JP4474977B2 - 溶接缶用電解クロメート処理鋼板および電解クロメート処理鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接缶用電解クロメート処理鋼板および電解クロメート処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、素材鋼板の少なくとも片面に塗装焼付け及びフィルムラミネートを施して使用する18L缶、ペール缶、美術缶等の材料として好適でかつ無研磨溶接が可能な溶接缶用電解クロメート処理鋼板および電解クロメート処理鋼板の製造方法に関する。
素材鋼板の表面に、金属クロム層とクロム水和酸化物層からなるクロメート皮膜を有する電解クロメート処理鋼板は、飲料缶、食缶、美術缶、18L缶、ペール缶等の材料として使用されており、錫めっき鋼板であるいわゆるぶりきと比較して安価で且つ塗料密着性も優れていることから、近年その適用範囲は益々拡がる傾向にある。
一方、ぶりきと比較した場合の電解クロメート処理鋼板の短所は、溶接性の欠如であり、現状では溶接性を阻害する表層のクロメート皮膜を溶接直前に機械的に研磨、除去した上で溶接を行っている。
しかし、このようにクロメート皮膜を機械的に除去した後に溶接する、いわゆる研磨溶接法を工業的な大量生産において実施した場合には、多量の研磨屑(金属粉)が発生する結果、この研磨屑が缶内に異物として混入したり、溶接機の清掃等のメンテナンスに要する負担が増大したり、堆積した金属粉による火災発生の危険性が高くなる等の問題を生じさせる。さらに、このような研磨溶接法では、露出した金属表面が溶接時の入熱によって酸化して濃青色や黒色に変化し、溶接後外観が劣化するという問題もある。
このため、上記研磨を行なうことなく溶接を行なう、いわゆる無研磨溶接法を用いることを前提として、電解クロメート処理鋼板の溶接性を改善するための、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、鋼板を電解クロメート処理した後、高濃度クロム酸浴に浸漬して表層のクロム酸化物層を溶解除去することで、鋼板表面に付着量が45〜90mg/mの金属クロム層と付着量が1〜10mg/mに低減したクロム酸化物層を形成し、これによりクロメート処理皮膜の接触電気抵抗を低下させて溶接性を確保する方法が開示されている。
特許文献2には、鋼板の表面上に付着量が40超〜200mg/mの金属クロム層と、付着量が4〜25mg/mのクロム水和酸化物層を完全平滑に形成した耐食性、表面色調および溶接性に優れた電解クロメート処理鋼板が開示されている。
特許文献3及び4には、鋼板表面に形成した金属クロム層が粒状または角状の突起を有する電解クロメート処理鋼板が開示されている。
特許文献5には、表面粗さを規定した素材鋼板の両面に、金属クロム層とクロム酸化物層とを有する電解クロメート処理鋼板であって、前記金属クロム層表面に、10nm以上の金属クロムの突起を有し、該金属クロムの突起の個数を6×1012個/m未満に規定した溶接性に優れた溶接用電解クロメート処理鋼板が開示されている(特許文献5)。
特開平2−111899号公報 特開平2−179895号公報 特公平7−26236号公報 特開昭63−186894号公報 特開平10−130888号公報
しかし、これらの従来技術には以下の問題点がある。
すなわち、特許文献1に関しては、電解クロメート処理鋼板を用いた18L缶やペール缶は、内容物として界面活性剤を含むアルカリ溶液が充填される場合が多く、このようなアルカリ溶液に対する耐食性は、主に金属クロム層の影響を受けることから、特許文献1のような45〜90mg/mの付着量の金属クロム層では、ある種のアルカリ溶液に対する耐食性、特に加工部の耐食性の点で問題を生じる。
また、特許文献1は、一度生成したクロム酸化物層のうち、易溶性のクロム水和酸化物を溶解するものであるが、電解処理を行う工程でフッ素化合物のみを添加した高濃度クロム酸浴またはフッ素化合物に少量の硫酸を添加した比較的低濃度のクロム酸浴が使用されており、塗装焼き付け時にクロム水和酸化物が脱水し、絶縁性の高いクロム酸化物に変化する。加えて、クロム水和酸化物中に存在するフッ素原子により、脱水性に違いが生じ局部的に不均一なクロム酸化物となり、鋼板表面の接触電気抵抗の変動が避けられない。このような接触電気抵抗の変動は、溶接時の発熱を不安定にするため、溶接可能電流範囲(以下、「ACR」という)が小さくなるという問題を生じる。
