JP4481145B2 - う蝕防止用歯科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、う蝕防止用歯科用組成物に関する。さらに詳しくはブラッシングなどの機械的清掃の行き届きにくい、隣接面に発生するう蝕の予防に効果を持ち、しかも安定に衛生的に保存しうるう蝕防止用歯科用組成物に関する。
う蝕を予防するための技術としては、従前よりエナメル質表面に付着したプラークの除去(ブラッシング)や抗菌剤によるプラーク中での酸産生能の抑制などが知られている。しかしプラーク除去や抗菌剤によるプラーク中での酸産生能の抑制などについては、ある程度期待できるが、口腔内環境や患者のう蝕危険度(カリエスリスク)などの各個人差による治癒に大きなバラツキがあり、満足されるに至っていない。特に幼児あるいは高齢者を対象とした場合においては自身によるブラッシングは完全とは言い難く、う蝕発生の確率は非常に大きくなる。このため、プラークがエナメル質表面に付着した場合に備えて歯面そのものに対して耐酸性を付与することが可能となる組成物の開発が望まれている。
本発明は、自身でのブラッシングが不完全な状態ではう蝕を効果的に予防することができないという課題を解決することにあり、ブラッシングの行き届かない歯面を効果的に被覆し、歯質表面をデンタルプラークによる酸に対して耐酸性のある表面に改質するために用いられるう蝕防止用歯科用組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題の解決について鋭意検討した結果、
歯牙表面に水溶性および/または水性エマルジョン性重合体よりなる皮膜を形成するための、う蝕防止用歯科用組成物が上記課題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明の利点は、第一に、水溶性および/または水性エマルジョン性重合体を用いることによって、処置部歯面に簡便に重合体による耐酸性皮膜を形成させることが可能である。さらに有利には、酸性化合物によって皮膜の長期安定化が可能となることである。好ましくは、第二に、フッ素イオンを放出する物質を該歯科用組成物に含有させることにより、歯根および歯質表面における再石灰化能を引き上げることが可能となることである。第三に重合体が水溶性および/または水性エマルジョン性であることにより、水系溶媒により均一な溶液および/または均一分散の状態とし、患部へ適用する際に撹拌等の前処理を必要としないことである。
本発明のう蝕防止用歯科用組成物を用いることにより、一回の処置で、短時間に耐酸性の皮膜を形成することによって、即効的および長期的にう蝕予防を行うことができる。
以下、本発明のう蝕防止用歯科用組成物について詳述する。以下、特別の表記がない限り%は重量%を示す。
本発明は、歯牙表面に水溶性および/または水性エマルジョン性重合体よりなる皮膜を形成するための、う蝕防止用歯科用組成物である。この皮膜は耐久性を有し、プラークより発生した酸による脱灰作用から歯質を有効に保護する作用を有するものである。
前記水溶性および/または水性エマルジョン性重合体は、予め本発明のう蝕防止用歯科用組成物に含まれていてもよいし、あるいは、本発明のう蝕防止用歯科用組成物には、単量体が含まれていて、使用の際(歯科医が容器などで調製する際や歯牙に塗布する際、乃至は塗布後、光重合用照明の照射時など)に重合して重合体となるものでもよい。あるいは、本発明のう蝕防止用歯科用組成物にはオリゴマー乃至はポリマーと単量体の混合物が含まれていて、前記の通りの使用の際にさらに重合させて形成してもよい。これらにおいて、前記水溶性および/または水性エマルジョン性重合体は、予め本発明のう蝕防止用歯科用組成物に含まれていていることが、もっとも好ましい。何故ならば、人体が不必要に単量体に曝されることが避けられるからである。以下、専ら、この好適な態様を例に挙げて本発明を説明するが、何らこれに限定されるものではない。
なお、本発明における水溶性および/または水性エマルジョン性重合体(以下、(A)または(A)成分という)とは、水溶性重合体、水性エマルジョン性重合体、または両者の混合物を指す。さらには、室温の変化や電解質等の有無により性質が変化して、そのうちの少なくとも1つの性質に水溶性または水性エマルジョン性の性質があるような重合体(例えば、水溶性と水性エマルジョン性の性質の間を互変しえる重合体)も含まれる。
歯牙表面に水溶性および/または水性エマルジョン性重合体よりなる皮膜を形成している重合体は、水乃至は水系溶媒にて溶解するかあるいはコロイドのエマルジョン化しうる重合体および/または、水溶状態および/またはコロイドの水性エマルジョン状態にある重合体より形成された架橋重合体である。例えば、重合体として本発明の組成物中に含まれている際には、溶解状態、または、エマルジョン状態にあったものが、被膜形成後も水溶したり、水性エマルジョン化できる性質を残していてもよいし、被膜形成後において架橋剤などにより、水不溶化されたり、エマルジョン化不能にされてもよい。なお、通常の気温の範囲内での温度変化や口腔に通常存在する物質乃至は本発明の組成物の適用時に併用され得る歯科材料等により、本発明の組成物中の重合体が、塗布前に、水溶性および/または水性エマルジョン性以外の性質、例えば、水不溶性や非エマルジョン性に変化すると、元の均一系乃至は分散系に回復することは困難となり、操作性に不便を来す恐れがあるので、少なくとも塗布前にそのような変化が生じにくいような重合体が好ましい。
