JP4479625B2 - 騒音抑圧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インターホンシステムを構成する拡声通話装置等に用いられ、通話音声と不要な騒音が混在する入力信号から騒音信号を抑圧した信号を出力する騒音抑圧装置に関するものである。
インターホンシステムを構成する拡声通話装置、例えば、集合住宅の共用玄関(ロビー)に設置されるロビーインターホンや各住戸に設置される住戸機(インターホン親機や住宅情報盤など)では、話者の声を集音するためのマイクロホンが周囲の騒音も集音してしまうために音声が聞き取りにくくなるなどの不具合が生じやすい。このような不具合を解消するために通話音声と不要な騒音が混在する入力信号から騒音を抑圧した信号を出力する騒音抑圧装置を拡声通話装置に内蔵する場合があった。
この種の騒音抑圧装置は、音声信号s(n)と騒音信号n(n)を含む時間領域の入力信号v(n)を周波数領域の入力信号Vk(n)(=Sk(n)+Nk(n))に変換(フーリエ変換)した後、各周波数帯域kにおける入力信号Vk(n)の時刻(時間フレーム)nでのS/N比を推定し、推定した瞬時S/N比(=SNRk(n))から各周波数帯域kにおけるゲイン関数G(SNRk(n))を演算し、入力信号Vk(n)にゲイン関数G(SNRk(n))を乗算することで騒音成分が抑圧された出力信号S^k(n)(=G(SNRk(n))×Vk(n))を求め、この出力信号S^k(n)を周波数領域から時間領域に変換(フーリエ逆変換)することで騒音が抑圧されて目的とする音声が明瞭になるのである。なお、S/N比SNRk(n)からゲイン関数G(SNRk(n))を求める方法については、非特許文献1に記載されているSpectral Substraction法(以下、「SS法」と略す。)、非特許文献2に記載されているWiener Filtering法(以下、「WF法」と略す。)、非特許文献3に記載されているMaximum Likelihood Envelope estimation法(以下、「ML法」と略す。)などが既に提案されている。ここで、SS法、WF法、ML法におけるゲイン関数G(SNRk(n))の演算方法を下記の式(1)〜(3)に示す。
Figure 0004479625
ここで、瞬時S/N比SNRk(n)は周波数帯域kにおける音声信号の信号パワーPS,k(n)と騒音信号の信号パワーPN,k(n)から下記の式(4)より求めている。
SNRk(n)=PS,k(n)/PN,k(n)…(4)
ところで、騒音信号の信号パワーPN,k(n)には後述するように入力信号Vk(n)の信号パワーPV,k(n)から推定される推定値が用いられるため、推定誤差によって出力信号S^k(n)に歪みの発生する場合がある。これに対して、処理音(上記出力信号S^k(n))を原音付加によりマスキングすることで推定誤差による歪みを低減した騒音抑圧装置が提案されている(特許文献1参照)。この従来例におけるゲイン関数G'(SNRk(n))は下記の式(5)で表される。
G'(SNRk(n))=α+(1−α)×G(SNRk(n))…(5)
ここで、αは原音付加率であって瞬時S/N比SNRk(n)の長時間平均値<SNRk(n)>に基づいてその値が選択されるものである。但し、ゲイン関数G(SNRk(n))はSS法、WF法、ML法の何れかの方法で求められる。
特開2000-82999号公報 Boll,"Supppression of Acoustic Noise in Speech using Spectral Substraction,"IEEE Trans.on ASSP,vol.27,No.2,pp.113-120,Apr(1979). Lim & Oppenheim, "Enhancement and Bandwidth Compression of Noisy Speech,"in Proc.IEEE,Vol.67,No.12,pp.1586-1604,Dec.(1979). McAulay & Malpass, "Speech Enhancement Using a Soft-Decision Noise Suppression Filter," IEEE Trans. on ASSP,vol.28,No.2,pp.137-145,Apr.(1980).
