JP2001520384A - E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物 - Google Patents

E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物

Info

Publication number
JP2001520384A
JP2001520384A JP2000516232A JP2000516232A JP2001520384A JP 2001520384 A JP2001520384 A JP 2001520384A JP 2000516232 A JP2000516232 A JP 2000516232A JP 2000516232 A JP2000516232 A JP 2000516232A JP 2001520384 A JP2001520384 A JP 2001520384A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
hev
virus
hepatitis
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000516232A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4475803B2 (ja
Inventor
シユローダー,ジヨージ・ジー
アーカー,ジエイムズ・シー
デサイ,スレツシユ・エム
ドーソン,ジヨージ・ジエイ
マツシヤーワー,アイザ・ケー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Abbott Laboratories
Original Assignee
Abbott Laboratories
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Abbott Laboratories filed Critical Abbott Laboratories
Publication of JP2001520384A publication Critical patent/JP2001520384A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4475803B2 publication Critical patent/JP4475803B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/16Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/576Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for hepatitis
    • G01N33/5767Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for hepatitis non-A, non-B hepatitis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/28011Hepeviridae
    • C12N2770/28111Hepevirus, e.g. hepatitis E virus
    • C12N2770/28122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本明細書において、サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスおよびその天然に存在する変異型の存在を検出するための方法および組成物を開示する。特に、本発明は、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのゲノムに対応する核酸配列、そのようなウイルスのゲノムによってコードされるアミノ酸配列(エピトープ配列を含む)、およびそのようなアミノ酸配列に特異的に結合する抗体を提供する。本発明は、そのようなウイルスによる感染に対して個体を免疫化するための方法または組成物、あるいはそのようなウイルスに既に感染している患者を処置するための方法または組成物をさらに提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、一般的には、E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物
に関する。より詳細には、本発明は、E型肝炎ウイルスのUS型株およびUS亜
型株に感染した個体を検出または処置するための方法および組成物に関する。
【0002】 発明の背景 肝臓の炎症(肝炎)を引き起こす肝臓親和性ウイルスには、少なくとも5種類
の主要なウイルスが存在する。これらのウイルスには、A型肝炎ウイルス(HA
V)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウ
イルス(HDV)およびE型肝炎ウイルス(HEV)が含まれる。HBV、HC
VおよびHDVのみが慢性肝炎を引き起こすが、5つの型はすべて、直接的に急
性疾患を引き起こし、あるいは、例えば、HBVおよびHDVによる重感染/共
感染の結果としての急性疾患を引き起こす。HEVは、腹痛、黄疸、倦怠感、食
欲不振、暗色尿、発熱、悪心および嘔吐を含む他のウイルス性病原体による肝炎
症状と同様の肝炎症状を引き起こす(例えば、Reyesら、「非A非B型肝炎
病原体のC型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスの分子生物学」、Advan
ces in Virus Research(1991)40:57〜102
;Bradley、「非A非B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルスおよびE型肝
炎ウイルスと同定される」、Progr.Med.Virol.(1990)3
7:101〜135;Hollinger、「非A非B型肝炎ウイルス」、Vi
rology、第2版(1990)、第2版、Raven Press、New
York、2239頁〜2271頁;Gustら、「ワークショップ報告書:
水系感染性の非A非B型肝炎」J.Infect.Dis.(1987)156
:630〜635;およびKrawcyznski、「E型肝炎」、Hepat
ology(1993)17:932〜941を参照のこと)。しかし、他のヘ
パトウイルスとは異なり、HEVは、合衆国における肝炎の主原因であるとは一
般に認められていない。
【0003】 HEVが風土病である地理学的地域には、東アフリカおよび北アフリカ、イン
ド、パキスタン、ビルマならびに中国が含まれる(Reyesら(1991)前
出)。HEV感染の致死率は、HEVが風土病である地域では一般の人々におい
て約0.1%〜約1.0%の間であり、発展途上国の妊婦では約20%ほどの高
さであると推定されている。大部分の死者の原因は劇症肝炎である(Reyes
ら(1991)前出)。合衆国、西ヨーロッパおよび日本におけるHEV感染に
関する時折の報告は、通常、HEVが風土病である地域への旅行から戻った旅行
者において認められる。しかし、HEV感染は中央官庁には報告されていないた
め、合衆国におけるHEV感染による罹病率および/または死亡率に関する情報
はほとんどない。合衆国におけるHEVの重要性を明らかにするための詳細で組
織的な研究は行われていない。さらに、そのような研究が行われたとしても、そ
のような研究を行うための適切な試薬が開発されない限り、合衆国(ならびにお
そらくは日本および西ヨーロッパ)におけるHEVの相対的な重要性は過小評価
され続けるかもしれない。
【0004】 HEVの基本的な特徴は、HEVがエンベロープを持たず、約27nm〜30
nmの直径を有し、そしてプラス鎖のセンス一本鎖RNAゲノムを有するウイル
スであることである。このRNAゲノムは、この分野ではオープンリーディング
フレーム1(ORF1)、オープンリーディングフレーム2(ORF2)、およ
びオープンリーディングフレーム3(ORF3)と呼ばれる3つの不連続なオー
プンリーディングフレーム(ORF)を含む。ウイルスの全体的な形態ならびに
ゲノムのサイズおよび構成に基づいて、このウイルスは暫定的にカリシウイルス
科のメンバーとして分類されている。同定および配列決定が行われたHEVの最
初の2つの単離物が、ビルマおよびメキシコから得られた。両方の単離物のゲノ
ム全体にわたる全体的な核酸同一性は76%である(Reyesら(1990)
Science、247:1335〜1339;Tamら(1991)Viro
logy、185:120〜131;Huangら(1992)、Virolo
gy、191:550〜558)。ヌクレオチドの相違の多くはコドンの3番目
の位置に認められたので、HEVのビルマ株とメキシコ株との間のアミノ酸配列
の推定される類似性は、ORF1、ORF2およびORF3の各オープンリーデ
ィングフレームに関して、それぞれ、83%、93%および87%であった。
【0005】 ビルマ株には、メキシコ株では同定されなかった約27ヌクレオチドの短い非
翻訳領域がゲノムの5’末端に存在する。ORF1は約5,100ヌクレオチド
を含み、これには推定的なメチルトランスフェラーゼドメイン、RNAヘリカー
ゼドメイン、推定的なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)ドメイン、
および推定的なパパイン様プロテアーゼを含む数個の保存されたモチーフがコー
ドされている。プラス鎖をセンス鎖とするRNAの植物ウイルスおよび動物ウイ
ルスのすべてで見出されているGly−Asp−Asp(GDD)のトリペプチ
ド配列がORF1の内部に見出され、これは通常RDRPとして機能する。通常
、細胞性ヘリカーゼおよびウイルス性ヘリカーゼと関連するプリンNTPアーゼ
活性が示唆される保存されたモチーフもまた、ORF1の配列内に存在する。O
RF1にコードされる遺伝子産物に対する免疫応答は一貫していない。
【0006】 2番目のオープンリーディングフレーム(ORF2)は、ウイルスゲノムのカ
ルボキシル側の1/3を占める。ORF2は約2,000ヌクレオチドを含み、
コンセンサスシグナルペプチド配列がORF2のアミノ末端にコードされており
、そしてORF1に関して1+のリーディングフレームで翻訳される推定的なキ
ャプシドタンパク質がコードされている。多くの場合、HEV感染者は、ORF
2に由来するペプチドまたは組換えタンパク質と反応する抗体を産生している。
【0007】 3番目のオープンリーディングフレーム(ORF3)は、ORF1とORF2
の両方に部分的に重複し、そしてORF1に関して+2のリーディングフレーム
で翻訳される369ヌクレオチドを含む。ORF3によりコードされるタンパク
質の機能は不明であるが、このタンパク質は抗原性であり、HEV感染者のほと
んどがこのタンパク質に対する抗体を産生している。従って、ORF2およびO
RF3に由来するペプチドまたは組換えタンパク質は、HEVへの曝露を診断す
るときに有用な血清学的マーカーとして利用することができる。
【0008】 最近、さらなるHEV単離物がいくつか同定され、HEVのビルマ株およびメ
キシコ株と比較された。新しい単離物のほとんどは、HEVのメキシコ株よりも
ビルマ株に密接に関連している。1986年〜1987年における短期間の出現
を除いて、HEVのさらなるメキシコ株は単離されていない(Velasque
zら(1992)JAMA、263:3281〜3286)。
【0009】 最近、SAR−55と呼ばれる1つの単離物が、パキスタン出身のHEV感染
者から単離された。SAR−55単離物はビルマ株と非常に関連しており、ゲノ
ム全体にわたるヌクレオチドおよびアミノ酸の同一性は、それぞれ、94%およ
び99%である。最近、いくつかの他の単離物が、パキスタンに接する中国の新
彊ウイグル自治区(Xuar)地方から得られた。これらの中国の単離物は、ビ
ルマ株(約93%のヌクレオチド同一性)よりもパキスタン株(約98%のヌク
レオチド同一性)に密接に関連していた。
【0010】 ウイルスゲノムの配列決定ならびにウイルスによりコードされる組換えタンパ
ク質および合成ペプチドの入手に先立って、HEV感染を電子顕微鏡および免疫
蛍光法によって観察した。HEVゲノムが同定されるとすぐに、HEV感染を検
出するために、(i)特異的な免疫アッセイ(例えば、組換えタンパク質および
/または合成ペプチドに基づくウエスタンブロット法およびELISA)、およ
び(ii)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、逆転写PCR(RT−P
CR))を含む特異的な実験室技術が利用可能となった。RT−PCRは、急性
肝炎に感染した場合およびET−NANBHの流行時に、便サンプルまたは血清
サンプルにおけるHEVのRNAを検出するために問題なく使用されている。さ
らに、HEVのメキシコ株およびビルマ株に由来する組換え抗原を使用すること
により、HEVに特異的なIgG抗体、IgM抗体、および一部の場合にはIg
A抗体が、ソマリア、ビルマ、ボルネオ、タシュケント、ケニア、パキスタンお
よびメキシコにおけるET−NANBHの大発生から得られた検体において検出
された。HEVに特異的なIgG抗体、および時にはIgM抗体が、エジプト、
インド、タジキスタンおよびウズベキスタンなどの地理学的地域における急性散
発性肝炎の場合、ならびにHEVが風土病である地域に旅行した工業化国(例え
ば、合衆国、英国、オランダおよび日本)の患者での急性肝炎の場合に検出され
た。
【0011】 現在までのところ、HEVのビルマ単離物およびメキシコ単離物に基づくPC
Rおよび免疫アッセイに基づく試験により、「水系感染性肝炎」の種々の症例が
HEVによって引き起こされたことが立証された。抗体試験もまた、HEVが、
発展途上国における急性散発性肝炎の原因であり、そしてHEVが風土病である
地域への旅行者の間での急性散発性肝炎の原因であることを立証するときに重要
であった。しかし、現行の試薬はすべて、HEV株への曝露が検出できないため
に、現在、どれほどの数が急性HEVと診断されていないことに関しては不明で
ある。従って、新しいHEV単離物が同定された場合、現在入手可能な試験キッ
トによって今まで検出することができなかったそのような新しいHEV株により
引き起こされる肝炎の検出および/または処置を行うための新しい組成物および
方法を開発することが望まれる。
【0012】 発明の要旨 本発明は、部分的にはヒトE型肝炎ウイルスの新規ファミリーの発見に基づい
ている。E型肝炎ウイルスの新しく発見されたファミリーは、US型E型肝炎ウ
イルスとしてこれ以降示されるクラスに属する。さらに、このファミリーの2つ
のメンバーが、合衆国に住んでいる人々で発見された。これらは、ヌクレオチド
およびアミノ酸のレベルで比較した場合、かなりの類似性を示している。この2
つのメンバーはともに、これ以降US亜型E型肝炎ウイルスとして示されるUS
型E型肝炎ウイルスのサブクラスに属する。
【0013】 従って、1つの態様において、本発明は、目的とする試験サンプルにおけるU
S型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するための
方法を提供する。この方法は下記の工程を含む:(a)試験サンプルを、ウイル
スのマーカー(または標的)に特異的に結合する結合パートナーと接触させる工
程であって、このマーカーがサンプル中に存在する場合、マーカーは結合パート
ナーに結合して、マーカー−結合パートナーの複合体を形成する工程、および(
b)複合体の存在の有無を検出する工程。複合体の存在は、試験サンプルにおけ
るウイルスの存在を示す。
【0014】 1つの実施形態において、マーカーは、目的とするサンプル中に存在する抗U
S型抗体または抗US亜型抗体(例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子また
は免疫グロブリンM(IgM)分子)であり、結合パートナーは、マーカーに特
異的に結合するエピトープを規定する単離されたポリペプチド鎖である。このよ
うな場合、試験サンプルは調査中の個体から採取された体液サンプル(例えば、
血液、血清または血漿)であると考えられる。好ましい実施形態において、US
型特異的エピトープまたはUS亜型特異的エピトープを規定するポリペプチド鎖
が固体支持体に固定化する。その後、固定化したポリペプチド鎖を、サンプル中
に存在するマーカー抗体(例えば、抗US型または抗US亜型のE型肝炎ウイル
スに特異的な抗体)が固定化ポリペプチドに結合することを可能にする条件のも
とで試験サンプルと一緒にする。その後、結合した抗体の存在の有無を、例えば
、検出可能な部分で標識された第2の抗体またはその抗原結合性フラグメント(
例えば、抗ヒト抗体またはその抗原結合性フラグメント)を使用して検出するこ
とができる。
【0015】 多数の異なるUS型特異的ポリペプチドおよびUS亜型特異的ポリペプチドが
本発明のこの実施形態の実施における結合パートナーとして有用であり得ると考
えられる。例えば、本発明の1つの好ましい実施形態において、結合パートナー
は、配列番号91、配列番号92および配列番号93ならびにその天然に存在す
る変異型からなる群より選択され、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株
ファミリーのメンバーの対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴的なアミノ
酸配列を示すポリペプチド鎖の少なくとも一部、例えば、そのようなポリヌクレ
オチド鎖の少なくとも5個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個のアミノ
酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、そしてさらにより好
ましくは少なくとも約25個のアミノ酸残基であり得ると考えられる。同様に、
結合パートナーは、配列番号173、配列番号174または配列番号175に示
されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖であり得ると考えられる。本発明の別
の好ましい実施形態において、結合パートナーは、配列番号166、配列番号1
67および配列番号168ならびに天然に存在するそれらの変異型からなる群よ
り選択され、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバー
の対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴的なアミノ酸配列を示すポリペプ
チド鎖の少なくとも一部、例えば、そのようなポリヌクレオチド鎖の少なくとも
5個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸残基、より好ましく
は少なくとも15個のアミノ酸残基、そしてさらにより好ましくは少なくとも約
25個のアミノ酸残基であり得ると考えられる。同様に、結合パートナーは、配
列番号176、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を
含むポリペプチド鎖であり得ると考えられる。
【0016】 本発明の別の実施形態において、マーカーは、HEVのUS型ファミリーまた
はUS亜型ファミリーのメンバーに特徴的なポリペプチド鎖であり、結合パート
ナーは、好ましくは、マーカーポリペプチド鎖上のエピトープに結合する単離さ
れた抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)である。結
合パートナーは、検出可能な部分で標識することができ、あるいは固体支持体に
固定化することができる。例えば、本発明のこの実施形態の実施は、目的とする
マーカーポリペプチド上の第1のエピトープに結合する第1の抗体を固体支持体
に固定化することによって容易に行うことができると考えられる。次いで、分析
すべき試験サンプルは、固定化された抗体がマーカーポリペプチドに結合するこ
とを可能にする条件のもとで固体支持体と一緒にされる。その後、結合したマー
カーポリペプチド鎖の存在の有無を、例えば、マーカーポリペプチド鎖上の第2
の異なるエピトープに結合する検出可能な部分と結合した第2の抗体を使用する
ことによって決定することができる。
【0017】 本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号9
1、配列番号92、配列番号および配列番号93ならびにその天然に存在する変
異型からなる群より選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、
そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配
列に比べて、そのようなポリペプチド鎖に対して大きな結合親和性を有する。本
発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号173または配列番号
175に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することが
できると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号169
または配列番号171に示されるアミノ酸配列に関して、あるいは配列番号17
5に対応するビルマ株およびメキシコ株中の領域に対して、好ましくは親和性が
より低いこと、そして最も好ましくはそのようなポリヌクレオチド鎖と、あるい
はそのような領域に結合しないことを特徴とする。同様に、本発明の実施に有用
な抗体は、好ましくは、配列番号174または配列番号176に示されるアミノ
酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考えられる。こ
の抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号170または配列番号172に
示されるアミノ酸配列に関して、あるいは配列番号176に対応するビルマ株お
よびメキシコ株中の領域に対して、好ましくは親和性がより低いこと、そして最
も好ましくはそのようなポリヌクレオチド鎖と、あるいはそのような領域に結合
しないことを特徴とする。
【0018】 同様に、本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配
列番号166、配列番号167および配列番号168ならびにその天然に存在す
る変異型からなる群より選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することがで
き、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応す
る配列に比べて、このようなポリペプチド鎖に対して大きな結合親和性を有する
と考えられる。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号22
3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができ
ると考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号170また
は配列番号172に示されるアミノ酸配列に比べて、好ましくは親和性がより低
いこと、そして最も好ましくはそのようなポリペプチド鎖と結合しないことを特
徴とする。同様に、本発明の実施に有用な抗体は、好ましくは、配列番号224
に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができる
と考えられる。この抗体はさらに、同様の条件のもとで、配列番号169または
配列番号171に示されるアミノ酸配列に比べて、好ましくは親和性がより低い
こと、そして最も好ましくはそのようなポリペプチド鎖と結合しないことを特徴
とする。
【0019】 本発明の別の実施形態において、マーカーは、US型E型ウイルスゲノムまた
はUS亜型E型ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定する核酸配列またはその
相補配列である。同様に、結合パートナーは、好ましくは8ヌクレオチド〜10
0ヌクレオチドを含み、より好ましくは10ヌクレオチド〜75ヌクレオチドを
含み、そして最も好ましくは15ヌクレオチド〜50ヌクレオチドを含む単離さ
れた核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)配列、リボ核酸(RNA)
配列またはペプチジル核酸(PNA)配列)であって、配列番号89または配列
番号164に示されるヌクレオチド配列と特異的に(例えば、特異的なハイブリ
ダイゼーション条件または特異的なPCRアニーリング条件のもとで)ハイブリ
ダイゼーションすることができる核酸配列であると考えられる。
【0020】 本発明のこの実施形態の実施は、例えば、目的とするサンプルから核酸を単離
することによって容易にすることができる。その後、得られた核酸を、例えば、
ゲル電気泳動によって分画し、そして固体支持体(例えば、ニトロセルロースメ
ンブレンまたはナイロンメンブレン)に転写して固定化することができる。ある
いは、従来のドットブロット法またはスロットブロット法によって固体支持体に
直接固定化することができる。次いで、固定化された核酸を、マーカー配列と特
異的にハイブリダイゼーションする検出可能な部分で標識された所定の核酸配列
を用いて調べることができる。あるいは、サンプル中のマーカー核酸の存在は、
増幅に基づく標準的な方法論(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))によ
って決定することができる。この場合、特異的な増幅産物の産生により、サンプ
ル中にマーカー核酸が存在することが示される。
【0021】 別の態様において、本発明は、単離されたUS型特異的ポリペプチド配列およ
びUS亜型特異的ポリペプチド配列を提供する。これらのポリペプチドには、結
合パートナーとして有用なUS型E型肝炎およびUS亜型E型肝炎の特異的ポリ
ペプチド鎖に関する本明細書中上記の節に記載されているポリペプチドが含まれ
る。好ましい実施形態において、単離されたポリペプチド鎖は、配列番号93、
配列番号168、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号
176、配列番号223または配列番号224に示されるアミノ酸配列を含む。
これらのポリペプチド鎖ならびに他のUS型特異的ポリペプチド鎖およびUS亜
型特異的ポリペプチド鎖は、サンプル中におけるUS亜型E型肝炎特異的抗体の
抗US型の存在を検出するための測定様式において用いることができると考えら
れる。さらに、これらのポリペプチドは、単独で使用することができ、または実
験室動物における抗体産生用のアジュバントと組み合わせて使用することができ
、あるいは同様に、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、哺乳動物を予防的
または治療的に免疫するためのワクチンとして使用することができると考えられ
る。
【0022】 別の態様において、本発明は、単離された抗US型E型肝炎特異的抗体または
抗US亜型E型肝炎特異的抗体を提供する。これらの抗体には、結合パートナー
として有用な抗体に関する本明細書上記の節に論じられている抗体が含まれる。
好ましい実施形態において、単離された抗体は、US型E型肝炎ウイルスまたは
US亜型E型肝炎ウイルスのORF1配列によりコードされるポリペプチド、U
S型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF2配列によりコ
ードされるポリペプチド、あるいは、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E
型肝炎ウイルスのORF3配列によりコードされるポリペプチドからなる群より
選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができる。詳細には、有用な
抗体は、配列番号93、配列番号168、配列番号173、配列番号174、配
列番号175、配列番号176、配列番号223または配列番号224に示され
るアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができる点を特徴
とすると考えられる。これらの抗体および他の抗体を使用して、サンプル中にお
けるUS型E型肝炎ファミリーまたはUS亜型E型肝炎ファミリーのメンバーの
存在を検出するための免疫アッセイを有利にすることができると考えられる。抗
