JP4478351B2 - クローズドサンプラー - Google Patents
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Description
この発明は、希望する深さにおいて土壌試料を採取することができるクローズドサンプラーに関し、更に詳細には、どのような深度においても迅速に先端に設けたビットの固定を解除して土壌試料をサンプラー内に取り込めるようにしたクローズドサンプラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
重金属や有機溶剤による土壌汚染が大きな問題となっており、地中の所定深度における土壌試料を簡便に採取する装置が必要とされている。
従来、図8及び図9に示すように、コアチューブ10とその先端にビット(ストッパー)12が固定してあるクローズドサンプラー1において、ビット12は着脱自在なロッド3によって移動できないように固定されており、クローズドサンプラーを所定深度まで打撃掘進する間は、ビット12はコアチューブ10の先頭位置に留まり、希望採取深度にサンプラーが達するまで土壌が侵入するのを阻止する。そして、試料採取深度においてロッド3を取り外してビット12の固定を解放し、更にコアチューブを地中に打ち込んでサンプラー1内に土壌試料を取り込んでいた。
【0003】
ロッド3は、ネジを両端に形成したロッドであり、図8に示すように、ロッド3をサンプラーの上部に左ネジで固定してある。サンプラーを地中に打撃掘進し、コアチューブを継ぎ足して所定の深度に到達させ、ハンドルでロッド3を回転してロッド3のコアチューブ10に対する固定を解除することによりビット12の固定が解放される。更に、打撃掘進すると、図9の右端に示されるように土壌の圧力によってビット12がサンプラー内に押し込まれ、土壌試料がサンプラー内に取り込まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のロッドを用いたビット固定方式は、試料の採取深度が浅い場合であればロッドの接続回数も少なく、サンプラーの押し込み、回収も容易であるが、採取深度が深くなるとロッドの接続や回収に時間がかかり、採取効率が大きく低下していた。
【0005】
また、ロッドの接続部のネジに砂が噛んだりして着脱に時間を要した。採取深度が2〜3m程度の間であればそれほど問題にはならないが、それ以上の深度となるとロッドの連結回数も増加し、効率的に土壌試料を採取することができなかった。
本発明は、以上の問題を解決するため、サンプリング深度に関係なく短時間でクローズドサンプラーのビットの固定を解除して試料採取を迅速かつ簡便におこなえるようにするものである。
また、採取した土壌試料を乱さずにコアチューブから取り出せるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クローズドサンプラーのコアチューブの先端に設けた取り外し可能でコアチューブ内をスライド移動可能なビット、このビットを押さえるロッド、ロッド及びオーバーショットキャッチャーを有し、オーバーショットの引き上げ操作によってコアチューブに対するロックが解除されるロック機構からなり、ビットの深度に関係なく簡易にビットの固定を解除できるようにしたものである。
【0007】
具体的には、ロック機構は、コアチューブの上部に連結された円筒状のケースの内面に形成した凹溝と、凹溝に出没するロック金具と、テーパー面を有するロックピンからなり、ロック金具とロックピンの連結面はテーパーに形成され、更に、蟻溝で相互に連結されている。ロックピンはオーバーショットキャッチャーに連結されており、オーバーショットによってロックピンを引き上げることにより、テーパー面の蟻溝によってロック金具は中心に引き寄せられて凹溝から外れ、ロックが解放される。
また、ビットがコアチューブ内を相対的にスライド移動することによって折り畳んでいたチューブが繰り出されるようにし、採取した土壌試料がチューブで保護されるようにした。
【0008】
この発明によれば、オーバーショットを用いているので、希望深度において、ビットの固定を迅速に解除して土壌試料の採取を開始でき、効率的に土壌試料の採取をおこなうことができる。
また、無水掘削であると共に、土壌試料のコアチューブ内への侵入に伴って折り畳まれていた筒状シートが繰り出されて土壌試料を包み込み、土壌試料を保護するので採取した試料に乱れが生じることがない。