しかしながら、上記従来例では周囲騒音が比較的に少なければ十分な抑圧効果が得られるが、周囲騒音が比較的に多くS/N比が悪い(小さい)状況においては騒音だけでなく目的とする音声までもが抑圧されてしまうため、結果的に十分な抑圧効果が得られない。
図5は上記3種類の方法(SS法、WF法、ML法)によって求められるゲイン関数G(SNRk(n))と、各方法で求めたゲイン関数G(SNRk(n))並びに原音付加率αから求めたゲイン関数G'(SNRk(n))とを、それぞれ横軸に瞬時S/N比SNRk(n)をとってグラフ化したものである。このグラフから明らかなように何れの方式においても瞬時S/N比SNRk(n)の値がゼロ付近でゲイン関数G(SNRk(n)),G'(SNRk(n))が相対的に最も低い値となって騒音が最も抑圧される領域となっている。
一方、一つのマイクロホンで集音した入力信号から音声信号並びに騒音信号を個別に分離して抽出することは非常に困難であり、実際には入力信号Vk(n)の信号パワーPV,k(n)の長時間平均値<PV,k(n)>を騒音信号の信号パワーPN,k(n)とみなし、入力信号Vk(n)の信号パワーPV,k(n)から騒音信号の信号パワーPN,k(n)(=<PV,k(n)>)を差し引いた値を騒音信号の信号パワーPN,k(n)(=PV,k(n)−<PV,k(n)>)とみなしている。その結果、瞬時S/N比はSNRk(n)={PV,k(n)/<PV,k(n)>}−1となり、負の領域(SNRk(n)<0)、つまりPV,k(n)が<PV,k(n)>よりも小さい領域ではゲイン関数G'(SNRk(n))をゼロとみなしているため、周囲騒音の騒音信号と同時に通話音声の音声信号までもが抑圧されてしまい、音声信号の歪みによって通話品質が劣化してしまうことが判っている。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、騒音信号の抑圧量を増大しつつ音声信号の歪みを抑えることができる騒音抑圧装置を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、通話音声の音声信号と周囲騒音の騒音信号とが混在する入力信号から騒音信号を抑圧して出力する騒音抑圧装置であって、サンプリングされた入力信号を複数の周波数帯域へ離散フーリエ変換するフーリエ変換手段と、変換された入力信号に含まれる騒音信号の成分を各周波数帯域毎に求める騒音成分演算手段と、入力信号と騒音信号の成分から各周波数帯域毎に騒音信号の抑圧量を決めるためのゲイン関数を求めるゲイン関数演算手段と、各周波数帯域毎の入力信号とゲイン関数を乗算することで騒音信号が抑圧された出力信号を求める騒音抑圧演算手段と、騒音抑圧演算手段の出力信号を離散フーリエ逆変換して時間領域の出力信号を得るフーリエ逆変換手段とを備え、騒音成分演算手段は、各周波数帯域毎に入力信号の瞬時信号パワーを時間平均して騒音信号成分を求め、ゲイン関数演算手段は、任意の時刻における入力信号のk番目の周波数帯域の瞬時信号パワーをPV,k(n)、該瞬時信号パワーを時間平均した平均値を<PV,k(n)>としたときに、任意の時刻におけるk番目の周波数帯域のゲイン関数を、[|PV,k(n)−<PV,k(n)>|/{|PV,k(n)−<PV,k(n)>|+<PV,k(n)>}]1/2の式から求めることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、騒音成分演算手段は、入力信号に音声信号が含まれているか否かを判別し、音声信号が含まれていない入力信号のみから騒音信号成分を求めることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、ゲイン関数演算手段は、瞬時S/N比PV,k(n)/<PV,k(n)>が1未満の場合に前記式で求めたゲイン関数が所定の上限値を超えるときは当該上限値をゲイン関数とすることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、騒音成分演算手段は、各周波数帯域の瞬時信号パワーを平滑化することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、フーリエ変換手段は、各サンプリング時間の入力信号を平滑化することