JP4478074B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳片の極力均一な凝固を実現し、かつ、鋳型の下端でブレークアウト限界シェル厚以上を確保する、溶融金属の連続鋳造方法に関する。
鋳片の幅変更が行える一般的なスラブ用鋳型においては、幅方向位置、傾きを制御可能なように、短辺背面に2本の可動のシリンダーがとりつけられている。例えば、特許文献1には、鋳造中に鋳片の幅を変更する際に、安定して短辺の傾きを制御する方法について開示されている。
鋳片の幅変更時以外での、短辺傾きの制御としては、例えば特許文献2に、鋳型の抜熱量を一定になるように、鋳型の傾きを調整する操業方法について開示されている。
特開平10−277717号公報 特開昭54−79126号公報
しかし、特許文献1のような方法は、鋳片の幅を制御する手法であって、鋳型内で凝固シェルを均一に保つ保証はない。また、特許文献2のような方法では、鋳型全体に多くの温度測定素子の設置が必要であり、鋳型のメンテナンス性が悪くなると言う問題がある。特に凝固の遅れるコーナー部近傍の抜熱量を正確に測定することは困難であり、実質抜熱量が一定になるように鋳造中に短辺傾きを調整するのは難しい。また、抜熱量が鋳造中一定であったとしても、コーナー部の凝固が均一であるという保証はない。
そこで、本発明は、凝固したシェル厚の均一性を確保するとともに、最小シェル厚をブレークアウト限界のシェル厚み以上に出来る様な、連続鋳造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を鑑み、鋳型内での凝固シェルを鋳造中に安定的に均一に保つため、凝固シェル厚の均一度(鋳型下端での最小シェル厚/最大シェル厚)と鋳型下端での最小シェル厚を直接の指標にして、鋳型の鋳造方向傾きを調整する操業方法であり、その要旨は、以下のとおりである。
(1)溶融金属の連続鋳造を行うに際し、鋳型下端の任意の鋳型面部における最小シェル厚(B)を最大シェル厚(A)で除した値と、最小シェル厚(B)の値に応じて、鋳型の鋳造方向傾きを調整することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
(2)鋳型とシェル間の拘束力に応じて、鋳型の鋳造方向傾き、鋳造速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする(1)に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
(3)鋳型とシェル間のギャップ量の最大値に応じて、鋳型の鋳造方向傾き、鋳造速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする(1)または(2)に記載の溶融金属の連続鋳造。
(4)鋳型の鋳造方向傾きの値に対して、鋳型下端の任意の鋳型面部における最小シェル厚(B)、最大シェル厚(A)、鋳型とシェル間の拘束力、および鋳型とシェル間のギャップ量を以下の(a)〜(d)の手順により計算で求めることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
(a) 鋳造する鋼種に応じて、溶鋼のスーパーヒート(ΔT)、鋳造速度(Vc)を入力条件として、[式1]により鋳造方向の抜熱量(q)を計算し、周方向の抜熱量を均一として[式2]によりシェル厚(t)を計算。
q=α×(z/Vc)−β [式1]
t=γ×∫(q−δ×ΔT)dt [式2]
z:メニスカスからの距離、
α,β,γ,δ:定数、
但し、[式2]のqは、くりかえし計算ではq′を用いる。
(b) シェルの変形量(u)を[式3]により計算し、鋳型の鋳造方向の傾きの値における、鋳型とシェルの間のギャップ量(gap)を[式4]により計算。
