JP4479281B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
前記の指標の中には、例えば、クランク角度に対する燃焼圧力P、あるいは、さらに、クランク角度に対する燃焼室容積Vを使用しているのがある。したがって、クランク角度にズレがあると指標がズレてしまい、正しい制御を実行することができない。
また、この様な、燃焼制御以外の制御、例えば、可変バルブタイミングを備えるようなものにおいてもクランク角度がずれていると正しい制御を実行できない。
予め設定した複数のクランク角度位置において筒内圧力センサで検出したPの値とクランク角度に基づいて算出したVの値と予め定めたκの値とに基づいてPVκを算出し、算出された複数のPVκの値に基づいて、クランク角センサで検出した検出クランク角と実際のクランク角との間の誤差であるクランク角度のズレを検出するクランク角度ズレ検出手段を有する、制御装置が提供される。
このように構成される制御装置では、複数のクランク角度位置において算出された複数のPVκの値に基づいて、クランク角度のズレが検出される。
このように構成される制御装置では、互いに異なる2つのクランク角度位置において算出したPVκの値の差に基づいて、クランク角度のズレが検出される。
このように構成される制御装置では、互いに異なる2つのクランク角度位置の間においてPVκの値が最小値となる時期に基づいてクランク角度のズレが検出される。
前記関係を前記内燃機関の制御装置が記憶しており、
前記クランク角度ズレ検出手段は、前記関係と前記非着火運転中に算出された2つのPVκの値の差とからクランク角のズレを検出する、ようにした内燃機関の制御装置が提供される。
このように構成される内燃機関の制御装置では、予め標準機関において、互いに異なる2つのクランク角度位置においてPVκを算出し、算出されたPVκの差と、クランク角度のズレの関係をもとめ、この関係を内燃機関の制御装置が記憶していて、この関係と非着火運転中に算出された2つのPVκの値の差とからクランク角のズレが検出される。
このように構成される内燃機関の制御装置では、異なる吸気質量に対してもとめたPVκの差とクランク角度のズレの関係を使用することができるので吸気質量の差による影響が除去され精度がよい。
このように構成された内燃機関の制御装置では、前記関係の吸気質量の変化による差が微小となり、記憶しておく前記関係を少なくすることもできる。
このように構成される内燃機関の制御装置では、直線性判定手段によって、上死点付近でPVκの値がクランク角に対して直線的に変化するか否か、すなわち、PVκの変化が直線性を有するか否か、が判定され、直線性を有している場合にはクランク角のズレがないと判断される。
このように構成される内燃機関の制御装置では、熱損失分が熱損失補正係数で補正されるので、精度が向上する。
請求項11の発明によれば、前記熱損失補正係数が、冷却水温に対する補正をおこなう水温補正係数と、機関回転数に対する補正をおこなう回転数補正係数の、少なくとも一方を含む、ようにされる。
このように構成される制御装置では、ズレに起因する制御の誤差をなくすように検出されたズレに基づいて補正がおこなわれる。
請求項14の発明では、請求項12の発明において、補正手段は上死点を修正する制御装置が提供される。
請求項15の発明では、請求項12の発明において、補正手段はクランク角度に対して算出するパラメータを補正する、制御装置が提供される。
このように構成される制御装置では、燃焼室内圧力P、あるいは、さらに燃焼室容積Vを含むパラメータにもとづき燃焼制御がおこなわれるがクランク角に依存する燃焼室内圧力P、燃焼室容積Vの算出に際して、クランク角度ズレ検出手段で検出したクランク角度のズレにもとづいて補正がおこなわれるので正確な制御をおこなうことができる。
特に、請求項7の発明のようにすれば、異なる吸気質量に対してもとめたPVκの差とクランク角度のズレの関係を使用することができるので吸気質量の差による影響が除去され精度がよい。
特に、請求項10、11のようにすれば、熱損失分が熱損失補正係数で補正されるので、精度が向上する。
特に、請求項12〜15のようにすれば、ズレの影響がなくなるように補正がされる。
特に、請求項16の発明では精度のよい燃焼制御をおこなうことができる。
図1は、本発明の燃料噴射装置を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は内燃機関(本実施形態では#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒4サイクルディーゼル機関が使用される)、10a〜10d は機関1の#1から#4の各気筒燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を示している。燃料噴射弁10a〜10dは、それぞれ燃料通路(高圧燃料配管)を介して共通の蓄圧室(コモンレール)3に接続されている。コモンレール3は、高圧燃料噴射ポンプ5から供給される加圧燃料を貯留し、貯留した高圧燃料を高圧燃料配管を介して各燃料噴射弁10a〜10d に分配する機能を有する。
そして、この機関では燃料噴射弁10a〜10dは惰行走行時には燃料を供給しない。
ECU20は、本実施形態では、燃料ポンプ5の吐出量を制御してコモンレール3の圧力を機関運転条件に応じて定まる目標値に制御する燃料圧制御を行っている他、機関運転状態に応じて燃料噴射の噴射時期及び噴射量を設定するとともに、本発明に関して、後述するクランク角度のズレを補正する。
