JP4481093B2 - 眼鏡レンズの性能評価方法及び眼鏡レンズの設計方法 - Google Patents

眼鏡レンズの性能評価方法及び眼鏡レンズの設計方法 Download PDF

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本発明は、特に例えば、累進多焦点レンズの揺れ(眼鏡レンズの眼鏡倍率の分布が一様でないことにより、眼鏡を装用した人が眼鏡の視野内で視線を移動させたときに感じる像の揺れ)、に関係する眼鏡レンズの性能の適切な評価をおこなうことができる眼鏡レンズの性能評価方法及びその性能評価方法を用いた眼鏡レンズの設計方法に関する。
眼鏡レンズの開発の際には適切な眼鏡レンズの性能評価が必要であり、また、眼鏡レンズの性能評価の情報は、顧客が購入する眼鏡レンズを選択する場合に必要な情報でもある。眼鏡レンズの性能評価方法としては、レンズの光学性能を示すファクターをそのまま用いるのが一般的であった。この従来の方法は、レンズの光学性能がそのまま眼鏡レンズとしての性能を表すことになるという前提であった。ところが、特に例えば、累進多焦点レンズ等の場合には、その前提が必ずしも成立しない場合のあることが分かってきた。それゆえ、眼鏡レンズの場合には、最終的に眼で見たときの見え方の良否によってその性能を評価すべきであるという観点から、眼で見たときの見え方の良否に依存すると考えられるファクターを性能評価のファクターとして用いる方法が提案されてきている(特許文献1)。
WO97/19382
しかしながら、上述の従来の方法を用いても必ずしも十分に適切な評価ができない場合のあることが分かってきた。本発明は上述の背景のもとでなされたものであり、特に例えば、累進多焦点レンズの上述した揺れに関係する眼鏡レンズの性能の適切な評価をおこなうことができる眼鏡レンズの性能評価方法、この性能評価方法を用いた眼鏡レンズの設計方法及びこの性能評価方法を用いた眼鏡レンズの製造方法を提供することを目的とする。
(1) 上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、眼鏡レンズの視野内における眼鏡倍率の変化率を、前記視野内の微小領域ごとに求めて評価することにより、前記眼鏡レンズの性能を評価することを特徴とする眼鏡レンズの性能評価方法である。
(2) 第2の手段は、前記眼鏡倍率の変化率が、任意の視線方向及び任意の物体距離に対応して定義して求められたものであることを特徴とする上記第1の手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法である。
(3) 第3の手段は、前記眼鏡倍率の変化率が、特定の近傍方位に沿った(dM/dω)、またはすべての近傍方位に対する(dM/dω)の絶対値中の最大値として定義されることを特徴とする上記第1または第2の手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法である。
ただし、M、ωは、以下のように定義されるものとする。
(a)Mは、前記眼鏡レンズを通して所定の物体点を見たときの眼鏡倍率である。
(b)dωは、物体側微小視角であり、裸眼の状態において、前記所定の物体点を見たときの視線と、前記所定の物体点の近傍に存する近傍物体点を見たときの視線とでなす角度であり、前記所定の物体点は、所定の視線方向上において、眼から所定の物体距離のところに存在する。また、前記近傍物体点の眼からの距離は、前記所定の物体点の眼からの距離と同一のところに存在する。
(c)(dM/dω)は、前記所定の物体点から前記近傍物体点に向かって視線を移動させる向きである近傍方位においての眼鏡倍率の変化率である。
(4) 第4の手段は、前記眼鏡倍率Mが、特定の近傍方位に沿った(dω’/dω)またはすべての近傍方位に対する(dω’/dω)の平均値と定義されることを特徴とする上記第3の手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法である。
ただし、dω’は、以下のように定義されるものとする。
(a)dω’は、像側微小視角であり、眼鏡レンズを装用した状態において、前記所定の物体点を見たときの視線と前記近傍物体点を見たときの視線とでなす角度である。