また、特許文献2に示される鋼板は、クロム酸を主成分とする浴で連続通電処理が行われ、電解条件によって不均一な組成のクロム水和酸化物が生成するか、あるいはクロム水和酸化物層の溶解が起きずクロム水和酸化物層の付着量が多過ぎる等の理由で鋼板表面の接触電気抵抗の変動が避けられない。このような接触電気抵抗の変動は、溶接時の発熱を不安定にするため、ACRが小さくなるという問題を生じる。
特許文献3等に示される電解クロメート処理鋼板は、金属クロム層の凹凸による光の短波長の吸収により、赤茶系の色を呈し、表面外観が好ましくない。このため、両面に特許文献3等に示されたクロメート皮膜を適用することはできないし、また、片面のみに適用したとしても、煩雑な表裏管理を行わなければならないという難点がある。また、かかる電解クロメート処理鋼板は、陽極電解処理に引き続いて陰極電解処理が施され、この陰極電解処理で突起状の金属クロムが生成するが、同時に生成するクロム水和酸化物は、鋼板の幅方向で均一に生成しないため、工業化には適さない。さらに、特許文献3に示される金属クロム層の構造とすることにより、溶接時の鋼板重ね合せ部における接点での接触電気抵抗は低下するが、缶の溶接通電用の電極として使用される柔らかい銅ワイヤーと鋼板との接点での接触電気抵抗は、クロム酸化物層の破壊が難しいため低下しない。このため、鋼板と鋼板の接点が適正に発熱する前に、電極と鋼板の接点で過剰発熱が生じやすく、安定した溶接が難しいという問題がある。
特許文献5に示される電解クロメート処理鋼板は、金属クロムの突起の大きさを管理する必要から、電解クロメート処理浴中で無通電の工程を入れないで微量の電流を流す。このため、電流密度の違いによる不均一な組成のクロム水和酸化物の生成と処理条件によっては不均一な溶解が生じるため、特に塗装焼付けを行った鋼板、又はフィルムをラミネートした鋼板では、目的とする溶接性が得られない欠点があった。しかも、工業化にあたっては、鋼板の全幅に渡って、特に鋼板エッジの両端の電流密度を一定の範囲に入れることが困難であるため、特に需要家において志向されているエッジ同士の溶接を行う場合、優れた溶接性が得られなかった。
本発明の目的は、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート後、界面活性剤を含むアルカリ溶液に対する裸耐食性、ならびに塗膜およびフィルム下腐食性に優れ、溶接するに先立って研磨することなしに高速で溶接が可能な物性を有する溶接缶用電解クロメート処理鋼板および電解クロメート処理鋼板の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)素材鋼板の少なくとも片面に、金属クロム層とクロム水和酸化物層とからなるクロメート皮膜を形成してなる溶接缶用電解クロメート処理鋼板において、
前記金属クロム層は、片面あたりの付着量が90mg/m2超、190mg/m2以下であり、
前記クロム水和酸化物層は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で3〜8mg/m2で、前記金属クロム層上に均一に形成してなり、
前記クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物のうち、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に脱水され熱アルカリには溶けない物性を有する不溶クロム水和酸化物は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で1〜5mg/m2であり、かつ前記全クロム水和酸化物に占める割合が質量比で68%未満であることを特徴とする、無研磨溶接性に優れた溶接缶用電解クロメート処理鋼板(第1発明)。
(2)前記溶接缶用電解クロメート処理鋼板は、前記素材鋼板の両面に前記クロメート皮膜を形成してなり、前記電解クロメート処理鋼板の重ね合わせた部分同士を1対の溶接用電極で抵抗溶接する場合、前記重ね合わせ部分の接点での接触電気抵抗(R1)が、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板の接点での接触電気抵抗(R2)に対して0.15倍以上である物性を有する上記(1)記載の無研磨溶接性に優れた溶接缶用電解クロメート処理鋼板。