体を、直接的な免疫アッセイ(この場合、抗体自身が好ましくは検出可能な部分
で標識される)または間接的な免疫アッセイ(この場合、抗体自身が第2の結合
パートナー(例えば、検出可能な部分で標識された第2の抗体)に対する標的を
提供する)のいずれかで使用することができる。さらに、これらの抗体は、例え
ば、哺乳動物の治療的または予防的な受動的免疫化において使用するために、薬
学的に許容可能な担体と組み合わせて使用することができると考えられる。
【0023】 別の態様において、本発明は、サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスま
たはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出するためのマーカーまたは結合パー
トナーとしての核酸の使用に関する先の節において論じられた核酸配列などの単
離された核酸配列を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、US型E
型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのORF1、ORF2またはO
RF3配列あるいはその相補配列の少なくとも一部を規定する単離された核酸配
列を提供する。これら核酸配列および他の核酸配列は、例えば、目的とするサン
プルにおけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を
検出するためのヌクレオチドプローブおよび/または増幅プライマーとして使用
することができると考えられる。さらに、これらの核酸配列またはこれらに相補
的な配列は、アンチセンス療法において使用するために、薬学的に許容可能な担
体と組み合わせることができると考えられる。さらに、これらの核酸配列はベク
ターに組込むことができ、次いで、このベクターは目的とする宿主細胞中に形質
転換またはトランスフェクションすることができると考えられる。次いで、宿主
細胞は、薬学的に許容可能な担体と組み合わされ、そして所定のUS型E型肝炎
ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して、予防的または治療的のいず
れかで哺乳動物を免疫化するためのワクチン(例えば、組換えワクチン)として
用いることができる。
【0024】 本発明の前述および他の目的、特徴および利点は、発明の好ましい実施形態の
以下の詳細な説明から、より明らかになる。
【0025】 本発明の目的および特徴は、後記の図面を参照することによって一層理解され
る。
【0026】 発明の詳細な説明 上記のように、本発明は、部分的にはヒトのE型肝炎ウイルスの新しいファミ
リーの発見に基づいている。E型肝炎ウイルスのこの新しく発見されたファミリ
ーは、US型E型肝炎ウイルスとしてこれ以降示されるクラスに含まれる。さら
に、上記のように、US型ファミリーの2つのメンバーが、アメリカ合衆国に住
む2人の感染者から得られた血清において同定された。この2つのメンバーはと
もに、US亜型E型肝炎ウイルスとして下記に示されるUS型E型肝炎ウイルス
のサブクラスに属する。US型E型肝炎ウイルスおよびUS亜型E型肝炎ウイル
スの発見により、市販の肝炎検出キットに基づいて肝炎に罹患しているとこれま
で診断されなかった感染者におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型
肝炎ウイルスの存在を検出するための方法および組成物、ならびにそのようなウ
イルスに対して個体を免疫するための方法および組成物の開発が可能になる。
【0027】 1つの態様において、本発明は、試験サンプルにおけるUS型E型肝炎ウイル
スおよびUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を検出する方法に関する。この方法は
下記の工程を含む:(a)試験サンプルを、そのようなウイルスのマーカーに特
異的に結合する結合パートナーと接触させる工程であって、前記マーカーがサン
プル中に存在する場合にこのマーカーは結合パートナーに結合して、マーカー−
結合タンパク質の複合体を形成する工程;および(b)そのような複合体の存在
の有無を検出する工程。このような複合体の存在により、サンプル中におけるウ
イルスの存在が示される。本明細書に開示されるUS型E型肝炎ウイルスおよび
US亜型E型肝炎ウイルスの発見に基づいて、様々なアッセイ(例えば、タンパ
ク質または核酸に基づくアッセイ)を、サンプル中におけるウイルスの存在を検
出するために組み立てることができることは明らかである。タンパク質に基づく
アッセイとしては、例えば、従来の免疫アッセイを挙げることができる。核酸に
基づくアッセイとしては、例えば、従来のプローブハイブリダイゼーションアッ
セイまたは核酸配列増幅アッセイを挙げることができる。これらはすべて、この
分野では十分に知られており、そして広く議論されている。
【0028】 別の態様において、本発明は、予防または治療のいずれかで、US型E型肝炎
ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して個体を免疫化するためのワク
チンを開発するために使用することができる試薬類、例えば、抗体、エピトープ
含有ポリペプチド鎖およびヌクレオチド配列を提供する。
【0029】 I.定義 本発明をより容易に理解することができるように、本明細書中において使用さ
れているいくつかの用語を下記に定義する。
【0030】 本明細書中において使用されている用語「US型」E型肝炎ウイルスは、A型
肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(H
CV)、D型肝炎ウイルス(HDV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)と血清
学的に異なる任意のヒトウイルス(すなわち、ヒトに感染し得るウイルス)であ
って、少なくとも1つのオープンリーディングフレームを規定する一本鎖RNA
ゲノムを含み、そして配列番号89の6307〜6454の残基によって規定さ
れるヌクレオチド配列に対する同一性が79.7%を超えるヌクレオチド配列を
有するウイルスを意味することが理解される。しかし、Genbankアクセス
番号AF011921のもとで同定される完全なヌクレオチド配列と同一なゲノ
ム、そのようなゲノムの一部を有するウイルスは、US型E型肝炎ウイルスファ
ミリーから除かれることが理解される。
【0031】 本明細書中において使用されている用語「US亜型」E型肝炎ウイルスは、A
型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(
HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)と血
清学的に異なる任意のヒトウイルス(すなわち、ヒトに感染し得るウイルス)で
あって、少なくとも1つのオープンリーディングフレームを規定する一本鎖RN
Aゲノムを含み、そして配列番号89の6307〜6454の残基によって規定
されるヌクレオチド配列に対する同一性が90.5%を超えるヌクレオチド配列
を有するウイルスを意味することが理解される。
【0032】 本明細書中において使用されている用語「試験サンプル」は、試験マーカー(
例えば、抗体、抗原タンパク質またはペプチド、あるいはヌクレオチド配列)を
含有する任意のサンプル(例えば、生物学的サンプル)を意味することが理解さ
れる。好ましい試験サンプルには、検査が行われている個体から単離することが
できる組織サンプルまたは体液サンプルが含まれる。好ましい体液サンプルには
、例えば、血液、血清、血漿、唾液、痰、精液、尿、便、胆汁、脊髄液、乳房滲
出液、腹水および腹膜液が含まれる。別の好ましい試験サンプルは、細胞株であ
り、より好ましくは哺乳動物の細胞株である。最も好ましい細胞株は、ヒト胎児
腎臓細胞株である。
【0033】 本明細書中において使用されている用語「オープンリーディングフレーム」ま
たは用語「ORF」は、1つまたは複数のポリペプチド鎖をコードし得るポリヌ
クレオチド配列の領域を意味することが理解される。この領域は、完全なコード
配列(すなわち、開始コドン(例えば、ATG(AUG))で始まり、終止コド
ン(例えば、TAA(UAA)、TAG(UAG)またはTGA(UGA))で
終わる配列)またはその一部を表し得る。
【0034】 本明細書中において使用されている用語「ポリペプチド鎖」は、複数のアミノ
酸を有する任意の分子鎖を意味することが理解され、特定の長さの産物を示して
いない。従って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチド
鎖の定義に含まれる。
【0035】 本明細書中において使用されている用語「エピトープ」は、「抗原決定基」と
同義的に使用されており、抗体の可変部によって特異的な結合(すなわち、約1
−1よりも大きな親和性を有する結合、より好ましくは約10−1
りも大きな親和性を有する結合)を形成することができる抗原の少なくとも一部
を意味することが理解される。考えられるところでは、エピトープは、エピトー
プに特徴的な空間配置をとっている3個のアミノ酸を含むことができる。一般に
、エピトープは、少なくとも5個のアミノ酸を含み、そしてより通常的には、少
なくとも8個〜10個のアミノ酸を含む。空間配置を調べる方法はこの分野では
知られており、例えば、X線結晶解析および二次元核磁気共鳴法が含まれる。
【0036】 ポリペプチドは、ポリペプチド鎖によって規定される特定のエピトープが抗体
により認識されることによって抗体に結合する場合、抗体との「免疫学的な反応
性を有する」。免疫学的反応性は、抗体結合によって、より詳細には、抗体結合
の速度論によって、および/または競合的結合研究によって決定することができ
る。予め選択された抗体はある抗原との免疫学的な反応性を有するが、別の異な
る抗原との免疫学的な反応性を有さず、あるいは免疫学的な反応性をほとんど有
さない。この場合、この2つの抗原は血清学的に異なると見なされる。本明細書
中において使用されている用語「親和性」は、2つの分子の間(例えば、抗体と
抗原との間)での可逆的な相互作用の大きさを意味することが理解される。親和
性が大きいほど、2つの分子の間での相互作用は強い。
【0037】 本明細書中において使用されている用語「検出可能な部分」は、任意のシグナ
ル生成化合物、例えば、クロモゲン、触媒(酵素など)、発光化合物(ジオキセ
タン、アクリジン、フェナントリジニウムおよびルミノールなど)、放射活性元
素、可視的に検出可能な標識を意味することが理解される。酵素の例には、アル
カリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなど
が含まれる。特定の検出可能な部分を選択することは重要ではないが、検出可能
な部分は、それ自体でシグナルを生成することができ、あるいは1つまたは複数
のさらなる物質との組合せでシグナルを生成することができる。
【0038】 本明細書中において使用されている用語「固体支持体」は、任意のプラスチッ
ク、誘導体化したプラスチック、磁気金属または非磁気金属、ガラス表面または
シリコン表面を意味することが理解される。有用な表面には、例えば、試験管、
マイクロタイターウエル、シート、ビーズ、マイクロパーティクル、チップ、ヤ
ギ(または他の適切な動物)の赤血球、またはデュラサイト(duracyte
)の表面が含まれる。好適な固体支持体は、本発明の実施に重要ではなく、当業
者により選択することができる。ペプチドを固相に固定化するために好適な方法
には、イオン的相互作用、疎水性相互作用、共有結合的相互作用などが含まれる
。固体支持体は、捕捉試薬を引きつけて固定化するその固有的な能力に関して選
ぶことができる。あるいは、固体支持体は、捕捉試薬を引きつけて固定化する能
力を有するさらなるレセプターを保持することができる。
【0039】 固体支持体はまた、検出抗体による接近を可能にする十分な多孔度、および抗
原との結合に適切な親和性を有する任意の適切な多孔性材料を含むことができる
と考えられる。マイクロ細孔構造体が一般には好ましいが、水和状態のゲル構造
を有する材料も同様に使用することができる。このような材料はすべて、フィル
ム、シートまたはプレートなどの適切な形態で使用することができ、あるいは、
適する不活性な担体(紙、ガラス、プラスチックフィルムまたは織物など)にコ
ーティングすることができ、または結合させることができ、または積層化するこ
とができる。
【0040】 様々な他の固体支持体が利用される他の実施形態もまた考えられ、そしてこれ
らもまた本発明の範囲内である。例えば、欧州特許公開第0 326 100号
および同第0 406 473号に記載されている負荷電ポリマーとの固定化が
可能な反応複合体を固定化するためのイオン捕捉手順を本発明に従って用いて、
迅速な液相免疫化学的反応を行うことができる。固定化可能な免疫複合体は、負
荷電ポリアニオン/免疫複合体と、前処理された正荷電の多孔性マトリックスと
のイオン的相互作用によって反応混合物の残りから分離され、そして欧州特許公
開第0 273 115号に記載されているような化学発光シグナル測定に記載
されているシステムを含む、前記の様々なシグナル生成システムを使用すること
によって検出される。
【0041】 さらに、本発明の方法は、自動化システムおよび半自動化システムを含むマイ
クロパーティクル技術を利用するシステムにおける使用に適合させることができ
る:この場合、固相はマイクロパーティクル(磁気または非磁気)を含む。その
ようなシステムには、米国特許第5,089,424号および同第5,244,
630号(それぞれ、1992年2月18日発行および1993年9月14日発
行)に記載されているシステムが含まれる。
【0042】 走査プローブ顕微鏡(SPM)を免疫アッセイのために使用することもまた、
本発明のモノクローナル抗体を容易に適合させることができる技術である。走査
プローブ顕微鏡において、特に原子間力顕微鏡において、捕捉相(例えば、少な
くとも1つの本発明のモノクローナル抗体)を固相に付着させ、そして走査プロ
ーブ顕微鏡を利用して、固相の表面に存在し得る抗原/抗体の複合体が検出され
る。走査トンネル顕微鏡を使用することによって、抗原/抗体の複合体を検出す
るために多くの免疫アッセイシステムにおいて通常使用しなければならない標識
に対する必要性がなくなる。SPMを使用して特定の結合反応をモニターするこ
とは、多くの方法で行うことができる。1つの実施形態において、特異的な結合
パートナー(本発明のモノクローナル抗体である分析物特異的物質)の1つが、
走査するのに適切な表面に結合させられる。分析物特異的物質の結合は、当業者
に知られている方法に従って、プラスチック表面または金属表面の固相を含む試
験片に吸着させることによって行うことができる。あるいは、特異的な結合パー
トナー(分析物特異的物質)の、誘導体化したプラスチック、金属、シリコンま
たはガラスの固相を含む試験片への共有結合的な結合を利用することができる。
共有結合的な結合方法は当業者に知られており、これには、特異的な結合パート
ナーを試験片に可逆的に連結させるための様々な手段が含まれる。試験片がシリ
コンまたはガラスである場合、その表面は、特定の結合パートナーを結合させる
前に活性化しなければならない。同様に、多価電解質の相互作用は、欧州特許公
開0 322 100号および同第0 406 473号に記載されている技術
および化学薬品を使用することによって特異的な結合パートナーを試験片の表面
に固定化するために使用することができる。好ましい結合方法は、共有結合的な
結合によって行われる。特異的な結合メンバーを結合させた後、その表面は、非
特異的な結合を最小限にするために、血清、タンパク質または他のブロッキング
剤などの物質でさらに処理することができる。表面はまた、それがアッセイ目的
に適するかどうかを確認するために、製造部位または使用場所のいずれかにおい
て調べることができる。そのような調査プロセスによって試験片の特異的な結合
特性は変化しないことが予想される。
【0043】 本明細書中において使用されている用語「ヌクレオチド配列」または用語「核
酸配列」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかで、
任意の長さを有する任意のポリマー形態のヌクレオチドを意味することが理解さ
れる。この用語は、分子の一次構造を示す。従って、この用語には、二本鎖およ
び一本鎖のDNAならびに二本鎖および一本鎖のRNAが含まれる。この用語は
また、例えば、メチル化および/またはキャッピング化による修飾体、および未
修飾形態のポリヌクレオチドが含まれる。
【0044】 本明細書中において使用されている用語「プライマー」は、標的ヌクレオチド
配列に相補的な特異的オリゴヌクレオチド配列を意味することが理解される。プ
ライマーは、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションすることができ、
そしてDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素によって触媒
されるヌクレオチド重合の開始点として作用することができる。
【0045】 核酸フラグメントに言及される場合、そのようなフラグメントは、検出の直線
性の範囲において、ハイブリダイゼーションにより、HEVのUS型、US亜型
またはその変異型とは異なる等量のポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼー
ションから得られるシグナルに比べてより強いシグナルが得られる場合、HEV
のUS型またはUS亜型のポリヌクレオチドまたはその変異型に対して「特異的
にハイブリダイゼーションする」と見なされ、すなわち「特異的に結合する」と
見なされる。別のシグナルよりも「強い」シグナルは、特定の検出方法によるそ
れ以外のシグナルを上まわる測定可能なシグナルである。
【0046】 同様に、核酸フラグメントに言及される場合、核酸フラグメントが下記の条件
のもとで特異的にハイブリダイゼーションする場合、そのようなフラグメントは
特異的なハイブリダイゼーション条件のもとでハイブリダイゼーションすると見
なされる:(i)典型的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件、例えば
、Maniatis(第1版、387頁〜389頁、1982年)に記載されて
いる条件など、この場合、好ましいハイブリダイゼーション条件は、ストリンジ
ェンシーがより低い条件であり、そしてより好ましくは、より大きなストリンジ
ェンシーの条件;あるいは(ii)標準的なPCR条件(Saiki,R.K.
ら)または「タッチダウン」PCR条件(Roux,K.H.、(1994)、
Biotechniques、16:812〜814)である。
【0047】 本明細書中において使用されている用語「プローブ」は、相補的な配列を有す
るサンプル中に存在する特定のDNAまたはRNAを同定するために使用するこ
とができる配列を含有する任意のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ(例
えば、PNA)を意味することが理解される。
【0048】 本明細書中において使用されている用語「PNA」は、標的の存在を決定する
ために本明細書中に記載されているアッセイなどの手順において利用することが
できるペプチド核酸アナログを意味するために使用されている。「MA」は、標
的の存在を決定するために本明細書中に記載されているアッセイなどの手順にお
いて利用され得る「モルホリノアナログ」を示す。例えば、米国特許第5,37
8,841号を参照のこと(これは参考として本明細書中に援用される)。PN
Aは、典型的には、RNA標的またはDNAに指向し得る中性電荷の分子である
。例えば、本発明のDNAプローブの代わりにアッセイにおいて使用されるPN
Aプローブにより、DNAプローブが使用されたときに達成することができない
利点が得られる。このような利点には、製造性、大規模な標識化、再現性、安定
性、イオン強度の変化に対する不感性、およびDNAまたはRNAが利用される
方法において存在する酵素的分解に対する耐性が含まれる。このようなPNAは
、フルオレセイン、放射性ヌクレオチド、化学発光化合物などのようなシグナル
生成化合物で標識することができる。従って、PNAまたは他の核酸アナログ(
MAなど)は、DNAまたはRNAの代わりにアッセイ方法で使用することがで
きる。DNAプローブを利用するアッセイが本明細書中に記載されているが、P
NAまたはMAは、それらがアッセイ試薬において必要な場合およびアッセイ試
薬において必要とされるような適切な変化とともにRNAまたはDNAの代わり
になり得ることは通常作業の範囲である。
【0049】 核酸フラグメントに言及する場合、検出の直線性の範囲において、ハイブリダ
イゼーションにより、HEVのUS型、US亜型またはその変異型以外の等量の
ポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションから得られるシグナルに比べ
、より強いシグナルが得られる場合、そのようなフラグメントは、HEVのUS
型またはUS亜型のポリヌクレオチドまたはその変異型に対して「特異的にハイ
ブリダイゼーションする」と見なされ、すなわち「特異的に結合する」と見なさ
れる。別のシグナルよりも「強い」シグナルは、特定の検出方法によってそれ以
外のシグナルよりも大きい測定可能なシグナルである。
【0050】 同様に、核酸フラグメントに言及する場合、核酸フラグメントが下記の条件の
もとで特異的にハイブリダイゼーションする場合、そのようなフラグメントは特
異的なハイブリダイゼーション条件のもとでハイブリダイゼーションすると見な
される:(i)典型的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件、例えば、
Maniatis(第1版、387頁〜389頁、1982年)に記載されてい
る条件など、この場合、好ましいハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェ
ンシーがより低い条件であり、そしてより好ましくは、より大きなストリンジェ
ンシーの条件である;あるいは(ii)標準的なPCR条件(Saiki,R.
K.ら)または「タッチダウン」PCR条件(Roux,K.H.、(1994
)、Biotechniques、16:812〜814)。
【0051】 II.検出方法および試薬 本発明の検出方法には、下記に詳述される様々なタンパク質系アッセイまたは
核酸系アッセイを用いることができると考えられる。
【0052】 ウイルスまたはそのマーカーを検出するための試薬は、抗US型E型肝炎ウイ
ルス抗体および/または抗US亜型E型肝炎ウイルス抗体、US型特異的ポリペ
プチドおよび/またはUS亜型特異的ポリペプチド、あるいはUS型E型肝炎ウ
イルスゲノムおよび/またはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくとも一部
を規定する核酸またはその相補核酸配列のいずれかであり得ると考えられる。
【0053】 II.(i)タンパク質系アッセイ A.マーカー抗体:ウイルスマーカーが、目的とする個体の血流中を循環して
いる抗US型またはUS亜型の特異的抗体(例えば、IgGまたはIgM)分子
である場合、結合パートナーは、好ましくは、マーカーに特異的に結合するエピ
トープを規定するポリペプチドである。
【0054】 抗US型E型肝炎ウイルス抗体または抗US亜型E型肝炎ウイルス抗体の試験
サンプル中での存在を検出するための好ましいプロトコルにおいて、このプロト
コルは、好ましくは下記の工程含む:(a)少なくとも5個、より好ましくは少
なくとも8個、さらにより好ましくは少なくとも15個、最も好ましくは25個
の連続したアミノ酸残基を含み、抗体により結合可能な免疫学的に反応し得るU
S型特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型特異的ポリペプチド鎖を含む抗原を提
供する工程;(b)抗原を、抗体−抗原の複合体の形成を可能にする条件のもと
で試験サンプルとインキュベーションする工程;および(c)複合体の存在を検
出する工程。
【0055】 多くの異なるUS型特異的ポリペプチドまたはUS亜型特異的ポリペプチドは
、抗US型抗体または抗US亜型抗体を検出するための結合パートナーとして有
用であり得ると考えられる。例えば、このようなポリペプチド鎖は、配列番号9
1、配列番号92または配列番号93によって規定されるアミノ酸配列、あるい
は配列番号91、配列番号92または配列番号93に示されるポリペプチドの少
なくとも5個、より好ましくは少なくとも8個、さらにより好ましくは少なくと
も15個、最も好ましくは25個の連続したアミノ酸残基であって、ビルマ株フ
ァミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応アミノ酸配列と比較した
ときに特徴的なアミノ酸配列を表すアミノ酸残基を含むその免疫学的に反応し得
るフラグメントであり得ると考えられる。本明細書中において使用されているビ
ルマ株ファミリー(すなわち、「ビルマ株様」株)には、現在、B1、B2、I
1、I2、C1、C2、C3、C4およびP1として本明細書中で示される株が
含まれ、メキシコ株ファミリーには、現在のところM1株が含まれる。
【0056】 結合パートナーは、配列番号91、配列番号92および配列番号93によって
規定されるポリペプチドならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択
されるポリペプチドであり得ると考えられる。配列番号91によって規定される
ポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存
在する変異型」は、配列番号92の残基1〜1698に対して少なくとも84%
の同一性、好ましくは少なくとも86%の同一性、より好ましくは少なくとも8
9%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の
アミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号92によって規定されるポ
リペプチドに関して、本明細書中において使用されている用語「その天然に存在
する変異型」は、配列番号91の残基1〜660に対して少なくとも93%の同
一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも
98%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列
番号93によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用さ
れている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号93の残基1〜122
に対して少なくとも85.4%の同一性、好ましくは少なくとも87.4%の同
一性、より好ましくは少なくとも90.4%の同一性、さらにより好ましくは少
なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解され
る。
【0057】 さらに、結合パートナーは、ORF1の配列の一部によってコードされるポリ
ペプチドであり得ると考えられる。このORF1の配列によってコードされるタ
ンパク質には、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼ、
Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変
領域タンパク質、およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質が含まれる
。従って、有用なメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号91の残基
1〜231に対して、好ましくは少なくとも92.3%の同一性、より好ましく
は少なくとも94.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも97.3%の同一
性を有すると考えられる。同様に、有用なプロテアーゼタンパク質は、配列番号
91の残基424〜697に対して、好ましくは少なくとも70.3%の同一性
、より好ましくは少なくとも72.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも7
5.3%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なYドメインタンパク質
は、配列番号91の残基207〜424に対して、好ましくは少なくとも94.
