイナス)によらず、系のイオン強度をとおして、コロイド粒子間の静電相互作用を減少させうるものならいかなるイオンを用いてもよい。
単結晶成長の最適イオン濃度として、上限はコロイドが凝集しない10mM、下限は常法で媒体を精製しうる限界の1μMが好ましい。
コロイド単結晶を形成するためのコロイド分散液におけるコロイド粒子の濃度範囲は広く、例えば、0.01〜70体積%のコロイド濃度域で、通常のコロイド単結晶を生成することができる。
この場合、コロイド粒子として、特にシリカ粒子や高分子ラテックス粒子が好ましい。
結晶が形成するための時間は、後述の実施例では、1cmのものが約30時間で形成しているが、pH、塩濃度、コロイド濃度により大きく変化し、これ以上を要することもあると考えられる。
コロイド分散液の温度は、コロイド結晶化についてあまり大きな影響を与えない。溶媒の凝固点から、沸点近くまで可能である。粘性の温度変化を通して、結晶化速度に影響するものと考えられる。
なお、本発明の単結晶を形成させるためのコロイド分散液の調整にあたっては、イオン性不純物による汚染を可能な限り避ける必要がある。この点、ガラスからは塩基性不純物が水中に溶出し、粒子のσ値を増加させるため、ガラス製の容器及び器具の使用は避ける。また空気中の二酸化炭素は水に溶解して炭酸を生じるため、窒素等の雰囲気下で調製を行うことが望ましい。さらに、容器、器具類は精製水(電気伝導度 0.6μS/cm以下)で充分洗浄したのち使用する。

以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
まず、アクリルアミドゲルを次のようにラジカル重合法により合成した。
モノマーとして、アクリルアミド1.33M、架橋剤として、N,N’−メチレンビスアクリルアミド10mM、光重合開始剤(和光純薬社製VA−086)0.4mg/mlを含む水溶液5mlを調製しアルゴンを10分間バブリングして脱酸素して反応液とした。本反応液を、石英窓を備えた分解型反応セルに入れ、厚さ1mm、断面9×9mmの正方形のゲルを得た。
なお、ゲル合成の際、厚さ1mm、断面9×9mmの正方形で、表面にビニル基を導入した石英板を共存させることにより、石英板と強く付着したゲルとした。これにより、その後のゲルの体積変化を軽減することができ、また石英板が重しとなって、ゲルを結晶成長セル(後述)の底部に保つことができた。石英板へのビニル基の導入は次のようにした。まず、エタノール30ml、アンモニア水2ml、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(TPM)1mlを1時間混合した。次に石英板をこの溶液中に入れて、数時間保った。これにより、シランカップリング剤であるTPMが石英と反応し、表面にビニル基(メタクリル酸残基)が導入された。
このようにして得られた石英板に付着したゲルを、1mM NaOH水溶液3ml中に1日保ち、ゲル中にNaOHを含ませたのち、1×1×4cmのポリスチレンセルの底部に置いた。1日後に水のpHは約8となり、NaOHの放出が確認された。
1×1×4cmのポリスチレンセルに透析法及びイオン交換法により十分精製した3vol%のシリカコロイド分散液(日本触媒社KE−P10W、粒子直径120nm)3mlを加えた。この時点の条件は、CS=2μM、φ=0.03(3vol%)、σe=0.07μC/cm)(NaOH未添加)、pHは約5であった。
次に、上記石英板に付着したゲルを1mM NaOH水溶液中に1日保つことによりゲル中にNaOHを含ませたものを、この容器の底部に置き、セル上部をフィルムで密閉した後、室温にて約30時間静置したところ、サイズが約1cmの柱状の結晶成長が観察された。柱状結晶の成長のようすを図5に示す。