(3)素材鋼板に、脱脂、酸洗を順次施した後、前記素材鋼板の表面温度を47℃以下にして、フッ素化合物と、150g/l以上のクロム酸と、該クロム酸の濃度対比0.003〜0.006倍の濃度の硫酸イオンとを含有する高濃度クロム酸浴中で陰極電解処理を行い、さらに、フッ素化合物と、30〜60g/lのクロム酸を含有する低濃度クロム酸浴中で浸漬処理を行い、引き続いて水洗することによって、素材鋼板の少なくとも片面に、片面当たりの付着量が90mg/m超、190mg/m以下である金属クロム層と、片面あたりの付着量が金属クロム換算で3〜8mg/mである均一なクロム水和酸化物層とからなるクロメート皮膜を形成し、前記クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物のうち、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に脱水され熱アルカリには溶けない物性を有する不溶クロム水和酸化物は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で1〜5mg/mであり、かつ前記全クロム水和酸化物に占める割合が質量比で68%未満であることを特徴とする、無研磨溶接性に優れた電解クロメート処理鋼板の製造方法(第2発明)。
(4)前記低濃度クロム酸浴中にて、フッ素化合物の濃度が、フッ素イオン換算でクロム酸濃度対比0.01〜0.04倍であり、前記低濃度クロム酸浴中での浸漬処理時間が2秒以上である上記(3)記載の無研磨溶接性に優れた電解クロメート処理鋼板の製造方法。
本発明によれば、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート後、界面活性剤を含むアルカリ溶液に対する裸耐食性、ならびに塗膜およびフィルム下腐食性に優れ、溶接するに先立って研磨することなしに高速で溶接が可能な物性を有する溶接缶用電解クロメート処理鋼板を効率よく安定して提供することが可能となる。
以下、本発明の詳細及び限定理由について説明する。
一般に、電解クロメート処理鋼板の製造方法には、フッ素化合物、硫酸等の助剤を添加したクロム酸浴を用いて、鋼板表面に金属クロムとクロム水和酸化物を同時に析出させる1ステップ法と、フッ素化合物、硫酸等の助剤を添加した高濃度クロム酸浴で主として金属クロムを析出させ、引き続いて同様な助剤を用いた比較的低濃度のクロム酸浴で主としてクロム水和酸化物を形成させる2ステップ法とが存在する。
いずれの処理浴でも、設備の構造上、エッジに電流が集中しやすいため、金属クロム量及びクロム水和酸化物量は、鋼板のエッジがセンターに比べ高くなる傾向にある。
本発明に従う電解クロメート処理鋼板は、主として18リットル缶やペール缶に使用される。かかる製缶時には、図7に示すように、鋼板の幅方向エッジ同士を溶接して溶接部を形成する場合と、鋼板の長手方向エッジ同士を溶接して溶接部を形成する場合とがあり、いずれにしても鋼板の全面にわたって良好な溶接性を有する必要がある。
まず、素材鋼板上に析出する金属クロムの役割であるが、裸で使用する場合や、酸性の内容物の場合のいずれに対しても、素材鋼板の表面露出を抑えて耐食性を向上させる役割がある。また、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネートの下地として使用する場合、界面活性剤を含むアルカリ内容物中での耐食性を維持するためには、酸素の還元反応を抑える必要がある。このため、本発明では、金属クロム層としては、少なくとも片面あたりの付着量が90mg/m超とすることが必要である。本発明では、溶接性の観点から、クロム水和酸化物の付着量を比較的低く設定するため、金属クロム層の付着量が90mg/m以下では、加工部等で下地の鋼が露出して、酸素の還元に伴う塗膜下腐食が発生しやすくなるからである。
また、鋼板の幅方向エッジへの電流の回り込み(集中)により、前記幅方向エッジでの金属クロムの付着量(析出量)は、鋼板のセンターでの金属クロムの付着量の2倍近くになる。金属クロム層の付着量については、片面当りの付着量が190mg/mを超えると、高融点金属である金属クロム層が全面を厚く覆うことにより、溶接時の圧接性の低下やチリの発生が著しくなる結果、良好な無研磨溶接性の確保が難しくなる。
したがって、本発明では、金属クロム層の片面あたりの付着量は、90mg/m超、190mg/m以下とする。
次に、クロム水和酸化物層に関して言えば、クロム水和酸化物層は、金属クロム層を析出させるときに同時に析出するが、クロム酸の濃度、フッ素化合物や硫酸等の助剤の濃度、クロム酸浴中での電解時の温度(これは浴温や鋼板温度によって決まる)、電流密度、電解処理後の浸漬時間等によって、クロム水和酸化物の付着量と品質が大きく変化する。
前記クロム水和酸化物層は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で3〜8mg/m2とする。前記付着量が金属クロム換算で3mg/m2未満では、耐食性に劣り、8mg/m2 えでは、溶接性が劣るからである。
