従来、この種の液晶表示装置として、TFT(Thin Film Transister;薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置)が知られている。
図14は、従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。
図14に示すように、従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置10は、画像表示画面を構成する液晶パネル1と、液晶パネル1に各種の制御信号を出力する外部信号回路6とをを有している。
液晶パネル1の中央部には、マトリクス状に配置された各画素部毎にスイッチング素子(TFT)および画素電極VDが設けられたアクティブマトリクス基板(TFT基板)と、これに対向して配設され、これらの間に表示媒体としての液晶材料を挟持し、対向電極VCOMを備えた対向基板(図示せず)とを有するアクティブマトリクス型液晶表示部2が設けられている。この液晶表示部2の周辺には、データドライバ3と、ゲートドライバ4と、チャージポンプ回路5とが設けられている。
液晶表示部2には、複数のデータライン11(データ信号線)と複数のゲートライン12(走査信号線)とが、互いに交叉(または直交)するように配設されており、この各交叉部毎に、画素部を構成する画素容量Cxy(C11、C12、m・・・、Cx1、・・・、C1y、・・・、Cxy、以下、液晶容量Cという)がマトリクス状に設けられている。
データライン11は、液晶パネル1中の各TFTを介して画素電極VDから液晶容量Cに表示電圧を与えるための信号ラインである。
ゲートライン12は、液晶パネル1中で画素電極VDに接続されたTFTをON/OFF(オン・オフ制御)するための走査信号ラインである。
各液晶容量Cは、画素電極VDと対向電極VCOM間に液晶材料を挟持して構成されており、縦横にマトリクス状に複数配置されている。この液晶容量Cの画素電極VDは、液晶駆動用TFTxy(以下、TFTという)を介して、データライン11およびゲートライン12に接続されている。即ち、TFTの制御領域(ゲート端子)は、交叉部近傍のゲートライン12に接続され、その一方の駆動領域(ソース端子)は、交叉部近傍のデータライン11に接続され、その他方の駆動領域(ドレイン端子)は画素電極VDに接続されている。
補助容量Csxy(以下、補助容量Csという)は、その一方電極がTFT側の画素電極VDのと接続され、TFTと反対側の他方電極には電圧GVDDが印加されている。
データドライバ3は、表示信号を選択的に出力することにより各データライン11を順次駆動する。
ゲートドライバ4は、走査信号を選択的に出力することにより各ゲートライン12を順次駆動する。
チャージポンプ回路5では、入力される電源電圧VDDが、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKによって昇圧され、その出力電圧GVDDが生成される。この出力電圧GVDDは、補助容量Cs以外に、ゲートドライバ4にも入力されており、出力電圧GVDDがTFTをONするためのスイッチング電圧(走査信号;制御電圧)としても使用されている。
外部信号回路6は、クロック信号SCK、初期化信号INI、スタートパルスGSPおよびクロック信号GCKなどの各種の制御信号を出力する。
この液晶パネル1は、低温プロセスにより作製されたポリシリコンを用いて、図14に示すような回路構成をそれぞれ1枚のガラス基板上に構成したアクティブマトリクス基板(TFT基板)および対向基板とすることが可能である。この場合に、外部信号回路6は液晶パネル1と同一基板上に設けることもできる。
なお、補助容量Csの他方電極を、電圧GVDDなどの高い電圧供給端に接続する従来技術として、例えば特許文献1では、補助容量Csを最大容量値付近で用いるために、一番電圧が高い電圧GVDDを補助容量Csの他方電極に入力している。
また、上記構成のように、液晶表示部2と同一ガラス基板(TFT基板)上にチャージポンプ回路5を形成する従来技術として、例えば特許文献2には、ガラス基板上の薄膜トランジスタと、外付け容量素子とによってDC/DCコンバータを構成することが記載されている。
次に、このように構成された従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置10の動作について説明する。
図15は、図14の液晶パネル1に外部信号回路6から入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図14のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図15には、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4に入力される外部制御信号であるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図15に示すように、入力電源電圧VDDがGNDレベルから所定の電源電圧レベルまで上昇する際に、まず、ゲートドライバ4への初期化信号INIが立ち上げられる。この初期化信号INIは、ゲートドライバ4の初期化などに利用されている。この初期化信号INIが“H”レベルである期間を初期化期間aという。この初期化期間aでは、データドライバ3およびゲートドライバ4は動作していないため、液晶表示部2は動作しておらず、液晶表示は行われない。この初期化期間aは、ゲートドライバ4の初期化などに必要な時間であればよい。
次に、初期化信号INIが立ち下げられて初期化期間aが終了した後、チャージポンプ回路5に対して、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKが入力されることにより、チャージポンプ回路5の駆動(昇電圧動作)が開始され、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDが所定時間後に安定した所定の電圧レベルに達する。
また、各種の液晶駆動用信号が液晶パネル1内のデータドライバ3およびゲートドライバ4などに入力され、液晶表示部2に所望の表示が開始される。この期間を表示期間bという。図15では、ゲートドライバ4に対する制御信号(液晶駆動用信号)であるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKが示されている。
このスタートパルスGSPは、1垂直期間(VSYNC)に1パルス(Highレベル)が出力されており、これによってゲートドライバ5の動作開始タイミングが規定される。
ゲートドライバ4は、図16にその回路例を示すように、一般的なシフトレジスタで構成されている。
図16に示すように、ゲートドライバ4は、スタートパルスGSPとクロック信号GCKとによって制御される複数のDフリップフロップ41によってシフトレジスタが構成されている。初段のDフリップフロップ41のデータ入力端子DにはスタートパルスGSPが供給され、それ以外のDフリップフロップ41のデータ入力端子Dには前段のフリップフロップ41の出力端子Qが接続されている。また、各Dフリップフロップ41のクロック入力端子CKにはクロック信号GCKが供給されている。
各Dフリップフロップ41では、クロック信号GCKの入力タイミングで出力パルスQ(Q1、Q2、・・・Qn)が次段へシフトされることから、この出力パルスQを用いれば、クロック信号GCKの周期でTFTをONさせる走査信号をゲートライン12に対して順次出力させ、線順次に駆動させることができる。
なお、図16に示すゲートドライバ4の回路構成は一例であって、これに限らず、ゲートライン12を順次選択駆動することができるようなシフトレジスタが構成されていればよい。
さらに、表示期間bでのデータドライバ3の駆動方法や、チャージポンプ回路5の詳細動作などは、本発明とは直接関係がないため、ここではその説明を省略する。
なお、上記初期化期間aと外部制御信号SCKの開始タイミングについては、外部制御信号SCKの開始タイミングからチャージポンプ回路5の出力電圧GVDDが安定化するまでが初期化期間aであればよく、チャージポンプ回路5の特性によって、任意に設定することが可能である。また、初期化期間aの開始後、すぐに外部制御信号SCKを出力開始させることも可能であるが、本発明とは特に関係がなく、説明を簡略化するために、ここではその説明を省略している。
特開平3−149520号公報
特開2001−183702号公報
上記従来の液晶表示装置10において、液晶表示部2が透過型である場合には、液晶は自発光素子ではないため、バックライト(図示せず)が液晶パネル1の背面に搭載され、その光を液晶層にて遮光するか、遮光しないか(透過させるか)によって、画像が表示されるようになっている。この場合には、バックライトが点灯されていないと、液晶表示部2は黒表示状態のままである。このため、液晶パネル1が透過型液晶パネルの場合には、電源電圧VDDの投入以降、表示期間bになって液晶表示が行われるまでは、バックライトが点灯されずに黒表示とされ、液晶表示部2において安定表示が開始されてからバックライトが点灯されるようになっていた。
しかしながら、反射型や微反射型、または半透過型と言われる反射型表示モードを有する液晶パネルでは、バックライトを用いなくても、外光のみによって液晶表示を行うことが可能である。したがって、反射型表示モードを有する液晶パネルの場合には、透過型と同様にバックライトによる制御を行っても、バックライトが点灯される前に液晶パネルの表示を目視にて確認することができる。この場合に生じる問題について以下に説明する。
図17は、図14の1画素部の基本構成例を示す回路図である。
図17に示すように、各画素部を構成する画素容量Cxyにおいて、データライン11にソース電極が接続されているTFTのドレイン電極側に、画素電極VDとこれに液晶容量Clcを介して対向する対向電極VCOMとの間の表示電圧によって発生する電荷Q1と、補助容量Csの一方電極の電圧と他方電極の電圧GVDDとによって発生する電荷Q2とが存在する。