水溶性重合体の水乃至は水系溶媒に対する溶解度は、好ましくは0.01%より好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.1%以上である。
本発明組成物においては、前記(A)は平均分子量1,000以上の水溶性および/または水性エマルジョン性重合体であることが好ましい。本発明の組成物は(A)成分の他に下記(B)、(D)成分を含有し、好ましくはさらに下記(C)成分を含有する。
(B)水系溶媒、
(C)水中でフッ化物イオンを放出する化合物(但し、この化合物の含有量は、前記組成物中のフッ化物イオン濃度が0.0001〜5重量%となる量)、
(D)酸性化合物のリン酸
以下、この好適な態様を例に挙げて本発明を説明するが、何らこれに限定されるものではない。
(A)成分は水溶性および/または水性エマルジョン性重合体であり、即ち、重合体(P)を水系溶媒(B)中に溶解または半溶解若しくは乳化の状態で分散させたものである。成分(A)の平均分子量の、下限値は、好ましくは1,000、より好ましくは10,000、さらに好ましくは50,000である。また、平均分子量の上限値は、水溶性重合体の場合では、好ましくは2,000,000、より好ましくは1,500,000、さらに好ましくは1,000,000である。前記数値範囲の下限値を下回ると形成した皮膜がすぐに唾液等に溶解し、一方、上限値を上回ると水溶性重合体の場合では、水系溶媒に対する溶解度が著しく乏しく、硬質ゲル状となり、好ましくない場合がある。一方、水性エマルジョン性重合体の場合では、水性エマルジョン性を有するならば、平均分子量について特に上限はないが、通常の製造方法例えばエマルジョン重合等においては、10,000,000程度が製造技術上の限界である。本発明のう蝕防止用歯科用組成物は口腔内において水分を蒸発させることによって、歯質表面に重合体(A)による皮膜を形成するものである。なお、前記の平均分子量はいずれもゲル浸透クロマトグラフィーによる測定値(ポリスチレン換算)である。
本発明における(A)成分としては、ラジカル重合性単量体(a)から合成される単独重合体または共重合体をあげることができる。(a)としてもっとも汎用的に使用できるラジカル重合性単量体としては、例えばブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート(以下、アクリレートとメタクリレートの総称として「(メタ)アクリレート」と記載する)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルおよびビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリルアマイド(以下、アクリルアマイドとメタアクリルアマイドの総称として「(メタ)アクリルアマイド」と記載する);N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシプロピル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシイソプロプル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシブチル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシプロピル−アセトアマイドなどのN−(メタ)アクリロキシアルキル−アセトアマイドなどを挙げることができる。これらの単量体は単独であるいは2種以上併用して重合に用いられる。なお、前記の(メタ)アクリルアマイドやN−(メタ)アクリロキシアルキル−アセトアマイドは、水溶性を顕著に向上させるので、水溶性重合体には特に好適である。他方、これらの単量体は水溶性が良すぎるので、単独の使用で水性エマルジョン性重合体とするには、難しい面がある。
本発明においては、歯科用組成物より水分が蒸発することによって歯質表面に重合体(A)の皮膜が形成させることでう蝕予防を行うことができる。この際、皮膜は歯質表面に付着または接着していることが好ましい。このため(A)を構成するラジカル重合性単量体には歯質と相互作用させるため、分子中に少なくとも1つの酸性基を有する単量体(a1)を用いることが好ましい。かかる酸性基としてはカルボキシル基、少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基およびスルホン酸基よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。このような官能基を導入する方法として、カルボン酸エステルまたはリン酸エステルに由来する重合単位を含有するポリマ−を加水分解する方法を挙げることができる。さらに、重合体(A)を製造する方法としては、上記のラジカル重合性単量体と上記官能基あるいは水中で上記官能基に容易に変換し得る官能基を有するラジカル重合性単量体とを共重合させる方法があり、この方法が好ましい。歯質と相互作用する官能基を有するラジカル重合性単量体として、以下の化合物を例示することができる。
