JP4482186B2 - 多セル式ロータ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、生物学的液体(たとえば、血液、血漿または血清)を検査するための自動アナライザの多セル式ロータに関する。
【0002】
ドイツ国特許出願3937609が、既に、円型に配置され、半径方向に延びる個々の密閉セルを有するセル式ロータを開示している。これらのセルは、各々、せきによって互いに分割された3つのチャンバを有する。セルは、ほぼ平行な側壁、上部および下部によって、半径方向に区切られている。各チャンバは、検査しようとしている生物学的液体または試薬を加えることができるピペット孔を有する。一般に、生物学的液体は、回転軸線に向かって配置されたチャンバに導入され、特定の試薬および必要に応じて希釈液が周囲のチャンバ内に導入される。これら試薬および希釈液は、遠心力作用によって生物学的液体が周囲のチャンバ内へせきを越えて通ると直ちに生物学的液体と混合して反応する。光学測定は、分析しようとしている液体の固定経路長さに沿ってロータ平面に対して直角の方向に行われる。
【0003】
公知のセル式ロータにおいて、チャンバおよび測定セルの数、形状は均一である。したがって、測定のためにロータで利用できるスペース全体を利用することはできない。スペースを充分に利用する場合に比べて測定セルが少なくなる可能性があるので、測定毎のコストが必要以上に高くなる。それに加えて、最大数のセルを装置上のスペースに設けることができない場合には、放置時間(すなわち、監視なしに装置が作動する時間)が不必要に制限される。
【0004】
したがって、ここでの目的は、表面領域を最適に利用しながら、ロータ上により多くの測定セルを設けることができ、それに加えて、測定セルのための異なったチャンバ・システムを提供し、異なったタイプのチャンバ形状およびチャンバ体積によって測定要求を満たすことができる多セル式ロータを開発することにある。
【0005】
この目的は、生物学的液体を検査する自動アナライザのための多セル式ロータであって、種々の形状の測定セルおよび同一あるいは異なった形状の種々の幾何学的配置のチャンバをロータ上に配置し、これらの測定セルおよびチャンバが種々の体積の液体を受け入れ、測定準備に使用され、互いに連通することができることを特徴とする前記多セル式ロータによって達成される。
この多セル式ロータの詳細は添付図面に示してある。
図面は、本発明による多セル式ロータの多くの可能性のある応用例を示している。
【0006】
図1に示す光学測定窓の半径方向配置は多くの測定にとって適切である。しかしながら、或る種の測定では、光学的に不透過性の沈殿物も生じ、遠心力の結果、測定セルの外壁の内側に付着する。この場合、沈殿物によって濁った測定領域における測定は意味がない。したがって、測定セルの外縁から或る距離のところにも測定窓を設ける必要性がある。このような構造が、図2、3、14に示してある。
【0007】
或る種の測定のために測定窓3を非常に大きく作ると、特に高度の測定適応性が得られ、観察者が光学的に測定溶液を分析したい領域を自由に選ぶことができる。これは図3に示す構造において可能である。
測定においては、測定セルにおいて分析しようとしている溶液を観察する際に単一の経路長さに制限しないことが望ましい。このために、図4、5は経路長さの異なった形状の種々の可能性を示している。また、種々の試薬を満たす入口チャンバを分割する傾斜路7が示してあるが、この構造では、液体が傾斜路7を越えてより多くの外側チャンバ内へ、最終的には測定セル内へ移動することによって、充分な回転で試薬を混合することができる。ピペット孔1もここには明確に示してあり、これらのピペット孔により、個々のチャンバおよび測定セルをさまざまの状態に満たすことができる。
【0008】
可能性のあるチャンバ・システムの多様性が、図6に示す多セル式ロータの断面で示してある。各チャンバは、ピペット孔1を備え、傾斜路7によって隣接したチャンバから区切られている。予備希釈液チャンバ5も示してある。
【0009】
ロータで利用できる表面の特に効果的な用途が図7、8に示す構造に従って示されている。この構造において、種々の試薬を満たしたいくつかのチャンバを互いに上下に配置することができる。非常に広い範囲にわたる種類の分析状態を満たすことができる高度な設計自由度が図9に示してある。この構造では、互いに上下に配置したチャンバは、互いに関して接線方向あるいは半径方向にオフセットさせることもできる。傾斜路7およびノズル8を備えたチャンバの図10の特別な構造により、試薬および検査しようとしている液体を特に強力に混合することが確実になる。
【0010】
試薬の最適使用ができるチャンバ構造が図11、12に示してある。チャンバの角隅をすべて丸めることによって、特に予備希釈液および予備反応液の場合に、チャンバ角隅に残る試薬量の避けられないロスを防ぐことができる。
【0011】
本発明による多セル式ロータの融通性はさらに工夫することによってまださらに改良することができる。たとえば、測定窓を光学レンズとして形成し、特に精密な測定を可能にすることができる。さらに改良するために、チャンバ基部9に溝またはリブ構造10、11を設け、この構造により毛管作用を生じさせ、それによって、試薬溶液のすべてをピペット孔の下の方向に流してもよい。本発明による多セル式ロータにおいて、特殊な目的のために便宜上チャンバを設ける。たとえば、全血を血漿および血球に分ける全血チャンバを設ける。この全血チャンバは測定窓を備えてもよく、これら全血チャンバから血漿を再び取り出すことができる。さらに、予備希釈液または予備反応液5あるいはこれら両方のためのチャンバおよび液体の分離のためのチャンバも設けることができる。
【0012】
多セル式ロータそのものは、一般に、単一の透明な熱可塑性材料、たとえば、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)で作る。しかしながら、その個々の部分を種々の熱可塑性材料で作ってもよい。しかしながら、多セル式ロータは多成分材料を使用して作るのが特に有利である。試薬(そのいくつかは非常に敏感である)は、かなり不透明なチャンバ6内に置けば光の影響から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半径方向に配置した光学測定窓3を有する多セル式ロータの断面を示す。
