JP4483263B2 - 液晶装置及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、透過率が全波長域で一定ではない透明電極を用いた電気光学装置、液晶装置及びこれらの製造方法に関する。
液晶装置は、ガラス基板、石英基板等の2枚の基板間に液晶を封入して構成される。液晶装置では、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)等の能動素子をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に封止した液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能にする。
即ち、TFT素子によってマトリクス状に配列された画素電極(ITO(Indium Tin Oxide))に画像信号を供給し、画素電極と対向電極相互間の液晶層に画像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させる。これにより、画素の透過率を変化させ、画素電極及び液晶層を通過する光を画像信号に応じて変化させて画像表示を行う。
電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するために、一方の基板(アクティブマトリクス基板(素子基板ともいう))及び他方の基板(対向基板)の液晶層に接する面上にポリイミド等の配向膜を形成し、配向膜にラビング処理を施す。ラビング処理によって、電圧無印加時の液晶分子はラビング方向に配列する。例えば、素子基板と対向基板とで相互に90度ねじれたラビング処理を施すと、液晶分子は液晶パネル内で連続的に向きを変え、両基板間では90度異なる向きに配列される。
液晶パネルの前面及び背面に偏光板を設けて、入射した光のうち所定の偏光成分のみを通過させる。ノーマリホワイトモードでは、液晶パネルの前面及び背面の偏光板の偏光軸を90度相違させて、夫々基板のラビング方向に一致させる。そうすると、液晶パネルの背面の偏光板を介して入射した光は、電圧無印加時には、液晶層において液晶分子の配列に従って90度回転し、液晶パネルの前面から偏光板を介して出射される。これにより、白表示が行われる。
液晶に電圧を印加すると、液晶の配列方向が変化し、液晶パネル内の液晶による光の振動方向の回転が制限され、液晶パネル前面から出射される光は偏光板によって吸収される。画像信号に応じた電圧を液晶に印加し画像信号に応じた透過率で光を透過させることで、画像表示を行うのである。
ところで、このようなTFTアクティブマトリクス駆動形式の液晶装置では、各画素に設けられた画素スイッチング用TFTのチャネル領域に入射光が照射されると、光による励起で光リーク電流が発生してTFTの特性が変化する。そこで、TFTのチャネル領域やその周辺領域(以下、遮光エリアという)に対する入射光の遮光を行うために、各画素の開口領域を規定する遮光膜を形成して、遮光エリアを遮光するように構成されている。
なお、遮光膜による入射光量の低下を補うために、対向基板に、各画素に対応したマイクロレンズを形成し、光を集光して各画素の開口領域に供給することで、開口率を向上させるようになっている。なお、マイクロレンズを形成して開口率を向上させる方法については、特許文献1に開示されている。
特開2001−246599号公報
近年、液晶装置等の電気光学装置においては、表示画像の高品位化という一般的な要請が強く、高輝度化のために画素開口率を向上させる必要がある。即ち、データ線及び走査線等が形成される遮光領域のサイズを画素電極のサイズに比べて小さくする必要がある。しかしながら、画像の高品位化のためには、画素ピッチも微細化しなければならず、遮光領域を狭くすることによる開口率の改善には限界があるという問題点があった。
また、配向膜材料であるポリイミドは、入射光によって膜質が劣化するという問題もあった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ITO膜に異種膜を積層することで透過率を向上させ、高品位な画像を得ることができる電気光学装置、液晶装置及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る液晶装置は、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入する液晶層と、透明導電膜としてのITO膜と青色光の透過率を減衰させる光学薄膜とが積層されて構成され、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、可視光領域の透過率が前記透明導電膜の可視光領域の透過率よりも高められた積層膜と、前記透明導電膜と前記液晶層との間に夫々設けられる配向膜としてのポリイミドとを具備したことを特徴とする。
また、本発明に係る液晶装置において、前記光学薄膜は、窒化膜であることを特徴とする。
また、本発明に係る液晶装置において、前記窒化膜は、プラズマ窒化膜、プラズマ酸窒化膜、窒化シリコン膜及びシリコン酸窒化膜のいずれか一つであることを特徴とする。

