本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、閉状態で各引戸をフラットにでき、外観上の見栄えを大幅に向上させることができると共に、開閉操作がきわめて容易になる引戸装置を提供することを課題とし、さらに上レール全体の見込み寸法を小さくでき、施工自由度を大きくできる引戸装置を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するために本発明は、3枚以上の引戸を備えた引戸装置であって、閉じた状態で連続して隣り合う3枚引戸1〜3の組が、中央引戸3と、中央引戸3の一方の側方に配置される一方引戸2と、中央引戸3の他方の側方に配置される他方引戸1とからなり、上記3枚引戸1〜3の組は、閉じた状態では面一となるように配置され、上記面一に閉じられた状態にある3枚引戸1〜3の組において一方引戸2を他方引戸1側に向かって移動して一方引戸2を他方引戸1の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を他方引戸1側に向かって移動して他方引戸1の後に重なるように誘導する誘導機構19を備えたことを特徴としている。
また本発明は、3枚以上の引戸を備えた引戸装置であって、閉じた状態で連続して隣り合う3枚引戸1〜3の組が、中央引戸3と、中央引戸3の一方の側方に配置される一方引戸2と、中央引戸3の他方の側方に配置される他方引戸1とからなり、上記3枚引戸1〜3の組は、閉じた状態では面一となるように配置され、上記面一に閉じられた状態にある3枚引戸1〜3の組において一方引戸2を他方引戸1側に向かって移動して一方引戸2を他方引戸1の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を他方引戸1側に向かって移動して他方引戸1の後面に重なるように誘導する第1の開き動作と、上記面一に閉じられた状態にある3枚引戸1〜3の組において他方引戸1を一方引戸2側に向かって移動して他方引戸1を一方引戸2の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を一方引戸2側に向かって移動して一方引戸2の後面に重なるように誘導する第2の開き動作とのいずれかを任意に選択自在な誘導機構19を備えていることを特徴としている。
上記のように3枚引戸1〜3の組が閉じた状態で一列に面一となるように配置されるように構成してあることで、閉じた状態で隣接する引戸1〜3間に段差が生じることがなくて、一連の連続した壁面としての外観を呈することができる。しかも、一方引戸2(又は他方引戸1)から開く際には一方引戸2を他方引戸1及び中央引戸3よりも手前側(室内側)に移動させるので、開閉操作がきわめて容易になると共に、例えばクローゼットの扉として用いた場合において、クローゼット内で荷崩れが発生した場合でも、一方引戸2(又は他方引戸1)を前方に開くことが可能となる。
また上記操作する方の一方引戸2又は他方引戸1のいずれかに追従して中央引戸3を開閉させるための連動機構15を備えているのが好ましく、この場合、中央引戸3を手で開閉する必要がなくなり、開閉操作がきわめて容易となる。
また本発明は、袖壁20と、閉じた状態で袖壁20に連続して直線上に配置される第1引戸3と第2引戸2とを備えた引戸装置であって、上記第1引戸3と第2引戸2とは閉じた状態で袖壁20と面一となるように配置され、上記面一に閉じられた状態にある第1引戸3と第2引戸2において袖壁20から離れた方の第2引戸2を袖壁20側に向かって移動して第2引戸2を袖壁20の前面に重なるように誘導し、且つ袖壁20に近い方の第1引戸を袖壁20側に向かって移動して袖壁20の後面に重なるように誘導する誘導機構19を備えたことを特徴としている。
上記のように袖壁20と2枚の引戸2,3が閉じた状態で一列に面一となるように配置されるように構成してあることで、2枚の引戸2,3を閉じた状態で隣接する袖壁20間に段差が生じることがなくて、一連の連続した壁面としての外観を呈することができる。
また、上記操作する方の第2引戸2に追従して第1引戸3を開閉させるための連動機構15を備えているのが好ましく、この場合、第1引戸3を手で開閉する必要がなくなり、開閉操作がきわめて容易となる。しかも、開く際には第2引戸2を第1引戸3よりも手前側(室内側)に移動させるので、開閉操作がきわめて容易になると共に、例えばクローゼットの扉として用いた場合において、クローゼット内で荷崩れが発生した場合でも、第2引戸2を前方に開くことが可能となる。
また、上記連動機構15は、操作する方の引戸の上端部から追従する方の引戸の移動径路に向って突出する当たり部15aと、当たり部15aの先端に設けた鉤形のフック部15bと、追従する方の引戸の上端部から突出して当たり部15aに当接可能で且つフック部15bに係脱可能な受け部材15cとを備えており、操作する方の引戸と追従する方の引戸とが左右にずれた状態では受け部材15cは当たり部15a及びフック部15bとは干渉せず、操作する方の引戸と追従する方の引戸とが概ね重なる段階で受け部材15cが当たり部15aに片当たりし、さらに操作する方の引戸と追従する方の引戸とが前後に離反する段階で受け部材15cが当たり部15aからフック部15bに係合可能となるように構成されているのが好ましく、この場合、フック部15b付き当たり部15aとこれを受ける受け部材15cを備えた簡単な構造であるため、連動機構15のコスト低減、組み立て性の向上を図ることができる。