[K]{u}={Lt}+{LT}+{Lm}+{Lvp} [式3]
gap=u(鋳型面に垂直方法の変位量) [式4]
u:変位(変形量)
Lt:外力
LT:温度変化による荷重
Lm:相変態による荷重
Lvp:粘塑性荷重
K:FEMで計算する場合の全体合成マトリックス({}列ベクトル)
鋳型とシェルの間の拘束力は、ギャップ量(gap)が0(鋳型とシェルの間に隙間なし)の部位で、その部位の面積にその部位に作用する溶鋼静圧を乗じて、鋳型全体で積分して求める。
(c) 鋳型とシェルの間にギャップが生じた部位の抜熱量(q′)を[式5]により計算。
q′=f(gap)×q [式5]
gap:ギャップ量
f:ギャップ量に反比例する任意の関数
(d) 上記の[式2]〜[式5]を、シェルの変形量(u)が収束するまで、繰り返し計算する。
(5) 鋳型下端での最小シェル厚(B)、最大シェル厚(A)を、鋳片の鋳造断面凝固組織観察により求めることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
本発明の鋳型の鋳造方向傾きや鋳造速度を鋳造中に調整する操業方法により、凝固の均一性に優れ、鋳型下端でブレークアウト限界シェル厚以上を確保でき、鋳片の表面割れ、内部割れの無い品質の良い鋳片を安定的に鋳造することが出来る。
本発明者は、品質のよい鋳片を安定的に鋳造可能な操業において、凝固シェル厚みを直接の指標とすることが重要であることに着目し、本発明を成し得るに至った。以下に詳細に説明する。
図1は、鋳型下端での鋳片の凝固均一度を表す指標を表す模式図である。コーナー部近傍は、凝固収縮に伴い、鋳型と鋳片の間に空隙が生じやすく、凝固が遅れる。この様な鋳型のコーナー部近傍での鋳片の凝固遅れにより、シェル厚の不均一な鋳片が鋳造されることや、あるいはシェル厚が薄い部分で鋳造中にブレークアウトが生じることが懸念される。
従って、凝固シェル厚が極力均一な鋳片を鋳造でき、さらにシェル厚が薄い部分がブレークアウトを生じることのない厚みで鋳造できる様に、連続鋳造を行うことは、極めて重要である。
そこで、凝固シェル厚みを直接の指標として、凝固シェル厚の均一度(鋳型下端の最小シェル厚(B))/(最大シェル厚(A))及び、最小シェル厚み(B)の双方の値がそれぞれ所定値以上を満足することを指標として、鋳型の鋳造方向の傾きを、適正に調整する様な、連続鋳造方法を新たに見出した。
ここで、鋳型下端の任意の面での凝固遅れ部の最小シェル厚をB(通常はコーナー部近傍の50mm範囲程度位置のシェル厚)、鋳型下端の同じ面での最大シェル厚をA(通常は面中央部のシェル厚)として、B/Aを凝固均一度と定義する。B/A=1の時に凝固は鋳型下端の周方向で均一であることを示す。
また、鋳型には面が4面あるので、B/Aは各面ごとに4つ定義されるが、本発明の指標には、4つのB/Aの中の最小値を用いることが最も厳しい操業管理をする点で好ましい。さらに、同様にBも各面ごとに4つ定義されるが、最小のシェル厚Bの値を用いることがブレークアウト限界を表現する点で好ましい。
以上の通り、B/Aは、要求される鋳片の凝固均一度等を考慮して設定される所定値(X)以上を満足し、また同時に、Bはブレークアウト限界のシェル厚を考慮して設定される所定値(Y)以上を満足する様に設定することで、鋳片の凝固不均一を解消してシェル厚をブレークアウト限界厚み以上に確保できるものであるが、所定値(X)および所定値(Y)は特に規定するものではなく、要求される鋳片の品質や鋼種等に応じて、事前検討等により適宜設定するものである。
ここで、B/AおよびBの値は、予め実験で求めることができ、またくりかえし計算で求めることもできる。