このような構成によれば、透明導電膜と前記光学薄膜の積層膜に入射する光のうち、前記積層膜を透過する光と、前記光学薄膜と空気との界面で反射した光が前記光学薄膜と透明導電膜との界面で反射して前記光学薄膜から空気中に出射される光とが干渉を起こして、強め合い、画素電極が1層の場合に比べて、上記の様に透明導電膜上に光学薄膜を積層した場合の方が可視項領域(例えば400〜800nm)の透過率特性を改善することができる。例えば、前記透明導電膜及び光学薄膜の透過率特性及び膜厚等を適宜設定することによって、人間の視感度特性上、感度が最も高い波長域の透過率を高くすることができ、画像の明るさを向上させて高画質化を図ることができる。
また、前記透明導電膜は、ITO膜であることを特徴とする。
このような構成によれば、中波長域の透過率が比較的低いITO膜に対して、この中波長域の透過率が比較的高い光学薄膜を積層することによって、全体の透過率特性を改善することができる。
また、前記光学薄膜は、前記透明導電膜と同等の屈折率を有することを特徴とする。
このような構成によれば、屈折率が略等しいので、光学薄膜と透明導電膜との間で光が屈折することなく進行し、透過率を向上させつつ歪がない画像表示が可能である。
また、前記光学薄膜は、550nm近傍の中波長域において高い透過率を有することを特徴とする。
このような構成によれば、人間の視感度特性上、高い感度の波長域において、光学薄膜の透過率が高く、画像の明るさを向上させて高画質化を図ることができる。
また、前記透明導電膜と光学薄膜とは夫々多層構造を有することを特徴とする。
このような構成によれば、複数の透明導電膜及び光学薄膜によって、透過率を向上させることができる。
本発明に係る液晶装置は、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入する液晶層と、透明導電膜と光学薄膜とが積層されて構成され、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、可視光領域の透過率が前記透明導電膜の可視光領域の透過率よりも高められた積層膜と、前記透明導電膜と前記液晶層との間に夫々設けられる配向膜とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、基板上に光学薄膜及び透明導電膜の積層膜が構成される。透明導電膜と光学薄膜との積層膜は、干渉によって、透過率特性が透明導電膜1層の場合よりも改善される。例えば、人間の視感度特性上、感度が最も高い波長域の透過率を高くすることができ、画像の明るさを向上させて高画質化を図ることができる。また、光学薄膜によって、配向膜の膜質を劣化させやすい波長域の光の入射を阻止することもできる。
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、基板上に、透明導電膜と光学薄膜との積層膜のうちの光学薄膜を形成する工程であって、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、可視光領域の透過率を前記透明導電膜の可視光領域の透過率よりも高めるための工程と、前記光学薄膜に前記透明導電膜を積層する工程とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、基板上に、光学薄膜を形成し、光学薄膜上に透明導電膜を形成する。透明導電膜と光学薄膜との積層膜は、干渉により、透明導電膜1層の場合よりも透過率を改善させることができる。これにより、電気光学装置の透過率特性を改善することができる。
本発明に係る液晶装置の製造方法は、基板上に、透明導電膜と光学薄膜との積層膜のうちの光学薄膜を形成する工程であって、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、可視光領域の透過率を前記透明導電膜の可視光領域の透過率よりも高めるための工程と、前記光学薄膜に前記透明導電膜を積層する工程と、前記透明導電膜上に配向膜を形成する工程とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、基板上に、光学薄膜及び透明導電膜の積層膜を構成し、更に、配向膜を形成する。積層膜によって透過率を改善することができる。また、光学薄膜は、例えば、配向膜の膜質を劣化させやすい波長域の光の入射を阻止することもでき、配向膜の膜質の劣化を抑制することもできる。
また、前記光学薄膜は、配向膜と兼用することを特徴とする。
このような構成によれば、光学薄膜を配向膜と兼用することができる。
また、前記光学薄膜は、マイクロレンズの少なくとも片側の面に積層されることを特徴とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置である液晶装置の要部の構成を示す概略断面図であり、図2は本実施の形態の電気光学装置である液晶装置を構成するTFT基板(素子基板)をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図であり、図3はTFT基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図2のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。図4は本実施の形態の電気光学装置である液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図5は横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、図1中のプラズマ窒化膜91,92の透過率特性を示すグラフであり、図6は横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、画素電極にプラズマ窒化膜を積層した場合の積層膜の透過率の改善特性を示すグラフである。また、図7は横軸にプラズマ窒化膜の膜厚をとり縦軸に液晶装置の透過率の改善率をとって、プラズマ窒化膜の膜厚と透過率の改善率との関係を示すグラフである。なお、上記各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
