JP4479155B2 - クロム系ステンレス鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、強度、加工性およびばね性を要求される、クロム系ステンレス鋼材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼には、ばね用材として設定された規格があるが、これらの鋼は、軽度の加工を加えて変態強化させるものや、はじめから強度が高いもので、加工性はいずれもよくない。これらに対し、加工が容易でしかも十分にばね性が必要な用途のものがある。カラーブラウン管の内部に用いられるフレーム材もその一つである。
【0003】
カラーブラウン管には発光面と電子銃との間の、発光面の直ぐ近くにシャドウマスクといわれる多数の細孔を有し電子ビームを分離するための金属膜が配置されている。このマスクに細線を配列して形成された多数のスリットからなる方式のものがある。この方式の場合、フレームといわれる鋼を成形加工し溶接した4辺形の枠の上枠と下枠とを内側に加圧し、その枠に上下方向に伸びたスリットを持つマスクの上下部をシーム溶接する。その後加圧力を取り去ると、フレームの復元力によりマスクに張力が付加される。
【0004】
張力が不十分であれば外部からの振動に対しマスクが振動して、画面の揺れや色ずれを生じやすくなるので、画面が大型化すると、より大きな張力を導入する必要が生じ、それに対応してフレームの強度を増加しなければならない。フレームの強度を増すのに、同じ強度の鋼材を用いるとすれば、より肉厚の大きい鋼材を使用せざるを得ない。しかし、フレ−ムの質量増加は、同時にそれを保持する内部構造も強度を増さなければならなくなり、ブラウン管全体としては大幅な質量増加となってしまう。したがって、より強度を高くした材料を用いるなどして肉厚の増加を抑止する必要がある。
【0005】
しかしながら、鋼材は強度を高くすると加工性が低下し、薄い肉厚にて強度を維持させるリブ加工などが困難になり、その上、プレスなどの加工においてはスプリングバックも大きくなって寸法精度の低下を来す。このように、加工性低下の点から強度上昇には限度があるが、フレーム用鋼材としては、できるだけ強度が高く、その上で加工性のすぐれたものが望ましい。
【0006】
通常、このようなフレームは加工して溶接組み立て後、局所的な磁気の残留を防止するため、歪み取り焼鈍をおこなって成形加工における歪みや残留応力を除去する。それからマスクが溶接して取り付けられ、マスクに張力が付加される。この後、マスクが溶接された状態のフレームは、湿性雰囲気中にて500℃までの温度に加熱され、その表面に、ブラウン管内で使用中の放熱および電子線の乱反射防止のための、黒色の緻密な酸化皮膜が形成される。
【0007】
このように、マスクに張力を付加した、フレームとしては応力が加わったままの状態で高温に加熱されるので、この温度での耐クリープ性が重要となる。この黒化熱処理にて過剰なクリープが生じると、応力が緩和されマスクに対する張力が低下してしまう。そればかりでなく、この熱処理条件にてにてクリープ歪みの大きい材料は、ブラウン管の長期使用時のマスク張力低下、すなわちばね性のへたりのおそれも大きいとされている。
【0008】
フレーム用鋼材には、従来、マルテンサイト系ステンレス鋼のSUS403、あるいはSUS410Sが多く用いられてきた。これらの鋼はCrを12%前後含有しており、熱膨張係数が軟鋼などより低く、ブラウン管前面に使用される鉛ガラスの値に近い。ブラウン管内部は受像中に100℃近くまで温度が上昇するが、使用中の色ずれなどがなく、高精細度を維持するためには、フレームにこのような高Cr材を用いる必要があり、マルテンサイト系ステンレス鋼を用いるのは、より強度を大きくするためである。
【0009】
以上のような、Crを多く含むマルテンサイト系あるいはフェライト系ステンレス鋼によるフレーム材に関し、この鋼材の持つ種々の問題への対処として、いくつかの発明が提案されている。たとえば、特許文献1には、C:0.08質量%以下、Cr:10.0〜18.0質量%のステンレス鋼を用い、フェライト+オーステナイトの2相域に加熱・保持後冷却し、フェライト相とマルテンサイト相の複相組織にした鋼材によるフレームの発明が開示されている。
【0010】
この複相組織を有する鋼は、引張強さに対比して降伏点が低く、伸びが大きい特徴があり、強度が高くても加工性がすぐれているが、金属組織中に軟質なフェライト相を多く含むので、高温での微少変形を対象とするクリープ歪みが大きいおそれがある。
