JP4475803B2 - E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物 - Google Patents

E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には、E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物に関する。より詳細には、本発明は、E型肝炎ウイルスのUS型株およびUS亜型株に感染した個体を検出または処置するための方法および組成物に関する。
【0002】
発明の背景
肝臓の炎症(肝炎)を引き起こす肝臓親和性ウイルスには、少なくとも5種類の主要なウイルスが存在する。これらのウイルスには、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)およびE型肝炎ウイルス(HEV)が含まれる。HBV、HCVおよびHDVのみが慢性肝炎を引き起こすが、5つの型はすべて、直接的に急性疾患を引き起こし、あるいは、例えば、HBVおよびHDVによる重感染/共感染の結果としての急性疾患を引き起こす。HEVは、腹痛、黄疸、倦怠感、食欲不振、暗色尿、発熱、悪心および嘔吐を含む他のウイルス性病原体による肝炎症状と同様の肝炎症状を引き起こす(例えば、Reyesら、「非A非B型肝炎病原体のC型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスの分子生物学」、Advances in Virus Research(1991)40:57〜102;Bradley、「非A非B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスと同定される」、Progr.Med.Virol.(1990)37:101〜135;Hollinger、「非A非B型肝炎ウイルス」、Virology、第2版(1990)、第2版、Raven Press、New York、2239頁〜2271頁;Gustら、「ワークショップ報告書:水系感染性の非A非B型肝炎」J.Infect.Dis.(1987)156:630〜635;およびKrawcyznski、「E型肝炎」、Hepatology(1993)17:932〜941を参照のこと)。しかし、他のヘパトウイルスとは異なり、HEVは、合衆国における肝炎の主原因であるとは一般に認められていない。
【0003】
HEVが風土病である地理学的地域には、東アフリカおよび北アフリカ、インド、パキスタン、ビルマならびに中国が含まれる(Reyesら(1991)前出)。HEV感染の致死率は、HEVが風土病である地域では一般の人々において約0.1%〜約1.0%の間であり、発展途上国の妊婦では約20%ほどの高さであると推定されている。大部分の死者の原因は劇症肝炎である(Reyesら(1991)前出)。合衆国、西ヨーロッパおよび日本におけるHEV感染に関する時折の報告は、通常、HEVが風土病である地域への旅行から戻った旅行者において認められる。しかし、HEV感染は中央官庁には報告されていないため、合衆国におけるHEV感染による罹病率および/または死亡率に関する情報はほとんどない。合衆国におけるHEVの重要性を明らかにするための詳細で組織的な研究は行われていない。さらに、そのような研究が行われたとしても、そのような研究を行うための適切な試薬が開発されない限り、合衆国(ならびにおそらくは日本および西ヨーロッパ)におけるHEVの相対的な重要性は過小評価され続けるかもしれない。
【0004】
HEVの基本的な特徴は、HEVがエンベロープを持たず、約27nm〜30nmの直径を有し、そしてプラス鎖のセンス一本鎖RNAゲノムを有するウイルスであることである。このRNAゲノムは、この分野ではオープンリーディングフレーム1(ORF1)、オープンリーディングフレーム2(ORF2)、およびオープンリーディングフレーム3(ORF3)と呼ばれる3つの不連続なオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。ウイルスの全体的な形態ならびにゲノムのサイズおよび構成に基づいて、このウイルスは暫定的にカリシウイルス科のメンバーとして分類されている。同定および配列決定が行われたHEVの最初の2つの単離物が、ビルマおよびメキシコから得られた。両方の単離物のゲノム全体にわたる全体的な核酸同一性は76%である(Reyesら(1990)Science、247:1335〜1339;Tamら(1991)Virology、185:120〜131;Huangら(1992)、Virology、191:550〜558)。ヌクレオチドの相違の多くはコドンの3番目の位置に認められたので、HEVのビルマ株とメキシコ株との間のアミノ酸配列の推定される類似性は、ORF1、ORF2およびORF3の各オープンリーディングフレームに関して、それぞれ、83%、93%および87%であった。
【0005】
ビルマ株には、メキシコ株では同定されなかった約27ヌクレオチドの短い非翻訳領域がゲノムの5’末端に存在する。ORF1は約5,100ヌクレオチドを含み、これには推定的なメチルトランスフェラーゼドメイン、RNAヘリカーゼドメイン、推定的なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)ドメイン、および推定的なパパイン様プロテアーゼを含む数個の保存されたモチーフがコードされている。プラス鎖をセンス鎖とするRNAの植物ウイルスおよび動物ウイルスのすべてで見出されているGly−Asp−Asp(GDD)のトリペプチド配列がORF1の内部に見出され、これは通常RDRPとして機能する。通常、細胞性ヘリカーゼおよびウイルス性ヘリカーゼと関連するプリンNTPアーゼ活性が示唆される保存されたモチーフもまた、ORF1の配列内に存在する。ORF1にコードされる遺伝子産物に対する免疫応答は一貫していない。
【0006】
2番目のオープンリーディングフレーム(ORF2)は、ウイルスゲノムのカルボキシル側の1/3を占める。ORF2は約2,000ヌクレオチドを含み、コンセンサスシグナルペプチド配列がORF2のアミノ末端にコードされており、そしてORF1に関して1+のリーディングフレームで翻訳される推定的なキャプシドタンパク質がコードされている。多くの場合、HEV感染者は、ORF2に由来するペプチドまたは組換えタンパク質と反応する抗体を産生している。
【0007】
3番目のオープンリーディングフレーム(ORF3)は、ORF1とORF2の両方に部分的に重複し、そしてORF1に関して+2のリーディングフレームで翻訳される369ヌクレオチドを含む。ORF3によりコードされるタンパク質の機能は不明であるが、このタンパク質は抗原性であり、HEV感染者のほとんどがこのタンパク質に対する抗体を産生している。従って、ORF2およびORF3に由来するペプチドまたは組換えタンパク質は、HEVへの曝露を診断するときに有用な血清学的マーカーとして利用することができる。
【0008】
最近、さらなるHEV単離物がいくつか同定され、HEVのビルマ株およびメキシコ株と比較された。新しい単離物のほとんどは、HEVのメキシコ株よりもビルマ株に密接に関連している。1986年〜1987年における短期間の出現を除いて、HEVのさらなるメキシコ株は単離されていない(Velasquezら(1992)JAMA、263:3281〜3286)。
【0009】
最近、SAR−55と呼ばれる1つの単離物が、パキスタン出身のHEV感染者から単離された。SAR−55単離物はビルマ株と非常に関連しており、ゲノム全体にわたるヌクレオチドおよびアミノ酸の同一性は、それぞれ、94%および99%である。最近、いくつかの他の単離物が、パキスタンに接する中国の新彊ウイグル自治区(Xuar)地方から得られた。これらの中国の単離物は、ビルマ株(約93%のヌクレオチド同一性)よりもパキスタン株(約98%のヌクレオチド同一性)に密接に関連していた。
【0010】
ウイルスゲノムの配列決定ならびにウイルスによりコードされる組換えタンパク質および合成ペプチドの入手に先立って、HEV感染を電子顕微鏡および免疫蛍光法によって観察した。HEVゲノムが同定されるとすぐに、HEV感染を検出するために、(i)特異的な免疫アッセイ(例えば、組換えタンパク質および/または合成ペプチドに基づくウエスタンブロット法およびELISA)、および(ii)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、逆転写PCR(RT−PCR))を含む特異的な実験室技術が利用可能となった。RT−PCRは、急性肝炎に感染した場合およびET−NANBHの流行時に、便サンプルまたは血清サンプルにおけるHEVのRNAを検出するために問題なく使用されている。さらに、HEVのメキシコ株およびビルマ株に由来する組換え抗原を使用することにより、HEVに特異的なIgG抗体、IgM抗体、および一部の場合にはIgA抗体が、ソマリア、ビルマ、ボルネオ、タシュケント、ケニア、パキスタンおよびメキシコにおけるET−NANBHの大発生から得られた検体において検出された。HEVに特異的なIgG抗体、および時にはIgM抗体が、エジプト、インド、タジキスタンおよびウズベキスタンなどの地理学的地域における急性散発性肝炎の場合、ならびにHEVが風土病である地域に旅行した工業化国(例えば、合衆国、英国、オランダおよび日本)の患者での急性肝炎の場合に検出された。
【0011】
現在までのところ、HEVのビルマ単離物およびメキシコ単離物に基づくPCRおよび免疫アッセイに基づく試験により、「水系感染性肝炎」の種々の症例がHEVによって引き起こされたことが立証された。抗体試験もまた、HEVが、発展途上国における急性散発性肝炎の原因であり、そしてHEVが風土病である地域への旅行者の間での急性散発性肝炎の原因であることを立証するときに重要であった。しかし、現行の試薬はすべて、HEV株への曝露が検出できないために、現在、どれほどの数が急性HEVと診断されていないことに関しては不明である。従って、新しいHEV単離物が同定された場合、現在入手可能な試験キットによって今まで検出することができなかったそのような新しいHEV株により引き起こされる肝炎の検出および/または処置を行うための新しい組成物および方法を開発することが望まれる。
【0012】
発明の要旨
本発明は、部分的にはヒトE型肝炎ウイルスの新規ファミリーの発見に基づいている。E型肝炎ウイルスの新しく発見されたファミリーは、US型E型肝炎ウイルスとしてこれ以降示されるクラスに属する。さらに、このファミリーの2つのメンバーが、合衆国に住んでいる人々で発見された。これらは、ヌクレオチドおよびアミノ酸のレベルで比較した場合、かなりの類似性を示している。この2つのメンバーはともに、これ以降US亜型E型肝炎ウイルスとして示されるUS型E型肝炎ウイルスのサブクラスに属する。
【0013】
従って、1つの態様において、本発明は、目的とする試験サンプルにおけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するための方法を提供する。この方法は下記の工程を含む:(a)試験サンプルを、ウイルスのマーカー(または標的)に特異的に結合する結合パートナーと接触させる工程であって、このマーカーがサンプル中に存在する場合、マーカーは結合パートナーに結合して、マーカー−結合パートナーの複合体を形成する工程、および(b)複合体の存在の有無を検出する工程。複合体の存在は、試験サンプルにおけるウイルスの存在を示す。
【0014】
1つの実施形態において、マーカーは、目的とするサンプル中に存在する抗US型抗体または抗US亜型抗体(例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子または免疫グロブリンM(IgM)分子)であり、結合パートナーは、マーカーに特異的に結合するエピトープを規定する単離されたポリペプチド鎖である。このような場合、試験サンプルは調査中の個体から採取された体液サンプル(例えば、血液、血清または血漿)であると考えられる。好ましい実施形態において、US型特異的エピトープまたはUS亜型特異的エピトープを規定するポリペプチド鎖が固体支持体に固定化する。その後、固定化したポリペプチド鎖を、サンプル中に存在するマーカー抗体(例えば、抗US型または抗US亜型のE型肝炎ウイルスに特異的な抗体)が固定化ポリペプチドに結合することを可能にする条件のもとで試験サンプルと一緒にする。その後、結合した抗体の存在の有無を、例えば、検出可能な部分で標識された第2の抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、抗ヒト抗体またはその抗原結合性フラグメント)を使用して検出することができる。
【0015】
多数の異なるUS型特異的ポリペプチドおよびUS亜型特異的ポリペプチドが本発明のこの実施形態の実施における結合パートナーとして有用であり得ると考えられる。例えば、本発明の1つの好ましい実施形態において、結合パートナーは、配列番号91、配列番号92および配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からなる群より選択され、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴的なアミノ酸配列を示すポリペプチド鎖の少なくとも一部、例えば、そのようなポリヌクレオチド鎖の少なくとも5個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、そしてさらにより好ましくは少なくとも約25個のアミノ酸残基であり得ると考えられる。同様に、結合パートナーは、配列番号173、配列番号174または配列番号175に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖であり得ると考えられる。本発明の別の好ましい実施形態において、結合パートナーは、配列番号166、配列番号167および配列番号168ならびに天然に存在するそれらの変異型からなる群より選択され、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴的なアミノ酸配列を示すポリペプチド鎖の少なくとも一部、例えば、そのようなポリヌクレオチド鎖の少なくとも5個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、そしてさらにより好ましくは少なくとも約25個のアミノ酸残基であり得ると考えられる。同様に、結合パートナーは、配列番号176、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖であり得ると考えられる。
【0016】
本発明の別の実施形態において、マーカーは、HEVのUS型ファミリーまたはUS亜型ファミリーのメンバーに特徴的なポリペプチド鎖であり、結合パートナーは、好ましくは、マーカーポリペプチド鎖上のエピトープに結合する単離された抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)である。結合パートナーは、検出可能な部分で標識することができ、あるいは固体支持体に固定化することができる。例えば、本発明のこの実施形態の実施は、目的とするマーカーポリペプチド上の第1のエピトープに結合する第1の抗体を固体支持体に固定化することによって容易に行うことができると考えられる。次いで、分析すべき試験サンプルは、固定化された抗体がマーカーポリペプチドに結合することを可能にする条件のもとで固体支持体と一緒にされる。その後、結合したマーカーポリペプチド鎖の存在の有無を、例えば、マーカーポリペプチド鎖上の第2の異なるエピトープに結合する検出可能な部分と結合した第2の抗体を使用することによって決定することができる。
【0017】
本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号91、配列番号92、配列番号および配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からなる群より選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配列に比べて、そのようなポリペプチド鎖に対して大きな結合親和性を有する。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号173または配列番号175に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号169または配列番号171に示されるアミノ酸配列に関して、あるいは配列番号175に対応するビルマ株およびメキシコ株中の領域に対して、好ましくは親和性がより低いこと、そして最も好ましくはそのようなポリヌクレオチド鎖と、あるいはそのような領域に結合しないことを特徴とする。同様に、本発明の実施に有用な抗体は、好ましくは、配列番号174または配列番号176に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号170または配列番号172に示されるアミノ酸配列に関して、あるいは配列番号176に対応するビルマ株およびメキシコ株中の領域に対して、好ましくは親和性がより低いこと、そして最も好ましくはそのようなポリヌクレオチド鎖と、あるいはそのような領域に結合しないことを特徴とする。
【0018】
同様に、本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号166、配列番号167および配列番号168ならびにその天然に存在する変異型からなる群より選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配列に比べて、このようなポリペプチド鎖に対して大きな結合親和性を有すると考えられる。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号223に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号170または配列番号172に示されるアミノ酸配列に比べて、好ましくは親和性がより低いこと、そして最も好ましくはそのようなポリペプチド鎖と結合しないことを特徴とする。同様に、本発明の実施に有用な抗体は、好ましくは、配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号169または配列番号171に示されるアミノ酸配列に比べて、好ましくは親和性がより低いこと、そして最も好ましくはそのようなポリペプチド鎖と結合しないことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の実施形態において、マーカーは、US型E型ウイルスゲノムまたはUS亜型E型ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定する核酸配列またはその相補配列である。同様に、結合パートナーは、好ましくは8ヌクレオチド〜100ヌクレオチドを含み、より好ましくは10ヌクレオチド〜75ヌクレオチドを含み、そして最も好ましくは15ヌクレオチド〜50ヌクレオチドを含む単離された核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)配列、リボ核酸(RNA)配列またはペプチジル核酸(PNA)配列)であって、配列番号89または配列番号164に示されるヌクレオチド配列と特異的に(例えば、特異的なハイブリダイゼーション条件または特異的なPCRアニーリング条件のもとで)ハイブリダイゼーションすることができる核酸配列であると考えられる。
【0020】
本発明のこの実施形態の実施は、例えば、目的とするサンプルから核酸を単離することによって容易にすることができる。その後、得られた核酸を、例えば、ゲル電気泳動によって分画し、そして固体支持体(例えば、ニトロセルロースメンブレンまたはナイロンメンブレン)に転写して固定化することができる。あるいは、従来のドットブロット法またはスロットブロット法によって固体支持体に直接固定化することができる。次いで、固定化された核酸を、マーカー配列と特異的にハイブリダイゼーションする検出可能な部分で標識された所定の核酸配列を用いて調べることができる。あるいは、サンプル中のマーカー核酸の存在は、増幅に基づく標準的な方法論(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))によって決定することができる。この場合、特異的な増幅産物の産生により、サンプル中にマーカー核酸が存在することが示される。
【0021】
別の態様において、本発明は、単離されたUS型特異的ポリペプチド配列およびUS亜型特異的ポリペプチド配列を提供する。これらのポリペプチドには、結合パートナーとして有用なUS型E型肝炎およびUS亜型E型肝炎の特異的ポリペプチド鎖に関する本明細書中上記の節に記載されているポリペプチドが含まれる。好ましい実施形態において、単離されたポリペプチド鎖は、配列番号93、配列番号168、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を含む。これらのポリペプチド鎖ならびに他のUS型特異的ポリペプチド鎖およびUS亜型特異的ポリペプチド鎖は、サンプル中におけるUS亜型E型肝炎特異的抗体の抗US型の存在を検出するための測定様式において用いることができると考えられる。さらに、これらのポリペプチドは、単独で使用することができ、または実験室動物における抗体産生用のアジュバントと組み合わせて使用することができ、あるいは同様に、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、哺乳動物を予防的または治療的に免疫するためのワクチンとして使用することができると考えられる。
【0022】
別の態様において、本発明は、単離された抗US型E型肝炎特異的抗体または抗US亜型E型肝炎特異的抗体を提供する。これらの抗体には、結合パートナーとして有用な抗体に関する本明細書上記の節に論じられている抗体が含まれる。好ましい実施形態において、単離された抗体は、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF1配列によりコードされるポリペプチド、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF2配列によりコードされるポリペプチド、あるいは、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF3配列によりコードされるポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができる。詳細には、有用な抗体は、配列番号93、配列番号168、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができる点を特徴とすると考えられる。これらの抗体および他の抗体を使用して、サンプル中におけるUS型E型肝炎ファミリーまたはUS亜型E型肝炎ファミリーのメンバーの存在を検出するための免疫アッセイを有利にすることができると考えられる。抗体を、直接的な免疫アッセイ(この場合、抗体自身が好ましくは検出可能な部分で標識される)または間接的な免疫アッセイ(この場合、抗体自身が第2の結合パートナー(例えば、検出可能な部分で標識された第2の抗体)に対する標的を提供する)のいずれかで使用することができる。さらに、これらの抗体は、例えば、哺乳動物の治療的または予防的な受動的免疫化において使用するために、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて使用することができると考えられる。
【0023】
別の態様において、本発明は、サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するためのマーカーまたは結合パートナーとしての核酸の使用に関する先の節において論じられた核酸配列などの単離された核酸配列を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF1、ORF2またはORF3配列あるいはその相補配列の少なくとも一部を規定する単離された核酸配列を提供する。これら核酸配列および他の核酸配列は、例えば、目的とするサンプルにおけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するためのヌクレオチドプローブおよび/または増幅プライマーとして使用することができると考えられる。さらに、これらの核酸配列またはこれらに相補的な配列は、アンチセンス療法において使用するために、薬学的に許容可能な担体と組み合わせることができると考えられる。さらに、これらの核酸配列はベクターに組込むことができ、次いで、このベクターは目的とする宿主細胞中に形質転換またはトランスフェクションすることができると考えられる。次いで、宿主細胞は、薬学的に許容可能な担体と組み合わされ、そして所定のUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して、予防的または治療的のいずれかで哺乳動物を免疫化するためのワクチン(例えば、組換えワクチン)として用いることができる。
【0024】
本発明の前述および他の目的、特徴および利点は、発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかになる。
【0025】
本発明の目的および特徴は、後記の図面を参照することによって一層理解される。
【0026】
発明の詳細な説明
上記のように、本発明は、部分的にはヒトのE型肝炎ウイルスの新しいファミリーの発見に基づいている。E型肝炎ウイルスのこの新しく発見されたファミリーは、US型E型肝炎ウイルスとしてこれ以降示されるクラスに含まれる。さらに、上記のように、US型ファミリーの2つのメンバーが、アメリカ合衆国に住む2人の感染者から得られた血清において同定された。この2つのメンバーはともに、US亜型E型肝炎ウイルスとして下記に示されるUS型E型肝炎ウイルスのサブクラスに属する。US型E型肝炎ウイルスおよびUS亜型E型肝炎ウイルスの発見により、市販の肝炎検出キットに基づいて肝炎に罹患しているとこれまで診断されなかった感染者におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するための方法および組成物、ならびにそのようなウイルスに対して個体を免疫するための方法および組成物の開発が可能になる。
【0027】
1つの態様において、本発明は、試験サンプルにおけるUS型E型肝炎ウイルスおよびUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出する方法に関する。この方法は下記の工程を含む:(a)試験サンプルを、そのようなウイルスのマーカーに特異的に結合する結合パートナーと接触させる工程であって、前記マーカーがサンプル中に存在する場合にこのマーカーは結合パートナーに結合して、マーカー−結合タンパク質の複合体を形成する工程;および(b)そのような複合体の存在の有無を検出する工程。このような複合体の存在により、サンプル中におけるウイルスの存在が示される。本明細書に開示されるUS型E型肝炎ウイルスおよびUS亜型E型肝炎ウイルスの発見に基づいて、様々なアッセイ(例えば、タンパク質または核酸に基づくアッセイ)を、サンプル中におけるウイルスの存在を検出するために組み立てることができることは明らかである。タンパク質に基づくアッセイとしては、例えば、従来の免疫アッセイを挙げることができる。核酸に基づくアッセイとしては、例えば、従来のプローブハイブリダイゼーションアッセイまたは核酸配列増幅アッセイを挙げることができる。これらはすべて、この分野では十分に知られており、そして広く議論されている。
【0028】
別の態様において、本発明は、予防または治療のいずれかで、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して個体を免疫化するためのワクチンを開発するために使用することができる試薬類、例えば、抗体、エピトープ含有ポリペプチド鎖およびヌクレオチド配列を提供する。
【0029】
I.定義
本発明をより容易に理解することができるように、本明細書中において使用されているいくつかの用語を下記に定義する。
【0030】
本明細書中において使用されている用語「US型」E型肝炎ウイルスは、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)と血清学的に異なる任意のヒトウイルス(すなわち、ヒトに感染し得るウイルス)であって、少なくとも1つのオープンリーディングフレームを規定する一本鎖RNAゲノムを含み、そして配列番号89の6307〜6454の残基によって規定されるヌクレオチド配列に対する同一性が79.7%を超えるヌクレオチド配列を有するウイルスを意味することが理解される。しかし、Genbankアクセス番号AF011921のもとで同定される完全なヌクレオチド配列と同一なゲノム、そのようなゲノムの一部を有するウイルスは、US型E型肝炎ウイルスファミリーから除かれることが理解される。