先ず、図2乃至図4を参照して本実施の形態の電気光学装置である液晶装置の全体構成について説明する。
液晶装置は、図2及び図3に示すように、素子基板であるTFT基板10と対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。TFT基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、TFT基板10側には画素を構成するTFT素子(図示省略)及び画素電極9a等がマトリクス状に配置される。また、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなり、対向基板20側には全面に対向電極21が設けられる。画素電極9a及び対向電極21は、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
図4は画素を構成するTFT基板10上の素子の等価回路を示している。
図4に示すように、画素領域においては、複数本の走査線11aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線11aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線11aとデータ線6aの各交差部分に対応してTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9aが接続される。
TFT30は走査線11aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号がTFT30のソース・ドレイン路を介して画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。また、画素電極9aと並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
TFT基板10の画素電極9a上には、ラビング処理が施された配向膜16が設けられている。一方、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜22が設けられている。各配向膜16,22は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。対向基板20に形成された配向膜22は、図1の装置を用いてラビング処理が施されている。
図2及び図3に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜53並びにデータ線6a及び走査線11aに対向して格子状に形成されて画素を区画する遮光膜90が設けられている。遮光膜53の外側の領域には液晶を封入するシール材52が、TFT基板10と対向基板20間に形成されている。シール材52は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、TFT基板10と対向基板20を相互に固着する。
このように対向配置されたTFT基板10及び対向基板20間には、シール材52により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16,22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した電気光学物質からなる。シール材52は、TFT基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤である。
シール材52は、TFT基板10の1辺の一部において欠落しており、この欠落部分で液晶50を注入するための液晶注入口108が形成される。貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶注入口108より液晶が注入される。液晶注入後に、液晶注入口108を封止材109で封止するようになっている。
シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定のタイミングで供給することにより該データ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102がTFT基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に隣接する二辺に沿って、走査線11aに走査信号を所定のタイミングで供給することにより走査線11aを駆動する走査線駆動回路104が設けられている。走査線駆動回路104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置においてTFT基板10上に形成される。また、TFT基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成される。そして、TFT基板10と対向基板20相互間には、下端が上下導通端子107に接触し、上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