【0009】
【実施例】
図1に示すように、本発明のクローズドサンプラー1は、コアチューブ10、コアチューブ10先端にシュー11を介して取り付けたビット12、ビット12を掘進中に移動しないように固定するロック機構2、ビット12とロック機構2をロッド3、及びロック機構2のロックを解除する際に使用するオーバーショット4を受けるオーバーショットキャッチャー42から構成されている。
クローズドサンプラー1を試料採取深度まで打ち込む間は、ビット12は先端部に留まり、コアチューブ10内に土壌が侵入するのを阻止する。ビット12は、略円錐形であり、公知のクローズドサンプラーに使用されているものである。図5に示すように、シュー11の先端にはテーパーが形成してあり、ビット12の円錐形の傾斜部と共に地中への掘進時の抵抗を減少させている。
【0010】
また、図5に示すように、シュー11の径はコアチューブ10の径より僅かに大きくしてあり、拡径部分が掘進時に掘削孔壁を圧密し、崩壊を防止すると共に、コアチューブ10と孔壁との摩擦を減少し、掘進を容易にする。
コアチューブ10の先端内部には、中心に向かって傾斜して張り出すバスケット13が設けてあり、コアチューブ10内部に取り込んだ土壌試料が落下するのを防止する。更に、コアチューブ10先端にはビニールチューブ15を折り畳んでセットしたカセットが取り付けてあり、コアチューブ10内に土壌試料が侵入してくると、折り畳んであったビニールチューブ15は伸展して繰り出される。
【0011】
図3はロック機構の掘進時の状態を示すもので、ロック機構2は、コアチューブ10に接続された円筒状のケース20からなり、コアチューブ10と掘進管16の間に連結されており、ケース20の両端には接続用の雌ねじが設けてある。ケース20の下半部は肉厚にしてあり半円形のロック金具21を受容してロックする凹溝22が内周面に設けてある。下部にはスライドケース23を支承する張り出し231が形成してあり、スライドケース23はパッキング232を介してケース20に嵌合してある。凹溝22に対応する位置にはスロット24が形成してあり、スロット24にはロック金具21が填め込んで設置してある。
【0012】
ロック金具21は、2つ割りのリングであり、リングの内壁面はテーパー面にしてあると共に蟻溝が形成してある。そして、ロック金具21の中央には先端にテーパー面を有するロックピン25を形成したロッドが挿入してある。ロックピン25のテーパー面には蟻溝に嵌合する突起が形成され、ロックピン25の上下動によってロック金具21が水平方向に移動し、凹溝22に出たり入ったりする。
ロックピン25の頭部にはネジが形成されナット26が固定してあり、オーバーショット4によって引き上げられるスライドケース23の底部に引っ掛かかるように構成されている。
【0013】
ロック機構2は以上のように構成されているので、図4に示すように、ワイヤの先端に取り付けたオーバーショット4を降下させ、オーバーショット4のラッチプレート41をオーバーショットキャッチャー42の凹溝43に引掛けてワイヤを引き上げると、スライドケース23の底部がロックピン25頭部のナット26に引っ掛かり、ロックピン25を引き上げる。ロックピン25の突起はロック金具21の蟻溝内をスライドして上昇し、ロック金具21をロック機構2の中心側に引き寄せる。ロック金具21は、内側に引き寄せられることによって凹溝22から外れ、ロック機構2は解放されてフリーになるので、ワイヤを更に引き上げてロッド3を含めてロック機構2をコアチューブ10から撤去する。ロッド3が撤去されたことによりビット12は上方へ自由に移動できるようになる。
【0014】
本発明のクローズドサンプラーを使用したサンプリング手順について図6に従って説明する。
コアチューブ10の先端にはビット12が、上端にはロック機構2がセットしてあり、ロック機構2には掘進管16が連結してある。組み立てたクローズドサンプラー1を図2に一例を示す適宜のベースマシンにセットし、マストに上下動可能に取り付けた振動型の打撃掘進装置によって掘進管16を打撃して地中に掘進する。掘進管16を適宜本数連結して打撃掘進をおこない、土壌試料を採取する深さまでクローズドサンプラー1を打ち込む。