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、ゲイン関数演算手段は、入力信号の瞬時信号パワー若しくは騒音信号成分の信号パワーが所定の条件を満たす場合は前記式を使わずにゲイン関数を求めることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、ゲイン関数演算手段は、入力信号の瞬時パワーが所定のしきい値以下の場合にゲイン関数をゼロとすることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6の発明において、ゲイン関数演算手段は、騒音信号成分の信号パワーが所定のしきい値以下の場合にゲイン関数を1とすることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1の発明において、ゲイン関数演算手段は、音声とみなせない周波数帯域のゲイン関数をゼロとすることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1の発明において、フーリエ逆変換手段の出力信号を増幅する増幅手段を備え、増幅手段は、全周波数帯域のゲイン関数の総和を周波数帯域の総数で除した値をゲイン関数による出力信号の減衰分とみなし、当該減衰分を補うように出力信号を増幅することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1の発明において、フーリエ逆変換手段の出力信号を増幅する増幅手段を備え、増幅手段は、入力信号と出力信号の差分を補うように出力信号を増幅することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項1の発明において、フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、サンプリング時間毎に奇数番目の周波数帯域と偶数番目の周波数帯域を交互に切り換えながら離散フーリエ変換並びに離散フーリエ逆変換を行うことを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項12の発明において、フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、奇数番目の周波数帯域の変換値で偶数番目の周波数帯域の変換値を補間することを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12の発明において、フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、交互に演算した奇数番目の周波数帯域の変換値と偶数番の周波数帯域の変換値の和を任意のサンプリング時間における変換値とすることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項1の発明において、ゲイン関数演算手段は、予め決められたフィルタ特性を加味してゲイン関数を求めることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、騒音信号の抑圧量を増大しつつ音声信号の歪みを抑えることができる。
請求項2の発明によれば、騒音成分演算手段が入力信号に音声信号が含まれているか否かを判別し、音声信号が含まれていない入力信号のみから騒音信号成分を求めることにより、ゲイン関数演算手段におけるゲイン関数の演算に誤差が生じるのを防ぐことができる。
請求項3の発明によれば、瞬時S/N比が1未満の領域における抑圧量の減少を抑えることができる。
請求項4並びに5の発明によれば、突発的な騒音を十分に抑圧することができる。
請求項6〜8の発明によれば、ゲイン関数演算手段において最適な抑圧制御が行える。
請求項9の発明によれば、ゲイン関数演算手段における処理量が削減できる。
請求項10並びに11の発明によれば、出力信号のレベル低下を抑えつつ騒音成分を抑圧することができる。
請求項12〜14の発明によれば、フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段における処理量が削減できる。