【0011】
また、特許文献2には、C:0.02〜0.08質量%、Cr:10.5〜16.0質量%に、Ti、Nb、Mo、V、Wなどの炭化物形成元素を添加し、オーステナイト相が現れない範囲の加熱温度で連続焼鈍するフレーム用鋼材と、その製造方法の発明が示されている。この場合、炭化物の微細析出によりフェライト相の耐クリープ性を向上させているものと思われる。しかし、フェライト相は加工性にすぐれているが、やはり強度としては十分ではない。
【0012】
このように現状では、熱膨張係数が低くなる範囲のCrを含有するステンレス鋼において、良好な加工性を有し、強度が高く、そして適用される熱処理温度にて十分な耐クリープ性を有する、すぐれたマスクフレーム用鋼材が得られているとは言い難い。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−249942号公報
【特許文献2】
特開2001−181801号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、強度が高く良好な加工性を有し、かつ高温での耐クリープ性がすぐれた、ばね用のクロム系ステンレス鋼材とその製造方法の提供にある。この鋼材は、とくにカラー映像用のブラウン管のインナーフレーム材として好適に用いることができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カラーブラウン管のフレーム材などに用いられるばね性を有するクロム系ステンレス鋼材に関し、必要な特性を向上させるため種々検討をおこなった。要求される特性値、または目標としては、強度、とくにばね性が必要なので0.2%耐力が大きいこと、フレームに成形するための十分な加工性を有していること、そして黒化処理のための加熱温度にて耐クリープ性がすぐれていること等である。
【0016】
ばね性を追求するのであれば、JIS規格としてばね用ステンレス鋼があるが、これらの鋼は加工性がよくなく、フレームへの加工は困難である。このフレーム材は、ブラウン管内の真空中で使用されるので耐食性は不必要であるが、熱膨張係数を低くするためにステンレス鋼と同等のCr量含有を必要とする。このような高クロム含有は、ブラウン管のフレーム材以外の用途では、当然のことながら極めてすぐれた耐食性を発揮する。
【0017】
そこで、表1に示す化学組成の、Cが0.12%、Crは12.45%のマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、冷間圧延後、焼鈍または焼入れなど熱処理条件を変え、フェライト相+炭化物相、マルテンサイト単相、フェライト相+マルテンサイト相+炭化物相等の金属組織の異なる試料を作製し、その特性を調査した。なお、表1のマルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成における残部はFeおよび不純物である。
【0018】
0.2%耐力、引張強さ、伸びなどの引張特性試験は、幅6mm、平行部長さ50mmの試験片を用いておこない、加工性は、JIS−Z−2248に規定されるVブロック法に準じて曲げ角度を135°とし、押し金具の先端のrを変えて試験して、曲げ部分に割れが発生しない限界のrで評価した。耐クリープ性は、上記の引張試験片と同じ形状の試験片を用い、500℃に加熱後294MPaの応力を付加して1時間保持し、その間に生じた伸び変形を測定した。また、歪み取り焼鈍や黒化処理などカスタマー側でおこなわれる加熱処理後の鋼材強度を推測するため、歪み取り焼鈍相当の450℃、30分間の加熱処理後の、0.2%耐力の測定もおこなった。
【0019】
これらの調査の結果の例を表2に示す。通常の焼鈍によるフェライト相+炭化物相となった組織の鋼では、加工性はすぐれているが強度は不十分であり、完全な焼入れをおこなったマルテンサイト単相の鋼では、強度は十分高いが加工性がよくない。焼鈍した状態で成形加工し、マスクを取り付けた後に焼入れができれば、強度面では理想的であるが、カスタマー側では実施できない。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