次に、パネル組立工程について説明する。TFT基板10と対向基板20とは、別々に製造される。夫々用意されたTFT基板10及び対向基板20に対して、次に、配向膜16,22となるポリイミドを塗布する。次に、TFT基板10表面の配向膜16及び対向基板20表面の配向膜22に対して、ラビング処理を施す。
次に、シール材52を形成する。シール材52はディスペンス塗布等によって形成する。このようなシール材52を形成した後、TFT基板10と対向基板20とを貼り合わせ、アライメントを施しながら圧着し、シール材52を硬化させる。最後に、シール材52の一部に設けた液晶注入口108から液晶を封入し、液晶注入口108を塞いで液晶を封止する。
図1は図2乃至図4の液晶装置の画素領域の一部を示している。なお、図1では図3の遮光膜90は図示を省略している。TFT基板10上には、図示しないTFTを含む各種の層が積層されており、これらの各層上には、層間絶縁膜89が形成されている。
本実施の形態においては、画素電極9a及び対向電極21を構成するITO膜に透明な光学薄膜である異種膜を積層することで、透過率を向上させるようになっている。異種膜としては、例えば、屈折率がITO膜と同等(屈折率2.0±0.5)な窒化膜を採用する。採用可能な窒化膜としては、例えば、プラズマ窒化膜、プラズマ酸窒化膜、窒化シリコン膜(Si3N4)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等がある。
図1は異種膜としてプラズマ窒化膜を採用したものであり、層間絶縁膜89上にプラズマ窒化膜91を積層し、プラズマ窒化膜91上に画素電極9aを形成するようになっている。画素電極9a上及びプラズマ窒化膜91上には、全面にポリイミドによる配向膜16が形成されている。即ち、配向膜16と層間絶縁膜89との間には、ITOによって形成された画素電極9aとプラズマ窒化膜91との積層構造が形成されている。
一方、対向基板20側においては、対向基板20上に図1では図示を省略した遮光膜が形成されている。本実施の形態においては、対向基板20及び遮光膜(図示省略)上に、プラズマ窒化膜92を積層し、プラズマ窒化膜92上に対向電極21を形成するようになっている。対向電極21上には、全面にポリイミドによる配向膜22が形成されている。即ち、遮光膜が形成された対向基板20と配向膜22との間には、ITOによって形成された対向電極21とプラズマ窒化膜92との積層構造が形成されている。なお、プラズマ窒化膜91,92は、プラズマをSiH4、N2、NH3ガスを用いて摂氏400度以下で成膜することができる。
電極9a,21を構成する透明導電膜としてのITOと光学薄膜であるプラズマ窒化膜91,92との積層膜は、干渉によって、ITO膜1層で構成する場合よりも、透過率を向上させることができる。即ち、ITO膜と光学薄膜の積層膜に入射する光のうち、積層膜を透過する光と、プラズマ窒化膜91,92と空気との界面で反射した光がプラズマ窒化膜91,92とITOとの界面で反射してプラズマ窒化膜91,92から空気中に出射される光とが干渉を起こして、強め合い、このような積層構造は、画素電極が1層の場合に比べて、可視項領域(例えば400〜800nm)の透過率特性を改善することができる。
図5はプラズマ窒化膜91,92の透過率特性を示している。図5に示すように、プラズマ窒化膜91,92は、低波長域については比較的低い透過率を有し、中及び高波長域については比較的高い透過率を有している。なお、人間の視感度特性は、中波長域である550nm近傍にピーク感度を有する。
図6はプラズマ窒化膜と画素電極9a及び対向電極21を構成するITO膜との積層構造による透過率の改善を示すものである。特性Aは膜厚が85nmのITOのみを用いた場合の液晶装置の分光透過率を示している。また、図6の特性Bは膜厚が85nmのITOに膜厚が60nmのプラズマ窒化膜を積層した場合の液晶装置の分光透過率を示している。
図6に示すように、液晶装置に厚さが85nmのITO膜を単独で用いた場合には、分光透過率特性はフラットではなく、中波長域における透過率はそれ程高くない。これに対し、液晶装置にITO膜にプラズマ窒化膜を積層して用いた場合には、中波長域における透過率が向上し、少なくとも中、高波長域では、分光透過率特性が比較的フラットで且つ充分に高い値となっている。なお、低波長域は、他の部分よりも透過率が低下している。
このように、ITO膜にプラズマ窒化膜を積層して用いることにより、低波長域を除いて分光透過率特性を比較的フラットで且つ中、高域で高い透過率に変化させることができる。即ち、ITO膜とプラズマ窒化膜の積層構造によって、中波長域において比較的高くなる人間の視感度特性に適応した透過率特性にすることができる。
また、図7はITO膜とプラズマ窒化膜との積層構造における透過率の改善特性を、R(赤),G(緑),B(青)各軸毎にプラズマ窒化膜の膜厚の関係を考慮して示したものである。図7はプラズマ窒化膜の膜厚が0の場合、即ち、ITO膜を単独で用いた場合の液晶装置の透過率を基準値1にして示している。なお、図7はITO膜の膜厚は85nmの例である。図7に示すように、プラズマ窒化膜の膜厚が60nm近傍において、B光については透過率の改善度合いが1よりも低下する反面、人間の視感度特性により画質に与える影響が大きいG光の透過率改善については最も大きな値となっている。従って、膜厚が85nmのITO膜に対して膜厚が60nmのプラズマ窒化膜を積層することで、画像上良好な透過率特性を得ることができる。