透析法及びイオン交換法により十分精製したシリカコロイド(直径112nm、電荷密度0.1μC/cmを水で希釈し濃度3vol%の分散液とした。この分散液3mlを、幅1cm、奥行き1cm、高さ4cmのポリスチレンセルに入れ、上部より0.01M NaOH10μLを静かに滴下したのち、セル上部を密封し、室温にて静置した。試料上部のNaOHを滴下した箇所に、ただちに微結晶が生じた。結晶は重力により、10分程度でセル底部に落下した。このとき、分散液のうち高濃度のNaOHを含む部分も、結晶領域の粒子と粒子の間に閉じ込められた形でともに落下し、微結晶が試料底部に達した後、NaOHが微結晶から放出された。これにより、最初に形成された微結晶の周囲に、最大で高さ約5mm〜1cm、幅数mm〜5mmの柱状結晶が生成した。
得られた結晶の反射スペクトル測定結果を図6に示す。コロイド結晶に由来する回折ピークが明瞭に認められる。測定には、瞬間マルチチャンネル分光器(大塚電子製)を用い、光ファイバーを介して直径約3mmの円形の領域のスペクトルを測定している。図6のスペクトル(a)、(b)は、最初に形成された微結晶集合体のスペクトル、(c)は柱状結晶のスペクトルである。微結晶部分には、1次ピーク(640nm)に加え、多結晶構造の特徴である1/√2のピーク(453nm)が存在するが、柱状結晶においては1次ピークのみが観察される。これは、柱状結晶グレイン部分が、配向の揃った結晶グレインであることを意味する。なお、スペクトル(a)〜(c)で1次ピーク位置が異なるのは、重力によりシリカ粒子(比重〜2.2)が若干沈降し、濃度勾配を生じた結果である。
柱状結晶のサイズは、最初に滴下するNaOH濃度により大きく異なった。たとえば、1)5μL及び2)15μLを滴下した場合は、それぞれ最大で、1)幅約1mm、高さ3mm、及び2)幅3mm、長さ5mmの柱状グレインが得られた。
ポリスチレンラテックス(粒子直径100nm、電荷数4.4μC/cm)の2.0vol%水分散液にNaCl水溶液を添加して濃度0.1mMとした後、0.3mlのイオン交換樹脂(Bio−Rad社、AG501G−X8(D)、20−50mesh)を添加し、室温で静置した。幅1.3mm、の柱状結晶が樹脂近傍より成長し、その高さは、24時間後には0.75cm、75時間後には1.5cm、であった。
また、同上のポリスチレンラテックス2.0vol%水分散液にNaClを添加して0.1mMとした後、カチオン交換樹脂(Bio−Rad社 AG50W−X8、20〜50mesh)1個を添加し、室温で静置した。幅1.1mmの柱状結晶が樹脂近傍より成長し、その120時間後には0.6cmであった。
シリカコロイド粒子KE-W10(日本触媒社、粒径:113nm、有効表面電荷密度: 0.07μC/cm2、比重: 2.17)はイオン交換法及び透析法により精製を行って用いた。水はMilli-Qシステム(Millipore, MA, U.S.A.)により得た超純水(電気伝導度0.4〜0.6μS/cm)を用いた。結晶の成長は、実体顕微鏡及び顕微鏡用デジタルカメラDXM1200(1200万画素、ニコン製)と、デジタルカメラCOOLPI×950(211万画素、ニコン製)を用いて行った。
1×1×4 cmのPMMA製セルにKE-W10シリカコロイド分散液を3〜4 ml入れた。この時点の分散液のpHは約4であった。次に、表1に示す量の0.01 M水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業製)を静かに滴下し、室温で静置した。
No.2のサンプルについて最大のグレインサイズの単結晶を得た。その結晶の写真を図7に示す。下方には微結晶が生成しているが、上方ほどグレインサイズが増加し、最上部には1×1×1.2cmにも及ぶ巨大なグレインが生成した。
このサンプルにおいては、NaOH溶液を滴下すると微結晶が直ちに上部に生成した。NaOH分散時のpHは約6であった。この微結晶の集合体はまず徐々に底部に沈降し堆積し、やがて、この微結晶の集合体から柱状にグレインが成長した。次の段階では、大きなグレインがレンガ状に生成し、最後の成長段階では、最大サイズのグレインが徐々に生成し1×1×1cmまでに達した。さらに時間が経過すると小さなグレインがcmサイズ単結晶の内部に現れた。