そして、筒内圧センサ出力に基づいて算出した燃焼パラメータの値が、機関運転状態に応じて定められる目標値に一致するように燃料噴射量、噴射時期等をフィードバック制御する。
カム角センサ23は、機関1のカム軸近傍に配置され、クランク回転角度に換算して720度毎に基準パルスを出力する。また、クランク角度センサ25は、機関1 のクランク軸近傍に配置され所定クランク回転角毎(例えば15度毎)にクランク角度パルスを発生し、クランク軸の回転位相を検出する。また、車速センサ26は車両の走行速度を検出する。
初めに、第1の実施の形態の制御の考え方を説明する。
前述したように惰行走行中は燃料噴射がおこなわれず機関1はモータリング運転(非発火運転)状態となる。そして、このモータリング運転時には略断熱サイクルと見なすことができ、Pを筒内圧力、Vをシリンダ容積、κを比熱比=Cp/Cvとして、PVκは一定と考えることができる。
ただし、κは温度、気体の組成の関数であって、クランク角度に応じてもとめたものである。気体の組成は大気組成と考えられ、また、モータリング時の温度は計算でも推定できるのでクランク角度に応じて予め、例えば、図4に示すようなマップに記憶しておき、これを読み込んで使用する。
Aはクランク角度のズレが+0.4°の場合を、
Bはクランク角度のズレが+0.2°の場合を、
Cはクランク角度のズレが 0° の場合を、
Dはクランク角度のズレが−0.2°の場合を、
Eはクランク角度のズレが−0.4°の場合を、示している。
図6に示すのは、A,B,C,D,Eの各場合について、上死点前20°のPVκの値から上死点後20°のPVκの値を減算した値ΔSをクランク角度のズレ角Δθに対してプロットしたものである。
そこで、第1の実施の形態では、上記にしたがって図2に示すフローチャートによりクランク角度のズレ角Δθをもとめ、それによって上死点(TDC)を補正する。以下、図2のフローチャートの各ステップの作用を説明する。
第1の実施の形態は上記のように実行され、クランク角度のズレを検出し、このズレがなくなるように、上死点が移動される。
図7に示すのが、κを一定の値にした際の、クランク角度θがズレた場合の上死点前20°〜上死点後20°のPVκの変化を示す図である。この場合は、ずれ角Δθが0の場合が上死点で最小値を有し、ズレ角が+(プラス)になると、すなわち先読みすると、最小値が上死点後にズレ、逆にズレ角が−(マイナス)になると、すなわち後読みすると、最小値が上死点前にズレる。
なお、第1の実施の形態でも、この第2の実施の形態のステップ308、ステップ309のように、上死点を予め定めた角度だけ移動してクランク角度θのズレを補正することもできる。
(A)クランク角度そのものを補正する方法
(B)クランク角度のズレはそのままで、クランク角度に対して求める別の検出値を補正する方法と、がある。
このようにして、燃焼制御の精度を容易に向上することができる。
まず、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態では、実験的に各空気質量毎に、Δθについても、色々と変化させた場合の変化を計測し、それにもとづいて、図6と同様に、上死点前20°の値と上死点後20°の値の差であるΔSとΔθの関係をもとめこれを記憶しておく。図9に示すのが複数のマップである。
この第3の実施の形態の第1変形例では、ΔSの代わりに以下のように、上死点前20°のPVκの値から上死点後20°のPVκの値を減算したものを、上死点後20°のPVκの値で除算して無次元化したΔS’をもとめる。
ΔS’=(PVκ (BTDC20°)−PVκ (ATDC20°))/PVκ (ATDC20°)
この関係は無次元化したことによって各吸気質量に対して大きくばらつかない。そこで、上記の関係の平均をもとめる。図11に示すのがこの平均的な関係を示すグラフである。そして、このグラフを用いてクランク角のずれを算出し、上死点のずれを第1の実施の形態と同様に補正する。
上述したように、熱損失がある場合にはPVκは上死点付近で図8に示したように、右下がりとなるが、クランク角のズレがない場合には、同図に示されているように、上死点近辺では直線になる。
ステップS1301〜ステップS1304は図2の第1の実施の形態のステップS201〜ステップS204と同じである。ステップS1305では、上死点前40°のPVκの値PVκ (BTDC40°)、上死点前20°のPVκの値PVκ (BTDC20°)、上死点のPVκの値PVκ (TDC)、上死点後20°のPVκの値PVκ (ATDC20°)、上死点後40°のPVκの値PVκ (ATDC40°)、を算出する。
ステップS1307では、LINの値が0(ゼロ)に近い予め定めた値LINAよりも小さいか、否か、からPVκが上死点付近で直線性を有しているか、否か、を判定する。ステップS1307で肯定判定された場合はそのままステップS1313に飛んで終了する。
LINは、
A=PVκ (BTDC40°)− PVκ (BTDC20°)
B=PVκ (BTDC20°)− PVκ (TDC)
C=PVκ (TDC)− PVκ (ATDC20°)
D=PVκ (ATDC20°)− PVκ (ATDC40°)とした時に、
LIN=[{(A−B)−(B−C)}2 +{(C−D)−(D−E)}2]1/2である。