また、上記誘導機構19は、上記3枚引戸1〜3の組を構成する中央引戸3と一方引戸2と他方引戸1とを走行自在にガイドする上レール5と、各引戸1〜3の上端部にそれぞれ設けた左右2個の上ランナー21〜23とを備え、上レール5は、一方引戸2と他方引戸1の各上ランナー21,22を走行自在にガイドする共用レール部7と、中央引戸3の上ランナー23を走行自在にガイドする中央引戸用レール部8とが設けられ、上記共用レール部7は、上レール5の長手方向と平行に延びた前側直進レール部9と、前側直進レール部9の長手方向の両端側から後方Bに延びた左右2個の外側曲進レール部11と、前側直進レール部9の長手方向の両端側よりも内側に寄った2箇所からそれぞれ分岐して後方Bに延びた左右2個の内側曲進レール部12とを備え、上記中央引戸用レール部8は、上記前側直進レール部9と平行な後側直進レール部10と、後側直進レール部10における上記左右2個の内側曲進レール部12と対向する位置よりもそれぞれ内側に寄った2箇所から前側に向って半円形状に湾曲した左右2個の湾曲レール部13とを備え、3枚引戸1〜3の組を面一に閉じた状態では、一方引戸2の上ランナー22が右側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の上ランナー23が左右2個の湾曲レール部13の各前端部にそれぞれ入り込み、且つ他方引戸1の上ランナー21が左側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込むことで、各引戸1〜3が上レール5の長手方向と平行な同一平面となるように並置され、右開き状態では、他方引戸1の上ランナー21が左側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の上ランナー23が後側直進レール部10の左側にそれぞれ移動し、且つ一方引戸2の上ランナー22が前側直進レール部9の左側にそれぞれ移動することで、手前から順に一方引戸2と他方引戸1と中央引戸3とが重ねて並置され、左開き状態では、一方引戸2の上ランナー22が右側に位置する外側曲進レール部11及び内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の上ランナー23が後側直進レール部10の右側にそれぞれ移動し、且つ、他方引戸1の上ランナー21が前側直進レール部9の右側にそれぞれ移動することで、手前から順に他方引戸1と一方引戸2と中央引戸3とが重ねて並置され、上記右開き状態と左開き状態とを選択自在となるように構成するのが好ましく、この場合、2本のレール部(共用レール部7、中央引戸用レール部8)で3枚引戸1〜3をガイドできる。
また、上記各引戸1〜3の左右2個の上ランナー21〜23を、一対のローラーブロック24と、各ローラーブロック24の上面から上方に突出してその突出高さ及び突出位置がそれぞれ異なる補助ローラー25a,25b(或いは凸部材)とで構成すると共に、上記外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点に、それぞれ、補助ローラー25aと補助ローラー25bの高低及び突出位置の違いに応じて分岐点における引戸1〜3の進行方向を直進又は曲進のいずれかに決めるための分岐部材18を配設するのが好ましい。つまり、分岐部材18は、補助ローラー25a(低)は通過して補助ローラー25b(高)のみが入り込む補助レール18a(短)と、補助ローラー25a(低)が入り込む補助レール18b(長)とを備えるものであり、この補助レール18a(低)、18b(長)により、補助ローラー25a(低)と補助ローラー25b(高)(或いは凸部材(低)、凸部材(高))の進行方向を、外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点において直進か曲進かを決めることが可能となり、引戸1〜3の開閉操作をより一層、迅速、且つ、スムーズに行なうことができ、操作性が大幅に向上するものである。
また、上記前側直進レール部9及び後側直進レール部10に沿って、それぞれ、ローラーブロック24の両側面をガイドする前後一対のガイドリブ38を設け、上記外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点とそれぞれ対向するガイドリブ38の一部に、分岐部材18によって曲進するローラーブロック24を外側曲進レール部11又は内側曲進レール部12又は湾曲レール部13のいずれかに進行させるための切欠穴39を形成すると共に、この切欠穴39と対向するレール部の内側に、分岐部材18によって直進するローラーブロック24を直進方向にガイドするための直進用ガイド部材26を配設するのが好ましく、この場合、直進するローラーブロック24が切欠穴39の位置で回転したり、引っ掛って動かなくなったりして、開閉動作に支障をきたすような事態を、直進用ガイド部材26によって防止できる。従って、直進するローラーブロック24をスムーズに直進させることができる。