6%の同一性、より好ましくは少なくとも96.6%の同一性、最も好ましくは
少なくとも99.6%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なXドメイ
ンタンパク質は、配列番号91の残基789〜947に対して、好ましくは少な
くとも83.4%の同一性、より好ましくは少なくとも85.4%の同一性、最
も好ましくは少なくとも88.4%の同一性を有すると考えられる。同様に、有
用なヘリカーゼタンパク質は、配列番号91の残基965〜1197に対して、
少なくとも92%の同一性、より好ましくは少なくとも94%の同一性、最も好
ましくは少なくとも93%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用な超可
変領域タンパク質は、配列番号91の残基698〜788に対して、少なくとも
28.7%の同一性、より好ましくは少なくとも30.7%の同一性、最も好ま
しくは少なくとも33.7%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なR
NA依存性RNAポリメラーゼは、配列番号91の残基1212〜1698に対
して、少なくとも88.8%の同一性、より好ましくは少なくとも90.8%の
同一性、最も好ましくは少なくとも93.8%の同一性を有すると考えられる。
【0058】 さらに、結合パートナーは、配列番号166、配列番号167または配列番号
168によって規定されるアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖、あるいは配列
番号166、配列番号167または配列番号168に示されるポリペプチド鎖の
5個の連続したアミノ酸残基、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸残
基、より好ましくは少なくとも15個の連続したアミノ酸残基、最も好ましくは
少なくとも25個の連続したアミノ酸残基であって、ビルマ株ファミリーおよび
メキシコ株ファミリーのメンバーの対応するアミノ酸配列と比較した場合に特徴
的なアミノ酸配列を示すアミノ酸残基を含有するその免疫学的に活性なフラグメ
ントであり得ると考えられる。同様に、結合パートナーは、配列番号166、配
列番号167および配列番号168ならびにそのその天然に存在する変異型から
なる群から選択されるポリペプチドであり得ると考えられる。配列番号166に
よって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用されている用
語「その天然に存在する変異型」は、配列番号166の残基1〜1708に対し
て少なくとも83.9%の同一性、好ましくは少なくとも85.9%の同一性、
より好ましくは少なくとも88.9%の同一性、最も好ましくは少なくとも95
%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味することが理解される。配列番号
167によって規定されるポリペプチドに関して、本明細書中において使用され
ている用語「その天然に存在する変異型」は、配列番号167の残基1〜660
に対して少なくとも93%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最
も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する任意のアミノ酸配列を意味する
ことが理解される。配列番号168によって規定されるポリペプチドに関して、
本明細書中において使用されている用語「その天然に存在する変異型」は、配列
番号168の残基1〜122に対して少なくとも85.4%の同一性、好ましく
は少なくとも87.4%の同一性、より好ましくは少なくとも90.4%の同一
性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意のアミノ酸配
列を意味することが理解される。
【0059】 さらに、結合パートナーは、HEV US−2のORF1の一部によってコー
ドされるポリペプチドであり得ると考えられる。これには、例えば、メチルトラ
ンスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼ、Yドメインタンパク質、Xドメイン
タンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領域タンパク質、およびRNA依存
性RNAポリメラーゼタンパク質、またはその変異型が含まれる。従って、有用
なメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号166の残基1〜240に
対して、好ましくは少なくとも92.7%の同一性、より好ましくは少なくとも
94.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも97.7%の同一性を有すると
考えられる。同様に、有用なプロテアーゼタンパク質は、配列番号166の残基
433〜706に対して、好ましくは少なくとも69.6%の同一性、より好ま
しくは少なくとも71.6%の同一性、最も好ましくは少なくとも74.6%の
同一性を有すると考えられる。同様に、有用なYドメインタンパク質は、配列番
号166の残基216〜433に対して、好ましくは少なくとも94.6%の同
一性、より好ましくは少なくとも96.6%の同一性、最も好ましくは少なくと
も99.6%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なXドメインタンパ
ク質は、配列番号166の残基799〜957に対して、好ましくは少なくとも
82.8%の同一性、より好ましくは少なくとも84.8%の同一性、最も好ま
しくは少なくとも87.8%の同一性を有すると考えられる。同様に、有用なヘ
リカーゼタンパク質は、配列番号166の残基975〜1207に対して、好ま
しくは少なくとも92.8%の同一性、より好ましくは少なくとも94.8%の
同一性、最も好ましくは少なくとも97.8%の同一性を有すると考えられる。
同様に、有用な超可変領域タンパク質は、配列番号166の残基707〜798
に対して、少なくとも27%の同一性、より好ましくは少なくとも29%の同一
性、最も好ましくは少なくとも31%の同一性を有すると考えられる。同様に、
有用なRNA依存性RNAポリメラーゼは、配列番号166の残基1222〜1
708に対して、少なくとも88.7%の同一性、より好ましくは少なくとも9
0.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも93.7%の同一性を有すると考
えられる。
【0060】 US型特異的エピトープまたはUS亜型特異的エピトープの同定に関して、U
S型E型肝炎ウイルスゲノムまたはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくと
も一部を規定する核酸配列および/またはそのようなゲノムの一部によってコー
ドされるアミノ酸配列を所有している当業者は、この分野でよく知られ、そして
十分に議論されている従来の技術を使用してエピトートと考えられる部位の位置
を決めることができると考えられる。ある配列においてエピトープと考えられる
部位を同定する市販のソフトウエアを使用することに加えて、そのようなゲノム
によってコードされるアミノ酸配列を、抗原性部位が既に明らかにされている他
のHEV株のゲノムによってコードされる配列と比較することによって潜在的な
エピトープを同定することができる。例えば、米国特許第5,686,239号
、同第5,741,490号および同第5,770,696号を参照のこと。現
在同定されているエピトープを図1に示す。これには、この分野で、8−5(配
列番号93および配列番号168)、4−2(配列番号93および配列番号16
8の90位〜122位)、SG3(配列番号175および配列番号176)、3
−2(配列番号92および配列番号167の613位〜654位)、および3−
2e(配列番号92および配列番号167の613位〜660位)として示され
るエピトープが含まれる。抗原性指数を計算するための方法は、Jameson
およびWolfによって記載されている(CABIOS、4(1)、181〜1
86[1988])。
【0061】 例えば、目的とする2つのエピトープが下記に詳しく記載されているが、これ
らは3−2eおよび4−2として示される:3−2eおよび4−2は、それぞれ
、E型肝炎ゲノムのORF2およびORF3の一部によってコードされる。これ
らのエピトープは、HEVのビルマ株において同定され(B3−2e(配列番号
172)およびB4−2(配列番号171)として下記では示され)、そしてH
EVのメキシコ株において同定された(M3−2e(配列番号170)およびM
4−2(配列番号169)として下記では示される)。類似するエピトープが、
HEV US−1において、アミノ酸配列の比較に基づいて同定され、これらは
U3−2e(配列番号174)およびU4−2(配列番号173)として示され
る。類似するエピトープが、HEV US−2において、同様にアミノ酸配列の
比較に基づいて同定され、これらはUS−2 3−2e(配列番号223)およ
びUS−2 4−2(配列番号224)として示される。
【0062】 さらに、潜在的なエピトープは、この分野でよく知られ、そして十分に記載さ
れているスクリーニング手順を使用して同定することができる。例えば、HEV
US−1ゲノムまたはHEV US−2ゲノムの全体または一部のいずれかを
規定する核酸配列に基づいて、発現させた後にスクリーニングしてエピトープを
同定することができる発現ライブラリーを作製することができる。例えば、HE
V US−1ゲノムまたはHEV US−2ゲノムを表す核酸フラグメントをλ
gt11発現ベクターにクローニングして、λgt11ライブラリー(例えば、
cDNAライブラリー)を作製することができる。次いで、このライブラリーは
、HEV US−1またはHEV US−2に感染していると同定された感染者
から得られた血清と特異的に結合することができるコードされたエピトープにつ
いてスクリーニングされる。例えば、Glover(1985)の「DNA C
loning Techniques,A Practical Approa
ch」(IRL Press、49頁〜78頁)を参照のこと。典型的には、約
10個〜10個のファージがスクリーニングされる。この中から陽性ファー
ジの同定および精製を行い、次いで、HEV US−1またはHEV US−2
に以前に感染した異なる個体から得られた血清に対する結合特異性について試験
される。そのような個体から得られた血清または血漿に存在する抗体に選択的に
結合するファージを選択して、さらなる特徴づけが行われる。一旦同定されると
、目的とするアミノ酸配列は、この分野でよく知られ、そして十分に記載されて
いる従来の組換えDNA方法論を使用することによって、あるいは従来のペプチ
ド合成方法論によって大規模に得ることができる。
【0063】 b.マーカーポリペプチド:マーカーがUS型ウイルスまたはUS亜型ウイル
スあるいはその特異的ポリペプチドである場合、本発明の実施において有用な結
合パートナーは、好ましくは、ウイルスまたはマーカーポリペプチドの表面にあ
るエピトープに結合する抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体)であることが考えられる。結合パートナーは、検出可能な部分で標識す
ることができ、あるいは固体支持体に固定化することができる。特に、この実施
形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、長さが好ましくは5個の連続し
たアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸残基、さら
により好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも
25個の連続したアミノ酸残基であり、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシ
コ株ファミリーのメンバーにおいて見出される対応するアミノ酸配列に関して特
徴的であるUS型特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型特異的ポリペプチド鎖に
特異的に結合することができる。
【0064】 本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号9
1、配列番号92および配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からな
る群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することができ、そしてビル
マ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応する配列に比べて
、そのようなポリペプチド鎖のより大きな結合親和性を有する。本発明の実施に
おいて有用な抗体は、好ましくは、配列番号173または配列番号175に示さ
れるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができると考え
られる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号169または配列番
号171に示されるアミノ酸配列あるいは配列番号175に対応するビルマ株お
よびメキシコ株の領域に対して、好ましくはより小さい親和性を有し、そして最
も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。同様に、本発
明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号174または配列番号1
76に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することがで
きると考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号170ま
たは配列番号172に示されるアミノ酸配列あるいは配列番号176に対応する
ビルマ株およびメキシコ株の領域に対して、好ましくはより小さい親和性を有し
、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられる。
【0065】 同様に、本発明のこの実施形態の実施において有用な抗体は、好ましくは、配
列番号166、配列番号177および配列番号168ならびにその天然に存在す
る変異型からなる群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結合することがで
き、そしてビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのメンバーの対応す
る配列に比べて、そのようなポリペプチド鎖のより大きな結合親和性を有すると
考えられる。本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号223
に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができる
と考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号170または
配列番号172に示されるアミノ酸配列に対して、好ましくはより小さい親和性
を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられ
る。同様に、本発明の実施において有用な抗体は、好ましくは、配列番号224
に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合することができる
と考えられる。この抗体はさらに、同様な条件のもとで、配列番号169または
配列番号171に示されるアミノ酸配列に対して、好ましくはより小さい親和性
を有し、そして最も好ましくはそれらに結合しないことを特徴とすると考えられ
る。
【0066】 本明細書中に記載されている抗体またはその抗原結合性フラグメントは、US
型特異的抗原またはUS亜型特異的抗原を検出するために個々に提供され得る。
本明細書中において提供される抗体(およびその抗原結合性フラグメント)の組
合せもまた、US型特異的抗原またはUS亜型特異的抗原に対して異なる結合親
和性をともに有する少なくとも2つの抗体の混合物または「カクテル」における
成分として一緒に使用することができる。
【0067】 c.抗体の産生:US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの
ORF1配列、ORF2配列および/またはORF3配列の少なくとも一部を規
定する核酸配列あるいはそれによってコードされるアミノ酸配列を所有する当業
者は、この分野でよく知られ、そして十分に記載されている技術を使用して特異
的な抗体を作製することができると考えられる。例えば、Practical
Immunology(Butt,N.R.編、Marcel Dekker、
NY、1984)を参照のこと。簡単に記載すると、単離された標的タンパク質
は、異種の宿主(マウス、ブタ、ヤギその他の適切な動物)で抗体を惹起させる
ために使用される。好ましい抗体は、標的タンパク質上のエピトープに特異的に
結合する抗体であって、そのようなエピトープに関して、好ましくは10 よりも大きな結合親和性を有し、最も好ましくは10−1よりも大きな結
合親和性を有する抗体である。典型的には、標的タンパク質は、宿主での抗体産
生を高めることができる適切なアジュバントと一緒にされ、そして、例えば、腹
腔内投与によって宿主に注射される。宿主の免疫応答を刺激するのに適切な任意
のアジュバントを都合よく使用することができる。一般に使用されているアジュ
バントは、フロインド完全アジュバントである(例えば、Calbiochem
Corp.(San Diego、CA)またはGibco(Grand i
sland、NY)から得られる殺傷して乾燥した微生物細胞を含むエマルショ
ン)。多数回の抗原注射が所望される場合、その後の注射には、不完全アジュバ
ント(例えば、無細胞エマルション)と組み合わせた抗原が含まれる。
【0068】 ポリクローナル抗体は、目的とするタンパク質に対する抗体を含む血清を分離
することによって、抗体を産生する宿主から単離することができる。モノクロー
ナル抗体は、所望する抗体を産生する宿主細胞を単離し、免疫学の分野で知られ
ている標準的な技術(例えば、KohlerおよびMilstein、Natu
re(1975)256:495を参照のこと)を使用してこれらの細胞をミエ
ローマ細胞と融合し、そして標的タンパク質と特異的に反応し、かつ所望する結
合親和性を有するハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)についてスクリーニング
することによって得ることができる。
【0069】 さらに、小さなペプチドが使用される場合、その免疫原性は、固体支持体に結
合することによって高めることができると考えられる。例えば、ポリペプチドの
エピトープまたは抗原性領域または抗原性フラグメントは、一般に比較的小さく
、長さが約8個〜10個以下のアミノ酸を含む程度である。3個程度の少数のア
ミノ酸のフラグメントによって、抗原性領域が特徴付けされることがある。この
ようなポリペプチドは、提供された目的のポリペプチドが、正しいエピトープが
得られるようにフォールディングされるが、非常に小さいために抗原性でない場
合には、適切な担体分子に連結させることができる。
【0070】 その使用に関して好ましい連結試薬および方法は、この分野ではよく知られて
いる。このような試薬には、N−スクシンイミジル−3−(2−ピルジルチオ)
プロピオナート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチ
ル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)が含まれるが、これら
に限定されない。さらに、スルフヒドリル基を有さないポリペプチドは、システ
イン残基を付加することによって修飾することができる。これらの試薬により、
自分自身とタンパク質上のペプチドのシステイン残基との間のジスルフィド結合
、およびリシンのε−アミノ基またはそれ以外の他の遊離アミノ基によるアミド
結合が得られる。様々なそのようなジスルフィド/アミド形成試薬が知られてい
る。他の二官能基性カップリング剤は、ジスルフィド結合よりもむしろ、チオエ
ステルを形成する。このようなチオエーテル形成剤の多くは市販されており、当
業者に知られている。カルボキシル基は、スクシンイミドまたは1−ヒドロキシ
−2−ニトロ−4−スルホン酸のナトリウム塩と一緒にすることによって活性化
することができる。宿主にとって有害な抗体の産生を自身では誘導しない任意の
担体を使用することができる。好適な担体には、特に、タンパク質、多糖類(例
えば、ラテックスで官能基化したセファロース、アガロース、セルロースなど)
、セルロースビーズ、ポリマー状アミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリ
シンなど)、および非酸コポリマー、および不活性なウイルス粒子が含まれる。
タンパク質基体の例には、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン
、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、
および当業者に知られているさらに他のタンパク質が含まれる。
【0071】 さらに、生合成された抗体結合ドメイン(この場合、結合ドメインのアミノ酸
配列は、好ましいエピトープに対する結合親和性を高めるために操作されている
)もまた、本発明の実施において有用であり得ると考えられる。その調製の詳細
な説明は、例えば、Practical Immunology(ButtW.
R.編、Marcel Dekker、New York、1984)に見出す
ことができる。任意に、FabフラグメントまたはFab’フラグメントなどの
一価の抗体フラグメントを利用することができる。さらに、遺伝子工学的に生合
成された抗体結合部位を利用することができる。これには、例えば、米国特許第
5,091,513号および同第5,132,405号に開示されているように
、1)非共有結合的会合またはジスルフィド結合の合成されたVダイマーおよ
びVダイマー、2)共有結合的に連結されたV−Vの単鎖結合部位、3)
個々のVダイマーまたはVダイマー、あるいは4)単鎖抗体の結合部位のい
ずれかが含まれる。
【0072】 US型E型肝炎ウイルス特異的エピトープまたはUS亜型E型肝炎ウイルス特
異的エピトープと結合する無傷な抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリ
クローナル抗体)、抗体フラグメントまたは生合成された抗体結合部位は、診断
および予後の適用において有用であり、そして受動的な免疫療法においても有用
であると考えられる。
【0073】 d.アッセイ様式:抗US型E型肝炎ウイルス特異的抗体または抗US亜型E
型肝炎ウイルス特異的抗体、あるいはUS型E型肝炎ウイルス特異的エピトープ
またはUS亜型E型肝炎ウイルス特異的エピトープに対して惹起された抗体を含
有する血清と免疫学的に反応する2つのポリペプチドは、目的とする試験サンプ
ルにおけるそのようなウイルスの存在を検出するための免疫アッセイにおいて有
用であると考えられる。さらに、試験サンプルにおけるUS型E型肝炎ウイルス
またはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在は、この分野で現在知られており、そし
て十分に記載されている広範囲の免疫アッセイ技術(例えば、直接的なアッセイ
、サンドイッチアッセイおよび/または競合アッセイ)のいずれかを使用して検
出することができると考えられる。様々な好ましいアッセイ様式を下記に詳しく
説明する。
【0074】 1つの好ましい様式において、サンドイッチ様式がアッセイで用いられる。サ
ンドイッチ免疫アッセイは、典型的には、良好な検出限界を有する標識が使用さ
れる場合、特異性が高く、非常に高感度である。免疫学的アッセイの設計、理論
およびプロトコルの詳細な総説は、Practical Immunology
(Butt,W.R.編、Marcell Dekker、New York、
1984)を含むこの分野での数多くの書籍に見出すことができる。
【0075】 サンドイッチ様式の1つのタイプにおいては、固体支持体に固定化され、そし
て抗US型または抗US亜型のE型肝炎ウイルス抗体(マーカー)と免疫学的に
反応し得るポリペプチド(結合パートナー)を、US型E型肝炎ウイルスまたは
US亜型E型肝炎ウイルスに感染していることが疑われる個体から得られた試験
サンプルと接触させて混合物にする。次いで、この混合物を、ポリペプチド/抗
体の複合体が形成されるのに十分な時間および条件のもとでインキュベーション
する。次いで、試験サンプルの抗体に特異的に結合するモノクローナル抗体また
はポリクローナル抗体またはそのフラグメントを含み、そして検出可能な部分で
標識された指示試薬を、抗原/抗体の複合体と接触させて第2の混合物にする。
次いで、この第2の混合物を、抗原/抗体/抗体の複合体が形成されるのに十分
な時間および条件のもとでインキュベーションする。試験サンプルにおける抗U
S型E型肝炎抗体または抗US亜型E型肝炎抗体の存在は、そのような抗体が存
在する場合には固体支持体に固定化された検出可能な部分の存在によって決定さ
れる。試験サンプルに存在する抗体の量は、生成したシグナルに比例する。ビオ
チンおよび抗ビオチン、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトア
ビジンなどを使用することによって、本明細書中に記載されているアッセイシス
テムにおける生成シグナルを高めることができる。
【0076】 上記アッセイの代替的な様式において、免疫学的に反応し得るポリペプチドは
、固体支持体に、「間接的に」、すなわち、そのようなポリペプチドと特異的に
結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体またはそのフラグメント
によって固定化することができる。あるいは、別の様式において、アッセイ成分
は、試験サンプルの抗体と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメン
ト、すなわち、マーカー抗体(例えば、IgGまたはIgM)が固体支持体に固
定化され、そして抗体/抗体の複合体の形成を可能にするのに十分な時間および
条件のもとで試験サンプルと接触させられるように逆の形態で使用することがで
きる。次いで、指示試薬(例えば、捕捉された試験サンプルの抗体と免疫学的に
反応することができ、そして検出可能な部分で標識されたUS型E型肝炎ポリペ
プチドまたはUS亜型E型肝炎ポリペプチド)を、抗体/抗体/抗原の複合体の
形成を可能にするのに十分な時間および条件のもとで抗体/抗体の複合体とイン
キュベーションして、第2の混合物にする。上記のように、固体支持体に固定化
された捕捉抗体またはその抗原結合フラグメントによって捕捉された試験サンプ
ル中の抗体の存在は、それが存在する場合には検出可能な部分により生成した測
定可能なシグナルを検出することによって決定することができる。
【0077】 上記のサンドイッチアッセイはまた、上記のアッセイ形態の日常的な改変によ
って、試験サンプル中におけるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎
ウイルスあるいはその免疫学的に反応し得るポリペプチドの存在について試験す
るために使用できると考えられる。そのような改変は当業者には十分に知られて
いると考えられる。
【0078】 上記のサンドイッチアッセイに加えて、競合的アッセイもまた本発明の実施に
おいて用いることができると考えられる。この様式においては、US型E型肝炎
特異的ポリペプチド鎖またはUS亜型E型肝炎特異的ポリペプチド鎖に特異的に
結合する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)の1つまたは少なくとも2つ
の抗体の組合せを、US型特異的タンパク質またはUS亜型特異的タンパク質に
対する抗体を検出するための競合プローブとして用いることができる。例えば、
マーカーの結合パートナーとして作用する第1のHEV US−1に特異的なポ
リペプチド鎖(本明細書中に開示されているポリペプチドの1つなど)は固体支
持体に固定化される。次いで、HEV US−1抗原に対する抗体を含有するこ
とが疑われる試験サンプルは、例えば、固定化されたHEV US−1特異的ポ
リペプチド鎖と結合し、そして検出可能な部分で標識されている単離された抗U
S型抗体または抗US亜型抗体を含む指示試薬と一緒に、固体支持体に固定化さ
れた抗原/抗体の複合体が得られるのに十分な時間および条件のもとで、固体支
持体とインキュベーションされる。マーカー抗体が試験サンプルに存在する場合
、マーカー抗体は、固定化されたポリペプチドと結合することに関して、標識さ
れた指示試薬と競合する。試験サンプル中に存在するマーカー抗体の量が大きく
なると、固定化されたポリペプチドと結合する標識された指示試薬の量は減少す
る。固相に結合した指示試薬の量の減少を定量することができる。非A非B非C
非D非E型肝炎に関して陰性であることが確認された試験サンプルから生成する
シグナルと比較して、シグナルの測定可能な減少はまた、試験サンプル中に抗H
EV US−1抗体が存在していることを示している。同様なプロトコルを使用
して、US型またはUS亜型のクラスに含まれる他のE型肝炎ウイルスの試験サ
ンプル中での存在を同定することができると考えられる。
【0079】 さらに別の検出方法においては、本発明の抗体を用いて、固定された組織切片
ならびに固定された細胞におけるUS型E型肝炎特異的抗原またはUS亜型E型
肝炎特異的抗原の存在を免疫組織化学的分析によって検出することができる。こ
のような抗体が検出可能な部分(例えば、フルオレセイン、コロイド状金、西洋
ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)で直接的に標識され、
あるいは、例えば、検出可能な部分で標識された二次抗体によって間接的に標識
された細胞化学的分析もまた、本発明の実施において使用することができる。
【0080】 別のアッセイ様式において、抗体および/または抗原の存在は、例えば、欧州
特許公開第0 473 065号に記載されているような同時アッセイによって
検出することができる。例えば、試験サンプルを、(i)第1の分析物に対する
捕捉試薬(この場合、捕捉試薬は、固体支持体に固定化された第1の分析物に特
異的な第1の結合メンバーを含む)、および(ii)第2の分析物に対する捕捉
試薬(この場合、捕捉試薬は、第2の異なる固体支持体に固定化された第2の分
析物に対する第1の結合メンバーを含む)と同時に接触させて、混合物を得る。
次いで、この混合物は、捕捉試薬/第1の分析物の複合体および捕捉試薬/第2
の分析物の複合体が形成されるのに十分な時間および/または条件のもとでイン
キュベーションされる。次いで、そのように形成された複合体を、検出可能な部
分で標識された第1の分析物に特異的な結合対のメンバーを含む第1の指示試薬
、および検出可能な部分で標識された第2の分析物に特異的な結合対のメンバー
を含む第2の指示試薬と接触させて、第2の混合物を得る。次いで、第2の混合
物は、捕捉試薬/第1の分析物/第1の指示試薬の複合体と、捕捉試薬/第2の
分析物/第2の指示試薬の複合体との両方が得られるのに十分な時間および条件
のもとでインキュベーションされる。1つまたは複数の分析物の存在は、試験サ
ンプル中における1つまたは複数の分析物の存在を示すものとして一方または両
方の固相に形成された複合体によって生じるシグナルを検出することにより決定
される。
【0081】 別のアッセイシステムは、特異的な抗体およびウイルスタンパク質(ペプチド
など)との接触によって、ウイルスゲノム(またはそのフラグメント)を包み込
むUS型またはUS亜型のE型肝炎ウイルス粒子またはウイルスの部分構造粒子
と特異的に結合する抗体を用いることができる。次いで、捕捉された粒子は、ウ
イルスゲノムが試験サンプル中に存在するかどうかを決定するために、LCRま
たはPCRなどの方法によって分析することができる。そのような抗原捕捉増幅
方法を利用することの利点は、ウイルスゲノムが、特異的な抗体を使用すること
によって試験検体中の他の分子から分離できることである。そのような方法は、
欧州特許公開第0 672 176号(1995年9月20日公開)に記載され
ている。
【0082】 一般に、免疫アッセイを設計するときの検討事項には、非特異的な相互作用の
生成物から確実に区別することができる複合体が得られるように、標的タンパク
質に対する十分に大きな結合特異性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体
またはポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント)の調製が含まれる
。典型的には、抗体の結合特異性が大きいほど、より低い濃度の標的を検出する
ことができる。
【0083】 本発明のポリペプチドおよび抗体はともに、US型E型肝炎ウイルスまたはU
S亜型E型肝炎ウイルスから得られる抗原の存在、あるいはそれらに結合する抗
体の存在のいずれかを検出するために、本明細書中に記載されているアッセイ法
を発展させるために使用することができる。免疫アッセイにおけるそれらの使用
に加えて、上記のポリペプチドは、単独で、あるいはアジュバントと組み合わせ
て、実験室動物での抗体産生における使用のために使用することができ、あるい
は同様に、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、個体の予防的免疫化または
治療的免疫化のいずれかのためのワクチンとして使用できると考えられる。さら
に、免疫アッセイにおける使用に加えて、本発明の抗体は、例えば、個体の能動
的免疫化、治療的免疫化または予防的免疫化において使用される薬学的に許容可
能な担体と組み合わせて使用することができると考えられる。後者のこれらの使
用は、下記の第(III)節に詳述される。本発明の抗体はまた、治療的使用ま
たは他の類似する適用のキメラ抗体を作製するために使用することができる。
【0084】 適切な試薬を含有する免疫診断に好適なキットを、例えば、目的とする特異的
なエピトープを規定するポリペプチドまたはそのようなエピトープと結合する抗
体を含む適切な物質を適する容器に入れることにより組み立てることができる。
さらに、このキットは、必要に応じて、さらなる試薬、例えば、適切な検出シス
テムおよび緩衝液を含むことができる。
【0085】 さらに、このような抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)は、CNBr活
性化セファロースに類似するマトリックスに結合させることができ、そして組換
えおよび天然のウイルス抗原およびウイルスタンパク質が精製されるように、U
S型E型肝炎特異的タンパク質またはUS亜型E型肝炎特異的タンパク質を細胞
培養物または生物学的組織(血液および肝臓など)からアフィニティー精製する
ために使用することができる。
【0086】 II.(ii)核酸系アッセイ マーカーがUS型特異的ヌクレオチド配列またはUS亜型特異的ヌクレオチド
配列である場合、結合パートナーはまた、好ましくは、マーカー配列またはその
隣接領域に特異的にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列またはそのア
ナログであると考えられる。本明細書中に開示されている特徴的なポリヌクレオ
チド配列に基づいて、結合パートナーは、ビルマ株ファミリーおよびメキシコ株
ファミリーの対応するヌクレオチド配列と比較した場合に特徴的であるUS型特
異的ヌクレオチド配列またはUS亜型特異的ヌクレオチド配列に相補的なヌクレ
オチド配列、例えば、US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルス
のORF1配列、ORF2配列またはORF3配列の少なくとも一部に相補的な
ヌクレオチド配列またはそのアナログであり得ると考えられる。さらに、E型肝
炎のビルマ株ファミリーおよびメキシコ株ファミリーのゲノムに比べて特徴的で
あるUS型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスのゲノムの非コー
ド領域はまた、本発明の実施における有用なマーカーになり得ると考えられる。
そのようなヌクレオチド配列(プライマーまたはプローブのいずれか)は、ハイ
ブリダイゼーションおよび/または増幅によるUS型特異的配列またはUS亜型
特異的配列の検出を可能にする長さであり、そしてこの分野でよく知られ、そし
て十分に議論されている自動化されたオリゴヌクレオチド合成方法論を含む日常
的で標準的な方法を使用して調製することができる。HEV US−1ゲノムの
任意の特徴的な部分の相補体も十分である。完全な相補性は、プローブとして使
用するためには望ましいが、フラグメントの長さが増大するに従って必要とされ
なくなることがある。
【0087】 同様に、結合パートナーは、標的配列に特異的にハイブリダイゼーションする
ことができ、そして好ましくは8個〜100個のヌクレオチドを含み、より好ま
しくは10個〜75個のヌクレオチドを含み、最も好ましくは15個〜50個の
ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド配列(例えば、DNA配列、RNA配列ま
たはPNA配列)であり得ると考えられる。標的配列は、US型E型肝炎ウイル
スゲノムまたはUS亜型E型肝炎ウイルスゲノムの少なくとも一部を規定するヌ
クレオチド配列またはその相補的な配列であり得ることが理解される。ハイブリ
ダイゼーション反応のために選択される特定のストリンジェントな条件は、一般
には、結合パートナーの核酸配列と標的配列との相補性の程度、結合配列の組成
および結合配列の長さに依存することがこの分野で知られている。ストリンジェ
ントな条件を決定するためのパラメーターは、当業者にはよく知られており、あ
るいは標準的な書籍(例えば、Maniatisら、Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual(Cold Sprin
g Harbor Press、N.Y.、1989))から容易に確認される
と考えられる。
【0088】 本明細書中において提供される配列を使用して、試験サンプルにおける核酸を
検出するためのアッセイにおいて使用することができるプローブを作製すること
ができる。このようなプローブは、目的とするポリヌクレオチドの保存的なヌク
レオチド領域から、あるいは目的とするポリヌクレオチドの非保存的なヌクレオ
チド領域から設計することができる。アッセイにおいて最適なそのようなプロー
ブの設計は当業者の技術の範囲である。一般に、核酸プローブは、最大限の特異
性が所望される場合には非保存的領域または特徴的な領域から組み立てられ、そ
して例えば、多重遺伝子ファミリーの異なるメンバーに密接に関連し、あるいは
マウスおよびヒトのような関連する種において密接に関連するヌクレオチド領域
についてアッセイする場合には保存的な領域から組み立てられる。
【0089】 1つの好ましいプロトコルにより、試験サンプル中におけるUS型E型肝炎ウ
イルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在の有無を検出する方法が提供され
る。この方法は下記の工程を含む:(a)US型またはUS亜型の単離物に由来
する少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド配列
を含むプローブを提供する工程、ただし、この配列は、E型肝炎のビルマ株ファ
ミリーおよびメキシコ株ファミリーの他のメンバーに存在していない;(b)プ
ローブとその相補体とのポリヌクレオチド二重鎖の形成を可能にする条件のもと
で、プローブと、試験サンプル中に存在する非US型肝炎ポリヌクレオチド配列
および非US亜型肝炎ポリヌクレオチド配列との実質的なポリヌクレオチド二重
鎖の形成なしに、試験サンプルおよびプローブを接触させる工程;および(c)
プローブを含有する何らかのポリヌクレオチド二重鎖の存在を検出する工程。
【0090】 好ましいヌクレオチド配列は、配列番号89のヌクレオチド残基1〜5097
またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関して、
用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号89の1位〜5097位の残
基に対して少なくとも73.3%の同一性、好ましくは少なくとも75.3%の
同一性、より好ましくは少なくとも78.3%の同一性、最も好ましくは少なく
とも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましいマーカー
または結合パートナーの配列は、配列番号89の5132位〜7114位のヌク
レオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配
列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号89の5132
位〜7114位の残基に対して少なくとも87.4%の同一性、好ましくは少な
くとも89.4%の同一性、より好ましくは少なくとも92.4%の同一性、最
も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他
の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号89の5094位
〜5462位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むこ
とができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列
番号89の5094位〜5462位の残基に対して少なくとも88.3%の同一
性、好ましくは少なくとも90.3%の同一性、より好ましくは少なくとも93
.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸
配列が含まれる。
【0091】 さらに、有用なヌクレオチド配列には、例えば、ORF1配列の一部であって
、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテアーゼタンパク質、Y
ドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタンパク質、超可変領
域タンパク質およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質からなる群から
選択されるタンパク質またはその変異型をコードするORF1配列の一部が含ま
れ得ると考えられる。従って、ORF1の有用なメチルトランスフェラーゼのコ
ード領域は、配列番号89の残基1〜693に対して、好ましくは少なくとも7
8%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、最も好ましくは少な
くとも83%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なプロテ
ーゼのコード領域は、配列番号89の残基1270〜2091に対して、好まし
くは少なくとも66.1%の同一性、より好ましくは少なくとも68.1%の同
一性、最も好ましくは少なくとも71.1%の同一性を有すると考えられる。同
様に、ORF1の有用なYドメインのコード領域は、配列番号89の残基619
〜1272に対して、少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも8
2%の同一性、最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有すると考えられる
。同様に、ORF1の有用なXドメインのコード領域は、配列番号89の残基2
365〜2841に対して、少なくとも73.5%の同一性、より好ましくは少
なくとも75.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも78.5%の同一性を
有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なヘリカーゼのコード領域は、配
列番号89の残基2893〜3591に対して、少なくとも77.5%の同一性
、最も好ましくは少なくとも79.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも8
1.5%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用な超可変領域
のコード領域は、配列番号89の残基2092〜2364に対して、少なくとも
51.2%の同一性、より好ましくは少なくとも53.2%の同一性、最も好ま
しくは少なくとも56.2%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1
の有用なRNA依存性RNAポリメラーゼのコード領域は、配列番号89の残基
3634〜5094に対して、少なくとも76.3%の同一性、より好ましくは
少なくとも78.3%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.3%の同一性
を有すると考えられる。
【0092】 好ましいヌクレオチド配列は、配列番号164のヌクレオチド残基36〜51
62またはその天然に存在する配列変異型を含むことができる。この配列に関し
て、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号164の36位〜516
2位の残基に対して少なくとも73.6%の同一性、好ましくは少なくとも75
.6%の同一性、より好ましくは少なくとも78.6%の同一性、より好ましく
は少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が含まれる。他の好ましい
マーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号164の5197位〜717
9位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列変異型を含むことができ
る。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異型」には、配列番号16
4の5197位〜7179位の残基に対して少なくとも80.7%の同一性、好
ましくは少なくとも82.7%の同一性、より好ましくは少なくとも85.7%
の同一性、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する任意の核酸配列が
含まれる。他の好ましいマーカーまたは結合パートナーの配列は、配列番号16
4の5159位〜5527位のヌクレオチド残基またはその天然に存在する配列
変異型を含むことができる。この配列に関して、用語「天然に存在する配列変異
型」には、配列番号164の5159位〜5527位の残基に対して少なくとも
87.9%の同一性、好ましくは少なくとも89.9%の同一性、より好ましく
は少なくとも92.9%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同
一性を有する任意の核酸配列が含まれる さらに、有用なHEV US−2のヌクレオチド配列には、例えば、ORF1
配列の一部であって、例えば、メチルトランスフェラーゼタンパク質、プロテア
ーゼタンパク質、Yドメインタンパク質、Xドメインタンパク質、ヘリカーゼタ
ンパク質、超可変領域タンパク質およびRNA依存性RNAポリメラーゼタンパ
ク質からなる群から選択されるタンパク質の少なくとも一部またはその変異型を
コードするORF1配列の一部が含まれ得ると考えられる。従って、ORF1の
有用なメチルトランスフェラーゼのコード領域は、配列番号164の残基36〜
755に対して、好ましくは少なくとも79.5%の同一性、より好ましくは少
なくとも81.5%の同一性、最も好ましくは少なくとも84.5%の同一性を
有すると考えられる。同様に、ORF1の有用なプロテーゼのコード領域は、配
列番号164の残基1332〜2153に対して、好ましくは少なくとも66.