図15はエンジン回転数に対する補正係数KRを説明する図であり、標準回転数を2000rpmとし、エンジン回転数が2000rpmの時に1、2000rpmよりも大きい時には1より小さく、2000rpmより小さい時には1より大きくなるように補正係数KRが設定されている。
図16は冷却水温に対する補正係数KWを説明する図であり、標準の冷却水温を80℃とし、冷却水温が80℃の時に1、冷却水温が80℃よりも低い時には大きく、冷却水温が80℃よりも高い時には大きくなるように補正係数KWが設定されている。
第5の実施の形態の補正は第3の実施の形態に対しておこなったものであるが、このような補正は、その他の実施の形態に対しても適用できる。
3…コモンレール
10a〜10d…筒内燃料噴射弁
20…電子制御ユニット
25…クランク角度センサ
29a〜29d…筒内圧センサ
Claims (16)
- 内燃機関の制御装置であって、
非着火運転中に、燃焼室内圧力をP、燃焼室容積をV、比熱比をκとして、
予め設定した複数のクランク角度位置において、筒内圧力センサで検出したPの値とクランク角度に基づいて算出したVの値と予め定めたκの値とに基づいてPVκを算出し、算出された複数のPVκの値に基づいて、クランク角センサで検出した検出クランク角と実際のクランク角との間の誤差であるクランク角度のズレを検出するクランク角度ズレ検出手段を有する、ことを特徴とする制御装置。 - 互いに異なる2つのクランク角度位置においてPVκを算出し、算出された2つのクランク角度位置におけるPVκの値の差に基づいて、クランク角度のズレを検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
- 前記κの値としてクランク角度位置にかかわらず一定の値を用いて前記PV κ の値を算出し、互いに異なる2つのクランク角度位置の間において前記算出されたPVκの値が最小値となる時期に基づいてクランク角度のズレを検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
- 2つのクランク角度位置を、互いに上死点との差が等しい、上死点前のクランク角度位置と上死点後のクランク角度位置に設定した、ことを特徴とする請求項2または3に記載の制御装置。
- 2つのクランク角度位置を、上死点前20°と上死点後20°に設定した、ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
- 予め標準機関において、前記互いに異なる2つのクランク角度位置においてPVκを算出し、算出されたPVκの差と、クランク角度のズレの関係を、もとめ、
前記関係を前記内燃機関の制御装置が記憶しており、
前記クランク角度ズレ検出手段は、前記関係と前記非着火運転中に算出された2つのPVκの値の差とからクランク角のズレを検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記関係を異なる吸気質量に対してもとめて記憶している、ことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記関係を2つのPVκの差を無次元化した値に対してもとめて記憶している、ことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記κの値として、クランク角度位置に応じて定まる値を用いて前記PV κ の値を算出し、上死点付近でPVκの値がクランク角に対して直線的に変化するか否か、を判定する直線性判定手段を有し、直線的に変化している場合にはクランク角のズレがないと判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記非着火運転中に算出された複数のPVκの値を、熱損失分を補う補正をする熱損失補正係数で補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記熱損失補正係数が、冷却水温に対する補正をおこなう水温補正係数と、機関回転数に対する補正をおこなう回転数補正係数の、少なくとも一方を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の制御装置。
- クランク角度のズレに起因する制御の誤差をなくすように検出されたズレに基づいて補正をおこなう補正手段を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
- 補正手段はクランク角度そのものを補正する、ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
- 補正手段は上死点を修正する、ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
- 補正手段はクランク角度に対して算出するパラメータを補正する、ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
- 燃焼室内圧力P、あるいは、さらに燃焼室容積Vを含むパラメータにもとづき燃焼制御をおこない、前記燃焼室内圧力P、燃焼室容積Vの算出に際して、クランク角度ズレ検出手段で検出したクランク角度のズレの補正をおこなう、ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
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