(5) 第5の手段は、眼鏡倍率Mを、特定の近傍方位θ’に沿った(dω’/dω)と定義したときに、(dω’/dω)とθ’とは下記の式(1)で示される眼鏡倍率楕円の関係を有し、さらにすべての近傍方位に対する(dω’/dω)の平均値Mmeanが、下記の式(2)で表されることを特徴とする上記第3の手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法である。
Figure 0004481093
ただし、dω’、I、L、θ0’、a、bは以下の(a)から(d)に示されるように定義され、かつ条件(e)が成立するものとする。
(a)dω’は、像側微小視角であり、眼鏡レンズを装用した状態において、前記所定の物体点を見たときの視線と前記近傍物体点を見たときの視線とでなす角度である。
(b)I、L、θ0’は、光線追跡によって求められる定数である。
(c)θ’は、前記眼鏡レンズを装用した状態で前記物体点および前記近傍物体点を注視したときの、前記物体点の像の位置から前記近傍点の像の位置に向かう方位角である。
(d)a、bは眼鏡倍率楕円の半長径、半短径である。
(e)レンズ面形状は平滑であり、全反射が起こらない光線角度であるものとする。
(6) 第6の手段は、前記眼鏡レンズが、累進多焦点レンズであることを特徴とする前記第1から第5の手段のうち、いずれか1つの手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法である。
(7) 第7の手段は、眼鏡レンズの設計過程において、上記第1から第6の手段のうち、いずれか1つの手段にかかる眼鏡レンズの性能評価方法を利用して前記眼鏡レンズの視野内における眼鏡倍率の変化率が減じられるように設計を行うことを特徴とする眼鏡レンズの設計方法である。
従来、眼鏡倍率SMは、下記の(3)式で定義されていた。
SM={1−(d/n)D1-1・(1−aD)-1 …(3)
上記(3)式は、メガネレンズを装用する前と後とで同一微小物体を見たときの、見かけの大きさ(即ち視角)の比を眼鏡倍率と定義し、これをレンズのパラメータから求めるためのものである。D1、D、d、a、nはそれぞれレンズ第1面屈折力、レンズ度数、レンズ厚み、レンズ後方頂点と目の節点との距離、レンズ素材の屈折率である。しかし、上記(3)式が成立するには、下記の条件を満たす必要がある。
1.レンズが光軸に対して回転対称であること、
2.観測物体が光軸上かつ無限遠方にあること。
従来の眼鏡倍率の定義では、レンズ周辺部に適用できない。また、観視対象の物体が近距離(有限距離)にある場合にも適用できない。加えて、軸回転対称形状を有する(上記の条件1を満たす)のは単焦点球面度数レンズのみであり、これは数多くの種類があるメガネレンズ中の、ほんの一部に過ぎず、乱視レンズ、累進レンズなど自由曲面形状のレンズには適用できない。さらに偏心、傾斜装用や、プリズム処方などの場合を考えると、上記(3)式が成立するケースがほとんどないのが実情である。
加えて、眼鏡を装用した人が眼鏡の視野内で視線移動するとき(頭を左右、上下に振る、移動する車や電車から外の景色を見るとき)に感じるユレの解析の必要なことが本願発明者の研究により明らかになってきた。ユレとは、視線移動(視線の眼鏡レンズ上における通過位置の変動)に伴い、物の大きさが変化して見える感覚のことを意味する。したがって、本発明は、眼鏡倍率の視線移動に対する変化率をユレの強度の定量評価指数と定義することにした。
本発明によれば、任意のレンズを装用して任意の距離にある任意の位置(方位)にある物体を見たときの眼鏡倍率を求めることができ、眼鏡レンズの視野内で視線を振ったときのいわゆるユレを定量的に評価することができる。本発明では、任意の視線方向および任意の物体距離にある物体を注視した場合を想定し、そこから微小角dωだけ離れた近傍点を眼鏡を通して見たときの、像側主光線からの偏角dω’を求め、(dω’/dω)を眼鏡倍率と定義する。一般に、眼鏡倍率は物体点の位置によって異なり、また、同一の物体点であっても近傍点の方位角によって変化し、その変化は楕円の様相を呈する。すなわち、特定物体点を中心とする、ある微小半径を有する真円の物体を、眼鏡を通して見たときに、それが楕円に見える。したがって、眼鏡倍率を一意の値に定めるのではなく、方位角θ(または像側方位角θ’)をパラメータとする眼鏡倍率を決めることにより、より正確な評価を行うことも可能となる。