【0031】
本明細書中において使用されている用語「US亜型」E型肝炎ウイルスは、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)と血清学的に異なる任意のヒトウイルス(すなわち、ヒトに感染し得るウイルス)であって、少なくとも1つのオープンリーディングフレームを規定する一本鎖RNAゲノムを含み、そして配列番号89の6307〜6454の残基によって規定されるヌクレオチド配列に対する同一性が90.5%を超えるヌクレオチド配列を有するウイルスを意味することが理解される。
【0032】
本明細書中において使用されている用語「試験サンプル」は、試験マーカー(例えば、抗体、抗原タンパク質またはペプチド、あるいはヌクレオチド配列)を含有する任意のサンプル(例えば、生物学的サンプル)を意味することが理解される。好ましい試験サンプルには、検査が行われている個体から単離することができる組織サンプルまたは体液サンプルが含まれる。好ましい体液サンプルには、例えば、血液、血清、血漿、唾液、痰、精液、尿、便、胆汁、脊髄液、乳房滲出液、腹水および腹膜液が含まれる。別の好ましい試験サンプルは、細胞株であり、より好ましくは哺乳動物の細胞株である。最も好ましい細胞株は、ヒト胎児腎臓細胞株である。
【0033】
本明細書中において使用されている用語「オープンリーディングフレーム」または用語「ORF」は、1つまたは複数のポリペプチド鎖をコードし得るポリヌクレオチド配列の領域を意味することが理解される。この領域は、完全なコード配列(すなわち、開始コドン(例えば、ATG(AUG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA(UAA)、TAG(UAG)またはTGA(UGA))で終わる配列)またはその一部を表し得る。
【0034】
本明細書中において使用されている用語「ポリペプチド鎖」は、複数のアミノ酸を有する任意の分子鎖を意味することが理解され、特定の長さの産物を示していない。従って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチド鎖の定義に含まれる。
【0035】
本明細書中において使用されている用語「エピトープ」は、「抗原決定基」と同義的に使用されており、抗体の可変部によって特異的な結合(すなわち、約10−1よりも大きな親和性を有する結合、より好ましくは約10−1よりも大きな親和性を有する結合)を形成することができる抗原の少なくとも一部を意味することが理解される。考えられるところでは、エピトープは、エピトープに特徴的な空間配置をとっている3個のアミノ酸を含むことができる。一般に、エピトープは、少なくとも5個のアミノ酸を含み、そしてより通常的には、少なくとも8個〜10個のアミノ酸を含む。空間配置を調べる方法はこの分野では知られており、例えば、X線結晶解析および二次元核磁気共鳴法が含まれる。
【0036】
ポリペプチドは、ポリペプチド鎖によって規定される特定のエピトープが抗体により認識されることによって抗体に結合する場合、抗体との「免疫学的な反応性を有する」。免疫学的反応性は、抗体結合によって、より詳細には、抗体結合の速度論によって、および/または競合的結合研究によって決定することができる。予め選択された抗体はある抗原との免疫学的な反応性を有するが、別の異なる抗原との免疫学的な反応性を有さず、あるいは免疫学的な反応性をほとんど有さない。この場合、この2つの抗原は血清学的に異なると見なされる。本明細書中において使用されている用語「親和性」は、2つの分子の間(例えば、抗体と抗原との間)での可逆的な相互作用の大きさを意味することが理解される。親和性が大きいほど、2つの分子の間での相互作用は強い。
【0037】
本明細書中において使用されている用語「検出可能な部分」は、任意のシグナル生成化合物、例えば、クロモゲン、触媒(酵素など)、発光化合物(ジオキセタン、アクリジン、フェナントリジニウムおよびルミノールなど)、放射活性元素、可視的に検出可能な標識を意味することが理解される。酵素の例には、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなどが含まれる。特定の検出可能な部分を選択することは重要ではないが、検出可能な部分は、それ自体でシグナルを生成することができ、あるいは1つまたは複数のさらなる物質との組合せでシグナルを生成することができる。
【0038】
本明細書中において使用されている用語「固体支持体」は、任意のプラスチック、誘導体化したプラスチック、磁気金属または非磁気金属、ガラス表面またはシリコン表面を意味することが理解される。有用な表面には、例えば、試験管、マイクロタイターウエル、シート、ビーズ、マイクロパーティクル、チップ、ヤギ(または他の適切な動物)の赤血球、またはデュラサイト(duracyte)の表面が含まれる。好適な固体支持体は、本発明の実施に重要ではなく、当業者により選択することができる。ペプチドを固相に固定化するために好適な方法には、イオン的相互作用、疎水性相互作用、共有結合的相互作用などが含まれる。固体支持体は、捕捉試薬を引きつけて固定化するその固有的な能力に関して選ぶことができる。あるいは、固体支持体は、捕捉試薬を引きつけて固定化する能力を有するさらなるレセプターを保持することができる。
【0039】
固体支持体はまた、検出抗体による接近を可能にする十分な多孔度、および抗原との結合に適切な親和性を有する任意の適切な多孔性材料を含むことができると考えられる。マイクロ細孔構造体が一般には好ましいが、水和状態のゲル構造を有する材料も同様に使用することができる。このような材料はすべて、フィルム、シートまたはプレートなどの適切な形態で使用することができ、あるいは、適する不活性な担体(紙、ガラス、プラスチックフィルムまたは織物など)にコーティングすることができ、または結合させることができ、または積層化することができる。
【0040】
様々な他の固体支持体が利用される他の実施形態もまた考えられ、そしてこれらもまた本発明の範囲内である。例えば、欧州特許公開第0 326 100号および同第0 406 473号に記載されている負荷電ポリマーとの固定化が可能な反応複合体を固定化するためのイオン捕捉手順を本発明に従って用いて、迅速な液相免疫化学的反応を行うことができる。固定化可能な免疫複合体は、負荷電ポリアニオン/免疫複合体と、前処理された正荷電の多孔性マトリックスとのイオン的相互作用によって反応混合物の残りから分離され、そして欧州特許公開第0 273 115号に記載されているような化学発光シグナル測定に記載されているシステムを含む、前記の様々なシグナル生成システムを使用することによって検出される。
【0041】
さらに、本発明の方法は、自動化システムおよび半自動化システムを含むマイクロパーティクル技術を利用するシステムにおける使用に適合させることができる:この場合、固相はマイクロパーティクル(磁気または非磁気)を含む。そのようなシステムには、米国特許第5,089,424号および同第5,244,630号(それぞれ、1992年2月18日発行および1993年9月14日発行)に記載されているシステムが含まれる。
【0042】
走査プローブ顕微鏡(SPM)を免疫アッセイのために使用することもまた、本発明のモノクローナル抗体を容易に適合させることができる技術である。走査プローブ顕微鏡において、特に原子間力顕微鏡において、捕捉相(例えば、少なくとも1つの本発明のモノクローナル抗体)を固相に付着させ、そして走査プローブ顕微鏡を利用して、固相の表面に存在し得る抗原/抗体の複合体が検出される。走査トンネル顕微鏡を使用することによって、抗原/抗体の複合体を検出するために多くの免疫アッセイシステムにおいて通常使用しなければならない標識に対する必要性がなくなる。SPMを使用して特定の結合反応をモニターすることは、多くの方法で行うことができる。1つの実施形態において、特異的な結合パートナー(本発明のモノクローナル抗体である分析物特異的物質)の1つが、走査するのに適切な表面に結合させられる。分析物特異的物質の結合は、当業者に知られている方法に従って、プラスチック表面または金属表面の固相を含む試験片に吸着させることによって行うことができる。あるいは、特異的な結合パートナー(分析物特異的物質)の、誘導体化したプラスチック、金属、シリコンまたはガラスの固相を含む試験片への共有結合的な結合を利用することができる。共有結合的な結合方法は当業者に知られており、これには、特異的な結合パートナーを試験片に可逆的に連結させるための様々な手段が含まれる。試験片がシリコンまたはガラスである場合、その表面は、特定の結合パートナーを結合させる前に活性化しなければならない。同様に、多価電解質の相互作用は、欧州特許公開0 322 100号および同第0 406 473号に記載されている技術および化学薬品を使用することによって特異的な結合パートナーを試験片の表面に固定化するために使用することができる。好ましい結合方法は、共有結合的な結合によって行われる。特異的な結合メンバーを結合させた後、その表面は、非特異的な結合を最小限にするために、血清、タンパク質または他のブロッキング剤などの物質でさらに処理することができる。表面はまた、それがアッセイ目的に適するかどうかを確認するために、製造部位または使用場所のいずれかにおいて調べることができる。そのような調査プロセスによって試験片の特異的な結合特性は変化しないことが予想される。
【0043】
本明細書中において使用されている用語「ヌクレオチド配列」または用語「核酸配列」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかで、任意の長さを有する任意のポリマー形態のヌクレオチドを意味することが理解される。この用語は、分子の一次構造を示す。従って、この用語には、二本鎖および一本鎖のDNAならびに二本鎖および一本鎖のRNAが含まれる。この用語はまた、例えば、メチル化および/またはキャッピング化による修飾体、および未修飾形態のポリヌクレオチドが含まれる。
【0044】
本明細書中において使用されている用語「プライマー」は、標的ヌクレオチド配列に相補的な特異的オリゴヌクレオチド配列を意味することが理解される。プライマーは、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションすることができ、そしてDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素によって触媒されるヌクレオチド重合の開始点として作用することができる。
【0045】
核酸フラグメントに言及される場合、そのようなフラグメントは、検出の直線性の範囲において、ハイブリダイゼーションにより、HEVのUS型、US亜型またはその変異型とは異なる等量のポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションから得られるシグナルに比べてより強いシグナルが得られる場合、HEVのUS型またはUS亜型のポリヌクレオチドまたはその変異型に対して「特異的にハイブリダイゼーションする」と見なされ、すなわち「特異的に結合する」と見なされる。別のシグナルよりも「強い」シグナルは、特定の検出方法によるそれ以外のシグナルを上まわる測定可能なシグナルである。
【0046】
同様に、核酸フラグメントに言及される場合、核酸フラグメントが下記の条件のもとで特異的にハイブリダイゼーションする場合、そのようなフラグメントは特異的なハイブリダイゼーション条件のもとでハイブリダイゼーションすると見なされる:(i)典型的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件、例えば、Maniatis(第1版、387頁〜389頁、1982年)に記載されている条件など、この場合、好ましいハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェンシーがより低い条件であり、そしてより好ましくは、より大きなストリンジェンシーの条件;あるいは(ii)標準的なPCR条件(Saiki,R.K.ら)または「タッチダウン」PCR条件(Roux,K.H.、(1994)、Biotechniques、16:812〜814)である。
【0047】
本明細書中において使用されている用語「プローブ」は、相補的な配列を有するサンプル中に存在する特定のDNAまたはRNAを同定するために使用することができる配列を含有する任意のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ(例えば、PNA)を意味することが理解される。
【0048】
本明細書中において使用されている用語「PNA」は、標的の存在を決定するために本明細書中に記載されているアッセイなどの手順において利用することができるペプチド核酸アナログを意味するために使用されている。「MA」は、標的の存在を決定するために本明細書中に記載されているアッセイなどの手順において利用され得る「モルホリノアナログ」を示す。例えば、米国特許第5,378,841号を参照のこと(これは参考として本明細書中に援用される)。PNAは、典型的には、RNA標的またはDNAに指向し得る中性電荷の分子である。例えば、本発明のDNAプローブの代わりにアッセイにおいて使用されるPNAプローブにより、DNAプローブが使用されたときに達成することができない利点が得られる。このような利点には、製造性、大規模な標識化、再現性、安定性、イオン強度の変化に対する不感性、およびDNAまたはRNAが利用される方法において存在する酵素的分解に対する耐性が含まれる。このようなPNAは、フルオレセイン、放射性ヌクレオチド、化学発光化合物などのようなシグナル生成化合物で標識することができる。従って、PNAまたは他の核酸アナログ(MAなど)は、DNAまたはRNAの代わりにアッセイ方法で使用することができる。DNAプローブを利用するアッセイが本明細書中に記載されているが、PNAまたはMAは、それらがアッセイ試薬において必要な場合およびアッセイ試薬において必要とされるような適切な変化とともにRNAまたはDNAの代わりになり得ることは通常作業の範囲である。
【0049】
核酸フラグメントに言及する場合、検出の直線性の範囲において、ハイブリダイゼーションにより、HEVのUS型、US亜型またはその変異型以外の等量のポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションから得られるシグナルに比べ、より強いシグナルが得られる場合、そのようなフラグメントは、HEVのUS型またはUS亜型のポリヌクレオチドまたはその変異型に対して「特異的にハイブリダイゼーションする」と見なされ、すなわち「特異的に結合する」と見なされる。別のシグナルよりも「強い」シグナルは、特定の検出方法によってそれ以外のシグナルよりも大きい測定可能なシグナルである。
【0050】
同様に、核酸フラグメントに言及する場合、核酸フラグメントが下記の条件のもとで特異的にハイブリダイゼーションする場合、そのようなフラグメントは特異的なハイブリダイゼーション条件のもとでハイブリダイゼーションすると見なされる:(i)典型的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件、例えば、Maniatis(第1版、387頁〜389頁、1982年)に記載されている条件など、この場合、好ましいハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェンシーがより低い条件であり、そしてより好ましくは、より大きなストリンジェンシーの条件である;あるいは(ii)標準的なPCR条件(Saiki,R.K.ら)または「タッチダウン」PCR条件(Roux,K.H.、(1994)、Biotechniques、16:812〜814)。
【0051】
II.検出方法および試薬
本発明の検出方法には、下記に詳述される様々なタンパク質系アッセイまたは核酸系アッセイを用いることができると考えられる。
【0052】
ウイルスまたはそのマーカーを検出するための試薬は、抗US型E型肝炎ウイルス抗体および/または抗US亜型E型肝炎ウイルス抗体、US型特異的ポリペプチドおよび/またはUS亜型特異的ポリペプチド、あるいはUS型E型肝炎ウイルスゲノムおよび/またはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定する核酸またはその相補核酸配列のいずれかであり得ると考えられる。
【0053】
II.(i)タンパク質系アッセイ
A.マーカー抗体:ウイルスマーカーが、目的とする個体の血流中を循環している抗US型またはUS亜型の特異的抗体(例えば、IgGまたはIgM)分子である場合、結合パートナーは、好ましくは、マーカーに特異的に結合するエピトープを規定するポリペプチドである。
【0054】
抗US型E型肝炎ウイルス抗体または抗US亜型E型肝炎ウイルス抗体の試験サンプル中での存在を検出するための好ましいプロトコルにおいて、このプロトコルは、好ましくは下記の工程含む:(a)少なくとも5個、より好ましくは少なくとも8個、さらにより好ましくは少なくとも15個、最も好ましくは25個の連続したアミノ酸残基を含み、抗体により結合可能な免疫学的に反応し得るUS型特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型特異的ポリペプチド鎖を含む抗原を提供する工程;(b)抗原を、抗体−抗原の複合体の形成を可能にする条件のもとで試験サンプルとインキュベーションする工程;および(c)複合体の存在を検出する工程。
【0055】
多くの異なるUS型特異的ポリペプチドまたはUS亜型特異的ポリペプチドは、抗US型抗体または抗US亜型抗体を検出するための結合パートナーとして有用であり得ると考えられる。例えば、このようなポリペプチド鎖は、配列番号91、配列番号92または配列番号93によって規定されるアミノ酸配列、あるいは配列番号91、配列番号92または配列番号93に示されるポリペプチドの少なくとも5個、より好ましくは少なくとも8個、さらにより好ましくは少なくとも15個、最も好ましくは25個の連続したアミノ酸残基であって、ビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応アミノ酸配列と比較したときに特徴的なアミノ酸配列を表すアミノ酸残基を含むその免疫学的に反応し得るフラグメントであり得ると考えられる。本明細書中において使用されているビルマ株ファミリー(すなわち、「ビルマ株様」株)には、現在、B1、B2、I1、I2、C1、C2、C3、C4およびP1として本明細書中で示される株が含まれ、メキシコ株ファミリーには、現在のところM1株が含まれる。
【0056】
結合パートナーは、配列番号91、配列番号92および配列番号93によって規定されるポリペプチドならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリペプチドであり得ると考えられる。配列番号91によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号92の残基1〜1698に対して少なくとも84%の同一性、好ましくは少なくとも86%の同一性、より好ましくは少なくとも89%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号92によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号91の残基1〜660に対して少なくとも93%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも98%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号93によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号93の残基1〜122に対して少なくとも85.4%の同一性、好ましくは少なくとも87.4%の同一性、より好ましくは少なくとも90.4%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。
【0057】
さらに、結合パートナーは、ORF1の配列の一部によってコードされるポリペプチドであり得ると考えられる。このORF1の配列によってコードされるタンパク質には、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼ、Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領域タンパク質、およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質が含まれる。従って、有用なメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号91の残基1〜231に対して、好ましくは少なくとも92.3%の同一性、より好ましくは少なくとも94.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも97.3%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なプロテアーゼタンパク質は、配列番号91の残基424〜697に対して、好ましくは少なくとも70.3%の同一性、より好ましくは少なくとも72.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも75.3%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なYドメインタンパク質は、配列番号91の残基207〜424に対して、好ましくは少なくとも94.6%の同一性、より好ましくは少なくとも96.6%の同一性、最も好ましくは少なくとも99.6%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なXドメインタンパク質は、配列番号91の残基789〜947に対して、好ましくは少なくとも83.4%の同一性、より好ましくは少なくとも85.4%の同一性、最も好ましくは少なくとも88.4%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なヘリカーゼタンパク質は、配列番号91の残基965〜1197に対して、少なくとも92%の同一性、より好ましくは少なくとも94%の同一性、最も好ましくは少なくとも93%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用な超可変領域タンパク質は、配列番号91の残基698〜788に対して、少なくとも28.7%の同一性、より好ましくは少なくとも30.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも33.7%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なRNA依存性RNAポリメラーゼは、配列番号91の残基1212〜1698に対して、少なくとも88.8%の同一性、より好ましくは少なくとも90.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも93.8%の同一性を有すると考えられる。
【0058】
さらに、結合パートナーは、配列番号166、配列番号167または配列番号168によって規定されるアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖、あるいは配列番号166、配列番号167または配列番号168に示されるポリペプチド鎖の5個の連続したアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個の連続したアミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも25個の連続したアミノ酸残基であって、ビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴的なアミノ酸配列を示すアミノ酸残基を含有するその免疫学的に活性なフラグメントであり得ると考えられる。同様に、結合パートナーは、配列番号166、配列番号167および配列番号168ならびにそのその天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリペプチドであり得ると考えられる。配列番号166によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号166の残基1〜1708に対して少なくとも83.9%の同一性、好ましくは少なくとも85.9%の同一性、より好ましくは少なくとも88.9%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号167によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号167の残基1〜660に対して少なくとも93%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号168によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号168の残基1〜122に対して少なくとも85.4%の同一性、好ましくは少なくとも87.4%の同一性、より好ましくは少なくとも90.4%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。
【0059】
さらに、結合パートナーは、HEV US−2のORF1の一部によってコードされるポリペプチドであり得ると考えられる。これには、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼ、Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領域タンパク質、およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質、またはその変異型が含まれる。従って、有用なメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号166の残基1〜240に対して、好ましくは少なくとも92.7%の同一性、より好ましくは少なくとも94.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも97.7%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なプロテアーゼタンパク質は、配列番号166の残基433〜706に対して、好ましくは少なくとも69.6%の同一性、より好ましくは少なくとも71.6%の同一性、最も好ましくは少なくとも74.6%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なYドメインタンパク質は、配列番号166の残基216〜433に対して、好ましくは少なくとも94.6%の同一性、より好ましくは少なくとも96.6%の同一性、最も好ましくは少なくとも99.6%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なXドメインタンパク質は、配列番号166の残基799〜957に対して、好ましくは少なくとも82.8%の同一性、より好ましくは少なくとも84.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも87.8%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なヘリカーゼタンパク質は、配列番号166の残基975〜1207に対して、好ましくは少なくとも92.8%の同一性、より好ましくは少なくとも94.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも97.8%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用な超可変領域タンパク質は、配列番号166の残基707〜798に対して、少なくとも27%の同一性、より好ましくは少なくとも29%の同一性、最も好ましくは少なくとも31%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なRNA依存性RNAポリメラーゼは、配列番号166の残基1222〜1708に対して、少なくとも88.7%の同一性、より好ましくは少なくとも90.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも93.7%の同一性を有すると考えられる。