コアチューブ10の凹溝22にロック金具21が嵌合してロック状態となっているので、ビット12はコアチューブ10と一体となって地中に打ち込まれていく。
【0015】
土壌試料を採取する深度に達した時点で打撃装置を掘進管16から外し、マストを利用して掘進管16の上部からオーバーショット4をロック機構2のオーバーショットキャッチャー42に向かって降下させる。オーバーショット4のラッチプレート41がキャッチャー42の凹溝43に噛み込んだのを確認し、ワイヤを引き上げる。
【0016】
ロックピン25が上昇するので、ロック金具21は中央に引き寄せられ、ロック機構2の凹溝22から外れ、ロッド3はオーバーショット4の引き上げによって掘進管16から撤去され、ビット12の上昇抑止状態が解放される。
【0017】
そこで、掘進管16を再度打撃して採取試料の長さ分だけコアチューブ10を地中に掘進する。ビット12の上昇を抑止する機構が撤去されているので、ビット12はコアチューブ内を相対的にスライド移動し、その位置に残置されたままとなり、コアチューブ10内部に土壌試料が取り込まれる。
【0018】
コアチューブ10の内壁からは折り畳んであったビニールチューブ15が繰り出され、土壌試料はビニールチューブに包まれる。また、土壌試料の収納はビニールチューブに替えて、合成樹脂管をコアチューブに内挿しておいてもよい。
土壌試料で充填されたサンプラー1を地中から引き抜き、コアチューブ10内の土壌試料を取り出す。
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によれば、土壌試料採取深度に掘進管が達した時点でオーバーショットを掘進管内に落とし込み、ロック機構を解除して先端のビットの固定を解除するようにしたので、作業が簡単であり採取深度が深くなっても、土壌試料の採取を迅速におこなうことができる。
ビットやロック解除機構の再組立が容易であるので土壌試料の採取作業を効率的におこなうことができ、サンプリング箇所が多い場所でも短い日時で試料の採取作業を終了することができる。
【0020】
また、土砂がロック解除機構に付着しても、掛け止め機構であるのでネジのように回転が不能となって組立取り外しが困難となることがなく、作業を円滑におこなうことができる。
無水掘削であるので、サンプリング土壌試料は乱されず、原位置の状態に近い土壌試料を採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の断面図。
【図2】ベースマシンにサンプラーを取り付けた状態の正面図。
【図3】ロック機構のロック状態の詳細図。
【図4】ロック機構の解放状態の詳細図。
【図5】先端部の詳細図。
【図6】土壌試料採取工程図(1)。
【図7】土壌試料採取工程図(2)。
【図8】従来のクローズドサンプラーの断面図。
【図9】従来のクローズドサンプラーの試料採取工程図。
【符号の説明】
1 クローズドサンプラー
10 コアチューブ
12 ビット
2 ロック機構
21 ロック金具
22 凹溝
25 ロックピン
3 ロッド
4 オーバーショット
41 ラッチプレート
42 オーバーショットキャッチャー
Claims (3)
- コアチューブの先端に付けた取り外し可能なビット、このビットの移動を抑えるロッド、及びロッド上端に設けられたオーバーショットキャッチャーを有し、オーバーショットの引き上げ操作によって移動可能なビットのロックが解除されるロック機構を有するクローズドサンプラーであり、コアチューブの上部には円筒状のケースが連結してあり、ロック機構は、このケースの内面に形成した凹溝と、凹溝に出没するロック金具と、テーパー面を有するロックピンからなり、ロック金具とロックピンの連結面はテーパーに形成され、更に、蟻溝で相互に連結されており、ロックピンはオーバーショットキャッチャーに連結されており、オーバーショットによってロックピンを引き上げることにより、テーパー面の蟻溝によってロック金具が中心に引き寄せられて凹溝から外れ、ロックが解放されてビットがコアチューブ内をスライド可能となるクローズドサンプラー。
- 請求項1において、コアチューブの先端内面に筒状シートが折り畳んで収納してあるクローズドサンプラー。
- 請求項1または2において、コアチューブに、合成樹脂管が内挿してあるクローズドサンプラー。
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