さらに本発明では、ある方位角θにおける眼鏡倍率Mθが、ある方向に沿って視線を移動させたときに変化する率(dMθ/dω)を用い、ユレを定量評価することができる。ここでdωは視線移動方向に沿った微小視角を意味する。この定義によれば、任意方位角における眼鏡倍率の、任意視線移動方向に沿う変化率を特定することができる。たとえば、横眼鏡倍率(方位角θ=0°または180°)の縦ユレ(視線移動方向=90°または270°のときの倍率変化)、方位角θ=45度の眼鏡倍率の、-30度方向に視線移動したときの変化率などと特定することが可能となる。
加えて、特定の方位角の眼鏡倍率だけではなく、全ての方位角に沿う眼鏡倍率の平均値を平均眼鏡倍率と定義したときに、この平均眼鏡倍率のある視線移動方向における変化率もユレの強度として定義することができる。平均眼鏡倍率Mmeanは、眼鏡倍率楕円のパラメータを用いて下記のように計算される。
Figure 0004481093
以上の方法は、第6の手段のように、累進多焦点レンズに適用すれば、最も効果的である。さらに、第7の手段のように、この評価方法を設計段階で用いれば、優れた性能を有するレンズを設計することができる。
(実施例1)
この実施例は、累進屈折力レンズHOYALUX iD(HOYA株式会社の商品名)の面上の各点について、視線を眼鏡の視野内で縦方向に振ったときの平均眼鏡倍率Mの変化率である縦ユレ(dM/dt)、同じく視線を眼鏡の視野内で水平方向に振ったときの平均眼鏡倍率Mの変化率である横ユレ(dM/ds)および最大ユレ(縦ユレおよび横ユレの二乗平均の平方根)を求め、その分布図を求めることによって眼鏡レンズの性能を評価する例である。以下、縦ユレ(dM/dt)、横ユレ(dM/ds)および最大ユレの理論的な根拠を説明し、次に、具体的求め方を説明しながら実施例1にかかる眼鏡レンズの性能評価方法を説明する。
図1は眼鏡倍率楕円を説明する図である。図1に示されるように、眼鏡レンズを介して物体点Pを見るときの視線をPQOとする。像側光線はQO方向をとり、メガネレンズを装用した場合にP点がOQ方向のP’にあるように見える。物体の大きさは視線に対して張る角度に比例するため、メガネ装用時の拡大率は裸眼のときの角度を基準とする角度倍率を求めればよい。ただし、任意物体点の場合、光線に対して回転対称性がある保証はなく、目に対して張る角度(ある方向に向けた視線に対して張る角度)の方位によっては角度倍率が変化すると考えられる。図1に示すように、O点を中心とし、OP(物体距離)を半径とする球面上に,OP方向から縦、横偏角(dt,ds)だけ離れた近傍物体点P+を見るときの視線方向が眼鏡レンズの作用によって、OP' 方向から縦、横偏角(dt',ds')だけ離れた方向OP'+に見えるものと仮定とすると、レンズ面形状が平滑で、しかも全反射が起こらない光線角度であれば、下記の式が成立する。
Figure 0004481093
ここで、A,B,C,Dはそれぞれ物体側視角変化に対する像側視角変化の偏導関数である。これらの偏導関数は、物体点が決まり、視線のレンズ通過点やメガネレンズと眼球との位置関係が決まれば、定数となる。これらの定数の求め方は、有限微小視角を代入して光線追跡で近似偏導関数値を求める方法や、後述するスプライン補間式を微分する方法などが可能である。上式を角半径と方位角の極座標に書き直すと、下記の式になる。なお、図1においては、時計の文字盤に例えると、短針が6時を指す方向が角度θの基準となっていることに注意されたい。
Figure 0004481093
上記式において、dω,dω'はそれぞれ物体側、像側の主光線付近の微小視角で、θ, θ'はそれぞれ物体側、像側の方位角である。さらにθを消去して整理すると、
Figure 0004481093
が得られる。ここで、
Figure 0004481093
である。
このように、像側、物体側の微小視角の比、すなわち眼鏡倍率(dω'/dω)は、像側方位角θ'によって変わる。また、(dω'/dω)とθ'との関係を規定する関数は楕円関数である。本明細書中ではこの楕円を眼鏡倍率楕円と称する。さらに、物体側、像側の方位角の関係は、tanθ’=(A+Btanθ)/(C+Dtanθ)である。
式(4)から、楕円の半長径a及び半短径b、並びに、平均眼鏡倍率は下記のように求められる。
Figure 0004481093
次にユレの定義と求め方について述べる。基本的にユレは物の大きさや形状が変化することによっておきる現象である。したがってユレの評価は、ある方位角θ0に沿う拡大率
Figure 0004481093
の、θ1方向への視線移動(変動)に伴う変化を表す
Figure 0004481093