【0060】
US型特異的エピトープまたはUS亜型特異的エピトープの同定に関して、US型E型肝炎ウイルスゲノムまたはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定する核酸配列および/またはそのようなゲノムの一部によってコードされるアミノ酸配列を所有している当業者は、この分野でよく知られ、そして十分に議論されている従来の技術を使用してエピトートと考えられる部位の位置を決めることができると考えられる。ある配列においてエピトープと考えられる部位を同定する市販のソフトウエアを使用することに加えて、そのようなゲノムによってコードされるアミノ酸配列を、抗原性部位が既に明らかにされている他のHEV株のゲノムによってコードされる配列と比較することによって潜在的なエピトープを同定することができる。例えば、米国特許第5,686,239号、同第5,741,490号および同第5,770,696号を参照のこと。現在同定されているエピトープを図1に示す。これには、この分野で、8−5(配列番号93および配列番号168)、4−2(配列番号93および配列番号168の90位〜122位)、SG3(配列番号175および配列番号176)、3−2(配列番号92および配列番号167の613位〜654位)、および3−2e(配列番号92および配列番号167の613位〜660位)として示されるエピトープが含まれる。抗原性指数を計算するための方法は、JamesonおよびWolfによって記載されている(CABIOS、4(1)、181〜186[1988])。
【0061】
例えば、目的とする2つのエピトープが下記に詳しく記載されているが、これらは3−2eおよび4−2として示される:3−2eおよび4−2は、それぞれ、E型肝炎ゲノムのORF2およびORF3の一部によってコードされる。これらのエピトープは、HEVのビルマ株において同定され(B3−2e(配列番号172)およびB4−2(配列番号171)として下記では示され)、そしてHEVのメキシコ株において同定された(M3−2e(配列番号170)およびM4−2(配列番号169)として下記では示される)。類似するエピトープが、HEV US−1において、アミノ酸配列の比較に基づいて同定され、これらはU3−2e(配列番号174)およびU4−2(配列番号173)として示される。類似するエピトープが、HEV US−2において、同様にアミノ酸配列の比較に基づいて同定され、これらはUS−2 3−2e(配列番号223)およびUS−2 4−2(配列番号224)として示される。
【0062】
さらに、潜在的なエピトープは、この分野でよく知られ、そして十分に記載されているスクリーニング手順を使用して同定することができる。例えば、HEV US−1ゲノムまたはHEV US−2ゲノムの全体または一部のいずれかを規定する核酸配列に基づいて、発現させた後にスクリーニングしてエピトープを同定することができる発現ライブラリーを作製することができる。例えば、HEV US−1ゲノムまたはHEV US−2ゲノムを表す核酸フラグメントをλgt11発現ベクターにクローニングして、λgt11ライブラリー(例えば、cDNAライブラリー)を作製することができる。次いで、このライブラリーは、HEV US−1またはHEV US−2に感染していると同定された感染者から得られた血清と特異的に結合することができるコードされたエピトープについてスクリーニングされる。例えば、Glover(1985)の「DNA Cloning Techniques,A Practical Approach」(IRL Press、49頁〜78頁)を参照のこと。典型的には、約10個〜10個のファージがスクリーニングされる。この中から陽性ファージの同定および精製を行い、次いで、HEV US−1またはHEV US−2に以前に感染した異なる個体から得られた血清に対する結合特異性について試験される。そのような個体から得られた血清または血漿に存在する抗体に選択的に結合するファージを選択して、さらなる特徴づけが行われる。一旦同定されると、目的とするアミノ酸配列は、この分野でよく知られ、そして十分に記載されている従来の組換えDNA方法論を使用することによって、あるいは従来のペプチド合成方法論によって大規模に得ることができる。
【0063】
b.マーカーポリペプチド:マーカーがUS型ウイルスまたはUS亜型ウイルスあるいはその特異的ポリペプチドである場合、本発明の実施において有用な結合パートナーは、好ましくは、ウイルスまたはマーカーポリペプチドの表面にあるエピトープに結合する抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)であることが考えられる。結合パートナーは、検出可能な部分で標識することができ、あるいは固体支持体に固定化することができる。特に、この実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、長さが好ましくは5個の連続したアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも25個の連続したアミノ酸残基であり、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーにおいて見出される対応するアミノ酸配列に関して特徴的であるUS型特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型特異的ポリペプチド鎖に特異的に結合することができる。
【0064】
本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号91、配列番号92および配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配列に比べて、そのようなポリペプチド鎖のより大きな結合親和性を有する。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号173または配列番号175に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号169または配列番号171に示されるアミノ酸配列あるいは配列番号175に対応するビルマ株およびメキシコ株の領域に対して、好ましくはより小さい親和性を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。同様に、本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号174または配列番号176に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号170または配列番号172に示されるアミノ酸配列あるいは配列番号176に対応するビルマ株およびメキシコ株の領域に対して、好ましくはより小さい親和性を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。
【0065】
同様に、本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号166、配列番号177および配列番号168ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配列に比べて、そのようなポリペプチド鎖のより大きな結合親和性を有すると考えられる。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号223に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号170または配列番号172に示されるアミノ酸配列に対して、好ましくはより小さい親和性を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。同様に、本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号169または配列番号171に示されるアミノ酸配列に対して、好ましくはより小さい親和性を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。
【0066】
本明細書中に記載されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、US型特異的抗原またはUS亜型特異的抗原を検出するために個々に提供され得る。本明細書中において提供される抗体(およびその抗原結合性フラグメント)の組合せもまた、US型特異的抗原またはUS亜型特異的抗原に対して異なる結合親和性をともに有する少なくとも2つの抗体の混合物または「カクテル」における成分として一緒に使用することができる。
【0067】
c.抗体の産生:US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF1配列、ORF2配列および/またはORF3配列の少なくとも一部を規定する核酸配列あるいはそれによってコードされるアミノ酸配列を所有する当業者は、この分野でよく知られ、そして十分に記載されている技術を使用して特異的な抗体を作製することができると考えられる。例えば、Practical Immunology(Butt,N.R.編、Marcel Dekker、NY、1984)を参照のこと。簡単に記載すると、単離された標的タンパク質は、異種の宿主(マウス、ブタ、ヤギその他の適切な動物)で抗体を惹起させるために使用される。好ましい抗体は、標的タンパク質上のエピトープに特異的に結合する抗体であって、そのようなエピトープに関して、好ましくは10−1よりも大きな結合親和性を有し、最も好ましくは10−1よりも大きな結合親和性を有する抗体である。典型的には、標的タンパク質は、宿主での抗体産生を高めることができる適切なアジュバントと一緒にされ、そして、例えば、腹腔内投与によって宿主に注射される。宿主の免疫応答を刺激するのに適切な任意のアジュバントを都合よく使用することができる。一般に使用されているアジュバントは、フロインド完全アジュバントである(例えば、Calbiochem Corp.(San Diego、CA)またはGibco(Grand island、NY)から得られる殺傷して乾燥した微生物細胞を含むエマルション)。多数回の抗原注射が所望される場合、その後の注射には、不完全アジュバント(例えば、無細胞エマルション)と組み合わせた抗原が含まれる。
【0068】
ポリクローナル抗体は、目的とするタンパク質に対する抗体を含む血清を分離することによって、抗体を産生する宿主から単離することができる。モノクローナル抗体は、所望する抗体を産生する宿主細胞を単離し、免疫学の分野で知られている標準的な技術(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature(1975)256:495を参照のこと)を使用してこれらの細胞をミエローマ細胞と融合し、そして標的タンパク質と特異的に反応し、かつ所望する結合親和性を有するハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)についてスクリーニングすることによって得ることができる。
【0069】
さらに、小さなペプチドが使用される場合、その免疫原性は、固体支持体に結合することによって高めることができると考えられる。例えば、ポリペプチドのエピトープまたは抗原性領域または抗原性フラグメントは、一般に比較的小さく、長さが約8個〜10個以下のアミノ酸を含む程度である。3個程度の少数のアミノ酸のフラグメントによって、抗原性領域が特徴付けされることがある。このようなポリペプチドは、提供された目的のポリペプチドが、正しいエピトープが得られるようにフォールディングされるが、非常に小さいために抗原性でない場合には、適切な担体分子に連結させることができる。
【0070】
その使用に関して好ましい連結試薬および方法は、この分野ではよく知られている。このような試薬には、N−スクシンイミジル−3−(2−ピルジルチオ)プロピオナート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、スルフヒドリル基を有さないポリペプチドは、システイン残基を付加することによって修飾することができる。これらの試薬により、自分自身とタンパク質上のペプチドのシステイン残基との間のジスルフィド結合、およびリシンのε−アミノ基またはそれ以外の他の遊離アミノ基によるアミド結合が得られる。様々なそのようなジスルフィド/アミド形成試薬が知られている。他の二官能基性カップリング剤は、ジスルフィド結合よりもむしろ、チオエステルを形成する。このようなチオエーテル形成剤の多くは市販されており、当業者に知られている。カルボキシル基は、スクシンイミドまたは1−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルホン酸のナトリウム塩と一緒にすることによって活性化することができる。宿主にとって有害な抗体の産生を自身では誘導しない任意の担体を使用することができる。好適な担体には、特に、タンパク質、多糖類(例えば、ラテックスで官能基化したセファロース、アガロース、セルロースなど)、セルロースビーズ、ポリマー状アミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリシンなど)、および非酸コポリマー、および不活性なウイルス粒子が含まれる。タンパク質基体の例には、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、および当業者に知られているさらに他のタンパク質が含まれる。
【0071】
さらに、生合成された抗体結合ドメイン(この場合、結合ドメインのアミノ酸配列は、好ましいエピトープに対する結合親和性を高めるために操作されている)もまた、本発明の実施において有用であり得ると考えられる。その調製の詳細な説明は、例えば、Practical Immunology(ButtW.R.編、Marcel Dekker、New York、1984)に見出すことができる。任意に、FabフラグメントまたはFab’フラグメントなどの一価の抗体フラグメントを利用することができる。さらに、遺伝子工学的に生合成された抗体結合部位を利用することができる。これには、例えば、米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号に開示されているように、1)非共有結合的会合またはジスルフィド結合の合成されたVダイマーおよびVダイマー、2)共有結合的に連結されたV−Vの単鎖結合部位、3)個々のVダイマーまたはVダイマー、あるいは4)単鎖抗体の結合部位のいずれかが含まれる。
【0072】
US型E型肝炎ウイルス特異的エピトープまたはUS亜型E型肝炎ウイルス特異的エピトープと結合する無傷な抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)、抗体フラグメントまたは生合成された抗体結合部位は、診断および予後の適用において有用であり、そして受動的な免疫療法においても有用であると考えられる。
【0073】
d.アッセイ様式:抗US型E型肝炎ウイルス特異的抗体または抗US亜型E型肝炎ウイルス特異的抗体、あるいはUS型E型肝炎ウイルス特異的エピトープまたはUS亜型E型肝炎ウイルス特異的エピトープに対して惹起された抗体を含有する血清と免疫学的に反応する2つのポリペプチドは、目的とする試験サンプルにおけるそのようなウイルスの存在を検出するための免疫アッセイにおいて有用であると考えられる。さらに、試験サンプルにおけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在は、この分野で現在知られており、そして十分に記載されている広範囲の免疫アッセイ技術(例えば、直接的なアッセイ、サンドイッチアッセイおよび/または競合アッセイ)のいずれかを使用して検出することができると考えられる。様々な好ましいアッセイ様式を下記に詳しく説明する。
【0074】
1つの好ましい様式において、サンドイッチ様式がアッセイで用いられる。サンドイッチ免疫アッセイは、典型的には、良好な検出限界を有する標識が使用される場合、特異性が高く、非常に高感度である。免疫学的アッセイの設計、理論およびプロトコルの詳細な総説は、Practical Immunology(Butt,W.R.編、Marcell Dekker、New York、1984)を含むこの分野での数多くの書籍に見出すことができる。
【0075】
サンドイッチ様式の1つのタイプにおいては、固体支持体に固定化され、そして抗US型または抗US亜型のE型肝炎ウイルス抗体(マーカー)と免疫学的に反応し得るポリペプチド(結合パートナー)を、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに感染していることが疑われる個体から得られた試験サンプルと接触させて混合物にする。次いで、この混合物を、ポリペプチド/抗体の複合体が形成されるのに十分な時間および条件のもとでインキュベーションする。次いで、試験サンプルの抗体に特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体またはそのフラグメントを含み、そして検出可能な部分で標識された指示試薬を、抗原/抗体の複合体と接触させて第2の混合物にする。次いで、この第2の混合物を、抗原/抗体/抗体の複合体が形成されるのに十分な時間および条件のもとでインキュベーションする。試験サンプルにおける抗US型E型肝炎抗体または抗US亜型E型肝炎抗体の存在は、そのような抗体が存在する場合には固体支持体に固定化された検出可能な部分の存在によって決定される。試験サンプルに存在する抗体の量は、生成したシグナルに比例する。ビオチンおよび抗ビオチン、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトアビジンなどを使用することによって、本明細書中に記載されているアッセイシステムにおける生成シグナルを高めることができる。
【0076】
上記アッセイの代替的な様式において、免疫学的に反応し得るポリペプチドは、固体支持体に、「間接的に」、すなわち、そのようなポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体またはそのフラグメントによって固定化することができる。あるいは、別の様式において、アッセイ成分は、試験サンプルの抗体と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、すなわち、マーカー抗体(例えば、IgGまたはIgM)が固体支持体に固定化され、そして抗体/抗体の複合体の形成を可能にするのに十分な時間および条件のもとで試験サンプルと接触させられるように逆の形態で使用することができる。次いで、指示試薬(例えば、捕捉された試験サンプルの抗体と免疫学的に反応することができ、そして検出可能な部分で標識されたUS型E型肝炎ポリペプチドまたはUS亜型E型肝炎ポリペプチド)を、抗体/抗体/抗原の複合体の形成を可能にするのに十分な時間および条件のもとで抗体/抗体の複合体とインキュベーションして、第2の混合物にする。上記のように、固体支持体に固定化された捕捉抗体またはその抗原結合フラグメントによって捕捉された試験サンプル中の抗体の存在は、それが存在する場合には検出可能な部分により生成した測定可能なシグナルを検出することによって決定することができる。
【0077】
上記のサンドイッチアッセイはまた、上記のアッセイ形態の日常的な改変によって、試験サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスあるいはその免疫学的に反応し得るポリペプチドの存在について試験するために使用できると考えられる。そのような改変は当業者には十分に知られていると考えられる。
【0078】
上記のサンドイッチアッセイに加えて、競合的アッセイもまた本発明の実施において用いることができると考えられる。この様式においては、US型E型肝炎特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型E型肝炎特異的ポリペプチド鎖に特異的に結合する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)の1つまたは少なくとも2つの抗体の組合せを、US型特異的タンパク質またはUS亜型特異的タンパク質に対する抗体を検出するための競合プローブとして用いることができる。例えば、マーカーの結合パートナーとして作用する第1のHEV US−1に特異的なポリペプチド鎖(本明細書中に開示されているポリペプチドの1つなど)は固体支持体に固定化される。次いで、HEV US−1抗原に対する抗体を含有することが疑われる試験サンプルは、例えば、固定化されたHEV US−1特異的ポリペプチド鎖と結合し、そして検出可能な部分で標識されている単離された抗US型抗体または抗US亜型抗体を含む指示試薬と一緒に、固体支持体に固定化された抗原/抗体の複合体が得られるのに十分な時間および条件のもとで、固体支持体とインキュベーションされる。マーカー抗体が試験サンプルに存在する場合、マーカー抗体は、固定化されたポリペプチドと結合することに関して、標識された指示試薬と競合する。試験サンプル中に存在するマーカー抗体の量が大きくなると、固定化されたポリペプチドと結合する標識された指示試薬の量は減少する。固相に結合した指示試薬の量の減少を定量することができる。非A非B非C非D非E型肝炎に関して陰性であることが確認された試験サンプルから生成するシグナルと比較して、シグナルの測定可能な減少はまた、試験サンプル中に抗HEV US−1抗体が存在していることを示している。同様なプロトコルを使用して、US型またはUS亜型のクラスに含まれる他のE型肝炎ウイルスの試験サンプル中での存在を同定することができると考えられる。
【0079】
さらに別の検出方法においては、本発明の抗体を用いて、固定された組織切片ならびに固定された細胞におけるUS型E型肝炎特異的抗原またはUS亜型E型肝炎特異的抗原の存在を免疫組織化学的分析によって検出することができる。このような抗体が検出可能な部分(例えば、フルオレセイン、コロイド状金、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)で直接的に標識され、あるいは、例えば、検出可能な部分で標識された二次抗体によって間接的に標識された細胞化学的分析もまた、本発明の実施において使用することができる。
【0080】
別のアッセイ様式において、抗体および/または抗原の存在は、例えば、欧州特許公開第0 473 065号に記載されているような同時アッセイによって検出することができる。例えば、試験サンプルを、(i)第1の分析物に対する捕捉試薬(この場合、捕捉試薬は、固体支持体に固定化された第1の分析物に特異的な第1の結合メンバーを含む)、および(ii)第2の分析物に対する捕捉試薬(この場合、捕捉試薬は、第2の異なる固体支持体に固定化された第2の分析物に対する第1の結合メンバーを含む)と同時に接触させて、混合物を得る。次いで、この混合物は、捕捉試薬/第1の分析物の複合体および捕捉試薬/第2の分析物の複合体が形成されるのに十分な時間および/または条件のもとでインキュベーションされる。次いで、そのように形成された複合体を、検出可能な部分で標識された第1の分析物に特異的な結合対のメンバーを含む第1の指示試薬、および検出可能な部分で標識された第2の分析物に特異的な結合対のメンバーを含む第2の指示試薬と接触させて、第2の混合物を得る。次いで、第2の混合物は、捕捉試薬/第1の分析物/第1の指示試薬の複合体と、捕捉試薬/第2の分析物/第2の指示試薬の複合体との両方が得られるのに十分な時間および条件のもとでインキュベーションされる。1つまたは複数の分析物の存在は、試験サンプル中における1つまたは複数の分析物の存在を示すものとして一方または両方の固相に形成された複合体によって生じるシグナルを検出することにより決定される。
【0081】
別のアッセイシステムは、特異的な抗体およびウイルスタンパク質(ペプチドなど)との接触によって、ウイルスゲノム(またはそのフラグメント)を包み込むUS型またはUS亜型のE型肝炎ウイルス粒子またはウイルスの部分構造粒子と特異的に結合する抗体を用いることができる。次いで、捕捉された粒子は、ウイルスゲノムが試験サンプル中に存在するかどうかを決定するために、LCRまたはPCRなどの方法によって分析することができる。そのような抗原捕捉増幅方法を利用することの利点は、ウイルスゲノムが、特異的な抗体を使用することによって試験検体中の他の分子から分離できることである。そのような方法は、欧州特許公開第0 672 176号(1995年9月20日公開)に記載されている。
【0082】
一般に、免疫アッセイを設計するときの検討事項には、非特異的な相互作用の生成物から確実に区別することができる複合体が得られるように、標的タンパク質に対する十分に大きな結合特異性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント)の調製が含まれる。典型的には、抗体の結合特異性が大きいほど、より低い濃度の標的を検出することができる。
【0083】
本発明のポリペプチドおよび抗体はともに、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスから得られる抗原の存在、あるいはそれらに結合する抗体の存在のいずれかを検出するために、本明細書中に記載されているアッセイ法を発展させるために使用することができる。免疫アッセイにおけるそれらの使用に加えて、上記のポリペプチドは、単独で、あるいはアジュバントと組み合わせて、実験室動物での抗体産生における使用のために使用することができ、あるいは同様に、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、個体の予防的免疫化または治療的免疫化のいずれかのためのワクチンとして使用できると考えられる。さらに、免疫アッセイにおける使用に加えて、本発明の抗体は、例えば、個体の能動的免疫化、治療的免疫化または予防的免疫化において使用される薬学的に許容可能な担体と組み合わせて使用することができると考えられる。後者のこれらの使用は、下記の第(III)節に詳述される。本発明の抗体はまた、治療的使用または他の類似する適用のキメラ抗体を作製するために使用することができる。
【0084】
適切な試薬を含有する免疫診断に好適なキットを、例えば、目的とする特異的なエピトープを規定するポリペプチドまたはそのようなエピトープと結合する抗体を含む適切な物質を適する容器に入れることにより組み立てることができる。さらに、このキットは、必要に応じて、さらなる試薬、例えば、適切な検出システムおよび緩衝液を含むことができる。
【0085】
さらに、このような抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)は、CNBr活性化セファロースに類似するマトリックスに結合させることができ、そして組換えおよび天然のウイルス抗原およびウイルスタンパク質が精製されるように、US型E型肝炎特異的タンパク質またはUS亜型E型肝炎特異的タンパク質を細胞培養物または生物学的組織(血液および肝臓など)からアフィニティー精製するために使用することができる。
【0086】
II.(ii)核酸系アッセイ
マーカーがUS型特異的ヌクレオチド配列またはUS亜型特異的ヌクレオチド配列である場合、結合パートナーはまた、好ましくは、マーカー配列またはその隣接領域に特異的にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列またはそのアナログであると考えられる。本明細書中に開示されている特徴的なポリヌクレオチド配列に基づいて、結合パートナーは、ビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーの対応するヌクレオチド配列と比較した場合に特徴的であるUS型特異的ヌクレオチド配列またはUS亜型特異的ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、例えば、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF1配列、ORF2配列またはORF3配列の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列またはそのアナログであり得ると考えられる。さらに、E型肝炎のビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのゲノムに比べて特徴的であるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのゲノムの非コード領域はまた、本発明の実施における有用なマーカーになり得ると考えられる。そのようなヌクレオチド配列(プライマーまたはプローブのいずれか)は、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅によるUS型特異的配列またはUS亜型特異的配列の検出を可能にする長さであり、そしてこの分野でよく知られ、そして十分に議論されている自動化されたオリゴヌクレオチド合成方法論を含む日常的で標準的な方法を使用して調製することができる。HEV US−1ゲノムの任意の特徴的な部分の相補体も十分である。完全な相補性は、プローブとして使用するためには望ましいが、フラグメントの長さが増大するに従って必要とされなくなることがある。