ところがこれらに対し、オーステナイト相とフェライト相の二相混合域に短時間加熱し急冷すると、強度が高く、加工性もよいものが得られることがわかった。その場合の鋼の金属組織は、フェライト相とマルテンサイト相の二相複合組織が主体であり、これに炭化物が分散したものであった。これは、強度についてはマルテンサイト相が寄与し、フェライト相が加工性を受け持っていると考えられるが、いわゆるデュアルフェイズ鋼のような機構で、強度と加工性のバランスが向上しているのかも知れない。しかし、とくに注目されたのは、この試料はクリープ歪みが小さいこと、そして歪み取り焼鈍による0.2%耐力が増加することである。
【0023】
強度として0.2%耐力にて800MPaを超え、その上で加工性が十分良好であることを目標に、この二相複合組織となる鋼について、その組成および熱処理方法を検討し、その上で、耐クリープ性を調べることにした。二相複合組織とするには、フェライト相とオーステナイト相の二相共存温度域に加熱した後、急冷すればよい。そうすれば、強度が高く加工性のよいものが得られる。しかし、耐クリ−プ性は必ずしもよくならない。Cr系の炭化物が小さく分散して存在している場合に、クリープ歪みが小さく、耐クリ−プ性がすぐれているのである。
【0024】
マルテンサイト鋼の耐クリープ性を向上させるものとして、従来より、固溶Cや固溶Nの歪み時効効果、すなわちこれらの元素による可動転位のピン留め効果があるとされている。この微細でかつ均一に分散したCr系炭化物も、同様なピン留め効果をもたらしていると推定される。
【0025】
そこで、Cr系炭化物を、マトリックス中に微細に分散させるために必要な熱処理条件について、さらに検討を進めた。その結果、フェライト相とマルテンサイト相との二相複合組織を得るための熱処理加熱の際に、加熱の昇温速度はできるだけ速くすること、そして均熱時間は短くするのがよく、所定温度に達しさえすればよいことがわかってきた。
【0026】
鋼材製品として出荷する前に、熱処理してこのような金属組織の鋼材とする必要があるが、その場合、フェライト相とオーステナイト相との二相域に加熱し、冷却してフェライト相+マルテンサイト相とする。その加熱の際に、Cr系炭化物が完全に固溶しない非平衡状態にある間に、ただちに冷却すれば、固溶してしまわずに残っている炭化物を核として、析出するCr系炭化物が微細に分散するのではないかと思われる。その上、二相が共存する温度域における滞在時間あるいは均熱時間が長くなると、フェライト相とオーステナイト相とのCの溶解度が大きく異なるため、オーステナイト相へのCの濃化が進行し、冷却後の炭化物の析出に偏在が生じて、上述のピン留め効果が不十分になるとも考えられる。
【0027】
さらに、Cr系炭化物を微細に分散させることは、0.2%耐力を向上させる効果があると推測され、強度向上効果のあるCばかりでなく、SiやMnなど固溶して強度を向上させる効果のある元素も低減できると考えられる。これらの元素の低減は、鋼材の加工性向上に有意である。
【0028】
上述のように、微細なCr系炭化物の分散が耐クリープ性を向上させ、加工性を劣化させることなく0.2%耐力を向上させるのに効果があると推測されたので、より一層マスクフレーム材としての性能を向上させるため、他の合金元素の添加効果についてさらに検討をおこなった。その結果あきらかになったのは、Ti、Nb、VまたはMoの炭化物形成元素の少量添加の効果である。これらの元素を添加すると、熱処理の昇温速度、加熱温度あるいは均熱時間の制限範囲が緩和され、より安定して耐クリープ性を向上させることができる。これは、二相温度域に加熱し、未固溶の炭化物を残して冷却してCr系炭化物の微細分散をはかるとき、これらの元素の炭化物の固溶温度はCr系炭化物より高温であるため、Cr系炭化物の析出核として残存しやすく、微細分散析出を容易にさせるためではないかと思われる。
【0029】
また、この熱処理の際、表面にオーステナイト相が残留することがある。これは、加熱雰囲気から窒素を吸収し、そのためにオーステナイト相が安定化して生じたものと推定された。この場合、曲げ加工の際の表面からの割れ発生を抑止する効果があり、強度が高くても加工性が良好なものが得られることがわかった。オーステナイト相は熱膨張係数が高く、成形品の使用中の変形が懸念されたが、調査の結果、その量が多くなければ、加工および歪み取り焼鈍の過程で消失し、全く影響を及ぼさないことが確認された。したがって、加工性向上の目的には積極的に活用できる。
【0030】
以上のような検討結果に基づき、さらにそれぞれの条件の限界範囲をあきらかにし、本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