カルボキシル基あるいはカルボキシル基に水中で容易に変換し得る官能基を有するラジカル重合性単量体としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸、これらの無水物を挙げることができる。具体的にはα不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸等)、ビニル芳香環類が付加したカルボン酸(4−ビニル安息香酸等)、(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸(11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)等)、さらに芳香環を有するカルボン酸(1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸等)、4−(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸およびその無水物(4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物等)、さらにアルキル鎖に水酸基等の親水基を有するカルボン酸およびその無水物(4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物等)、カルボキシベンゾイルオキシを有する化合物(2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−ト等)、N−および/またはO−モノまたはジ(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸(N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン等)、N−(メタ)アクリロイルアミノ安息香酸(N−(メタ)アクリロイル−4−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノ安息香酸等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物(2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4または5−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等)、ポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物(2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン等)、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。
少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基および水中で容易に該基に変換し得る官能基として、例えばリン酸エステル基で水酸基を1個または2個を有する基を好ましく例示することができる。このような基を有する重合性単量体としては、例えば1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するリン酸エステル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェ−ト、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェ−ト、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェ−ト、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェ−ト、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェ−ト、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェ−ト、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェ−ト、ビス[2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェ−ト等)、(メタ)アクリロイルオキシ基とリン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在し、かつ芳香族基も有するするリン酸エステル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェ−ト等)などを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。これらのうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェ−トが好ましく用いられる。
スルホン酸基あるいはスルホン酸基に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体として、例えば4−スチレンスルホン酸またはその塩、ヘテロを含む置換基(ハロゲンやアルコキシ等)を有する炭化水素にスルホン酸基を有する(メタ)アクリレート(2−スルホエチル(メタ)アクリレ−ト、2−または1−スルホ−1−または2−プロピル(メタ)アクリレ−ト、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレ−ト、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレ−ト、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレ−ト等)、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアマイドなどを挙げることができる。これらのうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアマイドプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸またはその塩が好ましく用いられる。