ここで、TFTがOFF状態である場合、対向電極VCOMの電位はGNDレベルであるために電荷Q1は「0」であるが、電荷Q2は電圧GVDDによって発生している。このとき、TFTがOFF状態であり、補助容量Csと液晶容量Clcとの直列接続が形成されていると見なすことが可能であるため、電荷量Qは、液晶容量Clcの容量値をClc、補助容量Csの容量値をCcsとすると、
によって表すことができる。また、その際の液晶印加電圧Vは、
例えば液晶容量Clcと補助容量Ccsとが同じ値(Q1=Q2)である場合には、画素部の液晶容量Clcには電圧GVDDの1/2の電圧が印加されることになる。例えばTN液晶を用いた場合には、画素部の液晶容量Clcに電圧を印加することによって黒表示が行われる。このため、電圧GVDDの値が大きいほど、補助容量Ccsが液晶容量Clcよりも大きいほど、液晶容量Clcに大きな電圧が印加され、液晶表示部2の液晶表示が黒くなる傾向にある。このため、液晶表示部2では何らかの表示が行われることになる。
なお、液晶容量Clcと補助容量Ccsとは、製造プロセスのばらつきや表示面内のばらつきなどによって、一様の値になっている訳ではなく、実際には画素部単位でばらついている。このため、各画素部の液晶容量Clcに印加される電圧Vは、全て同じ電圧ではなく、結果的に表示面内にて明暗が発生するなど、表示ばらつきが確認されることがある。
また、実際のTFTは、完璧なスイッチング素子ではなく、OFF状態であっても電流が流れている。特に、低温プロセスで作製されるポリシリコンを用いたTFTなどでは、その傾向が顕著である。このため、液晶容量Clcと補助容量CsからTFTを介してデータライン11に電流が流れ、電荷が抜けていくという現象が発生する。このため、実際に安定化される電圧レベルは、上記式2に示す値とは若干ずれることになる。
このTFTのOFF状態の抵抗値についてもばらつきがあるため、電荷の抜け方に差が発生し、画素部の液晶容量Clcに印加される電圧Vもばらついて、表示面内に輝度ばらつきが発生する。また、OPEN状態であるはずのデータライン11に対して電荷が供給されていることになるため、そのデータライン11を介して電荷がやり取りされることによって、データライン11単位ですじのような表示が見えることがある。さらに、実際の液晶パネル1では、その他に様々な寄生容量や寄生抵抗があるため、これらのばらつきや電流経路によって、様々な表示状態になると考えられる。
電圧GVDDをチャージポンプ回路によって作成する場合、負荷条件などによっては、電圧GVDDが所定の電圧に達するまでに数垂直期間が必要な場合がある。このとき、各液晶容量Clcに所望の電圧が印加されるのは、TFTがON状態とされる期間、すなわち、1垂直期間に1回であり、その時間は1水平期間以下の時間である。それ以外の大半の期間はTFTがOFF状態とされており、そのOFF期間にも電圧GVDDは昇電圧されて増加するため、上記(式2)において電圧GVDDが変化し、液晶容量Clcに不必要な電圧が印加されることになる。また、電圧GVDDが所定の電圧よりも低い場合、TFTのON抵抗が高くなり、TFTをON状態にしても液晶容量Clcに印加された不要な電圧を十分に抜くことができないことがある。このような電圧印加は、時間的には瞬時であるが、すじなどの不必要な表示が行われ、人間の目に見えてしまう。
上記特許文献1には、電圧GVDDの開始タイミングに関する記述はなく、特許文献2には、DC/DCコンバータの動作開始タイミングに関する記述は見られない。また、液晶容量Clcに印加された不要な電圧を抜く技術についても記述されていない。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、電源投入時に表示媒体に不要な電圧が印加されることによる表示ムラやスジなどの表示不具合を抑制できるアクティブマトリクス型表示装置およびその駆動方法、これらを表示画面部に用いた電子情報機器を提供することを目的とする。
本発明のアクティブマトリクス型表示装置は、複数の走査配線と複数の信号配線との各交叉部毎に画素部が配設され、該交叉部近傍の走査配線がスイッチング素子の制御端子に接続され、該交叉部近傍の信号配線が該スイッチング素子を介して該画素部に接続された表示部と、該表示部に、電源電圧を所定の電圧に昇電圧して表示駆動用電圧として出力するチャージポンプ回路とを有するアクティブマトリクス型表示装置において、該チャージポンプ回路が昇電圧を開始して該チャージポンプ回路の出力電圧が0レベルから該表示部の通常表示期間の電圧に立ち上がるまでの立ち上がり期間に、電源投入時に該チャージポンプ回路の出力電圧による該画素部の画素電極への蓄積電荷を抑制するべく、該表示部の通常表示期間に比べて、高い頻度または/および長い期間、該走査配線に走査信号を出力する走査信号出力手段を備え、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における走査信号出力手段は、前記走査信号により前記走査配線を選択的に駆動する走査ドライバと、該走査ドライバを駆動制御する制御信号を該走査ドライバに出力する制御信号出力手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における画素部は、前記スイッチング素子に対して画素容量部および補助容量部が並列接続されており、前記立ち上がり期間および前記表示部の通常表示期間、該補助容量部のスイッチング素子側とは反対側の電極に、前記チャージポンプ回路で昇電圧された出力電圧が印加されている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における立ち上がり期間前の前記表示部の初期化期間には、前記補助容量部のスイッチング素子側とは反対側の電極に、前記画素容量部のスイッチング素子側とは反対側の電極に印加される対向電圧と同じレベルの電圧が印加されている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置におけるチャージポンプ回路で昇電圧された出力電圧は、前記走査ドライバを介して前記スイッチング素子の制御端子に供給可能とされている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における制御信号は、前記立ち上がり期間の全部または一部において、前記表示部の通常表示期間とは異なる信号波形である。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における走査ドライバは、前記制御信号出力手段から前記制御信号として入力されるスタートパルスによって動作開始タイミングが規定され、該制御信号出力手段から該制御信号として更に入力されるクロック信号の周期で前記走査配線を選択駆動する走査信号を出力可能とするシフトレジスタ手段を有する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置におけるスタートパルスは、前記立ち上がり期間において、1垂直期間に複数回、前記走査ドライバの動作開始に有効なレベルとされているスタートパルスは、前記昇電圧期間において、1垂直期間に複数回、前記走査ドライバの動作開始に有効なレベルとされている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における複数回のスタートパルスは、前記立ち上がり期間の前後の1垂直期間毎において、均一または不均一に前記走査ドライバの動作開始に有効なレベルとされている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置におけるスタートパルスは、前記立ち上がり期間の全部、該立ち上がり期間の少なくとも任意の1垂直期間の全部または一部において、前記走査ドライバの動作開始に有効なレベルに保持されている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置におけるスタートパルスは、前記立ち上がり期間の最前の1垂直期間にのみ複数回、前記走査ドライバの動作開始に有効なレベルとされ、また、該立ち上がり期間の最前以外の1垂直期間では、前記通常表示期間と同等の頻度および期間で、該走査ドライバの動作開始に有効なレベルとされている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における走査ドライバは、前記制御信号出力手段から入力される制御信号に基づいて、任意の走査配線毎に走査信号を順次出力制御するかまたは、全走査配線に走査信号を同時出力制御する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における走査ドライバは、前記制御信号出力手段から入力されるスタートパルスによって動作開始タイミングが規定され、該制御信号出力手段から更に入力されるクロック信号の周期で前記走査配線が選択駆動される走査信号を出力するシフトレジスタ手段を有し、該シフトレジスタ手段を構成する複数のフリップフロップのうちの少なくとも一つはプリセット端子を有し、該制御信号出力手段から前記制御信号として該プリセット端子に入力されるプリセット信号によって、非同期に、該プリセット端子が設けられたフリップフロップの出力端子から走査配線が選択駆動される走査信号を出力制御する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における走査ドライバは、前記制御信号出力手段から入力されるスタートパルスによって動作開始タイミングが規定され、該制御信号出力手段から入力されるクロック信号の周期で前記走査配線が選択駆動される走査信号を出力するシフトレジスタ手段を有し、該シフトレジスタ手段を構成する複数のフリップフロップのうちの少なくとも一つは前段にセレクタ手段を有し、該制御信号出力手段から前記制御信号として該セレクタに入力されるセレクト信号によって、非同期に、該セレクタが前段に設けられたフリップフロップの出力端子から走査配線が選択駆動される走査信号を出力制御する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における信号配線を選択的に順次駆動する信号ドライバを更に有する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置におけるチャージポンプ回路は外部制御信号に基づいて昇電圧動作を開始する。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における外部制御信号として、前記信号ドライバへの初期化信号またはクロック信号が用いられる。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における少なくとも表示部、走査ドライバ、信号ドライバおよびチャージポンプ回路は、低温プロセスで作製されたポリシリコンを用いて同一基板上に形成されている。