【0031】
(1)質量%にて、C:0.05〜0.20%、Cr:10.5〜18%、Si:1.00%以下、Mn:1.5%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、N:0.10%以下を含有するとともに、Ti:0.003〜0.03%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.02〜0.5%およびMo:0.1〜1.0%のうちの1種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成で、フェライト相とマルテンサイト相とからなり、これらの中にBr−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察した、大きさが1μm未満のCr系炭化物が100μm2中に10個以上分散した金属組織であることを特徴とするクロム系ステンレス鋼材。
【0032】
(2)質量%にて、C:0.05〜0.20%、Cr:10.5〜18%、Si:1.00%以下、Mn:1.5%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、N:0.10%以下を含有するとともに、Ti:0.003〜0.03%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.02〜0.5%およびMo:0.1〜1.0%のうちの1種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成で、フェライト相とマルテンサイト相とに加え、表層に残留オーステナイト相が存在し、これらの中にBr−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察した、大きさが1μm未満のCr系炭化物が100μm2中に10個以上分散した金属組織であることを特徴とするクロム系ステンレス鋼材。
【0033】
(3)化学組成が、さらに、質量%にて、Ni:1.0%以下、Cu:2.5%以下および希土類元素:0.1%以下のうちの1種以上を含むことを特徴とする上記(1)または(2)のクロム系ステンレス鋼材。
【0034】
(4)上記(1)から(3)までのいずれかのクロム系ステンレス鋼材を素材に用いた、カラーブラウン管のマスクフレーム。
【0035】
(5)上記(1)から(3)までのいずれかの化学組成を有するクロム系ステンレス鋼にて、平均昇温速度を5℃/秒以上として、900〜1020℃の範囲内の温度に加熱し、その温度範囲内に保持される時間を15秒以下とし、次いで1℃/秒以上の速度で500℃未満の温度に冷却する熱処理を施すことを特徴とする、上記(1)から(3)までのいずれかのクロム系ステンレス鋼材の製造方法。
【0036】
(6)上記(1)から(3)までのいずれかの化学組成を有するクロム系ステンレス鋼にて、窒素ガスを10体積%以上と水素を含む雰囲気中にて、平均昇温速度を5℃/秒以上として、900〜1020℃の範囲内の温度に加熱し、その温度範囲内に保持される時間を15秒以下とし、次いで1℃/秒以上の速度で500℃未満の温度に冷却する熱処理を施すことを特徴とする、上記(1)から(3)までのいずれかのクロム系ステンレス鋼材の製造方法。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明において、鋼の化学組成、炭化物および製造する際の条件を以下のように限定する。なお、化学組成の含有比はいずれも質量%である。
【0039】
Cの含有範囲は0.05〜0.20%とする。Cはマルテンサイト相など目的とする金属組織を形成させ、鋼の強度を確保するために重要な元素であり、0.05%以上含有させる。しかし過剰に存在すると、加工性が悪くなり、溶接性を劣化させるので多くても0.20%までとする。好ましいのは0.15%以下である。
【0040】
Crの含有量は10.5〜18%とする。Crの多量の含有は、一般的には鋼の耐食性や耐熱性を向上を目的とするが、マスクフレーム材の場合、鋼の熱膨張係数低下のために含有させる。この効果を得るには、少なくとも10.5%以上必要とする。しかし、多く含有しすぎるとCr系炭化物が安定化し、高温に加熱したときに容易に溶解せず、冷却時マルテンサイト相が十分に形成されないとか、Cr系炭化物の微細化や均一分散が不十分となる結果を生じ、目的とする特性が得られなくなるので、18%以下とする。