で行う。具体的には下記のように求める。
Figure 0004481093
この式からも推測されるように、θ0とθ1との組み合わせでユレを表す指数が無数にある。算出される指数のそれぞれが意味のあるものであるが、全体的に評価できる指数も必要である。そこで、各近傍方向の眼鏡倍率の平均値を所定物体点の眼鏡倍率の代表値として、その変化率を計算して見る。
Figure 0004481093
ここで、θは視線移動方向で、(∂M/∂t)は縦ユレ、(∂M/∂s)は横ユレと考えることができ、下記のように求める。
Figure 0004481093
さらにユレの最大値は
Figure 0004481093
となる。
− 縦ユレ(∂M/∂t)と横ユレ(∂M/∂s)の具体的求め方 −
上述のように、縦ユレ(∂M/∂t)、横ユレ(∂M/∂s)および最大ユレを求めるためには、物体側視角変化に対する像側視角変化の2回までの偏導関数値
Figure 0004481093
を求める必要がある。これらの偏導関数値を求める方法としては、光線データから差分値を求めて代入し、導関数値の近似値を求める方法もあるが、本実施例では、光線データをスプライン関数で補完し、その補間スプライン関数の導関数を求める方法を示す。なお、光線データとは、レンズから出射する光線の方向と光線の出発点である物体点位置との関係を算出して得られるデータである。本実施例では、出射光線方向を物体点位置の関数と見做し、スプライン補間関数として構築する。図2は物体点位置や光線方向を表す座標系を示す図である。図2において、原点Oは眼球回線中心点にあり、X軸に沿い、X座標値が増す方向が目に入る方向、Y軸に沿い、Y座標値の増す方向が上方、Z軸は紙面直角方向である。
物体側光線方向は、眼鏡レンズがない場合の光線の方向なので、物体点から原点(即ち回線中心)に向かう方向ベクトル(PO)である。仮にP点の座標を(X,Y,Z)とすると、その方向はT=Y/X、 S=Z/X の2パラメータで表すことができる。Tは、方向ベクトル(−X,−Y,−Z)のX−Y平面への投影のX軸との角度αのタンゼントである。同様にCは方向ベクトル(−X,−Y,−Z)のX−Z平面への投影のX軸との角度βのタンゼントである。TとSに物体距離OPの逆数Rを加えて用いると、物体点位置は(R,T,S)の3パラメータで表すことができる。メガネレンズ装用時物体点(R,T,S)から出発した光線のレンズ出射光線の方向ベクトルをQOとすると、出射光線の方向をあらわす(T',S')は、それぞれ(R,T,S)の関数と考えることができる。
つまり、
T'=T'(R,T,S)
S'=S'(R,T,S)
となる。R,T,Sそれぞれにサンプル点を設定し、各サンプル点におけるT'とS'を光線追跡で求め、T'とS'の3次元スプライン補間関数を構築することができる。誤差は各座標のサンプル点の密度を調整してコントロールすることができる。
このように、出射光線方向(T',S')は入射光線方向(T,S)の関数の形で表すことができ、その関数の(T,S)に対する2階までの導関数を求めることができる。しかし、
Figure 0004481093
をそのままA,B,C,Dに代入することはできない。T,SはX軸からの角度のタンゼントで、その微分は例えば、
Figure 0004481093
となり、求めるdtとは異なる。
Figure 0004481093
を求めるには、光線方向にx軸の方向を一致させたローカル座標系に座標変換する必要がある。
− グローバル座標とローカル座標 −
本実施例では座標変換をリスティングの法則(Listing’s Law)に則って行う例を示す。つまり、方向ベクトル(l,m,n)をx軸と一致させたローカル座標系での座標値(x,y,z)は、
Figure 0004481093
で求められる。逆に
Figure 0004481093
も成立する。
したがって、グローバル座標系のT,Sとローカル座標系のt,sとの相互関係は、
Figure 0004481093
また、
Figure 0004481093
となり、2階までの偏導関数も求められる。ここでは、t=0、s=0においての偏導関数値を記しておく。
Figure 0004481093
また、
Figure 0004481093
− 関数チェーンの偏導関数 −
以上のように、出射微小視角t',s'(実際にはそのタンゼントなのであるが、微小角なのでt=tan(t)とみなして差し支えなく、ここではt’,s’として扱う)は下記のように書く事ができる。