また、上記上ランナー21〜23を引戸1〜3の上端部に連結するためのランナー連結部材40を、上ランナー21〜23が引戸1〜3の後面よりも後方Bにはみ出して位置するように略L字形に屈曲形成するのが好ましく、この場合、上レール5の見込み寸法(奥行き)を一層小さくしながら、開状態で操作する側の引戸1又は2の一方を扉枠4から前方Aに飛び出た位置に配置させることが可能となる。
また、上記ランナー連結部材40と上レール5との間に干渉部材120を配置するのが好ましく、この場合、引戸の連動開始時や引戸の全閉時に引戸に浮き上がりが発生するのを干渉部材120によって防止できる。従って、商品としての品位を高めることができると共に、引戸の浮き上がりによる上レール5の傷付き防止、さらに部品の破損を防止できるものである。
本発明に係る引戸装置は、3枚引戸の組が閉じた状態で一列に面一となるように配置されるように構成してあることで、閉じた状態で隣接する引戸間に段差が生じることがなくて、一連の連続した壁面としての外観を呈することができ、見栄えが大幅に向上するものである。しかも、一方引戸(又は他方引戸)から開く際には一方引戸を他方引戸及び中央引戸よりも手前側(室内側)に移動させるので、開閉操作がきわめて容易になると共に、例えばクローゼットの扉として用いた場合において、クローゼット内で荷崩れが発生した場合でも、一方引戸(又は他方引戸)を前方に開くことが可能となる。
また本発明に係る引戸装置は、2本のレール部(共用レール部、中央引戸用レール部)で3枚引戸をガイドできる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本実施形態の引戸装置は、図16、図17に示すように、閉じた状態で連続して隣り合う3枚引戸1〜3の組が、中央引戸3と、中央引戸3の右側方に配置される一方引戸2と、中央引戸3の左側方に配置される他方引戸1とからなり、上記3枚引戸1〜3の組は、閉じた状態では面一となるように配置され、後述の誘導機構19により、面一に閉じられた状態において一方引戸2を他方引戸1側に向かって移動して一方引戸2を他方引戸1の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を他方引戸1側に向かって移動して他方引戸1の後に重なるように誘導して前後に重なり合う状態で開くことができるようになっている。
ここで、図16は、一方引戸2を他方引戸1側に向かって移動して一方引戸2を他方引戸1の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を他方引戸1側に向かって移動して他方引戸1の後面に重なるように誘導する第1の開き動作を示し、図17は、面一に閉じられた状態にある3枚引戸1〜3の組において他方引戸1を一方引戸2側に向かって移動して他方引戸1を一方引戸2の前面に重なるように誘導し、且つ中央引戸3を一方引戸2側に向かって移動して一方引戸2の後面に重なるように誘導する第2の開き動作を示し、図16、図17の例では、第1の開き動作と第2の開き動作のいずれかを任意に選択自在となっている。
また図18、図19は、4枚の引戸1a、1〜3を備えた引戸装置において、このうち左端の引戸1aを固定し、他の3枚の引戸1〜3を右開きとした場合を示している。なお左開きの場合も同様である。また引戸の数は5枚以上であってもよい。
また図20は、袖壁20と、閉じた状態で袖壁20に連続して直線上に配置される第1引戸3と第2引戸2とを備えた構造である。ここでは、第1引戸3が前記実施形態の中央引戸3、第2引戸2が一方引戸2をそれぞれ構成する。また本実施形態の袖壁20は、前記図16の他方引戸1(又は図17の一方引戸2)を移動できないようにフランス落し(図示せず)で固定して袖壁20兼引戸としてもよい。これにより袖壁20に対して第1引戸3と第2引戸2は閉じた状態で面一となるように配置されると共に、面一に閉じられた状態にある第1引戸3と第2引戸2において、袖壁20から離れた方の第2引戸2を袖壁20側に向かって移動して第2引戸2を袖壁20の前面に重なるように誘導し、且つ袖壁20に近い方の第1引戸を袖壁20側に向かって移動して袖壁20の後面に重なるように誘導することで、袖壁20の前後に重なり合う状態で開くことができるようになっている。なお図20では右端に袖壁20を配置した場合を説明したが、左端に袖壁20を配置してもよい。
次に、誘導機構19を説明する。本実施形態の誘導機構19は、図8〜図11に示すように、3枚引戸1〜3を走行自在にガイドする上レール5と、各引戸1〜3の上端部にそれぞれ設けた左右2個の上ランナー21〜23とを備えている。ここで、3枚引戸1〜3の扉枠4は、図12に示すように、左右の縦枠4aと上レール5と下レール6とで構成されている。