重合体(A)を構成する単量体(a1)の含量は、構成する単量体の全量に対して好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは0.5〜25モル%、さらに好ましくは1〜20モル%の範囲である。0.1モル%未満では歯質との相互作用効果が確認できず、30モル%を超えると水溶液中での酸性度が増し、生体への為害性が懸念されるためである。
重合体(A)を構成する単量体としては抗菌性を有する単量体(a2)を用いることもできる。(a2)は歯面に被覆した皮膜自体に抗菌性を付与することができるので、長期間に亘りう蝕の予防効果を期待できる重合体(A)を与える。かかる化合物としては、例えば12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、ベンジルビス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]ドデシルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]ドデシルアンモニウムクロライドを挙げることができる。
重合体(A)としては、前記単量体(a)、(a1)あるいは(a2)を適宜組み合わせて共重合体を好適に用いることができる。水溶性重合体の場合において特に好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート系単量体(以下、単量体A1aという)とスチレンスルホン酸系単量体(以下、単量体A1bという)とを含む共重合体(以下、共重合体A1という)、または、ハイドロキシアルキル(メタ)アクリルアマイド系単量体(以下、単量体A2aという)と(メタ)アクリルアマイドアルカンスルホン酸系単量体(以下、単量体A2bという)とを含む共重合体(以下、共重合体A2という)である。前者の共重合体A1はガラス転移温度が低く、接着性が良好である上、水性エマルジョン性が良好であり塗布操作性に優れており、後者の共重合体A2は酸性度が大きく、安定性が良く、水溶性が良好であり塗布操作性に優れている。
共重合体A1を構成する単量体A1aとしては、例えばエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでは2−エチルヘキシルメタクリレートがもっとも好ましい。
共重合体A1を構成する単量体A1bとしては、例えば4−スチレンスルホン酸、4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらのなかでは4−スチレンスルホン酸がもっとも好ましい。
共重合体A1には、本発明の効果を妨げない限り、前記単量体A1a、A1b以外の単量体(以下、単量体A1cという)が含まれていてもよく、例えば、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メチル(メタ)アクリレート)、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)などを挙げることができる。これらのなかでは片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メチル(メタ)アクリレート)がもっとも好ましい。
共重合体A1において、前記単量体が含まれる量は、単量体の全量に対し、単量体A1aについては、好ましくは30〜99モル%より好ましくは50〜98モル%、さらに好ましくは60〜95モル%であり、単量体A1bについては、好ましくは1〜70モル%、より好ましくは2〜50モル%、さらに好ましくは5〜40モル%である。また、単量体A1cについては、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは1〜30モル%である。
また、前記単量体が含まれる比率については、単量体A1a:単量体A1bはモル比で、好ましくは30:70〜99:1、より好ましくは50:50〜98:2、さらに好ましくは60:40〜95:5である。また、(単量体A1a+単量体A1b):単量体A1cは同様、にモル比で、好ましくは99.9:0.1〜50:50、より好ましくは60:40〜99:1、さらに好ましくは70:30〜99:1である。
また、共重合体A2を構成する単量体A2aとしては、例えばハイドロキシメチル(メタ)アクリルアマイド、2−ハイドロキシエチル(メタ)アクリルアマイド、3−ハイドロキシプロピルアクリルアマイド、2,2−ジハイドロキシエチル(メタ)アクリルアマイド、2,3−ジハイドロキシプロピル(メタ)アクリルアマイド、3,3−ジハイドロキシプロピル(メタ)アクリルアマイドなどが挙げられる。これらのなかでは2,3−ジハイドロキシプロピルメタアクリルアマイドがもっとも好ましい。