図1は、各種めっき浴で電流密度を変えて電解した後、同一浴に浸漬したときのクロム水和酸化物の付着量(mg/m)の変化を示したものである。すなわち、150g/l以上のクロム酸に、フッ素化合物と硫酸を添加した高濃度クロム酸浴(A浴)で電解した後、同一浴に浸漬した場合と、100g/l以下のクロム酸にフッ素化合物を添加し、硫酸は無添加の低濃度クロム酸浴(B浴)で電解した後、同一浴に浸漬した場合と、A浴で金属クロムを析出した後、同浴中で鋼板を陽極にして金属クロムの一部とクロム水和酸化物を除去後、100g/l以下のクロム酸にフッ素化合物等の助剤を添加しない非アニオン含有低濃度クロム酸浴(C浴)で電解した後、同一浴に浸漬した場合とにおいて、それぞれ生成したクロム水和酸化物の付着量(mg/m)の変化を示したものである。
A浴、B浴及びC浴の場合で挙動が異なっており、高濃度のクロム酸にフッ素化合物と硫酸を添加したA浴は、同浴に浸漬すると、浸漬時間とともにクロム水和酸化物量は減少傾向にあり、一方、助剤を添加しないC浴は、浸漬時間とは無関係にほぼ一定の値を示した。C浴にフッ素化合物のみを添加したB浴は、その中間の傾向を示した。また、いずれの浴も、電流密度が高いとクロム水和酸化物の付着量は多くなる傾向があり、特にB浴とC浴で顕著であった。
したがって、鋼板エッジに電流が集中し、電流密度が高くなる一般の製造方法では、B浴およびC浴を使用した場合、クロム水和酸化物の付着量は、鋼板の幅方向で不均一になる。よって、工業化にあたってはクロメート処理後に、鋼板エッジをトリム(鋼板の幅方向両端部から中央に向かって所定の幅だけ切り落とすこと)して製品として使用しなければならない。
つぎに、クロム水和酸化物の付着量がほぼ同じ量となるように、鋼板エッジを切り落とした上記の3種類の浴A(電流密度30A/dm)、浴B(電流密度20A/dm)及び浴C(電流密度5A/dm)で陰極電解処理を行うことによって作製した電解クロメート処理鋼板A〜Cの溶接性を評価した。その結果を図2に示す。A浴で製造した鋼板Aの溶接可能電流範囲(ACR)が最も広く、続いてB浴で製造した鋼板Bであり、C浴で製造した鋼板CのACRが最も狭く、溶接性が明らかに劣っていた。したがって、クロム水和酸化物の溶接性に及ぼす影響を詳細に検討した。
電解クロメート処理鋼板の溶接性の改善方法として、従来技術ではぶりきの性質を参考にし、鋼板同士の接点(界面)での接触電気抵抗と、電極と鋼板の接点での接触電気抵抗とを個々に低減する手段のみが講じられてきた。
しかし、本発明者らによる検討の結果、高速ワイヤーシーム溶接機による電解クロメート処理鋼板の溶接性は、必ずしも鋼板と鋼板の接点での接触電気抵抗や、電極と鋼板の接点での接触電気抵抗の双方を単に低下するだけでは向上するものではないことがわかった。
すなわち、電解クロメート処理鋼板を18リットル缶やペール缶の溶接素材として使用する場合、図3に示すように、前記電解クロメート処理鋼板の重ね合わせた端部同士1aおよび1bの接点(界面)での接触電気抵抗R1以外に、重ね合わせた端部1aと1bの接点での接触電気抵抗R1を、溶接用電極2a又は2b(銅ワイヤー)と電解クロメート処理鋼板の端部1a又は1bの接点での接触電気抵抗R2に対して所定の範囲に設定することが、適正な発熱形態が得られるため、溶接性にとって重要であることがわかった。
具体的には、重ね合わせた電解クロメート処理鋼板同士の接点での接触電気抵抗(R1)が、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板との接点での接触電気抵抗(R2)に対して低すぎる場合には、重ね合わせた電解クロメート処理鋼板の接点で適正な発熱を得るために必要な電流をながすと、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板の接点部が過剰に発熱して、溶接部外面にチリやスプラッシュなどの欠陥が生じやすくなる。
したがって、安定した溶接を行うには、重ね合わせた電解クロメート処理鋼板の接点部に、発熱に十分な熱量に相当する電流を流した場合に、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板の接点では、過剰発熱が生じない接触電気抵抗に設定する必要がある。
通常のシーム溶接の場合、図4に示すように、溶接部は前溶接によって、鋼板表面は加熱されているが、電流を流すための溶接用電極は、新しい銅ワイヤーが順次供給されるので、溶接用電極と接触する鋼板表面の温度は低くなる傾向がある。