さらに、好ましくは、本発明のアクティブマトリクス型表示装置における表示部は、反射型表示モードを有する。
本発明のアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法は、複数の走査配線と複数の信号配線との各交叉部毎に画素部が配設され、該交叉部近傍の走査配線がスイッチング素子の制御端子に接続され、該交叉部近傍の信号配線が該スイッチング素子を介して該画素部に接続された表示部と、該表示部に、電源電圧を所定の電圧に昇電圧して表示駆動用電圧として出力するチャージポンプ回路とを有するアクティブマトリクス型表示装置を駆動するアクティブマトリクス型表示装置の駆動方法において、該チャージポンプ回路が昇電圧を開始して該チャージポンプ回路の出力電圧が0レベルから該表示部の通常表示期間の電圧に達するまでの立ち上がり期間に、電源投入時に該チャージポンプ回路の出力電圧による該画素部の画素電極への蓄積電荷を抑制するべく、該表示部の通常表示期間に比べて、高い頻度または/および長い期間、該走査配線に走査信号を出力制御し、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の電子情報機器は、請求項1〜19のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置を表示画面部に用いて画面表示可能とし、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
本発明にあっては、TFTなどのスイッチング素子をON状態にするための電圧(制御電圧または走査電圧)や補助容量に印加される出力電圧GVDDを生成するためのチャージポンプ回路を有するアクティブマトリクス型表示装置において、チャージポンプ回路が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間、ゲートドライバから出力される信号(走査信号)が、表示部の通常表示期間に比べて、高い頻度または長い期間のうち少なくともいずれかの期間で出力されるように制御する。
これにより、TFTなどのスイッチング素子がON状態になる頻度または期間が従来よりも増えるため、例えば1垂直期間にスイッチング素子がON状態になる回数を複数回設けたり、または/および、スイッチング素子がON状態になる期間を長くすることによって、補助容量Csを介して液晶容量Clcなどの表示媒体に印加される不要な電圧をスイッチング素子を介して抜いて、表示媒体に所望の電圧が印加させることができる。また、表示媒体に所望の電圧が印加されるタイミングが増えるため、表示媒体に不要な電圧が印加される時間を短くすることができる。
また、表示部の初期化期間には、補助容量Csのスイッチング素子側とは反対側の電極に対向電圧レベルと同じレベルの電圧が印加されるため、液晶容量Clcなどの表示媒体には不要な電圧は印加されない。
チャージポンプ回路で昇電圧されて出力された電圧GVDDは、スイッチング素子の制御電圧としても用いられるため、この電圧GVDDが所定の電圧に達していない場合には、スイッチング素子のON抵抗が高くなる。この場合でも、スイッチング素子を1垂直期間に複数回ON状態にすることによって、補助容量Csを介して液晶容量Clcなどの表示媒体に印加される不要な電圧をスイッチング素子を介して充分抜くことができる。
例えば外部信号回路によって表示部の通常表示期間とは異なる波形のスタートパルスを生成し、1垂直期間に複数回、ゲートドライバの動作開始に有効なレベルとされたスタートパルスをゲートドライバに供給することによって、ゲートドライバから出力される信号(走査信号)を、1垂直期間に複数回出力されるように制御することができる。また、外部信号回路によって表示部の通常表示期間とは異なる波形のスタートパルスを生成し、1垂直期間に複数回、ゲートドライバの動作開始に有効なレベル(例えばHighレベル)とすることによって、ゲートドライバから出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に複数回出力されるように制御することができる。この複数回のスタートパルスは、電圧GVDDの立ち上がり期間内で、不均一にゲートドライバの動作開始に有効なレベルとしてもよい。
また、外部信号回路によって表示部の通常表示期間とは異なる波形のスタートパルスを生成し、チャージポンプ回路が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間、ゲートドライバの動作開始に有効なレベルに保持されたスタートパルスをゲートドライバに供給することによって、ゲートドライバから出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に最大限の回数出力されるように制御することができる。
さらに、ゲートドライバのシフトレジスタを構成するフリップフロップにプリセット端子やセレクタを設けて、プリセット信号やセレクト信号で制御することによって、ゲートドライバから任意の走査配線または全ての走査配線に対して、出力電圧GVDDの立ち上がり期間の全期間または一部期間において、その走査配線が選択駆動されるレベル(例えばHighレベル)の信号が供給されるようにすることができる。
以上のように、本発明によれば、チャージポンプ回路の昇電圧期間には、表示部の通常表示期間に比べて、高い頻度または/および長い期間、スイッチング素子の制御端子が接続される走査配線に走査信号を出力するようにしたため、表示期間前に補助容量を介して液晶などの表示媒体に不要な電圧が印加されても、スイッチング素子を介して流れ出ることから、表示媒体への不要な電圧が抑制されて、表示部に、従来のような表示ムラやスジなどの表示不具合が生じることを抑制することができる。
以下に、本発明のアクティブマトリクス型表示装置およびその駆動方法の実施形態1〜7として、アクティブマトリクス型液晶表示装置およびその駆動方法に適用した場合について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明のアクティブマトリクス型液晶表示装置の実施形態1における要部構成例を示すブロック図である。なお、図1のアクティブマトリクス型液晶表示装置の基本構成は、図14の場合と同様であり、同一の作用効果を奏する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態1のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Aは、画像表示画面を構成する液晶パネル1と、液晶パネル1に各種の制御信号を出力する制御信号出力手段としての外部信号回路6Aとを有している。
液晶パネル1の中央部には、マトリクス状に配列された各画素部毎にスイッチング素子(TFT)および画素電極VDが設けられたアクティブマトリクス基板(TFT基板)と、これに対向して配設され、これらの間に表示媒体としての液晶材料を挟持し、対向電極VCOMが設けられた対向基板(図示せず)とを有するアクティブマトリクス型液晶表示部2が設けられている。この液晶表示部2の周辺には、信号ドライバとしてのデータドライバ3と、走査ドライバとしてのゲートドライバ4と、チャージポンプ回路5とが設けられている。
本実施形態1のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Aが従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置10と異なる点は、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、液晶表示部2の通常表示期間に比べて、高い頻度(または/および長い期間)で出力されるように制御される点である。この場合、外部信号回路6Aによって液晶表示部2の通常表示期間とは異なる波形のスタートパルスGSPが制御信号として生成され、1垂直期間に複数回(通常表示期間では1垂直期間毎に1回であるが、本実施形態1では、これよりも高頻度の複数回)、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(例えばHighレベル)とされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給されて、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に複数回出力(上記高い頻度)されるように制御される。
以上のゲートドライバ4と外部信号回路6Aにより走査信号出力手段が構成され、走査信号出力手段は、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの昇電圧期間に、液晶表示部2による通常表示期間に比べて、高い頻度または/および長い期間、走査配線としてのゲートライン12に走査信号を出力可能とする。
この走査信号出力手段(図示せず)は、走査信号によりゲートライン12を選択的に駆動するゲートドライバ4と、このゲートドライバ4を駆動制御する制御信号をゲートドライバ4に出力する制御信号出力手段としての外部信号回路6Aとを有している。