【0041】
Pは鋼の不純物として混入してくる成分の一つであるが、含有させると耐クリープ性を改善する効果があり、とくにMoが存在する場合強度と耐クリープ性が向上する効果が大きい。したがって、その効果を得ようとする場合には、0.04%以上含有させるとよい。ただし多く含有しすぎると溶接性を悪くするので、多くても0.10%までとする。
【0042】
Nも鋼の不純物として混入してくる成分であるが、含有させると0.2%耐力や耐クリープ性を向上させることがある。したがって、その効果を得ようとする場合には、0.01%以上含有させるとよい。ただし多く含有しすぎると鋼の靱性や加工性を悪くするので、多くても0.10%までとする。
【0043】
Ti、Nb、VおよびMoについては、それぞれ含有範囲をTi:0.003〜0.03%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.02〜0.5%、Mo:0.1〜1.0%とし、これらのうちの1種または2種以上を含有させると、0.2%耐力および耐クリープ性を向上させる効果があるので、フレーム材の性能をより向上させるために上記の範囲で含有させる。
【0044】
これらの成分は、Cとの親和力が強くCr系炭化物より安定な炭化物を形成し、しかも微細かつ均一に析出するので、Cr系炭化物が析出する際の析出核となり、均一かつ微細分散を促進するためと考えられる。その含有量の範囲は、上記のように元素種により異なるが、いずれにおいても上記範囲を下回るときは、その添加効果が十分現れず、上記範囲を超えるときは、加工性の低下や靱性の低下、あるいは強度の低下など、フレーム用鋼材として好ましくない特性のものとなる。
【0045】
Mnは、不純物として混入してくるSによる熱間加工性劣化を抑止するため、0.3%以上含有させるのがよい。また、マルテンサイト相の量および硬さを調整するために効果のある元素でもある。ただし過剰に含有すると、耐食性を低下させるので、多くても1.5%までとする。
【0046】
Niは、含有させなくてもよいが、靱性や耐食性向上の効果があり、またオーステナイト形成元素であるので、マルテンサイト相の量と硬さを調整するために含有させてもよい。含有させる場合、その効果を得るためには少なくとも0.3%以上の含有が望ましいが、多く含有させすぎると残留オーステナイトを形成させやすくするので、多くても1.0%までとするのが好ましい。
【0047】
Cuは、含有させなくてもよいが、ブラウン管のフレーム材以外の用途では耐食性を向上させる効果がある。また、オーステナイトを形成させやすくしてマルテンサイト相の量および硬さを調整する作用があるので、要すれば0.3%以上含有させるのが好ましい。ただし多く含有すると熱間加工性が劣化するので、2.5%までとするのが望ましい。
【0048】
希土類元素(REM)は、ブラウン管のフレーム材のような用途には不要であるが、酸化性の環境下で耐食性を向上させる作用があり、そのような効果を得るためには0.005%以上含有させるのが好ましい。しかし、多量に含有させても効果が飽和するだけなので、多くても0.1%までとするのが望ましい。
【0049】
上記以外の脱酸剤や不純物など諸化学成分については、SUS403またはSUS410などの通常のマルテンサイト系ステンレス鋼において規定される範囲内であれば、本発明の効果に影響は現れない。したがって、Siの含有量を1.00%以下とし、また、Sの含有量を0.030%以下とした。
【0050】
本発明の鋼材の金属組織は、フェライト相とマルテンサイト相との二相からなるものであって、この二相の他に表面層に多少のオーステナイト相が残留していてもよい。そして、このような複合組織のマトリックス全体に均一に、Br−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察した、大きさが1μm未満のCr系炭化物が分散したものとする。
【0051】
フェライト相とマルテンサイト相の比率は、とくには限定しないが、フェライト相が10〜80体積%、マルテンサイト相が20〜90体積%であることが好ましい。フェライト相は多くなりすぎると加工性は良好であるが0.2%耐力および耐クリープ性が低下し、マルテンサイト相が多くなりすぎると、加工性が劣化するからである。より好ましい範囲は、フェライト相が30〜60体積%、マルテンサイト相が40〜70体積%である。