請求項15の発明によれば、別途フィルタを設ける場合に比較してコストダウンが図れる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
本実施形態の騒音抑圧装置は、例えば、インターホンシステムを構成するロビーインターホンや住戸機などの拡声通話装置に内蔵され、マイクロホンで集音される通話音声に含まれる周囲騒音を抑圧するものであって、図1に示すようにA/D変換器8でサンプリングされ且つ量子化されたディジタルの入力信号v(n)を複数の周波数帯域へ離散高速フーリエ変換するフーリエ変換部1と、変換された入力信号Vk(n)(kは周波数帯域の番号でk=1,2,…,m)に含まれる騒音信号の成分(以下、「騒音信号」と略す。)Nk(n)を各周波数帯域毎に求める騒音成分演算部2と、入力信号Vk(n)と騒音信号Nk(n)から各周波数帯域毎に騒音信号の抑圧量を決めるためのゲイン関数Gk(n)を求めるゲイン関数演算部3と、ゲイン関数Gk(n)に基づいて各周波数帯域k毎に騒音信号Nk(n)が抑圧された出力信号を求める騒音抑圧演算部4と、騒音抑圧演算部4の出力信号を離散フーリエ逆変換して時間領域の出力信号を得るフーリエ逆変換部5とを備える。なお、本実施形態ではディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)やマイクロコンピュータなどのハードウェアを騒音抑圧用のプログラム(ソフトウェア)で制御することで前記各部1〜5を実現している。
フーリエ変換部1は、ディジタルの入力信号v(n)を離散高速フーリエ変換して得られる振幅成分(実部)と位相成分(虚部)のうちで振幅成分Vk(n)のみを騒音成分演算部2に渡し、位相成分についてはフーリエ逆変換部5に渡す。但し、以下の説明では特に断らない限りフーリエ変換後の振幅成分を入力信号Vk(n)と呼ぶことにする。
騒音成分演算部2は、フーリエ変換部1から受け取った入力信号Vk(n)のk番目の周波数帯域の瞬時信号パワーPV,k(n)(=Vk(n))を時間平均し、その平均値を騒音信号Nk(n)の信号パワーPN,k(n)(=<PV,k(n)>)とする。但し、<PV,k(n)>は瞬時信号パワーPV,k(n)の長時間平均値を表し、下記の式で求められる。
<PV,k(n)>=PV,k(n)×ρ+<PV,k-M(n)>×(1−ρ) 但し、ρは定数(エンベロープ係数)、Mは周波数帯域の分割数を表す。
ゲイン関数演算部3では、騒音信号Nk(n)を抑圧するためのゲイン関数Gk(n)を、時間フレームn並びに周波数帯域k毎に下記の式(4)によって演算する。
Figure 0004479625
また、騒音信号の信号パワー<PV,k(n)>に対する瞬時信号パワーPV,k(n)の比を瞬時S/N比SNRk(n)(=PV,k(n)/<PV,k(n)>)とすれば、上記式(4)は下記の式(5)のように表すこともできる。
Figure 0004479625
上記式(5)をグラフ化したものを図2に示す。
騒音抑圧演算部4は、各周波数帯域k毎の入力信号Vk(n)とゲイン関数Gk(n)を乗算することで騒音信号が抑圧された出力信号(振幅成分)P'V,k(n)(=Gk(n)×PV,k(n))を求め、求めた出力信号P'V,k(n)をフーリエ逆変換部5に渡す。そして、フーリエ逆変換部5において騒音信号が抑圧された振幅成分(実部)P'V,k(n)と位相成分(虚部)とを離散高速フーリエ逆変換することで周波数領域から時間領域に戻された出力信号y(n)が得られ、この出力信号y(n)がD/A変換器9によってディジタル信号からアナログ信号に変換されるのである。
ここで、ゲイン関数演算部3で実行されるゲイン関数Gk(n)の演算式(上記式(4)あるいは式(5))は、瞬時信号パワーPV,k(n)と騒音信号の信号パワー<PV,k(n)>が等しいとき、つまり、瞬時S/N比SNRk(n)=1のときにゲイン関数Gk(n)(あるいはG(SNRk(n))がゼロとなり、瞬時信号パワーPV,k(n)と騒音信号の信号パワー<PV,k(n)>が略等しいところで局所的に騒音信号を抑圧する点に特徴がある。