【0087】
同様に、結合パートナーは、標的配列に特異的にハイブリダイゼーションすることができ、そして好ましくは8個〜100個のヌクレオチドを含み、より好ましくは10個〜75個のヌクレオチドを含み、最も好ましくは15個〜50個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチド配列(例えば、DNA配列、RNA配列またはPNA配列)であり得ると考えられる。標的配列は、US型E型肝炎ウイルスゲノムまたはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定するヌクレオチド配列またはその相補的な配列であり得ることが理解される。ハイブリダイゼーション反応のために選択される特定のストリンジェントな条件は、一般には、結合パートナーの核酸配列と標的配列との相補性の程度、結合配列の組成および結合配列の長さに依存することがこの分野で知られている。ストリンジェントな条件を決定するためのパラメーターは、当業者にはよく知られており、あるいは標準的な書籍(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press、N.Y.、1989))から容易に確認されると考えられる。
【0088】
本明細書中において提供される配列を使用して、試験サンプルにおける核酸を検出するためのアッセイにおいて使用することができるプローブを作製することができる。このようなプローブは、目的とするポリヌクレオチドの保存的なヌクレオチド領域から、あるいは目的とするポリヌクレオチドの非保存的なヌクレオチド領域から設計することができる。アッセイにおいて最適なそのようなプローブの設計は当業者の技術の範囲である。一般に、核酸プローブは、最大限の特異性が所望される場合には非保存的領域または特徴的な領域から組み立てられ、そして例えば、多重遺伝子ファミリーの異なるメンバーに密接に関連し、あるいはマウスおよびヒトのような関連する種において密接に関連するヌクレオチド領域についてアッセイする場合には保存的な領域から組み立てられる。
【0089】
1つの好ましいプロトコルにより、試験サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在の有無を検出する方法が提供される。この方法は下記の工程を含む:(a)US型またはUS亜型の単離物に由来する少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド配列を含むプローブを提供する工程、ただし、この配列は、E型肝炎のビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーの他のメンバーに存在していない;(b)プローブとその相補体とのポリヌクレオチド二重鎖の形成を可能にする条件のもとで、プローブと、試験サンプル中に存在する非US型肝炎ポリヌクレオチド配列および非US亜型肝炎ポリヌクレオチド配列との実質的なポリヌクレオチド二重鎖の形成なしに、試験サンプルおよびプローブを接触させる工程;および(c)プローブを含有する何らかのポリヌクレオチド二重鎖の存在を検出する工程。
【0090】
好ましいヌクレオチド配列は、配列番号89のヌクレオチド残基1〜5097またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号89の1位〜5097位の残基に対して少なくとも73.3%の同一性、好ましくは少なくとも75.3%の同一性、より好ましくは少なくとも78.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号89の5132位〜7114位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号89の5132位〜7114位の残基に対して少なくとも87.4%の同一性、好ましくは少なくとも89.4%の同一性、より好ましくは少なくとも92.4%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号89の5094位〜5462位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号89の5094位〜5462位の残基に対して少なくとも88.3%の同一性、好ましくは少なくとも90.3%の同一性、より好ましくは少なくとも93.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。
【0091】
さらに、有用なヌクレオチド配列には、例えば、ORF1配列の一部であって、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼタンパク質、Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領域タンパク質およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質からなる群から選択されるタンパク質またはその変異型をコードするORF1配列の一部が含まれ得ると考えられる。従って、ORF1の有用なメチルトランスフェラーゼのコード領域は、配列番号89の残基1〜693に対して、好ましくは少なくとも78%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、最も好ましくは少なくとも83%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なプロテーゼのコード領域は、配列番号89の残基1270〜2091に対して、好ましくは少なくとも66.1%の同一性、より好ましくは少なくとも68.1%の同一性、最も好ましくは少なくとも71.1%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なYドメインのコード領域は、配列番号89の残基619〜1272に対して、少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも82%の同一性、最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なXドメインのコード領域は、配列番号89の残基2365〜2841に対して、少なくとも73.5%の同一性、より好ましくは少なくとも75.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも78.5%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なヘリカーゼのコード領域は、配列番号89の残基2893〜3591に対して、少なくとも77.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも79.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.5%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用な超可変領域のコード領域は、配列番号89の残基2092〜2364に対して、少なくとも51.2%の同一性、より好ましくは少なくとも53.2%の同一性、最も好ましくは少なくとも56.2%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なRNA依存性RNAポリメラーゼのコード領域は、配列番号89の残基3634〜5094に対して、少なくとも76.3%の同一性、より好ましくは少なくとも78.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.3%の同一性を有すると考えられる。
【0092】
好ましいヌクレオチド配列は、配列番号164のヌクレオチド残基36〜5162またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号164の36位〜5162位の残基に対して少なくとも73.6%の同一性、好ましくは少なくとも75.6%の同一性、より好ましくは少なくとも78.6%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号164の5197位〜7179位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号164の5197位〜7179位の残基に対して少なくとも80.7%の同一性、好ましくは少なくとも82.7%の同一性、より好ましくは少なくとも85.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号164の5159位〜5527位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号164の5159位〜5527位の残基に対して少なくとも87.9%の同一性、好ましくは少なくとも89.9%の同一性、より好ましくは少なくとも92.9%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる
さらに、有用なHEV US−2のヌクレオチド配列には、例えば、ORF1配列の一部であって、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼタンパク質、Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領域タンパク質およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質からなる群から選択されるタンパク質の少なくとも一部またはその変異型をコードするORF1配列の一部が含まれ得ると考えられる。従って、ORF1の有用なメチルトランスフェラーゼのコード領域は、配列番号164の残基36〜755に対して、好ましくは少なくとも79.5%の同一性、より好ましくは少なくとも81.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも84.5%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なプロテーゼのコード領域は、配列番号164の残基1332〜2153に対して、好ましくは少なくとも66.1%の同一性、より好ましくは少なくとも68.1%の同一性、最も好ましくは少なくとも71.1%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なYドメインのコード領域は、配列番号164の残基680〜1334に対して、少なくとも80.7%の同一性、より好ましくは少なくとも82.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも85.7%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なXドメインのコード領域は、配列番号164の残基2430〜2906に対して、少なくとも73.7%の同一性、より好ましくは少なくとも75.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも78.7%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なヘリカーゼのコード領域は、配列番号164の残基2958〜3656に対して、少なくとも76.4%の同一性、最も好ましくは少なくとも78.4%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.4%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用な超可変領域のコード領域は、配列番号164の残基2154〜2429に対して、少なくとも50.4%の同一性、より好ましくは少なくとも52.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも55.8%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なRNA依存性RNAポリメラーゼのコード領域は、配列番号164の残基3699〜5159に対して、少なくとも76.8%の同一性、より好ましくは少なくとも78.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.8%の同一性を有すると考えられる。
【0093】
他の有用なヌクレオチド配列には、配列番号93、配列番号168、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号223および配列番号224からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列およびそれらの相補的なヌクレオチド配列が含まれる。
【0094】
本明細書中に提供される核酸配列を使用して、試験サンプル中のUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を、従来の核酸系アッセイによって、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/またはブロットハイブリダイゼーション研究(下記に詳述される)によって決定できると考えられる。核酸系アッセイにおけるその使用に加えて、上記の核酸配列はベクターに組み込むことができ、その後、このベクターは目的とする宿主細胞(例えば、ワクシニアまたはマイコバクテリア)に形質転換またはトランスフェクションすることができると考えられる。次いで、得られた宿主細胞は、薬学的に許容可能な担体と組み合わせることができ、そして例えば、所定のUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して、予防的または治療的のいずれかで哺乳動物を免疫化するための組換えワクチンとして使用することができる。
【0095】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸またはその混合物に含有される所望の核酸配列(標的)を増幅するための技術である。PCRにおいて、1対のプライマーが、典型的には、標的核酸の相補的な鎖の外側端でハイブリダイゼーションするように過剰に用いられる。プライマーは、標的配列をテンプレートとして使用して、ポリメラーゼ(例えば、熱安定性ポリメラーゼ)によりそれぞれ伸長される。伸長産物は、最初の標的配列から解離した後に標的配列自体になる。次いで、新しいプライマーがハイブリダイゼーションして、ポリメラーゼにより伸長される。そのサイクルを繰り返して、標的配列分子の数を幾何級数的に増大させる。PCRは、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号に開示されている。
【0096】
リガーゼ連鎖反応(LCR)は、核酸増幅の代わりの方法である。LCRにおいて、2つの一次(第1および第2)プローブおよび二次(第3および第4)プローブを含むプローブ対が使用される:これらのプローブはすべて、標的核酸配列のモル過剰量で用いられる。第1プローブは標的鎖の第1のセグメントにハイブリダイゼーションし、第2プローブは標的鎖の第2のセグメントにハイブリダイゼーションする。この第1および第2のセグメントは隣接しており、その結果、これらの一次プローブは5’リン酸−3’ヒドロキシルの関係で互いに接し、そしてリガーゼはこの2つのプローブを共有結合的に融合または連結して、融合産物にすることができる。さらに、第3の(二次)プローブは第1のプローブの一部にハイブリダイゼーションすることができ、第4の(二次)プローブは、同様に接する様式で、第2のプローブの一部にハイブリダイゼーションすることができる。一次プローブの連結された鎖が標的配列から分離されると、それは、相補的な二次連結産物が得られるように連結され得る第3および第4のプローブとハイブリダイゼーションする。この連結産物は、標的またはその相補体のいずれかに対して機能的に等価である。ハイブリダイゼーションおよび連結のサイクルを繰り返すことによって、標的配列の増幅が達成される。この技術は、欧州特許公開EP−A−320 308(K.Backman;1989年6月16日公開)および同EP−A−439 182(K.Backmanら;1991年7月31日公開)に、より完全に記載されている。
【0097】
mRNAの増幅に関して、mRNAをcDNAに逆転写し、その後、ポリメラーゼ連鎖反応すること(RT−PCR);または米国特許第5,322,770号に記載されているように両工程に1つの酵素を使用すること;またはR.L.Marshallら(PCR Methods and Applications 4:80〜84(1994))により記載されているように、mRNAをcDNAに逆転写し、その後、非対称ギャップリガーゼ連鎖反応を行うこと(RT−AGLCR)は、本発明の範囲に含まれる。
【0098】
本明細書中において利用することができる他の知られている増幅方法には、下記の方法が含まれるが、これらに限定されない:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874〜1878(1990)に記載され、そしてNature 350(No.6313):91〜92(1991)にも記載されているいわゆる「NASBA」または「3SR」技術;欧州特許公開EP4544610に記載されているQ−β増幅;ストランド排除増幅(G.T.Walkerら、Clin.Chem.42:9〜13[1996];および欧州特許EP684315);およびPCT国際特許公開WO9322461により記載されているような標的媒介増幅。
【0099】
1つの実施形態において、本発明は、一般に、標的ポリヌクレオチド配列を含有することが疑われる試験サンプルを、アンプリコン配列の内部領域とハイブリダイゼーションすることができる検出プローブと、増幅プライマーとを含む増幅反応試薬と接触させる工程を含む。本明細書中の方法に従って用いられるプローブおよびプライマーは捕捉標識および検出標識で標識される:この場合、プローブは任意のタイプの標識で標識され、そしてプライマーは、それとは異なる標識で標識される。さらに、プライマーおよびプローブは、プローブ配列がプライマー配列よりも低い融解温度を有するように選択される。増幅試薬、検出試薬および試験サンプルは増幅条件のもとに置かれ、それによって、標的配列の存在下で標的配列(アンプリコン)の複数のコピーが得られる。次いで、二本鎖のアンプリコンを熱的に変性して、一本鎖のアンプリコンメンバーにする。一本鎖のアンプリコンメンバーが形成されると、混合物を冷却して、プローブと一本鎖のアンプリコンメンバーとの複合体を形成させる。
【0100】
プローブ/一本鎖のアンプリコンメンバーのハイブリッドが形成された後にハイブリッドを検出する。標準的な不均一アッセイ様式は、プライマーおよびプローブに存在する検出標識および捕捉標識を使用してハイブリッドを検出するのに好適である。ハイブリッドは、捕捉標識によって固相試薬に結合させることができ、そして検出標識によって検出することができる。検出標識が直接的に検出できる場合、固相上のハイブリッドの存在は、必要に応じて標識により検出可能なシグナルを生成させて、そのシグナルを検出することによって検出することができる。標識が直接的に検出できない場合、捕捉されたハイブリッドを、直接的に検出することができる標識に結合させた結合メンバーを一般に含む複合体と接触させることができる。複合体は複合体に結合し、そして複合体上の複合体の存在は、直接的に検出できる標識を用いて検出することができる。このようにして、固相上のハイブリッドの存在を決定することができる。当業者は、洗浄工程を用いて、ハイブリダイゼーションしなかったアンプリコンまたはプローブならびに未結合の複合体を洗い流すことができることを認識している。
【0101】
標的配列を検出するための試験サンプルは、サンプルを入手し、そして必要に応じて、それに含有される何らかの細胞を破壊して標的核酸を遊離させることなどによるこの分野でよく知られている方法論を使用して調製することができる。PCRがこの方法で用いられる場合、標的配列の末端は通常知られている。LCRまたはその増幅が好ましい方法で用いられる場合、標的配列の全体は通常知られている。典型的には、標的配列は、例えば、RNAまたはDNAなどの核酸配列である。
【0102】
プライマーおよびプローブの長さは変化させることができるが、プローブ配列は、それらがプライマー配列よりも低い融解温度を有するように選択される。従って、プライマー配列は、一般に、プローブ配列よりも長い。典型的には、プライマー配列は、20ヌクレオチド〜50ヌクレオチドの範囲の長さであり、より典型的には20ヌクレオチド〜30ヌクレオチドの範囲の長さである。好ましいプライマー配列は、典型的には、20ヌクレオチドよりも長い。代表的なプローブは、10ヌクレオチド〜25ヌクレオチドの範囲の長さであり、より典型的には15ヌクレオチド〜20ヌクレオチドの範囲の長さである。。好ましいプローブ配列は、典型的には、15ヌクレオチドよりも長い。
【0103】
あるいは、プローブは、「ネストPCR(nested PCR)」として知られているプロセスによる標的配列の増幅に含まれ得る。ネストPCRにおいて、プローブは、増幅のために通常使用される第1のプライマーおよび第2のプライマーの特性と類似する特性(長さ、融解温度など)を有し、そのためプローブ自身は増幅反応におけるプライマーとして役立ち得る。一般に、ネストPCRにおいて、最初のプライマー対(PおよびP)を用いて、一次伸長生成物を形成させる。一次プライマーの一方(例えば、P)は、必要に応じて、捕捉プライマーであり得る(すなわち、最初の反応性ペアの一方のメンバーに連結され得る)。これに対して、もう一方のプライマー(P)は捕捉プライマーではない。次いで、二次伸長生成物が、その5’端での捕捉型の標識(二次の反応性ペアの一方のメンバーなど)または検出標識をも有し得るプローブ(P1’)およびプローブ(P2’)を使用して形成される。これらのプローブは、依然として溶液中に存在するならば、PおよびPの3’末端がハイブリダイゼーションする部位の近くまたはそのような部位に隣接するテンプレート上の部位に相補的であり、そしてそのようなテンプレートの部位でハイブリダイゼーションする。あるいは、二次伸長生成物は、Pプライマーをプローブ(P2’)とともに使用し、あるいはPプライマーをプローブ(P1’)とともに使用して形成させることができ、これは「半ネストPCR」と呼ばれることがある。従って、標識されたプライマー/プローブの組合せによって、一次伸長生成物よりも短い二次伸長生成物が得られる。さらに、二次伸長生成物は、その大きさに基づいて、あるいはその標識末端を介して(当業者によく知られている検出方法論によって)検出することができる。このプロセスにおいて、プローブおよびプライマーは、一般には等濃度で用いられる。
【0104】
プローブおよびプライマーを合成するための様々な方法がこの分野でよく知られている。同様に、標識をプローブまたはプライマーに結合させるための方法もまたこの分野でよく知られている。例えば、所望する核酸のプライマーまたはプローブを、従来のヌクレオチドホスホラミダイト化学およびApplied Biosystems,Inc.(Foster City、CA)、Dupont(Wilmington、DE)またはMilligen(Bedford、MA)から得られる装置を使用して合成することは日常的な実験の範囲である。本発明のプライマーまたはプローブなどのオリゴヌクレオチドを標識するための多くの方法が記載されている。Enzo Biochemical(New York、NY)およびClontech(Palo Alto、CA)はともに、プローブ標識技術を記載し、それらを商品化している。例えば、一級アミンは、3’オリゴ末端に、3’−Amine−ON CPG(登録商標)(Clontech、Palo Alto、CA)を使用して結合させることができる。同様に、一級アミンは、5’オリゴ末端に、AminomodifierII(登録商標)(Clontech)を使用して結合させることができる。これらのアミンは、従来の活性化試薬および連結試薬を使用して様々なハプテンに反応させることができる。さらに、国際特許公開WO92/10506(1992年6月25日公開)および米国特許第5,290,925号(1994年3月1日発行)は、プローブをその5’末端および3’末端でそれぞれ標識するための方法を教示している。さらに、国際特許公開WO92/11388(1992年7月9日公開)は、プローブをその末端で標識するための方法を教示している。オリゴヌクレオチドを標識するための知られているいずれかの方法に従って、標識用のホスホラミダイト試薬を調製し、これを使用して、合成中のオリゴヌクレオチドに標識を付加する。例えば、N.T.Thuongら、Tet.Letters 29(46):5905〜5908(1988);またはJ.S.Cohenら、公開された米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER No.PAT−APPL−7−246,688)(1989)を参照のこと。好ましくは、プローブは、その3’末端および5’末端で標識される。
【0105】
捕捉標識はプライマーまたはプローブにより運ばれ、そして固相試薬に特異的な結合メンバーとの結合対を形成する特異的な結合メンバーであり得る。当然なことではあるが、プライマーまたはプローブ自体は、捕捉標識として役立ち得ることが理解される。例えば、固相試薬の結合メンバーが核酸配列である場合、核酸配列は、プライマーまたはプローブの相補的な部分と結合し、それによってプライマーまたはプローブが固相に固定化されるように選択することができる。プローブ自体が結合メンバーとして役立ち得る場合、当業者は、プローブには、一本鎖アンプリコンメンバーに相補的でない配列または「テイル」が含有されることを認識している。プライマー自体が捕捉標識として役立つ場合には、プローブはプライマー配列に対して十分に相補的でないように選択されるので、プライマーの少なくとも一部は、固相上の核酸とハイブリダイゼーションしない。
【0106】
一般に、プローブ/一本鎖状アンプリコンメンバーの複合体は、不均一な免疫アッセイを行うために一般的に用いられる技術を使用して検出することができる。好ましくは、この実施形態において、検出は、市販のAbbottのLCx(登録商標)手段(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)によって使用されるプロトコルに従って行われる。
【0107】
この分野で知られている他の有用な手順には、溶液ハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーションおよびスロットブロットハイブリダイゼーションのプロトコルが含まれる。サンプル中に存在する標的核酸の量は、必要に応じて、ハイブリダイゼーションしたフラグメントの放射能を、この分野で知られている標準的なプロトコルを使用して測定することによって定量化することができる。
【0108】
III.ワクチン
ワクチンは、US型及び/あるいはUS亜型特異的タンパク質配列あるいはそのようなタンパク質配列に結合する抗体に基づく1又はそれ以上の免疫原性ポリペプチドから調製しうると考えられる。さらに、ワクチンはまた、死滅又は生弱毒化US型又はUS亜型E型肝炎ウイルス、あるいはUS型又はUS亜型E型肝炎ウイルス特異的抗原を発現する異種宿主細胞、例えばワクシニアウイルスを含む組換え生ワクチンも含みうると考えられる。
【0109】