上記構成により、本実施形態1のアクティブマトリクス型液晶表示装置10の動作について説明する。
図2は、本実施形態1のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、制御信号として、図1の液晶パネル1に外部信号回路6Aから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図2では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4に入力される外部制御信号であるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図2に示すように、入力電源電圧VDDがGNDレベルから所定の電源電圧レベルまで上昇する際に、まず、ゲートドライバ4への初期化信号INIが立ち上げられる。その所定期間後、初期化信号INIが立ち下げられて初期化期間aが終了した後、チャージポンプ回路5に対して、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKが入力されることにより、チャージポンプ回路5の駆動(昇電圧動作)が開始され、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDが所定時間後(ここでは2垂直期間後)に安定した所定の電圧レベルに達する。
本実施形態1において、この出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは約2Vsync(約2垂直同期期間)であり、スタートパルスGSPは、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに3回/1Vsync、それ以降の表示期間bでは1回/1Vsync、Highレベルとなってゲートドライバ4に入力される。即ち、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数は、電圧GVDDの立ち上がり期間cの方が、表示期間bに比べて多く(上記高い頻度)なっている。
これにより、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、各ゲートライン12に接続されるTFTの制御端子は、1Vsync期間に3回ON状態とされるため、TFTがON状態になってから次にON状態になるまでの周期が従来に比べて1/3になり、TFTがOFF状態である期間の電圧GVDDの電圧変化量も従来に比べて1/3になる。このように、液晶容量Clcに印加された不要な電圧をTFTを介してデータライン11に抜くための回数が従来に比べて3倍になり、また、液晶容量Clcに印加される不要な電圧自体も従来に比べて1/3と小さくなるため、これらの相乗効果によって、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはなくなる。
また、初期化期間aでは、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDはGNDレベルであるため、補助容量Csを介して液晶容量Clcに不要な電圧が印加されることはない。さらに、表示期間bでは、データドライバ3やゲートドライバ4が駆動しており、液晶容量ClcにはTFTを介して所望の電圧が印加される。よって、出力電圧GVDDが所定の電圧になっているため、これが補助容量CsのTFT側とは反対側の電極に印加されても何ら問題は生じない。
このように、本実施形態1によれば、従来のように出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに液晶容量Clcに不要な電圧が印加され、そのまま保持されることがないことから、表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはなく、良好な表示状態とすることができる。
なお、本実施形態1では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、当然のことながら、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なる。
また、本実施形態1では、その期間cにスタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数が3回/1Vsyncとされているが、この回数は4回/1Vsync以上に増やすことも可能であり、また、2回/1Vsyncに減らすことも可能である。スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数を増やす場合には、ゲートライン12が複数本同時にONレベルとされるため、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDに対する負荷が大きくなり、出力電圧GVDDの立ち上がり時間cが長くなる。この点を考えると、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数は少ない方が好ましい。しかしながら、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数が少ないほど、液晶容量Clcに印加された不要な電圧をTFTを介して抜くための回数が減ることになるため、表示ムラやスジなどが表示画面上に現れる確率が高くなる。本願発明者らが実際に確認した限りでは、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数が2回/1Vsyncであっても表示上に問題は生じなかったが、ばらつきなどを考慮すると、3回/1Vsync程度が好ましいと考えられる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cにおいて、外部信号回路6Aから、1垂直期間に複数回、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(例えばHighレベル)とされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給されて、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に複数回出力されるように制御したが、本実施形態2では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cにおいて、制御信号出力手段としての外部信号回路6Bから、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルに保持されたスタートパルスGSPをゲートドライバ4に供給することによって、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に最大限の回数出力(1垂直期間全て出力)されるように制御する。なお、本実施形態2のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Bの基本的な構成は、上記実施形態1の構成と同様であるため、ここではその説明を省略する。
以下に、本実施形態のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Bの動作について説明する。
図3は、本実施形態2のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Bにおいて、図1の液晶パネル1に外部信号回路6Bから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧、図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図3では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4に入力される外部制御信号であるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図3に示すように、入力電源電圧VDDがGNDレベルから所定の電源電圧レベルまで上昇する際に、まず、ゲートドライバ4への初期化信号INIが立ち上げられる。その所定期間後、初期化信号INIが立ち下げられて初期化期間aが終了した後、チャージポンプ回路5に対して、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKが入力されることにより、チャージポンプ回路5の駆動(昇電圧動作)が開始され、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDが所定時間後に安定した所定の電圧レベルに達する。
本実施形態2において、この出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは約2Vsync(2垂直同期期間)であり、スタートパルスGSPは、その出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)とされている。これは、上記実施形態1において、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)とされる回数を最大とした場合に相当する。
これにより、上記実施形態1の場合と同様に、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、TFTがON状態になってから次にON状態になるまでの周期が従来に比べて短くなり、TFTがOFF状態である期間の出力電圧GVDDの電圧変化量も従来に比べて小さくなる。
このように、液晶容量Clcに印加された不要な電圧をTFTを介してデータライン11に抜くための期間が従来に比べて多くなり、また、液晶容量Clcに印加される不要な電圧自体も従来に比べて小さくなるため、これらの相乗効果によって、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