実験で求める手法としては、鋳造中にS等の特殊元素を添加して、凝固過程での偏析度から、凝固シェル厚を測定する方法、鋳片のエッチングによりホワイトバンド(吐出流等の影響で凝固組織に変化が現れることにより生成(通常は鋳型下端近傍))からシェル厚を推定する方法等が一般的である。また、計算で求める方法としては、コーナー部の凝固遅れを計算出来る手法である、凝固計算と鋳片の変形解析を連成して解析する方法が有効である。
そこで、連続鋳造鋳型を用いた鋳造中に、B/AおよびBの値を後述の手法を用いて計算により求め、これらの値に応じて、鋳型の鋳造方向傾きや、鋳造速度を調整した。ここでは、α=7.0×10(W/m)、β=0.5、δ=5000W/mK、γを実測シェル厚にあうようにフィッティングした。[式1]において、(z/Vc)の単位は分である。
具体的には、幅2000mm×厚み250mmのスラブ用連続鋳造鋳型を用いた鋳造中に、後述の手法で計算を実施し、鋳型下端での最小シェル厚Bおよび凝固均一度B/Aがそれぞれ所定値(ここでは10mmに設定)未満になった場合に、鋳型短辺(幅を構成する鋳型の長い側の辺を長辺、厚みを構成する鋳型の短い側の辺を短辺と定義する)傾きを大きくする制御を行った。ここで、短辺の傾きの単位%/mは、鋳造方向1mの間に、長辺幅が何%小さくなるかという指標である。
Bの鋳造中の変化と、鋳型短辺傾きの変化を図2に示す。Bの変動は、鋳造中の操業条件(鋳造速度、スーパーヒート等)が変動しているためであるが、平均的には鋳造速度2.0m/min、スーパーヒート20℃程度での鋳造試験を実施した。
その結果、図2に示す通り、100(S)あたりからBが低下し、110(S)あたりでBが所定値である10mm未満となったため、鋳型短辺の傾き(以降、テーパと記載することがある。)を1.0(%/m)から2.0(%/m)へと大きくすることで、鋳型と鋳片の間の空隙が小さくなり、凝固遅れが回復して最小シェル厚Bが大きくなった。
また、鋳片の品質上の問題から、鋳型下端での最小シェル厚Bだけではなく、凝固均一度B/Aも所定値以上にして短辺傾きを制御する必要がある。Bがブレークアウト限界値以上の場合でも、B/Aが所定値(ここでは0.5に設定)未満になった時に、凝固遅れ部(B)で鋳片に内部割れが生じる場合がある。これは、凝固遅れ部への歪集中が原因と推定される。同様に、凝固遅れに伴う鋳片の表面割れが発生するケースもある。
そこで、鋳造中にB/Aが0.5未満になった時に、鋳型短辺の傾き(テーパ)を1.0(%/m)から2.0(%/m)へと大きくする試験を行い、鋳片の割れ欠陥が低減することも確認できた。
従って、鋳型下端での最小シェル厚B、および凝固均一度B/Aのいずれも各所定値以上となる様に、これらの値に応じて、鋳型の鋳造方向傾きを調整することで、ブレークアウトを防止でき、かつ割れ等がない均一度の高い鋳片を鋳造することが可能となる。
尚、BおよびB/Aの所定値については、鋼種や操業条件、欠陥の種類(内部割れ、表面割れ)に応じて、適宜設定するのが良い。
また、Bがブレークアウト限界値として設定した所定値(ここでは10mmに設定)未満になった時(ここでは、B/Aはほぼ一定値であった)に、鋳造速度を下げる制御を行った。
その結果、図3に示す通り、100(S)あたりからBが低下し、110(S)あたりでBが所定値である10mm未満となったため、鋳造速度を1.0(m/min)から0.7(m/min)へと低下させることで、Bが回復しているのが分かる。これは、鋳造速度の低下により、鋳型内での凝固時間が長くなったため、鋳型下端の最大シェル厚Aが厚くなり、また凝固均一度B/Aはほぼ一定であったので(図3にはB/Aは図示しない)、Bが回復した。
また、Bがブレークアウト限界値以上の場合でも、B/Aが所定値(ここでは0.5に設定)未満になった場合に、鋳造速度を低下させる試験を実施し、凝固不均一に起因する割れ欠陥が低減することを確認できた。