上レール5は、躯体に固定される上レール本体50と、上レールカバー51とで構成される。上レールカバー51は、直進部レールカバー51A、曲進部レールカバー51B、分岐部材18等で構成される。そして、上レール本体50に上レールカバー51を取り付けた状態で、図10、図11に示すように、上レール本体50と上レールカバー51との隙間に、前後方向A,Bに並んで、溝状の共用レール部7(図9、図10参照)と溝状の中央引戸用レール部8(図9、図10参照)とが並設されるようになっている。共用レール部7は、左右両側の引戸1,2の各上端部の両端2箇所に設けた左右2個の上ランナー21、22をそれぞれ走行自在にガイドするものであり、中央引戸用レール部8は中央引戸3の上端部に設けた左右2個の上ランナー23を走行自在にガイドするものである。なお図10中の200は枠連結部材、Xは室内側、Yは天井側である。
上記共用レール部7は、上レール5の長手方向Mと平行に延びた前側直進レール部9と、前側直進レール部9の長手方向Mの両端側からそれぞれ後方Bに向って略L字状に屈曲した左右2個の外側曲進レール部11と、前側直進レール部9の長手方向Mの両端側よりも内側に寄った2箇所からそれぞれ分岐して後方Bに向って略L字状に屈曲した左右2個の内側曲進レール部12とを備えている。
上記中央引戸用レール部8は、前側直進レール部9と平行な後側直進レール部10と、後側直進レール部10における左右2個の内側曲進レール部12と対向する位置よりもそれぞれ内側に寄った2箇所から前方Aに向って半円形状に湾曲した左右2個の湾曲レール部13とを備えている。本例では外側曲進レール部11、内側曲進レール部12は、湾曲レール部13は、曲進部レールカバー51Bに各々形成されている。なお、曲進部レールカバー51Bは分岐部材18を介して上レール本体50に対してネジ止め固定されており、直進部レールカバー51Aは上レール本体50に対してネジ止め固定されている。
ここにおいて、上記前側直進レール部9に設けた左右2個の外側曲進レール部11の後端部と、左右2個の内側曲進レール部12の後端部と、後側直進レール部10における左右2個の湾曲レール部13の前端部とは、前側直進レール部9、後側直進レール部10と平行な仮想直線上に位置している。また、左側の外側曲進レール部11の後端部と左側の内側曲進レール部12の後端部との間の距離は他方引戸1の左右の上ランナー22間の距離に等しく、また、右側の外側曲進レール部11の後端部と右側の内側曲進レール部12の後端部との間の距離は一方引戸2の左右の上ランナー21間の距離に等しく、更に、左右の湾曲レール部13の前端部間の距離は中央引戸31cの左右の上ランナー23間の距離に等しく設定してある。なお図1(a)中の10aは、中央引戸3を左端に寄せたときに中央引戸3の右側の上ランナー23が入り込む直進部分であり、図1(a)中の10bは、中央引戸3を右端に寄せたときに中央引戸3の左側の上ランナー23が入り込む直進部分である。
ここで、図2(a)に示す閉状態では、他方引戸1の各上ランナー21が左側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の各上ランナー23が左右2個の湾曲レール部13の各前端部にそれぞれ入り込み、且つ一方引戸2の各上ランナー22が右側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込むことで、図3に示すように、各引戸1〜3が上レール5の長手方向Mと平行な同一平面となるように並置される。なお図3中の矢印Aは部屋側、矢印Bはクローゼット側を示している。なお図1(b)のように上ランナー21は引戸1の側面に接して設けられ、上ランナー2は引戸2の側面に接して設けられているが、上ランナー21、22が曲進レール部11、12に入ったときに斜めに位置する状態の理解を容易にするために、図2(a)〜(d)においては引戸1と上ランナー21とを離間して図示し、図2(a)において引戸2と上ランナー22とを離間して図示している。
一方、図2(d)に示す右開き状態では、他方引戸1の各上ランナー21が左側に位置する外側曲進レール部11と内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の各上ランナー23が後側直進レール部10の左側にそれぞれ移動し、且つ一方引戸2の各上ランナー22が前側直進レール部9の左側にそれぞれ移動することで、手前から順に一方引戸2と他方引戸1と中央引戸3とが重ねて並置される。
また、左開き状態では、一方引戸2の各上ランナー22が右側に位置する外側曲進レール部11及び内側曲進レール部12の各後端部にそれぞれ入り込み、中央引戸3の各上ランナー23が後側直進レール部10の右側にそれぞれ移動し、且つ、他方引戸1の各上ランナー21が前側直進レール部9の右側にそれぞれ移動することで、手前から順に他方引戸1と一方引戸2と中央引戸3とが重ねて並置され、これら右開き状態と左開き状態とは選択自在となっている。つまり、誘導機構19は、一方引戸2と中央引戸3と他方引戸1とを前後に重ねた状態で、中央引戸3を他方引戸1と重ならない位置に移動して他方引戸1と面一となるように誘導し、且つ一方引戸2を他方引戸1及び中央引戸3とは重ならない位置に移動して中央引戸3と面一となるように誘導する機能も兼ねている。