1%の同一性、より好ましくは少なくとも68.1%の同一性、最も好ましくは
少なくとも71.1%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用
なYドメインのコード領域は、配列番号164の残基680〜1334に対して
、少なくとも80.7%の同一性、より好ましくは少なくとも82.7%の同一
性、最も好ましくは少なくとも85.7%の同一性を有すると考えられる。同様
に、ORF1の有用なXドメインのコード領域は、配列番号164の残基243
0〜2906に対して、少なくとも73.7%の同一性、より好ましくは少なく
とも75.7%の同一性、最も好ましくは少なくとも78.7%の同一性を有す
ると考えられる。同様に、ORF1の有用なヘリカーゼのコード領域は、配列番
号164の残基2958〜3656に対して、少なくとも76.4%の同一性、
最も好ましくは少なくとも78.4%の同一性、最も好ましくは少なくとも81
.4%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1の有用な超可変領域の
コード領域は、配列番号164の残基2154〜2429に対して、少なくとも
50.4%の同一性、より好ましくは少なくとも52.8%の同一性、最も好ま
しくは少なくとも55.8%の同一性を有すると考えられる。同様に、ORF1
の有用なRNA依存性RNAポリメラーゼのコード領域は、配列番号164の残
基3699〜5159に対して、少なくとも76.8%の同一性、より好ましく
は少なくとも78.8%の同一性、最も好ましくは少なくとも81.8%の同一
性を有すると考えられる。
【0093】 他の有用なヌクレオチド配列には、配列番号93、配列番号168、配列番号
173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号223お
よび配列番号224からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレ
オチド配列およびそれらの相補的なヌクレオチド配列が含まれる。
【0094】 本明細書中に提供される核酸配列を使用して、試験サンプル中のUS型E型肝
炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスの存在を、従来の核酸系アッセイに
よって、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/またはブロットハイ
ブリダイゼーション研究(下記に詳述される)によって決定できると考えられる
。核酸系アッセイにおけるその使用に加えて、上記の核酸配列はベクターに組み
込むことができ、その後、このベクターは目的とする宿主細胞(例えば、ワクシ
ニアまたはマイコバクテリア)に形質転換またはトランスフェクションすること
ができると考えられる。次いで、得られた宿主細胞は、薬学的に許容可能な担体
と組み合わせることができ、そして例えば、所定のUS型E型肝炎ウイルスまた
はUS亜型E型肝炎ウイルスに対して、予防的または治療的のいずれかで哺乳動
物を免疫化するための組換えワクチンとして使用することができる。
【0095】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸またはその混合物に含有される所望
の核酸配列(標的)を増幅するための技術である。PCRにおいて、1対のプラ
イマーが、典型的には、標的核酸の相補的な鎖の外側端でハイブリダイゼーショ
ンするように過剰に用いられる。プライマーは、標的配列をテンプレートとして
使用して、ポリメラーゼ(例えば、熱安定性ポリメラーゼ)によりそれぞれ伸長
される。伸長産物は、最初の標的配列から解離した後に標的配列自体になる。次
いで、新しいプライマーがハイブリダイゼーションして、ポリメラーゼにより伸
長される。そのサイクルを繰り返して、標的配列分子の数を幾何級数的に増大さ
せる。PCRは、米国特許第4,683,195号および同第4,683,20
2号に開示されている。
【0096】 リガーゼ連鎖反応(LCR)は、核酸増幅の代わりの方法である。LCRにお
いて、2つの一次(第1および第2)プローブおよび二次(第3および第4)プ
ローブを含むプローブ対が使用される:これらのプローブはすべて、標的核酸配
列のモル過剰量で用いられる。第1プローブは標的鎖の第1のセグメントにハイ
ブリダイゼーションし、第2プローブは標的鎖の第2のセグメントにハイブリダ
イゼーションする。この第1および第2のセグメントは隣接しており、その結果
、これらの一次プローブは5’リン酸−3’ヒドロキシルの関係で互いに接し、
そしてリガーゼはこの2つのプローブを共有結合的に融合または連結して、融合
産物にすることができる。さらに、第3の(二次)プローブは第1のプローブの
一部にハイブリダイゼーションすることができ、第4の(二次)プローブは、同
様に接する様式で、第2のプローブの一部にハイブリダイゼーションすることが
できる。一次プローブの連結された鎖が標的配列から分離されると、それは、相
補的な二次連結産物が得られるように連結され得る第3および第4のプローブと
ハイブリダイゼーションする。この連結産物は、標的またはその相補体のいずれ
かに対して機能的に等価である。ハイブリダイゼーションおよび連結のサイクル
を繰り返すことによって、標的配列の増幅が達成される。この技術は、欧州特許
公開EP−A−320 308(K.Backman;1989年6月16日公
開)および同EP−A−439 182(K.Backmanら;1991年7
月31日公開)に、より完全に記載されている。
【0097】 mRNAの増幅に関して、mRNAをcDNAに逆転写し、その後、ポリメラ
ーゼ連鎖反応すること(RT−PCR);または米国特許第5,322,770
号に記載されているように両工程に1つの酵素を使用すること;またはR.L.
Marshallら(PCR Methods and Applicatio
ns 4:80〜84(1994))により記載されているように、mRNAを
cDNAに逆転写し、その後、非対称ギャップリガーゼ連鎖反応を行うこと(R
T−AGLCR)は、本発明の範囲に含まれる。
【0098】 本明細書中において利用することができる他の知られている増幅方法には、下
記の方法が含まれるが、これらに限定されない:Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 87:1874〜1878(1990)に記載され、そして
Nature 350(No.6313):91〜92(1991)にも記載さ
れているいわゆる「NASBA」または「3SR」技術;欧州特許公開EP45
44610に記載されているQ−β増幅;ストランド排除増幅(G.T.Wal
kerら、Clin.Chem.42:9〜13[1996];および欧州特許
EP684315);およびPCT国際特許公開WO9322461により記載
されているような標的媒介増幅。
【0099】 1つの実施形態において、本発明は、一般に、標的ポリヌクレオチド配列を含
有することが疑われる試験サンプルを、アンプリコン配列の内部領域とハイブリ
ダイゼーションすることができる検出プローブと、増幅プライマーとを含む増幅
反応試薬と接触させる工程を含む。本明細書中の方法に従って用いられるプロー
ブおよびプライマーは捕捉標識および検出標識で標識される:この場合、プロー
ブは任意のタイプの標識で標識され、そしてプライマーは、それとは異なる標識
で標識される。さらに、プライマーおよびプローブは、プローブ配列がプライマ
ー配列よりも低い融解温度を有するように選択される。増幅試薬、検出試薬およ
び試験サンプルは増幅条件のもとに置かれ、それによって、標的配列の存在下で
標的配列(アンプリコン)の複数のコピーが得られる。次いで、二本鎖のアンプ
リコンを熱的に変性して、一本鎖のアンプリコンメンバーにする。一本鎖のアン
プリコンメンバーが形成されると、混合物を冷却して、プローブと一本鎖のアン
プリコンメンバーとの複合体を形成させる。
【0100】 プローブ/一本鎖のアンプリコンメンバーのハイブリッドが形成された後にハ
イブリッドを検出する。標準的な不均一アッセイ様式は、プライマーおよびプロ
ーブに存在する検出標識および捕捉標識を使用してハイブリッドを検出するのに
好適である。ハイブリッドは、捕捉標識によって固相試薬に結合させることがで
き、そして検出標識によって検出することができる。検出標識が直接的に検出で
きる場合、固相上のハイブリッドの存在は、必要に応じて標識により検出可能な
シグナルを生成させて、そのシグナルを検出することによって検出することがで
きる。標識が直接的に検出できない場合、捕捉されたハイブリッドを、直接的に
検出することができる標識に結合させた結合メンバーを一般に含む複合体と接触
させることができる。複合体は複合体に結合し、そして複合体上の複合体の存在
は、直接的に検出できる標識を用いて検出することができる。このようにして、
固相上のハイブリッドの存在を決定することができる。当業者は、洗浄工程を用
いて、ハイブリダイゼーションしなかったアンプリコンまたはプローブならびに
未結合の複合体を洗い流すことができることを認識している。
【0101】 標的配列を検出するための試験サンプルは、サンプルを入手し、そして必要に
応じて、それに含有される何らかの細胞を破壊して標的核酸を遊離させることな
どによるこの分野でよく知られている方法論を使用して調製することができる。
PCRがこの方法で用いられる場合、標的配列の末端は通常知られている。LC
Rまたはその増幅が好ましい方法で用いられる場合、標的配列の全体は通常知ら
れている。典型的には、標的配列は、例えば、RNAまたはDNAなどの核酸配
列である。
【0102】 プライマーおよびプローブの長さは変化させることができるが、プローブ配列
は、それらがプライマー配列よりも低い融解温度を有するように選択される。従
って、プライマー配列は、一般に、プローブ配列よりも長い。典型的には、プラ
イマー配列は、20ヌクレオチド〜50ヌクレオチドの範囲の長さであり、より
典型的には20ヌクレオチド〜30ヌクレオチドの範囲の長さである。好ましい
プライマー配列は、典型的には、20ヌクレオチドよりも長い。代表的なプロー
ブは、10ヌクレオチド〜25ヌクレオチドの範囲の長さであり、より典型的に
は15ヌクレオチド〜20ヌクレオチドの範囲の長さである。。好ましいプロー
ブ配列は、典型的には、15ヌクレオチドよりも長い。
【0103】 あるいは、プローブは、「ネストPCR(nested PCR)」として知
られているプロセスによる標的配列の増幅に含まれ得る。ネストPCRにおいて
、プローブは、増幅のために通常使用される第1のプライマーおよび第2のプラ
イマーの特性と類似する特性(長さ、融解温度など)を有し、そのためプローブ
自身は増幅反応におけるプライマーとして役立ち得る。一般に、ネストPCRに
おいて、最初のプライマー対(PおよびP)を用いて、一次伸長生成物を形
成させる。一次プライマーの一方(例えば、P)は、必要に応じて、捕捉プラ
イマーであり得る(すなわち、最初の反応性ペアの一方のメンバーに連結され得
る)。これに対して、もう一方のプライマー(P)は捕捉プライマーではない
。次いで、二次伸長生成物が、その5’端での捕捉型の標識(二次の反応性ペア
の一方のメンバーなど)または検出標識をも有し得るプローブ(P1’)および
プローブ(P2’)を使用して形成される。これらのプローブは、依然として溶
液中に存在するならば、PおよびPの3’末端がハイブリダイゼーションす
る部位の近くまたはそのような部位に隣接するテンプレート上の部位に相補的で
あり、そしてそのようなテンプレートの部位でハイブリダイゼーションする。あ
るいは、二次伸長生成物は、Pプライマーをプローブ(P2’)とともに使用
し、あるいはPプライマーをプローブ(P1’)とともに使用して形成させる
ことができ、これは「半ネストPCR」と呼ばれることがある。従って、標識さ
れたプライマー/プローブの組合せによって、一次伸長生成物よりも短い二次伸
長生成物が得られる。さらに、二次伸長生成物は、その大きさに基づいて、ある
いはその標識末端を介して(当業者によく知られている検出方法論によって)検
出することができる。このプロセスにおいて、プローブおよびプライマーは、一
般には等濃度で用いられる。
【0104】 プローブおよびプライマーを合成するための様々な方法がこの分野でよく知ら
れている。同様に、標識をプローブまたはプライマーに結合させるための方法も
またこの分野でよく知られている。例えば、所望する核酸のプライマーまたはプ
ローブを、従来のヌクレオチドホスホラミダイト化学およびApplied B
iosystems,Inc.(Foster City、CA)、Dupon
t(Wilmington、DE)またはMilligen(Bedford、
MA)から得られる装置を使用して合成することは日常的な実験の範囲である。
本発明のプライマーまたはプローブなどのオリゴヌクレオチドを標識するための
多くの方法が記載されている。Enzo Biochemical(New Y
ork、NY)およびClontech(Palo Alto、CA)はともに
、プローブ標識技術を記載し、それらを商品化している。例えば、一級アミンは
、3’オリゴ末端に、3’−Amine−ON CPG(登録商標)(Clon
tech、Palo Alto、CA)を使用して結合させることができる。同
様に、一級アミンは、5’オリゴ末端に、AminomodifierII(登
録商標)(Clontech)を使用して結合させることができる。これらのア
ミンは、従来の活性化試薬および連結試薬を使用して様々なハプテンに反応させ
ることができる。さらに、国際特許公開WO92/10506(1992年6月
25日公開)および米国特許第5,290,925号(1994年3月1日発行
)は、プローブをその5’末端および3’末端でそれぞれ標識するための方法を
教示している。さらに、国際特許公開WO92/11388(1992年7月9
日公開)は、プローブをその末端で標識するための方法を教示している。オリゴ
ヌクレオチドを標識するための知られているいずれかの方法に従って、標識用の
ホスホラミダイト試薬を調製し、これを使用して、合成中のオリゴヌクレオチド
に標識を付加する。例えば、N.T.Thuongら、Tet.Letters
29(46):5905〜5908(1988);またはJ.S.Cohen
ら、公開された米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER
No.PAT−APPL−7−246,688)(1989)を参照のこと。
好ましくは、プローブは、その3’末端および5’末端で標識される。
【0105】 捕捉標識はプライマーまたはプローブにより運ばれ、そして固相試薬に特異的
な結合メンバーとの結合対を形成する特異的な結合メンバーであり得る。当然な
ことではあるが、プライマーまたはプローブ自体は、捕捉標識として役立ち得る
ことが理解される。例えば、固相試薬の結合メンバーが核酸配列である場合、核
酸配列は、プライマーまたはプローブの相補的な部分と結合し、それによってプ
ライマーまたはプローブが固相に固定化されるように選択することができる。プ
ローブ自体が結合メンバーとして役立ち得る場合、当業者は、プローブには、一
本鎖アンプリコンメンバーに相補的でない配列または「テイル」が含有されるこ
とを認識している。プライマー自体が捕捉標識として役立つ場合には、プローブ
はプライマー配列に対して十分に相補的でないように選択されるので、プライマ
ーの少なくとも一部は、固相上の核酸とハイブリダイゼーションしない。
【0106】 一般に、プローブ/一本鎖状アンプリコンメンバーの複合体は、不均一な免疫
アッセイを行うために一般的に用いられる技術を使用して検出することができる
。好ましくは、この実施形態において、検出は、市販のAbbottのLCx(
登録商標)手段(Abbott Laboratories、Abbott P
ark、IL)によって使用されるプロトコルに従って行われる。
【0107】 この分野で知られている他の有用な手順には、溶液ハイブリダイゼーション、
ドットブロットハイブリダイゼーションおよびスロットブロットハイブリダイゼ
ーションのプロトコルが含まれる。サンプル中に存在する標的核酸の量は、必要
に応じて、ハイブリダイゼーションしたフラグメントの放射能を、この分野で知
られている標準的なプロトコルを使用して測定することによって定量化すること
ができる。
【0108】 III.ワクチン ワクチンは、US型及び/あるいはUS亜型特異的タンパク質配列あるいはそ
のようなタンパク質配列に結合する抗体に基づく1又はそれ以上の免疫原性ポリ
ペプチドから調製しうると考えられる。さらに、ワクチンはまた、死滅又は生弱
毒化US型又はUS亜型E型肝炎ウイルス、あるいはUS型又はUS亜型E型肝
炎ウイルス特異的抗原を発現する異種宿主細胞、例えばワクシニアウイルスを含
む組換え生ワクチンも含みうると考えられる。
【0109】 ポリペプチドベースのワクチンに関して、当該ポリペプチドは少なくとも1個
のエピトープを含む。しかし、ワクチンは1又はそれ以上のポリペプチド鎖によ
って規定される複数の異なるエピトープを含みうると考えられる。さらに、非構
造タンパク質ならびに構造タンパク質は、中和抗体を産生しない場合でも、ウイ
ルスの病原性に対する防御を提供しうると考えられる。上記を考慮すると、US
型あるいはUS亜型ウイルスに対する多価ワクチンは1又はそれ以上の構造タン
パク質、及び/あるいは1又はそれ以上の非構造タンパク質を含みうる。これら
の免疫原性エピトープは、組合わせとして、すなわち組換えタンパク質、合成ペ
プチド及び/あるいはビリオンから単離したポリペプチドの混合物として使用す
ることができ、それらは同時に投与するかあるいは異なる時点で投与してもよい
【0110】 少なくとも1個の免疫原性ペプチドを有効成分として含む、タンパク質あるい
はペプチドベースのワクチンの製剤方法は当該技術において周知である。典型的
には、そのようなワクチンは溶液又は懸濁液の形態で注射剤として製剤される。
製剤を乳化するか、あるいはタンパク質をリポソーム中に被包することができる
。免疫原性有効成分は、その有効成分と適合性の薬理的に許容される賦形剤と混
合しうる。適当な賦形剤は、限定されないが、水、塩類溶液、デキストロース、
グリセロール、エタノールあるいはそれらの組合せを含む。ワクチンはまた、ワ
クチンの有効性を高める湿潤化又は乳化試薬、pH緩衝剤、及び/あるいはアジ
ュバントのような少量の補助物質も含みうる。例えば、そのようなアジュバント
は、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソ
グルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノムラミル−L−アラニル−D
−イソグルタミン(CGP 11687、nor−MDPとも称される)、N−
アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2
−(1’2’−ジパルミトイル sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオ
キシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEとも称される)、
及び2%スクアレン/Tween−80(登録商標)乳剤中のRIBI(MPL
+TDM+CWS)を含みうる。アジュバントの有効性は、US型あるいはUS
亜型特異的抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドを、検討する種々のアジュバン
トも合わせて含むワクチンとして投与することから生じる、このポリペプチドに
対する抗体の量を測定することによって決定できる。
【0111】 ワクチンは通常静脈内又は筋肉内注射によって投与する。他の投与方法に適す
る追加的な製剤は、坐剤、また一部の場合には、経口製剤を含む。坐剤について
は、慣用される結合剤及び担体はポリアルキレングリコールあるいはトリグリセ
リドを含むがこれらに限定されない。そのような坐剤は、約0.5%から約10
%、好ましくは約1%から約2%(重量/重量)の範囲の有効成分を含む混合物
から製造される。経口製剤は、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ス
テアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウ
ム等を含めた賦形剤を包含しうる。これらの組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸剤
、カプセル、持続放出性製剤あるいは散剤の形態をとることができ、約10%か
ら約95%、好ましくは約25%から約70%(重量/重量)の有効成分を含む
【0112】 ワクチンにおいて使用するポリペプチド鎖は、中性あるいは塩の形態でワクチ
ンに組み込むことができる。薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸又はリン酸
のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸又は当業者に既
知の他の酸のような有機酸の付加によって形成される酸付加塩を含む。遊離カル
ボキシル基で形成される塩は、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カ
ルシウム又は第二鉄等のような無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチル
アミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンプロカイン、又は当業者に既
知の他の塩基のような有機塩基からも誘導されうる。
【0113】 ワクチンは典型的には、予防上及び/あるいは治療上有効であるような量で、
投与剤型に適合する方法によって投与される。一般に投与する量は、1回投与量
につき抗原約5μgから約250μgの範囲であるが、実際の用量は被験者の健
康状態と体格、被験者の免疫系が抗体を合成する能力、ならびに求める防御の度
合に依存する。ワクチンは単回又は多回投与スケジュールで投与しうる。多回投
与は、ワクチン接種の初期段階を1回から10回の独立した投与によって行い、
その後免疫応答を維持する及び/あるいは増強するために必要な時間を置いて別
途の投与を、例えば第2回目の投与を1ヶ月目から4ヶ月目に行い、そして個人
ごとに必要に応じて、その後数ヵ月目にも追加投与を行う。さらに投与様式は、
少なくとも一部には、個人の必要性によって決定され、また医師の判断に依存す
るであろう。
【0114】 死滅又は不活化US型あるいはUS亜型E型肝炎ウイルスを含むワクチンに関
して、不活化は、当該技術において周知であり、十分に資料の裏付けがある常套
的な方法を用いて容易に行うことができる。好ましい不活化法は、例えば、1又
はそれ以上の(i)有機溶媒、(ii)洗浄剤、(iii)ホルマリン、及び(
iv)電離放射線への曝露を含む。弱毒化ワクチン中のタンパク質の一部は他の
既知のウイルスと交差反応すると考えられ、従ってUS型あるいはUS亜型E型
肝炎ウイルスとHEVファミリーの他のメンバー(例えばビルマ族あるいはメキ
シコ族のメンバー)の間に共通のエピトープが存在し、これらの病原体によって
引き起こされる1又はそれ以上の疾患に対して防御抗体を生じるであろうと想定
される。好ましい製剤及び投与方法は当該技術において資料で十分に裏付けられ
ており、それ故ここで詳細に論じることはしない。考慮すべき種々の因子には、
ペプチドベースのワクチンに関して上記に述べた1又はそれ以上の特徴が含まれ
る。
【0115】 生であるが弱毒化されたワクチンに関しては、当該技術において使用される既
知の弱毒化法のいずれかを用いて弱毒化ウイルスを産生することが可能であろう
。簡単に述べると、低温でウイルスを継代させるか、あるいはウイルスゲノムに
ミスセンス突然変異又は欠失を導入することによって弱毒化が実施できる。好ま
しい製剤及び投与方法は当該技術において資料で十分に裏付けられており、それ
故ここで詳細に論じることはしない。考慮すべき種々の因子には、ペプチドベー
スのワクチンに関して上記に述べた1又はそれ以上の特徴が含まれる。
【0116】 生組換えワクチン(ベクターワクチン)に関しては、生きているが無害なウイ
ルス又は細菌のゲノムに、抗原決定基を決めるUS型あるいはUS亜型E型肝炎
特異的ポリペプチド鎖をコードする遺伝子又は核酸配列を組み込むことによって
作製される。その後、生じたベクター生物を意図する宿主に投与することができ
る。典型的には、そのようなワクチンが成功を収めるためには、ベクター生物が
成育可能でなくてはならず、また自然のままで非感染性であるか若しくは弱毒表
現型を有していなければならない。好ましい宿主生物は、ワクシニアウイルス、
アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、サルモネラ及びマイコバクテリアを含む
。ワクシニアウイルス及びマイコバクテリアの生株は、それぞれ痘瘡ワクチン及
び結核(BCG)ワクチンの形態でヒトに安全に投与されてきた。さらに、それ
らは異種タンパク質を発現し、毒性表現型への変換をほとんどあるいは全く生じ
ないことが示されてきた。ベクターワクチンは、複数の異種遺伝子あるいは核酸
配列を担うことができ、それによってあらかじめ選択された種々の抗原決定基に
対する同時ワクチン接種を可能にする。好ましい製剤及び投与方法は当該技術に
おいて資料で十分に裏付けられており、それ故ここで詳細に論じることはしない
【0117】 IV.抗US型あるいは抗US亜型E型肝炎ウイルス活性を有する分子の同定 特異的HEV US型配列の発見という見地から、当業者は、HEV US型
特異的タンパク質、例えばHEVゲノムのORF1部分によってコードされるヘ
リカーゼ、メチルトランスフェラーゼ、あるいはプロテアーゼタンパク質を不活
化する又はその活性を低下させる分子を同定しうると考えられる。HCVプロテ
アーゼを阻害する分子を同定するための例示プロトコールは米国特許第5,59
7,691号に開示されており、その開示内容は参照してここに組み込まれる。
かかる方法はHCVプロテアーゼ阻害因子の同定に関するものであるが、HEV
プロテアーゼ阻害因子、あるいはHEV US型配列によってコードされる他の
タンパク質を同定するためにも同じあるいは類似したプロトコールが使用できる
であろう。
【0118】 簡単に述べると、HEVプロテアーゼ阻害因子を同定する方法は次の通りであ
る。典型的には、当該プロテアーゼの天然基質を擬態するが、開裂したとき定量
可能なシグナルを提供する基質を用いる。シグナルは、好ましくは比色定量ある
いは蛍光定量手段によって検出できる;しかし、HPLCあるいはシリカゲルク
ロマトグラフィー、核磁気共鳴等のような他の方法も有用であろう。至適基質と
プロテアーゼ濃度を決定したあと、候補プロテアーゼ阻害因子を一連の濃度範囲
で反応混合物に一度に加える。アッセイの条件は、好ましくはプロテアーゼがイ
ンビボで阻害される条件、すなわち生理的pH、温度、イオン強度等の条件を模
倣する。適当な阻害因子は、被験者において毒性副作用を引き起こさない濃度で
強いプロテアーゼ阻害を示す。プロテアーゼ活性部位に競合的に結合する阻害因
子は基質濃度に等しいか又はそれ以上の濃度を必要とするが、プロテアーゼ活性
部位に不可逆的に結合しうる阻害因子はほぼ酵素濃度に近い濃度で加えればよい
【0119】 阻害因子は、例えばHEVプロテアーゼによって認識される開裂部位を模倣す
る有機化合物であるか、若しくはその代わりにタンパク質、例えばHEVプロテ
アーゼに特異的に結合して不活化する又は活性を低下させることができる抗体あ
るいは抗体フラグメントであると考えられる。ひとたび同定されれば、プロテア
ーゼ阻害因子は静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、経気管支、経鼻等のような様々
な方法によって投与しうる。好ましい投与経路は阻害因子の性質に依存する。有
機化合物として調製した阻害因子は、良好に吸収される場合には、経口投与(一
般に好ましい)することができる。タンパク質ベースの阻害因子(大部分の抗体
あるいは抗体誘導体のような)は一般に非経口経路で投与される。
【0120】 実施例 下記の実施例から本発明の実施がよりよく理解されるであろう。ここに示す実
施例は例示だけを目的とするものであり、いかなる意味においても本発明を制限
すると解釈するべきではない。特許、特許出願及び学術出版物を含めて、上記及
び下記の引用文献はすべて、その全体が参照してここに組み込まれる。
【0121】 実施例1−症例検討 急性肝炎を発症した患者(USP−1)の血清においてHEVのUS−1株を
同定した。患者は62歳の白人男性で、3週間にわたる発熱、腹痛、黄疸、及び
そう痒のあとミネソタ州のロチェスターにある病院に入院した。カリフォルニア
州のサンホセに10年間旅行して帰宅した後、2週間目に徴候や症状の発現が始
まった。
【0122】 患者の過去の病歴には、軽度の腎不全を伴う常染色体性腎多嚢胞病のための腎
摘出、及び症候性胆石症のための腹腔鏡下胆嚢摘出が含まれた。患者は変形性関
節症があり、高血圧症であった。入院の3ヵ月前にリジノプリルによる治療が開
始されていた。理学的検査は、アステリクシスはないが肝臓が肥大して脆弱な、
疾病様相を呈する黄疸の白人男性を明らかにした。入院の時点で血清アスパラギ
ン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ
(ALT)、及びビリルビンレベルが著しく高く、それぞれ入院後8日目と16
日目にピークに達した(図2)。リジノプリルは入院時に停止された。A型肝炎
(IgM及びIgG抗HAV)、B型肝炎(HBsAg、IgM及びIgG抗H
Bc)、C型肝炎(抗HCV)、及びHCV RNAについての血清検査は陰性
であった。セルロプラスミン、鉄、トランスフェリン、抗核及び抗平滑筋抗体、
毒素、ならびに薬剤スクリーニングはすべて正常であった。患者に注意深く問診
した結果、エタノール使用の経歴はないことが明らかになった。腹部の超音波及
びコンピュータ連動断層撮影スキャン、ならびに内視鏡的逆行性胆道膵管造影法
も正常であった。肝生検は、自己免疫性、薬剤性あるいはウイルス性肝炎に一致
する、肝細胞の著しい核濃縮性の気球状変性を伴った重篤な急性小葉肝炎を示し