したがって、本発明では、前記鋼板の板厚全体で適切な発熱を得るためには、溶接用電極と前記鋼板との接点での接触電気抵抗(R2)は、重ね合わせた前記鋼板同士の接点での接触電気抵抗(R1)よりも高くても良いが、前記鋼板全体が均一に発熱する比率が必要であり、具体的には、重ね合わせた電解クロメート処理鋼板同士の接点での接触電気抵抗(R1)が、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板との接点での接触電気抵抗(R2)に対して0.15倍以上に設定することが好ましい。
図5は、電解クロメート処理条件を種々変化させて、前記接触電気抵抗R1の前記接触電気抵抗R2に対する比R1/R2が異なる種々の電解クロメート処理鋼板を試作し、これらの電解クロメート処理鋼板の前記比R1/R2に対して、溶接した時の溶接可能電流範囲(ACR)をプロットしたものである。
図5の結果から、前記接触電気抵抗の比(R1/R2)が0.15以上になると、ACRが3アンペア(A)以上であり、溶接性に優れていることがわかる。
この接触電気抵抗比(R1/R2)は、電解クロメート処理鋼板同士の接点および溶接用電極と電解クロメート処理鋼板の接点での接触電気抵抗のバランスを意味しており、この良好な接触電気抵抗バランスは、クロメート皮膜を構成するクロム水和酸化物層の均一化と、塗装焼付け時及び/又はフィルムラミネート時の過熱によって変化するクロム水和酸化物の質と深い関係があることがわかった。
図6は、種々の電解クロメート処理鋼板を作製し、各電解クロメート処理鋼板における、クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物の付着量を横軸とし、この全クロム水和酸化物のうち、塗装焼付け及びフィルムラミネート時を想定した、210℃、10分間の加熱後に熱アルカリ(90℃に加熱した7.5規定のNaOH)には溶けない不溶クロム水和酸化物の付着量を縦軸として、ワイヤー速度23m/分で溶接を行った時のACRの測定値をプロットしたものである。なお、溶接設定電流のタップで8ポイント以上のACRがとれるものを「◇」、6〜7ポイントのACRがとれるものを「□」、3〜5ポイントのACRがとれるものを「△」、そして、2ポイント以下のACRしかとれないものを「×」として、溶接性を評価した。
図6の結果から、不溶クロム水和酸化物は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で1〜5mg/mであり、かつ前記全クロム水和酸化物に占める割合が質量比で68%未満、すなわち、不溶クロム水和酸化物の付着量(Y)と、全クロム水和酸化物の付着量(X)の関係は、Y<0.68Xであるとき、溶接性が良好となり、より好ましくは、Y≦0.88X−1.4を満足すると、より溶接性は良好になる。
次に、本発明に従う電解クロメート処理鋼板の製造方法の一例について説明する。
まず、素材鋼板を通常の方法で脱脂、酸洗した後、素材鋼板の表面温度を47℃以下にし、クロム酸150g/l以上の無水クロム酸水溶液中に、フッ素化合物とさらにクロム酸濃度対比0.003〜0.006倍の濃度の硫酸イオンを添加した高濃度クロム酸浴中において、陰極電解処理を行い、90 mg/m2超、190 mg/m2 以下の金属クロム層を形成させる。
通常知られている電解クロメート処理鋼板の製造方法には、フッ素化合物や硫酸等の助剤を添加したクロム酸浴を用いて、素材鋼板表面に、金属クロムとクロム水和酸化物を同時に析出させる1ステップ法と、フッ素化合物や硫酸等の助剤を添加した高濃度クロム酸浴で主として金属クロムを析出させ、引き続いて同様な助剤を用いた比較的低濃度のクロム酸浴で主としてクロム水和酸化物を形成させる2ステップ法がある。
1ステップ法の場合は、1ステップで目的とするクロメート皮膜を形成しなければならず、各種の用途にあった品質を作り分けることが困難である。
これに対して、2ステップ法は、金属クロムを析出させる工程と、クロメート皮膜を所望の品質を得るための工程とに分離することができ、溶接缶等の品質をコントロールし易い。
したがって、本発明では2ステップ法を採用することとした。
電解浴としては、CrO−NaSiF−SO 2−系の高濃度クロム酸浴を採用した。この高濃度クロム酸浴は、長時間安定して金属クロムが高効率で析出できる利点と、溶接性に適したクロム水和酸化物の基礎となる皮膜を同時に析出できる。
すなわち、一般的にクロム水和酸化物は、フッ素イオン、硫酸イオンおよび吸着水が比較的多く存在する外層と、これらのイオンが比較的少ない内層とで構成されている。
外層のクロム水和酸化物は、助剤の濃度、浴温および電流密度などの電解条件によって析出量が異なり、しかも同一電解浴中に浸漬したときに溶解しやすい。