ポリペプチドベースのワクチンに関して、当該ポリペプチドは少なくとも1個のエピトープを含む。しかし、ワクチンは1又はそれ以上のポリペプチド鎖によって規定される複数の異なるエピトープを含みうると考えられる。さらに、非構造タンパク質ならびに構造タンパク質は、中和抗体を産生しない場合でも、ウイルスの病原性に対する防御を提供しうると考えられる。上記を考慮すると、US型あるいはUS亜型ウイルスに対する多価ワクチンは1又はそれ以上の構造タンパク質、及び/あるいは1又はそれ以上の非構造タンパク質を含みうる。これらの免疫原性エピトープは、組合わせとして、すなわち組換えタンパク質、合成ペプチド及び/あるいはビリオンから単離したポリペプチドの混合物として使用することができ、それらは同時に投与するかあるいは異なる時点で投与してもよい。
【0110】
少なくとも1個の免疫原性ペプチドを有効成分として含む、タンパク質あるいはペプチドベースのワクチンの製剤方法は当該技術において周知である。典型的には、そのようなワクチンは溶液又は懸濁液の形態で注射剤として製剤される。製剤を乳化するか、あるいはタンパク質をリポソーム中に被包することができる。免疫原性有効成分は、その有効成分と適合性の薬理的に許容される賦形剤と混合しうる。適当な賦形剤は、限定されないが、水、塩類溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールあるいはそれらの組合せを含む。ワクチンはまた、ワクチンの有効性を高める湿潤化又は乳化試薬、pH緩衝剤、及び/あるいはアジュバントのような少量の補助物質も含みうる。例えば、そのようなアジュバントは、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11687、nor−MDPとも称される)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’2’−ジパルミトイル sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEとも称される)、及び2%スクアレン/Tween−80(登録商標)乳剤中のRIBI(MPL+TDM+CWS)を含みうる。アジュバントの有効性は、US型あるいはUS亜型特異的抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドを、検討する種々のアジュバントも合わせて含むワクチンとして投与することから生じる、このポリペプチドに対する抗体の量を測定することによって決定できる。
【0111】
ワクチンは通常静脈内又は筋肉内注射によって投与する。他の投与方法に適する追加的な製剤は、坐剤、また一部の場合には、経口製剤を含む。坐剤については、慣用される結合剤及び担体はポリアルキレングリコールあるいはトリグリセリドを含むがこれらに限定されない。そのような坐剤は、約0.5%から約10%、好ましくは約1%から約2%(重量/重量)の範囲の有効成分を含む混合物から製造される。経口製剤は、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含めた賦形剤を包含しうる。これらの組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、持続放出性製剤あるいは散剤の形態をとることができ、約10%から約95%、好ましくは約25%から約70%(重量/重量)の有効成分を含む。
【0112】
ワクチンにおいて使用するポリペプチド鎖は、中性あるいは塩の形態でワクチンに組み込むことができる。薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸又はリン酸のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸又は当業者に既知の他の酸のような有機酸の付加によって形成される酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基で形成される塩は、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は第二鉄等のような無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンプロカイン、又は当業者に既知の他の塩基のような有機塩基からも誘導されうる。
【0113】
ワクチンは典型的には、予防上及び/あるいは治療上有効であるような量で、投与剤型に適合する方法によって投与される。一般に投与する量は、1回投与量につき抗原約5μgから約250μgの範囲であるが、実際の用量は被験者の健康状態と体格、被験者の免疫系が抗体を合成する能力、ならびに求める防御の度合に依存する。ワクチンは単回又は多回投与スケジュールで投与しうる。多回投与は、ワクチン接種の初期段階を1回から10回の独立した投与によって行い、その後免疫応答を維持する及び/あるいは増強するために必要な時間を置いて別途の投与を、例えば第2回目の投与を1ヶ月目から4ヶ月目に行い、そして個人ごとに必要に応じて、その後数ヵ月目にも追加投与を行う。さらに投与様式は、少なくとも一部には、個人の必要性によって決定され、また医師の判断に依存するであろう。
【0114】
死滅又は不活化US型あるいはUS亜型E型肝炎ウイルスを含むワクチンに関して、不活化は、当該技術において周知であり、十分に資料の裏付けがある常套的な方法を用いて容易に行うことができる。好ましい不活化法は、例えば、1又はそれ以上の(i)有機溶媒、(ii)洗浄剤、(iii)ホルマリン、及び(iv)電離放射線への曝露を含む。弱毒化ワクチン中のタンパク質の一部は他の既知のウイルスと交差反応すると考えられ、従ってUS型あるいはUS亜型E型肝炎ウイルスとHEVファミリーの他のメンバー(例えばビルマ族あるいはメキシコ族のメンバー)の間に共通のエピトープが存在し、これらの病原体によって引き起こされる1又はそれ以上の疾患に対して防御抗体を生じるであろうと想定される。好ましい製剤及び投与方法は当該技術において資料で十分に裏付けられており、それ故ここで詳細に論じることはしない。考慮すべき種々の因子には、ペプチドベースのワクチンに関して上記に述べた1又はそれ以上の特徴が含まれる。
【0115】
生であるが弱毒化されたワクチンに関しては、当該技術において使用される既知の弱毒化法のいずれかを用いて弱毒化ウイルスを産生することが可能であろう。簡単に述べると、低温でウイルスを継代させるか、あるいはウイルスゲノムにミスセンス突然変異又は欠失を導入することによって弱毒化が実施できる。好ましい製剤及び投与方法は当該技術において資料で十分に裏付けられており、それ故ここで詳細に論じることはしない。考慮すべき種々の因子には、ペプチドベースのワクチンに関して上記に述べた1又はそれ以上の特徴が含まれる。
【0116】
生組換えワクチン(ベクターワクチン)に関しては、生きているが無害なウイルス又は細菌のゲノムに、抗原決定基を決めるUS型あるいはUS亜型E型肝炎特異的ポリペプチド鎖をコードする遺伝子又は核酸配列を組み込むことによって作製される。その後、生じたベクター生物を意図する宿主に投与することができる。典型的には、そのようなワクチンが成功を収めるためには、ベクター生物が成育可能でなくてはならず、また自然のままで非感染性であるか若しくは弱毒表現型を有していなければならない。好ましい宿主生物は、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、サルモネラ及びマイコバクテリアを含む。ワクシニアウイルス及びマイコバクテリアの生株は、それぞれ痘瘡ワクチン及び結核(BCG)ワクチンの形態でヒトに安全に投与されてきた。さらに、それらは異種タンパク質を発現し、毒性表現型への変換をほとんどあるいは全く生じないことが示されてきた。ベクターワクチンは、複数の異種遺伝子あるいは核酸配列を担うことができ、それによってあらかじめ選択された種々の抗原決定基に対する同時ワクチン接種を可能にする。好ましい製剤及び投与方法は当該技術において資料で十分に裏付けられており、それ故ここで詳細に論じることはしない。
【0117】
IV.抗US型あるいは抗US亜型E型肝炎ウイルス活性を有する分子の同定 特異的HEV US型配列の発見という見地から、当業者は、HEV US型特異的タンパク質、例えばHEVゲノムのORF1部分によってコードされるヘリカーゼ、メチルトランスフェラーゼ、あるいはプロテアーゼタンパク質を不活化する又はその活性を低下させる分子を同定しうると考えられる。HCVプロテアーゼを阻害する分子を同定するための例示プロトコールは米国特許第5,597,691号に開示されており、その開示内容は参照してここに組み込まれる。かかる方法はHCVプロテアーゼ阻害因子の同定に関するものであるが、HEVプロテアーゼ阻害因子、あるいはHEV US型配列によってコードされる他のタンパク質を同定するためにも同じあるいは類似したプロトコールが使用できるであろう。
【0118】
簡単に述べると、HEVプロテアーゼ阻害因子を同定する方法は次の通りである。典型的には、当該プロテアーゼの天然基質を擬態するが、開裂したとき定量可能なシグナルを提供する基質を用いる。シグナルは、好ましくは比色定量あるいは蛍光定量手段によって検出できる;しかし、HPLCあるいはシリカゲルクロマトグラフィー、核磁気共鳴等のような他の方法も有用であろう。至適基質とプロテアーゼ濃度を決定したあと、候補プロテアーゼ阻害因子を一連の濃度範囲で反応混合物に一度に加える。アッセイの条件は、好ましくはプロテアーゼがインビボで阻害される条件、すなわち生理的pH、温度、イオン強度等の条件を模倣する。適当な阻害因子は、被験者において毒性副作用を引き起こさない濃度で強いプロテアーゼ阻害を示す。プロテアーゼ活性部位に競合的に結合する阻害因子は基質濃度に等しいか又はそれ以上の濃度を必要とするが、プロテアーゼ活性部位に不可逆的に結合しうる阻害因子はほぼ酵素濃度に近い濃度で加えればよい。
【0119】
阻害因子は、例えばHEVプロテアーゼによって認識される開裂部位を模倣する有機化合物であるか、若しくはその代わりにタンパク質、例えばHEVプロテアーゼに特異的に結合して不活化する又は活性を低下させることができる抗体あるいは抗体フラグメントであると考えられる。ひとたび同定されれば、プロテアーゼ阻害因子は静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、経気管支、経鼻等のような様々な方法によって投与しうる。好ましい投与経路は阻害因子の性質に依存する。有機化合物として調製した阻害因子は、良好に吸収される場合には、経口投与(一般に好ましい)することができる。タンパク質ベースの阻害因子(大部分の抗体あるいは抗体誘導体のような)は一般に非経口経路で投与される。
【0120】
実施例
下記の実施例から本発明の実施がよりよく理解されるであろう。ここに示す実施例は例示だけを目的とするものであり、いかなる意味においても本発明を制限すると解釈するべきではない。特許、特許出願及び学術出版物を含めて、上記及び下記の引用文献はすべて、その全体が参照してここに組み込まれる。
【0121】
実施例1−症例検討
急性肝炎を発症した患者(USP−1)の血清においてHEVのUS−1株を同定した。患者は62歳の白人男性で、3週間にわたる発熱、腹痛、黄疸、及びそう痒のあとミネソタ州のロチェスターにある病院に入院した。カリフォルニア州のサンホセに10年間旅行して帰宅した後、2週間目に徴候や症状の発現が始まった。
【0122】
患者の過去の病歴には、軽度の腎不全を伴う常染色体性腎多嚢胞病のための腎摘出、及び症候性胆石症のための腹腔鏡下胆嚢摘出が含まれた。患者は変形性関節症があり、高血圧症であった。入院の3ヵ月前にリジノプリルによる治療が開始されていた。理学的検査は、アステリクシスはないが肝臓が肥大して脆弱な、疾病様相を呈する黄疸の白人男性を明らかにした。入院の時点で血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びビリルビンレベルが著しく高く、それぞれ入院後8日目と16日目にピークに達した(図2)。リジノプリルは入院時に停止された。A型肝炎(IgM及びIgG抗HAV)、B型肝炎(HBsAg、IgM及びIgG抗HBc)、C型肝炎(抗HCV)、及びHCV RNAについての血清検査は陰性であった。セルロプラスミン、鉄、トランスフェリン、抗核及び抗平滑筋抗体、毒素、ならびに薬剤スクリーニングはすべて正常であった。患者に注意深く問診した結果、エタノール使用の経歴はないことが明らかになった。腹部の超音波及びコンピュータ連動断層撮影スキャン、ならびに内視鏡的逆行性胆道膵管造影法も正常であった。肝生検は、自己免疫性、薬剤性あるいはウイルス性肝炎に一致する、肝細胞の著しい核濃縮性の気球状変性を伴った重篤な急性小葉肝炎を示した。
【0123】
患者は2ヵ月以内に臨床的には完全に回復し、入院から約5ヵ月後にAST、ALT及びビリルビンの正常化を認めた。HEVを獲得する危険因子は同定されなかった。10年間、米国外には旅行していなかった。疾病を発症する前の6週間に患者が摂取したと報告した、家庭で調理されたのではない食事は、1軒のメキシコ料理店と大きなファーストフードレストランチェーンだけであった。処理されていない飲料水は摂取しておらず、生の甲殻類も食べていないと報告しており、また患者の知るかぎり家畜にも接触していなかった。該当するメキシコ料理店あるいはファーストフードレストランの食品取扱い担当者で、入院前5ヵ月以内に外国を旅行した者はおらず、また肝炎の徴候及び/あるいは症状を報告した者もなかった。入院期間中、患者がカリフォルニア州で滞在した郡ならびにミネソタ州の患者が在住する郡の保健局において非ABC型肝炎の他の症例は報告されていなかった。家族のメンバーにも、患者のカリフォルニアへの旅行中あるいはその後10週間の間に肝炎の徴候及び/あるいは症状は認められなかった。カリフォルニア州を訪れた6名の家族、及び対象期間中ミネソタ州で患者と生活していた患者の妻から採取した血清は、EIAにより抗HEV陰性であった。
【0124】
実施例2−HEV US−1型のユニーク単離物の同定
HEVプライマー配列を用いてRT−PCRによりHEVの存在を判定した。簡単に述べると、以前に記述されているように(Schlauderら(1995)J.Virological Methods 46:81−89)USP−1患者の血清25μlから核酸を単離した。エタノール沈澱した核酸をジエチルピロカルボネート(DEPC)処理した水3μL中に懸濁した。
【0125】
Perkin−Elmer(Norwalk,CT)からのGeneAmp RNA PCRキットを使用し、製造者の指示に従ってcDNA合成とPCRを実施した。RNA(1μL)をそれぞれ10μLのcDNA反応のためのテンプレートとして用いた。特異的プライマーを最終濃度4μMになるように加え、cDNA合成を開始させた。その後オリゴヌクレオチドを加えて最終濃度0.8−1.0μMとし、cDNAの増幅を開始させた。PCRを40サイクル実施した(94℃、20秒間;55℃、30秒間;72℃、30秒間;次いで72℃で3分間の伸長サイクル)。次にネストセット(nested set)のPCRプライマーを用いて、最初のPCR反応物(2μL)を第二段階の増幅のテンプレートとして使用した。Perkin−ElmerからのGeneAmp PCRキットを使用し、製造者の指示に従ってPCRを実施した。簡単に述べると、プライマーを加えて最終濃度1μMとした。最初のセットの実験は3組のプライマーを使用した。ビルマ及びメキシコ株からの配列に基づくORF1の5’末端からの2組と、メキシコ株配列に基づくORF1の3’末端からの1組であった。使用した3組のプライマーは次の通りであった:
【0126】
プライマーセット1
プライマー 配列 配列番号
5’-ORF1-メキシコプライマーC375M CTGAACATCCCGGCCGAC 配列番号:1
PCRプライマーA1-350M AGAAAGCAGCTATGGAGGA 配列番号:2
PCRプライマーS1-34M GCCCACCAGTTCATTAAGGCT 配列番号:3
ネストPCRプライマーA2-320M TCATTAATGGAGCGTGGGTG 配列番号:4
ネストPCRプライマーS2-55M CCTGGCATCACTACTGCTAT 配列番号:5
プライマーセット2
プライマー 配列 配列番号
5’-ORF1-ビルマcDNAプライマーC375 CTGAACATCACGCCCAAC 配列番号:6
PCRプライマーA1-350 AGGAAGCAGCGGTGGACCA 配列番号:7
PCRプライマーS1-34 GCCCATCAGTTTATTAAGGC 配列番号:8
ネストPCRプライマーA2-320 TCATTTATTGAGCGGGGATG 配列番号:9
ネストPCRプライマーS2-55 CCTGGCATCACTACTGCTAT 配列番号:10
プライマーセット3
プライマー 配列 配列番号
3’-ORF1-メキシコcDNAプライマーM1PR6 CCATGTTCCACACCGTATTCCAGAG 配列番号:11
PCRプライマーS4294M GTGTTCTACGGGGATGCTTATGACG 配列番号:12
ネストPCRプライマーM1PF6 GACTCAGTATTCTCTGCTGCCGTGG 配列番号:13
ネストPCRプライマーA4556 GGCTCACCAGAATGCTTCTTCCAGA 配列番号:14
【0127】
5’−ORF1−ビルマプライマーはSchlauderら(1993)Lancet 341:378に記述されている。プライマーM1PR6とM1PF6はMcCaustlandら(1991)J.Virological Methods 35:331−342に記述されている。PCR生成物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、臭化エチジウム染色した後UV照射によって視覚化した。生じたPCR生成物をサザンブロット法でニトロセルロースフィルターに移行させ、放射標識プローブとハイブリダイゼーションさせた。
【0128】
Qiagen(Chatsworth,CA)のQIAEXゲル抽出精製キットで精製したPCR生成物から放射標識プローブを作製した。Stratagene(登録商標)(La Jolla,CA)のPrime−It IIキットを使用し、製造者の指示に従って放射性同位元素標識を組み込んだ。Amersham(Arlington Heights,IL)のRapid−hyb緩衝液中でフィルターを3−5時間プレハイブリダイゼーションさせ、次いでFast−Pair Hybridization Solution中、100−200cpm/cm2、42℃で15−25時間ハイブリダイゼーションさせた。次にSchlauderら(1992)J.Viol.Methods 37:189−200に述べられているようにフィルターを洗浄した。Molecular Dynamics Phosphorimager 425E(Sunnyvale,CA)を用いてプローブしたフィルターの蛍光画像を得た。
【0129】
臭化エチジウム染色バンドをORF1の5’末端からのプライマーで検出した。しかし、メキシコ株に基づくプライマーだけが予想された266塩基対の大きさのネスト生成物を生じた。ビルマ様株(同一性>90%)感染患者から誘導したプローブとのハイブリダイゼーションは、ビルマ陽性対照からのシグナルと比較すると、USP−1患者誘導産物に対して非常に弱いハイブリダイゼーションシグナルを生じた。これらの結果は、この単離物がビルマ単離物とはあまり緊密な類縁関係がないことの最初の示唆であった。メキシコ株からのプローブは入手できなかった。
【0130】
これらの結果を確認するため、USP−1患者の追加血清アリコートからRNAを抽出した。5’−ORF1メキシコプライマー、配列番号1−5を用いて上述したようにRT−PCRを実施した。アガロースゲル電気泳動し、臭化エチジウム染色した後、各サンプルにおいて342塩基対の生成物を視覚化した。Qiagen(Chatsworth,CA)のQIAEXII アガロースゲル抽出キットを使用してアガロースゲルからPCR生成物を抽出し、Novagen(Madison,WI)によるpT7 Blue T−ベクタープラスミドにクローニングした。SEQUENASE VERSION 2.0配列決定キット(USB,Cleveland,OH)を使用し、製造者の指示に従ってクローニング産物を配列決定した。
【0131】
後の2つのサンプルの生成物から得られたヌクレオチド配列は同じであり、配列番号15に示されている。これらの結果は、ビルマとメキシコの両方の株からのcDNAプライマーとプライマーS1だけがUSP−1患者のサンプルから臭化エチジウム染色される生成物を生じたことを示唆している。メキシコ株に基づくネストプライマー、S2及びA2だけが予想された大きさの臭化エチジウム染色性産物を生じた。
【0132】
HEV US−1単離物とHEVの他の既知単離物との間の類縁関係の度合を調べるため、Genetics Computer Group,Inc.,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,53711から入手可能なWisconsin Sequence Analysis Package(バージョン9)のGAPプログラムを使用して、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の整列を実施した。当該プログラムは、NeedlemanとWunsch(J.Mol.Biol.(1970)48:443−453)のアルゴリズムを用いて類似性と同一性の度合を計算し、並んでいる2つの配列間のパーセンテージとして表す。gapの創造及びgyap伸長のペナルティーは、核酸配列整列についてはそれぞれ50と3.0、アミノ酸配列の比較に関してはそれぞれ12と4であった。
【0133】
ビルマとメキシコの2つの「基本型」HEV単離物の完全なヌクレオチド及びアミノ酸配列、ならびに分析に使用した他の配列はGenBankから入手した。それぞれのアクセス番号を下記の表1に示す。これらの配列はそれぞれ参考として本明細書中に援用される。
【0134】
【表1】
Figure 0004475803
【0135】
HEV US−1の303塩基対配列(配列番号89の残基1−303に相同)をメキシコ、ビルマ、パキスタン及び中国株において同定された相同領域と比較した。得られた同一性のパーセントを下記の表2に要約する。
【0136】
【表2】
Figure 0004475803
表2の結果は、USP−1単離物からのORF1の5’末端からのフラグメントが、HEVの他の既知単離物に対して約74.9から約77.2%の核酸同一性を示したことを明らかにしている。これは基本型のメキシコとビルマ単離物間の同一性(83.2%)より低かった。これらの結果は、生成物がおそらくこれまでに同定されていないHEVのユニーク単離物から誘導されたのであろうことを示唆している。
【0137】
実施例3−HEV US−1ゲノム伸長と配列決定
上記の実施例2で述べたようにして入手し、配列決定したクローン(配列番号15)は、ユニークHEVゲノム、HEV US−1から誘導した。HEV US−1ゲノムのさらなる領域から配列を得るため、いくつかの逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)ウォーキング実験を実施した。
【0138】
実施例2で述べた方法によって(配列番号19に関してのみ)あるいは次の方法のいずれかによって全核酸を抽出した。担体としての酵母tRNA 10mgの存在下で、Total Nucleic Acid Extraction法を使用し、製造者(United States Biochemical)の指示に従ってUSP−1患者の血清のアリコート(25μL)を抽出した。核酸を沈殿させ、RNアーゼ/DNアーゼ不含水3.75μLに懸濁した。その代わりには、ToTALLY RNA分離キットを製造者(Ambion,Inc.)の推奨するように使用して、血清100μLから全RNAを分離した。生じたRNAをDNアーゼで処理し、S.N.A.P.Total RNA分離キット(Invitrogen,San Diego,CA)からの試薬でカラム精製した。その後RNAを0.1容の3M酢酸ナトリウム、担体としてのペレットペイント2μL(Novagen)、及び2容のエタノールで沈殿させた。RNAペレットをDEPC処理水50μLに溶解した。
【0139】
GeneAmp RNA PCRキットを使用し、製造者(Perkin−Elmer)の指示に従ってRT−PCRを実施した。配列番号19の単離を除いて、ランダム六量体を使用して総容量25μLでcDNA合成を開始させた。配列番号19に関しては、上記の実施例2で述べたように、プライマーPA2−5560(配列番号16)で特異的に始動するcDNAを使用した。12.5μL血清当量から抽出したRNA、プライマーUS1 gap−a0.5(配列番号46)、及びSuperscript II(3’RACE Kit:GIBCO BRL)を用いて生成した特異的始動cDNAでUS1−gapを作製した。総反応容量の5分の1(10μL反応について2μLあるいは25μL反応について5μL、等々)を含むcDNAに関してPCRを実施した。MgCl 2mMと各プライマー0.5から1.0μMの存在下で標準的なPCRを実施した。配列番号33及び41の分離に関しては、製造者の指示に従って改変反応は1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)を含んだ。反応は、2個のHEVコンセンサスプライマー(表3)、1個のHEVコンセンサスプライマーと1個のHEV−US−1特異的プライマー(表4)、2個のHEV US−1特異的プライマー(表5)、1個のHEV US−1特異的プライマーと1個のHEV US−2(実施例5参照)特異的プライマー(表6)、あるいは2個のHEV US−2特異的プライマー(表7)を使用した。反応を次のような温度サイクルに供した:
配列番号19、24、27、30、33、41、44、60、64、68、73、78、及び83をタッチダウンPCRによって得た。増幅は、94℃で30秒間、55℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及び72℃で1分間の43サイクルを含んだ。このあとに94℃で30秒間、40℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクルを実施した。配列番号38、49、52、及び55に関しては、サイクルは94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び72℃で1分間の35ラウンドを含んだ。すべての増幅の前に、94℃で1−2分間、次いで72℃で5−10分間を実施した。アガロースゲル分析まで反応物を4℃に保持した。
【0140】
配列番号19の単離は、所望する産物を単離するために第二ラウンドのタッチダウン増幅を必要とした。ここでは第一ラウンドの1μLを第二ラウンドの25μL反応に加えた。第二ラウンドの増幅は、反応物1.1.1及び1.1.2として表3に示すような半ネスト(ヘミネスト)プライマーを使用した。配列番号24の単離は、反応物2.1.1及び2.1.2として表4に示す、上述したような第二ラウンドのネストタッチダウン増幅を必要とした。配列番号38及び49の単離は、上述したような25μL反応に第一ラウンドの1μLを使用する第二ラウンドのネストPCRを必要とした(表5)。配列番号60、64、68、及び73の単離は、第一ラウンドの1μLを25μLの第二ラウンド反応で増幅するネストPCRを必要とした(表6)。2ラウンドの増幅から、配列番号78及び83の生成物を得た(表7)。
【0141】
0.2mg/mLの臭化エチジウムの存在下に0.8%から2%のアガロースTAEゲル中でPCR反応物の分画あるいは反応物全部に関してアガロースゲル電気泳動を行った。生成物をUV照射によって視覚化し、所望する分子量の生成物を切り出して、GeneCleanを用いて製造者(BIO 101,Inc.)の指示に従って精製し、pT7−Blue T−Vectorプラスミド(Novagen)IIあるいはpGEM−T Easy Vector(Promega)に、製造者の指示に従ってクローニングした。実施例2で述べたように、あるいはABI Sequencing Ready Reaction Kitを用いてABI Model 373 DNA Sequencerで製造者が指定するように、クローニング産物を配列決定した。これらの実験の結果を下記の表3、4、5、6、及び7に示す。
【0142】
【表3】
Figure 0004475803
【0143】
【表4】
Figure 0004475803
【0144】
【表5】
Figure 0004475803
【0145】
【表6】
Figure 0004475803
【0146】
【表7】
Figure 0004475803
【0147】