共重合体A2を構成する単量体A2bとしては、例えば((メタ)アクリルアマイド)メタンスルホン酸、1−(メタ)アクリルアマイド−エタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアマイド−エタンスルホン酸、1−(メタ)アクリルアマイド−2−メチル−プロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアマイド−2−メチル−プロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアマイド−2−メチル−プロパンスルホン酸などが挙げられる。これらのなかでは2−アクリルアマイド−2−メチルプロパンスルホン酸がもっとも好ましい。
共重合体A2には、本発明の効果を妨げない限り、前記単量体A2a、A2b以外の単量体(以下、単量体A2cという)が含まれていてもよく、例えば、ハイドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのなかでは2−ハイドロキシエチルメタアクリレート、3−プロピルメタアクリレートが好ましい。
共重合体A2において、前記単量体が含まれる量は、単量体の全量に対し、単量体A2aについては、好ましくは30〜99モル%、より好ましくは50〜98モル%、さらに好ましくは60〜95モル%であり、単量体A2bについては、好ましくは1〜70モル%、より好ましくは2〜50モル%、さらに好ましくは5〜40モル%である。また、単量体A2cについては、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは1〜30モル%である。
また、前記単量体が含まれる比率については、単量体A2a:単量体A2bはモル比で、好ましくは30:70〜99:1、より好ましくは50:50〜98:2、さらに好ましくは60:40〜95:5である。また、(単量体A2a+単量体A2b):単量体A2cは同様に、モル比で、好ましくは50:50〜99.9:0.1、より好ましくは60:40〜99:1、さらに好ましくは70:30〜99:1である。
重合体(A)は組成物中に、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜8%、さらに好ましくは0.5〜5%の範囲で含有させることができる。この範囲を外れる0.1%未満では皮膜の効果が現れなく、10%を超えると、皮膜厚さが大きくなり、歯質表面より脱落しやすくなり、同様に皮膜の効果が現れ難くなるからである。特に水性エマルジョン性重合体の場合、重合体のガラス転移温度は好ましくは−50〜50℃,さらに好ましくは0〜37℃の範囲である.この範囲をはずれる−50℃未満では重合体が粘着性を持ち,咀嚼機能への障害が懸念され,50℃を超えると,皮膜に亀裂が入りやすくなり,歯面より脱落する可能性が出てくるためである.重合体のガラス転移温度はたとえば,JIS K7121に記載の方法で測定することができ,また,Fox式により予測することができる。重合体(A)はそれ自体公知の方法で製造することができる。たとえば、水中あるいは有機溶媒中にラジカル重合性モノマー、重合開始剤を仕込み、昇温することで重合し、再沈殿精製などによってポリマーを得る方法などをあげることができる。
本発明の組成物に使用しうる水系溶媒(B)としては、水乃至は水溶性溶媒を主体とし、かつ、人体に無害乃至は顕著な生理作用を誘発しないものが用いられる。好ましくは実質上水のみよりなる溶媒系であり、通常の蒸留水、脱イオン水、精製水などを挙げることができる。上記の水は、含有する金属イオン濃度が、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、最も好ましくは1ppm以下であることが望ましい。さらに、本発明においては、口腔内で使用される組成物であることを考慮して、日本薬局方の基準に適合した水および食品添加物として認可された水など医療、医薬および食品などの基準に適合した水を使用することが好ましい。必要に応じて、例えば、重合体の溶解性向上、粘度調整、保存安定性などのために、水に添加乃至は水と置換して、水以外の水溶性溶媒を用いてもよい。そのような水溶性溶媒として、例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)などが挙げられる。
本発明の組成物について、水中においてフッ素イオンを供給しうる物質(C)としては、可溶性の有効フッ素イオンを組成物中に放出するものが用いられる。例えば、フルオロリン酸二ナトリウム、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ケイ素ナトリウム、フルオロアルミノシリケートガラス、フッ化アンモニウム等が挙げられる。中でもフッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズの使用が特に好ましい。その配合量は、本発明の歯科用組成物の使用量と適用頻度、ならびに耐酸性や再石灰化の有効性と人体への影響を考慮して適宜設定される。(C)成分の使用により、歯質自体の耐酸性の向上効果を期待できる。本発明において、(C)成分は、組成物中のフッ素イオン濃度が好ましくは0.0001〜5%、より好ましくは0.001〜2%、特に好ましくは0.01〜1%の範囲となる割合である。0.0001%未満では、所望の歯質の耐酸性効果や再石灰化効果が十分に表れず、5%を超えると、生体への為害性が懸念される。
成分(D)は酸性化合物であり、重合体(A)と歯質との相互作用促進、また、皮膜への安定性付与の目的で添加される。成分(D)は、酸性があまり強くなく、歯質の脱灰作用が低い、歯科において好適に用いられている酸性化合物であるリ酸でる。成分(D)は皮膜を形成する重合体よりも小さな分子量を持,脂質との相互作用を促進させる。その配合量は組成物中に、好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.02〜5%の範囲である。0.01%未満ではリン酸の添加効果が確認できず、また、10%を超えると適用部のみならず周辺の歯に対しても表面が不用意に脱灰される可能性がある。