このように構成された実施の形態においては、入射光は対向基板20側から入射し、プラズマ窒化膜92、ITO膜である対向電極21及び配向膜22を通過して液晶層50に達する。更に、液晶層50において画素電極9aと対向電極21との間の印加電圧の影響を受けた後、配向膜16、画素電極21及びプラズマ窒化膜91を透過し、層間絶縁膜89を含む各層を通過してTFT基板10に至る。プラズマ窒化膜91,92の屈折率は画素電極9a及び対向電極21の屈折率と略々一致しているので、画像が歪むことはない。
この間、プラズマ窒化膜92と対向電極21との間の透過率及び画素電極9aとプラズマ窒化膜91との間の透過率が、少なくとも中、高波長域において比較的高い値で且つ略々フラットであり、人間の視感度特性に適応したものとなっていることから、少なくとも中、高波長域における光の減衰量を抑制して、結果的に、表示される画像を充分な明るさに感じさせることができる。
また、対向基板20側のプラズマ窒化膜92は、図7に示すように、B光を減衰させる。即ち、配向膜22,16には、B光成分が比較的減衰した光が入射することになる。これにより、ブルー耐光性が悪い配向膜22,16であっても、入射光による膜質の劣化を抑制することができる。
このように、本実施の形態においては、ITO膜である画素電極又は対向電極に異種膜である窒化膜を積層していることから、中、高波長域における透過率を向上させて、人間の視感度特性に適応した透過率改善を可能にする。これにより、明るい画像の表示を可能にして画質を向上させることができる。また、配向膜22,16に入射するB光を低減させることができ、配向膜22,16の膜質の劣化を抑制することができる。
図8は本発明の第2の実施の形態を示す説明図である。図8において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態においては、TFT基板側及び対向基板側の双方にITO膜と窒化膜との積層構造を採用した。これに対し、本実施の形態は一方の基板にのみITO膜と窒化膜との積層構造を採用したものである。
この場合には、配向膜22,16に対するブルー耐光性を考慮して、最初に光が入射する基板側にITO膜と窒化膜との積層構造を採用する。即ち、図8の例では対向基板20と対向電極21との間にプラズマ窒化膜92を設け、TFT基板10側にはプラズマ窒化膜は設けない。
この場合でも、プラズマ窒化膜92によって入射光中のB光が減衰するので、配向膜22,16の膜質の劣化を抑制することができる。
図9は本発明の第3の実施の形態を示す説明図である。図9において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態においては、ITO膜と窒化膜との2層構造を構成した。これに対し、本実施の形態は、ITO膜と窒化膜との多層構造を採用したものである。図9の例は対向基板側において、ITO膜とプラズマ窒化膜とを交互に4層構造で構成した例を示している。
即ち、対向基板20側においては、対向基板20及び遮光膜(図示省略)上に、プラズマ窒化膜92’を積層し、プラズマ窒化膜92’上に対向電極21’を形成する。更に、対向電極21’上に、プラズマ窒化膜92’を積層し、更に、プラズマ窒化膜92’上に対向電極21’を形成する。液晶層50側の対向電極21’上には、全面にポリイミドによる配向膜22が形成される。
即ち、遮光膜が形成された対向基板20と配向膜22との間には、ITOによって形成されたプラズマ窒化膜92’、対向電極21’、プラズマ窒化膜92’及び対向電極21’の4層構造が形成されている。2層のプラズマ窒化膜92’の膜厚の和は、図1のプラズマ窒化膜92の膜厚と同一であり、2層の対向電極21’の膜厚の和は、図1の対向電極21の膜厚と同一である。
このように構成された実施の形態においても第1の実施の形態と同様の透過率改善効果を得ることができる。
なお、複数のITO膜の膜厚の和及び複数のプラズマ窒化膜の膜厚の和は、ITO膜とプラズマ窒化膜との各1層ずつの積層構造で構成した場合の各膜厚に一致させた方がよい。
また、図9では4層構造の例を説明したが、ITO膜と窒化膜とを3層構造にすることもでき、この場合には、ITO膜、窒化膜及びITO膜の3層構造とする。即ち、ITO膜と配向膜との間には異種膜を設けないようにすると共に、ITO膜の膜厚の和をITO膜1層で構成した場合の膜厚に一致させ、窒化膜の膜厚の和を窒化膜1層で構成した場合の膜厚に一致させれば、3層以上の多層構造を採用することができる。
なお、本発明の電気光学装置は、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルだけでなく、アクティブマトリクス型の液晶パネル(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた液晶表示パネル)にも同様に適用することが可能である。液晶表示パネルとしては、反射型液晶表示パネル、透過型液晶表示パネル或いは反射半透過型液晶表示パネル等に適用できるが、特に透過型液晶表示パネル或いは反射半透過型液晶表示パネルに対して効果が大きい。また、液晶表示パネルだけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等)などの各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