このように、Bがブレークアウト限界値である所定値以上、かつB/Aが鋼種ごとに決まる欠陥発生のしきい値である所定値以上になるように、鋳型の傾き、鋳造速度を鋳造中に適宜調整することで、品質の良い鋳片を安定して鋳造することが可能になる。
ここで、操作因子としては、鋳型の傾き、鋳造速度のいずれか一方だけでも良く、またこれらを併用しても良い。
次に、前記の連続鋳造鋳型を用いた鋳造中に、鋳型の短辺傾きを変更する鋳造試験を行い、B/AおよびBの値に加えて、鋳型と凝固シェル間の拘束力、ギャップ量の最大値を、後述の手法を用いて計算により求めた。
鋳造速度2.0m/min、スーパーヒートは30℃一定のもとでの試験を行った。
図4に、鋳型と凝固シェル間の拘束力、ギャップ量の最大値、およびBと、短辺傾きの関係を示す。B/Aについては、鋳造速度一定のために、Aがほぼ一定で、Bの傾向と同一であったために、図にはプロットしていない。ここで、拘束力及びギャップ量の最大値は、短辺傾きが1%/mの時のそれぞれの値で正規化した。
図4に示す通り、短辺テーパを小さくすると拘束力が低下し、ギャップ量の最大値が大きくなるとともに、Bが低下した。Bをブレークアウト限界値として10mm以上に設定した場合、この範囲に制御するためには、鋳型傾きは1%/m以上に調整する必要がある。
また、拘束力として、傾き1%/m時の1.2倍を上限値とすると、鋳型傾きは1.5%/m以下に調整する必要がある。
さらに、ギャップ量の最大値として、傾き1%/m時の1.2倍を上限値とすると、0.5%/m以上に調整する必要がある。
従って、BおよびB/Aについて設定された各所定値の範囲を満足させながら、さらに鋳型と凝固シェル間の拘束力、ギャップ量の最大値についても設定された各所定値の範囲を満足させる様に、鋳型の傾き、鋳造速度を鋳造中に適宜調整することで、さらに品質の良い鋳片を安定して鋳造することが可能になる。
ギャップ量の最大値、拘束力の限界値となる所定値については、それぞれ、鋼種等の操業条件で適宜設定するのが良い。
以上の通り、鋳型の鋳造方向の傾き、鋳造速度を制御するための各因子(B/A、B、拘束力、ギャップ量)について述べてきたが、本発明者らは、これらの因子を計算で推定可能とした。
すなわち、鋳型の鋳造方向の傾き、あるいは鋳造速度を任意の値に設定した際に、B/A、B、拘束力、ギャップ量を計算で推定する方法を見出した。
これらの因子を計算で推定するための好ましい手順(a)〜(d)を、以下に示す。
(a) 鋳造する鋼種に応じて、溶鋼のスーパーヒート(ΔT)、鋳造速度(Vc)を入力条件として、[式1]により鋳造方向の抜熱量(q)を計算し、周方向の抜熱量を均一として[式2]によりシェル厚(t)を計算。
q=α×(z/Vc)−β [式1]
t=γ×∫(q−δ×ΔT)dt [式2]
z:メニスカスからの距離、
α,β,γ,δ:定数、
但し、[式2]のqは、くりかえし計算ではq′を用いる。
尚、[式1]、[式2]の定数α,β,γ,δについては、鋳造する鋼種に応じて、鋳造試験によるシェル厚測定とともに、鋳型に熱電対を設置して温度測定等を行い、鋼種、鋳造速度等の操業条件を各種変化させて、決定するのが好ましい。
但し、上記[式1]は、一般的に、凝固のシェル厚が凝固時間(z/Vc)の平方根((z/Vc)0.5)に比例する(鉄鋼便覧等)ことから類推すると、β=0.5を用いることができる。
さらに、上記[式2]は、(鋳型からの抜熱量q)−(溶鋼側からの入熱量δ×ΔT)=凝固潜熱×(シェル厚増分)なので、シェル厚(t)は、q−δ×ΔTを時間で積分して求めることが出来ることから、求めることができる。
但し、tの計算については、[式2]の簡易方法でも良いし、エンタルピー法、等価比熱法等でも計算可能である。