本発明の組成物に好適に使用しうる防腐剤および/または抗菌剤(E)成分としては、歯科用予防剤として知られているものである。例えば塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、キシリトール、グルコン酸クロルヘキシジン、グリチルリチン酸ジカリウムなどが使用できる。その他、さらに、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール;クロロブタノールや2−ブロモ−2−ニトロープロパノ−ル−1,3−ジオール(以下、ブロノポールと略記する)などのハロゲン化脂肪族アルコール;2,4−ジクロロベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、フェノキシイロプロパノール、フェニルエチルアルコール、3−(4−クロロフェノキシ)−1,2−プロパンジオールなどの芳香族アルコール;5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどのアルデヒドおよびヘキサメチレンテトラミン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールメチルヒダントインなどの酸性条件下でアルデヒドを生成させうるアルデヒド徐放剤;クロロアセトアマイドなどのアマイド;N,N’−メチレン−ビス(N’−(1−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)ウレア、N−(ヒドロキシメチル)−N−(1,3−ジヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)−N’−(ヒドロオキシメチル)ウレアなどのウレア;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどの無機亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびピロ亜硫酸塩;ホウ酸などの無機酸;ギ酸、プロピオン酸、10−ウンデセン酸、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸、2−アセチル−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4−ヘキサン酸−β−ラクトンなどの有機酸化合物;2,6−ジアセチル−7,9−ジヒドロキシ−8,9b−ジメチル−1.3−(2H,9bH)−ジベンゾフランジオンなどの抗生物質;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルならびにイソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルまたはイソブチルまたはt−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物;
4−クロル−3−メチルフェノ−ル、4−クロル−3,5−キシレノール、3,4,5,6−テトラブロモ−o−クレゾール、2,4−ジクロロ−3,5−キシレノ−ル、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノ−ル)、3,3’−ジブロモー5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)などのハロゲン化フェノール化合物;
3,4,4’−トリクロロカルバニリド、4,4’−ジクロロ−3−(3−フルオロメチル)カルバニリドなどのカルバニリド化合物;4,4’−ジアミジノ−α,ω−ジフェノキシプロパンイセチオネート、4,4’−(トリメチレンジオキサン)−ビス−(3−プロモベンザミジン)ジイセチオネート(以下、ジブロモプロパミジンと略記する)、1,6−ジ(4−アミジノフェノキシ)−n−ヘキサン(以下、ヘキサミジンイセチオネートと略記する)などのベンザミジン化合物;
ピリジン−1−オキサイド−2−チオールーナトリウム塩、ジンクビス−(2−ピリジンチオール−1−オキサイド)ビス−(2−ピリジルチオ)ジンク−1,1’−ジオキサイド(ジンクピリジオン)などの環状チオヒドロキサム酸またはその塩;5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン(ヘイセチジン)、トリス−ヒドロキシエチルヘキサヒドロトリアジンなどのN−アセタール化合物;N−(トリクロロメチルチオ)−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシミド(カプタン)などのフタルイミド誘導体;6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキサン(ジメトキサン)などのo−アセタール化合物;