しかして、他方引戸1からの開閉、及び、一方引戸2からの開閉がそれぞれ可能な引戸装置において、閉状態では引戸1〜3が同一平面に並ぶことで、全体がフラットになり、例えば、クローゼットの扉として用いた場合、各引戸1〜3を周囲の室内壁14(図3)と外観上の一体感をもたせることができるようになり、結果、従来の引き違い式の引き戸と比較して、外観上の見栄えが大幅に向上する。しかも、従来では上レール5の長手方向Mと直交する前後方向A,Bに3本のレール部を並設しているため、上レール5全体の見込み寸法(奥行き)が大きくなるが、これに対して本発明の引戸装置は、2本のレール部(共用レール部7、中央引戸用レール部8)で各引戸1〜3をガイドできるので、上レール5全体の見込み寸法D(図1(a))を小さくすることが可能となり、この結果、例えばクローゼットの扉として用いた場合は、従来と比較して収納量アップを図ることができる。
図4(a)(b)は連動機構15の一例を示し、図5は右開き及び左開きの原理図を示し、図6は右開きの具体例を示している。図5(a)〜(c)では一方引戸2を操作側引戸、他方引戸1を非操作側引戸とし、図5(d)〜(f)では他方引戸1を操作側引戸、一方引戸2を非操作側引戸としている。ここでは、図4(b)に示すように、各引戸1〜3の相互の突き合わせ部には、互いに対向する一対の隙間隠し用L形部材16が取り付けられている。図4(a)中の80は当たり部固定ネジである。なお、必ずしも隙間隠し用L形部材16を取り付ける必要はなく、例えば図4(c)のように、各引戸1〜3の突き合わせ面に斜め形状のカット部17を設けて各引戸1〜3間の隙間をなくすようにすることも可能である。
本実施形態の連動機構15は、中央引戸3を操作側の他方引戸1又は一方引戸2と連動して開閉させるためのものであり、図4(a)(b)に示すように、操作側引戸の把手側の上端面から中央引戸3の移動径路に向って突出する当たり部15aと、当たり部15aの先端に設けた鉤形のフック部15bと、中央引戸3の上端面から突出して当たり部15aに当接可能で且つフック部15bに係脱可能な受け部材15cとで構成されている。図4(b)に示す例では、軸形状をした受け部材15cを隙間隠し用L形部材16の入隅部にネジ81で固定しており、受け部材15cの上端を中央引戸3の上面よりも上方に突出させている。そして例えば図6に示すように右開きにする場合は、一方引戸2と中央引戸3とが図6(a)のように左右にずれた状態では受け部材15cは当たり部15a及びフック部15bとは干渉せず、一方引戸2と中央引戸3とが図6(b)のように概ね重なる段階で受け部材15cが当たり部15aに片当たりして一方引戸2と中央引戸3との連動が始まり、図6(c)のように他方引戸1を挟んで一方引戸2と中央引戸3とが前後方向A,Bに向って離反する段階で受け部材15cが当たり部15aからフック部15bに係合した状態となる。この係合状態は一方引戸2及び中央引戸3開位置になるまで持続される。逆に閉じる場合は、受け部材15cがフック部15bに入りこんでいるために、一方引戸2を途中まで閉じる段階までは中央引戸3は連動し、中央引戸3の閉位置で受け部材15cがフック部15bから外れ、さらに当たり部15aから離れることで、一方引戸2を閉位置まで単独で移動させることができる。従って、連動機構15によって中央引戸3を連動させて開閉することが可能となり、中央引戸3を手で開閉する必要がなくなり、開閉操作がきわめて容易となる。
しかして、3枚以上の引戸において、左右両側から他方引戸1又は一方引戸2からの連動開閉が可能となり、且つ3枚引戸1〜3が連動されて、全閉時に一方引戸2(操作側引戸)が他方引戸1(非操作側引戸)よりも手前側(室内側)に、中央引戸3が他方引戸1よりも奥側(収納側)に納まるようになる。従って、中央引戸3を手で開閉する必要がなくなり、開閉操作がきわめて容易となると共に、連動機構15はフック部15b付き当たり部15aとこれを受ける受け部材15cを備えた簡単な構造であるため、連動機構15のコスト低減、組み立て性の向上を図ることができる。
なお本実施形態では、図5、図6に示すように、中央引戸3の両端側にそれぞれ受け部材15cを取り付け、一方引戸2の右端(把手側)、及び、他方引戸1の左端(把手側)に、それぞれ、フック部15b付き当たり部15aを取り付けた構成となっているため、左開きと左開きのいずれの場合も、連動機構15が働く構造となる。