(b) シェルの変形量(u)を[式3]により計算し、鋳型の鋳造方向の傾き、曲率のいずれか一方または双方の値における、鋳型とシェルの間のギャップ量(gap)を[式4]により計算。
[K]{u}={L}+{L}+{L}+{Lvp} [式3]
gap=u(鋳型面に垂直方法の変位量) [式4]
u:変位(変形量)
:外力
vp:粘塑性荷重
:温度変化による荷重
:相変態による荷重
K:FEMで計算する場合の全体合成マトリックス({}列ベクトル)
ここで、外力(L)は、溶鋼静圧、鋳型との接触による反力等から求めることが出来る。粘塑性荷重(Lvp)については、材料のクリープ試験等から応力歪関係を決定して求めることが可能である。温度変化による荷重(L)は、材料の線膨張係数×温度差(温度低下量)で計算できる。相変態による荷重(L)は、鋼の炭素量に応じて凝固過程で線膨張係数の違う各相間を変態するときの荷重であり、温度と炭素量から鉄−炭素2元系状態図から決定できる。
ここで、[式3]は、例えば文献(王ら,日本機械学会論文集A編,Vol.53,No.492)を参照して、プログラムを作成するか汎用の有限要素法構造解析ソフトにサブルーチンで取り込むかの方法で計算出来る。汎用の有限要素法構造解析ソフトを用いる場合は、[式3]の各項の材料非線形性を考慮した取り扱いが出来るソフトであることが好ましい。
また、シェルの変形量が[式3]により求まるため、鋳型とシェルの間のギャップ量が[式4]により求まる。
さらに、鋳型とシェルの間の拘束力については、ギャップ量(gap)が0(鋳型とシェルの間に隙間なし)の部位で、その部位の面積にその部位に作用する溶鋼静圧を乗じて、鋳型全体で積分することで、求めることができる。
(c) 鋳型とシェルの間にギャップが生じた部位の抜熱量(q′)を[式5]により計算する。
q′=f(gap)×q [式5]
gap:ギャップ量
f:ギャップ量に反比例する任意の関数
[式5]については、鋳型とシェルの間にギャップが生じた時に、距離が離れるほど熱伝導が悪くなると一般的に仮定(熱流束は、距離に反比例する)できるため、fをgapに反比例する関数として求めることができる。反比例の係数については、シェル厚の実測等から適宜フィッティングで求めるのが良い。
(d) 上記の[式2]〜[式5]を、シェルの変形量(u)が収束するまで、繰り返し計算する。
ここで、シェルの変形量(u)の収束条件は、特に規定するものではなく、計算結果の精度や計算時間を考慮して、適宜設定すれば良い。
シェルの変形量(u)が収束した際の、[式2]により求まるシェル厚(t)により、鋳型下端の任意の鋳型面部における最小シェル厚(B)、最大シェル厚(A)が求まる。同様に、シェルの変形量(u)が収束した際に、[式3]により鋳型とシェルの間のギャップ量(gap)が求まり、また、ギャップ量(gap)が0(鋳型とシェルの間に隙間なし)の部位で、その部位の面積にその部位に作用する溶鋼静圧を乗じて、鋳型全体で積分することで、鋳型とシェルの間の拘束力を求めることができる。
以上の(a)〜(d)の手順により、計算の前提に用いた、鋳型の鋳造方向の傾き、あるいは鋳造速度の値に設定した際の、各因子(B/A、B、拘束力、ギャップ量)の値が求まる(Bはtの鋳型下端での最小値、Aはtの鋳型下端での最大値)ため、これらの因子の値が所望の値か否かを確認し、所望の値ではない場合は、鋳型の鋳造方向の傾き、鋳造速度のいずれか一方または双方を調整する。
また、凝固シェル厚は計算ではなく、鋳造後の鋳片の断面観察からも計測可能である。
従って、例えば種々の鋳型を用いて、かつ種々の操業条件で鋳造することにより得られた鋳片のサンプルを試作し、それらのサンプルの断面観察を行うことにより、最小シェル厚(B)および最大シェル厚(A)をデーターベース化しておくことで、目的に応じて鋳型の傾きを調整したり、鋳造速度を調整したりすることが可能である。