た。
【0123】 患者は2ヵ月以内に臨床的には完全に回復し、入院から約5ヵ月後にAST、
ALT及びビリルビンの正常化を認めた。HEVを獲得する危険因子は同定され
なかった。10年間、米国外には旅行していなかった。疾病を発症する前の6週
間に患者が摂取したと報告した、家庭で調理されたのではない食事は、1軒のメ
キシコ料理店と大きなファーストフードレストランチェーンだけであった。処理
されていない飲料水は摂取しておらず、生の甲殻類も食べていないと報告してお
り、また患者の知るかぎり家畜にも接触していなかった。該当するメキシコ料理
店あるいはファーストフードレストランの食品取扱い担当者で、入院前5ヵ月以
内に外国を旅行した者はおらず、また肝炎の徴候及び/あるいは症状を報告した
者もなかった。入院期間中、患者がカリフォルニア州で滞在した郡ならびにミネ
ソタ州の患者が在住する郡の保健局において非ABC型肝炎の他の症例は報告さ
れていなかった。家族のメンバーにも、患者のカリフォルニアへの旅行中あるい
はその後10週間の間に肝炎の徴候及び/あるいは症状は認められなかった。カ
リフォルニア州を訪れた6名の家族、及び対象期間中ミネソタ州で患者と生活し
ていた患者の妻から採取した血清は、EIAにより抗HEV陰性であった。
【0124】 実施例2−HEV US−1型のユニーク単離物の同定 HEVプライマー配列を用いてRT−PCRによりHEVの存在を判定した。
簡単に述べると、以前に記述されているように(Schlauderら(199
5)J.Virological Methods 46:81−89)USP
−1患者の血清25μlから核酸を単離した。エタノール沈澱した核酸をジエチ
ルピロカルボネート(DEPC)処理した水3μL中に懸濁した。
【0125】 Perkin−Elmer(Norwalk,CT)からのGeneAmp
RNA PCRキットを使用し、製造者の指示に従ってcDNA合成とPCRを
実施した。RNA(1μL)をそれぞれ10μLのcDNA反応のためのテンプ
レートとして用いた。特異的プライマーを最終濃度4μMになるように加え、c
DNA合成を開始させた。その後オリゴヌクレオチドを加えて最終濃度0.8−
1.0μMとし、cDNAの増幅を開始させた。PCRを40サイクル実施した
(94℃、20秒間;55℃、30秒間;72℃、30秒間;次いで72℃で3
分間の伸長サイクル)。次にネストセット(nested set)のPCRプ
ライマーを用いて、最初のPCR反応物(2μL)を第二段階の増幅のテンプレ
ートとして使用した。Perkin−ElmerからのGeneAmp PCR
キットを使用し、製造者の指示に従ってPCRを実施した。簡単に述べると、プ
ライマーを加えて最終濃度1μMとした。最初のセットの実験は3組のプライマ
ーを使用した。ビルマ及びメキシコ株からの配列に基づくORF1の5’末端か
らの2組と、メキシコ株配列に基づくORF1の3’末端からの1組であった。
使用した3組のプライマーは次の通りであった:
【0126】 プライマーセット1 フ゜ライマー 配列 配列番号 5’-ORF1-メキシコフ゜ライマーC375M CTGAACATCCCGGCCGAC 配列番号:1 PCRフ゜ライマーA1-350M AGAAAGCAGCTATGGAGGA 配列番号:2 PCRフ゜ライマーS1-34M GCCCACCAGTTCATTAAGGCT 配列番号:3ネスト PCRフ゜ライマーA2-320M TCATTAATGGAGCGTGGGTG 配列番号:4ネスト PCRフ゜ライマーS2-55M CCTGGCATCACTACTGCTAT 配列番号:5 プライマーセット2 フ゜ライマー 配列 配列番号 5’-ORF1-ヒ゛ルマcDNAフ゜ライマーC375 CTGAACATCACGCCCAAC 配列番号:6 PCRフ゜ライマーA1-350 AGGAAGCAGCGGTGGACCA 配列番号:7 PCRフ゜ライマーS1-34 GCCCATCAGTTTATTAAGGC 配列番号:8ネスト PCRフ゜ライマーA2-320 TCATTTATTGAGCGGGGATG 配列番号:9ネスト PCRフ゜ライマーS2-55 CCTGGCATCACTACTGCTAT 配列番号:10 プライマーセット3 フ゜ライマー 配列 配列番号 3’-ORF1-メキシコcDNAフ゜ライマーM1PR6 CCATGTTCCACACCGTATTCCAGAG 配列番号:11 PCRフ゜ライマーS4294M GTGTTCTACGGGGATGCTTATGACG 配列番号:12ネスト PCRフ゜ライマーM1PF6 GACTCAGTATTCTCTGCTGCCGTGG 配列番号:13ネスト PCRフ゜ライマーA4556 GGCTCACCAGAATGCTTCTTCCAGA 配列番号:14
【0127】 5’−ORF1−ビルマプライマーはSchlauderら(1993)La
ncet 341:378に記述されている。プライマーM1PR6とM1PF
6はMcCaustlandら(1991)J.Virological Me
thods 35:331−342に記述されている。PCR生成物をアガロー
スゲル電気泳動によって分離し、臭化エチジウム染色した後UV照射によって視
覚化した。生じたPCR生成物をサザンブロット法でニトロセルロースフィルタ
ーに移行させ、放射標識プローブとハイブリダイゼーションさせた。
【0128】 Qiagen(Chatsworth,CA)のQIAEXゲル抽出精製キッ
トで精製したPCR生成物から放射標識プローブを作製した。Stratage
ne(登録商標)(La Jolla,CA)のPrime−It IIキット
を使用し、製造者の指示に従って放射性同位元素標識を組み込んだ。Amers
ham(Arlington Heights,IL)のRapid−hyb緩
衝液中でフィルターを3−5時間プレハイブリダイゼーションさせ、次いでFa
st−Pair Hybridization Solution中、100−
200cpm/cm2、42℃で15−25時間ハイブリダイゼーションさせた
。次にSchlauderら(1992)J.Viol.Methods 37
:189−200に述べられているようにフィルターを洗浄した。Molecu
lar Dynamics Phosphorimager 425E(Sun
nyvale,CA)を用いてプローブしたフィルターの蛍光画像を得た。
【0129】 臭化エチジウム染色バンドをORF1の5’末端からのプライマーで検出した
。しかし、メキシコ株に基づくプライマーだけが予想された266塩基対の大き
さのネスト生成物を生じた。ビルマ様株(同一性>90%)感染患者から誘導し
たプローブとのハイブリダイゼーションは、ビルマ陽性対照からのシグナルと比
較すると、USP−1患者誘導産物に対して非常に弱いハイブリダイゼーション
シグナルを生じた。これらの結果は、この単離物がビルマ単離物とはあまり緊密
な類縁関係がないことの最初の示唆であった。メキシコ株からのプローブは入手
できなかった。
【0130】 これらの結果を確認するため、USP−1患者の追加血清アリコートからRN
Aを抽出した。5’−ORF1メキシコプライマー、配列番号1−5を用いて上
述したようにRT−PCRを実施した。アガロースゲル電気泳動し、臭化エチジ
ウム染色した後、各サンプルにおいて342塩基対の生成物を視覚化した。Qi
agen(Chatsworth,CA)のQIAEXII アガロースゲル抽
出キットを使用してアガロースゲルからPCR生成物を抽出し、Novagen
(Madison,WI)によるpT7 Blue T−ベクタープラスミドに
クローニングした。SEQUENASE VERSION 2.0配列決定キッ
ト(USB,Cleveland,OH)を使用し、製造者の指示に従ってクロ
ーニング産物を配列決定した。
【0131】 後の2つのサンプルの生成物から得られたヌクレオチド配列は同じであり、配
列番号15に示されている。これらの結果は、ビルマとメキシコの両方の株から
のcDNAプライマーとプライマーS1だけがUSP−1患者のサンプルから臭
化エチジウム染色される生成物を生じたことを示唆している。メキシコ株に基づ
くネストプライマー、S2及びA2だけが予想された大きさの臭化エチジウム染
色性産物を生じた。
【0132】 HEV US−1単離物とHEVの他の既知単離物との間の類縁関係の度合を
調べるため、Genetics Computer Group,Inc.,5
75 Science Drive,Madison,Wisconsin,5
3711から入手可能なWisconsin Sequence Analys
is Package(バージョン9)のGAPプログラムを使用して、ヌクレ
オチド及びアミノ酸配列の整列を実施した。当該プログラムは、Needlem
anとWunsch(J.Mol.Biol.(1970)48:443−45
3)のアルゴリズムを用いて類似性と同一性の度合を計算し、並んでいる2つの
配列間のパーセンテージとして表す。gapの創造及びgyap伸長のペナルテ
ィーは、核酸配列整列についてはそれぞれ50と3.0、アミノ酸配列の比較に
関してはそれぞれ12と4であった。
【0133】 ビルマとメキシコの2つの「基本型」HEV単離物の完全なヌクレオチド及び
アミノ酸配列、ならびに分析に使用した他の配列はGenBankから入手した
。それぞれのアクセス番号を下記の表1に示す。これらの配列はそれぞれ参考と
して本明細書中に援用される。
【0134】
【表1】
【0135】 HEV US−1の303塩基対配列(配列番号89の残基1−303に相同
)をメキシコ、ビルマ、パキスタン及び中国株において同定された相同領域と比
較した。得られた同一性のパーセントを下記の表2に要約する。
【0136】
【表2】 表2の結果は、USP−1単離物からのORF1の5’末端からのフラグメン
トが、HEVの他の既知単離物に対して約74.9から約77.2%の核酸同一
性を示したことを明らかにしている。これは基本型のメキシコとビルマ単離物間
の同一性(83.2%)より低かった。これらの結果は、生成物がおそらくこれ
までに同定されていないHEVのユニーク単離物から誘導されたのであろうこと
を示唆している。
【0137】 実施例3−HEV US−1ゲノム伸長と配列決定 上記の実施例2で述べたようにして入手し、配列決定したクローン(配列番号
15)は、ユニークHEVゲノム、HEV US−1から誘導した。HEV U
S−1ゲノムのさらなる領域から配列を得るため、いくつかの逆転写酵素−ポリ
メラーゼ連鎖反応(RT−PCR)ウォーキング実験を実施した。
【0138】 実施例2で述べた方法によって(配列番号19に関してのみ)あるいは次の方
法のいずれかによって全核酸を抽出した。担体としての酵母tRNA 10mg
の存在下で、Total Nucleic Acid Extraction法
を使用し、製造者(United States Biochemical)の
指示に従ってUSP−1患者の血清のアリコート(25μL)を抽出した。核酸
を沈殿させ、RNアーゼ/DNアーゼ不含水3.75μLに懸濁した。その代わ
りには、ToTALLY RNA分離キットを製造者(Ambion,Inc.
)の推奨するように使用して、血清100μLから全RNAを分離した。生じた
RNAをDNアーゼで処理し、S.N.A.P.Total RNA分離キット
(Invitrogen,San Diego,CA)からの試薬でカラム精製
した。その後RNAを0.1容の3M酢酸ナトリウム、担体としてのペレットペ
イント2μL(Novagen)、及び2容のエタノールで沈殿させた。RNA
ペレットをDEPC処理水50μLに溶解した。
【0139】 GeneAmp RNA PCRキットを使用し、製造者(Perkin−E
lmer)の指示に従ってRT−PCRを実施した。配列番号19の単離を除い
て、ランダム六量体を使用して総容量25μLでcDNA合成を開始させた。配
列番号19に関しては、上記の実施例2で述べたように、プライマーPA2−5
560(配列番号16)で特異的に始動するcDNAを使用した。12.5μL
血清当量から抽出したRNA、プライマーUS1 gap−a0.5(配列番号
46)、及びSuperscript II(3’RACE Kit:GIBC
O BRL)を用いて生成した特異的始動cDNAでUS1−gapを作製した
。総反応容量の5分の1(10μL反応について2μLあるいは25μL反応に
ついて5μL、等々)を含むcDNAに関してPCRを実施した。MgCl
2mMと各プライマー0.5から1.0μMの存在下で標準的なPCRを実施し
た。配列番号33及び41の分離に関しては、製造者の指示に従って改変反応は
1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)を含んだ。反応は、2個のH
EVコンセンサスプライマー(表3)、1個のHEVコンセンサスプライマーと
1個のHEV−US−1特異的プライマー(表4)、2個のHEV US−1特
異的プライマー(表5)、1個のHEV US−1特異的プライマーと1個のH
EV US−2(実施例5参照)特異的プライマー(表6)、あるいは2個のH
EV US−2特異的プライマー(表7)を使用した。反応を次のような温度サ
イクルに供した: 配列番号19、24、27、30、33、41、44、60、64、68、7
3、78、及び83をタッチダウンPCRによって得た。増幅は、94℃で30
秒間、55℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及び72℃で1分間の43
サイクルを含んだ。このあとに94℃で30秒間、40℃で30秒間、及び72
℃で1分間の10サイクルを実施した。配列番号38、49、52、及び55に
関しては、サイクルは94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び72℃で1分
間の35ラウンドを含んだ。すべての増幅の前に、94℃で1−2分間、次いで
72℃で5−10分間を実施した。アガロースゲル分析まで反応物を4℃に保持
した。
【0140】 配列番号19の単離は、所望する産物を単離するために第二ラウンドのタッチ
ダウン増幅を必要とした。ここでは第一ラウンドの1μLを第二ラウンドの25
μL反応に加えた。第二ラウンドの増幅は、反応物1.1.1及び1.1.2と
して表3に示すような半ネスト(ヘミネスト)プライマーを使用した。配列番号
24の単離は、反応物2.1.1及び2.1.2として表4に示す、上述したよ
うな第二ラウンドのネストタッチダウン増幅を必要とした。配列番号38及び4
9の単離は、上述したような25μL反応に第一ラウンドの1μLを使用する第
二ラウンドのネストPCRを必要とした(表5)。配列番号60、64、68、
及び73の単離は、第一ラウンドの1μLを25μLの第二ラウンド反応で増幅
するネストPCRを必要とした(表6)。2ラウンドの増幅から、配列番号78
及び83の生成物を得た(表7)。
【0141】 0.2mg/mLの臭化エチジウムの存在下に0.8%から2%のアガロース
TAEゲル中でPCR反応物の分画あるいは反応物全部に関してアガロースゲル
電気泳動を行った。生成物をUV照射によって視覚化し、所望する分子量の生成
物を切り出して、GeneCleanを用いて製造者(BIO 101,Inc
.)の指示に従って精製し、pT7−Blue T−Vectorプラスミド(
Novagen)IIあるいはpGEM−T Easy Vector(Pro
mega)に、製造者の指示に従ってクローニングした。実施例2で述べたよう
に、あるいはABI Sequencing Ready Reaction
Kitを用いてABI Model 373 DNA Sequencerで製
造者が指定するように、クローニング産物を配列決定した。これらの実験の結果
を下記の表3、4、5、6、及び7に示す。
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】 ゲノムの3’末端の配列を得るため、増幅はGIBCO BRLの3’RAC
E Systemを製造者の指示に従って使用した。HEV株として、HEV−
US−1ゲノムの3’末端はメキシコ、ビルマ及びパキスタン株と同様にポリア
デノシンテールを含むであろうと推測された。血清50μL当量から上述したよ
うに抽出したRNAを、製造者から提供されたオリゴdTアダプタープライマー
、5’−GGCCACGCGTCGACTAGTACTTTTTTTTTTTT
TTTTT−3’(配列番号84)を用いて逆転写した。第一ラウンドのPCR
は、5’−GGCCACGCGTCGACTAGTAC−3’(配列番号85)
を提供するAUAPプライマー及びHEV US特異的プライマー(表8)を、
PCR緩衝剤、MgClと共に0.2mMの最終濃度で、また推奨されている
cDNA濃度で使用した。増幅は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び
72℃で1分間の35サイクルを含んだ。増幅の前に94℃で1分間インキュベ
ーションし、次いで72℃で10分間の伸長を行った。第二ラウンドの増幅は、
50μL反応において第一ラウンドの1μLを使用した。PCR緩衝液は、2m
M MgClに関して1X最終濃度及び各プライマー0.5mMであった。プ
ライマーはAUAPプライマーとHEV−US−1特異的プライマーによるヘミ
ネストであった(表8)。増幅条件は第一ラウンドと同じであった。生成物をア
ガロースゲル電気泳動で分析し、クローニングして、上記のように配列決定した
【0148】
【表8】
【0149】 上記の表3、4、5、6、7、及び8に示した生成物から得られた配列、及び
ゲノムの5’末端近くの初期PCR生成物、配列番号15を、GCGパッケージ
(Genetics Computer Group,Madison,WI,
バージョン9)のプログラムと決定されたコンセンサス配列を用いてコンティー
グ(contig)に組み立てた。組み立てたコンティーグの概要を図3に示す
。HEV US−1ゲノムは7202bpの長さであり、その全部が配列決定さ
れている(配列番号89)。この配列を3つのオープンリーディングフレームに
翻訳した。そのうちの2つが配列番号90に示されている(3番目のORFはヌ
クレオチド5094−5462に位置するが、他の2つのORFとの重複のため
配列番号90には示すことができない)。生じた翻訳産物(ORF1、ORF2
、及びORF3)をそれぞれ配列番号91、配列番号92、及び配列番号93に
示す。
【0150】 実施例4−HEV US−2のユニーク単離物の同定 急性肝炎を発症した米国の患者をHEV EIA検定でIgGクラス抗体に関
して検査し、またUS−1株特異的ELISAによって陽性と判定した。急性肝
炎と診断されたこの患者(USP−2)は62歳の男性で、黄疸と疲労のために
入院した。初期検体検査は1270U/L(正常値は0−40U/L)のALT
を示した。その地域で最近A型肝炎ウイルス(HAV)が集団発生していたため
、この患者もHAVに感染したことが疑われた。しかし、抗HAV IgM検査
、HAVAB−M EIA(Abbott Laboratories)は陰性
であり、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスの血清マーカーに関する検査も
同様であった。この患者の経歴で、疾病発症の数週間前にメキシコのカンクンを
訪れていたことがわかった。
【0151】 次に患者からのサンプルを、HEV US−1特異的PCRプライマーを用い
たPCR増幅を通してHEV特異的配列の存在に関して分析した。実施例2で述
べたようにUltraspecを使用してRNAを抽出した。実施例3で述べた
ようにランダム始動(primed)cDNA合成を実施し、HEV US−1
特異的プライマー、配列番号94及び配列番号96により、実施例2で述べたよ
うな標準条件を用いてPCRを行った。配列番号95と配列番号97のプライマ
ーによりネストPCRを実施した。実施例3で述べたようにPCR生成物の配列
決定を行った。生じたPCR生成物の配列を配列番号98に示す。実施例2で述
べたようなGAP分析は、ヌクレオチド配列、配列番号98がHEV US−1
からの対応領域あるいは相同領域と95%同一であることを示した。
【0152】 実施例5−HEV US−2のゲノム伸長と配列決定 実施例4で生成し、配列決定したクローン(配列番号98)を、HEV US
−1と最も緊密な類縁関係にあるHEV単離物から誘導した。HEV US−2
ゲノムの追加領域を得るため、いくつかのRT−PCRウォーキング実験を実施
例3で述べたように実施した。
【0153】 Total Nucleic Acid Extraction手法(Uni
ted States Biochemical)を用いてRNAを抽出した。
GeneAmp RNA PCRキット(Perkin−Elmer)を使用し
て逆転写をランダム始動させた。2mM MgClと各プライマー0.5−1
.0μMの存在下で標準PCRを実施した。配列番号129、141及び146
の単離に関して、改変反応は1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)
を含んだ。反応は、2個のHEV US−1特異的プライマー(表9)、1個の
HEV US−1特異的プライマーと1個のHEVコンセンサスプライマー(表
10)、1個のHEV US−2特異的プライマーと1個のHEVコンセンサス
プライマー(表11)、2個のHEV US−2特異的プライマー(表12)、
あるいは2個のビルマ、メキシコ、及び米国誘導コンセンサスプライマー(下記
に述べる、表13)を使用した。
【0154】 配列番号101、102、105、108、110、113、117、120
、124、149、及び151に示す生成物をタッチダウンPCRによって得た
。増幅は、94℃で30秒間、55℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及
び72℃で1分間の43サイクルを含んだ。このあとに94℃で30秒間、40
℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクルを実施した。配列番号129
、132、136、141及び146の増幅には、94℃で30秒間、55℃で
30秒間、及び72℃で1分間の35サイクルを含む工程を使用した。すべての
増幅の前に、94℃で1−2分間、次いで72℃で5−10分間を実施した。ア
ガロースゲル分析まで反応物を4℃に保持した。多くの生成物の単離には、表9
−13に示すように第二ラウンドのネストあるいはヘミネストPCRを必要とし
た。これらの反応では、PCR1の生成物1μLをPCR2反応混合物25−5
0μLに加えて、生じた混合物をPCR1におけるようにサイクルさせた。
【0155】 上記の実施例3で述べたように反応物を分析し、生成物をクローニングして配
列決定した。これらの実験の結果を下記の表9−13に示す。
【0156】
【表9】
【0157】
【表10】
【0158】
【表11】
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】 ゲノムの3’末端の配列を得るため、増幅は、実施例3で述べたようにGIB
CO BRLの3’RACE Systemを製造者の指示に従って使用した。
PCR1は、配列番号150と配列番号85のプライマーを使用した。PCR2
のプライマーは配列番号152と配列番号85であった(反応物12.1)。生
じた生成物は901bpであった(配列番号153)。
【0162】 HEV US−2ウイルスゲノムの5’末端に位置する新しい配列の単離は、
逆PCR(M.ZeinerとU.Gehring,Biotechnique
s 17:1051−1053,1994)によって実施した。USP−1及び
USP−2からの血清の入手には限りがあるため、HEV US−2感染したサ
ルからの糞便物質を原材料として選択した。超可変/プロリンに富むちょうつが
い領域内からのサル糞便物質から、抽出したRNAを用いて462ヌクレオチド
の生成物を増幅し、逆転写して、配列番号154、155、156及び157の
プライマーを使用して実施例3で述べたようにPCR増幅した。この生成物(配
列番号158)はHEV US−2配列と100%同一であった。それ故、さサ
ルの糞便からのHEVゲノムの5’末端で同定される配列は、HEV US−2
ゲノムの5’末端を正確に表すはずであると考えられる。10%糞便懸濁液20
0μLから上述したように全核酸を抽出した。RT反応を開始する前に核酸を7
0℃で5分間変性させ、次いで氷上に置いたことを除き、BMBから入手したキ
ットを使用して、HEV US特異的プライマー(配列番号159)を用いた逆
転写反応を実施した(M.ZeinerとU.Gehring,Biotech
niques、前出に述べられているように)。M.ZeinerとU.Geh
ring,Biotechniques、前出に述べられているようにして、二
本鎖環状cDNAの作製を実施した。生じた環状cDNA分子をその後のPCR
反応のテンプレートとして用いた。最初のPCR反応(PCR1)で使用したプ
ライマーを配列番号160及び161に示す。第二のPCR反応(PCR2)で
使用したネストプライマーは配列番号162及び163に示す通りであった。
【0163】 PCR2からの生成物(反応物13.1)をpGEM−Easy T Vec
tor(Promega)にクローニングし、Applied Biosyst
ems 373自動シーケンサーを用いて配列決定した。221ヌクレオチドの
1個の生成物を適切なプライマーとHEV US−2配列を持つものとして同定
し、既知のHEV US−2配列の上流の63ヌクレオチドを同定した。適切な
プライマーとこの新しい配列の一部で追加クローンを同定した。配列番号163
及び161に示す配列をプライマーとして使用し、USP−2血清100μLあ
るいは10%糞便懸濁液100μLからのRNAに関してプライマー伸長実験を
実施したが、この配列の長さを確認することはできなかった。ビルマ様単離物の
5’NTR配列と63ヌクレオチドの対合比較は94%以上の同一性を示し、こ
れが本当のHEV US−2配列であることを示唆した。
【0164】 この実施例で述べた生成物と実施例4で述べた生成物から得られた配列を、G
CGパッケージ(Genetics Computer Group,Madi
son,WI,バージョン9)のプログラムと決定されたコンセンサス配列を用
いてコンティーグに組み立てた。組み立てたコンティーグの概要を図4に示す。
HEV US−2株のゲノムは7277bpの長さで、その全部が配列決定され
ており、配列番号164に示されている。この配列を配列番号165に示す3つ
のオープンリーディングフレームに翻訳したが、ORF1とORF2配列の翻訳
産物だけを示している(3番目のORFはヌクレオチド5159−5527に位
置するが、他の2つのORFとの重複のため配列番号165には示すことができ
ない)。生じたORF1、ORF2、及びORF3配列の翻訳産物をそれぞれ配
列番号166、167、及び168に示す。
【0165】 実施例6−配列の比較 ウイルスの類縁性の度合についての情報は、典型的にはヌクレオチドと推定ア
ミノ酸配列の整列のような比較を行うことによって得られる。HEVのUS単離
物(例えばHEV US−1やHEV US−2)の配列と他のHEV単離物の
対応する配列の整列は、配列間の類似性と同一性の度合の定量的評価を提供する
。一般に、2個のアミノ酸配列間の類似性の算定は、整列中のアミノ酸対の側鎖
間で示される類似の度合に基づく。類似の度合はアミノ酸側鎖の物理化学特性、
すなわち大きさ、形、電荷、水素結合能、及び化学反応性に基づく。従って、類
似アミノ酸は類似した物理化学特性を持つ側鎖を有している。並んだ2個のアミ
ノ酸あるいはヌクレオチド配列間の同一性の算定は、一般に、整列中の同じアミ
ノ酸対あるいはヌクレオチド対の数を計数し、この数を整列中の配列の長さで割
るという算術計算である。並んだ2個のヌクレオチド配列間の類似性の算定は、
時として整列中の種々の位置の対応する(すなわちマッチする)ヌクレオチド間
の遷移やトランスバージョンについて異なる数値を使用する。しかし、ヌクレオ
チド配列対間の類似性及び同一性スコアの等級は通常非常に近い、すなわち1か
ら2パーセントの範囲内である。
【0166】 類似性と同一性の度合をWisconsin Sequence Analy
sis Package(バージョン9)のGAPプログラムを用いて決定した
。gapの創造及びgap伸長のペナルティーは、核酸配列整列についてはそれ
ぞれ50と3.0、アミノ酸配列の比較に関してはそれぞれ12と4であった。
【0167】 先に示したように、初期5’末端ORF1クローンと他のHEV単離物間には
部分的な同一性が存在し、USP−1患者に関連するHEV感染はHEVのユニ
ーク単離物によるものであるという主張を裏付ける。この単離物とHEVの他の
既知単離物との間の類縁性の度合をより広汎に調べるため、伸長したヌクレオチ
ドと推定アミノ酸配列の整列を実施した。
【0168】 HEV US−1、HEV US−2、及び他の10個の完全な長さのHEV
ゲノム(公知の入手可能なデータベースから入手、表14参照)についてのヌク
レオチド及びアミノ酸の対合比較を上述したように実施し、US単離物相互の関
係及びUS単離物と既知のHEV変異株との関係を調べた。
【0169】
【表14】
【0170】 US−1、US−2、B1、B2、I2、C1、C2、C3、P1、C4及び
I1株のゲノム全体にわたるヌクレオチド同一性を表15に示す。ORF1、O
RF2及びORF3のヌクレオチド同一性をそれぞれ表16、17及び18に示
す。表17と18はまた、GenBankアクセス番号AF011921として
入手可能な、最近単離されたブタ(S1)単離物に対する比較も含む。
【0171】
【表15】
【0172】
【表16】
【0173】
【表17】
【0174】
【表18】
【0175】 さらに、メチルトランスフェラーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオ
チド配列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した
。HEV US−1ゲノムのメチルトランスフェラーゼコード領域は配列番号8
9の残基1−693で表され、一方HEV US−2ゲノムのメチルトランスフ
ェラーゼコード領域は配列番号164の残基36−755で表される。比較の結
果を表19に示す。
【0176】
【表19】