4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリジン(オキサジンA)などのオキサゾリジン化合物;8−ヒドロキシキノリンなどのキノリン化合物;ビス(p−クロロフェニルジグアナイド)ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩などの陽イオン性物質;アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、N−ドデシル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウム、N,N−ジメチル−N−(2−(2−(4−(1,1,3,4−テトラメチルブチル)フェノキシ)エトキシ)エチル)ベンゼンメタンアンモニウムクロライドなどの4級塩化合物;エチルマ−キュリ−チオサリシレート、酢酸フェニル水銀などの有機水銀化合物;よう素酸ナトリウムなどのよう素化合物;グリセリルモノラウレート;1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−(1H)−ピリドンエタノールアミン塩などのピリドン誘導体などを挙げることができる。これらの防腐剤は使用する重合体が著しく析出しないものを選択使用することが好ましい。
防腐剤成分(E)は、好ましくは0.01〜50%、より好ましくは0.02〜30%、さらに好ましくは0.05〜10%の範囲で使用できる。
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない限り、さらに、溶剤、顔料、粘度調整剤、重合禁止剤などを含有してもよい。
本発明の歯科用組成物の好ましい使用形態としては、歯科医療従事者による歯面クリーニングによりプラークを除去した後に、適量を塗布、エアーブローにて乾燥させる等の例を挙げることができる。
本発明の組成物により歯牙表面に形成された皮膜は、耐久性を有することが好ましい。具体的には、以下の実施例で示した歯質表面での安定性評価において、観察した試験野を当該皮膜がくまなく被覆している状態(評価:○)が保持される期間は、好ましくは14日以上、より好ましくは28日以上、さらに好ましくは84日以上である。
本発明の組成物にて歯牙表面に形成されるう蝕防止用皮膜は、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm、さらに好ましくは0.1〜10μmの膜厚にて展開されるものである。前記数値範囲の下限値を下回ると、耐久性も低く十分なう蝕防止効果が発揮できず、上限値を上回ると皮膜剥離の可能性が高くなり、いずれも好ましくない。
以下、本発明を実施例により詳述するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(分子量の測定)各ポリマーの分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC:カラムに昭和電工製KD−805と806を直列2本接続し、溶媒にジメチルホルムアマイドを使用、ポリスチレン換算)にて分析した。
(ポリマーの合成例1)
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入口を取り付けた反応装置に、メチルメタクリレート66g(0.66mol)、スチレンスルホン酸ナトリウム34g(0.17mol)を50容積%エタノール水溶液745gおよびアゾビスイソブチロニトリル1gを仕込み、15分間窒素バブリングをした後、内温を70℃に昇温し、6時間重合を行った。冷却後17gの濃塩酸を加えて撹拌した後、透析膜(三光純薬(株)製)に入れ、蒸留水を1日1回交換しながら10日間透析、乾燥し69gのポリマーを得た。得られたポリマーの分子量は450,000であった。
(ポリマーの合成例2)
ポリマーの合成例1中においてメチルメタクリレート66gに代えて2−エチルヘキシルメタクリレート131g(0.66mol)に変更した以外は同様に操作し、99gのポリマーを得た。得られたポリマーの分子量は380,000であった。
(ポリマーの合成例3)
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入口、滴下ロートを取り付けた反応装置に、蒸留水200g、2,3−ジハイドロキシプロピルメタクリルアマイド31.8g(0.2mol)、2−アクリルアマイド−2−メチルプロパンスルホン酸10.4g(0.05mol)、過硫酸アンモニウム1.1gおよび亜硫酸ナトリウム0.6gを装入、15分間窒素バブリングし、撹拌しながら内温を70℃に昇温し、2時間重合を行った後、室温に冷却した。反応マスをアセトン/メタノールで再沈殿して精製し、乾燥して無色のポリマー30gを得た。得られたポリマーの分子量は980,000であった。
(ポリマーの合成例4:エマルジョン)
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入口、滴下ロートを取り付けた反応装置に蒸留水180g、2−エチルヘキシルメタクリレート7.9g(40mmolおよびスチレンスルホン酸ナトリウム2.1g(10mmol)を仕込み15分間窒素バブリングし、激しく撹拌しながら内温を65℃に昇温した。これに、過硫酸カリウム99mg、亜硝酸水素ナトリウム50mgおよび蒸留水10gからなる水溶液を滴下ロートから45分間かけて滴下し、温度および撹拌を保持しながらさらに3時間熟成を行った後に冷却、6N塩酸2gを反応マスに加え30分間撹拌を行った。反応マスを限外濾過膜(ミリポア製,排除分子量10,000)をセットした限外濾過カセット(アドバンテック社製ウルトラホルダー)に移液し、合計400gの蒸留水を加えながら限外濃縮を行った。限外濃縮後のポリマーを固形分含量5%となるよう蒸留水で調製し、水性ポリマーエマルジョンを得た。