一方、内層のクロム水和酸化物は、電流密度の影響を受けにくく、電解浴に浸漬したときにも溶解しにくい。
したがって、実機ラインで操業する場合、鋼板のエッジに電流が集中しても、電気量に比例して析出するのは金属クロムであり、内層のクロム水和酸化物量はストリップ中央とほぼ同じ量であり、溶接性には適した付着量になる。
また、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に脱水され不溶クロム水和酸化物に変化する程度は、特にSO 2−イオン濃度に依存する。SO 2−イオン濃度は、クロム酸濃度対比0.003〜0.006の範囲とする。0.003未満であると、不溶クロム水和酸化物の、前記全クロム水和酸化物に占める割合が68%以上と多くなって良好な溶接性が得られず、また、0.006超えでは、目的とするクロム水和酸化物層の適正付着量が確保できないことがある。
陰極電解処理中の素材鋼板の表面温度は、浴温と電解浴槽に進入する直前の鋼板温度により決定される。
素材鋼板の表面温度は、金属クロムの析出効率に影響するだけでなく、クロム水和酸化物の水和度に影響する。具体的には、素材鋼板の表面温度が47℃を超えると、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に生成する不溶クロム水和酸化物の比率が大きくなり、溶接性に悪影響を及ぼす。
したがって、素材鋼板の表面温度は47℃以下とする。なお、一般の電解クロメート処理槽として知られている縦型の電解槽の場合、素材鋼板の表面温度は、ジュール熱の影響で浴温より少し高目の温度になるので、浴温は、少なくとも47℃未満とすることが好ましい。
さらに、クロム水和酸化物層は、次の工程、すなわち、フッ素化合物と、30〜60g/lのクロム酸を含有し、フッ素化合物の濃度が、フッ素イオン換算でクロム酸濃度対比0.01〜0.04倍である低濃度クロム酸浴中で2秒以上浸漬処理を行い、引き続いて水洗することによって形成される。
CrO−NaSiF-SO 2−系の高濃度クロム酸浴で生成したクロム水和酸化物をより安定した溶接性を得る皮膜にするためには、さらに、クロム水和酸化物中の余分な助剤を除去し、しかも、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に生成する不溶クロム水和酸化物の比率をできるだけ少なくするために、クロム水和酸化物を、低濃度のクロム酸に、フッ素イオン換算でクロム酸濃度対比0.01〜0.04の濃度のフッ素化合物を添加した低濃度クロム酸浴に浸漬し、さらに水、好適には60℃以上の温水で洗浄(リンス)する必要がある。
浸漬処理する低濃度クロム酸浴にて、クロム酸濃度及びフッ素イオン濃度が上記適正範囲よりも高いと、クロム水和酸化物が不均一に溶解し、不均一な皮膜になる。また、これらの適正範囲よりも低いと、助剤の除去ができない場合がある。さらに、浸漬処理時間が2秒未満だと、金属クロム層上のクロム水和酸化物が不均一に溶解し、不均一な皮膜になるからである。
なお、低濃度クロム酸浴中の浸漬と、その後の、水、特に温水での洗浄(リンス)は、塗装焼付け後の塗料密着性及びラミネートフィルムの密着性を向上させるという効果を奏する。
これらの処理によって上記効果を奏する理由は不明であるが、助剤の除去と温水リンスの相互作用による皮膜のオル化(OH基による高分子化)が寄与しているものと考えられる。この変化の指標が、不溶クロム水和酸化物の全クロム水和酸化物に占める割合の低減に現れている。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
次に、本発明の実施例を以下で具体的に説明する。
0.32mm板厚で製品寸法より30mm広幅の素材鋼板(冷延鋼板)の両面に、通常の脱脂、酸洗を施した後、表1に示す条件により、電解クロメート処理鋼板を製造し、その後、鋼板の幅方向両端部を15mmずつトリムして得られた電解クロメート処理鋼板を後述の方法により溶接性と各種耐食性の評価を行った。これらの結果を表1にまとめて示す。また、同じ板厚で製品寸法より10mm広幅の素材鋼板(冷延鋼板)に、表1と同じ処理を行い、その後、鋼板の幅方向両端部を5mmずつトリムして得られた電解クロメート処理鋼板を同じ方法で溶接性と各種耐食性の評価を行った。これらの結果を表2にまとめて示す。
製造した上記各電解クロメート処理鋼板について、溶接性、塗膜およびフィルム下腐食性、裸耐食性、空焼き後の不溶クロム水和酸化物の量および接触電気抵抗比R1/R2を測定した。それらの測定条件と試験条件並びに性能の評価方法を以下に示す。
(1)溶接性