次に、引戸1〜3の開閉操作を一層容易に行なうための分岐部材18について説明する。図13(a)に示すように、外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点には、それぞれ、補助ローラー25a(図7、図9、図14参照)と補助ローラー25b(図7、図9、図14参照)の高低及び突出位置の違いに応じて分岐点における引戸1〜3の進行方向を直進又は曲進のいずれかに決めるための分岐部材18が配設されている。なお、前記図1(a)は上レール5の下面図、つまり上レール5を図11の室内側Xから見た図であるのに対し、図13は上レール5の平面図、つまり上レール5及び分岐部材18を図11の天井側Yから見た図である。また図9(a)は図14のP―P線から見た低い補助ローラー25aを備えたローラーブロック24を取り付けた状態の説明図であり、図9(b)は図14のQ―Q線から見た高い補助ローラー25bを備えたローラーブロック24を取り付けた状態の説明図である。
ここで、各分岐部材18は、共用レール部7又は中央引戸用レール部8の上方位置から異なる長さで垂下(つまり、共用レール部7又は中央引戸用レール部8の上方に対向するレール本体50の上面から下方に向けて異なる長さで突出)した第1乃至第6の補助レール18a〜18f(図1(a)、図9(a))で構成されている。各分岐部材18には、図14(図14(a)は図13(a)の左側の拡大図、図14(b)は図13(a)の右側の拡大図)に示すネジ止め用のボス65が突設され、分岐部材18を直進部レールカバー51Aの上方に配置してボス65の下端部を直進部レールカバー51Aのネジ孔(図示せず)に当て、直進部レールカバー51Aの下方からネジ具(図示せず)を通してボス65に螺合させることによって、各分岐部材18を直進部レールカバー51Aの各レール部11〜13(図13(a))から浮かせた状態でネジ固定できるようになっている。なお、図13(a)、図14では補助レール18a〜18fを別体で構成した場合を説明しているが、これに限らず、補助レール18b,18eを一体化し、補助レール18d,18fを一体化して構成することも可能である。
一方、各引戸1〜3の上ランナー21〜23は、図7、図9に示すように、ローラーブロック24と、ローラーブロック24の上面から上方に突出する補助ローラー25aと、別のローラーブロック24の上面から上方に突出する補助ローラー25bとで構成されている。なお、補助ローラー25a,25bに代えて、高さの異なる凸部材をローラーブロック24の上面から上方に突出させ、これを分岐部材18にてガイドするようにしてもよい。
上記ローラーブロック24は、図7に示すように、樹脂製のローラー支持台30の横方向に貫通する孔33にローラー横軸31を貫通させ、ローラー横軸31の両端に一対の上ローラー34が回転自在に取り付けられ、この一対の上ローラー34が共用レール部7又は中央引戸用レール部8に沿って回転自在に走行される。本実施形態では、ローラー横軸31の先端31aをカシメることで、上ローラー34はローラー横軸31に取り付けられている。またこのとき、上ローラー34の外側面34bには凹段部34aが形成され、ローラー横軸31の先端31aのカシメ部分が上ローラー34の外側面34bよりも外方に突出しないようにしてある。さらにローラー支持台30のセンター位置には縦方向に座ぐり孔35が形成され、ローラー縦軸32を座ぐり孔35からローラー横軸31の中心に設けた貫通孔36を通して、引戸1〜3側に取り付けたL形金具からなるランナー連結部材40に対してカシメることで、ローラー支持台30をローラー縦軸32回りに回転自在としている。さらに、ローラー支持台30のローラー縦軸32よりも前方A又は後方Bのいずれかに寄せて補助ローラー25a又は25bが取付軸37にて各々取り付けられており、この補助ローラー25a又は25bが分岐部材18の補助レール18a〜18f(図13、図14参照)によって曲進又は直進のいずれかに案内されるようになっている。なお本例ではローラー支持台30とローラー縦軸32とローラー横軸31を別構成としているが、ローラー支持台30の成形時にローラー縦軸32とローラー横軸31を一体に作り込むことも可能である。
ここで、上記上ローラー34は、互いに直交するローラー横軸31とローラー縦軸32とによって複数方向に回転自由度を持っているため、直進だけでなく、曲進の場合の走行の安定感も同時に得られるようになる。従って、補助ローラー25a又は25bが補助レール18a〜18fのいずれかに沿って曲進する際に、擦れ等による金属音の発生や摩擦の発生を防止できると共に、仮りに補助レール18a〜18f(図13、図14参照)の曲率半径を小さくした場合でも、スムーズな曲進走行を実現できるようになる。さらに補助レール18a〜18fの曲率半径を小さくすることで、ローラーブロック24の小型化が容易となり、結果、上レール5の小型化を図ることが容易となる。また、ローラーブロック24を樹脂製とすることで、引戸1〜3が開位置又は閉位置まで移動したときの衝撃の発生を緩和でき、使い勝手も良くなる。ちなみに、補助レール18a〜18fの曲率半径を大きくすると、上レール5が大きくなり、開状態において引戸1〜3間の隙間も大きくなる弊害があるが、本発明ではかかる弊害はない。