ゲノムの3’末端の配列を得るため、増幅はGIBCO BRLの3’RACE Systemを製造者の指示に従って使用した。HEV株として、HEV−US−1ゲノムの3’末端はメキシコ、ビルマ及びパキスタン株と同様にポリアデノシンテールを含むであろうと推測された。血清50μL当量から上述したように抽出したRNAを、製造者から提供されたオリゴdTアダプタープライマー、5’−GGCCACGCGTCGACTAGTACTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’(配列番号84)を用いて逆転写した。第一ラウンドのPCRは、5’−GGCCACGCGTCGACTAGTAC−3’(配列番号85)を提供するAUAPプライマー及びHEV US特異的プライマー(表8)を、PCR緩衝剤、MgClと共に0.2mMの最終濃度で、また推奨されているcDNA濃度で使用した。増幅は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び72℃で1分間の35サイクルを含んだ。増幅の前に94℃で1分間インキュベーションし、次いで72℃で10分間の伸長を行った。第二ラウンドの増幅は、50μL反応において第一ラウンドの1μLを使用した。PCR緩衝液は、2mM MgClに関して1X最終濃度及び各プライマー0.5mMであった。プライマーはAUAPプライマーとHEV−US−1特異的プライマーによるヘミネストであった(表8)。増幅条件は第一ラウンドと同じであった。生成物をアガロースゲル電気泳動で分析し、クローニングして、上記のように配列決定した。
【0148】
【表8】
Figure 0004475803
【0149】
上記の表3、4、5、6、7、及び8に示した生成物から得られた配列、及びゲノムの5’末端近くの初期PCR生成物、配列番号15を、GCGパッケージ(Genetics Computer Group,Madison,WI,バージョン9)のプログラムと決定されたコンセンサス配列を用いてコンティーグ(contig)に組み立てた。組み立てたコンティーグの概要を図3に示す。HEV US−1ゲノムは7202bpの長さであり、その全部が配列決定されている(配列番号89)。この配列を3つのオープンリーディングフレームに翻訳した。そのうちの2つが配列番号90に示されている(3番目のORFはヌクレオチド5094−5462に位置するが、他の2つのORFとの重複のため配列番号90には示すことができない)。生じた翻訳産物(ORF1、ORF2、及びORF3)をそれぞれ配列番号91、配列番号92、及び配列番号93に示す。
【0150】
実施例4−HEV US−2のユニーク単離物の同定
急性肝炎を発症した米国の患者をHEV EIA検定でIgGクラス抗体に関して検査し、またUS−1株特異的ELISAによって陽性と判定した。急性肝炎と診断されたこの患者(USP−2)は62歳の男性で、黄疸と疲労のために入院した。初期検体検査は1270U/L(正常値は0−40U/L)のALTを示した。その地域で最近A型肝炎ウイルス(HAV)が集団発生していたため、この患者もHAVに感染したことが疑われた。しかし、抗HAV IgM検査、HAVAB−M EIA(Abbott Laboratories)は陰性であり、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスの血清マーカーに関する検査も同様であった。この患者の経歴で、疾病発症の数週間前にメキシコのカンクンを訪れていたことがわかった。
【0151】
次に患者からのサンプルを、HEV US−1特異的PCRプライマーを用いたPCR増幅を通してHEV特異的配列の存在に関して分析した。実施例2で述べたようにUltraspecを使用してRNAを抽出した。実施例3で述べたようにランダム始動(primed)cDNA合成を実施し、HEV US−1特異的プライマー、配列番号94及び配列番号96により、実施例2で述べたような標準条件を用いてPCRを行った。配列番号95と配列番号97のプライマーによりネストPCRを実施した。実施例3で述べたようにPCR生成物の配列決定を行った。生じたPCR生成物の配列を配列番号98に示す。実施例2で述べたようなGAP分析は、ヌクレオチド配列、配列番号98がHEV US−1からの対応領域あるいは相同領域と95%同一であることを示した。
【0152】
実施例5−HEV US−2のゲノム伸長と配列決定
実施例4で生成し、配列決定したクローン(配列番号98)を、HEV US−1と最も緊密な類縁関係にあるHEV単離物から誘導した。HEV US−2ゲノムの追加領域を得るため、いくつかのRT−PCRウォーキング実験を実施例3で述べたように実施した。
【0153】
Total Nucleic Acid Extraction手法(United States Biochemical)を用いてRNAを抽出した。GeneAmp RNA PCRキット(Perkin−Elmer)を使用して逆転写をランダム始動させた。2mM MgClと各プライマー0.5−1.0μMの存在下で標準PCRを実施した。配列番号129、141及び146の単離に関して、改変反応は1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)を含んだ。反応は、2個のHEV US−1特異的プライマー(表9)、1個のHEV US−1特異的プライマーと1個のHEVコンセンサスプライマー(表10)、1個のHEV US−2特異的プライマーと1個のHEVコンセンサスプライマー(表11)、2個のHEV US−2特異的プライマー(表12)、あるいは2個のビルマ、メキシコ、及び米国誘導コンセンサスプライマー(下記に述べる、表13)を使用した。
【0154】
配列番号101、102、105、108、110、113、117、120、124、149、及び151に示す生成物をタッチダウンPCRによって得た。増幅は、94℃で30秒間、55℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及び72℃で1分間の43サイクルを含んだ。このあとに94℃で30秒間、40℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクルを実施した。配列番号129、132、136、141及び146の増幅には、94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び72℃で1分間の35サイクルを含む工程を使用した。すべての増幅の前に、94℃で1−2分間、次いで72℃で5−10分間を実施した。アガロースゲル分析まで反応物を4℃に保持した。多くの生成物の単離には、表9−13に示すように第二ラウンドのネストあるいはヘミネストPCRを必要とした。これらの反応では、PCR1の生成物1μLをPCR2反応混合物25−50μLに加えて、生じた混合物をPCR1におけるようにサイクルさせた。
【0155】
上記の実施例3で述べたように反応物を分析し、生成物をクローニングして配列決定した。これらの実験の結果を下記の表9−13に示す。
【0156】
【表9】
Figure 0004475803
【0157】
【表10】
Figure 0004475803
【0158】
【表11】
Figure 0004475803
【0159】
【表12】
Figure 0004475803
【0160】
【表13】
Figure 0004475803
【0161】
ゲノムの3’末端の配列を得るため、増幅は、実施例3で述べたようにGIBCO BRLの3’RACE Systemを製造者の指示に従って使用した。PCR1は、配列番号150と配列番号85のプライマーを使用した。PCR2のプライマーは配列番号152と配列番号85であった(反応物12.1)。生じた生成物は901bpであった(配列番号153)。
【0162】
HEV US−2ウイルスゲノムの5’末端に位置する新しい配列の単離は、逆PCR(M.ZeinerとU.Gehring,Biotechniques 17:1051−1053,1994)によって実施した。USP−1及びUSP−2からの血清の入手には限りがあるため、HEV US−2感染したサルからの糞便物質を原材料として選択した。超可変/プロリンに富むちょうつがい領域内からのサル糞便物質から、抽出したRNAを用いて462ヌクレオチドの生成物を増幅し、逆転写して、配列番号154、155、156及び157のプライマーを使用して実施例3で述べたようにPCR増幅した。この生成物(配列番号158)はHEV US−2配列と100%同一であった。それ故、さサルの糞便からのHEVゲノムの5’末端で同定される配列は、HEV US−2ゲノムの5’末端を正確に表すはずであると考えられる。10%糞便懸濁液200μLから上述したように全核酸を抽出した。RT反応を開始する前に核酸を70℃で5分間変性させ、次いで氷上に置いたことを除き、BMBから入手したキットを使用して、HEV US特異的プライマー(配列番号159)を用いた逆転写反応を実施した(M.ZeinerとU.Gehring,Biotechniques、前出に述べられているように)。M.ZeinerとU.Gehring,Biotechniques、前出に述べられているようにして、二本鎖環状cDNAの作製を実施した。生じた環状cDNA分子をその後のPCR反応のテンプレートとして用いた。最初のPCR反応(PCR1)で使用したプライマーを配列番号160及び161に示す。第二のPCR反応(PCR2)で使用したネストプライマーは配列番号162及び163に示す通りであった。
【0163】
PCR2からの生成物(反応物13.1)をpGEM−Easy T Vector(Promega)にクローニングし、Applied Biosystems 373自動シーケンサーを用いて配列決定した。221ヌクレオチドの1個の生成物を適切なプライマーとHEV US−2配列を持つものとして同定し、既知のHEV US−2配列の上流の63ヌクレオチドを同定した。適切なプライマーとこの新しい配列の一部で追加クローンを同定した。配列番号163及び161に示す配列をプライマーとして使用し、USP−2血清100μLあるいは10%糞便懸濁液100μLからのRNAに関してプライマー伸長実験を実施したが、この配列の長さを確認することはできなかった。ビルマ様単離物の5’NTR配列と63ヌクレオチドの対合比較は94%以上の同一性を示し、これが本当のHEV US−2配列であることを示唆した。
【0164】
この実施例で述べた生成物と実施例4で述べた生成物から得られた配列を、GCGパッケージ(Genetics Computer Group,Madison,WI,バージョン9)のプログラムと決定されたコンセンサス配列を用いてコンティーグに組み立てた。組み立てたコンティーグの概要を図4に示す。HEV US−2株のゲノムは7277bpの長さで、その全部が配列決定されており、配列番号164に示されている。この配列を配列番号165に示す3つのオープンリーディングフレームに翻訳したが、ORF1とORF2配列の翻訳産物だけを示している(3番目のORFはヌクレオチド5159−5527に位置するが、他の2つのORFとの重複のため配列番号165には示すことができない)。生じたORF1、ORF2、及びORF3配列の翻訳産物をそれぞれ配列番号166、167、及び168に示す。
【0165】
実施例6−配列の比較
ウイルスの類縁性の度合についての情報は、典型的にはヌクレオチドと推定アミノ酸配列の整列のような比較を行うことによって得られる。HEVのUS単離物(例えばHEV US−1やHEV US−2)の配列と他のHEV単離物の対応する配列の整列は、配列間の類似性と同一性の度合の定量的評価を提供する。一般に、2個のアミノ酸配列間の類似性の算定は、整列中のアミノ酸対の側鎖間で示される類似の度合に基づく。類似の度合はアミノ酸側鎖の物理化学特性、すなわち大きさ、形、電荷、水素結合能、及び化学反応性に基づく。従って、類似アミノ酸は類似した物理化学特性を持つ側鎖を有している。並んだ2個のアミノ酸あるいはヌクレオチド配列間の同一性の算定は、一般に、整列中の同じアミノ酸対あるいはヌクレオチド対の数を計数し、この数を整列中の配列の長さで割るという算術計算である。並んだ2個のヌクレオチド配列間の類似性の算定は、時として整列中の種々の位置の対応する(すなわちマッチする)ヌクレオチド間の遷移やトランスバージョンについて異なる数値を使用する。しかし、ヌクレオチド配列対間の類似性及び同一性スコアの等級は通常非常に近い、すなわち1から2パーセントの範囲内である。
【0166】
類似性と同一性の度合をWisconsin Sequence Analysis Package(バージョン9)のGAPプログラムを用いて決定した。gapの創造及びgap伸長のペナルティーは、核酸配列整列についてはそれぞれ50と3.0、アミノ酸配列の比較に関してはそれぞれ12と4であった。
【0167】
先に示したように、初期5’末端ORF1クローンと他のHEV単離物間には部分的な同一性が存在し、USP−1患者に関連するHEV感染はHEVのユニーク単離物によるものであるという主張を裏付ける。この単離物とHEVの他の既知単離物との間の類縁性の度合をより広汎に調べるため、伸長したヌクレオチドと推定アミノ酸配列の整列を実施した。
【0168】
HEV US−1、HEV US−2、及び他の10個の完全な長さのHEVゲノム(公知の入手可能なデータベースから入手、表14参照)についてのヌクレオチド及びアミノ酸の対合比較を上述したように実施し、US単離物相互の関係及びUS単離物と既知のHEV変異株との関係を調べた。
【0169】
【表14】
Figure 0004475803
【0170】
US−1、US−2、B1、B2、I2、C1、C2、C3、P1、C4及びI1株のゲノム全体にわたるヌクレオチド同一性を表15に示す。ORF1、ORF2及びORF3のヌクレオチド同一性をそれぞれ表16、17及び18に示す。表17と18はまた、GenBankアクセス番号AF011921として入手可能な、最近単離されたブタ(S1)単離物に対する比較も含む。
【0171】
【表15】
Figure 0004475803
【0172】
【表16】
Figure 0004475803
【0173】
【表17】
Figure 0004475803
【0174】
【表18】
Figure 0004475803
【0175】
さらに、メチルトランスフェラーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムのメチルトランスフェラーゼコード領域は配列番号89の残基1−693で表され、一方HEV US−2ゲノムのメチルトランスフェラーゼコード領域は配列番号164の残基36−755で表される。比較の結果を表19に示す。
【0176】
【表19】
Figure 0004475803
【0177】
Yドメインタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムのYドメインタンパク質コード領域は配列番号89の残基619−1272で表され、一方HEV US−2ゲノムのYドメインタンパク質コード領域は配列番号164の残基680−1334で表される。比較の結果を表20に示す。
【0178】
【表20】
Figure 0004475803
【0179】
プロテアーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムのプロテアーゼタンパク質コード領域は配列番号89の残基1270−2091で表され、一方HEV US−2ゲノムのプロテアーゼタンパク質コード領域は配列番号164の残基1332−2153で表される。比較の結果を表21に示す。
【0180】
【表21】
Figure 0004475803
【0181】
超可変領域をコードするORF1ヌクレオチド配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムの超可変領域をコードする領域は配列番号89の残基2092−2364で表され、一方HEV US−2ゲノムの超可変領域をコードする領域は配列番号164の残基2194−2429で表される。比較の結果を表22に示す。
【0182】
【表22】
Figure 0004475803
【0183】
Xドメインタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムのXドメインタンパク質コード領域は配列番号89の残基2365−2841で表され、一方HEV US−2ゲノムのXドメインタンパク質コード領域は配列番号164の残基2430−2906で表される。比較の結果を表23に示す。
【0184】
【表23】
Figure 0004475803
【0185】
ヘリカーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムのヘリカーゼコード領域は配列番号89の残基2893−3591で表され、一方HEV US−2ゲノムのヘリカーゼコード領域は配列番号164の残基2958−3656で表される。比較の結果を表24に示す。
【0186】
【表24】
Figure 0004475803
【0187】
RNA依存性RNAポリメラーゼをコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムの当該ポリメラーゼコード領域は配列番号89の残基3634−5094で表され、一方HEV US−2ゲノムの当該ポリメラーゼコード領域は配列番号164の残基3699−5159で表される。比較の結果を表25に示す。
【0188】
【表25】
Figure 0004475803
【0189】
さらに、US−1、US−2、B1、B2、I2、C1、C2、C3、P1、C4及びI1株のORF1、ORF2及びORF3配列によってコードされるタンパク質のアミノ酸同一性/類似性をそれぞれ表26、27及び28に示す。さらに、表27と28はブタ配列(S1)に対する比較も含む。表26、27及び28では、類似性を表の右上半分に示し、同一性を表の左下半分に示している。
【0190】
【表26】
Figure 0004475803
【0191】
【表27】
Figure 0004475803
【0192】
【表28】
Figure 0004475803
【0193】
さらに、メチルトランスフェラーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号91の残基1−231によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号166の残基1−240によって表される。比較の結果を表29に示す。
【0194】
【表29】
Figure 0004475803
【0195】
プロテアーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるプロテアーゼタンパク質は、配列番号91の残基424−697によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるプロテアーゼタンパク質は、配列番号166の残基433−706によって表される。比較の結果を表30に示す。
【0196】
【表30】
Figure 0004475803
【0197】
Yドメインタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるYドメインタンパク質は、配列番号91の残基207−424によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるYドメインタンパク質は、配列番号166の残基216−433によって表される。比較の結果を表31に示す。
【0198】
【表31】
Figure 0004475803
【0199】
Xドメインタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるXドメインタンパク質は、配列番号91の残基789−947によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるXドメインタンパク質は、配列番号166の残基799−957によって表される。比較の結果を表32に示す。
【0200】
【表32】
Figure 0004475803
【0201】
ヘリカーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるヘリカーゼタンパク質は、配列番号91の残基965−1197によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるヘリカーゼタンパク質は、配列番号166の残基975−1207によって表される。比較の結果を表33に示す。
【0202】
【表33】
Figure 0004475803
【0203】
超可変領域を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされる超可変領域は、配列番号91の残基698−788によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされる超可変領域は、配列番号166の残基707−798によって表される。比較の結果を表34に示す。
【0204】
【表34】
Figure 0004475803
【0205】
RNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるポリメラーゼは、配列番号91の残基1212−1698によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるポリメラーゼは、配列番号166の残基1222−1708によって表される。比較の結果を表35に示す。
【0206】
【表35】
Figure 0004475803
【0207】
上記に加えて、HEV US型ファミリーに属するいくつかの付加的なHEV単離物がこの作業の間に同定された(下記の実施例13参照)。付加的な単離物をIt1(イタリア株)、G1(最初のギリシャ株)及びG2(2番目のギリシャ株)と称した。It1、G1及びG2配列を含む付加的な配列の比較を行った。その結果を下記の表36と37に示す。表36は、371塩基(123アミノ酸)のORF1フラグメント上のHEV単離物間のヌクレオチドと推定アミノ酸の同一性を示している。ORF1フラグメントは配列番号89の残基26−396に対応する。表37は、148塩基(49アミノ酸)のORF2フラグメント上のHEV単離物間のヌクレオチドと推定アミノ酸の同一性を示している。ORF2フラグメントは配列番号89の残基6307−6454に対応する。表36と37の両方において、提示されている単離物はビルマ(B1、B2)、中国(C1、C2、C3、C4)、インド(I1、I2)、パキスタン(P1)、メキシコ(M1)、ブタ(S1)、米国(US−1、US−2)、ギリシャ(G1、G2)及びイタリア(It1)株である。
【0208】
【表36】
Figure 0004475803
【0209】
【表37】
Figure 0004475803
【0210】
HEV US−1とHEV US−2のそれぞれのゲノム及び表14で同定した他のHEV単離物の他のゲノムのヌクレオチド配列を用いて、完全な長さのヌクレオチド配列の対合比較を行った。比較の結果を表15に示す。ヌクレオチドレベルでは、HEV US−1とHEV US−2は互いに極めて緊密に関連しあっており、ゲノム全体で92.0%の同一性であった。完全な長さのビルマ様単離物は、92.0から98.8%の範囲の同じような同一性を示した。US単離物は、ビルマ様単離物及びメキシコ単離物と73.5から74.5%同一であった。これはビルマ様単離物のいずれかひとつとメキシコ単離物間で認められた同一性と同様であり、75.0から76.1%のヌクレオチド同一性であった。これらのデータは、US単離物がビルマ及びメキシコ株とは異なるHEVの新しい系統の変異株のメンバーであることを示唆している。
【0211】
個々のORFのような、各々のゲノムのより小さな部分を分析すると、同様の度合の同一性が認められる。これらの数値をORF1、ORF2及びORF3についてそれぞれ表16、17及び18に示す。各々の領域にわたって、ビルマとパキスタン単離物は93.1から98.9%という最も高い度合の同一性を示す。メキシコ単離物は異なっており、ビルマ様単離物と73.6から90.1%の同一性である。HEV US−1のヌクレオチド配列を分析すると、ORF1配列と有意の度合の相違が明らかになり、ビルマ様及びメキシコ単離物とは72%未満の同一性であった。同様に、ORF2とORF3配列は、ビルマ様及びメキシコ単離物とそれぞれ79.1%と86.9%同一であった。
【0212】
ヌクレオチドレベルで見られる変異性は、アミノ酸の類似性及び翻訳したオープンリーディングフレームの同一性に反映されている。ORF1は、おそらく超可変領域の存在のために、最も相違する生成物である。US単離物はこの領域で97.5%のアミノ酸同一性を有している(表26)。これは、ビルマ様ORF1タンパク質間で見られた94.4から99.6%の同一性と同等である。US ORF1生成物は、ビルマ様及びメキシコタンパク質と80.7から83.0%同一である(表26)。これらの数値は、ビルマ様分離株のいずれかとメキシコ単離物間で認められた81.8から84.2%の同一性に近い。アミノ酸類似性の数値は概して同一性の数値を3.5%上回っており、多数の保存的アミノ酸置換を反映している。ORF2生成物は、おそらくウイルスのカプシドタンパク質としての役割ゆえに、最も保存されている。US ORF2生成物は互いに98.0%同一であったが、ビルマ及びメキシコのORF2タンパク質とは90.1から92%の同一性である(表27)。やはり、これらの範囲はビルマ単離物間で認められたもの(97.7から99.7%の同一性)を反映している。ビルマとメキシコ分離株間の同一性は、US変異株と他の変異株間の同一性よりわずかに大きく、92.4から93.3%であった。ORF2上のアミノ酸類似性は同一性の数値よりも約1.5%高い。HEV US−1とHEV US−2のORF3生成物は96.7%のアミノ酸同一性を有する。ビルマ単離物は96.7から100%のアミノ酸同一性を示した。ビルマ及びメキシコ単離物に対するUS単離物のORF3のアミノ酸同一性は78.7から84.4%であり、ビルマとメキシコ単離物間で認められた85.4から88.6%の同一性をわずかに下回った(表28)。ORF3上のアミノ酸類似性は概して同一性の数値と同じであったが、一部の比較は、同一性の数値を1.0%未満上回る類似性値を明らかにした。これらのアミノ酸類似性および同一性値は、短いアミノ酸配列の分析が完全な長さ及び部分的なヌクレオチド分析と同様の結果を生じることを示しており、US単離物が緊密な類縁関係にあること、そしてこれまでに特性付けられたHEVの単離物とは遺伝的に異なることを示唆している。
【0213】
表27及び28は、最近ブタにおいて同定された(Mengら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:9860−9865)HEV様単離物との対合アミノ酸配列比較も含んでいる。ORF2/3領域の2021bpだけが特性付けられている(GenBankアクセス番号:AF011921)。USブタ配列は、ヌクレオチドレベルでHEV US−1の対応する領域と92%同一である。HEV US−1は、最近同定されたブタウイルスとアミノ酸レベルで非常に類似していることが認められる。例えば、HEV US−1とブタ株はそれぞれのORF2及びORF3配列上で97.1%と93.5%の同一性を示す(それぞれ表27及び28)。
【0214】
G9及びG20と称される、中国からの2つのHEV単離物由来210ヌクレオチドの部分配列(それぞれGenBankアクセス番号:X87306とX87307)が、最近文献においてHuangら(1995)J.Med Virology 47:303−308によって報告された。これらのフラグメントは、配列番号89の残基番号4533−4742と相同なヌクレオチド配列を示す。それらがコードするアミノ酸配列(69アミノ酸残基の長さ)は、配列番号91の残基番号1512−1580と相同である。ヌクレオチド配列及びこれらの配列の推定アミノ酸配列の対合比較からの結果を表38と39に示す。結果は、G9及びG20単離物がこの領域にわたってヌクレオチドレベルで互いに89%同一であることを示している。緊密に関連するビルマとパキスタン単離物は、この範囲で92.9%同一である。US−1単離物はこの領域で77.1と81.0%の同一性を示し、US−1単離物はこれらの単離物からも独自であることを示唆している。G9とG20配列はヌクレオチドレベルで最も緊密に関連しているが、G20の推定アミノ酸翻訳産物は、US−1単離物からのUS配列と最も類似/同一である(表38)。これはおそらく分析に使用したアミノ酸の長さが短いことによると考えられる。
【0215】
【表38】