また、上記実施の形態においては、異種膜としてプラズマ窒化膜を用いた例を説明したが、異種膜を配向膜と同一にすることも可能である。この場合には、例えば、異種膜として以下に示す種々の無機配向膜を採用することができる。なお、括弧書きは、波長550nmにおける屈折率を示している。
Al2O3(1.61−1.64)
CeF3(1.57−1.60)
CeO2(1.96−2.05)
HfO2(1.98−2.05)
LaF3(1.56−1.62)
ZrO2+TiO2(1.95−2.15)
ZrO2+Al2O3(1.64−1.75)
TiOx(2.2−2.35)
ZrO2(2.0−2.1)
MgO(1.65−1.85)
また、本発明においては、ITO膜と異種膜とが積層されていればよく、異種膜の配置については種々の変形例が考えられる。例えば、異種膜をマイクロレンズアレイの少なくとも片側面に積層させるようにしてもよく、この場合には、透過率の改善効果を期待することができることは明らかである。
本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置である液晶装置の要部の構成を示す概略断面図。 本実施の形態の電気光学装置である液晶装置を構成するTFT基板(素子基板)をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。 TFT基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図2のH−H'線の位置で切断して示す断面図。 本実施の形態の電気光学装置である液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。 横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、図1中のプラズマ窒化膜91,92の透過率特性を示すグラフ。 横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、画素電極にプラズマ窒化膜を積層した場合の積層膜の透過率の改善特性を示すグラフ。 横軸にプラズマ窒化膜の膜厚をとり縦軸に液晶装置の透過率の改善率をとって、プラズマ窒化膜の膜厚と透過率の改善率との関係を示すグラフ。 本発明の第2の実施の形態を示す説明図。 本発明の第3の実施の形態を示す説明図。
符号の説明
9a…画素電極、10…TFT基板、16,22…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、89…層間絶縁膜、91,92…プラズマ窒化膜。

Claims (7)

  1. 対向配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入する液晶層と、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板上に設けられ、透明導電膜としてのITO膜と光学薄膜としての窒化膜とが積層されてなる積層膜と、前記積層膜と前記液晶層との間に設けられる配向膜としてのポリイミドとを具備し、前記積層膜は、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、前記透明導電膜の膜厚が85nmに設定され、かつ、前記光学薄膜の膜厚が70nm以上100nm以下の範囲内に設定された状態で、前記一方の基板から入射した青色光の透過率を前記透明導電膜における青色光の透過率よりも減衰させるとともに前記一方の基板から入射した緑色光の透過率を前記透明導電膜における緑色光の透過率よりも増大させることを特徴とする液晶装置。
  2. 前記窒化膜は、プラズマ窒化膜、プラズマ酸窒化膜、窒化シリコン膜及びシリコン酸窒化膜のいずれか一つであることを特徴とする請求項に記載の液晶装置。
  3. 前記光学薄膜は、前記透明導電膜と同等の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  4. 前記光学薄膜は、550nm近傍の中波長域において高い透過率を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  5. 前記透明導電膜と光学薄膜とは夫々多層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  6. 基板上に、透明導電膜としてのITO膜と光学薄膜としての窒化膜との積層膜を形成する工程と、前記積層膜上に配向膜としてのポリイミドを形成する工程とを具備し、前記積層膜は、前記透明導電膜と前記光学薄膜との干渉により、前記透明導電膜の膜厚が85nmに設定され、かつ、前記光学薄膜の膜厚が70nm以上100nm以下の範囲内に設定された状態で、青色光の透過率を前記透明導電膜における青色光の透過率よりも減衰させるとともに緑色光の透過率を前記透明導電膜における緑色光の透過率よりも増大させることを特徴とする液晶装置の製造方法。
  7. 前記光学薄膜は、マイクロレンズの少なくとも片側の面に積層されることを特徴とする請求項1乃至に記載の液晶装置。
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