【0177】 Yドメインタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、
US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲ
ノムのYドメインタンパク質コード領域は配列番号89の残基619−1272
で表され、一方HEV US−2ゲノムのYドメインタンパク質コード領域は配
列番号164の残基680−1334で表される。比較の結果を表20に示す。
【0178】
【表20】
【0179】 プロテアーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1
、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1
ゲノムのプロテアーゼタンパク質コード領域は配列番号89の残基1270−2
091で表され、一方HEV US−2ゲノムのプロテアーゼタンパク質コード
領域は配列番号164の残基1332−2153で表される。比較の結果を表2
1に示す。
【0180】
【表21】
【0181】 超可変領域をコードするORF1ヌクレオチド配列をUS−1、US−2、M
1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムの超可変
領域をコードする領域は配列番号89の残基2092−2364で表され、一方
HEV US−2ゲノムの超可変領域をコードする領域は配列番号164の残基
2194−2429で表される。比較の結果を表22に示す。
【0182】
【表22】
【0183】 Xドメインタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、
US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲ
ノムのXドメインタンパク質コード領域は配列番号89の残基2365−284
1で表され、一方HEV US−2ゲノムのXドメインタンパク質コード領域は
配列番号164の残基2430−2906で表される。比較の結果を表23に示
す。
【0184】
【表23】
【0185】 ヘリカーゼタンパク質をコードするORF1ヌクレオチド配列を、US−1、
US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲ
ノムのヘリカーゼコード領域は配列番号89の残基2893−3591で表され
、一方HEV US−2ゲノムのヘリカーゼコード領域は配列番号164の残基
2958−3656で表される。比較の結果を表24に示す。
【0186】
【表24】
【0187】 RNA依存性RNAポリメラーゼをコードするORF1ヌクレオチド配列を、
US−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV
US−1ゲノムの当該ポリメラーゼコード領域は配列番号89の残基3634−
5094で表され、一方HEV US−2ゲノムの当該ポリメラーゼコード領域
は配列番号164の残基3699−5159で表される。比較の結果を表25に
示す。
【0188】
【表25】
【0189】 さらに、US−1、US−2、B1、B2、I2、C1、C2、C3、P1、
C4及びI1株のORF1、ORF2及びORF3配列によってコードされるタ
ンパク質のアミノ酸同一性/類似性をそれぞれ表26、27及び28に示す。さ
らに、表27と28はブタ配列(S1)に対する比較も含む。表26、27及び
28では、類似性を表の右上半分に示し、同一性を表の左下半分に示している。
【0190】
【表26】
【0191】
【表27】
【0192】
【表28】
【0193】 さらに、メチルトランスフェラーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配
列をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HE
V US−1ゲノムによってコードされるメチルトランスフェラーゼタンパク質
は、配列番号91の残基1−231によって表され、HEV US−2ゲノムに
よってコードされるメチルトランスフェラーゼタンパク質は、配列番号166の
残基1−240によって表される。比較の結果を表29に示す。
【0194】
【表29】
【0195】 プロテアーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−
2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムに
よってコードされるプロテアーゼタンパク質は、配列番号91の残基424−6
97によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるプロテアー
ゼタンパク質は、配列番号166の残基433−706によって表される。比較
の結果を表30に示す。
【0196】
【表30】
【0197】 Yドメインタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2
、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによ
ってコードされるYドメインタンパク質は、配列番号91の残基207−424
によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるYドメインタン
パク質は、配列番号166の残基216−433によって表される。比較の結果
を表31に示す。
【0198】
【表31】
【0199】 Xドメインタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2
、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによ
ってコードされるXドメインタンパク質は、配列番号91の残基789−947
によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるXドメインタン
パク質は、配列番号166の残基799−957によって表される。比較の結果
を表32に示す。
【0200】
【表32】
【0201】 ヘリカーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2
、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによ
ってコードされるヘリカーゼタンパク質は、配列番号91の残基965−119
7によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされるヘリカーゼタ
ンパク質は、配列番号166の残基975−1207によって表される。比較の
結果を表33に示す。
【0202】
【表33】
【0203】 超可変領域を規定するORF1アミノ酸配列をUS−1、US−2、M1及び
P1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコード
される超可変領域は、配列番号91の残基698−788によって表され、HE
V US−2ゲノムによってコードされる超可変領域は、配列番号166の残基
707−798によって表される。比較の結果を表34に示す。
【0204】
【表34】
【0205】 RNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質を規定するORF1アミノ酸配列
をUS−1、US−2、M1及びP1単離物のそれぞれの間で比較した。HEV US−1ゲノムによってコードされるポリメラーゼは、配列番号91の残基1
212−1698によって表され、HEV US−2ゲノムによってコードされ
るポリメラーゼは、配列番号166の残基1222−1708によって表される
。比較の結果を表35に示す。
【0206】
【表35】
【0207】 上記に加えて、HEV US型ファミリーに属するいくつかの付加的なHEV
単離物がこの作業の間に同定された(下記の実施例13参照)。付加的な単離物
をIt1(イタリア株)、G1(最初のギリシャ株)及びG2(2番目のギリシ
ャ株)と称した。It1、G1及びG2配列を含む付加的な配列の比較を行った
。その結果を下記の表36と37に示す。表36は、371塩基(123アミノ
酸)のORF1フラグメント上のHEV単離物間のヌクレオチドと推定アミノ酸
の同一性を示している。ORF1フラグメントは配列番号89の残基26−39
6に対応する。表37は、148塩基(49アミノ酸)のORF2フラグメント
上のHEV単離物間のヌクレオチドと推定アミノ酸の同一性を示している。OR
F2フラグメントは配列番号89の残基6307−6454に対応する。表36
と37の両方において、提示されている単離物はビルマ(B1、B2)、中国(
C1、C2、C3、C4)、インド(I1、I2)、パキスタン(P1)、メキ
シコ(M1)、ブタ(S1)、米国(US−1、US−2)、ギリシャ(G1、
G2)及びイタリア(It1)株である。
【0208】
【表36】
【0209】
【表37】
【0210】 HEV US−1とHEV US−2のそれぞれのゲノム及び表14で同定し
た他のHEV単離物の他のゲノムのヌクレオチド配列を用いて、完全な長さのヌ
クレオチド配列の対合比較を行った。比較の結果を表15に示す。ヌクレオチド
レベルでは、HEV US−1とHEV US−2は互いに極めて緊密に関連し
あっており、ゲノム全体で92.0%の同一性であった。完全な長さのビルマ様
単離物は、92.0から98.8%の範囲の同じような同一性を示した。US単
離物は、ビルマ様単離物及びメキシコ単離物と73.5から74.5%同一であ
った。これはビルマ様単離物のいずれかひとつとメキシコ単離物間で認められた
同一性と同様であり、75.0から76.1%のヌクレオチド同一性であった。
これらのデータは、US単離物がビルマ及びメキシコ株とは異なるHEVの新し
い系統の変異株のメンバーであることを示唆している。
【0211】 個々のORFのような、各々のゲノムのより小さな部分を分析すると、同様の
度合の同一性が認められる。これらの数値をORF1、ORF2及びORF3に
ついてそれぞれ表16、17及び18に示す。各々の領域にわたって、ビルマと
パキスタン単離物は93.1から98.9%という最も高い度合の同一性を示す
。メキシコ単離物は異なっており、ビルマ様単離物と73.6から90.1%の
同一性である。HEV US−1のヌクレオチド配列を分析すると、ORF1配
列と有意の度合の相違が明らかになり、ビルマ様及びメキシコ単離物とは72%
未満の同一性であった。同様に、ORF2とORF3配列は、ビルマ様及びメキ
シコ単離物とそれぞれ79.1%と86.9%同一であった。
【0212】 ヌクレオチドレベルで見られる変異性は、アミノ酸の類似性及び翻訳したオー
プンリーディングフレームの同一性に反映されている。ORF1は、おそらく超
可変領域の存在のために、最も相違する生成物である。US単離物はこの領域で
97.5%のアミノ酸同一性を有している(表26)。これは、ビルマ様ORF
1タンパク質間で見られた94.4から99.6%の同一性と同等である。US
ORF1生成物は、ビルマ様及びメキシコタンパク質と80.7から83.0
%同一である(表26)。これらの数値は、ビルマ様分離株のいずれかとメキシ
コ単離物間で認められた81.8から84.2%の同一性に近い。アミノ酸類似
性の数値は概して同一性の数値を3.5%上回っており、多数の保存的アミノ酸
置換を反映している。ORF2生成物は、おそらくウイルスのカプシドタンパク
質としての役割ゆえに、最も保存されている。US ORF2生成物は互いに9
8.0%同一であったが、ビルマ及びメキシコのORF2タンパク質とは90.
1から92%の同一性である(表27)。やはり、これらの範囲はビルマ単離物
間で認められたもの(97.7から99.7%の同一性)を反映している。ビル
マとメキシコ分離株間の同一性は、US変異株と他の変異株間の同一性よりわず
かに大きく、92.4から93.3%であった。ORF2上のアミノ酸類似性は
同一性の数値よりも約1.5%高い。HEV US−1とHEV US−2のO
RF3生成物は96.7%のアミノ酸同一性を有する。ビルマ単離物は96.7
から100%のアミノ酸同一性を示した。ビルマ及びメキシコ単離物に対するU
S単離物のORF3のアミノ酸同一性は78.7から84.4%であり、ビルマ
とメキシコ単離物間で認められた85.4から88.6%の同一性をわずかに下
回った(表28)。ORF3上のアミノ酸類似性は概して同一性の数値と同じで
あったが、一部の比較は、同一性の数値を1.0%未満上回る類似性値を明らか
にした。これらのアミノ酸類似性および同一性値は、短いアミノ酸配列の分析が
完全な長さ及び部分的なヌクレオチド分析と同様の結果を生じることを示してお
り、US単離物が緊密な類縁関係にあること、そしてこれまでに特性付けられた
HEVの単離物とは遺伝的に異なることを示唆している。
【0213】 表27及び28は、最近ブタにおいて同定された(Mengら(1997)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 94:9860−9865)H
EV様単離物との対合アミノ酸配列比較も含んでいる。ORF2/3領域の20
21bpだけが特性付けられている(GenBankアクセス番号:AF011
921)。USブタ配列は、ヌクレオチドレベルでHEV US−1の対応する
領域と92%同一である。HEV US−1は、最近同定されたブタウイルスと
アミノ酸レベルで非常に類似していることが認められる。例えば、HEV US
−1とブタ株はそれぞれのORF2及びORF3配列上で97.1%と93.5
%の同一性を示す(それぞれ表27及び28)。
【0214】 G9及びG20と称される、中国からの2つのHEV単離物由来210ヌクレ
オチドの部分配列(それぞれGenBankアクセス番号:X87306とX8
7307)が、最近文献においてHuangら(1995)J.Med Vir
ology 47:303−308によって報告された。これらのフラグメント
は、配列番号89の残基番号4533−4742と相同なヌクレオチド配列を示
す。それらがコードするアミノ酸配列(69アミノ酸残基の長さ)は、配列番号
91の残基番号1512−1580と相同である。ヌクレオチド配列及びこれら
の配列の推定アミノ酸配列の対合比較からの結果を表38と39に示す。結果は
、G9及びG20単離物がこの領域にわたってヌクレオチドレベルで互いに89
%同一であることを示している。緊密に関連するビルマとパキスタン単離物は、
この範囲で92.9%同一である。US−1単離物はこの領域で77.1と81
.0%の同一性を示し、US−1単離物はこれらの単離物からも独自であること
を示唆している。G9とG20配列はヌクレオチドレベルで最も緊密に関連して
いるが、G20の推定アミノ酸翻訳産物は、US−1単離物からのUS配列と最
も類似/同一である(表38)。これはおそらく分析に使用したアミノ酸の長さ
が短いことによると考えられる。
【0215】
【表38】
【0216】
【表39】
【0217】 実施例7−系統発生的分析 新規US型単離物とHEVの他の単離物間の系統発生的関係を調べるため、ヌ
クレオチドとアミノ酸配列の整列を実施した。Wisconsin Seque
nce Analysis Package,バージョン9(Genetics
Computer Group,Madison,WI)のPILEUPプロ
グラムを使用して整列を行った。PHYLIPパッケージ、バージョン3.5c
(Felsenstein 1993,Department of Gene
tics,University of Washington,Seattl
e)の遷移−転換率2.0のDNADISTプログラム(Kimura 2パラ
メータ法)とPROTDIST(Dayhoff PAMマトリックス)プログ
ラムを使用して、配列間の進化学的距離を決定した。算定した距離を用いて、F
ITCHプログラム(Fitch−Margoiash法)によって進化系統樹
を構築した。系統樹の強さ(robustness)を、SEQBOOTプログ
ラム、DNADSITプログラム、NEIGHBORプログラムの隣接ジョイニ
ング法(neighbor−joining method)、及びCONSE
NSE(PHYLIPパッケージ)により、多配列整列(100セットあるいは
1,000セット)のブーツストラップリサンプリングによって決定した。70
%未満のブーツストラップ値は系統発生的分類の根拠を提供しないとみなす(M
uerhoffら(1997)Journal of Virology,71
:6501−6508)。RETREE(PHYLIP)を用いてミッドポイン
トルーティングオプションにより最終的な系統樹を作製し、TREEVIEW(
Page(1996)Computer Applied Bioscienc
es 12:357−358)でグラフィック画像を創造した。その結果を図5
、6、10及び11に示す。
【0218】 完全なゲノムに関する系統発生的分析。HEV US−1、HEV US−2
及びHEVの他の既知の単離物間の類縁性の度合をより広汎に調べるため、ヌク
レオチド整列を行った。完全な長さのHEV US−1とHEV US−2ゲノ
ムを、完全なゲノムが入手できる他の10個のHEV単離物とともに配列した(
表14)。
【0219】 HEV−US単離物と他のHEV単離物の整列に基づいて系統発生的距離を検
討すると、遷移−変換率2.0でNADISTプログラム(Kimura2パラ
メータ法)を用いて測定したとき、USからの単離物と他の地域からのものとの
間にはかなりの進化学的距離があることが明らかになった(表40)。算定した
距離は同時に、アジア由来の単離物間に緊密な類縁関係があることを示している
。ビルマ様群の中では、完全な長さの整列から算定された最大距離は1塩基当り
0.0850ヌクレオチド置換である。この群のメンバーとUS単離物間での最
小距離は0.3322置換である。メキシコ株は、ビルマ様群とは0.3055
から0.3132置換、US単離物とは0.3322から0.3462置換とい
う同様の距離を示す。HEV US−1とHEV US−2間の0.0812置
換という遺伝的距離は、ビルマ様単離物間で見られたものと同様である。分析し
たウイルス配列間の相対的な進化学的距離は、図5に示す根なし(unroot
ed)進化系統樹を調べればただちに明白である。この図では枝の長さが進化学
的距離に比例する。進化系統樹において、ビルマ様単離物、メキシコ単離物及び
US単離物がそれぞれ主要な枝である。さらに、基本型ウイルスの分枝は100
%のブーツストラップ(bootstrap)値で裏付けられている。ゲノムの
より小さなセグメント(例えばORF1、ORF2あるいはORF3)を個々に
分析して、完全な長さの配列に関して得たものと同様の系統樹を作製し、図5に
示している。これらの分析は、HEV US単離物が異なる系統であるか又はH
EVの変異株であること、そしてHEV US−1とHEV US−2が互いに
、最も相違の大きいビルマ様単離物と同じ程度に類似することを明らかにしてい
る。
【0220】
【表40】
【0221】 ブタHEVからのORF2/ORF3との比較。最近報告されたブタHEVと
ヒトHEV US−1及びHEV US−2単離物間の類縁関係を調べるため、
上記で使用した10個の完全な長さの配列からの類似領域を用いて、完全なOR
F2とORF3上のヌクレオチド配列の比較を行った(表14)。系統発生的分
析により、USとブタHEV単離物間でポジション当り0.0799から0.0
810ヌクレオチド置換の遺伝的距離を得た(表41)。これらの数値は最も離
れたビルマ様単離物間で認められたものと同様である。ORF2/3ヌクレオチ
ド配列を分析すると、USとブタ単離物は根なし進化系統樹上で近接して分類さ
れる(図6参照)。これらの単離物は、メキシコ単離物及びビルマ様単離物とは
異なる系統発生群を形成する。これらの分類は100%のブーツストラップ値で
裏付けられる。
【0222】
【表41】
【0223】 実施例8−HEVの血清学的試験 A.背景 HEV感染の診断に有用なエピトープは、ビルマ及びメキシコの両株のHEV
のORF2とORF3のカルボキシル末端近くに位置することが初期試験で示さ
れている。以下M 3−2及びM 4−2と称するメキシコ株からの2つの抗原
は、それぞれORF2とORF3のカルボキシル末端近くに42個と32個のア
ミノ酸を含む(Yarboughら(1991)Journal of Vir
ology,65:5790−5797)。以下B 3−2及びB 4−2タン
パク質と称するHEVのビルマ株からの2つの抗原は、それぞれORF2とOR
F3のカルボキシル末端近くに42個と33個のアミノ酸を含む(Yarbou
ghら(1991)前出)。HEVに対するIgG、IgA及びIgMクラス抗
体を検出するためにデザインされた診断試験は、これらの抗原領域に基づいて開
発された。潜在的にHEVに対する抗体の検出力を高めるために、完全な長さの
ORF3(Dawsonら(1992)Journal of Virolog
y Methods,38:175−186)あるいはORF2タンパク質から
の追加アミノ酸配列(Dawsonら(1993)前出)を含む追加的なHEV
組換えタンパク質を生成した。比較試験は、最初の組換えタンパク質と合成ペプ
チド(B 4−2、B 3−2、M 3−2、M 4−2)が、急性HEV感染
の既知症例においてHEVに対する抗体を検出する上で、より大きな組換えタン
パク質と同程度に有効であったことを示している。HEVに対する抗体を検出す
るための認可された試験がAbbott Laboratoriesによって製
造されており、これは完全な長さのビルマ株ORF3タンパク質とビルマ株OR
F2タンパク質のカルボキシル末端の327アミノ酸を含む。
【0224】 初期血清学的試験でB 3−2、B 4−2、M 3−2及びM 4−2の有
用性が明らかにされたあと、ビルマ及びメキシコ両株のHEVのORF2のカル
ボキシル末端に6個の付加アミノ酸が存在し、それらはM 3−2及びB 3−
2抗原タンパク質の一部を形成しないことが確認された。ORF2とORF3の
カルボキシル末端はHEVのビルマ及びメキシコ株にとって重要であることが示
されているので、ゲノムのこれらの領域に対応する合成ペプチドをHEVのUS
−1株に関して生成した。ORF2のカルボキシル末端の48アミノ酸に対応す
る合成ペプチドをHEVのビルマ及びメキシコ株に関して生成し(それぞれ配列
番号172と170)、B 3−2e及びM 3−2e(「e」は伸長したアミ
ノ酸配列を示す)と称した。さらに、HEV US−1 ORF3のカルボキシ
ル末端の33アミノ酸を表す合成ペプチドをHEVのビルマ及びメキシコ株に関
して生成し(それぞれ配列番号171と169)、B 4−2及びM 4−2と
称した。HEV US−1株に関するORF2内のエピトープに基づく合成ペプ
チド(配列番号174)をUS 3−2eと称する。HEV US−1 ORF
3のカルボキシル末端のエピトープに基づく合成ペプチド(配列番号173)を
US 4−2と称する。HEVのメキシコ、ビルマ及びUS株から誘導したこれ
らのペプチドをそれぞれ合成し、固相に被覆して、これらの合成ペプチドの相対
的有用性を調べるためにELISA試験において使用した。
【0225】 表42に示すように、HEV US−1とHEVのビルマ、メキシコ及びパキ
スタン株間のアミノ酸同一性は、ORF2内の3−2eエピトープを含むアミノ
酸については約87.5%から約91.7%、ORF3内の4−2エピトープを
含むアミノ酸については約63.6%から約72.7%の範囲である。理論に縛
られるのは望むところではないが、エピトープをコードする領域の変異性の度合
を考慮すると、これらのウイルスに対する株特異的抗体反応が存在すると考えら
れる。
【0226】
【表42】
【0227】 B.急性HEV感染の診断におけるELISAの使用 ヒトにおける急性HEV感染の大部分の症例が、1又はそれ以上のHEV組換
えタンパク質あるいは合成ペプチドに結合するIgMクラス抗体を有することが
報告されている。HEVに対するIgMクラス抗体を有していない人の場合、血
清検査だけに急性HEV感染の診断の基礎を置くことはできず、RT−PCR及
び/あるいはHEVを病因因子として確認するための他の検査が必要であると考
えられる。
【0228】 C.合成ペプチドの生成 N−メチル−モルホリンによってもたらされるin situ活性化により、
(HBTU)結合化学と0.025μmoleスケールでの標準FMOC固相ペ
プチド合成を用いてRainin Symphony Multiple Pe
ptide Synthesizerでペプチドを調製した。各々の残基での結
合時間は45分で、あらかじめ決定した残基では二重結合とした。樹脂の標準開
裂によって保護されていないペプチドを生成し、その後エーテル沈降反応と洗浄
を行った。合成したペプチドを表43に示す。
【0229】
【表43】
【0230】 D.合成したペプチドの分析 合成したペプチドを次のようにアミノ酸組成物に関して分析した。小規模合成
(0.025μmole)からの粗ペプチドの品質を、各溶媒中0.1%(v/
v)2トリフルオロ酢酸(TFA)と共にアセトニトリル/水勾配を用いてC1
8逆相高速液体クロマトグラフィーによって分析した。分析クロマトグラムから
、各合成からの主要ピークを採集し、マススペクトロメトリー(エレクトロスプ
レー及び/あるいはレーザー脱着質量分析)によって溶出物を分析した。各溶媒
中0.1%TFAを含むアセトニトリル/水勾配によりC18逆相HPLCを用
いてペプチドの精製(小規模及び/あるいは大規模)を行った。主要ピークを採
集し、使用時まで凍結乾燥した。
【0231】 E.ELISA試験 各々のペプチドで1/4インチのポリスチレンビーズを被覆してHEV US
−1エピトープの有用性を調べた。詳細には、ペプチドを水又は水プラス氷酢酸
に溶かし、リン酸緩衝液(pH7.4)中10μg/mLを含有するように希釈
した。合計60個のポリスチレンビーズをペプチド溶液(10μg/mL)14
mLと共にシンチレーションバイアルに加え、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
中56℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、
0.1%Triton−X100(登録商標)を含む緩衝液と交換した。ビーズ
をこの溶液に60分間曝露させ、液体を吸引して、ビーズをPBS緩衝液で2回
洗浄した。次にビーズを5%ウシ血清アルブミン溶液と共に40℃で60分間イ
ンキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、ビーズでPBSで洗
浄した。生じたビーズを5%スクロース含有のPBSに30分間浸した。その後
液体を吸引し、ビーズを空気乾燥した。
【0232】 ひとつの試験では、1/4インチのポリスチレンビーズを種々の濃度の合成ペ
プチドで被覆し(各ロット当り約50個のビーズ)、抗HEV血清検査陰性のヒ
ト血清を陰性対照とし、HEV感染者からの回復期の血清を陽性対照として使用
して、ELISA試験(下記に述べる)において評価した。ビーズ被覆工程をス
ケールアップするために、陽性対照シグナル対陰性対照シグナルの最も高い比率
を生じるビーズ被覆条件を選択した。各1,000個のビーズの2ロットをHE
V US−1 ORF2及びORF3エピトープの両方について作製し、次のよ
うに使用した。
【0233】 血清又は血漿のサンプルを標本希釈液中で希釈し、サンプル中の抗体が固定化
抗原に結合しうる条件下で抗原被覆固相と混合した。洗浄後、生じたビーズを、
タマリンあるいは固相に結合したヒト抗体のいずれかと結合するホースラディッ
シュペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗ヒト抗体と混合した。カットオフ値以
上のシグナルを生じた標本を反応性とみなした。
【0234】 より詳細には、好ましいELISA形式は、抗原被覆した固相を標本希釈液(
動物血清と非イオン性界面活性剤を含む緩衝液)で前希釈した血清に接触させる
ことを必要とする。詳細には、血清10μLを標本希釈液150μLに希釈し、
渦動撹拌した。次にこの前希釈した標本10μLをELISAプレートの各ウエ
ルに加え、その後標本希釈液200μLと抗原被覆したポリスチレンビーズを加
えた。次いでELISAプレートをDynamic Incubator(Ab
bott Laboratories)において絶えず撹拌しながら室温で1時
間インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、ウエルを蒸留水
中で(1回の洗浄につき5mL)3回洗浄した。次に、複合希釈液(動物血清と
非イオン性界面活性剤を含む緩衝液)で希釈したHRPO標識ヤギ抗ヒト免疫グ
ロブリン200μLを各ウエルに加え、ELISAプレートを上述したように1
時間インキュベートした。その後ウエルを蒸留水中で3回洗浄し、各ウエルから
抗原と結合免疫グロブリンを含むビーズを取り出し、0.1Mクエン酸緩衝液(
pH5.5)、0.3%o−フェニレンジアミン−2HCl及び0.02%過酸
化水素の溶液300μLと共に試験管に入れた。室温で30分置いた後、1N硫
酸を加えて反応を停止した。生じた492nmでの吸光度を記録した。生じた色
の強度は被験サンプル中に存在する抗体の量と直接比例した。標本の各々の群に
ついて、おそらくHEVエピトープに対する抗体を含むと考えられる標本をそう
でない標本と分けるため、予備カットオフ値を設定した。
【0235】 パネル1:前スクリーニングしたパネルの試験 HEV US−1株から誘導されるエピトープの有用性を明らかにするため、
標本のパネルをHEV US−1のアミノ酸配列に基づくELISAによって試
験した(表44)。これらのサンプルはあらかじめ、既存のペプチドと、公表文
献中に報告されている(Dawsonら(1993)前出;Paulら(199
3)前出)上述した認可済抗HEV(Abbott Laboratories
)の組合せを用いて、HEVに対する抗体に関して前スクリーニングしておいた
ものであった。
【0236】 パネルの最初の10メンバーは、HEVのビルマ及びメキシコ株から誘導した
ペプチドと組換えタンパク質の組合せを用いた分析後、血清がHEVに対する抗