【0052】
上記の二相の他に、表層部に10体積%以下の範囲で、残留オーステナイト相を形成させてもよい。表面の残留オーステナイト相は、加工性を向上させ、それとともに強度も向上させる効果がある。このような効果を得るためには、1体積%以上存在することが好ましい。この残留オーステナイト相は、成形加工および歪み取り焼鈍の過程で消失してしまう。しかし多量に残存すると、温度による異常な変形の原因となるので、このような悪影響を生じない範囲として、10体積%以下とするのが望ましい。
【0053】
金属組織には上記の各相に加えてCr系炭化物が均一に分散している必要がある。その炭化物の大きさを1μm未満とする。これは、炭化物が生じていない場合、耐クリープ性が低下するからであり、生じていても大きすぎれば、やはり耐クリ−プ性が劣るからである。0.2%耐力のような強度については、CやSiなど強化元素の増加により大きくすることができるが、耐クリープ性の改善は、1μm未満の炭化物を析出させなければ得られない。この場合、1μm以上の炭化物は、存在していてもかまわないが、0.2%耐力および耐クリープ性の向上には効果がない。
【0054】
炭化物の分散状態は、鋼材の断面において、炭化析出物をBr−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察し、任意に選んだ面積が100μm2の異なる場所10視野において、観察される炭化物として、大きさ(直径、不定形に対しては最大寸法)が1μm未満のものが、ほぼ均一に分散していることが確認されればよい。
【0055】
なお、ここで「炭化物が均一に分散した」という状態は、観察する100μm2の視野の中に、大きさが1μm未満の炭化物が10個以上分散して存在することを意味し、好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個以上分散していることである。
【0056】
本発明の鋼材は、その形状が鋼板、鋼管、形鋼などの条鋼、線材などいずれの形態であってもよい。これらの最終製品形状への製造は、通常のマルテンサイト系やフェライト系ステンレス鋼の場合に準じておこなえばよい。しかし鋼材出荷前の最終の熱処理は次のようにする。
【0057】
昇温速度を5℃/秒以上として、900〜1020℃の温度範囲に加熱し、この温度範囲に保持される時間を15秒以下とし、次いで500℃未満の温度域まで1℃/秒以上の冷却速度で冷却する。このような条件に合う熱処理が施されなかった場合、目的とする鋼材を得ることができない。まず昇温速度を5℃/秒以上とするのは、これよりも遅い加熱では、900℃以上の温度に加熱される前に、Cr系炭化物の固溶が進行してしまい、冷却後に十分な炭化物の微細分散が得られないおそれがあるからである。5℃/秒以上であればどれほど速くてもかまわないが、熱伝達と質量効果により自ずから限界がある。
【0058】
加熱の温度範囲を900〜1020℃とするのは、900℃未満であると強度が十分得られなくなり、1020℃を超えると鋼材の強度が高くなりすぎて加工性が悪くなるからである。
【0059】
900〜1020℃の温度範囲に保持する時間を15秒以下とするのは、時間を長くしすぎると耐クリープ性が低下するからであり、表面の残留オーステナイト量も増大するからである。
【0060】
この温度範囲では、時間とともにCr系炭化物の固溶が進み、析出核となる炭化物がなくなってしまい、冷却による再析出の際に、炭化物の偏在や粗大化が生じ、そのため炭化物の微細化および均一分散化が十分には得られず、耐クリープ性が低下する。そして、炭化物の固溶とともにオーステナイト相がより安定化し、それに加えて雰囲気中窒素の鋼表面からの浸入量が増大して、表面層に残留オーステナイト相を形成させやすくしてしまう。したがって、この保持時間は15秒以下とし、できるだけ短くするのが好ましい。たとえば目標温度に到達後ただちに冷却を開始しても、その目的は達成できる。
【0061】
均熱後、1℃/秒以上の冷却速度で冷却するのは、0.2%耐力を確保し、耐クリープ性を向上させるためである。1℃/秒未満のゆっくりした冷却がこれらの特性を低下させる理由は、フェライト相の比率を増し、炭化物の粗大化を生じるためと思われる。この冷却速度は500℃まで管理すればよく、500℃を下回れば、それからの冷却は速くてもゆっくりであっても、鋼材の性質には影響しない。
【0062】