t’=t’(T’,S’), T’=T’(R,T,S), T=T(t,s)
s’=s’(T’,S’), S’=S’(R,T,S), S=S(t,s)

それぞれの2階までの偏導関数は既知なので、複合関数全体の偏導関数を下記のように求めることができる。
1回導関数を求めるには、
Figure 0004481093
上記数式中、
∂(t’,s’)/∂(T’,S’)は式(5)から求める。
なお、本明細書中において、たとえば∂(t’,s’)/∂(T’,S’)なる数式表現は、

(∂t’/∂T’),
(∂t’/∂S’),
(∂s’/∂T’),
(∂s’/∂S’)

からなる4つの数式を1つの数式で包括的に示すことを意図している。以下でも、表現を簡略化して数式が煩雑になるのを抑止するため、適宜同様の数式表現を用いる。
上記数式中、∂(T’,S’)/∂(t,s)は下記のように求める。
Figure 0004481093
そのうち、∂(T’,S’)/∂(T,S)は光線データベースで求められ、∂(T,S)/∂(t,s)は式(7)で計算する。

2階導関数∂2(t’,s’)/∂(t,s)2を求めるには、下記の6つのステップを実施する。
Figure 0004481093
を式(5)、(6)、(7)、(8)で求める。
Figure 0004481093
をスプラインデータベースで求める。
Figure 0004481093
を求める。
Figure 0004481093
〜 上記3のステップでの計算は、全部で8通り 〜
Figure 0004481093
を以下の式で求める。
Figure 0004481093
〜 上記4のステップでの計算は、全部で4通り 〜
Figure 0004481093
を求める。
Figure 0004481093
〜 上記5のステップでの計算は、全部で8通り 〜
Figure 0004481093
を求める。
Figure 0004481093
〜 上記6のステップでの計算は、全部で4通り 〜
以上のように累進レンズ面上各点に対し、あらかじめ設定された物体距離にある物体点に対して、光線関数の2階までの偏導関数
Figure 0004481093
を求め、さらに縦ユレ(dM/dt)、横ユレ(dM/ds)および最大ユレ
Figure 0004481093
を求めることができる。
図3は累進屈折力眼鏡レンズHOYALUX iD(HOYA株式会社の商品名)の横ユレの絶対値|(dM/ds)|の分布を示す図である。図4はHOYALUX iDの縦ユレの絶対値|(dM/dt)|の分布を示す図である。図5はHOYALUX iDの最大ユレ
Figure 0004481093
の分布を示す図である。図中の格子線およびリング線の間隔はそれぞれ10mmで、レンズ凸面の位置を把握するのに役立つ。
これらの図に示されるように、累進屈折力レンズのユレに関する性能は本発明で定義されたユレ指数の分布で評価することができる。一方、図6、図7、図8はそれぞれ、従来の技術に係る設計法に基づいて設計した眼鏡レンズの横ユレの絶対値、縦ユレの絶対値、最大ユレの分布を示す図である。図3と図6、図4と図7、あるいは図5と図8とを比較すると、図3、図4、図5に示されるものではユレの等高線の間隔が広く、特に横ユレ、縦ユレの最大値が減じられていることがわかる。本発明者らによる実験によれば、これらの眼鏡レンズを使って製作した眼鏡を装用して視線を振ったときに感じられるユレの程度を比較したところ、図3、図4、図5に示されるユレの特性を有する眼鏡レンズの方が、図6、図7、図8に示されるユレの特性を有する眼鏡レンズよりもユレが少なく感じられ、装用感に優れることが確認できた。
以上では、物体距離を無限遠とした上で、眼鏡レンズ内で任意の視線方向に対して眼鏡倍率の変化率を求めて評価する例について説明したが、本発明に係る眼鏡レンズの性能評価方法においては、物体距離を任意の値に設定して性能評価をすることが可能である。一般に、物体距離が変わると眼鏡倍率も変わるので、複数の異なる物体距離で評価を行うことが望ましい。このとき、レンズ上の同一エリアについて複数の異なる物体距離で評価してもよいし、例えば、いわゆる遠近両用の眼鏡レンズにおいて、眼鏡レンズを想定される物体距離に応じてエリア分けし、エリア毎に異なる物体距離で評価することも可能である。この場合、レンズの上部エリアは比較的遠い物体距離で使用されるので、評価に際しても想定物体距離を遠めに設定することが考えられる。逆に、レンズの下部エリアは比較的近い物体距離で使用されるので、評価に際しても想定物体距離を近めに設定することが考えられる。このように、実使用に即した物体距離で評価を行うことにより、眼鏡使用者が感じられる装用感をより正確にシミュレートし、より優れた眼鏡レンズを設計することが可能となる。
以上に説明した眼鏡レンズの評価方法に基づく評価アルゴリズムをレンズ設計プログラム中に組み込むことにより、レンズ設計の過程で適宜性能評価を行い、評価結果がより向上する方向に設計パラメータを変化させることも可能となる。このようにして設計されたレンズを製作することにより、装用して違和感の少ない眼鏡レンズを提供することが可能となる。あるいは、眼鏡レンズの完成品の眼鏡倍率を測定し、得られた眼鏡倍率をもとに眼鏡レンズの視野内における眼鏡倍率の変化率を評価することも可能である。このようにすれば、眼鏡レンズのいわゆるユレに関して定量的な評価を行うことが可能となる。
本発明は、例えば、眼鏡レンズの1つである累進多焦点レンズの揺れに関係する
性能の評価に利用できる。
眼鏡倍率楕円を説明する概念図である。 物体点位置や光線方向を表す座標系を示す概念図である。 本発明に係る眼鏡レンズの性能評価方法で評価し、設計した累進屈折力眼鏡レンズHOYALUX iD(HOYA株式会社の商品名)の横ユレの分布を示す図である。 本発明に係る眼鏡レンズの性能評価方法で評価し、設計した累進屈折力眼鏡レンズHOYALUX iD(HOYA株式会社の商品名)の縦ユレの分布を示す図である。 本発明に係る眼鏡レンズの性能評価方法で評価し、設計した累進屈折力眼鏡レンズHOYALUX iD(HOYA株式会社の商品名)の最大ユレの分布を示す図である。 従来の技術に係る眼鏡レンズの横ユレの分布を示す図である。 従来の技術に係る眼鏡レンズの縦ユレの分布を示す図である。 従来の技術に係る眼鏡レンズの最大ユレの分布を示す図である。