体に関して陰性であった米国のボランティア供血者から得た標本で構成された。
標本はすべてHEV US−1から誘導したELISAと非反応性であった。急
性肝炎に罹患し、血清がHEVのビルマ及びメキシコ株に基づくHEV組換え抗
原と合成タンパク質に対するIgG及びIgMクラス抗体に関して反応性であっ
たため、急性HEV感染と診断された個人から、さらに5つの標本を得た。5サ
ンプルのうち3つがエジプトから、1つがインドから、1つがノルウェーから(
旅行者)であった。これらの個人の5サンプル全部において、RT−PCRによ
りHEV RNAが検出された。これらの5メンバーをHEV US−1単離物
に対する抗体に関して試験し、IgG及びIgMクラス抗体が各々の症例で検出
された(表44)。従ってこれらのデータは、HEVのUS−1株からの合成ペ
プチドの使用が、HEVへの接触を診断し、急性HEV感染を診断する上で有用
性を持つことを裏付けている。
【0237】
【表44】
【0238】 パネル2:HEV US−1単離物の生物ソースにおけるHEVに対する抗体
の検出 実施例1で述べた患者から連続的に採血し、その血清をHEV US−1株の
生物ソースとして用いた。HEVのビルマ及びメキシコ株に関して得た血清学的
データに基づくと、この患者は、検出可能なHEVに対するIgMクラス抗体が
ないため、HEV陰性と誤って診断されていたはずである。しかし、4日の採血
日すべてで、HEV US−1株に対するIgMクラス(表45)及びIgGク
ラス(表46)抗体が検出された(表45及び46)。この患者の血清をHEV
US 3−2eとUS 4−2ペプチドに対するIgG及びIgMクラス抗体
が存在するかどうかについて分析していれば、急性HEV感染の診断が下されて
いたであろう。この診断はさらに、患者が急性肝炎を発症しており、また最も重
要な点として、血清サンプル中に検出可能なHEV US−1株のRNAを有し
ていたという所見によって裏付けられる。これらのデータは、HEV US−1
株から誘導した合成ペプチドがHEVによる急性感染をより正確に診断する上で
有用であることを示唆している。
【0239】
【表45】
【0240】
【表46】
【0241】 パネル3−潜在的急性HEV感染の他の症例 急性肝炎と診断され、ビルマ及びメキシコ株に対するIgMクラス抗体陰性で
あった50名の患者からの血清パネルを構築した。50の血清サンプルのうち1
0がHEVのUS株に対する抗体に関して陽性であった(表47及び48)。こ
れらのサンプルに関してRT−PCRを実施したが、10のサンプルのいずれも
HEV RNAに関して陽性ではなかった。従って、この実施例が示すように、
患者の血清をHEV US−1に対する抗体の存在に関して分析すると、不顕性
のウイルス性肝炎を急性HEV感染として診断できると考えられる。
【0242】
【表47】
【0243】
【表48】
【0244】 実施例9−動物伝播試験 サイノモルガスマカク(cynomolgus macaque)(Maca
ca fascicularis)をSouthwest Foundatio
n for Biomedical Research(SFBR),San
Antonio,Texasを通して入手した。霊長類の人道的ケアと倫理的使
用を確保するためにSFBRによって設定されたガイドラインに従って動物を飼
育し、モニターした。血清ALTの基線レベルを確立するため、接種前少なくと
も4週間にわたって週に2回血清を採取した。基線の平均値プラス標準偏差の3
.75倍に基づいてカットオフ(CO)値を決定した。2匹のサルにHEV陽性
USP−1血清0.4−0.625mLを静脈内経路で接種し、1匹のサルには
HEV陽性USP−2血清2.0mLを接種した。接種後(PI)16週間まで
、週に2回血清と糞便サンプルを採集した。血清をALTの変化に関して検査し
、COより大きな値を陽性とし、肝損傷を示唆するものとみなした。上記実施例
8で述べたように血清サンプルをHEVに対する抗体に関して検査した(表49
、図7)。血清と糞便サンプルをRT−PCRによりHEV RNAに関して検
査した。QIAamp Viral RNA Kit(Qiagen)を用いて
サルの血清25−100μLを抽出した。10%糞便懸濁液を実施例1で述べた
ように抽出した。下記の実施例12で述べるようにRT PCRを実施した(図
7)。
【0245】 2匹のサイノモルガスマカクへのUSP−1血清0.4−0.625mLの静
脈内接種は感染を生じさせることができなかったが(データは示していない)、
US−2患者からの血清2.0mLの接種はウイルス血症と血清中の肝酵素レベ
ルの上昇をもたらした(図7)。HEV RNAはPI15日目に初めて糞便材
料中で検出され、PI64日まで陽性のままであった。PI28−56日の間に
採集した血清標本はHEV RNA陽性であった。PI15、44−58、72
及び93日目にALT値の上昇が認められ、PI51日目にピークALT値(1
16UI/L)を記録した。
【0246】 4−2と3−2eペプチドに関するビルマ、メキシコ及びUS配列に基づく6
個のELISAを使用して抗体反応を評価した。US 3−2eペプチドアッセ
イに対してのみ測定可能な反応が見られ(表49)、ビルマあるいはメキシコペ
プチドとの交差反応性はみられなかった。HEVに対するIgMクラス抗体はP
I28日目から58日目まで検出可能であった。このあと、PI44日目に強い
抗HEV−IgG反応が認められた。
【0247】
【表49】
【0248】 実施例10:組換えタンパク質ELISA A.組換え構築物 HEV−USゲノムのORF2とORF3領域からのHEV−US配列によっ
てコードされる大腸菌誘導組換えタンパク質を、pJOorf3−29(配列番
号191);cksorf2m−2(配列番号192);及びCKSORF32
M−3(配列番号193)と称するCMP−KDOシンテターゼ(CKS)との
融合タンパク質として、あるいはplorf3−12(配列番号194);pl
orf2−2.6(配列番号195);及びPLORF−32M−14−5(配
列番号196)と称する非融合タンパク質として発現させた。組換え融合タンパ
ク質の構築においては、米国特許第5,124,255号に述べられているクロ
ーニングベクターpJO201を使用した。このベクターを制限エンドヌクレア
ーゼEco RIとBam HIで消化し、CKSを含むフレーム内のHEV−
US配列をクローニングした。組換え非融合タンパク質の構築では、ラムダpL
発現ベクターpKRR826を使用した。このベクターを制限エンドヌクレアー
ゼEco RIとBam HIで消化し、リボソーム結合部位のすぐ下流のHE
V−US配列をクローニングした。かかるベクター系は強いラムダプロモーター
を含むので、温度感受性リプレッサータンパク質を不活性化する30℃から42
℃の温度でシフトさせることによって異種タンパク質合成の誘導を行う。構築物
をクローニングし、大腸菌K12株HS36細胞に形質転換してこれらのHEV
タンパク質を発現させた。
【0249】 HEV−US配列をHEV US−2ヒト血清あるいはサル13906糞便材
料から抽出した核酸から増幅し、上記実施例5で述べたように逆転写した。OR
F2のカルボキシル側の半分(すなわち配列番号167のアミノ酸残基番号33
4−660をコードする)を含むORF2配列を、Eco RI制限部位ならび
にATG開始コドンを含むセンスプライマー、配列番号208と、FLAG(E
astman Kodak)と称されるユニークペプチド配列、2つの連続する
TAA終止コドン及びBam HI制限部位を含むアンチセンスプライマー、配
列番号198を用いて作製した。LA TAQ(Takara)試薬を製造者が
推奨するように使用して、PCR反応物50μLを生成した。サイクリング条件
は、94℃で20秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間の40サイクルを含
んだ。増幅の前に94℃で1分間、72℃で10分間置いた。生成物をEco
RIとBam HIで消化し、所望するベクターに連結した。制限部位の間のC
KS融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号192に、その翻訳物を配列番
号199に示す。制限部位の間の非融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号
195に、その翻訳物を配列番号200に示す。ORF3全体(アミノ酸1−1
22)を含むORF3配列を、Eco RI制限部位ならびにATG開始コドン
を含むセンスプライマー、配列番号201と、FLAGと称されるユニークペプ
チド配列、2つの連続するTAA終止コドン及びBam HI制限部位を含むア
ンチセンスプライマー、配列番号202を用いて作製した。実施例5で述べたよ
うにQiagen試薬を使用してPCR反応物50μLを生成した。サイクリン
グ条件は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の35サイク
ルを含んだ。増幅の前に94℃で1分間、72℃で10分間置いた。生じた産物
をEco RIとBam HIで消化し、所望するベクターに連結した。制限部
位の間のCKS融合クローンのヌクレオチド配列を配列番号191に、その翻訳
物を配列番号203に示す。制限部位の間の非融合構築物であるクローンのヌク
レオチド配列を配列番号195に、その翻訳物を配列番号204に示す。
【0250】 さらに、完全な長さのORF3(アミノ酸1−123)とORF2のカルボキ
シル側の半分(アミノ酸334−660)を含むキメラ構築物を作製した。配列
番号191と配列番号192を含むプラスミド約100ngをPCR反応物10
0μL中でテンプレートとして使用した。PCRの緩衝液と酵素はLA TAQ
キット(Takara)からのもので、これを製造者の指示に従って使用した。
ORF3を配列番号201及び205に示すプライマーで増幅した。配列番号2
05のアンチセンスプライマーはFLAG配列及び配列番号191のカルボキシ
ル末端からの終止コドンを排除し、ATG開始コドンを排除する配列番号192
と同一の配列を含む。ORF2を配列番号208及び198のプライマーで増幅
した。LA TAQを使用し、サイクリング条件は上述した通りであった。生じ
た産物を1.2%アガロースゲルで分別して分画化した。GeneClean
IIを使用して、製造者が述べているように(Bio 101)ゲル切片からD
NAを単離した。生成物をガラスビーズからHO 15μL中に溶出した。ほ
ぼ等しいモル比の各生成物(ORF3生成物10μLとORF2生成物1μL)
を、1xPCR緩衝液、dNTP 0.5μl及びLA TAQ 0.25μL
(Takara)を用いた25μLの末端充填反応において混合した。この反応
は次のようにサイクルした:94℃で1分間、94℃で20秒間と55℃で30
秒間及び72℃で1.5分間の10サイクル、その後72℃で10分間。この反
応物5μLを、LA TAQキット(Takara)と配列番号201及び19
8を用いた100μLの増幅反応に供した。サイクリング条件は、94℃で1分
間、次いで94℃で20秒間、55℃で30秒間及び72℃で1.5分間の35
サイクルであった。この後に72℃で10分間と4℃での浸漬を行った。適当な
大きさの生成物を制限酵素Eco RIとBam HIで消化した。この生成物
をpJO201に連結し、適当な配列を持つクローン(配列番号193、その翻
訳物を配列番号206に示す)を同定した。生じた産物をpKRR826に連結
し、適当な配列を持つクローン(配列番号196、その翻訳物を配列番号207
に示す)を同定した。
【0251】 B.タンパク質の発現と精製 米国特許第5,312,737号に述べられているように、CKS構築物を2
つの500mL培養物において発現させた(4時間の誘導)。P構築物を上述
したように発現させた。誘導した大腸菌培養物の凍結細胞ペレットをタンパク質
精製の出発物質として使用した。リゾチーム、DNアーゼ及びプロテイナーゼ阻
害因子を含む緩衝液に細胞を溶解した。11,000xgで遠心分離にかけて可 溶性タンパク質を不溶性タンパク質(封入体)から分離した。組換えタンパク質
の溶解度を、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳
動(PAGE)及びFLAG(登録商標) M2抗体を用いたウエスタンブロッ ト分析を通して評価した。
【0252】 可溶性組換えタンパク質を、適当な緩衝液に交換したあと、FLAG(登録商
標)M2抗体アフィニティーゲルを用いたアフィニティークロマトグラフィーに
よって精製した(Surowyら(1997)Jornal of Gener
al Virology,78:1851−1859)。必要に応じて、Sep
hacrylR S−200ゲル濾過クロマトグラフィーを通して追加精製を行 った。このゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、サンプルとクロマトグラフィ
ー緩衝液は10mM β−メルカプトエタノールを含んだ。精製したタンパク質
を、280nmで吸光度を測定して定量した。仮定比吸光係数1を使用して、吸
光度をタンパク質のmgに変換した。前測定した純度の標準品を用いて、SDS
PAGEによって分別したタンパク質の走査デンシトメトリー(Molecu
lar Dynamics)によってタンパク質の純度を測定した。
【0253】 C.ELISA 組換えHEV US構築物の潜在的な有用性を調べるため、固相ELISAを
開発し、評価した。すべての組換えHEV US構築物を下記に述べるように固
相上に被覆した。簡単に述べると、1/4インチのポリスチレンビーズを、10
0mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.6中で希釈した0.5から10μg/
mLの濃度にわたる種々の量の(PJOORF3−29)で被覆した。1つの濃
度条件につき60個のビーズを緩衝液約14mL中で被覆し、40℃で2時間十
分に回転させた。被覆溶液を吸引し、残りの被覆工程を上記実施例8、E項、パ
ラグラフ1で述べたように実施した。
【0254】 pJOorf3−29被覆ビーズを用いたELISAを開発した。簡単に述べ
ると、血清あるいは血漿を上述したようにSpecimen Diluent(
SpD)中で1:16に希釈した。次にこの前希釈液のアリコート10μLを反
応トレーのウエルに加え、次いでSpD 200μLを加えた。各々のウエルに
1個の被覆ビーズを加え、Dynamic Incubator(Abbott
Laboratories)を用いて、ダイナミックモードで37℃で1時間
インキュベートした。インキュベーション後、液体を吸引し、各々のビーズを脱
イオン水(各洗浄当り5mL)で3回洗浄した。次にビーズをHRPO標識ヤギ
抗ヒトIgGあるいはIgM複合体200μLと共にインキュベートし、複合希
釈液(上述したような)で希釈して、37℃で30分間インキュベートした。次
いで複合体を吸引し、ビーズを上記のように洗浄した。実施例8のE項で述べた
ように発色展開させ、吸光度を読み取った。
【0255】 この構築物の免疫反応性を確認するため、実験的にHEV US−2に感染さ
せた(実施例9で述べたように)サルNo.13903からの一連の血液標本を
、pJOorf3−29に対するIgM及びIgG抗体に関して検査した。図1
に示すように、接種後(PI)51日目にIgM抗体が検出され、72日目まで
上昇し続け、ALT値のピーク上昇と一致した。pJOorf3−29に対する
IgG抗体はPI56日目に初めて検出され、107日間まで陽性のままであっ
た(表50)。
【0256】 HEV US ORF3であるがCKS融合パートナーを欠く第二の構築物、
plorf3−12も、上述したのと同じELISA形式で評価した。plor
f3−12に対するIgG抗体を同じ実験的に感染させたサルからの一連の血液
に関して評価した。plorf3−12に対するIgG抗体はPI58日目に検
出され、107日目まで陽性のままであった(表50)。
【0257】
【表50】
【0258】 ブタHEVとUS−2単離物間の相同性のパーセントが高いため、pJOor
f3−29ELISAをUSブタ群から分離した血清中の免疫反応性IgG及び
IgMの発現率を測定するのにも使用した(表51)。抗ヒト複合体の代わりに
HRPO複合標識抗ブタ免疫グロブリン(IgGあるいはIgM)を用いたこと
を除いて、上述したようにアッセイを行った。
【0259】
【表51】
【0260】 反応性標本を確認するため、阻止試験を開発した。簡単に述べると、1:16
の標本前希釈液の10μLアリコートを反応トレーの2つのウエルに加えた;1
つのウエルは標準アッセイ用とし、もう1つのウエルは阻止アッセイに使用した
。標準アッセイのELISAは、pJOorf3−29抗原被覆ビーズを加える
前に室温で30分間の前インキュベーション段階を置くことを除いて、上述した
ように実施した。阻止試験については、固相上の10倍モル過剰のpJOorf
3−29をSpD(阻止試薬)に加えた。各反応につき阻止試薬200μLを加
え、室温で30分間の前インキュベーションを実施した後、pJOorf3−2
9抗原被覆ビーズを加えた。アッセイの残りの部分は、抗ヒト複合体の代わりに
HRPO複合抗ブタ複合体(IgG)を使用したことを除いて、ブタアッセイに
関して上述したように実施した。
【0261】 等式: [A492nm標準アッセイ−A492nm阻止アッセイ)/A492nm標準
アッセイ]×100 を用いて阻止%を決定した。50%以上の阻止率を示した標本をHEV pJO
orf3−29に対するIgG抗体に関して反応性とみなした。典型的なIgG
陽性及びIgG陰性ブタサンプルとそれらの阻止結果を表52に示す。
【0262】
【表52】
【0263】 阻止アッセイのほかに、ブタ標本のサブセットに関してウエスタンブロット分
析を実施した。簡単に述べると、HEV pJOorf3−29 50μgと「
CKS単独」タンパク質50μgをSDS−PAGEによって分別し、分別した
タンパク質をニトロセルロースに移した。ニトロセルロースの3mm細片を切断
し、10%大腸菌溶解産物を含むタンパク質ベースの緩衝液中で1:100希釈
した一次抗体と共に、軌道回転装置上でひと晩室温でインキュベートした。その
翌日、細片を0.3%Tween/TBS(TBST)で3回洗浄し、その後T
BST中で0.5μg/mLに希釈したHRPO複合抗ブタIgG複合体を加え
た。細片を回転させながら室温で4時間インキュベートした。次にブロットをT
BST中で3回洗浄し、次いでTBS中で2回洗浄した。4−クロロ−1−ナフ
トールを基質として用いてブロットを展開した。水を加えて反応を停止し、バン
ドの強さを記録した。標本がpJOorf3−29について正しい分子量(約4
0kD)のバンドを示し、「CKS単独」バンドの領域(約29kD)で反応性
がなければ、その標本は特異的反応性を持つと判定した。pJOorf3−29
ウエスタンブロットで分析した20のブタ血清に関する結果を表53に示す。「
CKS単独」バンドと非特異的反応性を示したブタ血清はなかった。
【0264】
【表53】 これらのデータは、HEV US組換えタンパク質がHEVヘの曝露を診断す
る上で有用であることを示唆している。
【0265】 実施例11−コンセンサスプライマー アジア、メキシコ及び米国からの単離物の完全な長さの配列間で保存された領
域に基づき、HEV ORF1、ORF2及びORF3に関するコンセンサスオ
リゴヌクレオチドプライマーを作製した(図9)。ORF1プライマーはビルマ
単離物のヌクレオチド56−79及び473−451のメチルトランスフェラー
ゼ領域内に位置し(GenBankアクセス番号:M73218)、長さ418
ヌクレオチドの生成物を増幅する。ORF1プライマーは: HEVConsORF1−s1;CTGGCATYACTACTGCYATT
GAGC(配列番号147);及び HEVConsORF1−a1;CCATCRARRCAGTAAGTGCG
GTC(配列番号148) を含む。
【0266】 ビルマ単離物の6298−6321位及び6494−6470位のORF2プ
ライマーは長さ197ヌクレオチドの生成物を生じる。ORF2プライマーは: HEVConsORF2−s1;GACAGAATTRATTTCGTCGG
CTGG(配列番号150);及び HEVConsORF2−a1;CTTGTTCRTGYTGGTTRTCA
TAATC(配列番号;126) を含む。
【0267】 第二ラウンドの増幅については、内部プライマーを使用してORF1とORF
2についてそれぞれ287及び145ヌクレオチドの産物を生成することができ
る。ORF1プライマーは: HEVConsORF1−s2;CTGCCYTKGCGAATGCTGTG
G(配列番号177);及び HEVConsORF1−a2;GGCAGWRTACCARCGCTGAA
CATC(配列番号178) を含む。
【0268】 ORF2プライマーは: HEVConsORF2−s2;GTYGTCTCRGCCAATGGCGA
GC(配列番号152);及び HEVConsORF2−a2;GTTCRTGYTGGTTRTCATAA
TCCTG(配列番号;128) を含む。
【0269】 PCR反応は、製造者の指示に従って(Perkin−Elmer)2mM
MgCl及び各々のプライマー0.5μMを含み、実施例5で述べたようなタ
ッチダウンPCRを使用して増幅した。増幅産物を1.5%アガロースゲル上で
分離し、適当な大きさのPCR産物が存在するかどうかを分析した。当該プライ
マーを使用して、上記実施例8及び図7に示すようにHEV US−2を含む血
清及び糞便中のウイルスの存在を検出した。さらに、これらのプライマーは、ビ
ルマ様株6A、7A、9A及び12Aならびにギリシャからの2つの異なる単離
物(下記の実施例13参照)ならびにイタリアからのユニーク単離物と米国から
の2つの単離物(下記の実施例13参照)を含めたHEVの多数の異なる変異株
と反応性であることが認められた。さらに、これらのプライマーを使用して、中
国のLiaoning地方からの急性散発性肝炎の臨床診断を下された患者(S
15)からの単離物を同定した。その結果を下記の表54に示す。
【0270】
【表54】
【0271】 実施例12−一次ヒト胎児腎細胞におけるHEV RNAの検出 10×10細胞を含む凍結細胞ペレットを解凍し、1.0mLのダルベッコ
リン酸緩衝生理食塩水に懸濁した。実施例1で述べたようなUltraspec Isolation Systemを使用して、細胞ペレット20μL(2×
105細胞)からRNAを抽出した。上記の抽出核酸(RNA)に関してcDN
A合成を行い、ランダム六量体で開始させた。次に、実施例11で述べたように
最終濃度0.5μMでウイルスゲノムのORF−1及びORF−2領域からの変
性プライマーを使用して、上記のcDNAに関してPCRを実施した。
【0272】 上記のアッセイの性能をモニターするため、一次ヒト腎細胞とHEV US−
2陽性血清を使用した陽性対照を実験計画に含めた。2×10のHEV陰性一
次ヒト腎細胞を、確認されたHEV US−2陽性血清標本2.5μL及び25
μLでスパイクして、2つの陽性対照セットを調製した。ヒト腎細胞を加えない
陽性対照血清も検査した。
【0273】 一次ヒト腎細胞ペレットの19ロットを、ORF1とORF2からの2つの変
性プライマーセットを用いた上記アッセイ法によって検査した。結果を下記の表
55に要約する。検査した細胞ペレットのいずれのロットも、陽性対照で見られ
たような陽性結果を示さなかった。
【0274】
【表55】
【0275】 実施例13:追加US型単離物の同定と伸長 A.It1と称する、イタリアからの単離物の同定 血清25−50μLをPBSで100μLに希釈し、RNアーゼ不含の水10
0μLで最終的な溶出を行った点を除き、QIAamp Viral RNAキ
ット(Qiagen)を使用して製造者が述べているように血清25−50μL
からRNAを抽出した。RT反応をランダムに開始させた。PCRは、上記実施
例5で述べたようなHEV US−1プライマーを使用した。配列番号94及び
配列番号96のプライマーで増幅した後、294bpの産物を生成した。生成物
を実施例3で述べたようにクローニングし、配列決定して、配列番号179に示
している。
【0276】 It1単離物ゲノムの伸長を次のように実施した。上記実施例5で述べたよう
に血清25−50μLからRNAを抽出した。RT反応をランダムに開始させた
。PCRは、上記実施例3で述べたように、タッチダウンPCRを用いて実施例
11で上述したHEV CONSENSUSプライマーを使用した。配列番号1
47及び148に示すプライマーを使用して、配列番号180に示す配列を持つ
産物を生成した(反応物z2、418bp)。配列番号150及び126に示す
プライマーを使用して、配列番号181に示す配列を持つ産物を生成した(反応
物z3、197bp)。1xPCR緩衝液と20%Q溶液(Qiagen)の存
在下で、配列番号182及び183に示すプライマーを使用して、配列番号18
4に示す配列を持つ産物を生成した(反応物z4、234bp)。PCR1では
配列番号150と85に示すプライマーを使用して、またPCR2では配列番号
152と85に示すプライマーを使用して、上記実施例3で述べたような3’R
ACEによってゲノムの3’末端を単離し、配列番号185に示す配列を持つ産
物を生成した(反応物z5、890bp)。生成物を実施例3で述べたようにク
ローニングし、配列決定して、コンセンサス配列を生成した。これらの領域を図
8に示し、配列番号180、184及び186に表している。これらの領域のア
ミノ酸翻訳産物を、配列番号187、188、190及び197に示すアミノ酸
配列に表わしている。
【0277】 B.G1及びG2と称される、ギリシャからの2つの単離物の同定 風土病地域に旅行したことのない2名の患者が急性肝炎を発症し、ビルマ単離
物に基づくプライマーで分析された(Psichogiou M.A.ら、(1
995)「非A・非B型肝炎患者のコホートにおけるE型肝炎ウイルス(HEV
)感染」Journal of Hepatology,23,668−673
)。G2患者だけがPCR陽性と認められた。上記実施例12で述べたようにR
NAを単離し、上記実施例11で述べたコンセンサスプライマーによるPCRを
実施した。ORF1とORF2のプライマーセットは、両方の患者から予想され
る大きさの産物を生成した。生成物を上記実施例3で述べたようにクローニング
し、配列決定した。G1患者からのORF1とORF2のコンセンサスプライマ
ーを用いて生成した産物をそれぞれ配列番号209と211に示す。G2患者か
らのORF1とORF2のコンセンサスプライマーを用いて生成した産物をそれ
ぞれ配列番号213と215に示す。PCR陽性であることからG1が同定され
たことは、ビルマベースの株特異的プライマーに比べてコンセンサスプライマー
の有用性を明らかにしている。
【0278】 PCRにランダム始動cDNAを使用し、増幅が94℃で20秒間、60℃で
30秒間、及び72℃で1分間の10サイクルと、続いて94℃で20秒間、5
5℃で30秒間、及び72℃で1分間の10サイクル、さらに94℃で20秒間
、50℃で30秒間(−0.3℃/サイクル)、及び72℃で1分間の30サイ
クルを含むことを除いて、上記実施例3で配列番号19の生成に関して述べたよ
うに、配列番号16、配列番号17及び配列番号18のプライマーを使用してG
1とG2からの追加配列を得た。この後72℃で7分間の伸長サイクルを実施し
た。G1患者から生成した産物を配列番号217に示す。G2患者から生成した
産物を配列番号220に示す。
【0279】 US、中国、ギリシャ、イタリア、メキシコ及びビルマ様単離物のヌクレオチ
ド配列の整列を行い、これらの単離物の相互の類縁関係を調べた。イタリア単離
物の相違性がゲノムのORF1領域からの生成物の比較によって裏付けられ、ビ
ルマ(B1)、メキシコ(M1)及びUS(US−1)からの基本型単離物との
核酸同一性パーセントはそれぞれ77.6%、78.4%及び84.6%であっ
た(表36)。また、ゲノムのORF2領域からの生成物の比較によってもイタ
リア単離物の相違性が裏付けられ、ビルマ、メキシコ及びUSからの基本型単離
物とそれぞれ83.3%、79.7%及び87.8%の核酸同一性パーセントを
有していた(表37)。ビルマ、メキシコ及びUSからの基本型単離物からのヌ
クレオチド同一性は、これら2つの領域にわたって75.5%から82.4%の
範囲である。これらの同じ領域に関して、ビルマ様群を含む単離物は91.2%
以上というはるかに高い同一性を有している。
【0280】 ORF1とORF2の増幅配列を比較すると、ギリシャの2名の患者からの単
離物が互いにかなり異なることを示唆し、ORF1とORF2のこれらの領域で
それぞれ84.4%と87.2%のヌクレオチド同一性を示した。ヌクレオチド
レベルでは、ギリシャ、イタリア及びUS単離物間の同一性パーセントは、OR
F1産物に関しては81.9%から86.8%の範囲であり(表36)、ORF
2産物に関しては82.4%から87.8%の範囲である(表37)。これらの
数値は、ORF1とORF2の両方に関して91.2%以上というビルマ様単離
物間での最も低いヌクレオチド同一性パーセントを下回る。US、イタリアある
いはギリシャ単離物とビルマあるいはメキシコ単離物間でORF1フラグメント
から誘導したアミノ酸の同一性を比較すると、87.8%から93.5%の範囲
である(表36)。これらの数値は、ビルマとメキシコ単離物間の差に等しいか
若しくはそれより小さく(93.5%から95.1%)(表36)、非風土病地
域からの単離物が風土病地域に由来する単離物とは異なることを示唆している。
【0281】 分析したウイルス配列間の相対的な進化的距離は、対合距離から作製した根な
し進化系統樹を見れば容易に明白であり、その枝の長さは単離物間の相対的な遺
伝的関係に比例する。ORF1(図10)あるいはORF2(図11)のいずれ
かの配列の整列に基づく進化系統樹は、全体的なトポロジーにおいて極めて類似
している。ビルマ様単離物とメキシコ単離物が系統樹の一方の端の主要な枝をな
す。ヒトUS単離物は、メキシコ及びビルマ単離物からは遠位の異なる群を形成
する。ORF2からのブタHEV様配列はUSヒト単離物と緊密に関係している
。3つのヨーロッパ単離物はさらに3本の異なる枝を形成し、イタリア単離物が
US単離物と最も緊密に関係している。