また本実施形態では、図8に示すように、上ランナー21〜23を引戸1〜3の上端部に連結するためのランナー連結部材40を、上ランナー21〜23が引戸1〜3の後面よりも後方Bはみ出して位置するように略L字形に屈曲形成している。本実施形態では、ランナー連結部材40の垂直部分を引戸1〜3側に固定し、水平部分に上ランナー22(又は21、23)を枢着している。このように、ランナー連結部材40を略L字形に屈曲させることで、扉枠の見込み寸法(奥行き)を従来よりも小さくした場合でも、図8に示すように、引戸1〜3の開動作時に一方引戸2(操作側引戸)を室内側に突出させて配置できる。従って、クローゼットの場合、従来品よりも収納容量がアップすると共に、収納庫内に荷崩れが発生した場合でも、少なくとも1枚の引戸を開けることができる。また、室内から下レール6が見えにくくなり、見栄えが一層向上する。
ところで、引戸2,3の上端部に連動機構15(図5、図6)を設けている場合、引戸2,3の連動開始時や引戸の全閉時に、フック部15bを回転中心、把手部を力点として、把手が取り付けられていない側の引戸の端部側に浮き上がりが発生しやすい。この浮き上がりが発生すると、商品としての品位を損なうだけでなく、フック部15bが上レール5と接触して傷がついたり、或いは引戸の浮き上がりと同時にローラーブロック24が浮き上がり、上レール5内部の分岐部材18を破損させるという問題がある。そこで、本発明では、図9に示すように、ランナー連結部材40と上レール5との間に、樹脂製スペーサからなる干渉部材120を配置している。これにより、引戸の浮き上がりを最小限に押えるだけでなく、浮き上がりによる上レール5の傷付きを防止でき、さらに分岐部材18の破損を防止できるようになる。
さらに本実施形態では、各引戸1〜3において、上記補助ローラー25aと補助ローラー25bの突出高さ及びその突出位置を異ならせている。ここでは図1(b)、図9に示すように、一方引戸2及び他方引戸1の左側の補助ローラー25bを手前側の位置から高く低く突出させ、右側の補助ローラー25aを後前側の位置から低く突出させている。また、中央引戸3の左側の補助ローラー25aを手前側の位置から低く突出させ、右側の補助ローラー25bを後側の位置から高く突出させている。
一方、第1の補助レール18aは、図1(a)、図2に示すように、前側直進レール部9よりも手前側の位置から左側の外側曲進レール部11に沿って短く垂下(つまり、図9(a)(b)に示すように下方に向けて短く突出)しており、第2の補助レール18bは、前側直進レール部9よりも後側の位置から左側の内側曲進レール部12に沿って長く垂下(つまり、図9(a)(b)に示すように、下方に向けて長く突出)している。第3の補助レール18cは、前側直進レール部9よりも後側の位置から右側の外側曲進レール部11に沿って長く垂下(下方に向けて長く突出)しており、第4の補助レール18dは、前側直進レール部9よりも手前側の位置から右側の内側曲進レール部12に沿って短く垂下(下方に向けて短く突出)している。また、第5の補助レール18eは、後側直進レール部10よりも手前側の位置から左側の湾曲レール部13に沿って長く垂下(下方に向けて長く突出)しており、第6の補助レール18fは、後側直進レール部10よりも後側の位置から右側の湾曲レール部13に沿って短く垂下(下方に向けて短く突出)している。
さらに本実施形態では、前側直進レール部9及び後側直進レール部10に沿って、それぞれ、ローラーブロック24の両側面をガイドする前後一対のガイドリブ38(図8参照)を設け、上記外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点とそれぞれ対向するガイドリブ38の一部に、分岐部材18によって曲進するローラーブロック24を外側曲進レール部11又は内側曲進レール部12又は湾曲レール部13のいずれかに進行させるための切欠穴39(図11)を形成している。さらに切欠穴39と対向するレール部の内側に、分岐部材18によって直進するローラーブロック24を直進方向にガイドするための直進用ガイド部材26を配設している。本実施形態の直進用ガイド部材26は、図14に示すように、補助レール18dを横切る直進用ガイド部材26aと、補助レール18bと並設される直進用ガイド部材26bと、右側の長い湾曲レール部13と並設される直進用ガイド部材26dと、左側の短い湾曲レール部13を横切る直進用ガイド部材26cとからなる。
ここにおいて、図1に示す各引戸1〜3を閉じた状態では、他方引戸1の左側の高い補助ローラー25bは短い補助レール18aに入り込み(図9(b)の状態)且つ右側の低い補助ローラー25aは長い補助レール18bに入り込んでいる(図9(a)の状態)。また中央引戸3の左側の低い補助ローラー25aは長い補助レール18eに入り込み且つ右側の高い補助ローラー25bは短い補助レール18fに入り込んでいる。また、一方引戸2の左側の高い補助ローラー25bは短い補助レール18dに入り込み且つ右側の低い補助ローラー25aは長い補助レール18cに入り込んでいる。