而して、話者が発声していないときのように入力信号に騒音信号(定常的な騒音信号)のみが含まれている場合、入力信号の瞬時信号パワーPV,k(n)とその長時間平均値<PV,k(n)>とが一致するので、入力信号の瞬時信号パワーPV,k(n)、つまり騒音信号の瞬時信号パワーがゲイン関数Gk(n)によってゼロ又はその近傍まで抑圧される。また、周囲騒音が十分に小さいために入力信号に音声信号のみが含まれているとみなせる場合、入力信号の瞬時信号パワーPV,k(n)のうちで音声信号の周波数帯域に一致する周波数帯域の瞬時信号パワーPV,k(n)がゲイン関数Gk(n)によって抑圧されてしまうけれども、音声信号の場合は定常的な騒音信号に比較して瞬時信号パワーPV,k(n)が短期的に大きく変動するので、実際は音声信号がほとんど抑圧されず、通話に支障が生じることはない。さらに、定常的な周囲騒音が存在する環境下で話者が発声しているときのように入力信号に音声信号と騒音信号が双方とも含まれている場合、音声信号の信号パワーと騒音信号の信号パワーが近い、つまり、瞬時S/N比が1に近い周波数帯域の各信号パワーが双方とも抑圧されるが、上述のように音声信号は定常的な騒音信号に比較して瞬時信号パワーが短期的に大きく変動するために瞬時S/N比も同様に短期間で大きく変動し、その結果、音声信号の瞬時信号パワーが抑圧される量が騒音信号の信号パワーが抑圧される量よりも十分に小さくなる。
例えば本発明者らの実験によると、周囲騒音として自動車のアイドリング音(音圧:80dBA)が存在する環境下で人の声(音圧:74dBA)が発せられた場合において、音声信号と騒音信号を合わせた入力信号の周波数特性(図3(a)参照)と、本実施形態で信号処理された後の入力信号の周波数特性(図3(b)参照)とを比較すれば、自動車のアイドリング音のように定常的な周囲騒音成分のみを抑圧し、周波数変動の激しい音声信号の振幅はほとんど減衰されずに維持されていることが判る。つまり、本実施形態によれば、従来例に比べて騒音信号の抑圧量を増大しつつ音声信号の歪みを抑えることができるのである。
ところで、図2に示すように瞬時S/N比SNRk(n)が1未満(PV,kが<PV,k>よりも小さい)の領域では瞬時S/N比SNRk(n)が悪化(0に近づく)ほど騒音信号の抑圧量が減少(ゲイン関数Gk(n)が増加)することになって騒音信号が十分に抑圧できない可能性があるので、ゲイン関数演算部3において、瞬時S/N比SNRk(n)が1未満の場合に式(4)又は式(5)で求めたゲイン関数が所定の上限値を超えるときは当該上限値をゲイン関数とすれば瞬時S/N比SNRk(n)が1未満の領域で騒音信号の抑圧量の減少を抑えることができる。なお、前記上限値は、例えば瞬時S/N比SNRk(n)が0.3若しくは0.4のときの値(0.64又は0.61)にすればよい。
また、騒音成分演算部2では瞬時信号パワーPV,k(n)の長時間平均値を騒音信号の信号パワーとしているが、例えば、話者が大きな声で話している場合のように、瞬時信号パワーPV,k(n)に含まれる音声信号の信号パワーが相対的に大きい場合には騒音信号の信号パワーが必要以上に大きな値となってしまい、ゲイン関数演算部3におけるゲイン関数Gk(n)の演算にも誤差が生じてしまう。そこで、騒音成分演算部2が入力信号v(n)に音声信号が含まれているか否かを判別し、音声信号が含まれていない入力信号v(n)のみから騒音信号成分を求めるようにすれば、ゲイン関数演算部3におけるゲイン関数Gk(n)の演算に誤差が生じるのを防ぐことができる。なお、入力信号v(n)に音声信号が含まれているか否かの判別方法については従来周知であるから詳細な説明は省略するが、例えば、入力信号v(n)の周波数特性に基づく判別方法を用いればよい。
ところで、騒音成分演算部2が瞬時信号パワーPV,k(n)の長時間平均値を騒音信号の信号パワーとしているため、自動車のアイドリング音のように定常的な周囲騒音についてはゲイン関数Gk(n)によって十分に抑圧可能であるが、自動車のクラクション音のように突発的に発生する騒音についてはゲイン関数Gk(n)による十分な抑圧は困難である。そこで、騒音成分演算部2が騒音信号の成分を求める際に周波数帯域kにおいて瞬時信号パワーPV,k(n)を平滑化するか、あるいはフーリエ変換部1が各サンプリング時間の入力信号v(n)を平滑化すれば、上述のような突発的な騒音を十分に抑圧することができる。