【0282】 等価物 本発明は、その精神あるいは基本特性から逸脱することなく他の特定形態とし
て具体化されうる。前記の実施態様は、それ故、ここで述べる本発明を制限する
ものではなく、すべての点において例示とみなされるべきである。従って本発明
の範囲は前記の説明ではなく付属の特許請求の範囲によって示され、特許請求の
範囲の意味及び等価性に属するすべての変更は、特許請求の範囲内に包含される
ことが意図されている。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 HEVゲノムの略図であり、ORF1領域、ORF2領域およびORF3領域
の相対的な位置を示す。
【図2】 入院1日目〜入院37日目のUSP−1患者の血清アスパラギン酸アミノトラ
ンスフェラーゼ(四角)および血清総ビリルビン(菱形)のレベルを示すグラフ
である。
【図3】 HEVのUS−1ゲノムの略図であり、本研究中において単離されたクローン
の相対的な位置が示されている。
【図4】 HEVのUS−2ゲノムの略図であり、本研究中において単離されたクローン
の相対的な位置が示されている。
【図5】 全長のHEV US−1、HEV US−2および10個の他のHEV単離物
に由来するヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を示す。枝分かれの長さは
、配列間の進化的距離に比例している。位置あたりのヌクレオチド置換を表すス
ケールを示す。内部の節の数は、100個の複製体から得られたブートストラッ
プ値(すべての樹の割合として表される)を示す。示されている単離体は下記の
通りである:ビルマ株、B1、B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキス
タン株、P1;インド株、I1、I2;メキシコ株、M1;および合衆国株、U
S−1、US−2。
【図6】 ORF2/3の領域に由来するヌクレオチド配列(すなわち、配列番号89の
第5094位〜第7114位のヌクレオチド残基に対応する配列)の関係を表す
無根系統樹を示す。枝分かれの長さは、配列間の進化的距離に比例している。位
置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、100個
の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表される)
を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;中国
株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2;メ
キシコ株、M1;ブタ株、S1;および合衆国株、US−1、US−2。
【図7】 USP−2患者から採取された血清が接種された前後におけるサルのアラニン
アミノトランスフェラーゼ(四角)、血清アスパラギン酸トランスフェラーゼ(
丸印)、およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(三角)のレベルを示すグラ
フである。HEV US−2のRNAが血清および便のサンプルに存在する時期
、ならびに抗HEV US−2のIgMおよびIgGが検出可能であった時期も
あわせて示す。
【図8】 It1ゲノムの概略図であり、この研究中において単離されたクローンの相対
的な位置が示されている。
【図9a】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P
1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およ
びc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好
ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図9b】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P
1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およ
びc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好
ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図9c】 ビルマ株(B1)、メキシコ株(M1)、中国株(C1)、パキスタン株(P
1)およびUS−1の配列比較であり、a)ORF1、b)ORF2/3、およ
びc)ORFに関するHEVコンセンサスプライマーの設計が示されている。好
ましいコンセンサスプライマーを四角で囲って示す。
【図10】 配列番号89の第26位〜第396位のヌクレオチド残基に対応する長さが3
71ヌクレオチドのORF1ヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を示す。
位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、100
0個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として表され
る)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、B2;
中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1、I2
;メキシコ株、M1;イタリア株、It1;ギリシア株、G1、G2;および合
衆国株、US−1、US−2。
【図11】 配列番号89の第6307位〜第6454位のヌクレオチド残基に対応する長
さが148ヌクレオチドのORF1ヌクレオチド配列の関係を表す無根系統樹を
示す。位置あたりのヌクレオチド置換を表すスケールを示す。内部の節の数は、
1000個の複製体から得られたブートストラップ値(すべての樹の割合として
表される)を示す。示されている単離体は下記の通りである:ビルマ株、B1、
B2;中国株、C1、C2、C3、C4;パキスタン株、P1;インド株、I1
、I2;メキシコ株、M1;イタリア株、It1;ギリシア株、G1、G2;ブ
タ株、S1;および合衆国株、US−1、US−2。
【図12】 図12は、好ましいHEV−US組換えタンパク質構築物の概略図を示す。 図12Aには、最初と最後のアミノ酸の位置が示されているHEVのORF2構
造タンパク質およびORF3構造タンパク質が示されている。存在する免疫優勢
エピトープが、それぞれのORF内の線分によって示されている。 図12Bには、発現ベクターにクローニングされ、そして最初と最後のアミノ酸
の位置が示されているORF3領域が示されている(配列番号203または配列
番号204)。 図12Cには、発現ベクターにクローニングされ、そして最初と最後のアミノ酸
の位置が示されているORF2領域が示されている(配列番号199または配列
番号200)。 図12Dには、発現ベクターにクローニングされて、そしてキメラ構築物の各成
分の最初と最後のアミノ酸の位置が示されているORF2/3キメラ構築物が示
されている(配列番号206または配列番号207)。ORF3/2構築物から
除かれた配列を点線によって示す。 図12B〜Dにおいて、各構築物のカルボキシル末端に存在するFLAG(登録
商標)ペプチドが、塗りつぶした四角によって示されている。
【図13】 USP−2患者から採取された血清が接種された前後におけるサルのアラニン
アミノトランスフェラーゼ(四角)、IgG(丸印)およびIgM(星印)のレ
ベルを示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月19日(2000.4.19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/20 A61P 31/20 4H045 C07K 14/08 ZNA C07K 14/08 ZNA 16/10 16/10 C12N 15/09 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/577 B G01N 33/577 C12N 15/00 A (72)発明者 アーカー,ジエイムズ・シー アメリカ合衆国、イリノイ・60030、ハイ ンズビル、ノース・ホワイト・テイル・ド ライブ・359 (72)発明者 デサイ,スレツシユ・エム アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイビル、エイミイ・レイン・1408 (72)発明者 ドーソン,ジヨージ・ジエイ アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイビル、サウス・ダイモンド・ロード・ 914 (72)発明者 マツシヤーワー,アイザ・ケー アメリカ合衆国、イリノイ・60030、グレ イズレイク、アーバー・ブールバード・ 18790 Fターム(参考) 4B024 AA14 BA33 CA04 CA09 DA06 EA04 GA11 HA14 HA15 4B063 QA01 QA07 QA18 QA19 QQ03 QQ10 QQ52 QR02 QR48 QR51 QR56 QR62 QR66 QR83 QS25 QS35 QX01 4C084 AA13 ZA752 ZB092 ZB332 4C085 AA03 AA13 AA14 BA87 BB36 BB37 DD63 DD88 FF03 4C087 AA01 AA02 BC83 ZA75 ZB09 ZB33 4H045 AA11 AA30 BA10 BA18 BA19 CA02 DA75 DA76 EA53 FA33 FA74 GA15 GA22 GA26

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試験サンプルにおけるUS型またはUS亜型のE型肝炎ウイ
    ルス(HEV)あるいはその天然に存在する変異型の存在を検出するための方法
    であって、 (a)前記サンプルを、前記ウイルスのマーカーに特異的に結合する結合パー
    トナーと接触させる工程であって、前記サンプル中に前記マーカーが存在する場
    合に前記マーカーは前記結合パートナーに結合して、マーカー−結合パートナー
    の複合体を形成する工程;および (b)前記サンプル中の前記ウイルスの存在を示す前記複合体の存在を検出す
    る工程 を含む方法。
  2. 【請求項2】 前記マーカーは前記ウイルスに結合し得る抗体である、請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記抗体は免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンMである
    、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記結合パートナーは、単離されたポリペプチド鎖である、
    請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記ポリペプチド鎖は固体支持体に固定化される、請求項4
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記結合パートナーは、配列番号91、配列番号92および
    配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリ
    ペプチド鎖である、請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記結合パートナーは、配列番号173または配列番号17
    5に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖である、請求項4に記載の方法
  8. 【請求項8】 前記結合パートナーは、配列番号174または配列番号17
    6に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖である、請求項4に記載の方法
  9. 【請求項9】 前記結合パートナーは、配列番号166、配列番号167お
    よび配列番号168ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択され
    るポリペプチド鎖である、請求項4に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記結合パートナーは、配列番号223に示されるアミノ
    酸配列を含むポリペプチドである、請求項4に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記結合パートナーは、配列番号224に示されるアミノ
    酸配列を含むポリペプチドである、請求項4に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記結合パートナーは、配列番号91、配列番号92、配
    列番号93、配列番号166、配列番号167および配列番号168ならびにそ
    の天然に存在する変異型からなる群から選択されるポリペプチド鎖に特異的に結
    合し得る単離された抗体である、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記抗体はモノクローナル抗体である、請求項12に記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 前記マーカーはポリペプチド鎖である、請求項1に記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号91、配列番号92およ
    び配列番号93ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択される、
    請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号173または配列番号1
    75に示されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号174または配列番号1
    76に示されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号166、配列番号167
    および配列番号168ならびにその天然に存在する変異型からなる群から選択さ
    れる、請求項14に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号223に示されるアミノ
    酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記ポリペプチド鎖は、配列番号224に示されるアミノ
    酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記マーカーは、前記ウイルスのゲノムの少なくとも一部
    を規定する核酸配列またはその相補鎖である、請求項1に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記結合パートナーは、特異的なハイブリダイゼーション
    条件のもとで、配列番号89および配列番号164に示される核酸配列にハイブ
    リダイズし得る単離された核酸配列である、請求項1に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記結合パートナーは、配列番号126、配列番号128
    、配列番号147、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番
    号177および配列番号178からなる群から選択される、請求項1に記載の方
    法。
  24. 【請求項24】 前記結合パートナーは、単離されたポリペプチド鎖である
    、請求項1に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記試験サンプルは哺乳動物細胞株である、請求項1に記
    載の方法。
  26. 【請求項26】 前記哺乳動物細胞株はヒト胎児腎臓細胞株である、請求項
    41に記載の方法。
  27. 【請求項27】 試験サンプルにおけるE型肝炎ウイルス(HEV)の存在
    を検出する方法であって、 (a)前記サンプルを、配列番号126、配列番号128、配列番号147、
    配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号177および配列
    番号178からなる群から選択され、かつ前記ウイルスのマーカーに特異的に結
    合する結合パートナーと接触させる工程であって、前記サンプル中に前記マーカ
    ーが存在する場合に前記マーカーは前記結合パートナーに結合して、マーカー−
    結合パートナーの複合体を形成する工程;および (b)前記サンプル中における前記ウイルスの存在を示す前記複合体の存在を
    検出する工程 を含む方法。
  28. 【請求項28】 配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列
    番号176、配列番号223および配列番号224に示されるアミノ酸配列を含
    む単離されたポリペプチド鎖。
  29. 【請求項29】 US型HEVまたはUS亜型HEVのORF1配列により
    コードされるポリペプチド、US型HEVまたはUS亜型HEVのORF2配列
    によりコードされるポリペプチド、およびUS型HEVまたはUS亜型HEVの
    ORF3配列によりコードされるポリペプチドからなる群から選択されるポリペ
    プチド鎖に特異的に結合し得る単離された抗体。
  30. 【請求項30】 配列番号173、配列番号175または配列番号224に
    示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合し得る単離された抗
    体。
  31. 【請求項31】 配列番号174、配列番号176または配列番号223に
    示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に特異的に結合し得る単離された抗
    体。
  32. 【請求項32】 前記抗体は、類似する条件のもとで、配列番号169また
    は配列番号171に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に対して、より
    低い親和性を有する、請求項30に記載の単離された抗体。
  33. 【請求項33】 前記抗体は、類似する条件のもとで、配列番号170また
    は配列番号172に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖に対して、より
    低い親和性を有する、請求項31に記載の単離された抗体。
  34. 【請求項34】 検出可能な部分をさらに含む、請求項29に記載の単離さ
    れた抗体。
  35. 【請求項35】 US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルス
    のORF1配列、ORF2配列またはORF3配列の少なくとも一部あるいはそ
    の相補配列を規定する単離された核酸配列。
  36. 【請求項36】 特異的なハイブリダイゼーション条件のもとで、配列番号
    89および配列番号164に示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズし得る
    単離された核酸配列。
  37. 【請求項37】 請求項35の単離された核酸配列を含むベクター。
  38. 【請求項38】 請求項37に記載のベクターを含有する宿主細胞。
  39. 【請求項39】 US型HEVまたはUS亜型HEVに対して哺乳動物を免
    疫化する方法であって、前記哺乳動物に、請求項28に記載のポリペプチドを、
    US型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに特異的に結合し得る
    抗体の産生を刺激するのに十分な量で投与することを含む方法。
  40. 【請求項40】 US型HEV1またはUS亜型HEV1に対して哺乳動物
    を免疫化する方法であって、前記哺乳動物に、請求項29に記載の抗体を、US
    型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して前記哺乳動物を免
    疫化するのに十分な量で投与することを含む方法。
  41. 【請求項41】 US型HEV1またはUS亜型HEV1に対して哺乳動物
    を免疫化する方法であって、前記哺乳動物に、請求項30に記載の抗体を、US
    型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して前記哺乳動物を免
    疫化するのに十分な量で投与することを含む方法。
  42. 【請求項42】 US型HEV1またはUS亜型HEV1に対して哺乳動物
    を免疫化する方法であって、前記哺乳動物に、請求項31に記載の抗体を、US
    型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して前記哺乳動物を免
    疫化するのに十分な量で投与することを含む方法。
  43. 【請求項43】 US型HEVまたはUS亜型HEVに対して哺乳動物を免
    疫化する方法であって、前記哺乳動物に、請求項38に記載の宿主細胞を、US
    型E型肝炎ウイルスまたはUS亜型E型肝炎ウイルスに対して前記哺乳動物を免
    疫化するのに十分な量で投与することを含む方法。
JP2000516232A 1997-10-15 1998-10-15 E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物 Expired - Lifetime JP4475803B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US6119997P 1997-10-15 1997-10-15
US60/061,199 1997-10-15
PCT/US1998/021941 WO1999019732A1 (en) 1997-10-15 1998-10-15 Methods and compositions for detecting hepatitis e virus

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001520384A true JP2001520384A (ja) 2001-10-30
JP4475803B2 JP4475803B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=22034279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000516232A Expired - Lifetime JP4475803B2 (ja) 1997-10-15 1998-10-15 E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP1023605A1 (ja)
JP (1) JP4475803B2 (ja)
CA (1) CA2306451A1 (ja)
WO (1) WO1999019732A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009260A1 (ja) * 2004-07-23 2006-01-26 Bml, Inc. E型肝炎ウイルスの検出方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030049601A1 (en) * 1997-10-15 2003-03-13 George G. Schlauder Methods and compositions for detecting hepatitis e virus
US7393823B1 (en) 1999-01-20 2008-07-01 Oregon Health And Science University HER-2 binding antagonists
US7396810B1 (en) 2000-08-14 2008-07-08 Oregon Health Sciences University Compositions and methods for treating cancer by modulating HER-2 and EGF receptors
JP4080995B2 (ja) * 2001-06-25 2008-04-23 株式会社東芝 日本人からのe型肝炎ウイルスに由来するポリヌクレオチドプローブおよびプライマー、それらを有するチップ、それらを有するキット、並びにそれらによるe型肝炎ウイルスを検出する方法
US8088902B2 (en) 2004-04-05 2012-01-03 The Rockefeller University DNA virus microRNA and methods for inhibiting same
CN108588279A (zh) 2012-04-18 2018-09-28 霍夫曼-拉罗奇有限公司 Hev测定

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2166698A1 (en) * 1993-07-09 1995-01-19 George J. Dawson Confirmatory assay and reagents for hepatitis e virus

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009260A1 (ja) * 2004-07-23 2006-01-26 Bml, Inc. E型肝炎ウイルスの検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO1999019732A1 (en) 1999-04-22
JP4475803B2 (ja) 2010-06-09
CA2306451A1 (en) 1999-04-22
EP1023605A1 (en) 2000-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5829830B2 (ja) E型肝炎ウイルスのポリペプチド断片、それを含むワクチン組成物及び診断キット、並びにその使用
US6455492B1 (en) Hepatitis E virus vaccine and method
US6395472B1 (en) Methods of utilizing the TT virus
EP0476130B1 (en) Enterically transmitted non-a/non-b hepatitis viral agent and characteristic epitopes thereof
WO1993014116A1 (en) Hepatitis e virus peptide antigens and antibodies
EP0722499B1 (en) Immunoreactive antigens of hepatitis e virus
US5741490A (en) Hepatitis E virus vaccine and method
JP4475803B2 (ja) E型肝炎ウイルスを検出するための方法および組成物
US5686239A (en) Hepatitis E virus peptides and methods
US7204989B1 (en) HEV antigenic peptide and methods
US5843450A (en) Hepatitis GB Virus synthetic peptides and uses thereof
US5563032A (en) Mosaic polypeptide and methods for detecting the hepatitis E virus
JP2003525428A (ja) E型肝炎ウイルスを検出するための方法及び組成物
AU2007242061B2 (en) Pestivirus species
US5789559A (en) DNA sequences of enterically transmitted non-A/non-B hepatitis viral agent
US20040073006A1 (en) Antibody against norwalk virus and method of detecting virus by using the antibody
JP3848663B2 (ja) 非a非b非c非d非e型肝炎試薬及びそれらの使用方法
WO2022199526A1 (en) Hepatitis e virus-like particles and uses thereof
EP1536013A1 (en) Dna sequence useful in diagnosing hepatitis and polypeptide encoded thereby
AU2013200106B2 (en) Pestivirus Species

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080909

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081202

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090908

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090915

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100223

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term