また、初期化期間aでは、上記実施形態1の場合と同様に、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDはGNDレベルであるため、補助容量Csを介して液晶容量Clcに電圧が印加されることはない。さらに、表示期間bでは、データドライバ3やゲートドライバ4が駆動しており、液晶容量ClcにはTFTを介して所望の電圧が印加されている。これによって、出力電圧GVDDが所定の電圧になっているため、これが補助容量CsのTFT側とは反対側の電極に印加されても何ら問題は生じない。
このように、本実施形態2によれば、従来のように出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに液晶容量Clcに不要な電圧が印加され、そのまま保持されることがないことから、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはなく、良好な表示状態とすることができる。
なお、本実施形態2では、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、スタートパルスGSPをHighレベルとすればよいため、外部信号回路6Bにて波形を生成することが容易である。
しかしながら、上記実施形態1で説明したように、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)の場合、ゲートライン12が複数本同時にONレベルとされるため、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDに対する負荷が大きくなり、この出力電圧GVDDの立ち上がり時間cが長くなる。
本実施形態2では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、当然のことながら、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なる。
本実施形態2では、スタートパルスGSPは、チャージポンプ回路5の昇電圧期間cの全部(2Vsync;2垂直期間)において、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルに保持するようにしたが、これに限らず、チャージポンプ回路5の昇電圧期間cのうち少なくとも最前段の1垂直期間の全期間または一部期間(または少なくとも任意の一または複数の1垂直期間の全期間または一部期間)において、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルに保持するようにしてもよい。
(実施形態3)
上記実施形態1では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cにおいて、外部信号回路6Aから、均一な頻度で、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(例えばHighレベル)とされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給して、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に複数回出力されるように制御したが、本実施形態3では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cにおいて、制御信号出力手段としての外部信号回路6Cから、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルとされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給される頻度を不均一にしている。なお、本実施形態3のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Cの基本的な構成は、上記実施形態1の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
以下に、本実施形態3のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Cの動作について説明する。
図4は、本実施形態3のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Cにおいて、図1の液晶パネル1に外部信号回路6Cから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図4では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4に入力されるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図4に示すように、入力電源電圧VDDがGNDレベルから所定の電源電圧レベルまで上昇する際に、まず、ゲートドライバ4への初期化信号INIが立ち上げられる。その所定期間後、初期化信号INIが立ち下げられて初期化期間aが終了した後、チャージポンプ回路5に対して、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKが入力されることにより、チャージポンプ回路5の駆動(昇電圧動作)が開始され、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDが所定時間後に安定した所定の電圧レベルに達する。
本実施形態3において、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは約2Vsync(約2垂直同期期間)であり、スタートパルスGSPは、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの前半の1Vsyncは3回/1Vsyncであり、後半の1Vsyncは2回/1Vsyncであり、それ以降の表示期間bには1回/1Vsync、Highレベルとなってゲートドライバ4に入力される。
即ち、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数(頻度)は、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの方が、表示期間bに比べて多くなっている。また、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる頻度が前半の1Vsyncと後半の1Vsyncとで不均一になっている(スタートパルスGSPのハイレベル出力回数が異なっている)。
チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDはTFTの制御領域(ゲート端子)にも供給されるため、出力電圧GVDDが低い方がTFTのON抵抗が高くなり、液晶容量Clcに印加された不要な電圧がTFTを介してデータライン11に抜ける程度も少なくなる。また、出力電圧GVDDが高い方がTFTのON抵抗が低くなり、補助容量Csを介して液晶容量Clcに印加される不要な電圧がTFTを介してデータライン11に抜ける程度も多くなる。
このため、出力電圧GVDDが低い期間と高い期間とで、同じ周期でゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)のスタートパルスGSPをゲートドライバ4に入力制御する必要はなく、例えば本実施形態3のように、前半の1Vsyncの回数/1Vsyncよりも後半の1Vsyncは回数/1Vsyncを少なくするタイミングでスタートパルスGSPのHighレベルが供給されても、表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
なお、本実施形態3では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、上記実施形態1で説明したように、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なる。
また、本実施形態3では、この期間cにスタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数が3回/1Vsyncおよび2回/1Vsyncと不均一にしているが、この回数は、前後の1垂直期間で増やすことも可能であり、また、順次減らすことも可能である。
(実施形態4)
上記実施形態3では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cの前半期間と後半期間とにおいて、外部信号回路6Cから、前後の1垂直期間毎に複数回、異なる頻度で、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(例えばHighレベル)とされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給されて、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が、1垂直期間に複数回出力(前半の1垂直期間は3回、後半の1垂直期間は2回)されるように制御したが、本実施形態4では、チャージポンプ回路5が昇電圧を開始してから所定の電圧に達するまでの期間cの後半において、制御信号出力手段としての外部信号回路6Dから、ゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルとされたスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給される頻度を表示期間bと同じ頻度にしている。なお、本実施形態4のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Dの基本的な構成は、上記実施形態1の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