この均熱後の冷却速度は、1℃/秒以上であればさらに速くしてもその効果は変わらず、その速度の上限はとくには限定しないが、加熱速度同様、熱伝達と質量効果により自ずから限定される。
【0063】
この熱処理における昇温速度および冷却速度は平均速度とし、昇温または冷却の開始温度と終了温度の二つの温度の差を、それに要した時間で除したものとする。
【0064】
上記の熱処理の雰囲気は、一般に用いられるステンレス鋼材の光輝焼鈍の条件に準じ選定すればよいが、とくに残留オーステナイト相を生じさせこれを活用する場合は、雰囲気ガス中の窒素を10体積%以上、水素を50体積%以上とするのがよい。窒素は鋼板表面に吸収させるために10体積%以上必要とするが、水素は窒素の吸収を阻害する表面のクロム酸化物形成を抑止するために、50体積%以上とするのが好ましい。他のガスは不活性ガスなどステンレス鋼と反応しないものであればとくには限定しない。しかし、雰囲気ガスとしての露点は、窒素吸収を促進させるので、−40℃以下のできる限り低いものであることが望ましい。
【0065】
また、上述の最終熱処理は、冷間圧延鋼板や冷間引き抜き鋼管などの成形時に冷間加工がおこなわれた場合、焼鈍工程を兼ねさせることができる。
【0066】
【実施例】
表3に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延して3.2mm厚に仕上げ、焼鈍後冷間圧延して厚さ1.2mmにした。これらの鋼板は、連続焼鈍ラインを用い昇温速度、加熱温度、均熱時間、冷却速度を制御し、窒素が25体積%、残部水素の露点−50℃の雰囲気ガスを用いて熱処理をおこなった。熱処理条件は表4に示すとおりである。得られた鋼板から試験材を切りだし、各試験をおこなった。なお、表3の鋼の化学組成における残部はFeおよび不純物である。
【0067】
平行部の形状が幅6mm、長さ50mmの引張試験片を、長さ方向が圧延方向に平行として作成し、引張試験をおこない、0.2%耐力、引張強さおよび伸びを求めた。また、得られた鋼板に450℃、30分の歪み取り焼鈍相当の熱処理をおこなった後、同形状の引張試験片にて0.2%耐力を測定した。曲げ試験は、長さ方向を圧延方向に直角とした幅20mm、長さ160mmの試験片を用い、JIS−Z−2241に規定のVブロック法にて曲げ角度を135°、押し金具先端のrを1.25mmとして曲げ、表面割れ発生の有無から加工性の良否を評価した。
【0068】
金属組織は、通常の手法にて研磨、腐食をおこない光学顕微鏡観察により観察し、フェライト相とマルテンサイト相の比率を求め、炭化物の存在を確認した。炭化物の粒径や分散状況は、Brーメタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察をおこない、任意に選んだ面積が100μm2の異なる場所10視野において、1μm未満の大きさの炭化物の個数を計測した。鋼板表層部の残留オーステナイト相は、表面のX線回折の手法により反射線の積分強度の測定から定量した。耐クリープ性の評価は、上記の形状の引張試験片を用い、500℃に加熱した状態にて294MPaの応力を印加して1時間保持し、保持中に生じた伸び率を測定してクリープ歪みとした。これらの結果も合わせて表4に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
表3および表4の結果からあきらかなように、Cが0.015%と鋼の組成が本発明にて規定する範囲を下回る鋼記号Cによる試験番号10は、伸びや加工性はすぐれているが、強度が低く、クリープ歪みが大きい。他の鋼の組成は、いずれも本発明にて規制する範囲内であり、とくにそれらの鋼による試験番号7、9、11、13および14に示される鋼材は、金属組織がフェライト相とマルテンサイト相との二相からなっていて、かつ大きさが1μm未満の炭化物が100μm 2 中に10個以上分散したものとなっている。そして、これらの鋼材の0.2%耐力は、歪み取り焼鈍後いずれも800MPaを超えており、伸びは9.0%以上で、曲げによる割れの発生はなく、500℃、1時間におけるクリープ歪みは、0.030%以下である。
【0072】
これに対し、鋼組成としては本発明で規定する範囲内であっても、マルテンサイト相が現れていない試験番号1は、0.2%耐力が低くクリープ歪みも大きい。試験番号3および6は、試験番号7と同じ組成の鋼であるが、金属組織にフェライト相がなく、0.2%耐力や耐クリープ性にすぐれていても、加工性が悪い。