18L缶胴用の溶接機(バタフライ型溶接機)を使用し、図7に示すように、電解クロメート処理鋼板の片幅方向の位置で、鋼板の長手方向に所定の長さで切り出し、その長手方向両端部同士(図7の黒塗り部)を溶接するA法と、鋼板を、その幅にわたって鋼板の幅方向に切り出し、そのその長手方向両端部同士(図7の斜線部)を溶接するB法の2通りの方法で評価した。評価は、ワイヤー速度23m/分で溶接を行った時のACRを測定した。溶接設定電流のタップで8ポイント以上のACRがとれるものを「◎」、6〜7ポイントのACRがとれるものを「○」、4〜5ポイントのACRがとれるものを「△」、そして、3ポイント以下のACRしかとれないものを「×」とした。
(2)接触電気抵抗比の測定
製造した各電解クロメート処理鋼板を210℃の炉内に装入し、鋼板温度が210℃に到達後、10分間空焼を行なった。前記電解クロメート処理鋼板の重ね合せ端部同士1a、1bを、その表裏面を合わせた状態で、図3に示すように、2mmφ面積を持つ1対の銅電極2a、2bで挾み込み、加圧力980Nで1Aの通電を行い、3秒後の電位差からR1とR2を求め、これらから、R1/R2の接触電気抵抗比を算出した。
(3)全クロム水和酸化物及び不溶クロム水和酸化物の付着量の測定
48mmφにサンプリングした4枚の電解クロメート処理鋼板の付着量を蛍光X線でクロム量(a)を測定し、その内の2枚のサンプルを、110℃に加熱した7.5規定のNaOH溶液中に10分間浸漬した後、クロム量(b)を蛍光X線で測定し、両クロム量の差(a−b)から、クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物の付着量(Crox)を求めた。また、残り2枚のサンプルについては、210℃の炉内に装入し、鋼板温度が210℃に到達した後、10分間空焼を行い、上記と同様に110℃に加熱した7.5規定のNaOH溶液中に10分間浸漬し、クロム量(c)を蛍光X線で測定し、前記クロム量(b)との差(c―b)から、不溶クロム水和酸化物の付着量を、金属クロム換算で求めた。
(4)塗膜下腐食性
製造した各電解クロメート処理鋼板に内面塗装を施した後、この塗装した鋼板を18L缶胴用の溶接機に通過させ、エンボス加工まで行った後、加工部を含む缶胴部より試験材を採取して、これを35℃に保たれた強アルカリ界面活性剤(商品名:ライポンF(ライオン株式会社製)なお、ライポンFはライオン株式会社の登録商標)中に浸漬し、3週間経過後の発錆の有無を下記により3段階で評価した。
○:発錆なし
△:加工部に錆あり
×:平坦部に錆あり
(5)フィルム下腐食性
製造した各電解クロメート処理鋼板の内面側に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートした後、このラミネートした鋼板を、18L缶胴用の溶接機に通過させ、エンボス加工まで行った後、加工部を含む缶胴部より試験材を採取して、これを35℃に保たれた強アルカリ界面活性剤(商品名:ライポンF(ライオン株式会社製)なお、ライポンFはライオン株式会社の登録商標)中に浸漬し、3週間経過後の発錆の有無を下記により評価した。
○:発錆なし
△:加工部に錆あり
×:平坦部に錆あり
(6)裸耐食性
製造した各電解クロメート処理鋼板の片面のみに塗装を施し、反対面を裸で使用する場合を想定し、かかる鋼板を210℃で10分間空焼きした後、塩酸+硫酸銅溶液の中に浸漬し、鋼板上に析出する銅の析出量の程度から、鋼板表面から溶出する鉄イオンの程度を判断し、これによって、裸耐食性を評価した。
○:銅析出量が50mg/m未満
△:銅析出量が50〜100mg/m
×:銅析出量が100mg/m
Figure 0004474977
Figure 0004474977
表1及び表2に示す結果から、本発明に適合する実施例1〜8は、溶接性および耐食性ともに優れている。
一方、比較例1および2は、特許文献1の実施例に開示された製造方法に従って製造したものであり、比較例3は、特許文献2の実施例に開示された製造方法に従って製造したものであり、比較例4は、特許文献4の実施例に開示された製造方法にしたがって製造したものであり、そして、比較例5は、特許文献5の実施例に開示された製造方法にしたがって製造したものであるが、比較例1および2は、溶接性および耐食性ともに劣っており、また、比較例3〜5は、耐食性は実用上問題ないが、溶接性はいずれも劣っている。
また、比較例6および7は、実施例1の第1浴の条件が本発明条件と異なっており、比較例6は浴温が55℃と高く、比較例7は浴中の硫酸イオン濃度が低い。このため、クロム水和酸化物の質のうち、不溶クロム水和酸化物の付着割合が多くなり、さらに、接触電気抵抗比R1/R2が0.15未満となり、溶接性が劣っている。