Figure 0004475803
【0216】
【表39】
Figure 0004475803
【0217】
実施例7−系統発生的分析
新規US型単離物とHEVの他の単離物間の系統発生的関係を調べるため、ヌクレオチドとアミノ酸配列の整列を実施した。Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン9(Genetics Computer Group,Madison,WI)のPILEUPプログラムを使用して整列を行った。PHYLIPパッケージ、バージョン3.5c(Felsenstein 1993,Department of Genetics,University of Washington,Seattle)の遷移−転換率2.0のDNADISTプログラム(Kimura 2パラメータ法)とPROTDIST(Dayhoff PAMマトリックス)プログラムを使用して、配列間の進化学的距離を決定した。算定した距離を用いて、FITCHプログラム(Fitch−Margoiash法)によって進化系統樹を構築した。系統樹の強さ(robustness)を、SEQBOOTプログラム、DNADSITプログラム、NEIGHBORプログラムの隣接ジョイニング法(neighbor−joining method)、及びCONSENSE(PHYLIPパッケージ)により、多配列整列(100セットあるいは1,000セット)のブーツストラップリサンプリングによって決定した。70%未満のブーツストラップ値は系統発生的分類の根拠を提供しないとみなす(Muerhoffら(1997)Journal of Virology,71:6501−6508)。RETREE(PHYLIP)を用いてミッドポイントルーティングオプションにより最終的な系統樹を作製し、TREEVIEW(Page(1996)Computer Applied Biosciences 12:357−358)でグラフィック画像を創造した。その結果を図5、6、10及び11に示す。
【0218】
完全なゲノムに関する系統発生的分析。HEV US−1、HEV US−2及びHEVの他の既知の単離物間の類縁性の度合をより広汎に調べるため、ヌクレオチド整列を行った。完全な長さのHEV US−1とHEV US−2ゲノムを、完全なゲノムが入手できる他の10個のHEV単離物とともに配列した(表14)。
【0219】
HEV−US単離物と他のHEV単離物の整列に基づいて系統発生的距離を検討すると、遷移−変換率2.0でNADISTプログラム(Kimura2パラメータ法)を用いて測定したとき、USからの単離物と他の地域からのものとの間にはかなりの進化学的距離があることが明らかになった(表40)。算定した距離は同時に、アジア由来の単離物間に緊密な類縁関係があることを示している。ビルマ様群の中では、完全な長さの整列から算定された最大距離は1塩基当り0.0850ヌクレオチド置換である。この群のメンバーとUS単離物間での最小距離は0.3322置換である。メキシコ株は、ビルマ様群とは0.3055から0.3132置換、US単離物とは0.3322から0.3462置換という同様の距離を示す。HEV US−1とHEV US−2間の0.0812置換という遺伝的距離は、ビルマ様単離物間で見られたものと同様である。分析したウイルス配列間の相対的な進化学的距離は、図5に示す根なし(unrooted)進化系統樹を調べればただちに明白である。この図では枝の長さが進化学的距離に比例する。進化系統樹において、ビルマ様単離物、メキシコ単離物及びUS単離物がそれぞれ主要な枝である。さらに、基本型ウイルスの分枝は100%のブーツストラップ(bootstrap)値で裏付けられている。ゲノムのより小さなセグメント(例えばORF1、ORF2あるいはORF3)を個々に分析して、完全な長さの配列に関して得たものと同様の系統樹を作製し、図5に示している。これらの分析は、HEV US単離物が異なる系統であるか又はHEVの変異株であること、そしてHEV US−1とHEV US−2が互いに、最も相違の大きいビルマ様単離物と同じ程度に類似することを明らかにしている。
【0220】
【表40】
Figure 0004475803
【0221】
ブタHEVからのORF2/ORF3との比較。最近報告されたブタHEVとヒトHEV US−1及びHEV US−2単離物間の類縁関係を調べるため、上記で使用した10個の完全な長さの配列からの類似領域を用いて、完全なORF2とORF3上のヌクレオチド配列の比較を行った(表14)。系統発生的分析により、USとブタHEV単離物間でポジション当り0.0799から0.0810ヌクレオチド置換の遺伝的距離を得た(表41)。これらの数値は最も離れたビルマ様単離物間で認められたものと同様である。ORF2/3ヌクレオチド配列を分析すると、USとブタ単離物は根なし進化系統樹上で近接して分類される(図6参照)。これらの単離物は、メキシコ単離物及びビルマ様単離物とは異なる系統発生群を形成する。これらの分類は100%のブーツストラップ値で裏付けられる。
【0222】
【表41】
Figure 0004475803
【0223】
実施例8−HEVの血清学的試験
A.背景
HEV感染の診断に有用なエピトープは、ビルマ及びメキシコの両株のHEVのORF2とORF3のカルボキシル末端近くに位置することが初期試験で示されている。以下M 3−2及びM 4−2と称するメキシコ株からの2つの抗原は、それぞれORF2とORF3のカルボキシル末端近くに42個と32個のアミノ酸を含む(Yarboughら(1991)Journal of Virology,65:5790−5797)。以下B 3−2及びB 4−2タンパク質と称するHEVのビルマ株からの2つの抗原は、それぞれORF2とORF3のカルボキシル末端近くに42個と33個のアミノ酸を含む(Yarboughら(1991)前出)。HEVに対するIgG、IgA及びIgMクラス抗体を検出するためにデザインされた診断試験は、これらの抗原領域に基づいて開発された。潜在的にHEVに対する抗体の検出力を高めるために、完全な長さのORF3(Dawsonら(1992)Journal of Virology Methods,38:175−186)あるいはORF2タンパク質からの追加アミノ酸配列(Dawsonら(1993)前出)を含む追加的なHEV組換えタンパク質を生成した。比較試験は、最初の組換えタンパク質と合成ペプチド(B 4−2、B 3−2、M 3−2、M 4−2)が、急性HEV感染の既知症例においてHEVに対する抗体を検出する上で、より大きな組換えタンパク質と同程度に有効であったことを示している。HEVに対する抗体を検出するための認可された試験がAbbott Laboratoriesによって製造されており、これは完全な長さのビルマ株ORF3タンパク質とビルマ株ORF2タンパク質のカルボキシル末端の327アミノ酸を含む。
【0224】
初期血清学的試験でB 3−2、B 4−2、M 3−2及びM 4−2の有用性が明らかにされたあと、ビルマ及びメキシコ両株のHEVのORF2のカルボキシル末端に6個の付加アミノ酸が存在し、それらはM 3−2及びB 3−2抗原タンパク質の一部を形成しないことが確認された。ORF2とORF3のカルボキシル末端はHEVのビルマ及びメキシコ株にとって重要であることが示されているので、ゲノムのこれらの領域に対応する合成ペプチドをHEVのUS−1株に関して生成した。ORF2のカルボキシル末端の48アミノ酸に対応する合成ペプチドをHEVのビルマ及びメキシコ株に関して生成し(それぞれ配列番号172と170)、B 3−2e及びM 3−2e(「e」は伸長したアミノ酸配列を示す)と称した。さらに、HEV US−1 ORF3のカルボキシル末端の33アミノ酸を表す合成ペプチドをHEVのビルマ及びメキシコ株に関して生成し(それぞれ配列番号171と169)、B 4−2及びM 4−2と称した。HEV US−1株に関するORF2内のエピトープに基づく合成ペプチド(配列番号174)をUS 3−2eと称する。HEV US−1 ORF3のカルボキシル末端のエピトープに基づく合成ペプチド(配列番号173)をUS 4−2と称する。HEVのメキシコ、ビルマ及びUS株から誘導したこれらのペプチドをそれぞれ合成し、固相に被覆して、これらの合成ペプチドの相対的有用性を調べるためにELISA試験において使用した。
【0225】
表42に示すように、HEV US−1とHEVのビルマ、メキシコ及びパキスタン株間のアミノ酸同一性は、ORF2内の3−2eエピトープを含むアミノ酸については約87.5%から約91.7%、ORF3内の4−2エピトープを含むアミノ酸については約63.6%から約72.7%の範囲である。理論に縛られるのは望むところではないが、エピトープをコードする領域の変異性の度合を考慮すると、これらのウイルスに対する株特異的抗体反応が存在すると考えられる。
【0226】
【表42】
Figure 0004475803
【0227】
B.急性HEV感染の診断におけるELISAの使用
ヒトにおける急性HEV感染の大部分の症例が、1又はそれ以上のHEV組換えタンパク質あるいは合成ペプチドに結合するIgMクラス抗体を有することが報告されている。HEVに対するIgMクラス抗体を有していない人の場合、血清検査だけに急性HEV感染の診断の基礎を置くことはできず、RT−PCR及び/あるいはHEVを病因因子として確認するための他の検査が必要であると考えられる。
【0228】
C.合成ペプチドの生成
N−メチル−モルホリンによってもたらされるin situ活性化により、(HBTU)結合化学と0.025μmoleスケールでの標準FMOC固相ペプチド合成を用いてRainin Symphony Multiple Peptide Synthesizerでペプチドを調製した。各々の残基での結合時間は45分で、あらかじめ決定した残基では二重結合とした。樹脂の標準開裂によって保護されていないペプチドを生成し、その後エーテル沈降反応と洗浄を行った。合成したペプチドを表43に示す。
【0229】
【表43】
Figure 0004475803
【0230】
D.合成したペプチドの分析
合成したペプチドを次のようにアミノ酸組成物に関して分析した。小規模合成(0.025μmole)からの粗ペプチドの品質を、各溶媒中0.1%(v/v)2トリフルオロ酢酸(TFA)と共にアセトニトリル/水勾配を用いてC18逆相高速液体クロマトグラフィーによって分析した。分析クロマトグラムから、各合成からの主要ピークを採集し、マススペクトロメトリー(エレクトロスプレー及び/あるいはレーザー脱着質量分析)によって溶出物を分析した。各溶媒中0.1%TFAを含むアセトニトリル/水勾配によりC18逆相HPLCを用いてペプチドの精製(小規模及び/あるいは大規模)を行った。主要ピークを採集し、使用時まで凍結乾燥した。
【0231】
E.ELISA試験
各々のペプチドで1/4インチのポリスチレンビーズを被覆してHEV US−1エピトープの有用性を調べた。詳細には、ペプチドを水又は水プラス氷酢酸に溶かし、リン酸緩衝液(pH7.4)中10μg/mLを含有するように希釈した。合計60個のポリスチレンビーズをペプチド溶液(10μg/mL)14mLと共にシンチレーションバイアルに加え、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中56℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、0.1%Triton−X100(登録商標)を含む緩衝液と交換した。ビーズをこの溶液に60分間曝露させ、液体を吸引して、ビーズをPBS緩衝液で2回洗浄した。次にビーズを5%ウシ血清アルブミン溶液と共に40℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、ビーズでPBSで洗浄した。生じたビーズを5%スクロース含有のPBSに30分間浸した。その後液体を吸引し、ビーズを空気乾燥した。
【0232】
ひとつの試験では、1/4インチのポリスチレンビーズを種々の濃度の合成ペプチドで被覆し(各ロット当り約50個のビーズ)、抗HEV血清検査陰性のヒト血清を陰性対照とし、HEV感染者からの回復期の血清を陽性対照として使用して、ELISA試験(下記に述べる)において評価した。ビーズ被覆工程をスケールアップするために、陽性対照シグナル対陰性対照シグナルの最も高い比率を生じるビーズ被覆条件を選択した。各1,000個のビーズの2ロットをHEV US−1 ORF2及びORF3エピトープの両方について作製し、次のように使用した。
【0233】
血清又は血漿のサンプルを標本希釈液中で希釈し、サンプル中の抗体が固定化抗原に結合しうる条件下で抗原被覆固相と混合した。洗浄後、生じたビーズを、タマリンあるいは固相に結合したヒト抗体のいずれかと結合するホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗ヒト抗体と混合した。カットオフ値以上のシグナルを生じた標本を反応性とみなした。
【0234】
より詳細には、好ましいELISA形式は、抗原被覆した固相を標本希釈液(動物血清と非イオン性界面活性剤を含む緩衝液)で前希釈した血清に接触させることを必要とする。詳細には、血清10μLを標本希釈液150μLに希釈し、渦動撹拌した。次にこの前希釈した標本10μLをELISAプレートの各ウエルに加え、その後標本希釈液200μLと抗原被覆したポリスチレンビーズを加えた。次いでELISAプレートをDynamic Incubator(Abbott Laboratories)において絶えず撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、ウエルを蒸留水中で(1回の洗浄につき5mL)3回洗浄した。次に、複合希釈液(動物血清と非イオン性界面活性剤を含む緩衝液)で希釈したHRPO標識ヤギ抗ヒト免疫グロブリン200μLを各ウエルに加え、ELISAプレートを上述したように1時間インキュベートした。その後ウエルを蒸留水中で3回洗浄し、各ウエルから抗原と結合免疫グロブリンを含むビーズを取り出し、0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.5)、0.3%o−フェニレンジアミン−2HCl及び0.02%過酸化水素の溶液300μLと共に試験管に入れた。室温で30分置いた後、1N硫酸を加えて反応を停止した。生じた492nmでの吸光度を記録した。生じた色の強度は被験サンプル中に存在する抗体の量と直接比例した。標本の各々の群について、おそらくHEVエピトープに対する抗体を含むと考えられる標本をそうでない標本と分けるため、予備カットオフ値を設定した。
【0235】
パネル1:前スクリーニングしたパネルの試験
HEV US−1株から誘導されるエピトープの有用性を明らかにするため、標本のパネルをHEV US−1のアミノ酸配列に基づくELISAによって試験した(表44)。これらのサンプルはあらかじめ、既存のペプチドと、公表文献中に報告されている(Dawsonら(1993)前出;Paulら(1993)前出)上述した認可済抗HEV(Abbott Laboratories)の組合せを用いて、HEVに対する抗体に関して前スクリーニングしておいたものであった。
【0236】
パネルの最初の10メンバーは、HEVのビルマ及びメキシコ株から誘導したペプチドと組換えタンパク質の組合せを用いた分析後、血清がHEVに対する抗体に関して陰性であった米国のボランティア供血者から得た標本で構成された。標本はすべてHEV US−1から誘導したELISAと非反応性であった。急性肝炎に罹患し、血清がHEVのビルマ及びメキシコ株に基づくHEV組換え抗原と合成タンパク質に対するIgG及びIgMクラス抗体に関して反応性であったため、急性HEV感染と診断された個人から、さらに5つの標本を得た。5サンプルのうち3つがエジプトから、1つがインドから、1つがノルウェーから(旅行者)であった。これらの個人の5サンプル全部において、RT−PCRによりHEV RNAが検出された。これらの5メンバーをHEV US−1単離物に対する抗体に関して試験し、IgG及びIgMクラス抗体が各々の症例で検出された(表44)。従ってこれらのデータは、HEVのUS−1株からの合成ペプチドの使用が、HEVへの接触を診断し、急性HEV感染を診断する上で有用性を持つことを裏付けている。
【0237】
【表44】
Figure 0004475803
【0238】
パネル2:HEV US−1単離物の生物ソースにおけるHEVに対する抗体の検出
実施例1で述べた患者から連続的に採血し、その血清をHEV US−1株の生物ソースとして用いた。HEVのビルマ及びメキシコ株に関して得た血清学的データに基づくと、この患者は、検出可能なHEVに対するIgMクラス抗体がないため、HEV陰性と誤って診断されていたはずである。しかし、4日の採血日すべてで、HEV US−1株に対するIgMクラス(表45)及びIgGクラス(表46)抗体が検出された(表45及び46)。この患者の血清をHEV US 3−2eとUS 4−2ペプチドに対するIgG及びIgMクラス抗体が存在するかどうかについて分析していれば、急性HEV感染の診断が下されていたであろう。この診断はさらに、患者が急性肝炎を発症しており、また最も重要な点として、血清サンプル中に検出可能なHEV US−1株のRNAを有していたという所見によって裏付けられる。これらのデータは、HEV US−1株から誘導した合成ペプチドがHEVによる急性感染をより正確に診断する上で有用であることを示唆している。
【0239】
【表45】
Figure 0004475803
【0240】
【表46】
Figure 0004475803
【0241】
パネル3−潜在的急性HEV感染の他の症例
急性肝炎と診断され、ビルマ及びメキシコ株に対するIgMクラス抗体陰性であった50名の患者からの血清パネルを構築した。50の血清サンプルのうち10がHEVのUS株に対する抗体に関して陽性であった(表47及び48)。これらのサンプルに関してRT−PCRを実施したが、10のサンプルのいずれもHEV RNAに関して陽性ではなかった。従って、この実施例が示すように、患者の血清をHEV US−1に対する抗体の存在に関して分析すると、不顕性のウイルス性肝炎を急性HEV感染として診断できると考えられる。
【0242】
【表47】
Figure 0004475803
【0243】
【表48】
Figure 0004475803
【0244】
実施例9−動物伝播試験
サイノモルガスマカク(cynomolgus macaque)(Macaca fascicularis)をSouthwest Foundation for Biomedical Research(SFBR),San Antonio,Texasを通して入手した。霊長類の人道的ケアと倫理的使用を確保するためにSFBRによって設定されたガイドラインに従って動物を飼育し、モニターした。血清ALTの基線レベルを確立するため、接種前少なくとも4週間にわたって週に2回血清を採取した。基線の平均値プラス標準偏差の3.75倍に基づいてカットオフ(CO)値を決定した。2匹のサルにHEV陽性USP−1血清0.4−0.625mLを静脈内経路で接種し、1匹のサルにはHEV陽性USP−2血清2.0mLを接種した。接種後(PI)16週間まで、週に2回血清と糞便サンプルを採集した。血清をALTの変化に関して検査し、COより大きな値を陽性とし、肝損傷を示唆するものとみなした。上記実施例8で述べたように血清サンプルをHEVに対する抗体に関して検査した(表49、図7)。血清と糞便サンプルをRT−PCRによりHEV RNAに関して検査した。QIAamp Viral RNA Kit(Qiagen)を用いてサルの血清25−100μLを抽出した。10%糞便懸濁液を実施例1で述べたように抽出した。下記の実施例12で述べるようにRT PCRを実施した(図7)。
【0245】
2匹のサイノモルガスマカクへのUSP−1血清0.4−0.625mLの静脈内接種は感染を生じさせることができなかったが(データは示していない)、US−2患者からの血清2.0mLの接種はウイルス血症と血清中の肝酵素レベルの上昇をもたらした(図7)。HEV RNAはPI15日目に初めて糞便材料中で検出され、PI64日まで陽性のままであった。PI28−56日の間に採集した血清標本はHEV RNA陽性であった。PI15、44−58、72及び93日目にALT値の上昇が認められ、PI51日目にピークALT値(116UI/L)を記録した。
【0246】
4−2と3−2eペプチドに関するビルマ、メキシコ及びUS配列に基づく6個のELISAを使用して抗体反応を評価した。US 3−2eペプチドアッセイに対してのみ測定可能な反応が見られ(表49)、ビルマあるいはメキシコペプチドとの交差反応性はみられなかった。HEVに対するIgMクラス抗体はPI28日目から58日目まで検出可能であった。このあと、PI44日目に強い抗HEV−IgG反応が認められた。
【0247】
【表49】
Figure 0004475803
【0248】
実施例10:組換えタンパク質ELISA
A.組換え構築物
HEV−USゲノムのORF2とORF3領域からのHEV−US配列によってコードされる大腸菌誘導組換えタンパク質を、pJOorf3−29(配列番号191);cksorf2m−2(配列番号192);及びCKSORF32M−3(配列番号193)と称するCMP−KDOシンテターゼ(CKS)との融合タンパク質として、あるいはplorf3−12(配列番号194);plorf2−2.6(配列番号195);及びPLORF−32M−14−5(配列番号196)と称する非融合タンパク質として発現させた。組換え融合タンパク質の構築においては、米国特許第5,124,255号に述べられているクローニングベクターpJO201を使用した。このベクターを制限エンドヌクレアーゼEco RIとBam HIで消化し、CKSを含むフレーム内のHEV−US配列をクローニングした。組換え非融合タンパク質の構築では、ラムダpL発現ベクターpKRR826を使用した。このベクターを制限エンドヌクレアーゼEco RIとBam HIで消化し、リボソーム結合部位のすぐ下流のHEV−US配列をクローニングした。かかるベクター系は強いラムダプロモーターを含むので、温度感受性リプレッサータンパク質を不活性化する30℃から42℃の温度でシフトさせることによって異種タンパク質合成の誘導を行う。構築物をクローニングし、大腸菌K12株HS36細胞に形質転換してこれらのHEVタンパク質を発現させた。
【0249】
HEV−US配列をHEV US−2ヒト血清あるいはサル13906糞便材料から抽出した核酸から増幅し、上記実施例5で述べたように逆転写した。ORF2のカルボキシル側の半分(すなわち配列番号167のアミノ酸残基番号334−660をコードする)を含むORF2配列を、Eco RI制限部位ならびにATG開始コドンを含むセンスプライマー、配列番号208と、FLAG(Eastman Kodak)と称されるユニークペプチド配列、2つの連続するTAA終止コドン及びBam HI制限部位を含むアンチセンスプライマー、配列番号198を用いて作製した。LA TAQ(Takara)試薬を製造者が推奨するように使用して、PCR反応物50μLを生成した。サイクリング条件は、94℃で20秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の40サイクルを含んだ。増幅の前に94℃で1分間、72℃で10分間置いた。生成物をEco RIとBam HIで消化し、所望するベクターに連結した。制限部位の間のCKS融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号192に、その翻訳物を配列番号199に示す。制限部位の間の非融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号195に、その翻訳物を配列番号200に示す。ORF3全体(アミノ酸1−122)を含むORF3配列を、Eco RI制限部位ならびにATG開始コドンを含むセンスプライマー、配列番号201と、FLAGと称されるユニークペプチド配列、2つの連続するTAA終止コドン及びBam HI制限部位を含むアンチセンスプライマー、配列番号202を用いて作製した。実施例5で述べたようにQiagen試薬を使用してPCR反応物50μLを生成した。サイクリング条件は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の35サイクルを含んだ。増幅の前に94℃で1分間、72℃で10分間置いた。生じた産物をEco RIとBam HIで消化し、所望するベクターに連結した。制限部位の間のCKS融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号191に、その翻訳物を配列番号203に示す。制限部位の間の非融合構築物であるクローンのヌクレオチド配列を配列番号195に、その翻訳物を配列番号204に示す。
【0250】
さらに、完全な長さのORF3(アミノ酸1−123)とORF2のカルボキシル側の半分(アミノ酸334−660)を含むキメラ構築物を作製した。配列番号191と配列番号192を含むプラスミド約100ngをPCR反応物100μL中でテンプレートとして使用した。PCRの緩衝液と酵素はLA TAQキット(Takara)からのもので、これを製造者の指示に従って使用した。ORF3を配列番号201及び205に示すプライマーで増幅した。配列番号205のアンチセンスプライマーはFLAG配列及び配列番号191のカルボキシル末端からの終止コドンを排除し、ATG開始コドンを排除する配列番号192と同一の配列を含む。ORF2を配列番号208及び198のプライマーで増幅した。LA TAQを使用し、サイクリング条件は上述した通りであった。生じた産物を1.2%アガロースゲルで分別して分画化した。GeneClean IIを使用して、製造者が述べているように(Bio 101)ゲル切片からDNAを単離した。生成物をガラスビーズからHO 15μL中に溶出した。ほぼ等しいモル比の各生成物(ORF3生成物10μLとORF2生成物1μL)を、1xPCR緩衝液、dNTP 0.5μl及びLA TAQ 0.25μL(Takara)を用いた25μLの末端充填反応において混合した。この反応は次のようにサイクルした:94℃で1分間、94℃で20秒間と55℃で30秒間及び72℃で1.5分間の10サイクル、その後72℃で10分間。この反応物5μLを、LA TAQキット(Takara)と配列番号201及び198を用いた100μLの増幅反応に供した。サイクリング条件は、94℃で1分間、次いで94℃で20秒間、55℃で30秒間及び72℃で1.5分間の35サイクルであった。この後に72℃で10分間と4℃での浸漬を行った。適当な大きさの生成物を制限酵素Eco RIとBam HIで消化した。この生成物をpJO201に連結し、適当な配列を持つクローン(配列番号193、その翻訳物を配列番号206に示す)を同定した。生じた産物をpKRR826に連結し、適当な配列を持つクローン(配列番号196、その翻訳物を配列番号207に示す)を同定した。
【0251】
B.タンパク質の発現と精製
米国特許第5,312,737号に述べられているように、CKS構築物を2つの500mL培養物において発現させた(4時間の誘導)。P構築物を上述したように発現させた。誘導した大腸菌培養物の凍結細胞ペレットをタンパク質精製の出発物質として使用した。リゾチーム、DNアーゼ及びプロテイナーゼ阻害因子を含む緩衝液に細胞を溶解した。11,000xgで遠心分離にかけて可溶性タンパク質を不溶性タンパク質(封入体)から分離した。組換えタンパク質の溶解度を、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びFLAG(登録商標) M2抗体を用いたウエスタンブロット分析を通して評価した。
【0252】
可溶性組換えタンパク質を、適当な緩衝液に交換したあと、FLAG(登録商標)M2抗体アフィニティーゲルを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した(Surowyら(1997)Jornal of General Virology,78:1851−1859)。必要に応じて、SephacrylR S−200ゲル濾過クロマトグラフィーを通して追加精製を行った。このゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、サンプルとクロマトグラフィー緩衝液は10mM β−メルカプトエタノールを含んだ。精製したタンパク質を、280nmで吸光度を測定して定量した。仮定比吸光係数1を使用して、吸光度をタンパク質のmgに変換した。前測定した純度の標準品を用いて、SDS PAGEによって分別したタンパク質の走査デンシトメトリー(Molecular Dynamics)によってタンパク質の純度を測定した。
【0253】
C.ELISA