市販の分光用セル(10×10×45mm、PSt製)の底板に穴を開けた後、高さ約5mmの高分子ゲル(アクリルアミドゲル)を設置したセルを作製し、混床型イオン交換樹脂を用いて充分に精製したシリカコロイド分散液(日本触媒社製、KE-W10、体積分率4.0%)をセルに入れた。精製直後の分散液のpHは約4であった。大気と接触した状態で1時間以上静置した初期pH9.4、9.5、9.8のNaOH水溶液にセルを浸漬した。用いた装置の模式図を図8に示す。
また、pH時間変化を図9に示す。空気中の炭酸ガスが溶け込むためPHが時間とともに下がる。炭酸ナトリウムの拡散によっても結晶は出来るので、このような状況でも問題は無い。
約1時間経過後、数ミリメートル幅の柱状コロイド単結晶がゲル上面から上方に向かって成長を開始した。複数個のコロイド単結晶が高さ1.0センチメートルほど成長した(約21時間経過)後、その上部にセル内全体を占有するセンチメートル角のコロイド単結晶が形成された。このコロイド単結晶は分散液上面(気液界面)まで成長し、高さ約1.5cmとなった。
イオン性コロイド系の結晶化を示す相図である(Phys.Rev.Lett. vol.80, no.26, 5806-5809 (1998))。縦軸は添加塩濃度(C)、横軸は表面電荷(σe)、奥行きは粒子濃度(φ)を示す。コロイド粒子は直径120nmのシリカ粒子である。 コロイド分散液中のシリカ微粒子の電荷状態を示す図である。 コロイド分散液の底部に塩基を含むゲルを置いた場合の結晶生成の様子を示す図である。 コロイド分散液にイオン交換樹脂を置いた場合の結晶生成の様子を示す図である。 柱状結晶の成長のグラフを示す図である。縦軸は結晶の高さを示し、横軸は時間を示す。 実施例2で得たコロイド結晶の反射スペクトルを示す図である。 実施例4(No.4)で得られた最大のグレインサイズの単結晶を示す図である。 実施例5で用いた装置の模式図を示す図である。 実施例5におけるpHの時間変化を示す図である。
符号の説明
1 コロイド分散液
2 高分子ゲル
3 穴
4 NaOH溶液

Claims (8)

  1. 表面電荷を有するコロイド粒子が極性溶媒に分散されたコロイド分散液にpH勾配を設け、このpHを徐々に上げることにより、該分散液に該コロイド粒子から成る3次元結晶を製造する方法であって、該コロイド分散液中のコロイド濃度が0.01〜70体積%であり、該コロイド分散液の初期pHを(等電点+2)以下として、該pH勾配を(等電点+2)から(等電点+6)の範囲のpHを含んだものとする方法。
  2. 前記コロイド粒子がシリカ粒子又は表面をシリカで被覆したコロイド粒子であり、極性溶媒が水である請求項1に記載の方法。
  3. 前記コロイド溶液中に塩基又は塩基の弱酸塩を含有させた高分子ゲルを静置することにより、pH勾配を設けpHを徐々に上げる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記コロイド溶液に塩基若しくは塩基の弱酸塩又はこれらを含む溶液を添加することにより、pH勾配を設けpHを徐々に上げる請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記コロイド溶液を高分子ゲルを介して塩基又は塩基の弱酸塩の溶液に接触させることにより、pH勾配を設けpHを徐々に上げる請求項1又は2に記載の方法。
  6. 表面電荷を有するコロイド粒子が極性溶媒に分散されたコロイド分散液にイオン濃度勾配を設け、このイオン濃度を徐々に下げることにより、該分散液に該コロイド粒子から成る3次元結晶を製造する方法であって、該コロイド分散液中のコロイド濃度が0.01〜70体積%であり、該コロイド分散液の初期イオン濃度を10μM以上とし、該イオン濃度勾配を1μM〜10mM範囲のイオン濃度を含んだものとする方法。
  7. 前記コロイド粒子がシリカ粒子又は高分子ラテックス粒子であり、極性溶媒が水である請求項6に記載の方法。
  8. 前記コロイド溶液中にイオン交換樹脂を静置することにより、イオン濃度勾配を設け、イオン濃度を徐々に下げる請求項6又は7に記載の方法。
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