【図2】互いから同一の距離あるいは異なった距離のところおよび/またはロータの回転軸線から不均一な接線方向距離のところに位置する異なった構成の測定窓3を有する多セル式ロータの断面を示す。
【図3】セルの測定窓が同一サイズあるいは異なったサイズを有することを示す。
【図4】上部および下部における、互いに対向して位置し、光学レンズとして設計することができる測定窓間に種々の間隔を有する測定セルを示す。
【図5】上部および下部における、互いに対向して位置し、光学レンズとして設計することができる測定窓間に種々の間隔を有する測定セルを示す。
【図6】傾斜路7を通して測定セルに接続した複数の異なった配置の入口チャンバ6を示す。
【図7】互いに隣接して位置するか、上下に複数の層として位置する複数のチャンバから供給されか、あるいは並列で供給される測定セルを示し、これらの測定セルの測定窓を、他の測定セルの測定窓に対して、接線方向あるいは半径方向または回転軸線方向にオフセットすることができることを示す。
【図8】互いに隣接して位置するか、上下に複数の層として位置する複数のチャンバから供給されか、あるいは並列で供給される測定セルを示し、これらの測定セルの測定窓を、他の測定セルの測定窓に対して、接線方向あるいは半径方向または回転軸線方向にオフセットすることができることを示す。
【図9】互いに上下に配置され、互いに関してオフセットしたチャンバを示し、これらのチャンバに1つまたはそれ以上のピペット孔を設けることができ、傾斜路によって互いに分割することができることを示す。
【図10】両側に傾斜路7を有するチャンバの特別なデザインを示し、それによって、水平方向の傾斜路と組み合わせてノズル8を形成することができることを示す。
【図11】丸みを付けた壁移行部を有するチャンバを示す。
【図12】丸みを付けた壁移行部を有するチャンバを示す。
【図13】チャンバの基部に設けた溝またはリブ構造を示す。
【図14】分析反応時に分離しようとしている成分を傾斜路7を通して外側に位置するチャンバ内に移送し、測定の妨げとならないようにするチャンバ・システムを示す。
【図15】多セル式ロータの表面領域全体を示す。
【符号の説明】
1 ピペット孔
2 隆起
3 測定窓
4 全血チャンバ
5 予備希釈液チャンバ
6 入口・チャンバ
7 傾斜路
8 ノズル
9 基部
10 毛管作用を有する溝
11 毛管作用を有するリブ

Claims (13)

  1. 生物学的液体を検査する自動アナライザ用の多セル式ロータであって、光学測定窓(3)と種々の異なるチャンバシステムを有する異なる形状の測定セルと、予備希釈液または予備反応液または液体の分離のためのチャンバの基部(9)に試薬溶液のすべてをピペット孔の下の方向に流すための毛管作用を有する溝またはリブ構造(10、11)を有する予備希釈液または予備反応液または液体の分離のための異なる種々の幾何学的なチャンバ(4、5)がロータ上に配置されていることを特徴とする多セル式ロータ。
  2. セルが半径方向に配置した光学測定窓(3)を有し、これらの光学測定窓が、互いから同一の半径方向距離あるいは異なった半径方向距離のところに位置しているか、またはロータの回転軸線から互いに不均一な接線方向距離のところに位置していることを特徴とする、請求項1に記載の多セル式ロータ。
  3. 各セルの測定窓(3)が同一サイズあるいは異なったサイズを有することを特徴とする、請求項2に記載の多セル式ロータ。
  4. 各セルの測定窓(3)が、光学レンズとして設計することができることを特徴とする、請求項2または3に記載の多セル式ロータ。
  5. 測定セルが、互いに隣接して位置する複数のチャンバまたはチャンバ組み合わせ(6)から供給され、かつ前記測定セルの測定窓が、他の測定セルの測定窓に対して、接線方向あるいは半径方向または回転軸線方向にオフセットすることができることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
  6. 互いに隣接して位置する複数のチャンバまたはチャンバ組み合わせ(6)が並列に位置する複数のチャンバまたはチャンバ組み合わせ(6)であることを特徴とする、請求項5に記載の多セル式ロータ。
  7. 測定セルが、互いに隣接して位置する複数のチャンバまたはチャンバ組み合わせ(6)が、互いに上下に複数の層の状態で位置する複数のチャンバまたはチャンバ組み合わせ(6)であることを特徴とする、請求項5に記載の多セル式ロータ。
  8. 各チャンバ(6)が、1つまたはそれ以上のピペット孔(1)を備えており、チャンバが水平方向の傾斜路(7)によって互いに分割され得ることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
  9. チャンバ(6)が傾斜路(7)を有し、これらの傾斜路が片側あるいは両側が垂直となっており、それによって水平の傾斜路と組み合わせてノズル(8)を形成することができることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
  10. 予備希釈液または予備反応液または液体の分離のためのチャンバが丸くした壁移行部を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
  11. ロータが、全血を血漿、血球に分けるチャンバを包含し、これらのチャンバが測定窓を備えることができ、これらのチャンバから血漿を再び取り出すことができることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
  12. チャンバが試薬を加え混合することができるように別のチャンバと連通していることを特徴とする、請求項11に記載の多セル式ロータ。
  13. ロータが単一の透明な熱可塑性材料あるいは多成分材料で作られており、そして個々の部分が種々の熱可塑性材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多セル式ロータ。
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