また、周囲騒音の周波数特性や信号パワーなどは常に一定ではなく時間的に変化するものであるから、ゲイン関数演算部3においては周囲騒音の変化に合わせてゲイン関数Gk(n)の決定方法を変えることで最適な抑圧制御が行える。例えば、瞬時信号パワーPV,k(n)が所定のしきい値以下の場合は入力信号のレベルが低いのでゲイン関数Gk(n)=0として入力信号のレベルが低下するのを防止し、騒音信号の信号パワー<PV,k(n)>が所定のしきい値以下の場合は周囲騒音のレベルが低いのでゲイン関数Gk(n)=1として音声信号のレベル低下を防止する。さらに、音声とみなせない周波数帯域、例えば、3[kHz]を超える周波数帯域のゲイン関数Gk(n)を一律にゼロとすれば、ゲイン関数演算部3における演算量が削減できるという利点がある。
ところで、フーリエ変換部1並びにフーリエ逆変換部5において、サンプリング時間(時間フレームn)毎に奇数番目の周波数帯域k(=2m−1、m=1,2,…)と偶数番目の周波数帯域k(=2m、m=1,2,…)を交互に切り換えながら離散フーリエ変換並びに離散フーリエ逆変換の演算を行ったり、あるいは、奇数番目の周波数帯域の変換値PV,2m-1(n),PV,2m+1(n)で偶数番目の周波数帯域の変換値PV,2m(n)を補間(例えば、PV,2m(n)={PV,2m-1(n)+PV,2m+1(n)}/2)したり、交互に演算した奇数番目の周波数帯域の変換値PV,2m-1(n)と偶数番の周波数帯域の変換値PV,2m(n)の和を任意のサンプリング時間における変換値PV,k(n)(=PV,2m-1(n)+PV,2m(n))とすれば、フーリエ変換部1並びにフーリエ逆変換部5の演算量が削減できるという利点がある。
(実施形態2)
本実施形態は、図4に示すようにフーリエ逆変換部5の出力信号y(n)を増幅する可変増幅部6と、可変増幅部6における増幅度を調整する調整部7とを備えている点に特徴がある。但し、その他の構成については実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
調整部7は、下記の式(6)で示す演算、すなわち全周波数帯域のゲイン関数Gk(n)の総和を周波数帯域の総数(分割数)Nで除する演算を行い、その値をゲイン関数Gk(n)による出力信号y(n)の減衰分ΔPとみなし、この減衰分ΔPを補うように可変増幅部6の増幅度を調整して出力信号y(n)を増幅する。
Figure 0004479625
すなわち、ゲイン関数Gk(n)を乗算して騒音成分を抑圧すると出力信号y(n)の信号パワーが騒音成分の抑圧量分だけ減衰してしまうが、本実施形態では可変増幅部6と調整部7からなる増幅手段で減衰分を補うように出力信号y(n)を増幅するので、出力信号y(n)のレベル低下を抑えつつ騒音成分を抑圧することができる。あるいは、調整部7において入力信号v(n)と出力信号y(n)の差分(=y(n)−v(n))を求め、その差分を補うように増幅部6で出力信号y(n)を増幅するようにしてもよい。
ところで、ゲイン関数演算部3において予め決められたフィルタ特性(例えば、音声の周波数帯域のみを通過させるバンド・パス・フィルタの特性)を加味してゲイン関数Gk(n)を求めるようにすれば、別途フィルタを設ける場合に比較してコストダウンが図れるという利点がある。
本発明の実施形態1を示すブロック図である。 同上におけるゲイン関数を示すグラフである。 同上の動作説明図である。 本発明の実施形態2を示すブロック図である。 従来例におけるゲイン関数を示すグラフである。
符号の説明
1 フーリエ変換部
2 騒音成分演算部
3 ゲイン関数演算部
4 騒音抑圧演算部
5 フーリエ逆変換部

Claims (15)

  1. 通話音声の音声信号と周囲騒音の騒音信号とが混在する入力信号から騒音信号を抑圧して出力する騒音抑圧装置であって、
    サンプリングされた入力信号を複数の周波数帯域へ離散フーリエ変換するフーリエ変換手段と、変換された入力信号に含まれる騒音信号の成分を各周波数帯域毎に求める騒音成分演算手段と、入力信号と騒音信号の成分から各周波数帯域毎に騒音信号の抑圧量を決めるためのゲイン関数を求めるゲイン関数演算手段と、各周波数帯域毎の入力信号とゲイン関数を乗算することで騒音信号が抑圧された出力信号を求める騒音抑圧演算手段と、騒音抑圧演算手段の出力信号を離散フーリエ逆変換して時間領域の出力信号を得るフーリエ逆変換手段とを備え、