組換えHEV US構築物の潜在的な有用性を調べるため、固相ELISAを開発し、評価した。すべての組換えHEV US構築物を下記に述べるように固相上に被覆した。簡単に述べると、1/4インチのポリスチレンビーズを、100mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.6中で希釈した0.5から10μg/mLの濃度にわたる種々の量の(PJOORF3−29)で被覆した。1つの濃度条件につき60個のビーズを緩衝液約14mL中で被覆し、40℃で2時間十分に回転させた。被覆溶液を吸引し、残りの被覆工程を上記実施例8、E項、パラグラフ1で述べたように実施した。
【0254】
pJOorf3−29被覆ビーズを用いたELISAを開発した。簡単に述べると、血清あるいは血漿を上述したようにSpecimen Diluent(SpD)中で1:16に希釈した。次にこの前希釈液のアリコート10μLを反応トレーのウエルに加え、次いでSpD 200μLを加えた。各々のウエルに1個の被覆ビーズを加え、Dynamic Incubator(Abbott Laboratories)を用いて、ダイナミックモードで37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、各々のビーズを脱イオン水(各洗浄当り5mL)で3回洗浄した。次にビーズをHRPO標識ヤギ抗ヒトIgGあるいはIgM複合体200μLと共にインキュベートし、複合希釈液(上述したような)で希釈して、37℃で30分間インキュベートした。次いで複合体を吸引し、ビーズを上記のように洗浄した。実施例8のE項で述べたように発色展開させ、吸光度を読み取った。
【0255】
この構築物の免疫反応性を確認するため、実験的にHEV US−2に感染させた(実施例9で述べたように)サルNo.13903からの一連の血液標本を、pJOorf3−29に対するIgM及びIgG抗体に関して検査した。図1に示すように、接種後(PI)51日目にIgM抗体が検出され、72日目まで上昇し続け、ALT値のピーク上昇と一致した。pJOorf3−29に対するIgG抗体はPI56日目に初めて検出され、107日間まで陽性のままであった(表50)。
【0256】
HEV US ORF3であるがCKS融合パートナーを欠く第二の構築物、plorf3−12も、上述したのと同じELISA形式で評価した。plorf3−12に対するIgG抗体を同じ実験的に感染させたサルからの一連の血液に関して評価した。plorf3−12に対するIgG抗体はPI58日目に検出され、107日目まで陽性のままであった(表50)。
【0257】
【表50】
Figure 0004475803
【0258】
ブタHEVとUS−2単離物間の相同性のパーセントが高いため、pJOorf3−29ELISAをUSブタ群から分離した血清中の免疫反応性IgG及びIgMの発現率を測定するのにも使用した(表51)。抗ヒト複合体の代わりにHRPO複合標識抗ブタ免疫グロブリン(IgGあるいはIgM)を用いたことを除いて、上述したようにアッセイを行った。
【0259】
【表51】
Figure 0004475803
【0260】
反応性標本を確認するため、阻止試験を開発した。簡単に述べると、1:16の標本前希釈液の10μLアリコートを反応トレーの2つのウエルに加えた;1つのウエルは標準アッセイ用とし、もう1つのウエルは阻止アッセイに使用した。標準アッセイのELISAは、pJOorf3−29抗原被覆ビーズを加える前に室温で30分間の前インキュベーション段階を置くことを除いて、上述したように実施した。阻止試験については、固相上の10倍モル過剰のpJOorf3−29をSpD(阻止試薬)に加えた。各反応につき阻止試薬200μLを加え、室温で30分間の前インキュベーションを実施した後、pJOorf3−29抗原被覆ビーズを加えた。アッセイの残りの部分は、抗ヒト複合体の代わりにHRPO複合抗ブタ複合体(IgG)を使用したことを除いて、ブタアッセイに関して上述したように実施した。
【0261】
等式:
[A492nm標準アッセイ−A492nm阻止アッセイ)/A492nm標準アッセイ]×100
を用いて阻止%を決定した。50%以上の阻止率を示した標本をHEV pJOorf3−29に対するIgG抗体に関して反応性とみなした。典型的なIgG陽性及びIgG陰性ブタサンプルとそれらの阻止結果を表52に示す。
【0262】
【表52】
Figure 0004475803
【0263】
阻止アッセイのほかに、ブタ標本のサブセットに関してウエスタンブロット分析を実施した。簡単に述べると、HEV pJOorf3−29 50μgと「CKS単独」タンパク質50μgをSDS−PAGEによって分別し、分別したタンパク質をニトロセルロースに移した。ニトロセルロースの3mm細片を切断し、10%大腸菌溶解産物を含むタンパク質ベースの緩衝液中で1:100希釈した一次抗体と共に、軌道回転装置上でひと晩室温でインキュベートした。その翌日、細片を0.3%Tween/TBS(TBST)で3回洗浄し、その後TBST中で0.5μg/mLに希釈したHRPO複合抗ブタIgG複合体を加えた。細片を回転させながら室温で4時間インキュベートした。次にブロットをTBST中で3回洗浄し、次いでTBS中で2回洗浄した。4−クロロ−1−ナフトールを基質として用いてブロットを展開した。水を加えて反応を停止し、バンドの強さを記録した。標本がpJOorf3−29について正しい分子量(約40kD)のバンドを示し、「CKS単独」バンドの領域(約29kD)で反応性がなければ、その標本は特異的反応性を持つと判定した。pJOorf3−29ウエスタンブロットで分析した20のブタ血清に関する結果を表53に示す。「CKS単独」バンドと非特異的反応性を示したブタ血清はなかった。
【0264】
【表53】
Figure 0004475803
これらのデータは、HEV US組換えタンパク質がHEVヘの曝露を診断する上で有用であることを示唆している。
【0265】
実施例11−コンセンサスプライマー
アジア、メキシコ及び米国からの単離物の完全な長さの配列間で保存された領域に基づき、HEV ORF1、ORF2及びORF3に関するコンセンサスオリゴヌクレオチドプライマーを作製した(図9)。ORF1プライマーはビルマ単離物のヌクレオチド56−79及び473−451のメチルトランスフェラーゼ領域内に位置し(GenBankアクセス番号:M73218)、長さ418ヌクレオチドの生成物を増幅する。ORF1プライマーは:
HEVConsORF1−s1;CTGGCATYACTACTGCYATTGAGC(配列番号147);及び
HEVConsORF1−a1;CCATCRARRCAGTAAGTGCGGTC(配列番号148)
を含む。
【0266】
ビルマ単離物の6298−6321位及び6494−6470位のORF2プライマーは長さ197ヌクレオチドの生成物を生じる。ORF2プライマーは:
HEVConsORF2−s1;GACAGAATTRATTTCGTCGGCTGG(配列番号150);及び
HEVConsORF2−a1;CTTGTTCRTGYTGGTTRTCATAATC(配列番号;126)
を含む。
【0267】
第二ラウンドの増幅については、内部プライマーを使用してORF1とORF2についてそれぞれ287及び145ヌクレオチドの産物を生成することができる。ORF1プライマーは:
HEVConsORF1−s2;CTGCCYTKGCGAATGCTGTGG(配列番号177);及び
HEVConsORF1−a2;GGCAGWRTACCARCGCTGAACATC(配列番号178)
を含む。
【0268】
ORF2プライマーは:
HEVConsORF2−s2;GTYGTCTCRGCCAATGGCGAGC(配列番号152);及び
HEVConsORF2−a2;GTTCRTGYTGGTTRTCATAATCCTG(配列番号;128)
を含む。
【0269】
PCR反応は、製造者の指示に従って(Perkin−Elmer)2mM MgCl及び各々のプライマー0.5μMを含み、実施例5で述べたようなタッチダウンPCRを使用して増幅した。増幅産物を1.5%アガロースゲル上で分離し、適当な大きさのPCR産物が存在するかどうかを分析した。当該プライマーを使用して、上記実施例8及び図7に示すようにHEV US−2を含む血清及び糞便中のウイルスの存在を検出した。さらに、これらのプライマーは、ビルマ様株6A、7A、9A及び12Aならびにギリシャからの2つの異なる単離物(下記の実施例13参照)ならびにイタリアからのユニーク単離物と米国からの2つの単離物(下記の実施例13参照)を含めたHEVの多数の異なる変異株と反応性であることが認められた。さらに、これらのプライマーを使用して、中国のLiaoning地方からの急性散発性肝炎の臨床診断を下された患者(S15)からの単離物を同定した。その結果を下記の表54に示す。
【0270】
【表54】
Figure 0004475803
【0271】
実施例12−一次ヒト胎児腎細胞におけるHEV RNAの検出
10×10細胞を含む凍結細胞ペレットを解凍し、1.0mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水に懸濁した。実施例1で述べたようなUltraspec Isolation Systemを使用して、細胞ペレット20μL(2×105細胞)からRNAを抽出した。上記の抽出核酸(RNA)に関してcDNA合成を行い、ランダム六量体で開始させた。次に、実施例11で述べたように最終濃度0.5μMでウイルスゲノムのORF−1及びORF−2領域からの変性プライマーを使用して、上記のcDNAに関してPCRを実施した。
【0272】
上記のアッセイの性能をモニターするため、一次ヒト腎細胞とHEV US−2陽性血清を使用した陽性対照を実験計画に含めた。2×10のHEV陰性一次ヒト腎細胞を、確認されたHEV US−2陽性血清標本2.5μL及び25μLでスパイクして、2つの陽性対照セットを調製した。ヒト腎細胞を加えない陽性対照血清も検査した。
【0273】
一次ヒト腎細胞ペレットの19ロットを、ORF1とORF2からの2つの変性プライマーセットを用いた上記アッセイ法によって検査した。結果を下記の表55に要約する。検査した細胞ペレットのいずれのロットも、陽性対照で見られたような陽性結果を示さなかった。
【0274】
【表55】
Figure 0004475803
【0275】
実施例13:追加US型単離物の同定と伸長
A.It1と称する、イタリアからの単離物の同定
血清25−50μLをPBSで100μLに希釈し、RNアーゼ不含の水100μLで最終的な溶出を行った点を除き、QIAamp Viral RNAキット(Qiagen)を使用して製造者が述べているように血清25−50μLからRNAを抽出した。RT反応をランダムに開始させた。PCRは、上記実施例5で述べたようなHEV US−1プライマーを使用した。配列番号94及び配列番号96のプライマーで増幅した後、294bpの産物を生成した。生成物を実施例3で述べたようにクローニングし、配列決定して、配列番号179に示している。
【0276】
It1単離物ゲノムの伸長を次のように実施した。上記実施例5で述べたように血清25−50μLからRNAを抽出した。RT反応をランダムに開始させた。PCRは、上記実施例3で述べたように、タッチダウンPCRを用いて実施例11で上述したHEV CONSENSUSプライマーを使用した。配列番号147及び148に示すプライマーを使用して、配列番号180に示す配列を持つ産物を生成した(反応物z2、418bp)。配列番号150及び126に示すプライマーを使用して、配列番号181に示す配列を持つ産物を生成した(反応物z3、197bp)。1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)の存在下で、配列番号182及び183に示すプライマーを使用して、配列番号184に示す配列を持つ産物を生成した(反応物z4、234bp)。PCR1では配列番号150と85に示すプライマーを使用して、またPCR2では配列番号152と85に示すプライマーを使用して、上記実施例3で述べたような3’RACEによってゲノムの3’末端を単離し、配列番号185に示す配列を持つ産物を生成した(反応物z5、890bp)。生成物を実施例3で述べたようにクローニングし、配列決定して、コンセンサス配列を生成した。これらの領域を図8に示し、配列番号180、184及び186に表している。これらの領域のアミノ酸翻訳産物を、配列番号187、188、190及び197に示すアミノ酸配列に表わしている。
【0277】
B.G1及びG2と称される、ギリシャからの2つの単離物の同定
風土病地域に旅行したことのない2名の患者が急性肝炎を発症し、ビルマ単離物に基づくプライマーで分析された(Psichogiou M.A.ら、(1995)「非A・非B型肝炎患者のコホートにおけるE型肝炎ウイルス(HEV)感染」Journal of Hepatology,23,668−673)。G2患者だけがPCR陽性と認められた。上記実施例12で述べたようにRNAを単離し、上記実施例11で述べたコンセンサスプライマーによるPCRを実施した。ORF1とORF2のプライマーセットは、両方の患者から予想される大きさの産物を生成した。生成物を上記実施例3で述べたようにクローニングし、配列決定した。G1患者からのORF1とORF2のコンセンサスプライマーを用いて生成した産物をそれぞれ配列番号209と211に示す。G2患者からのORF1とORF2のコンセンサスプライマーを用いて生成した産物をそれぞれ配列番号213と215に示す。PCR陽性であることからG1が同定されたことは、ビルマベースの株特異的プライマーに比べてコンセンサスプライマーの有用性を明らかにしている。
【0278】
PCRにランダム始動cDNAを使用し、増幅が94℃で20秒間、60℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクルと、続いて94℃で20秒間、55℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクル、さらに94℃で20秒間、50℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及び72℃で1分間の30サイクルを含むことを除いて、上記実施例3で配列番号19の生成に関して述べたように、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のプライマーを使用してG1とG2からの追加配列を得た。この後72℃で7分間の伸長サイクルを実施した。G1患者から生成した産物を配列番号217に示す。G2患者から生成した産物を配列番号220に示す。
【0279】
US、中国、ギリシャ、イタリア、メキシコ及びビルマ様単離物のヌクレオチド配列の整列を行い、これらの単離物の相互の類縁関係を調べた。イタリア単離物の相違性がゲノムのORF1領域からの生成物の比較によって裏付けられ、ビルマ(B1)、メキシコ(M1)及びUS(US−1)からの基本型単離物との核酸同一性パーセントはそれぞれ77.6%、78.4%及び84.6%であった(表36)。また、ゲノムのORF2領域からの生成物の比較によってもイタリア単離物の相違性が裏付けられ、ビルマ、メキシコ及びUSからの基本型単離物とそれぞれ83.3%、79.7%及び87.8%の核酸同一性パーセントを有していた(表37)。ビルマ、メキシコ及びUSからの基本型単離物からのヌクレオチド同一性は、これら2つの領域にわたって75.5%から82.4%の範囲である。これらの同じ領域に関して、ビルマ様群を含む単離物は91.2%以上というはるかに高い同一性を有している。
【0280】
ORF1とORF2の増幅配列を比較すると、ギリシャの2名の患者からの単離物が互いにかなり異なることを示唆し、ORF1とORF2のこれらの領域でそれぞれ84.4%と87.2%のヌクレオチド同一性を示した。ヌクレオチドレベルでは、ギリシャ、イタリア及びUS単離物間の同一性パーセントは、ORF1産物に関しては81.9%から86.8%の範囲であり(表36)、ORF2産物に関しては82.4%から87.8%の範囲である(表37)。これらの数値は、ORF1とORF2の両方に関して91.2%以上というビルマ様単離物間での最も低いヌクレオチド同一性パーセントを下回る。US、イタリアあるいはギリシャ単離物とビルマあるいはメキシコ単離物間でORF1フラグメントから誘導したアミノ酸の同一性を比較すると、87.8%から93.5%の範囲である(表36)。これらの数値は、ビルマとメキシコ単離物間の差に等しいか若しくはそれより小さく(93.5%から95.1%)(表36)、非風土病地域からの単離物が風土病地域に由来する単離物とは異なることを示唆している。
【0281】
分析したウイルス配列間の相対的な進化的距離は、対合距離から作製した根なし進化系統樹を見れば容易に明白であり、その枝の長さは単離物間の相対的な遺伝的関係に比例する。ORF1(図10)あるいはORF2(図11)のいずれかの配列の整列に基づく進化系統樹は、全体的なトポロジーにおいて極めて類似している。ビルマ様単離物とメキシコ単離物が系統樹の一方の端の主要な枝をなす。ヒトUS単離物は、メキシコ及びビルマ単離物からは遠位の異なる群を形成する。ORF2からのブタHEV様配列はUSヒト単離物と緊密に関係している。3つのヨーロッパ単離物はさらに3本の異なる枝を形成し、イタリア単離物がUS単離物と最も緊密に関係している。
【0282】
等価物
本発明は、その精神あるいは基本特性から逸脱することなく他の特定形態として具体化されうる。前記の実施態様は、それ故、ここで述べる本発明を制限するものではなく、すべての点において例示とみなされるべきである。従って本発明の範囲は前記の説明ではなく付属の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び等価性に属するすべての変更は、特許請求の範囲内に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 HEVゲノムの略図であり、ORF1領域、ORF2領域およびORF3領域の相対的な位置を示す。
【図2】 入院1日目〜入院37日目のUSP−1患者の血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(四角)および血清総ビリルビン(菱形)のレベルを示すグラフである。
【図3】 HEVのUS−1ゲノムの略図であり、本研究中において単離されたクローンの相対的な位置が示されている。
【図4】 HEVのUS−2ゲノムの略図であり、本研究中において単離されたクローンの相対的な位置が示されている。
【図5】 全長のHEV US−1、HEV US−2および10個の他のHEV単離物に由来するヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を示す。枝分かれの長さは、配列間の進化的距離に比例している。位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、100個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表される)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2;メキシコ株、M1;および合衆国株、US−1、US−2。
【図6】 ORF2/3の領域に由来するヌクレオチド配列(すなわち、配列番号89の第5094位〜第7114位のヌクレオチド残基に対応する配列)の関係を表す無根系統樹を示す。枝分かれの長さは、配列間の進化的距離に比例している。位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、100個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表される)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2;メキシコ株、M1;ブタ株、S1;および合衆国株、US−1、US−2。
【図7】 USP−2患者から採取された血清が接種された前後におけるサルのアラニンアミノトランスフェラーゼ(四角)、血清アスパラギン酸トランスフェラーゼ(丸印)、およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(三角)のレベルを示すグラフである。HEV US−2のRNAが血清および便のサンプルに存在する時期、ならびに抗HEV US−2のIgMおよびIgGが検出可能であった時期もあわせて示す。
【図8】 It1ゲノムの概略図であり、この研究中において単離されたクローンの相対的な位置が示されている。
【図9a】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およびc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図9b】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およびc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図9c】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およびc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図10】 配列番号89の第26位〜第396位のヌクレオチド残基に対応する長さが371ヌクレオチドのORF1ヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を示す。位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、1000個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表される)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2;メキシコ株、M1;イタリア株、It1;ギリシア株、G1、G2;および合衆国株、US−1、US−2。
【図11】 配列番号89の第6307位〜第6454位のヌクレオチド残基に対応する長さが148ヌクレオチドのORF1ヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を示す。位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、1000個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表される)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2;メキシコ株、M1;イタリア株、It1;ギリシア株、G1、G2;ブタ株、S1;および合衆国株、US−1、US−2。
【図12】 図12は、好ましいHEV−US組換えタンパク質構築物の概略図を示す。
図12Aには、最初と最後のアミノ酸の位置が示されているHEVのORF2構造タンパク質およびORF3構造タンパク質が示されている。存在する免疫優勢エピトープが、それぞれのORF内の線分によって示されている。
図12Bには、発現ベクターにクローニングされ、そして最初と最後のアミノ酸の位置が示されているORF3領域が示されている(配列番号203または配列番号204)。
図12Cには、発現ベクターにクローニングされ、そして最初と最後のアミノ酸の位置が示されているORF2領域が示されている(配列番号199または配列番号200)。
図12Dには、発現ベクターにクローニングされて、そしてキメラ構築物の各成分の最初と最後のアミノ酸の位置が示されているORF2/3キメラ構築物が示されている(配列番号206または配列番号207)。ORF3/2構築物から除かれた配列を点線によって示す。
図12B〜Dにおいて、各構築物のカルボキシル末端に存在するFLAG(登録商標)ペプチドが、塗りつぶした四角によって示されている。
【図13】 USP−2患者から採取された血清が接種された前後におけるサルのアラニンアミノトランスフェラーゼ(四角)、IgG(丸印)およびIgM(星印)のレベルを示すグラフである。
【配列表】
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Claims (17)

  1. ヒト個体から分離された試験サンプル中におけるUS型またはUS亜型のヒトE型肝炎ウイルス(HEV)の存在を検出するための方法であって、但し該US型またはUS亜型のヒトHEVは配列番号89または配列番号164に示される核酸配列を含むゲノムを有しており、以下の工程
    (a)前記サンプルを、前記ウイルスのマーカーに特異的に結合する結合パートナーと接触させる工程であって、前記サンプル中に前記マーカーが存在する場合に前記マーカーは前記結合パートナーに結合して、マーカー−結合パートナーの複合体を形成する工程;および
    (b)前記サンプル中の前記ウイルスの存在を示す前記複合体の存在を検出する工程
    含み、前記結合パートナーが、配列番号173、配列番号174、配列番号223もしくは配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖、または配列番号173、配列番号174、配列番号223および配列番号224のいずれかをコードする核酸もしくはその相補鎖である方法。
  2. 前記マーカーは前記ウイルスに結合し得る抗体である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抗体は免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンMである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記結合パートナーは、単離されたポリペプチド鎖である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ポリペプチド鎖は固体支持体に固定化される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記結合パートナーは、配列番号173、配列番号174、配列番号223および配列番号224からなる群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合し得る単離された抗体である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記抗体はモノクローナル抗体である、請求項に記載の方法。
  8. 前記結合パートナーは、単離された核酸である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記試験サンプルは哺乳動物細胞株である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記哺乳動物細胞株はヒト胎児腎臓細胞株である、請求項に記載の方法。
  11. 配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号173、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号175、配列番号176、配列番号223および配列番号224に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド鎖。
  12. 配列番号173、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合し得る単離された抗体。
  13. 検出可能な部分をさらに含む、請求項12に記載の単離された抗体。
  14. 配列番号89および配列番号164に示されているヌクレオチド配列、または配列番号173、配列番号174、配列番号223および配列番号224のいずれかをコードする核酸もしくは前記配列のいずれかに相補的な核酸配列を含む単離された核酸。
  15. 請求項14の単離された核酸を含むベクター。
  16. 請求項15に記載のベクターを含有する宿主細胞。
  17. US型ヒトHEVまたはUS亜型ヒトHEVに対して非ヒト哺乳動物を免疫する方法であって、前記非ヒト哺乳動物に、請求項11に記載のポリペプチドを、US型ヒトE型肝炎ウイルスまたはUS亜型ヒトE型肝炎ウイルスに特異的に結合し得る抗体の産生を刺激するのに十分な量で投与することを含む方法であり、但し該US型またはUS亜型ヒトHEVは配列番号89または配列番号164に示される核酸配列を含むゲノムを有することを特徴とする、前記方法。
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