以下に、本実施形態4のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Dの動作について説明する。
図5は、本実施形態4のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Dにおいて、図1の液晶パネル1に外部信号回路6Dから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図5では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4に入力されるスタートパルスGSPおよびクロック信号GCKについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図5に示すように、入力電源電圧VDDがGNDレベルから所定の電源電圧レベルまで上昇する際に、まず、ゲートドライバ4への初期化信号INIが立ち上げられる。その所定期間後、初期化信号INIが立ち下げられて初期化期間aが終了した後、チャージポンプ回路5に対して、外部制御信号(データドライバ3のクロック信号)SCKが入力されることにより、チャージポンプ回路5の駆動(昇電圧動作)が開始され、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDが所定時間後に安定した所定の電圧レベルに達する。
本実施形態4において、この出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは約2Vsync(約2垂直同期期間)であり、スタートパルスGSPは、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの前半の1Vsyncは上記実施形態3の場合と同様に3回/1Vsyncであり、その後半の1Vsyncは表示期間bと同じ1回/1Vsyncとなってゲートドライバ4に入力される。
即ち、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数は、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの方が、表示期間bに比べて多くなっている。また、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる頻度が不均一になっている。
上記実施形態3では、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは、表示期間bに比べてスタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる頻度が多かったが、上記実施形態3でも説明したように、出力電圧GVDDが高いとTFT1のON抵抗が低くなるため、液晶容量Clcに印加された不要な電圧がTFTを介して抜ける程度が高くなる。このため、出力電圧GVDDがある所定電圧値よりも高い期間には、表示期間bと同じ周期でゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)のスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給されても、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
このように、表示期間bと同じ周期でゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)のスタートパルスGSPがゲートドライバ4に供給されても表示に不具合が生じないような出力電圧GVDDの電圧値については、液晶パネル1のTFT特性に依存しており、TFT特性の閾値(Vth)電圧が該当する。しかしながら、実際には製造プロセスにばらつきなどがあるため、若干の余裕を持たせておくことが好ましい。
なお、本実施形態4では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、上記実施形態1でも説明したように、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なる。
また、本実施形態4では、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cであって、スタートパルスがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベルとなる期間において、スタートパルスGSPがゲートドライバ4の動作開始に有効なレベル(Highレベル)となる回数が3回/1Vsyncとされているが、この回数は増やすことも可能であり、また、減らすことも可能である。
(実施形態5)
上記実施形態1〜4では、チャージポンプ回路5の昇電圧動作が開始されてから所定の電圧に達するまでの期間cに、各外部信号回路6A〜6Dによって液晶表示部2の通常表示期間bとは異なる波形のスタートパルスGSPを生成して、ゲートドライバ4から出力される信号(走査信号)が1垂直期間に複数回または最大限出力されるように制御したが、本実施形態5では、ゲートドライバ4Eのシフトレジスタ(シフトレジスタ手段)を構成するフリップフロップにプリセット端子Pを設けて、外部信号回路6Eから入力されるプリセット信号GSPHでフリップフロップを制御することによって、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに液晶表示部2の通常表示期間bに比べて高い頻度または長い期間で、ゲートドライバ4Eから信号(走査信号)が出力されるように制御する。本実施形態5のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Eと、例えば上記実施形態1のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Aとの相違点は、図14に示すようなシフトレジスタで構成されたゲートドライバ4の代りに、図6に示すようなゲートドライバ4Eが設け、ゲートドライバ4Eのプリセット端子Pに外部信号回路6Eからプリセット信号GSPHを出力する点であり、それ以外の構成は上記実施形態1〜5の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図6は、本発明のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Eの実施形態5における要部構成例を示すブロック図、図7は、図6のゲートドライバ4Eの回路構成を示す図である。
図6および図7に示すように、ゲートドライバ4Eでは、外部信号回路6EからのスタートパルスGSPと、クロック信号GCKと、プリセット信号GSPHとによって制御される複数のDフリップフロップ42によってシフトレジスタ構成となっている。初段のDフリップフロップ42のデータ入力端子DにはスタートパルスGSPが供給され、それ以外のDフリップフロップ42のデータ入力端子Dには前段のフリップフロップ41の出力端子Qが接続されている。また、各Dフリップフロップ42のクロック入力端子CKにはクロック信号GCKが供給されている。さらに、各フリップフロップ42にはプリセット端子Pが設けられており、プリセット端子Pにプリセット信号GSPHが供給される。
各Dフリップフロップ42では、クロック信号GCKの入力タイミングで出力パルスQ(Q1、Q2、・・・Qn)が次段へシフトされて出力されることから、この出力パルスQを用いれば、クロック信号GCKの周期でTFTをON(選択)させる走査信号をゲートライン12に対して順次出力させ、液晶表示部2を線順次に駆動させることが可能である。
また、各フリップフロップ42では、プリセット端子PにHighレベルのプリセット信号GSPHが印加されると、非同期にHighレベルの出力信号が出力端子Qから出力される。
上記構成により、本実施形態5のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Eの動作について説明する。
図8は、本実施形態5のアクティブ型液晶表示装置10Eにおいて、図6の液晶パネル1に外部信号回路6Eから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図8では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4Eに入力される外部制御信号であるスタートパルスGSP、クロック信号GCKおよびプリセット信号GSPHについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
本実施形態5のゲートドライバ4Eにおいては、プリセット信号GSPHがHighレベルになると、フリップフロップ42から非同期にHighレベルの信号が出力される。このため、図7に示すように、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、Highレベルのプリセット信号GSPHがゲートドライバ4Eのプリセット端子Pに入力することによって、スタートパルスGSPやクロック信号GCKに関わらず、全ゲートライン12にTFTをON状態にさせる電圧の信号(走査信号)が出力される(出力電圧GVDDが出力される)。このため、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの全期間においてTFTがON状態とされ、液晶容量Clcに印加された不要な電圧がTFTを介してデータライン11に常に抜けていくため、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