    騒音成分演算手段は、各周波数帯域毎に入力信号の瞬時信号パワーを時間平均して騒音信号成分を求め、
    ゲイン関数演算手段は、任意の時刻における入力信号のk番目の周波数帯域の瞬時信号パワーをPV,k(n)、該瞬時信号パワーを時間平均した平均値を<PV,k(n)>としたときに、任意の時刻におけるk番目の周波数帯域のゲイン関数を、
    [|PV,k(n)−<PV,k(n)>|/{|PV,k(n)−<PV,k(n)>|+<PV,k(n)>}]1/2の式から求めることを特徴とする騒音抑圧装置。
  2. 騒音成分演算手段は、入力信号に音声信号が含まれているか否かを判別し、音声信号が含まれていない入力信号のみから騒音信号成分を求めることを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  3. ゲイン関数演算手段は、瞬時S/N比PV,k(n)/<PV,k(n)>が1未満の場合に前記式で求めたゲイン関数が所定の上限値を超えるときは当該上限値をゲイン関数とすることを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  4. 騒音成分演算手段は、各周波数帯域の瞬時信号パワーを平滑化することを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  5. フーリエ変換手段は、各サンプリング時間の入力信号を平滑化することを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  6. ゲイン関数演算手段は、入力信号の瞬時信号パワー若しくは騒音信号成分の信号パワーが所定の条件を満たす場合は前記式を使わずにゲイン関数を求めることを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  7. ゲイン関数演算手段は、入力信号の瞬時パワーが所定のしきい値以下の場合にゲイン関数をゼロとすることを特徴とする請求項6記載の騒音抑圧装置。
  8. ゲイン関数演算手段は、騒音信号成分の信号パワーが所定のしきい値以下の場合にゲイン関数を1とすることを特徴とする請求項6記載の騒音抑圧装置。
  9. ゲイン関数演算手段は、音声とみなせない周波数帯域のゲイン関数をゼロとすることを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  10. フーリエ逆変換手段の出力信号を増幅する増幅手段を備え、
    増幅手段は、全周波数帯域のゲイン関数の総和を周波数帯域の総数で除した値をゲイン関数による出力信号の減衰分とみなし、当該減衰分を補うように出力信号を増幅することを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  11. フーリエ逆変換手段の出力信号を増幅する増幅手段を備え、
    増幅手段は、入力信号と出力信号の差分を補うように出力信号を増幅することを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  12. フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、サンプリング時間毎に奇数番目の周波数帯域と偶数番目の周波数帯域を交互に切り換えながら離散フーリエ変換並びに離散フーリエ逆変換を行うことを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
  13. フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、奇数番目の周波数帯域の変換値で偶数番目の周波数帯域の変換値を補間することを特徴とする請求項12記載の騒音抑圧装置。
  14. フーリエ変換手段並びにフーリエ逆変換手段は、交互に演算した奇数番目の周波数帯域の変換値と偶数番の周波数帯域の変換値の和を任意のサンプリング時間における変換値とすることを特徴とする請求項12記載の騒音抑圧装置。
  15. ゲイン関数演算手段は、予め決められたフィルタ特性を加味してゲイン関数を求めることを特徴とする請求項1記載の騒音抑圧装置。
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