ここで、凝固シェル厚の断面観察からの計測方法としては、鋳造中に特殊元素(例えばS等)を添加して、その偏析量からシェル厚を測定する方法や、あるいは吐出流等の影響で発生する凝固組織変化(ホワイトバンド)位置(通常は下端近傍)から推定する方法等が一般的である。
コーナー部近傍で生じる凝固遅れ部の最小シェル厚Bと最大シェル厚Aの定義を示す模式図である。 最小シェル厚Bと短辺テーパの関係を示す模式図である。 最小シェル厚Bと鋳造速度の関係を示す模式図である。 短辺テーパと、鋳片と鋳型間の拘束力、ギャップ量の最大値、およびBの関係を示す模式図である。

Claims (5)

  1. 溶融金属の連続鋳造を行うに際し、鋳型下端の任意の鋳型面部における最小シェル厚(B)を最大シェル厚(A)で除した値と、最小シェル厚(B)の値に応じて、鋳型の鋳造方向傾きを調整することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 鋳型とシェル間の拘束力に応じて、鋳型の鋳造方向傾き、鋳造速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 鋳型とシェル間のギャップ量の最大値に応じて、鋳型の鋳造方向傾き、鋳造速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  4. 鋳型の鋳造方向傾きの値に対して、鋳型下端の任意の鋳型面部における最小シェル厚(B)、最大シェル厚(A)、鋳型とシェル間の拘束力、および鋳型とシェル間のギャップ量を以下の(a)〜(d)の手順により計算で求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
    (a) 鋳造する鋼種に応じて、溶鋼のスーパーヒート(ΔT)、鋳造速度(Vc)を入力条件として、[式1]により鋳造方向の抜熱量(q)を計算し、周方向の抜熱量を均一として[式2]によりシェル厚(t)を計算。
    q=α×(z/Vc)−β [式1]
    t=γ×∫(q−δ×ΔT)dt [式2]
    z:メニスカスからの距離、
    α,β,γ,δ:定数、
    但し、[式2]のqは、くりかえし計算ではq′を用いる。
    (b) シェルの変形量(u)を[式3]により計算し、鋳型の鋳造方向の傾きの値における、鋳型とシェルの間のギャップ量(gap)を[式4]により計算。
    [K]{u}={Lt}+{LT}+{Lm}+{Lvp} [式3]
    gap=u(鋳型面に垂直方法の変位量) [式4]
    u:変位(変形量)
    Lt:外力
    LT:温度変化による荷重
    Lm:相変態による荷重
    Lvp:粘塑性荷重
    K:FEMで計算する場合の全体合成マトリックス({}列ベクトル)
    鋳型とシェルの間の拘束力は、ギャップ量(gap)が0(鋳型とシェルの間に隙間なし)の部位で、その部位の面積にその部位に作用する溶鋼静圧を乗じて、鋳型全体で積分して求める。
    (c) 鋳型とシェルの間にギャップが生じた部位の抜熱量(q′)を[式5]により計算。
    q′=f(gap)×q [式5]
    gap:ギャップ量
    f:ギャップ量に反比例する任意の関数
    (d) 上記の[式2]〜[式5]を、シェルの変形量(u)が収束するまで、繰り返し計算する。
  5. 鋳型下端での最小シェル厚(B)、最大シェル厚(A)を、鋳片の鋳造断面凝固組織観察により求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
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