以上述べたように、本発明によれば、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート後、界面活性剤を含むアルカリ溶液に対する裸耐食性、ならびに塗膜およびフィルム下腐食性に優れ、溶接するに先立って研磨することなしに高速で溶接が可能な物性を有する溶接缶用電解クロメート処理鋼板を効率よく安定して提供することが可能となる。
各種クロム酸浴で電流密度を変えて電解した後、同一浴に浸漬したときのクロム水和酸化物の付着量(mg/m)の変化を示したグラフである。 異なる条件で製造した3種類の電解クロメート処理鋼板A〜Cについて、溶接性を評価した結果を示す図である。 電解クロメート処理鋼板の重ね合わせて抵抗溶接する際の溶接状態を示す模式図である。 シーム溶接中の状態を説明するための図であり、右の楕円形状の部分が先に加熱された部分で、鋼板が送られて次の通電が始まった瞬間を示す。 電解クロメート処理鋼板の接触電気抵抗比R1/R2に対して溶接可能電流範囲(ACR)をプロットしたものである。 クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物の付着量を横軸とし、不溶クロム水和酸化物の付着量を縦軸として溶接を行った時のACRの測定値をプロットしたものである。 電解クロメート処理鋼板を溶接するときの板の採取方法を示す図である。
符号の説明
1a、1b 電解クロメート処理鋼板の重ね合わせた端部
2a、2b 溶接用電極

Claims (4)

  1. 素材鋼板の少なくとも片面に、金属クロム層とクロム水和酸化物層とからなるクロメート皮膜を形成してなる溶接缶用電解クロメート処理鋼板において、
    前記金属クロム層は、片面あたりの付着量が90mg/m2超、190mg/m2以下であり、
    前記クロム水和酸化物層は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で3〜8mg/m2で、前記金属クロム層上に均一に形成してなり、
    前記クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物のうち、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に脱水され熱アルカリには溶けない物性を有する不溶クロム水和酸化物は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で1〜5mg/m2であり、かつ前記全クロム水和酸化物に占める割合が質量比で68%未満であることを特徴とする、無研磨溶接性に優れた溶接缶用電解クロメート処理鋼板。
  2. 前記溶接缶用電解クロメート処理鋼板は、前記素材鋼板の両面に前記クロメート皮膜を形成してなり、前記電解クロメート処理鋼板の重ね合わせた部分同士を1対の溶接用電極で抵抗溶接する場合、前記重ね合わせ部分の接点での接触電気抵抗(R1)が、溶接用電極と電解クロメート処理鋼板の接点での接触電気抵抗(R2)に対して0.15倍以上である物性を有する請求項1記載の無研磨溶接性に優れた溶接缶用電解クロメート処理鋼板。
  3. 素材鋼板に、脱脂、酸洗を順次施した後、前記素材鋼板の表面温度を47℃以下にして、フッ素化合物と、150g/l以上のクロム酸と、該クロム酸の濃度対比0.003〜0.006倍の濃度の硫酸イオンとを含有する高濃度クロム酸浴中で陰極電解処理を行い、さらに、フッ素化合物と、30〜60g/lのクロム酸を含有する低濃度クロム酸浴中で浸漬処理を行い、引き続いて水洗することによって、素材鋼板の少なくとも片面に、片面当たりの付着量が90mg/m超、190mg/m以下である金属クロム層と、片面あたりの付着量が金属クロム換算で3〜8mg/mである均一なクロム水和酸化物層とからなるクロメート皮膜を形成し、前記クロム水和酸化物層を構成する全クロム水和酸化物のうち、塗装焼付け及び/又はフィルムラミネート時に脱水され熱アルカリには溶けない物性を有する不溶クロム水和酸化物は、片面あたりの付着量が金属クロム換算で1〜5mg/mであり、かつ前記全クロム水和酸化物に占める割合が質量比で68%未満であることを特徴とする、無研磨溶接性に優れた電解クロメート処理鋼板の製造方法。
  4. 前記低濃度クロム酸浴中にて、フッ素化合物の濃度が、フッ素イオン換算でクロム酸濃度対比0.01〜0.04倍であり、前記低濃度クロム酸浴中での浸漬処理時間が2秒以上である請求項3記載の無研磨溶接性に優れた電解クロメート処理鋼板の製造方法。
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