なお、本実施形態5では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsync(約2垂直同期期間)としているが、この期間は、上記実施形態1で説明したように、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なるものとなる。
また、本実施形態5において、プリセット信号GSPHがHighレベルである期間は、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cと同じ期間でなくてもよい(例えば全期間ではなく、一部期間でもよい)。さらに、プリセット信号GSPHは、図7に示すようにHighレベルが連続している必要はなく、例えば図1のスタートパルスGSPのように不連続な波形をプリセット信号GSPHとして用いてもよい。
(実施形態6)
上記実施形態5では、ゲートドライバ4Eのシフトレジスタを構成する全てのフリップフロップにプリセット端子Pを設けて、外部信号回路6Eから入力されるプリセット信号GSPHでそのフリップフロップを制御することによって、全てのゲートライン12に対して、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて液晶表示部2の通常表示期間bに比べて高い頻度または/および長い期間で、ゲートドライバ4EからTFTをON状態にする信号(走査信号)が出力されるように制御したが、本実施形態6では、プリセット端子Pが設けられたフリップフロップと、プリセット端子Pが設けられていないフリップフロップとを組み合せて、任意のゲートライン12に対して、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて液晶表示部2の通常表示期間bに比べて高い頻度または/および長い期間で、ゲートドライバ4FからTFTをON状態にする信号(走査信号)が出力されるように制御する。それ以外の構成は実施形態5の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図9は、本実施形態6のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Fにおけるゲートドライバ4Fの回路構成を示す図である。
図9に示すように、ゲートドライバ4Fでは、プリセット端子Pが設けられていないフリップフロップ41と、プリセット端子Pが設けられたフリップフロップ42とが組み合せられてシフトレジスタ構成が為されている。初段のDフリップフロップ41のデータ入力端子DにはスタートパルスGSPが供給され、それ以外のDフリップフロップ41および42のデータ入力端子Dには前段のフリップフロップ41または42の出力端子Qが接続されている。また、各Dフリップフロップ41および42のクロック入力端子CKにはクロック信号GCKが供給されている。さらに、フリップフロップ42にはプリセット端子Pが設けられており、このプリセット端子Pにプリセット信号GSPHが供給される。
各Dフリップフロップ41および42では、クロック信号GCKの入力タイミングで出力パルスQ(Q1、Q2、・・・Qn)が次段へシフトされて出力されることから、この出力パルスQを用いれば、クロック信号GCKの周期でTFTをONさせる走査信号をゲートライン12に対して順次出力させ、線順次に駆動させることが可能である。
また、フリップフロップ42では、プリセット端子PにHighレベルのプリセット信号GSPHが印加されると、非同期にHighレベルの出力信号が出力端子Qから出力される。
上記構成により、本実施形態6のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Fの動作について説明する。
図10は、本実施形態6のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Fにおいて、図6の液晶パネル1に外部信号回路6Fから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図9では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4Fに入力される外部制御信号であるスタートパルスGSP、クロック信号GCKおよびプリセット信号GSPHについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
本実施形態6のゲートドライバ4Fでは、プリセット信号GSPHがHighレベルになると、フリップフロップ42から非同期にHighレベルの信号が出力される。このため、図10に示すように、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、Highレベルのプリセット信号GSPHがゲートドライバ4Fのプリセット端子Pに入力することによって、スタートパルスGSPやクロック信号GCKに関わらず、該当するゲートライン12にTFTをON状態にさせる電圧の信号(走査信号)が出力されることになる。
このとき、フリップフロップ42にはHighレベルのデータが保持されているため、その後、クロック信号GCKが入力されると、次段のフリップフロップ41または42の出力がHighレベルとなり、任意のフリップフロップ42によってシフト動作を開始させることができるようになる。
例えば、図9においてプリセット端子Pを有するフリップフロップ42を等間隔に2箇所設けて図10に示すような外部制御信号を入力することによって、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて1Vsync中で複数回、TFTをON状態にさせることが可能となる。これにより、液晶容量Cxyに印加された不要な電圧がTFTを介して抜けていくため、表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
なお、本実施形態6では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、上記実施形態1で説明したように、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なるものとなる。
また、本実施形態6において、プリセット信号GSPHがHighレベルを取り得る期間は、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cと同じ期間でなくてもよい。さらに、プリセット信号GSPHは、図10に示すような波形に限定する必要はなく、また、連続したHighレベルである必要もなく、さらに、1Vsync中にHighレベルとする回数が異なっていてもよい。
(実施形態7)
上記実施形態5,6では、ゲートドライバ4E,4Fのシフトレジスタ構成とする複数のフリップフロップの少なくとも一つにプリセット端子Pを設けて、外部信号回路6E,6Fから入力されるプリセット信号GSPHで制御することによって、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに液晶表示部2の通常表示期間bに比べて高い頻度または/および長い期間で、ゲートドライバ4E,4Fから信号(走査信号)が出力されるように制御したが、本実施形態7では、ゲートドライバ4Gのシフトレジスタを構成するフリップフロップの前段にセレクタを設けて、外部信号回路6Gから入力されるセレクト信号SELでセレクタを制御することによって、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに液晶表示部2の通常表示期間bに比べて高い頻度または/および長い期間で、ゲートドライバ4Gから信号(走査信号)が出力されるように制御する。それ以外の構成は実施形態5,6の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図11は、本発明のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Gの実施形態7における要部構成例を示すブロック図、図12は、図11のゲートドライバ4Gの回路構成を示す図である。
図11および図12に示すように、ゲートドライバ4Gは、外部信号回路6GからのスタートパルスGSPと、クロック信号GCKとによって制御される複数のDフリップフロップ41によってシフトレジスタが構成されており、初段のDフリップフロップ41以外の各フリップフロップ41の前段に、外部信号回路6Gからのセレクト信号SELによって制御されるセレクタ43が設けられている。初段のDフリップフロップ41のデータ入力端子DにはスタートパルスGSPが供給され、それ以外のDフリップフロップ41のデータ入力端子Dには前段のセレクタ43の出力端子Yが接続されている。また、各Dフリップフロップ41のクロック入力端子CKにはクロック信号GCKが供給されている。各セレクタ43の入力端子Aには前段のフリップフロップ41の出力端子Qが接続されており、その入力端子Bにはプリセット信号GSPHが供給される。また、各セレクタ43のセレクタ入力端子SELにはセレクタ信号SELが供給される。
各Dフリップフロップ41では、クロック信号GCKの入力タイミングで出力パルスQ(Q1、Q2、・・・Qn)が次段へシフトされて出力されることから、この出力パルスQを用いれば、クロック信号GCKの周期でTFTをONさせる走査信号をゲートライン12に対して順次出力させ、線順次に駆動させることが可能である。
また、各セレクタ43では、セレクタ端子SELに印加されるセレクト信号SELがLowレベルのときに出力端子Yから、入力端子Aからの入力信号が選択されて出力され、セレクト信号SELがHighレベルのときに出力端子Yから、入力端子Bからの入力信号が選択されて出力されるものとする。
上記構成により、本実施形態7のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Gの動作について説明する。