この閉じた状態から例えば一方引戸2を左側に開くと、図1(b)の左側に示す一方引戸2の高い補助ローラー25bは補助レール18bの前側(図1(a)の前側直進レール部9)を通過して補助レール18aの手前まで直進し、低い補助ローラー25aは短い補助レール18dの下をくぐって(つまり低い補助ローラー25aが下方への突出長さの短い補助レール18dの下を通り抜けて)前側直進レール部9の補助レール18bの手前位置まで直進する。これにより一方引戸2の各上ランナー22を左側の外側曲進レール部11の手前と内側曲進レール部12の手前までそれぞれスムーズに移動させることができる。つまり、左側の外側曲進レール部11内部と内側曲進レール部12内部には既に他方引戸1の上ランナー21がそれぞれ入り込んだ状態(図14)にあり、一方引戸2の上ランナ−22を左側の外側曲進レール部11の手前と内側曲進レール部12の手前にそれぞれ移動させることで図5(c)の状態となる。また一方引戸2と連動して開く図1(b)の中央側に示す中央引戸3は、左側の低い補助ローラー25aが後側直進レール部10の左側に移動し、右側の高い補助ローラー25bが直進用ガイド部材26c(図14(a))にガイドされることにより、中央引戸3の各上ランナー23を後側直進レール部10の左側と直進部10a(図1(a))とにそれぞれスムーズに移動させることができる(図5(c)の状態)。なお他方引戸1を右側に開く場合も同様である。
このように、図114のP―P線から見た図9(a)、図14のQ―Q線から見た図9(b)、図14等で示したように、補助レール18a〜18fの高さ及び位置を異ならせ、一方、引戸1〜3の各補助ローラー25aと補助ローラー25bの高さ及び位置を異ならせるだけで、外側曲進レール部11、内側曲進レール部12、湾曲レール部13の各分岐点において引戸1〜3の進行方向を直進か曲進かを決めることが可能となり、従って、引戸1〜3の開閉操作をより一層、迅速、且つ、スムーズに行なうことができ、操作性が大幅に向上するものである。
ちなみに、直進用ガイド部材26がない場合は、切欠穴39(図11)の位置で直進するローラーブロック24(図1、図7参照)が回転したり、引っ掛って動かなくなったりして、開閉動作に支障をきたすことになる。また図14において、補助レール18b、18eによって直進用ガイド部材26が分断される場合でも、直進用ガイド部材26の分断部にテーパー100a等を設けることにより、ローラーブロック24が回転できない状態にしてスムーズに直進させることが可能となる。つまり、テーパー部100aは図14に示すように、直進用ガイド部材26の分断部の両側にそれぞれ設けられており、補助レール18bの下側を図14の右側から左側、或いは左側から右側にローラーブロック24が横切る際に、テーパー100aによってローラーブロック24が直進用ガイド部材26の分断部に引っ掛かって動かなくなるのを防ぐようにする。
次に、下レール6を説明する。図21に示すように、各引戸1(2,3)の下端部の中央の1箇所には下ローラー41が突設されている。本実施形態では、引戸1の下端部に設けた下方に開口する左右2個の凹所500に、下方に開口するケーシング501をそれぞれ嵌め込み、各ケーシング501内部にロッド502をそれぞれ収納すると共に、ケーシング501天面とロッド502との間に押下げバネ110を介在させてある。ロッド502はケーシング501下面にて抜け止めされている。これにより、2個のロッド502は押下げバネ110によってそれぞれ下方にバネ付勢された状態で引戸1の下方に突出しており、各ロッド502の下端部を平板状のローラー支持金具80の後端部の上面の2箇所に取り付けてある。ローラー支持金具80の前端部の中央下面側には1個の下ローラー41が回転自在に支持されている。この下ローラー41をガイドする下レール6には、図22に示すように、共用レール部101の長手方向Mの両端側から後方Bに向って傾斜した左右の曲進レール部42,43がそれぞれ設けられ、中央引戸用レール部102の中央部から前方Aに向って半円形状に湾曲した1つの湾曲レール部44が設けられている。なお図22中の45は分岐用補助レールである。
ここで、下レール6の左側の曲進レール部42の位置は、上レール5の左側の外側曲進レール部11と内側曲進レール部12との中間位置に対向しており、下レール6の右側の曲進レール部43の位置は、上レール5の右側の外側曲進レール部11と内側曲進レール部12との中間位置に対向しており、下レール6の湾曲レール部44の位置は、上レール5の左右の湾曲レール部13,13の中間位置に対向している。
そして、各引戸1(2,3)の上端部は左右2個の上ランナー21(22,23)で吊り下げ支持され、下端部は1個の下ローラー41で下レール6にガイドされる結果、各引戸1〜3の走行の安定化を十分に図ることができると共に、1個の下ローラー41を用いることで、下レール6の溝形状を上レール5の溝形状よりも簡易にでき、下レール6のコスト低減を図ることができる利点もある。
なお前記実施形態では、連動機構15付き引戸装置を説明したが、連動機構15を省略して、各引戸を単独で手動開閉させることも可能である。
本発明に係る引戸装置は、クローゼットの扉以外に各種の開閉扉の分野に広く適用可能である。