Claims (3)

  1. 眼鏡レンズの視野内における眼鏡倍率の変化率を、前記視野内の微小領域ごとに求めて評価することにより、前記眼鏡レンズの性能を評価する眼鏡レンズの性能評価方法であって、
    眼鏡倍率Mを、下記の式(1)を用いて特定の近傍方位θ’に沿った(dω’/dω)の値として求めることと、下記の式(2)を用いて全ての近傍方位に対する(dω’/dω)の平均M mean の値として求めることとのいずれかによって求めることと、

    Figure 0004481093

    前記微小領域ごとに求められた眼鏡倍率Mに基づき、特定の近傍方位に沿った(dM/dω)、またはすべての近傍方位に対する(dM/dω)の絶対値中の最大値を求めることにより、前記眼鏡倍率の変化率を求めることと、
    前記眼鏡倍率の変化率の大きさに基づいて前記眼鏡レンズの性能を評価することと
    を有することを特徴とする、眼鏡レンズの性能評価方法。
    ただし、

    (a)Mは、前記眼鏡レンズを通して所定の物体点を見たときの眼鏡倍率である。
    (b)dωは、物体側微小視角であり、裸眼の状態において、前記所定の物体点を見たときの視線と、前記所定の物体点の近傍に存する近傍物体点を見たときの視線とでなす角度であり、前記所定の物体点は、所定の視線方向上において、眼から所定の物体距離のところに存在する。また、前記近傍物体点の眼からの距離は、前記所定の物体点の眼からの距離と同一のところに存在する。
    (c)(dM/dω)は、前記所定の物体点から前記近傍物体点に向かって視線を移動させる向きである近傍方位においての眼鏡倍率の変化率である。
    また、dω’、I、L、θ 0 ’、a、bは以下の(d)から(g)に示されるように定義され、かつ条件(h)が成立するものとする。
    (d)dω’は、像側微小視角であり、眼鏡レンズを装用した状態において、前記所定の物体点を見たときの視線と前記近傍物体点を見たときの視線とでなす角度である。
    (e)I、L、θ 0 ’は、光線追跡によって求められる定数である。
    (f)θ’は、前記眼鏡レンズを装用した状態で前記物体点および前記近傍物体点を注視したときの、前記物体点の像の位置から前記近傍点の像の位置に向かう方位角である。
    (g)a、bは眼鏡倍率楕円の半長径、半短径である。
    (h)レンズ面形状は平滑であり、全反射が起こらない光線角度であるものとする。
  2. 前記眼鏡レンズは、累進多焦点レンズであることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズの性能評価方法。
  3. 眼鏡レンズの設計過程において、請求項1に記載の眼鏡レンズの性能評価方法を利用して前記眼鏡レンズの視野内における眼鏡倍率の変化率が減じられるように設計を行うことを特徴とする眼鏡レンズの設計方法。
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