図13は、本実施形態7のアクティブマトリクス型液晶表示装置10Gにおいて、図1の液晶パネル1に外部信号回路6Gから入力される各外部制御信号電圧、電源電圧および図1のチャージポンプ回路5の出力電圧の各信号波形をそれぞれ示す図である。図13では、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、ゲートドライバ4Gに入力される外部制御信号であるスタートパルスGSP、クロック信号GCK、プリセット信号GSPHおよびセレクト信号SELについて、電源投入時に入力電源電圧VDDがGNDレベルより所定の電源電圧まで上昇して、実際に液晶表示が開始されるまでの期間の電源投入部分を示している。
図13に示す各信号波形において、入力電源電圧VDD、初期化信号INI、外部制御信号SCK、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDD、スタートパルスGSP、クロック信号GCKおよびプリセット信号GSPHは上記図8の場合と同様の信号波形であり、セレクト信号SELはプリセット信号GSPHと同様の波形である。これにより、本実施形態7のゲートドライバ4Gは、上記実施形態5のゲートドライバ4Eと同様に動作をさせることが可能である。
即ち、本実施形態7のゲートドライバ4Gにおいて、セレクト信号SELがHighレベルになると、出力端子Yから、入力端子Bから入力されるプリセット信号GSPHが選択されて出力される。このとき、プリセット信号GSPHもHighレベルであるので、フリップフロップ41から非同期にHighレベルの信号が出力される。このため、図13に示すように、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、Highレベルのプリセット信号GSPHおよびセレクト信号SELがゲートドライバ4Gのセレクタ43に入力することによって、スタートパルスGSPやクロック信号GCKに関わらず、全ゲートライン12にTFTをON状態にさせる電圧の信号(走査信号)が出力されることになる。このため、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cの全期間においてTFTがON状態とされ、液晶容量Clcに印加された不要な電圧がTFTを介して常に抜けていくため、従来のように表示ムラやスジなどが表示画面上に現れることはない。
なお、本実施形態7では、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDの立ち上がり期間cを約2Vsyncとしているが、この期間は、実施形態1で説明したように、チャージポンプ回路5の回路構成によって異なるものとなる。
また、本実施形態7において、プリセット信号GSPHやセレクト信号SELの各波形を変化させることによって、全ゲートライン12にTFTをON状態にさせる電圧の信号(走査信号)が出力されるタイミングを変化させることが可能である。さらに、セレクタ43が設けられる位置を、全フリップフロップの前段ではなく、一部のフリップフロップ41の前段に設けることによって、上記実施形態6の場合と同様に、任意のゲートライン12に任意のタイミングでTFTをON状態にさせる電圧の信号(走査信号)を出力させることが可能になる。さらに、セレクタ43の代わりに、ORゲートなどを用いても、同様な動作を実現することは可能であり、その他にも利用可能な回路構成が多数あることは言うまでもない。結果として、1Vsyncの間に複数回または/および長期間、TFTをON状態にさせることが可能な回路構成によって、液晶容量Clcに印加した不要な電圧をTFTを介して抜くことが可能であれば、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れて表示不具合が生じることを防ぎ、良好な表示状態を得ることができる。
以上により、上記実施形態1〜7によれば、通常の電源電圧VDDを昇電圧してTFTをON状態にする出力電圧GVDDを生成するチャージポンプ回路5を有するアクティブマトリクス型液晶表示装置10A〜10Gにおいて、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cに、ゲートドライバ4、4E〜4Gからの出力頻度または/および出力時間を通常表示期間bに比べて多くすることによって、液晶容量Clcに印加される不要な電圧をTFTを介して抜いて、電源投入時に液晶容量Clcに不要な電圧が印加されないようにすることができて、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れる表示不具合を抑制することができる。
なお、上記実施形態1〜7では、スタートパルスGSPやプリセット信号GSPHがHighレベルになる回数やタイミングについて説明したが、これらは、Highレベルが回路動作として有効なパルスである場合であって、Lowレベルが回路動作として有効な回路構成とすることも可能である。したがって、上記実施形態1〜7で説明したように動作させることが可能であれば、入力される信号の極性やタイミングについては上記実施形態1〜7で説明したものに限らない。
なお、当然のことながら、上記実施形態1〜7において、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cでは出力電圧GVDDが正規の電圧レベル(所定の電圧レベル)に達していないため、所望の表示が可能である訳ではない。このため、液晶容量Clcに電圧が印加されないようにしたほうが好ましく、データドライバ3からの出力、即ち、データライン11と対向電圧COMとは同電位である方が好ましい。この出力電圧GVDDの立ち上がり期間cは、電源投入タイミングでもあり、対向電圧COMがGND(接地レベル)であるならば、データライン11の電圧もGNDとするほうが好ましい。この際、データライン11への電圧印加には、データドライバ3からの出力を用いてもよいし、その他に専用の回路を設けてもよい。本発明では、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cにおいて、ゲートライン12を液晶表示部2の通常表示期間bよりも高い頻度または/および長い期間で駆動することが重要なのであって、データライン12への電圧印加方法は本願発明において重要ではないため、ここではその説明を省略する。
当然のことながら、ゲートドライバ4,4E〜4Gに供給されるクロック信号GCKの周波数を高くすると、ゲートドライバ4内のシフトレジスタは速くシフト動作するため、単位時間当たりにゲートライン12にHighレベルの電圧が印加される回数を、通常よりも多くすることが可能である。これにより、液晶容量Clcに印加された不要な電圧をTFTを介して抜く回数を増やすことが可能となるため、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れないようにするという効果を期待することができる。しかしながら、実際には、クロック信号GCKの周期が短くなることから、ゲートライン12にHighレベルの電圧が印加される時間が短くなるため、TFTがON状態とされている時間も短くなる。このため、TFTの特性によっては、そのような短いON時間では液晶容量Clcに印加された不要な電圧をTFTを介して抜くことが難しい場合があり、一概に有効であるか否かは断定することができないが、そのような手法を用いることは可能であり、また、上記実施形態1〜7と組み合わせて実施することも可能である。
また、上記実施形態1〜7において、初期化期間aに、対向電極VCOMの対向電圧と、付加容量部のTFT側とは反対側の電極電圧GVDDとに電位差が発生すると、出力電圧GVDDの立ち上がり期間cと同様に、従来のような表示ムラやスジなどが表示画面上に現れるという不具合が発生する。これによって、初期化期間aにおいて、対向電極VCOMの電圧と、補助容量部のTFT側とは反対側の電極電圧GVDDとは同電位とすることが好ましい。例えば、対向電極VCOMの対向電圧がGNDレベル(接地レベル;0V)であれば、付加容量部のTFT側とは反対側の電極電圧GVDDもGNDレベル(接地レベル;0V)とすることが好ましい。
また、上記実施形態1〜7のように、初期化期間aの終了後すぐに、チャージポンプ回路5からの出力電圧GVDDを立ち上げる必要はなく、初期化期間aの終了時点からチャージポンプ回路5の昇電圧動作開始までにチャージポンプ回路5が動作しない期間を設けてもよい。しかしながら、このようにチャージポンプ回路5が動作しない期間を長く設けると、液晶表示までに時間がかかることになるため、利便性を考えると、この期間を長くすることに利点はない。
また、上記実施形態1〜7では、チャージポンプ回路5を動作させる外部制御信号として、データドライバ3のクロック用として入力されている信号SCKを用いているが、これは一例であり、その他のチャージポンプ回路5以外に用いられている信号を兼用してもよく、また、チャージポンプ回路5の制御用に専用の制御信号を用意することも可能である。
また、上記実施形態1〜7では、低温プロセスで作製されたポリシリコンを用いて、1枚のガラス基板上に全ての機能を作り込んだ場合を示しているが、例えば、データドライバ3、ゲートドライバ4、4E〜4G、およびチャージポンプ回路5は、同一のガラス基板上に作製されたものでなくてもよく、外部ICなどを利用してもよい。
さらに、液晶表示部2の液晶モードが反射型表示モードを有する場合に対して不具合が発生しやすいと説明してきたが、これに限定されず、反射型表示モードを有していない、透過型表示装置においても、本発明を適用することは可能である。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜7を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜7に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜7の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。