【0073】
このように、耐力、耐クリープ性にすぐれ、加工性が良好な鋼材は、化学成分ばかりでなく、金属組織も本発明で規定する範囲内であることはあきらかであるが、このような特性または金属組織の鋼材を得るためには、表4に示された処理条件わかるように、最終熱処理の昇温速度、加熱温度範囲、均熱時間および冷却速度のいずれもが、本発明で定める範囲に入っていなければならない。
【0074】
【発明の効果】
本発明のクロム系ステンレス鋼材は、強度が高く、耐クリープ性にすぐれ、良好な加工性を有する。この鋼材は、加工性のすぐれたステンレス鋼ばね材として活用できるが、とくにカラーブラウン管のマスクに張力をかける方式のマスクフレーム適用すれば、フレーム材の薄肉化が可能であり、大型化しつつあるカラーTVの重量低減に有効である。
Claims (6)
- 質量%にて、C:0.05〜0.20%、Cr:10.5〜18%、Si:1.00%以下、Mn:1.5%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、N:0.10%以下を含有するとともに、Ti:0.003〜0.03%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.02〜0.5%およびMo:0.1〜1.0%のうちの1種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成で、フェライト相とマルテンサイト相とからなり、これらの中にBr−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察した、大きさが1μm未満のCr系炭化物が100μm2中に10個以上分散した金属組織であることを特徴とするクロム系ステンレス鋼材。
- 質量%にて、C:0.05〜0.20%、Cr:10.5〜18%、Si:1.00%以下、Mn:1.5%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、N:0.10%以下を含有するとともに、Ti:0.003〜0.03%、Nb:0.005〜0.10%、V:0.02〜0.5%およびMo:0.1〜1.0%のうちの1種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成で、フェライト相とマルテンサイト相とに加え、表層に残留オーステナイト相が存在し、これらの中にBr−メタノール抽出によるレプリカ法にて電子顕微鏡観察した、大きさが1μm未満のCr系炭化物が100μm2中に10個以上分散した金属組織であることを特徴とするクロム系ステンレス鋼材。
- 化学組成が、さらに、質量%にて、Ni:1.0%以下、Cu:2.5%以下および希土類元素:0.1%以下のうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のクロム系ステンレス鋼材。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のクロム系ステンレス鋼材を素材に用いた、カラーブラウン管のマスクフレーム。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の化学組成を有するクロム系ステンレス鋼にて、平均昇温速度を5℃/秒以上として、900〜1020℃の範囲内の温度に加熱し、その温度範囲内に保持される時間を15秒以下とし、次いで1℃/秒以上の速度で500℃未満の温度に冷却する熱処理を施すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のクロム系ステンレス鋼材の製造方法。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の化学組成を有するクロム系ステンレス鋼にて、窒素ガスを10体積%以上と水素を含む雰囲気中にて、平均昇温速度を5℃/秒以上として、900〜1020℃の範囲内の温度に加熱し、その温度範囲内に保持される時間を15秒以下とし、次いで1℃/秒以上の速度で500℃未満の温度に冷却する熱処理を施すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のクロム系ステンレス鋼材の製造方法。
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