(ポリマーの合成例5:エマルジョン)
合成例4において2−エチルヘキシルメタクリレートの代わりにn−ブチルメタクリレート5.7g(40mmol)を使用した以外は同様に操作し、水性ポリマーエマルジョンを得た。
(歯科用組成物の調製)ポリマーの合成例1〜3のそれぞれにて得られた各ポリマー2g、フッ化ナトリウム0.8g、リン酸1.5gを蒸留水95.7gに室温にて溶解させた。また、合成例4〜5のそれぞれで得られた各ポリマーエマルジョン40g、フッ化ナトリウム0.8g、リン酸1.5g、水57.7gを室温にて撹拌した。
(歯質表面での安定性評価)ウシ歯唇側エナメル質を研磨剤不含の液体歯磨剤(ガムデンタルジェル、サンスター社製)を含ませた電動歯ブラシ(オーラルB、ブラウン社製)にて20〜30g/cmの圧力で1分間清掃し、蒸留水にて洗浄の後、エアーにて乾燥、試験野を直径4.8mmにくりぬいたセロハンテープで規定し、得られた歯科用組成物30μlを静置し、30秒放置した後、余剰の水分をエアーにて取り除き、歯面を被覆した。組成物にて被覆したウシ歯を生理的食塩水中に浸漬、37℃で保管し、2週間あるいは4週間経過後蒸留水でリンスしたのち、上昇エタノール系列で脱水、臨界点乾燥を行い、通法に従い走査型電子顕微鏡(日本電子5600)にて被覆表面の観察を行った。試験野をくまなく被覆していたものを○、試験野に組成物が残存しているが亀裂が入っているものを△、試験野に組成物が残存していないものを×と評価した。
実施例1
ポリマーの合成例1で得られたポリマーを用いて調製した、歯科用組成物をの歯質表面での安定性評価を表1に示す。
実施例2
ポリマーの合成例2で得られたポリマーを用いて調製した歯科用組成物をの歯質表面での安定性評価を表1に示す。
実施例3
ポリマーの合成例3で得られたポリマーを用いて調製した、歯科用組成物の歯質表面での安定性評価を表1に示す。
比較例1
ポリマーの合成例1で得られたポリマー2gと、フッ化ナトリウム0.8gを蒸留水97.2gに溶解した歯科用組成物を調製した。この組成物の歯質表面での安定性評価を表1に示す。
比較例2
ポリマーの合成例2で得られたポリマー2gとフッ化ナトリウム0.8gを蒸留水97.2gに溶解した歯科用組成物を調製した。この組成物の歯質表面での安定性評価を表1に示す。
比較例3
ポリマーの合成例3で得られたポリマー2gとフッ化ナトリウム0.8gを蒸留水97.2gに溶解した歯科用組成物を調製した。この組成物の歯質表面での安定性評価を表1に示す。
Figure 0004481145
実施例4
ポリマーの合成例4で得られた水性エマルジョンを用いて調製した歯科用組成物の歯質表面での安定性評価を表2に示す。エマルジョンを乾燥して測定したポリマーの分子量は1,000,000以上であった。
実施例5
ポリマーの合成例5で得られた水性エマルジョンを用いて調製した歯科用組成物の歯質表面での安定性評価を表2に示す。エマルジョンを乾燥して測定したポリマーの分子量は1,000,000以上であった。
比較例4
ポリマーの合成例4で得られた水性エマルジョン40g、フッ化ナトリウム0.8gおよび蒸留水59.2gをよく撹拌し歯科用組成物を調製した。この組成物の歯質表面での安定性評価を表2に示す。
比較例5
ポリマーの合成例5で得られた水性エマルジョン40g、フッ化ナトリウム0.8gおよび蒸留水59.2gをよく撹拌し歯科用組成物を調製した。歯質表面での安定性評価を表2に示す。
Figure 0004481145

Claims (10)

  1. (A)水溶性および/または水性エマルジョン性重合体、
    (B)水系溶媒 および
    (D)酸性化合物のリン酸
    を含有することを特徴とする歯牙表面に水溶性および/または水性エマルジョン性重合体よりなる皮膜を形成するためのう蝕防止用歯科用組成物。
  2. 前記重合体(A)が平均分子量1,000以上の水溶性および/または水性エマルジョン性重合体であり、かつ、次の(C)成分をさらに含有する請求項に記載の組成物。
    (C)前記組成物中のフッ化物イオン濃度が0.0001〜5重量%となる量の、水中でフッ化物イオンを放出する化合物。
  3. 重合体(A)を構成する単量体がラジカル重合性単量体(a)である請求項又はに記載の組成物。
  4. ラジカル重合性単量体(a)が分子中に少なくとも1つ以上の酸性基を有する化合物(a1)である請求項のいずれかに記載の組成物。
  5. ラジカル重合性単量体(a)が抗菌性を有する化合物(a2)である請求項のいずれかに記載の組成物。
  6. 重合体(A)がアルキル(メタ)アクリレート系単量体とスチレンスルホン酸系単量体に由来する重合単位を含む共重合体である請求項のいずれかに記載の組成物。
  7. 重合体(A)がハイドロキシアルキル(メタ)アクリルアマイド系単量体と(メタ)アクリルアマイドアルカンスルホン酸系単量体に由来する重合単位を含む共重合体である請求項のいずれかに記載の組成物。
  8. 成分(C)がフッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸ナトリウムおよびフッ化第一スズから選択される少なくとも1種である請求項2〜のいずれかに記載の組成物。
  9. 防腐剤および/または抗菌剤をさらに含む請求項のいずれかに記載の組成物。
  10. 重合体(A)のガラス転移温度が−50〜50℃である請求項1に記載の組成物。
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